JP3884394B2 - 記録媒体、記録再生装置、記録媒体の製造装置、及び記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体、記録再生装置、記録媒体の製造装置、及び記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のマルチメディアの発展に伴い、各ユーザが扱う画像、映像、音声などの情報は益々増大している。そのため、データベースシステムには、大容量化及び高速化が要求されている。
【0003】
このような背景のもと、HDD(Hard Disk Drive)の記録容量を増大すべく、磁気記録媒体の面記録密度の向上が進められており、現在、1ビットに対応した各記録マークのサイズは数10nm程度と極めて微細なものになってきている。上記のように微細な記録マークから大きな再生出力を得るには、それぞれの記録マークで、可能な限り大きな飽和磁化と膜厚とを確保することが必要となる。しかしながら、記録マークのサイズを微細化すると、その磁化量が小さくなるため、「熱揺らぎ」により磁化反転が生じる,すなわち磁化情報が消失する,という問題を生じる。
【0004】
この熱揺らぎに起因した問題を解決する媒体として、「パターンドメディア」と呼ばれる磁気記録媒体が注目されている(例えば、以下の特許文献1を参照のこと)。パターンドメディアは、互いに磁気的に分離した強磁性体ドット,典型的には非磁性体層によって互いに磁気的に分離した強磁性体ドット,の1つまたは複数に1ビットの情報を記録可能とした磁気記録媒体である。
【0005】
強磁性層を連続膜の形態で形成した場合、記録マークのエッジの位置は強磁性層を構成している結晶粒(或いはドメイン)の粒界の位置と等しくなる。そのため、高いS/N(Signal to Noise)比を確保するには、結晶粒を極力小さくしなければならず、したがって、磁化最小単位体積Vを小さくせざるを得ない。
【0006】
これに対し、パターンドメディアでは、記録マークのエッジの位置は強磁性体ドットの輪郭に規定されるので、高いS/N比を実現するうえで磁化最小単位体積Vを小さくする必要がない。そのため、熱揺らぎの問題を回避することができる。
【0007】
また、パターンドメディアでは、強磁性体ドット間の干渉が生じ難い。そのため、或る記録マークに記録された情報が隣接した記録マークからの干渉により消失することや、或る記録マークに記録された情報を読み出す際に隣接した記録マークが雑音として作用することを抑制することができる。さらに、パターンドメディアでは、磁壁移動抵抗が大きく、優れた磁気特性を期待できる。
【0008】
ところで、記録媒体の記録密度を高めた場合、より高精度なサーボ制御が必要である。しかしながら、本発明者らは、本発明を為すに際し、HDDなどで一般的に採用している方法では、記録密度を高めたパターンドメディアに対して十分に高い精度でサーボ制御を行うことができないことを見出している。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−176049号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、記録密度を高めたパターンドメディアに対してサーボ制御を十分に高い精度で実施可能とすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面によると、互いに磁気的に分離した強磁性体ドットまたは強磁性体ドット群を第1方向に配列してなる記録トラックが前記第1方向と交差する第2方向に配列した記録領域と、前記記録領域に対して前記第1方向に隣接するとともにサーボ情報を保持した制御領域とを具備し、前記制御領域では、互いに磁気的に分離した強磁性体ドットを配列してなる第1部分と前記強磁性体ドットが存在していない第2部分とが前記第2方向に交互に配列し、前記第1部分において、前記第1及び第2部分間の境界に接した前記強磁性体ドットの少なくとも1つは、前記境界から離れて位置した前記強磁性体ドットの形状から前記境界側の一部を欠落させた形状を有していることを特徴とする記録媒体が提供される。
【0012】
本発明の第2の側面によると、第1の側面に係る記録媒体と、前記記録媒体に対向可能な記録再生ヘッドと、前記記録再生ヘッドを前記記録媒体に対して相対移動させる駆動機構とを具備したことを特徴とする記録再生装置が提供される。
【0013】
本発明の第3の側面によると、ドット状凹部またはドット状凹部群を第1方向に配列してなる記録トラック用転写部が前記第1方向と交差する第2方向に配列した記録領域用転写面と、前記記録領域用転写面に対して前記第1方向に隣接した制御領域用転写面とを具備し、前記制御領域用転写面では、ドット状凹部を配列してなる第1転写部分と前記ドット状凹部が存在していない第2転写部分とが前記第2方向に交互に配列し、前記第1転写部分において、前記第1及び第2転写部分間の境界に接した前記ドット状凹部の少なくとも1つは、前記境界から離れて位置した前記ドット状凹部の形状から前記境界側の一部を欠落させた形状を有していることを特徴とする記録媒体の製造装置が提供される。
【0014】
本発明の第4の側面によると、第3の側面に係る製造装置を型として用いて、表面に前記ドット状凹部に対応したドット状凸部を有する下地を形成する工程と、前記下地の前記ドット状凸部を設けた面に強磁性材料を含む層を形成する工程とを含んだことを特徴とする記録媒体の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第5の側面によると、下地上に強磁性材料を含む層を形成する工程と、前記強磁性材料を含む層上にレジスト層を形成する工程と、第3の側面に係る製造装置をスタンパとして用いたインプリンティング法により前記レジスト層の表面に前記ドット状凹部に対応したドット状凸部を形成する工程と、前記ドット状凸部を形成した前記レジスト層をマスクとして用いて前記強磁性層をエッチングする工程とを含んだことを特徴とする記録媒体の製造方法が提供される。
【0016】
記録領域及び制御領域は、ドット状凸部を備えた下地と、その下地上に設けられるとともに連続膜の形態を有し強磁性材料を含む層とを含んでいてもよい。この場合、記録領域及び制御領域の強磁性体ドットは強磁性材料を含む層のドット状凸部の上面に位置した部分であってもよい。また、この場合、強磁性材料を含む層は、第2部分において、第1部分及び記録領域内で配列した強磁性体ドットよりも深部に位置していてもよい。
【0017】
或いは、記録領域及び制御領域の強磁性体ドットは、平坦な下地上に設けられるとともに、非磁性層を介して互いに離間していてもよい。
また、第1及び第2部分は、市松模様状に配列していてもよい。
【0018】
なお、ここで、用語「第1方向」は、直線的な方向や円周方向などを包含することとする。また、用語「第2方向」は、「第1方向」が円周方向である場合には典型的には半径方向を意味し、「第1方向」が直線的な方向である場合には典型的には「第1方向」と直交する方向を意味する。さらに、以下の説明では、「強磁性材料を含む層」を「強磁性層」と略す。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同様または類似する機能を有する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る記録媒体の一部を概略的に示す平面図である。図1に示す記録媒体1はパターンドメディアであり、基板(図示せず)の一主面上に記録領域2と制御領域3とを設けた構造を有している。なお、図中、両矢印41はトラック方向である第1方向を示しており、両矢印42は第1方向41と交差する第2方向(ここでは第1方向41に垂直な方向)を示している。
【0021】
記録領域2は、第2方向42に配列した複数の記録トラック21を含んでいる。これら記録トラック21の幅は互いに等しく、各記録トラック21は複数の強磁性体ドット(記録セル)2101を含んでいる。なお、図中、破線51は記録トラック21間の境界を示している。
【0022】
強磁性体ドット2101は、互いに離間するとともに、互いに磁気的に分離している。これら強磁性体ドット2101は、各記録トラック21内で第1方向41に沿って規則的に配列している。例えば、強磁性体ドット2101は、それらの中心同士を直線で結んだ場合に正三角形を形成するように配列している。また、それぞれの記録トラック21において、1つまたは複数の強磁性体ドット2101が1つの二値情報,すなわち情報“0”または“1”,に対応している。なお、図1では、複数の強磁性体ドット2101が1つの二値情報に対応している場合を描いている。
【0023】
制御領域3は、データ領域2に対し、第1方向41に隣接している。制御領域3は、例えば、AGC(Automatic Gain Control)部、アドレス部、バースト部、及びパッド部を含んでいる。なお、図1には、制御領域3のうち、バースト部31及びパッド部32のみを描いている。また、図1に示す例では、情報の書き込み時及び読み出し時において、記録媒体1は記録再生ヘッド(図示せず)に対して左方向に相対移動させる。したがって、AGC部(図示せず)、アドレス部(図示せず)、パッド部(図示せず)、バースト部31、及びパッド部32は、図中、左側から右側へ向けて順次配列している。
【0024】
