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JP3835935B2 - 防湿被覆用水性樹脂組成物 - Google Patents
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JP3835935B2 - 防湿被覆用水性樹脂組成物 - Google Patents

防湿被覆用水性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紙の被覆用水性樹脂組成物に関するもので、詳しくはワックスを使用することなく防湿性を付与し、かつ古紙再生のための離解性に優れた防湿被覆用水性樹脂組成物である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、防湿性を要する包装紙などはポリオレフィンのラミネート紙が広く利用されている。しかしこの場合、優れた防湿性を有するものの、使用後省資源の面から古紙として再利用する際、離解性がないため大きな問題となっている。
【0003】
これに対して、離解性のある防湿塗工紙を得る被覆用樹脂組成物として、合成ゴム系ラテックス、アクリル系エマルションなどの可撓性のある樹脂にワックスエマルションを配合した組成物が開示されている(特公昭55−22597号公報、特公昭62−28826号公報など)。しかし、この場合、同じ厚みで塗工されたポリオレフィンのラミネート紙と比較して、初期の防湿性能は同程度の値が得られるが、これを巻き戻し、裁断などの処理をしたり、包装材として使用している過程で、摩擦により防湿面のワックス成分が転移移行して、防湿性能が低下したり、被接触面がワックスで汚染されると云った問題がある。また、防湿面同志が重ね合わさった場合の耐ブロッキング性に劣り、更に包装紙として使用する場合、防湿面と裏面をホットメルト接着剤で接着するが、防湿面のワックスのために接着性が著しく低下するという問題がある。
【0004】
一方、ワックスの使用による上記の問題点を改良する方法として、特開平8ー284094号公報において、ワックスと相溶性の良いポリテルペン樹脂をワックスと併用する方法が開示されている。この方法では、上記した防湿面からのワックス成分の移行の問題や、接着性の問題はある程度改良されるものの、塗工層が脆弱になり包装紙として使用する際の折り曲げなどの処理により防湿性能が低下する問題がある。
【0005】
また、防湿面の耐折り曲げ性や、耐ブロッキング性を改良する方法として、合成ゴムラテックスとアクリル系エマルションおよびワックスエマルションの三成分からなる組成物が特開平8−176992号公報に開示され、また低い塗布量で防湿性を発揮させる方法として、特開平6−184988号公報においてアクリル系エマルションなどの合成樹脂バインダーと、水性ワニス(水溶性樹脂)および水性ワックスエマルションからなる組成物が開示されている。しかし、これらの方法も上記したワックスの移行の問題を十分に解決することはできない。
【0006】
更に、ワックスの移行問題を解決するために、ワックスを使用しない方法が開示されている。特開平9−67795号公報では、常温で液状の炭化水素系オリゴマ−または軟化点180℃以下の有機樹脂の少なくとも一つを含有する合成樹脂ラテックスおよび平板状顔料からなる防湿性組成物が開示されている。しかし、20g/m2塗布量で透湿度が50〜30g/m2・24hと実用的な透湿度は得られているものの更に低い透湿度の要求が強い。また特開平9−268494号公報では、平板状顔料と合成樹脂からなる防湿性組成物層を形成した防湿紙に、水溶性樹脂の架橋体からなる被覆層を設ける方法が開示されている。しかし、耐湿ブロッキング性が不十分であり、また塗工工程が煩雑であるため経済性も不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、従来のポリオレフィンをラミネートする方法よりも優れた防湿性能を有し、特に、上記したワックスエマルションを含む水性被覆組成物において問題となる防湿面からのワックスの移行や防湿面の接着性を解決し、更に包装時の折り曲げによる防湿性の低下を防止すること、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、古紙の再利用時の離解性にも優れ、経済性にも有利なワックスを使用しない防湿被覆用水性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、防湿性の付与に効果のあるワックス類をまったく使用せず、防湿効果を高める方法について種々検討した結果、透湿性が低く、且つ可撓性のある金属架橋型のスチレン・アクリル系共重合体にエチレン/アクリル酸共重合体と炭化水素系低分子量樹脂を組み合わせることにより、透湿度が40〜25g/m2・24hというポリエチレンラミネ−トと同等かそれ以上の優れた高い防湿性が得られることを見い出し、次いで、耐折り曲げ性、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性および再パルプ化時の離解性を満足する組成物について種々検討し本発明に到達した。本発明において、エチレン/アクリル酸共重合体と炭化水素系低分子量樹脂を組み合わせることで両者が相溶し、非相溶の合成樹脂皮膜の上層に耐ブロッキング性のある高防湿層を形成するものと推察される。
【0009】
すなわち、本発明は(a)カルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液を固形分で65〜15重量%、(b)スチレン・ブタジエン系合成ゴムラテックスを固形分で5〜25重量%、および(c)平均分子量が10,000〜30,000、酸価100〜200であるエチレン/アクリル酸共重合体と(d)平均分子量が500〜5,000であり常温で液状である炭化水素系低分子量樹脂で、(c)+(d)の合計が20〜60重量%[ただし(a)、(b)、(c)、(d)の合計を100重量%とする]からなる防湿被覆用水性樹脂組成物である。そして上記(a)はカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体が、カルボキシル基含有ビニル系単量体1〜20重量%[単量体混合物の合計を100重量%とする]を含むスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とする共重合体であり、該共重合体のガラス転移温度が−20〜60℃の水性樹脂組成物であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用するカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液(a)は、カルボキシル基含有ビニル単量体を含むスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とする共重合体であり、該共重合体のガラス転移温度(以下Tgと称する)が−20〜60℃、好ましくは−5〜50℃を有する共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液である。該水性分散液は、Tgの低い共重合体に金属架橋を施すことにより成膜性に優れ、低透湿性、耐水性および耐熱ブロッキング性の皮膜を与えることから、本発明組成物の主成分として使用する。該共重合体のTgが−20℃より低いと、塗工面の耐湿ブロッキング性や耐熱ブロッキング性が劣り、60℃を超えると、皮膜の伸びが低下し防湿紙の折り曲げ時の防湿性が低下する。ここで共重合体のTgは、日本エマルジョン工業会規格の「合成樹脂エマルジョンの皮膜硬さ表示方法(107ー1996)」に記載の各ホモポリマーのTg値を使用して計算式から求める。
【0011】
本発明のカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体は、カルボキシル基含有ビニル系単量体1〜20重量%、スチレン単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体79〜20重量%、およびその他のビニル系単量体0〜30重量%を共重合して得られる。
【0012】
上記のカルボキシル基含有ビニル系単量体の使用量は、1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。1重量%より少ないと、共重合体の重合時の安定性が低下し、また皮膜の耐熱ブロッキング性も低下する。20重量%を超えると、共重合体の中和時の粘度が上昇したり、経時での粘度安定性が低下する。上記のカルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、および無水マレイン酸、無水イタコン酸と炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖を有するアルコールとのハーフエステルなどが挙げられる。
【0013】
上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、各種の単量体が使用でき、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。特に、炭素数4〜12個の直鎖または分岐鎖を有するエステル類から選ばれた1種または2種以上の単量体が好ましい。
【0014】