AGC部は、アドレス部やバースト部31や記録トラック21などからの信号を適正な大きさに増幅するための基準として利用可能な信号,例えばHighレベルの信号,を出力する。AGC部は、第2方向42に連続しており、記録再生ヘッドを両矢印42で示す何れの方向に移動させた場合においても一定強度の信号を出力するように構成されている。AGC部は必ずしも設ける必要はないが、AGC部を設けると、アドレス部やバースト部31や記録トラック21などからの信号を増幅するに際し、AGC部からの信号強度に応じて、記録再生装置の利得を変化させることができる。したがって、情報の書き込み及び読み出しをより高い精度で実施可能となる。
【0025】
アドレス部は、各記録トラック21に対応したアドレス情報を保持している。アドレス部の各記録トラック21に対応したそれぞれの部分は、例えば、Highレベルの信号を出力する部分とLowレベルの信号を出力する部分とを第1方向41に沿って配列した構造を有しており、それらの配列パターンはアドレス情報に対応して定められている。
【0026】
アドレス部とバースト部31との間にパッド部は必ずしも設ける必要はないが、パッド部を設けた場合、アドレス部からの信号とバースト部31からの信号とを分離するうえで有利である。同様に、バースト部31と記録領域2との間にパッド部32は必ずしも設ける必要はないが、パッド部32を設けた場合、バースト部31からの信号と記録トラック21からの信号とを分離するうえで有利である。
【0027】
バースト部31は、記録再生ヘッドと選択した記録トラック21との第2方向42に関する相対位置の情報を与える。バースト部31は、互いに異なるレベルの信号を出力する第1部分301及び第2部分302,例えば、Highレベルの信号を出力する第1部分301及びLowレベルの信号を出力する第2部分302,の配列によって構成されている。
【0028】
第1部分301では、複数の強磁性体ドット3101がほぼ規則的に配列している。例えば、強磁性体ドット3101は、それらの中心同士を直線で結んだ場合に正三角形を形成するように配列している。また、これら強磁性体ドット3101は、互いに離間するとともに、互いに磁気的に分離している。各第1部分301内で強磁性体ドット3101の記録状態(磁化の向き)は互いに等しく、また、第1部分301間でも強磁性体ドット3101の記録状態(磁化の向き)は互いに等しい。したがって、各第1部分301は互いに等しいレベルの信号を出力する。
【0029】
さて、本実施形態では、バースト部31の第1部分301を強磁性体ドット3101で構成するとともに、第2部分302には強磁性体ドット3101を存在させていない。加えて、本実施形態に係る記録媒体1では、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第2方向42に隣り合う第1部分301と第2部分302との境界に接したものの少なくとも一部は、その境界から離れて位置したものから先の境界側の一部を欠落させた形状を有している。このような構造を採用すると、記録密度を高めた場合でも、サーボ制御を十分に高い精度で実施することができる。
【0030】
図2(a),(b)は、図1に示す記録媒体1のバースト部31を拡大して示す平面図である。また、図3乃至図5は参考例に係る記録媒体のバースト部を拡大して示す平面図である。
【0031】
図3に示すように、バースト部31に強磁性体相と非磁性体相とのグラニュラ構造を有する強磁性層を連続膜の形態で形成し、そこにバーストパターンを磁気情報として書き込んだ場合、第1部分301と第2部分302との境界の位置は、強磁性体の結晶粒3102の粒界の位置に制限される。なお、図3において、バーストパターンを構成している結晶粒3102は、斜線を付すことにより、他の結晶粒3102と区別している。
【0032】
第1及び第2部分301,302が結晶粒3102の大きさに比べて十分に大きければ、或いは、第1及び第2部分301,302に含まれる結晶粒3102の数が十分に多ければ(例えば1000個程度)、第1部分301と第2部分302との境界を破線52とほぼ一致させることができる。
【0033】
しかしながら、第1及び第2部分301,302を小さくすると、図3に示すように、第1部分301と第2部分302との境界の位置は破線52から大きくずれる。そのため、サーボ制御を十分に高い精度で実施することができない。
【0034】
また、第1及び第2部分301,302を小さくするのに応じて結晶粒3102も小さくした場合、磁化最小単位体積Vが小さくなる。そのため、この場合、記録した情報が熱揺らぎに起因して消失するという問題を生じ易くなる。
【0035】
このように、図3に示す構造では、サーボ制御の精度は結晶粒3102のサイズ(30nm程度)によって制限される。すなわち、図3に示す構造では、これ以下の位置決め精度は望めない。
【0036】
記録密度を200kTPI(Track Per Inch)とした場合に要求される位置決め精度(誤差)は6nm以下であるとされており、記録密度を400kTPIとした場合に要求される位置決め精度は3nm以下であるとされている。そのため、図3に示す構造では、記録密度を200kTPIとした場合にさえ、位置決め精度が不十分となる。
【0037】
図4に示すように、バースト部31に強磁性体相と非磁性体相とのグラニュラ構造を有する強磁性層を連続膜の形態で形成し、この強磁性層からその第2部分302に対応した部分を除去した場合、5nm程度の位置決め精度を実現することができる。すなわち、この構造を採用すると、記録密度を200kTPIとした場合に必要な位置決め精度を実現することができる。
【0038】
しかしながら、この構造を採用した場合であっても、第1部分301と第2部分302との境界位置は、図3の構造ほどではないにしろ、結晶粒の粒界位置の影響を受ける。また、この構造は強磁性層からその一部を除去することにより得られるので、強磁性層の下地がダメージを受け、これが第1部分301の形状に影響を与える。特に、連続膜からその一部を除去する方法では、除去すべき面積が非常に広く、また、第1部分301と第2部分302との全ての境界で、強磁性層の形状が影響を受けることとなる。そのため、この構造では、記録密度を400kTPIとした場合に必要な位置決め精度を実現することは難しい。さらに、この構造でも、位置決め精度を高めるべく結晶粒3102を小さくすると、記録した情報が熱揺らぎに起因して消失するという問題を生じ易くなる。
【0039】
図5に示すように、バースト部31の全体を強磁性体ドット3101で構成するとともに、そこにバーストパターンを書き込んだ場合、第1部分301と第2部分302との境界の位置は、強磁性体ドット3101の位置に制限される。なお、図5において、バーストパターンを構成している強磁性体ドット3101は、斜線を付すことにより、他の強磁性体ドット3101と区別している。
【0040】
この構造では、強磁性体ドット3101は破線52上に位置していないことが理想であるが、現実には、一部の強磁性体ドット3101は位置する。そのため、第1部分301と第2部分302との境界の位置は、破線52からずれる。すなわち、この構造では、位置決め精度は強磁性体ドット3101の径(例えば10nm程度)に制限され、それより高い位置決め制度を実現することができない。したがって、図5に示す構造では、記録密度を200kTPIとした場合にさえ、位置決め精度が不十分となる。
【0041】
これに対し、本実施形態では、図2(a),(b)に示すように、バースト部31の第1部分301を強磁性体ドット3101で構成するとともに、第2部分302には強磁性体ドット3101を存在させていない。加えて、本実施形態では、図2(a),(b)に示すように、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第1部分301と第2部分302との境界に接したものは、第1部分301が設計通りの輪郭を有するバーストパターンを構成するように、先の境界側の一部を欠落させた形状を有している。しかも、第1部分301と第2部分302との境界に接した強磁性体ドット3101の形状は、後で詳述するように電子線(EB)描画などを利用した方法により高精度に制御することができる。さらに、本実施形態では、図2(a),(b)に示すように、第1及び第2方向41,42に対する強磁性体ドット3101の配列方向が多少ばらついたとしても、そのばらつきが第1部分301と第2部分302との境界の位置及び形状などに影響を与えることはない。
【0042】
そのため、本実施形態によると、記録密度を高めたとしても、サーボ制御を十分に高い精度で実施することができる。例えば、第1部分301と第2部分302との境界に接した強磁性体ドット3101の寸法を1nm程度の精度で制御できた場合には、記録密度を400kTPIとしたとしても、十分な位置決め精度を実現することができる。
【0043】
また、本実施形態では、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち第1部分301と第2部分302との境界に接したもののみについて境界側の一部を欠落させた形状とする。そのため、他の強磁性体ドット3101は十分に大きな寸法とすることができる。また、本実施形態では、強磁性体ドット3101の厚さに制限はなく、先の境界側の一部を欠落させた強磁性体ドット3101であっても十分に大きな磁化最小単位体積Vを維持することができる。したがって、本実施形態によると、熱揺らぎの問題を回避することができる。