上記のその他のビニル系単量体としては、α−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。更に、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの2から3個の二重結合を有するビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、Nーエチル(メタ)アクリルアミド、N,Nージメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドなどの酸アミド基またはN−置換アミド基を含有するビニル単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)モノアクリレート、平均付加モル数4から100モルのポリオキシアルキレン鎖を有するポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類またはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート類などのヒドロキシル基を含有するビニル単量体などの親水性基含有単量体が挙げられる。;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体を使用することもできる。
【0015】
本発明のカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体は、単量体にラジカル重合開始剤を用い通常の乳化重合の方法で得ることができる。また必要に応じて重合調整剤、粒子径調整剤などを使用することもできる。ラジカル重合開始剤としては、熱または還元性物質などによってラジカルを生成してビニル重合性単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがある。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、2.2−アゾビスイソブチロニトリル、2.2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2.2−アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)などがあり、より好ましくは水溶性のものである。その使用量は、単量体に対して通常0.05〜2重量部である。なお、重合速度の促進、さらに低温での重合を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレ−トなどの還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることもできる。
【0016】
本発明のカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体に多価金属錯塩を配合することにより、緻密で、耐水性、耐熱性に富む皮膜が形成され、耐熱ブロッキング性が向上する。 本発明に用いる多価金属錯塩はその水溶液または水分散液として、配合安定性が良く、塗工、乾燥後に該共重合体中のカルボキシル基と金属架橋しうる二価以上の金属化合物から選ばれる。例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、チタンなどの無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらの金属塩は、アンモニアを含有する金属塩のアンモニウム錯体として使用することが好ましい。これらの多価金属の錯塩は、共重合体中のカルボキシル基のアンモニウム塩が乾燥してアンモニアが揮散した後にカルボキシル基と結合する。更に、配合液の安定性、金属架橋した皮膜の耐水性、強靱性などの点から亜鉛、ジルコニウムから選ばれた炭酸塩のアンモニウム錯塩がより効果的で、炭酸ジルコニルアンモニウム、炭酸亜鉛アンモニウム、酢酸亜鉛のアンモニウム錯塩などから選択することが特に好ましい。
【0017】
上記の多価金属錯塩の使用量は、上記の共重合体のカルボキシル基量に対して0.01〜1当量の範囲が好ましい。0.01当量より少ないと耐熱ブロッキング性向上の効果が低く、また、1当量を超えると、防湿性、耐水性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物に占めるカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液(a)の使用量は、固形分の重量百分率で65〜15重量%である。15重量%より少ないと、古紙再生のための十分な離解性を得ることが難しく、また65重量%を超えると折り曲げ時の防湿性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明に使用するスチレン・ブタジエン系合成ゴムラテックス(b)は、スチレンおよびブタジエンを必須成分とする単量体混合物を乳化重合した共重合体の水性分散液であり、カルボキシル基などの官能基、その他のビニル系単量体を共重合したものも含まれる。この合成ゴムラテックスとしては、各社で市販されているスチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエンラテックスなどが使用できる。該合成ゴムラテックス(b)は、Tgが−15〜40℃、ゲル分率が60〜90%程度の高ゲル分率のものが好ましい。
【0020】