【0044】
また、図3に示すように、バースト部31の全体に強磁性層を形成し、それにバーストパターンを磁気情報として記録した場合、記録再生ヘッドの誤動作によってバーストパターンが消失する可能性がある。これに対し、本実施形態では、上記の通り、バースト部31の第1部分301を強磁性体ドット3101で構成するとともに、第2部分302には強磁性体ドット3101を存在させない。このような構造によると、図3の構造に比べて例えば2倍程度以上の保磁力が得られ、図4及び図5の構造と比較しても遥かに高い保磁力が得られる。そのため、より高い信頼性を実現することができる。
【0045】
本実施形態では、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち第2方向42に隣接した第1部分301と第2部分302との境界に接したもののみについて境界側の一部を欠落させた形状としてもよい。或いは、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち第1方向41に隣接した第1部分301と第2部分302との境界に接したもの及び第2方向42に隣接した第1部分301と第2部分302との境界に接したものの双方について境界側の一部を欠落させた形状としてもよい。これは、位置決め精度にとって重要なのは第2方向42に隣接した第1部分301と第2部分302との境界位置であり、第1方向41に隣接した第1部分301と第2部分302との境界位置は位置決め精度に大きな影響を与えないためである。
【0046】
上述した記録媒体1は、例えば、以下の方法により製造することができる。ここでは、スタンパを利用した方法について説明する。
【0047】
図6(a)乃至(f)は、図1に示す記録媒体1の製造方法に利用可能なスタンパの製造方法の一例を概略的に示す断面図である。
この方法では、まず、図6(a)に示すように、シリコン基板や石英基板のような基板61を準備する。ここでは、基板61として石英基板を使用することとする。
【0048】
次に、石英基板61上にレジストを塗布し、このレジスト層を光硬化させる。次いで、そのレジスト層上に、PS−PMMA(Polystylene-polymethylmethacrylate)ジブロックコポリマーなどの自己組織化材料をスピンコート法などにより塗布し、これをアニールする。その後、酸素RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてPMMAのみを選択的に除去することにより、PMMAの自己組織化パターンに対応したナノホールを形成する。これらナノホールをSOG(Spin On Glass)で充填し、次いで、酸素RIEを行うことにより、最表面がSOGからなる高アスペクト比のマスクを得る。さらに、CF4などのフルオロカーボン系ガスを用いたRIE法により、先のマスクから露出した石英基板61の表面領域を除去する。その後、石英基板61からマスクなどを除去することにより、図6(b)に示す構造を得る。
【0049】
なお、図6(b)に示す石英基板61の表面では、複数のドット状凸部が規則的に配列している。これら凸部の寸法や配列構造などは、例えば、ジブロックポリマーの分子量を適宜設定することにより制御することができる。また、上記のように自己組織化を利用すると、EB描画を利用して凸部を形成する場合に比べ、製造プロセスを簡略化することができる。
【0050】
次に、石英基板61のドット状凸部を形成した面に、レジスト層をその表面が平坦になる程度の厚さに形成する。次いで、このレジスト層に対しEB描画法などを利用してバーストパターンなどを書き込み、その後、レジスト層に現像処理などを施す。以上のようにして、図6(c)に示すように、第2部分302などに対応した位置に開口を有するレジストパターン62を得る。
【0051】
このレジストパターン62の形成には、EB描画以外の方法を利用してもよい。例えば、紫外線を利用した通常のフォトリソグラフィや、X線リソグラフィ、近接場光リソグラフィ、ナノプリンティングリソグラフィ、干渉露光法、FIB(Focused Ion Beam)加工法等の様々なパターン描画法を用いることができる。これらの方法によると、石英基板61に設けたドット状凸部の一部がレジストパターン62に設けた開口の側壁の下方に存在しているか否かに拘らず、レジストパターン62の開口と極めて高い精度で一致した形状の凹部を石英基板61の表面に形成することができる。
【0052】
次いで、例えば、CF4などのフルオロカーボン系ガスを用いたRIE法により、石英基板61のレジストパターン62から露出した表面領域を除去する。その後、酸素アッシング或いは硫酸と過酸化水素水とを用いた処理などにより、石英基板61からレジストパターン62を除去する。これにより、図6(d)に示す構造を得る。
【0053】
次に、図6(e)に示すように、石英基板61を型として用いてNi電鋳を行うことにより、スタンパ101を形成する。その後、スタンパ101から石英基板61を除去することにより、図6(f)に示す構造を得る。以上のようにして、バーストパターンなどに対応した凹凸パターンが高い精度で形成されたスタンパ101が得られる。
【0054】
図7は、図6(a)乃至(f)の方法で製造可能なスタンパ101の一例を概略的に示す平面図である。
【0055】
図7に示すスタンパ101は、記録媒体1の記録領域2及び制御領域3に対応して、記録領域用転写面102及び制御領域用転写面103を備えている。
【0056】
記録領域用転写面102には、ドット状凹部12101が設けられている。これらドット状凹部12101は、記録媒体1の強磁性体ドット2101に対応した寸法及び形状を有しており、強磁性体ドット2101と同様の配列構造を形成している。すなわち、記録領域用転写面102では、ドット状凹部12101を第1方向141に配列してなる記録トラック用転写部121が、第1方向141と交差する第2方向142に配列している。なお、図中、破線151は、記録トラック用転写部121間の境界線を示している。
【0057】
他方、制御領域用転写面103は、記録媒体1のAGC部、アドレス部、パッド部、バースト部31、及びパッド部32に対応して、AGC部用転写部(図示せず)、アドレス部用転写部(図示せず)、パッド部用転写部(図示せず)、バースト部用転写部131、及びパッド部用転写部132を含んでいる。
【0058】
バースト部用転写部131は、第1転写部分1301及び第2転写部分1302の配列によって構成されている。第1転写部分1301では、記録媒体1の強磁性体ドット3101に対応して、ドット状凹部13101がほぼ規則的に配列している。
【0059】
第2転写部分1302は、第1転写部分1301のドット状凹部13101間の部分を基準とすると凸部である。すなわち、第1転写部分1301のドット状凹部13101間の部分の高さは、ドット状凹部13101の底面と第2転写部分1302の表面との間である。
【0060】
なお、パッド部用転写部132には様々な構造を採用することが可能であるが、ここでは、パッド部用転写部132の表面と第2転写部分1302の表面とを等しい高さとしている。
【0061】
図8(a)乃至(d)は、図1に示す記録媒体1の製造方法の一例を概略的に示す断面図である。
この方法では、まず、図示しない射出成形装置に図6(f)に示すスタンパ101を取り付け、これに樹脂を供給する。なお、樹脂の代わりにガラスを使用することも可能であるが、ここでは、一例として、樹脂を使用することとする。
【0062】
次に、図8(a)に示すように、スタンパ101上に一定量の樹脂を射出し、スタンパ101を冷却して樹脂が固化させる。これにより、基板11を得る。
【0063】
その後、図8(b)に示すように、基板11をスタンパ101から取り外す。なお、この基板11の一主面には、強磁性体ドット2101,3101に対応した位置にドット状凸部が設けられており、第2部分302などに対応した位置には、先のドット状凸部間の部分として規定される凹部よりもさらに深い凹部が設けられている。
【0064】
次に、図8(c)に示すように、基板11の凸部や凹部が設けられた面に、スパッタリング法などにより強磁性体を堆積させる。このようにして、強磁性層12を形成する。
【0065】
この強磁性層12のドット状凸部の上面に位置した部分同士は、物理的に分断されていてもよく、或いは、物理的には分断されていなくてもよい。以下に説明するように、後者の場合であっても、強磁性層12のドット状凸部の上面に位置した部分同士は、磁気的には分離される。
【0066】
先に説明したように、この磁性体層12の下地には、強磁性体ドット2101,3101及び第2部分302などに対応して凸部と凹部とが設けられている。また、この磁性体層12は、その下地の表面形状に対応して凸部と凹部とを有している。
【0067】
このような構造では、金属人工格子等で構成される強磁性層12のうち、ドット状凸部の上面に位置した部分は強磁性特性を発現する良好な積層構造を形成するものの、ドット状凸部間に位置した部分として規定される凹部の側壁及び底面に位置した部分は、良好な積層構造を形成せず、磁気特性が著しく劣化した状態になる。すなわち、強磁性層12のうち、強磁性特性を発現するのは、ドット状凸部の上面に位置した部分のみであり、それ以外の部分は非磁性となる。したがって、先の方法により得られる強磁性層12のドット状凸部の上面に位置した部分同士は、物理的には分断されていないとしても、磁気的には分離される。
【0068】
次に、必要に応じ、図8(d)に示すように、基板11の強磁性層12を形成した面に、非磁性体層13を形成する。これにより、基板11の一主面に設けた凹部を非磁性体層13で埋め込む。以上のようにして、記録媒体1を得る。
【0069】
非磁性体層13は、例えば、強磁性層12上にSiO2等をスパッタリング法などにより凹部が完全に埋め込まれる程度の厚さに堆積させ、その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いてその表面を平坦化することにより得られる。但し、CMP法は、一般に、厚さをnmオーダーで制御することが難しく、高コストである。したがって、非磁性体層13は、他の方法により形成することが望ましい。
【0070】
例えば、強磁性層12上にSOGを塗布し、それにより得られるSOG膜を必要に応じて焼成し、その後、SOG膜をエッチバックすることにより、非磁性体層13を形成してもよい。この方法で使用するSOGは溶媒にガラス材を溶解した液状剤であるため、スピンコートなどの簡単な方法により、基板表面の微細な凹部を埋め込んで均一な表面を形成することができる。また、これにより得られるSOG膜からはスピンコート後数秒で溶媒が気化するため、SOG膜は速やかに固体へと変質する。したがって、この方法によると、低コストと高い厚さの制御性とを実現することができる。なお、SOG膜は焼成しなくてもよいが、450℃以上の温度で熱処理を加えると、より安定なSiO2へと変質させることができる。
【0071】
上述のように、この方法では、基板11の一主面にスタンパ101を利用してバーストパターンなどに対応した凹凸を形成しておき、その上に強磁性層12を形成する。加えて、この方法により得られる記録媒体1では、強磁性層12のドット状凸部の上面に位置した部分は、互いに磁気的に分離されるため、強磁性体ドット2101,3101として利用可能である。そのため、連続膜として形成した強磁性層にバーストパターンを磁気情報として書き込む場合などとは異なり、結晶粒界の位置の不規則性に起因して第1部分301と第2部分302との境界位置が設計位置から大きくずれることがない。
【0072】
また、上述のように、スタンパ101には、バーストパターンなどに対応した凹凸パターンが高い精度で形成されている。さらに、この方法では、射出成形法を利用しているため、スタンパ101に形成された凹凸パターンは、高い精度で基板11の表面に転写される。そのため、この方法によると、強磁性体ドット2101,3101などの位置だけでなく、形状や寸法も高精度に制御することができる。
【0073】
また、この方法では、射出成形法により表面に凹凸が設けられた基板11を形成し、強磁性層12のパターニングは行わない。しかも、この方法では、CMP法を利用しなくても平坦性に優れた非磁性層13を形成することができる。したがって、この方法によると、工程の大幅な簡略化が可能となるとともに、優れた量産性を実現することができる。
【0074】
さらに、この方法では、強磁性層12のパターニングが不要であるので、イオンミリング等の物理的エッチングによる加工表面のダメージがない。そのため、エッチングダメージによるノイズの発生を防止することができ、磁気特性をさらに向上させることができる。
【0075】
また、図8(a)乃至(d)を参照して説明した方法を利用すると、強磁性層12は、記録領域2及び制御領域3の全体に形成される。加えて、この方法を利用すると、制御領域3内の強磁性層12の少なくとも一部を、強磁性体ドット2101,3101或いは記録領域2内の強磁性層12よりも深部に位置させることができる。このような構造は、以下のような用途で極めて有用である。
【0076】
強磁性体ドット2101,3101よりも深部に位置した強磁性層12には、記録ヘッドとの距離が離れすぎていることから、通常の記録ヘッドでは情報を記録することができないが、そこに書き込まれた情報は必要に応じてゲインなどを適宜設定することにより通常の再生ヘッドで読み出すことができる。すなわち、強磁性体ドット2101,3101よりも深部に位置した強磁性層12に記録された情報は、通常の再生ヘッドで読み出すことができても、改ざんすることはできない。したがって、そこにサーボ情報の一部を記録しておけば、その情報が誤動作により消失するのを防止することができる。すなわち、信頼性を向上させることができる。また、強磁性体ドット2101,3101よりも深部に位置した強磁性層12に、予めセキュリティ信号等を書きこんでおいてもよい。なお、ここで説明した効果は、バースト部31に図2(a),(b)の構造を採用しない場合であっても得ることができる。
【0077】
以上、図8(a)乃至(d)を参照して説明した方法は、量産性に優れているが、垂直磁気記録において単磁極型記録ヘッドを用いる際に必須となる軟磁性層を形成することができない。これに対し、以下に説明するようにインプリンティング法を利用すると、図8(a)乃至(d)を参照して説明した方法に比べれば量産性はやや劣るものの、軟磁性層を形成することができる。
【0078】
図9(a)乃至(d)は、図1に示す記録媒体1の製造方法の他の例を概略的に示す断面図である。
この方法では、まず、図9(a)に示すように、非磁性基板11の一主面上に、強磁性層12及びレジスト層63を順次形成する。ここでは、強磁性層12として、裏打ち層として軟磁性層を備えた強磁性層を形成することとする。
【0079】
次に、図9(b)に示すように、レジスト層63に、図6(f)に示すスタンパ101を押し当てる。これにより、スタンパ101の一主面に設けた凹凸パターンをレジスト層63に転写する。
【0080】
次いで、図9(c)に示すように、レジスト層63からスタンパ101を取り外す。このレジスト層63は、スタンパ101の一主面に設けた凹凸パターンが転写されたレジストパターンである。すなわち、このレジストパターン63は、強磁性体ドット2101,3101に対応した位置にドット状凸部を備えており、第2部分302などに対応した位置には、先のドット状凸部間の部分として規定される凹部よりもさらに深い凹部が設けられている。
【0081】
次に、このレジストパターン63をマスクとして用いて、Arイオンミリング或いはCO+NH3ガスまたはCl2ガスを用いたRIEを行う。その後、基板11からレジストパターン63を除去することにより、図9(d)に示す構造を得る。
【0082】
さらに、図8(d)を参照して説明したのと同様の方法により非磁性体層13を形成する。以上のようにして、図9(e)に示す構造を得る。
【0083】
上述のように、この方法では、スタンパ101を利用してバーストパターンに対応したレジストパターン63を形成し、このレジストパターン63をマスクとして用いて強磁性層12をパターニングする。そのため、連続膜として形成した強磁性層にバーストパターンを磁気情報として書き込む場合などとは異なり、結晶粒界の位置の不規則性に起因して第1部分301と第2部分302との境界位置が設計位置から大きくずれることがない。
【0084】
また、上述のように、スタンパ101には、バーストパターンなどに対応した凹凸パターンが高い精度で形成されている。さらに、この方法では、スタンパ101に形成された凹凸パターンは、高い精度でレジストパターン63に転写される。そのため、この方法によると、強磁性体ドット2101,3101の位置だけでなく、形状や寸法も高精度に制御することができる。
【0085】
但し、図9(a)乃至(e)を参照して説明した方法は、強磁性層12をエッチングする必要があるため、図8(a)乃至(d)を参照して説明した方法に比べれば、量産性がやや劣る。また、エッチングにより強磁性層12などがダメージを受ける可能性がある。
【0086】
しかしながら、単磁極型記録ヘッドを用いた垂直記録では、軟磁性層を設けた場合、設けない場合に比べて、信号強度が約2倍に増加する。すなわち、何時性層を設けると、S/N比を飛躍的に向上させることができる。また、図9(a)乃至(e)を参照して説明した方法では、エッチング条件を最適化することにより、強磁性層12などのダメージを抑制することができる。したがって、この方法によれば、高いS/N比を実現することができる。
【0087】
また、図9(a)乃至(e)を参照して説明した方法によると、バースト部31の第1部分301は強磁性体ドット3101で構成されるのに対し、第2部分302には強磁性体ドット3101は存在しない。そのため、図5に示す構造のように第1部分301及び第2部分302の双方が強磁性体ドット3101を含んでおり且つそれらの間で強磁性体ドット3101の磁化の向きを異ならしめなければならない場合とは異なり、バースト部31への磁気情報の書き込みを一括的に行うことができる。すなわち、極めて短い時間でバースト部31に磁気情報を書き込むことができる。
【0088】
以上、図8(a)乃至(d)及び図9(a)乃至(e)を参照して説明した方法では、強磁性体ドット2101の形成とバーストパターンなどの形成とを同時に行う。そのため、それらを別々の工程で形成する場合に比べ、より短い時間で記録媒体1を製造することができる。また、それらを同時に行った場合、強磁性体ドット2101とバーストパターンなどとの位置合わせが不要となる。そのため、極めて高い位置精度を実現することができる。
【0089】
次に、この記録媒体1に使用可能な材料などについて説明する。