本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物に占める合成ゴムラテックスの使用量は、固形分の重量百分率で5〜25重量%である。合成ゴムラテックスの使用量が25重量%を超えると離解性、耐湿ブロッキング性および耐熱ブロッキング性を向上させることが困難である。また、5重量%より少ないと折り曲げによる防湿性の低下を防ぐことが難しい。
【0021】
本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物はエチレン/アクリル酸共重合体(c)と炭化水素系低分子量樹脂(d)を併用することが必要である。両成分を組合わせることで上記のカルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液及びスチレン・ブタジエン系合成ゴムラテックスの皮膜の透湿度、特に折り曲げ時の透湿度をさらに向上させるのに顕著な効果がある。本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物に占めるエチレン/アクリル酸共重合体(c)と炭化水素系低分子量樹脂(d)の使用量は(c)+(d)で20〜60重量%である。(c)+(d)が20重量%より少ない場合は防湿性を向上させる効果が十分でない。(c)+(d)が60重量%を超えると離解性が低下する。さらに(c)と(d)の好ましい割合は(c)/(d)=5/1〜1/5である。
【0022】
本発明に使用する平均分子量が10,000〜30,000、酸価が100〜200であるエチレン/アクリル酸共重合体(c)は、平均分子量が10,000より小さい場合は炭化水素系低分子量樹脂と併用して耐熱ブロッキング性が低下する。30,000を超えると炭化水素系低分子量樹脂と併用して透湿度向上の効果が十分でない。平均分子量は重量平均分子量で示す。酸価が100より小さい場合は水への分散性が悪くなる。酸価が200を超えると水への溶解性が増加するため水分散液の粘度が上昇して塗工液の粘度が高くなり均一に塗工することができなくなる。好ましいエチレン/アクリル酸共重合体は、アクリル酸の共重合比率が15〜20%からなりビカ−軟化点が40〜60℃の共重合体である。エチレン/アクリル酸共重合体は、水中に懸濁させてアルカリ共存下で加熱溶融させるなどの方法により水分散体として使用することができる。水に分散するために使用するアルカリとしては、アンモニア水、アルカリ金属の水酸化物の無機塩基、有機アミンなどの有機塩基がある。具体的には、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、モルホリンなどが使用でき、好ましくはアンモニア水である。
【0023】
本発明に使用する平均分子量が500〜5,000で常温で液状である炭化水素系低分子量樹脂(d)としては、液状ポリブタジエン、液状SBR,ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ブチルゴムなどが挙げられる。これらの中でも、ナフサ分解により生成するブタン−ブテン留分のうちイソブチレンを主体とし、一部n−ブテンとの共重合体であるポリブテンが好適である。平均分子量は数平均分子量で示す。平均分子量が500より小さい場合は、耐ブロッキング性が低下する。平均分子量が5、000を超える場合は、流動性が低下してエチレン/アクリル酸共重合体と併用したとき相溶性が低下して防湿性の効果が十分でない。
【0024】
炭化水素系低分子量樹脂の添加方法は、炭化水素系低分子量樹脂を溶剤に溶解して上記の水性分散液に混合しても、または公知の乳化方法によって得られる水分散液でも使用することができる。水分散液で使用する方が混和性が良く、しかも溶剤を含まないので環境衛生的にも好ましい。
【0025】
本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物に公知の無機系顔料を使用することができる。無機系顔料の使用により防湿性やブロッキング性をさらに向上させることができるし、経済性の面からも好ましい。無機系顔料としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられ、これらの群より選ばれた一種または二種以上を使用することができる。本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物と無機系顔料の配合割合は、防湿被覆用水性樹脂組成物100重量部に対して、無機系顔料が50〜200重量部である。
【0026】
更に、本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物には、必要に応じて成膜助剤、可塑剤、粘性調整剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、凍結防止剤などを本発明の効果を損なわない範囲で配合して使用することもできる。
【0027】
本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物は、防湿性(平版、折り曲げ時)、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、および水性接着剤による接着性などの実用性能、並びに再パルプ化時の離解性に優れており、防湿コ−ト紙、特にクラフト紙、段ボ−ル用ライナ−紙、コ−ト紙などの包装用紙の防湿加工剤として有用である。