基板11は、非磁性基板であればよく、その材料としては、例えば、樹脂やガラスなどを使用することができる。基板11に使用可能な樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン系ポリマーアロイ、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレ−ト系)、ポリ塩化ビニール、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ナイロンなどを挙げることができる。また、熱硬化性ポリウレタン、エポキシ樹脂、不飽和アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂などの熱硬化性樹脂も使用することができる。また、主成分として、ウレタン化ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート、またはアセタールグリコールジアクリレートなどを含む樹脂液を硬化させた樹脂を使用することもできる。熱硬化性樹脂を使用する場合、樹脂中に硬化触媒または硬化剤を含有させてもよい。また、紫外線硬化型樹脂を使用することもできる。この場合、硬化触媒として、光増感剤を使用する。代表的な光増感剤としては、アセトフェノン系、ベンゾインアルキルエーテル系、プロピオフェノン系、ケトン系、アントラキノン系、チオキサントン系などが挙げられる、これらを単独もしくは複数混合して使用してもよい。特に、ケトン系の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等は、転写性能、離型性能、品質安定性の面で好適である。或いは、樹脂の代わりにガラス,特には低融点ガラス,を用いてもよい。但し、生産性、コスト、耐吸湿性などの観点では、射出成形ポリカーボネートを使用することが好ましく、耐薬品性や耐吸湿性などの観点では、非晶質ポリオレフィンを使用することが好ましい。
【0090】
強磁性体ドット2101,3101などの強磁性層12には、現在の磁気記録媒体で一般的に用いられている強磁性体を使用できる。強磁性層12の材料としては、飽和磁化Isが大きくかつ磁気異方性が大きいものが適しており、この観点からは、例えば、Co、Pt、Sm、Fe、Ni、Cr、Mn、Bi、Al、及びこれらの金属の合金からなる群より選択される少なくとも一種を使用することが望ましい。これらの中でも、結晶磁気異方性の大きいCo合金やFe合金,特にはCoPt、SmCo、CoCrをベースとしたものやFePtやCoPt等の規則合金,がより好ましい。例えば、Co−Cr、Co−Pt、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Ta−Pt、Fe50Pt50、Co50Pt50、Fe50Pd50、Co75Pt25などを使用することが望ましい。また、これらの他にも、Tb−Fe、Tb−Fe−Co、Tb−Co、Gd−Tb−Fe−Co、Gd−Dy−Fe−Co、Nd−Fe−Co、Nd−Tb−Fe−Co等の希土類−遷移金属合金、磁性層と貴金属層の多層膜(人工格子:Co/Pt、Co/Pdなど)、PtMnSb等の半金属、Coフェライト、Baフェライト等の磁性酸化物などから幅広く選択することができる。
【0091】
強磁性層12の磁気特性を制御する目的で、上記の磁性体と、磁性元素であるFe及びNiから選ばれる少なくとも1つの元素とを合金化させたものを強磁性層として使用してもよい。また、これらの金属または合金に、磁気特性を向上させるための添加物,例えばCr、Nb、V、Ta、Mo、Ti、W、Hf、Cr、V、In、Zn、Al、Mg、Si、B等、或いはこれらの元素と、酸素、窒素、炭素、水素の中から選ばれる少なくとも一つの元素との化合物,を加えてもよい。
【0092】
強磁性層12は、磁性粒子とその間に存在する非磁性物質とから構成される複合材料であることが好ましい。これは、磁性粒子を反転単位とした高密度磁気記録が可能となるからである。しかしながら、記録領域をパターン化する場合には、非磁性物質の存在は必ずしも必要ではなく、また、希土類―遷移金属合金のような連続的なアモルファス磁性体であっても構わない。
【0093】
強磁性層12の磁気異方性に関しては、垂直磁気異方性成分が主であれば面内磁気異方性成分があっても構わない。強磁性層12の厚さに特に制限はないが、高密度記録を考えると100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。なお、強磁性層12の膜厚が0.1nm以下になると、連続膜として形成することが困難となることがある。
【0094】
図8(d)に示す構造を採用する場合、強磁性層12としては、CoとPtまたはPd等を交互に積層した多層膜,すなわち金属人工格子,を使用することが好ましい。先に説明したように、金属人工格子の特性は、積層界面の状態に影響を受けるため、強磁性層12のうち凸部の側面並びに凹部の側壁及び底面上に位置した部分では、綺麗な積層構造が得られず、磁気特性が著しく劣化した状態になる。したがって、強磁性層12のうち凸部の上面に位置した部分同士を、凸部の側面並びに凹部の側壁及び底面上に位置した部分により磁気的に分離することができる。すなわち、金属人工格子を使用した場合、強磁性体ドット2101同士及び強磁性体ドット3101同士をより確実に磁気的に分離することができる。
【0095】
図8(a)乃至(d)を参照して説明した方法を採用する場合、強磁性層12は凹部の深さや凸部の高さよりも薄くすること,強磁性層12の膜厚を凹部の深さや凸部の高さの半分以下とすること,が望ましい。こうすると、強磁性体ドット2101同士や強磁性体ドット3101同士をより確実に磁気的に分離することができる。
【0096】
また、図8(a)乃至(d)を参照して説明した方法を採用する場合、凸部上面の面積を小さくすることで、強磁性体ドット2101間や強磁性体ドット3101間での磁気的な相互作用がなく、磁化の向きが揃った単磁区状態を実現することができる。例えば、各強磁性体ドット2101や各強磁性体ドット3101を単磁区状態とするためには、それらの寸法を100nm角以下とすることが望ましく、80nm以下するのことがより望ましい。なお、これは、図9(a)乃至(e)を参照して説明した方法を採用した場合でも同様である。
【0097】
強磁性体ドット2101,3101は、典型的には円形状であるが、それらの形状に特に制限はない。例えば、強磁性体ドット2101,3101は、矩形状であってもよく或いは楕円形状であってもよい。
【0098】
また、強磁性体ドット2101,3101は、十分に規則的に配列していれば、それらの配列構造に特に制限はない。例えば、強磁性体ドット2101,3101は、正方格子状に配列していてもよく、或いは、六方格子状に配列していてもよい。
【0099】
本実施形態では、各記録トラック21における強磁性体ドット3101の第2方向42に関する配列数は2以上とする。他方、各記録トラック21における強磁性体ドット2101の第2方向42に関する配列数は1以上であれば特に制限はない。すなわち、1つの強磁性体ドット2101を1つの二値情報に対応させてもよく、或いは、複数の強磁性体ドット2101を1つの二値情報に対応させてもよい。
【0100】
なお、強磁性層12に関しては、主として記録領域2及びバースト部31内に位置した部分について説明したが、制御領域3内のバースト部31以外の部分では強磁性層12に様々な構造を採用することができる。例えば、AGC部やアドレス部やパッド部などでは、強磁性層12は、平坦な下地上に設けられた連続膜であってもよく、或いは、第1部分301や記録領域2と同様に強磁性体ドットであってもよい。アドレス部で強磁性層12に強磁性体ドットの形態を採用する場合、アドレス部の全体に強磁性体ドットを配列させ、そこにアドレス情報を磁気的に書き込んでもよい。或いは、アドレス部には、バースト部31と同様に、強磁性体ドット3101が配列してなる第1部分301と強磁性体ドットが存在していない第2部分302を配列させ、それにより、アドレス情報を保持させてもよい。
【0101】
また、図1に示す記録媒体1では、矩形状の第1及び第2部分301,302を市松模様状に配列してなるバーストパターンをバースト部31に採用しているが、バーストパターンには様々な変形が可能である。
【0102】
図10は、図1の記録媒体1で採用可能なバーストパターンの一例を概略的に示す平面図である。図10に示す構造では、第1部分301及び第2部分302の双方が楔形である。例えば、このような構造をバースト部31に採用した場合であっても、先に説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0103】
図9(a)乃至(e)を参照して説明した方法を採用する場合、先に説明したように、非磁性基板11上には、垂直磁気記録の際に必要となる軟磁性層を設けてもよい。この軟磁性層は、記録再生時に単磁極ヘッドの磁界によって磁気の向き(スピンの向き)が変化し、閉じた磁気ループが形成される程度の保持力を有するものであればよい。一般的には、軟磁性層の保磁力は、数kOe以下であることが好ましく、1kOe以下であることがより好ましく、50Oe以下であることがさらに好ましい。
【0104】
軟磁性層に使用可能な軟磁性材料としては、例えば、Fe、Ni、Coの何れかの元素を含んでいる軟磁性材料,例えば、CoFe、NiFe、CoZrNb、フェライト、珪素鉄、炭素鉄等,を挙げることができる。
【0105】
軟磁性層の微細構造が強磁性層と同様な構造である場合、結晶性や微細構造制御の点で有利である。しかしながら、磁気特性を優先させる場合には、軟磁性層の微細構造に他の構造を採用することもできる。例えば、アモルファスの軟磁性層と結晶性の強磁性層とを組み合わせてもよく、或いは、結晶性の軟磁性層とアモルファスの強磁性層とを組み合わせてもよい。また、軟磁性層は、軟磁性体微粒子が非磁性体マトリックス中に存在するもの,すなわちグラニュラ構造を有するもの,であってもよく、或いは、磁気特性の異なる複数の層(例えば、軟磁性層/非磁性層の多層膜)で構成されているものであってもよい。
【0106】
なお、記録再生時以外の軟磁性層の磁気異方性の方向は膜面に垂直であってもよく、面内周方向であってもよく、面内半径方向であってもよく、或いは、これらの合成であってもよい。
【0107】
非磁性体層13の材料は、非磁性体であれば特に制限はないが、典型的には絶縁体である。非磁性体層13に使用可能な絶縁体としては、例えば、SiO2、Al2O3、TiO3などの酸化物、Si3N4、AlN、TiNなどの窒化物、TiCなどの炭化物、BN等の硼化物などを挙げることができる。
【0108】
以上説明した記録媒体1は、例えば、以下の記録再生装置に搭載することができる。
【0109】
図11は、図1の記録媒体1を搭載した記録再生装置の一例を概略的に示す斜視図である。
【0110】
図11に示す記録再生装置200は、磁気記録再生装置であり、記録媒体1として磁気ディスクを有している。
【0111】
磁気ディスク1はスピンドル201に回転可能に支持されており、スピンドル201には制御部(図示せず)に含まれる制御回路からの制御信号に応じて動作するモータ(図示せず)が接続されている。図11に示す記録再生装置200では、これにより、磁気ディスク1の回転などを制御可能としている。
【0112】
磁気ディスク1の円周部近傍には固定軸202が配置されており、この固定軸202は、その上下2ヶ所に配置されたボールベアリング(図示せず)を介して磁気ヘッドアセンブリ203を揺動可能に支持している。磁気ヘッドアセンブリ203のボビン部にはコイル(図示せず)が巻きつけられており、このコイルとそれを挟んで対向して配置された永久磁石と対向ヨークとは磁気回路を形成するとともにボイスコイルモータ204を構成している。このボイスコイルモータ204も制御部に接続されており、それにより、磁気ヘッドアセンブリ203の先端のヘッドスライダ2032を、磁気ディスク1の所望の記録トラック21上へと位置させることを可能としている。
【0113】
磁気ヘッドアセンブリ203は、例えば、駆動コイルを保持するボビン部などを備えたアクチュエータアーム2030を有している。このアクチュエータアーム2030にはサスペンション2031の一端が取り付けられており、サスペンション2031の他端にはヘッドスライダ2032が取り付けられている。このヘッドスライダ2032には、記録再生ヘッドが組み込まれている。なお、アクチュエータアーム2030の先端には微小位置制御を行うためのピエゾ素子が設置されている。
【0114】
サスペンション2031上には信号の書き込み及び読み取り用などのリード線(図示せず)が形成されており、これらリード線はヘッドスライダ2032に組み込まれた記録再生ヘッドの電極にそれぞれ電気的に接続されている。なお、この磁気記録再生装置200において、情報の記録及び再生は、磁気ディスク1を回転させ、それによって生じる気流によりヘッドスライダ2032を磁気ディスク1から浮上させた状態で行う。また、図11に示す磁気記録再生装置200において、スピンドル201に接続されたモータ及びボイスコイルモータ204などは駆動機構を構成しており、磁気記録再生装置200の内部には制御領域3からの信号に基づいてトラッキング信号を発生するためのマイクロプロセッサが設置されている。
【0115】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0116】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0117】
(実施例1)
本例では、図7に示すスタンパ101を以下の方法により作製した。
【0118】
まず、図6(a)に示すように、一主面に厚さ200nmの熱酸化膜を形成したシリコン基板61を準備した。次に、シリコン基板61上にフォトレジストをスピンコート法により塗布し、厚さ100nmのレジスト層を形成した。
【0119】
このレジスト層を光硬化させた後、レジスト層上にPSとPMMAとの分子量比が170000:42000のPS−PMMAジブロックコポリマーをレジストシンナー(PGMEA)で希釈したものをスピンコート法により塗布した。この塗膜を200℃で20時間アニールすることにより、直径40nmのPMMA粒子が80nmのピッチで六方格子状に配列した構造を得た。
【0120】
その後、酸素RIE法を用いてPMMAのみを選択的に除去した。これにより、PMMAの自己組織化パターンに対応した、直径が40nmであり深さが20nmナノホールを形成した。
【0121】
次に、これらナノホールをSOG(東京応化工業社製の商品名「OCD type2」)で充填した。次いで、酸素RIEを行うことにより、熱酸化膜上に、直径が40nmであり且つ高さが100nmのピラーが80nmのピッチで六方格子状に配列した構造を得た。その後、CF4ガスを用いたRIEを行い、直径が40nmであり且つ高さが50nmのSiO2ピラー(ドット状凸部)が80nmのピッチで六方格子状に配列した構造を得た。
【0122】
以上のようにして図6(b)に示す構造を得た後、基板61のドット状凸部を形成した面に、スピンコート法によりEBレジストを塗布して、厚さが400nmのレジスト層を形成した。次いで、このレジスト層に、EB描画法を用いて図1に示したのと類似のバーストパターンなどを書き込んだ。なお、ここでは、第1転写部分1301の寸法が200nm×200nmとなり、第1転写部分1301間に介在した第2転写部分302の幅が200nmとなるように書き込みを行った。その後、レジスト層に現像処理などを施すことにより、図6(c)に示すように、制御領域用転写面103の第1転写部分1301以外の部分に対応した位置に開口を有するレジストパターン62を得た。
【0123】
次いで、CF4ガスを用いたRIE法により、基板61のレジストパターン62から露出した表面領域を除去した。その後、酸素アッシングにより、基板61からレジストパターン62を除去した。これにより、図6(d)に示す構造を得た。
【0124】
次に、基板61のドット状凸部を形成した面に、スパッタリング法により厚さ20nmのNi層を形成した。次いで、図6(e)に示すように、このNi層を導電性下地として用いてNi電鋳を行うことにより、スタンパ101を形成した。その後、スタンパ101から基板61を除去することにより、図6(f)に示す構造を得た。
【0125】
次に、図8(a)に示すように、このスタンパ101を型として用いた射出成形法により、ポリカーボネート基板11を作製した。すなわち、ポリカーボネート材(帝人社製の商品名「AD5503」)を射出成形装置のホッパに供給し、スタンパ101の温度を125℃、樹脂温度を340℃、射出圧力を30t、サイクルタイムを12秒とする条件で射出成形を行った。
【0126】
その後、図8(b)に示すように、基板11をスタンパ101から取り外した。なお、このようにして得られた基板11には、高さ40nmのドット状凸部が形成されていた。
【0127】
続いて、図8(c)に示すように、スパッタリング法を用いて、強磁性層12として、Co層とPd層とを交互に積層させてなる人工格子を形成した。ここでは、Co層の厚さは0.3nmとし、Pd層の厚さは0.7nmとし、積層数は10層とした。得られたパターンドメディアの磁気特性は、角形比0.9、保磁力4500Oeであった。
【0128】
その後、図8(d)に示すように、強磁性層12の上にSOG層を形成し、表面を平坦化し、さらにC保護膜をスパッタリング法により10nmの厚さに形成し、これに潤滑材を塗布した。こうして得られた記録媒体1を、マグネットでディスク面垂直方向に20kOeで1方向に磁化したのち、Disc回転数4200rpmの条件のもと、時々発生する突起部分からと思われるパルス状の信号がなくなる程度までバニッシュし、R/W試験を行った。
【0129】
図12は、本例で作製した記録媒体1のバーストパターンを概略的に示す平面図である。図13は、図12に示すバーストパターンから得られる信号の一例を概略的に示すグラフである。なお、図12では、簡略化のため、強磁性体ドット3101の形状を全て等しく略円形に描いているが、本例では、図1や図2(a),(b)に示すように、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第1部分301と第2部分302との境界に跨るものは、先の境界側の一部を欠落させた形状としている。また、図12において参照符号55は記録再生ヘッドの検出部とバーストパターンとの重なりが形成する軌跡を示しており、図13は記録再生ヘッドの検出がそのような軌跡55を辿って図中右向きに記録媒体1に対して相対移動した場合に得られる信号波形を示している。
【0130】