【0028】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における部は重量部を示し、百分率(%)は重量%を示す。
【0029】
製造例A−1(カルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体に多価金属錯塩を配合した水性分散液の製造)
予め、ビ−カ−にスチレン62部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト26.5部、メタクリル酸11.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソ−ダ2部および脱イオン水54.9部をとり、攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水33.6部を仕込み、内温60℃まで昇温させ、予めビ−カ−に調整した乳化物7.8部と脱イオン水で10%に溶解した過硫酸アンモニウム2部を仕込み、温度を80℃まで昇温させ、30分その温度に保つ。予めビ−カ−に調整した乳化物の残量を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3部を滴下する。内温78〜81℃で乳化重合を行う。滴下終了後、同温度で3時間熟成した後室温に冷却し、下記の別に調整した炭酸亜鉛アンモニウム水溶液9.3部(重合体のカルボキシル基に対して0.125当量)を添加し、25%アンモニア水1.39部を添加する。固形分50%、pH8.3、粘度130cp、Tg37.5℃のカルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体の多価金属錯塩よりなる水性分散体A−1を得た。
【0030】
製造例A−2〜A−7(カルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体に多価金属錯塩を配合した水性分散液の製造)
製造例A−2〜A−7の水性分散体は、下記表1に示すように単量体の種類、量、炭酸亜鉛アンモニウム水溶液の添加量を変える以外は全く製造例A−1と同様にして得られたカルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体に多価金属錯塩を配合した水性分散体である。
【0031】
製造例A−8(カルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体水性分散液の製造)
製造例A−8の水性分散液は、下記表1に示すように炭酸亜鉛アンモニウム水溶液を添加しない以外はまったく製造例A−1と同様にして得られたカルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体水性分散液である。
【0032】
【表1】
Figure 0003835935
【0033】
表中、単量体の種類を下記の略号で示し、また共重合体の計算Tgは括弧内に示すそれぞれの単一重合体のTgを用いた。
St:スチレン (Tg:100℃)
MMA:メチルメタクリレ−ト (Tg:105℃)
BA:ブチルアクリレ−ト (Tg:−52℃)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレ−ト (Tg:−70℃)
AAc:アクリル酸 (Tg:106℃)
mAAc:メタクリル酸 (Tg:185℃)
【0034】
製造例B−1(エチレン/アクリル酸共重合体水性分散液の調整)
攪拌機、環流冷却器、温度計を備えた溶解装置に脱イオン水222部、エチレン/アクリル酸共重合体(ダウ・ケミカル株式会社製 プリマコ−ル5980、アクリル酸20%、ビカ−軟化点50℃)100部およびアンモニア水(25%)11.5部を仕込み、内温を85〜90℃に上昇させ4時間分散させる。分散後室温まで冷却し、固形分30.0%、pH9.0、粘度5,500cpの水性分散液を得た。
【0035】
炭酸亜鉛アンモニウム水溶液の調整
攪拌機を付した反応容器に、脱イオン水65部、酸化亜鉛1種35部、重炭酸アンモニウム35部を仕込み、25%アンモニア水を83.5部添加して反応させた。得られた炭酸亜鉛アンモニウムのアンモニウム水溶液は、酸化亜鉛換算として16%の濃度であった。
【0036】
実施例−1
製造例A−1にて得られた水性分散体A−1を86部(固形分比率43%)に、スチレン・ブタジエン系合成ゴムラテックス(旭化成工業株式会社製 SBRゴムラテックスDL−612:ブタジエン含有量40〜55%、固形分48%、pH10.5、成膜温度2℃)を29.2部(14%)、製造例B−1で得たエチレン/アクリル酸共重合体水性分散液を96.7部(29%)、炭化水素系低分子量樹脂(日本石油化学株式会社製 HE−1975 固形分75%)を18.7部(14%)攪拌混合し固形分濃度、pH,粘度を調整後、固形分47%、pH8.5,粘度700cpなる本発明の防湿被覆用水性樹脂組成物を得た(カッコ内は配合割合を固形分比率にて示す)。この防湿被覆用水性樹脂組成物を両晒クラフト紙(70g/m2)に20g/m2・dryになるように塗布し、直ちに130℃で1分間乾燥させ防湿コ−ト紙を得た。上記のようにして得られた防湿コ−ト紙は表2に示すように透湿度、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、接着性いずれも極めて良好であった。また離解性は標準パルプ離解機を用いて評価したところ、完全に単繊維の状態になり良好であった。よって古紙の再利用化に実用的であることを実証するものである。
【0037】
実施例−2および3
実施例−1の(a)水性分散体A−1は同じで、(b)SBRゴムラテックス、(c)エチレン/アクリル酸共重合体、(d)炭化水素系低分子量樹脂の配合割合を変え、共に無機系顔料を使用した実施例である。実施例−2は無機系顔料としてタルク(富士タルク工業株式会社製 SP−38 平均粒子径20〜22μm)を使用し、実施例−3は無機系顔料として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製 重質炭酸カルシウムR 平均粒子径13μm)を使用して、実施例−1とまったく同様にして防湿紙を作製した。得られた防湿紙は表2に示すように透湿度、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、離解性、接着性において良好なものであった。
【0038】
実施例−4および5
実施例−2の(a)水性分散体A−1をA−2、A−3に変更する以外は(b)SBRゴムラテックス、(c)エチレン/アクリル酸共重合体、(d)炭化水素系低分子量樹脂の配合割合は実施例−2と全く同じの実施例である。実施例−4は無機系顔料としてタルクを使用し、実施例−5は無機系顔料として炭酸カルシウムを使用して、実施例−1とまったく同様に防湿紙を作製した。得られた防湿紙は表2に示すように透湿度、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、離解性、接着性において良好なものであった。
【0039】
実施例−6〜9
実施例−6は(a)水性分散体A−4を使用し無機系顔料としてタルクを配合した例、実施例−7は(a)水性分散体A−5を使用し無機系顔料としてタルクを配合した例、実施例−8は(a)水性分散体A−6を使用し無機系顔料として炭酸カルシウムを配合した例、実施例−9は(a)水性分散体A−7を使用し無機系顔料としてタルクを配合した例である。(b)SBRゴムラッテクス、(c)エチレン/アクリル酸共重合体、(d)炭化水素系低分子量樹脂の配合割合は表2のように変えた実施例である。実施例−1と全く同様にして防湿紙を作製した。得られた防湿紙は表2に示すように透湿度、耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、離解性、接着性において良好なものであった。
【0040】
比較例−1
比較例−1は、(a)カルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体A−8、(b)SBRゴムラテックス、(c)エチレン/アクリル酸共重合体、(d)炭化水素系低分子量樹脂を使用し配合割合は実施例−1と同じである。実施例−1と同様の条件にて塗工乾燥して防湿紙を作製した。得られた防湿紙の透湿度が少し悪く、離解性および接着性は表3に示すように良好であった。しかしながら耐湿ブロッキング性と耐熱ブロッキング性が劣っていた。
【0041】
比較例−2
比較例−2は、(a)水性分散体A−1、(b)SBRゴムラテックス、(c)エチレン/アクリル酸共重合体の3成分で実施例−1と同様の条件にて塗工乾燥して防湿紙を作製した。得られた防湿紙の耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、離解性および接着性は表3に示すように良好であった。しかしながら透湿度が劣っていた。
【0042】
比較例−3
比較例−3は、(a)水性分散体A−1、(b)SBRゴムラテックス、(d)炭化水素系低分子量樹脂の3成分で実施例−1と同様の条件にて塗工乾燥して防湿紙を作製した。得られた防湿紙の離解性、接着性は表3に示すように良好であった。しかしながら透湿度の折り目試験、耐湿ブロッキング性および耐熱ブロッキング性が劣っていた。
【0043】
比較例−4
比較例−4は、(a)水性分散体A−1、(b)SBRゴムラテックスの2成分で実施例−1と同様の条件にて塗工乾燥して防湿紙を作製した。得られた防湿紙の耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、離解性および接着性は表3に示すように良好であった。しかしながら透湿度が非常に劣っていた。
【0044】
比較例−5