本例では、図13に示す信号波形の最大振幅が20mAとなる条件のもと、バーストCの信号強度とバーストDの信号強度とが等しくなるようにピエゾ素子を用いて記録再生ヘッドを微動させることによりサーボ制御を行った。その結果、十分に高い精度でサーボ制御を行うことができた。
【0131】
なお、本例では、上記の通り、第1部分301及び第2部分302の第2方向42の長さを200nmとしている。すなわち、本例で作製した記録媒体1の記録密度は、約130kTPIである。
【0132】
(実施例2)
本例では、まず、PS−PMMAジブロックコポリマーとして、PSとPMMAとの分子量比が170000:42000のものの代わりにPSとPMMAとの分子量比が65000:13000のものを使用するとともに、第1転写部分1301の寸法を60nm×60nmとし且つ第1転写部分1301間に介在した第2転写部分1302の幅を60nmとしたこと以外は、実施例1で説明したのと同様の方法によりスタンパ101を作製した。
【0133】
すなわち、まず、PS−PMMAジブロックコポリマーとして、PSとPMMAとの分子量比が170000:42000のものの代わりにPSとPMMAとの分子量比が65000:13000のものを使用したこと以外は実施例1で説明したのと同様の方法により、直径15nmのPMMA粒子が30nmのピッチで六方格子状に配列した構造を得た。
【0134】
次に、実施例1で説明したのと同様の方法により、ナノホールを形成し、これらナノホールをSOGで充填し、酸素RIE及びCF4ガスを用いたRIEを順次行った。これにより、直径が15nmであり且つ高さが15nmのSiO2ピラー(ドット状凸部)が30nmのピッチで六方格子状に配列した構造を得た。
【0135】
さらに、第1転写部分1301の寸法を60nm×60nmとし且つ第1転写部分1301間に介在した第2転写部分1302の幅を60nmとしたこと以外は実施例1で説明したのと同様の方法によりスタンパ101を形成した。
【0136】
その後、このスタンパ101を用いたこと以外は実施例1で説明したのと同様の方法により記録媒体1を作製した。なお、本例では、図1や図2(a),(b)に示すように、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第1部分301と第2部分302との境界に跨るものは、先の境界側の一部を欠落させた形状としている。
【0137】
この記録媒体1についても、マグネットでディスク面垂直方向に20kOeで1方向に磁化したのち、Disc回転数4200rpmの条件のもと、時々発生する突起部分からと思われるパルス状の信号がなくなる程度までバニッシュし、R/W試験を行った。その結果、本例でも、図13に示したのと同様の信号波形が得られ、十分に高い精度でサーボ制御を行うことができた。
【0138】
なお、本例では、上記の通り、第1部分301及び第2部分302の第2方向42の長さを60nmとしている。すなわち、本例で作製した記録媒体1の記録密度は、約400kTPIである。
【0139】
(参考例1)
本例では、バースト部31に図5の構造を採用し、そこにサーボトラックライタを用いてバーストパターンを書き込んだこと以外は、実施例2で説明したのと同様の方法により記録媒体1を作製した。すなわち、まず、本例では、図6(c),(d)を参照して説明した工程を省略したこと以外は実施例2で説明したのと同様の方法により、第2転写部分1302に第1転写部分1301と同様の構造を採用したスタンパ101を作製した。次に、このスタンパ101を用いたこと以外は実施例2で説明したのと同様の方法により、記録媒体1を作製した。その後、実施例2と同様の条件で強磁性層12の磁化などを行い、さらに、実施例2と同様のバーストパターンをサーボトラックライタを用いて書き込んだ。
【0140】
この記録媒体1についても、実施例2と同様のR/W試験を行った。その結果、本例では、図13に示したのと同様の信号波形は得られず、サーボ制御を行うことはできなかった。
【0141】
(実施例3)
本例では、まず、以下の方法により、図7に示すスタンパ101を作製した。なお、本例では、ドット状凹部12101,13101を円形状とする代わりに矩形状とした。
【0142】
すなわち、まず、図6(a)に示すように、一主面に厚さ200nmの熱酸化膜を形成したシリコン基板61を準備した。次に、このシリコン基板の熱酸化膜上にEBレジストをスピンコート法により塗布してレジスト層を形成した。
【0143】
次いで、このレジスト層に、EB描画法を用いて図12に示したのと類似のバーストパターンなどを書き込み、さらに現像などの処理を施すことにより、レジストパターンを形成した。なお、ここでは、第1転写部分1301の寸法が200nm×200nmとなり、第1転写部分1301間に介在した第2転写部分1302の幅が200nmとなるように書き込みを行った。また、ここでは、ドット状凹部12101,13101が50nm×50nmの矩形状となり且つ50nmのピッチで配列するように書き込みを行った。
【0144】
次いで、CF4ガスを用いたRIE法により、基板61のレジストパターンから露出した表面領域を除去した。その後、酸素アッシングにより、基板61からレジストパターンを除去した。これにより、図6(b)に示す構造を得た。
【0145】
続いて、実施例1で図6(c)乃至(f)を参照しながら説明したのと同様の工程を実施した。以上の方法により、スタンパ101を作製した。
【0146】
その後、このスタンパ101を用いたこと以外は実施例1で説明したのと同様の方法により記録媒体1を作製した。なお、本例では、図1や図2(a),(b)に示すように、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第1部分301と第2部分302との境界に跨るものは、先の境界側の一部を欠落させた形状としている。
【0147】
この記録媒体1についても、マグネットでディスク面垂直方向に20kOeで1方向に磁化したのち、Disc回転数4200rpmの条件のもと、時々発生する突起部分からと思われるパルス状の信号がなくなる程度までバニッシュし、R/W試験を行った。その結果、本例でも、図13に示したのと同様の信号波形が得られ、十分に高い精度でサーボ制御を行うことができた。
【0148】
(実施例4)
本例では、まず、図9(a)に示す構造を形成した。すなわち、まず、ガラス基板11の一主面上に、スパッタリング法によりCoZrNbからなる厚さ200nmの軟磁性層(図示せず)を形成した。次に、この軟磁性層上に、CoCrPt合金からなる厚さ15nmの強磁性層12を形成した。続いて、この強磁性層12上に、厚さ40nmのレジスト層63を形成した。
【0149】
次に、図9(b)に示すように、レジスト層63に、実施例2で作製したスタンパ101を押し当てた。これにより、図9(c)に示すように、レジスト層63にスタンパ101の凹凸パターンを転写した。
【0150】
次いで、スタンパ101の凹凸パターンを転写したレジスト層63をマスクとして用いて、Arイオンミリング法により強磁性層12をパターニングした。これにより、図9(d)に示す構造を得た。このようにして得られたパターンドメディアについて、磁気光学カー効果を用いて磁化曲線(カーヒステリシスループ)を測定したところ、保磁力は4000Oeであった。
【0151】
その後、図9(e)に示すように、強磁性層12の上にSOG層13を形成し、表面を平坦化し、さらにC保護膜をスパッタリング法により10nmの厚さに形成し、これに潤滑材を塗布した。なお、本例では、図1や図2(a),(b)に示すように、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第1部分301と第2部分302との境界に跨るものは、先の境界側の一部を欠落させた形状としている。
【0152】
こうして得られた記録媒体1を、マグネットでディスク面垂直方向に20kOeで1方向に磁化したのち、Disc回転数4200rpmの条件のもと、時々発生する突起部分からと思われるパルス状の信号がなくなる程度までバニッシュし、R/W試験を行った。その結果、本例でも、図13に示したのと同様の信号波形が得られ、十分に高い精度でサーボ制御を行うことができた。
【0153】
なお、本例では、第1部分301及び第2部分302の第2方向42の長さを60nmとしている。すなわち、本例で作製した記録媒体1の記録密度は、約400kTPIである。
【0154】
(実施例5)
本例では、まず、実施例1で説明したのと同様の方法により記録媒体1を作製した。この記録媒体1を、マグネットでディスク面垂直方向に20kOeで1方向に磁化したのち、Disc回転数4200rpmの条件のもと、時々発生する突起部分からと思われるパルス状の信号がなくなる程度までバニッシュし、R/W試験を行った。
【0155】
次に、パッド部32の一部に対して情報を書き込んだ。なお、パッド部32は強磁性体ドット2101,3101よりも深部に位置しているので、一般的な記録再生装置に搭載される記録再生ヘッドでは情報を書き込むことができない。そこで、ここでは、研究開発用の高出力記録ヘッドを用いてパッド部32の一部に対して300kFCIの信号を書き込んだ。
【0156】
次に、一般的な記録再生装置に搭載される記録再生ヘッドを用いて、パッド部32に書き込んだ信号を読み出した。その結果、300kFCIの再生信号を検出することができた。
【0157】