比較例−5は、(a)水性分散体A−1、(b)SBRゴムラテックス、(c)エチレン/アクリル酸共重合体、(d)炭化水素系低分子量樹脂およびタルクをを使用し、配合は表3に示す割合で配合した比較例で、実施例−1と同様の条件にて塗工乾燥して防湿紙を作製した。得られた防湿紙の透湿度が少し悪く、接着性は表3に示すように良好であった。しかしながら耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性および離解性が劣っていた。
【0045】
対象例
18μのポリエチレンをラミネ−トした市販のポリエチレンラミネ−ト紙において同様に各試験を行った。透湿度は、35g/m2・24hであり、耐湿ブロッキング性および耐熱ブロッキング性は良好だが、離解性はポリエチレンおよび繊維の塊りが認められ離解性不足であることが認められた。また接着性も劣っていた。
【0046】
【表2】
Figure 0003835935
【0047】
【表3】
Figure 0003835935
【0048】
表中、(a)水性分散体は、カルボキシル基含有スチレン・アクリル共重合体に多価金属錯塩を配合した水性分散体の略号として示した。
【0049】
[試験方法]
各試験に使用する防湿紙の試料は両晒クラフト紙(70g/m2)にバ−コ−タ−にて20g/m2・dryになるよう塗布し、130℃で1分間乾燥して得た。
【0050】
透湿度は、JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じて、温湿度40℃、90%RHにて測定した。折り目試験は、プレスロ−ルを通して十文字に折り目をつけ、そのクロス部分の透湿度を測定した。
【0051】
耐湿ブロッキング性試験は、クラフト紙の防湿コ−ト面と非コート面およびコート面とコート面とをそれぞれ重ね合わせて、50℃、90%RHの雰囲気中、荷重500g/cm2・24時間放置後の重ね合わせ面のブロッキング程度を判定した。
◎:抵抗なく剥がれる
○:剥がす時、少し抵抗がある
△:剥がす時、抵抗はあるがコ−ト面の破壊はない
×:ブロッキングし、コ−ト面の破壊が生じる
【0052】
耐熱ブロッキング性試験は、クラフト紙の防湿コ−ト面と非コ−ト面を試料幅50mmで重ね合わせ、50℃のヒ−トシ−ラ−で5秒間圧着(3Kg/cm2圧)し、ブロッキング程度を判定した。
◎:抵抗なく剥がれる
○:剥がす時、少し抵抗がある
△:剥がす時、抵抗はあるがコ−ト面の破壊はない
×:ブロッキングし、コ−ト面の破壊が生じる。
【0053】
離解性試験は、水1500ml中にコート紙60gを細かく刻んで浸漬し、標準パルプ離解機を用いて回転数3000rpmにて、15分間攪拌分散させ、得られたスラリー液を水で20倍に希釈し、分散状態を観察した。
◎:未離解繊維のフロックなし
○:未離解繊維のフロック若干あり
△:未離解繊維のフロック少しあり
×:未離解繊維のフロック多い
【0054】
接着性試験は水性接着剤を用いて試験をした。水性接着剤は酢酸ビニル系エマルションであるサイビノ−ルDB−153(サイデン化学株式会社製、固形分52%、粘度12,000cp,pH4.5)を使用して、コ−ト面に接着剤を30μ(wet)になるように塗布し、直ちに非コ−ト面を貼り合わせ1,000g静荷重を1分間かけた後、20℃、65%RHの雰囲気中に24時間放置しその温度内で剥がし接着状態を観る。
◎:紙破
○:80〜60%が紙破
△:40〜20%が紙破
×:接着不良
【0055】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンラミネート紙に代わる包装紙用防湿コート剤として、防湿性に優れ、従来のワックスエマルションを含む水性被覆組成物において問題となるワックスの転移や、包装時の折り曲げによる防湿性の低下を防止し、更に耐湿ブロッキング性、耐熱ブロッキング性、古紙の再利用時の離解性、防湿面の水性接着剤による接着性に優れるワックスを含まない防湿被覆用樹脂組成物である。従って、紙製品等の包装用紙として被包装物を湿度から保護し、使用した包装用紙は一般紙と同様に古紙回収紙として取り扱うことができる。

Claims (1)

  1. (a)カルボキシル基含有ビニル系単量体1〜20重量% [ 単量体混合物の合計を100重量%とする ] を有するスチレン・アクリル系のガラス転移温度がー20〜60℃である共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液を固形分で65〜15重量%、(b)スチレン・ブタジエン系合成ゴムラテックスを固形分で5〜25重量%、および(c)平均分子量が10,000〜30,000、酸価100〜200であるエチレン/アクリル酸共重合体と(d)平均分子量が500〜5,000であり常温で液体である炭化水素系低分子量樹脂で、(c)+(d)の合計が20〜60重量%[ただし、(c)と(d)の割合は(c)/(d)=5/1〜1/5であり、(a)、(b)、(c)、(c)の合計を100重量%とする]からなる防湿被覆用水性樹脂組成物。
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