次いで、一般的な記録再生装置に搭載される記録再生ヘッドを用い、100k、300k、600kFCIの各記録周波数で上書きを行った。その結果、記録領域2には信号の書き込みが可能であったが、パッド部32には信号を書き込むことができなかった。
【0158】
続いて、一般的な記録再生装置に搭載される記録再生ヘッドを用いてDC消磁を行った。その結果、パッド部32に書き込んだ信号が消去されることはなかった。
【0159】
(実施例6)
図1に示す記録媒体1では、記録領域2と制御領域3とが混在しており、それらの磁気的性質を個別に測定することは不可能である。そこで、LLGシミュレーションを行うことで、記録領域2及び制御領域3の磁気特性を調べた。
【0160】
記録領域2については、無限の広さを持つ平面上で強磁性体ドット2101が六方格子状に配列したモデルを仮定してLLGシミュレーションを行った。ここでは、強磁性体ドット2101について、直径が40nmであり、高さが40nmであり、配列のピッチが80nmであり、飽和磁化強度が620emu/ccであり、磁気異法性定数Kuが2.0×106erg/ccである場合を想定した。その結果、保磁力4900Oeを得た。
【0161】
制御領域3に関しては、バースト部31内の第1部分301についてのみLLGシミュレーションを行った。なお、ここでは、第1部分301の寸法が300nm×300nmである場合を想定し、それ以外のパラメータは記録領域2に関して上述したのと同様とした。また、ここでは、図1や図2(a),(b)に示すように、第1部分301内の強磁性体ドット3101のうち、第1部分301と第2部分302との境界に跨るものは、先の境界側の一部を欠落させた形状としてシミュレーションを行った。その結果、保磁力5100Oeを得た。
【0162】
このように、図1に示す構造によると、バースト部31の保磁力は記録領域2の保磁力よりも大きくなる。すなわち、図1に示す構造では、バースト部31が保持する情報の安定性が高い。また、この結果から、バースト部31に図1及び図2(a),(b)の構造を採用した場合、図5の構造を採用した場合に比べ、バースト部31が保持する情報の安定性が高くなることが分かる。すなわち、バースト部31に図1及び図2(a),(b)の構造を採用すると、図5の構造を採用した場合に比べ、より高いS/N比を実現することができる。
【0163】
(参考例2)
バースト部31に図4の構造を採用した場合について、実施例6で説明したのと同様の条件のもとでLLGシミュレーションを行った。その結果、保磁力2000Oeが得られた。
【0164】
実施例6で得られた保磁力5100Oeは、誤動作によりバースト部31に記録された情報が消去されるのを防止するのに極めて有効な値である。しかしながら、本例で得られた保磁力2000Oeは、実施例6で得られた保磁力5100Oeの半分にも満たないため、高出力記録ヘッドのみならず、一般的な記録再生装置に搭載される記録再生ヘッドを使用した場合でさえ、その誤動作によりバースト部31に記録された情報が消去される可能性がある。
【0165】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、記録密度を高めたパターンドメディアに対してサーボ制御を十分に高い精度で実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録媒体の一部を概略的に示す平面図。
【図2】(a),(b)は図1に示す記録媒体のバースト部を拡大して示す平面図。
【図3】参考例に係る記録媒体のバースト部を拡大して示す平面図。
【図4】参考例に係る記録媒体のバースト部を拡大して示す平面図。
【図5】参考例に係る記録媒体のバースト部を拡大して示す平面図。
【図6】(a)乃至(f)は図1に示す記録媒体の製造方法に利用可能なスタンパの製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【図7】図6(a)乃至(f)の方法で製造可能なスタンパの一例を概略的に示す平面図。
【図8】(a)乃至(d)は図1に示す記録媒体の製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【図9】(a)乃至(d)は図1に示す記録媒体の製造方法の他の例を概略的に示す断面図。
【図10】図1の記録媒体で採用可能なバーストパターンの一例を概略的に示す平面図。
【図11】図1の記録媒体を搭載した記録再生装置の一例を概略的に示す斜視図。
【図12】実施例1で作製した記録媒体のバーストパターンを概略的に示す平面図。
【図13】図12に示すバーストパターンから得られる信号の一例を概略的に示すグラフ。
【符号の説明】
1…記録媒体、2…記録領域、3…制御領域、11…基板、12…強磁性層、13…非磁性体層、21…記録トラック、31…バースト部、32…パッド部、41…第1方向、42…第2方向、51…破線、52…破線、61…基板、62…レジストパターン、63…レジスト層、301…第1部分、302…第2部分、101…スタンパ、102…記録領域用転写面、103…制御領域用転写面、121…記録トラック用転写部、131…バースト部用転写部、132…パッド部用転写部、141…第1方向、142…第2方向、151…破線、200…記録再生装置、201…スピンドル、202…固定軸、203…磁気ヘッドアセンブリ、204…ボイスコイルモータ、1301…第1転写部分、1302…第2転写部分、2030…アクチュエータアーム、2031…サスペンション、2032…ヘッドスライダ、2101…強磁性体ドット、3101…強磁性体ドット、12101…ドット状凹部、13101…ドット状凹部。
Claims (9)
- 互いに磁気的に分離した強磁性体ドットまたは強磁性体ドット群を第1方向に配列してなる記録トラックが前記第1方向と交差する第2方向に配列した記録領域と、前記記録領域に対して前記第1方向に隣接するとともにサーボ情報を保持した制御領域とを具備し、
前記制御領域はバースト部を含み、このバースト部では、互いに磁気的に分離した強磁性体ドットを配列してなる第1部分と前記強磁性体ドットが存在していない第2部分とが前記記録トラックに対応して前記第2方向に交互に配列し、
前記第1部分において、前記第1及び第2部分間の境界に接した前記強磁性体ドットの少なくとも1つは、前記境界から離れて位置した前記強磁性体ドットの形状から前記境界側の一部を欠落させた形状を有していることを特徴とする記録媒体。 - 前記記録領域及び前記制御領域はドット状凸部を備えた下地と前記下地上に設けられるとともに連続膜の形態を有し強磁性材料を含む層とを含み、前記強磁性体ドットは前記強磁性材料を含む層の前記ドット状凸部の上面に位置した部分であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
- 前記強磁性材料を含む層は、前記第2部分において、前記第1部分及び前記記録領域内で配列した前記強磁性体ドットよりも深部に位置したことを特徴とする請求項2に記載の記録媒体。
- 前記記録領域及び前記制御領域の前記強磁性体ドットは、平坦な下地上に設けられるとともに、非磁性層を間に挟んで互いに離間していることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
- 前記第1及び第2部分は市松模様状に配列したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の記録媒体。
- 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の記録媒体と、
前記記録媒体に対向可能な記録再生ヘッドと、
前記記録再生ヘッドを前記記録媒体に対して相対移動させる駆動機構とを具備したことを特徴とする記録再生装置。 - ドット状凹部またはドット状凹部群を第1方向に配列してなる記録トラック用転写部が前記第1方向と交差する第2方向に配列した記録領域用転写面と、前記記録領域用転写面に対して前記第1方向に隣接した制御領域用転写面とを具備し、
前記制御領域用転写面はバースト部用転写面を含み、このバースト部用転写面では、ドット状凹部を配列してなる第1転写部分と前記ドット状凹部が存在していない第2転写部分とが前記記録トラック用転写部に対応して前記第2方向に交互に配列し、
前記第1転写部分において、前記第1及び第2転写部分間の境界に接した前記ドット状凹部の少なくとも1つは、前記境界から離れて位置した前記ドット状凹部の形状から前記境界側の一部を欠落させた形状を有していることを特徴とする記録媒体の製造装置。 - 請求項7に記載の製造装置を型として用いて、表面に前記ドット状凹部に対応したドット状凸部を有する下地を形成する工程と、
前記下地の前記ドット状凸部を設けた面に強磁性材料を含む層を形成する工程とを含んだことを特徴とする記録媒体の製造方法。 - 下地上に強磁性材料を含む層を形成する工程と、
前記強磁性材料を含む層上にレジスト層を形成する工程と、
請求項7に記載の製造装置をスタンパとして用いたインプリンティング法により前記レジスト層の表面に前記ドット状凹部に対応したドット状凸部を形成する工程と、
前記ドット状凸部を形成した前記レジスト層をマスクとして用いて前記強磁性層をエッチングする工程とを含んだことを特徴とする記録媒体の製造方法。
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