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JP3890527B2 - 水門 - Google Patents
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JP3890527B2 - 水門 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に港湾の高潮対策用の防潮堤水門として適用可能な大型水門に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
我が国の港湾都市の多くは、沖積層や埋立地などの比較的低い位置に存在するため、地球温暖化や気象変動による海面上昇に対し、柔軟な対応が必要とされている。特に、水域、埋立地を含めた港湾全体を締め切る防潮ラインを形成するには、大型船舶の航行が可能な大型水門を設置する必要がある。この大型水門については現在検討中であるが、その中には開口450m程度のものもあり、従来技術では以下の問題点が挙げられている。
【0003】
・大型船舶の通行を想定していないため比較的小規模のものが多い。
・複雑な機械を使用しているものは維持修理が困難になり易い。
・大規模な重力式水門の場合、基礎の幅が広くなる。また水門の開閉操作も容易ではない。
【0004】
この発明は上記従来の課題を解決するために考えられたものであって、その目的は、大型船舶の航行が可能な大型水門であっても基礎の幅が小さく設定でき、しかも簡単な移動装置により大型のゲート函体をも容易に開閉操作できる新たな水門を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明は、水路部を横断して水底に設置された基礎部と、基礎部上を移動して水路部を開閉する複数のゲート函体と、基礎部とゲート函体底面との間に設けられ、基礎部との摩擦を低減する低摩擦機構を備えた走行自在な函体支持装置と、基礎部とゲート函体とにわたり設けられた推進装置とからなり、上記基礎部を突堤の内側から水路部に設置し、その突堤の内側をゲート函体の格納部と、上記函体支持装置と推進装置とからなる移動装置の陸揚部に構成してなる、というものである。
【0006】
また上記基礎部は、上面に並設したガイド溝の底面に函体推進用のガイドレールと共に敷設されたガイドプレートを備え、そのガイドプレートに上下移動機構を有する上記低摩擦機構を設置してガイド溝内に走行自在に収容した上記函体支持装置と、上記ガイドレールに載せて牽引ロッドをゲート函体に連結し、そのガイドレールとゲート函体とに反力を交互に取って函体支持装置上のゲート函体と共に移動するガイド溝内の上記推進装置とを具備する、というものである。
【0007】
また上記函体支持装置は、上記上下移動機構の頂面に設けた函体受桁に油圧又は電動の車輪による自走装置を備える、というものである
【0008】
上記構成では、函体支持装置で移動に際するゲート函体の底面摩擦を大幅に減少させるため、大型のゲート函体に適用できる。また函体支持装置と推進装置は、基礎部又はゲート函体に組み込まれていないので、水門の開閉完了毎に水底から突堤に陸揚げして、オーバーホールや取替えができ、維持補修を容易に行い得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係わる水門の1実施形態を示すもので、1は水路部、2は水路部1の両側に構築された固定の突堤、3は突堤2,2の側部から水路部1を横断して基礎杭3aを打設した水底4に設置した基礎部、5は基礎部上を移動して水路部1を開閉するゲート函体である。
【0010】
このゲート函体5は鉄筋コンクリート製で4つのブロックに分割され、それらブロックの当接端は互いに嵌合して、上記水路部1を閉鎖する一連の水門を構成するように凹端面と凸端面に形成してあり、その当接面に止水部材6が底面を除く函体外郭に沿って取り付けてある。
【0011】
上記基礎部3は横断面が凹状形の鋼殻による外部と、その内部に打設したコンクリートとからなり、その上面の両側縁間に上記ゲート函体5の底部が収まって、横ずれを起こすことなくゲート函体5が長手方向に移動する。なお、上面の両側縁は断続的に形成されていてもよく、場合によっては、上面両側に突設した一定間隔の突部であってもよい。
【0012】
また基礎部3の側縁間の上面には、4条のガイド溝7が長手方向に並設してあり、そのガイド溝7を除く上面に弾性保護材によるコンクリート保護マット3bが施してある。ガイド溝7の底面両側には、外側面にストッパー81を一定間隔ごとに有する函体推進用のガイドレール8が敷設してある。そのガイドレール8を反力として上記ゲート函体5を牽引移動する油圧作動の推進ジャッキ9による推進装置が、函体端面に連結してガイド溝7内に配設してある。
【0013】
さらに、各ガイド溝7のガイドレール間の底面には、ガイドプレート10が全長にわたり敷設され、そのガイドプレート10の上に函体支持装置11が三基を一組として、六組が1ブロックのゲート函体5の全長にわたり等間隔に位置するように設置してある。この函体支持装置11の頂面には三基を一組として連結する函体受桁14が設けてある。
【0014】
この函体受桁14の両端には、図7にその概略を示すように、昇降自在な車輪が取付けられており、その一方を駆動輪とする油圧又は電動の自走装置15が函体受桁14に取付けて、各組ごとに移動できるようにしてある。また各組は間隔維持のために連結管16により連結してあり、図では省略するが、その連結管16に油圧ホースや電気コード等を取り付けて、函体支持装置11の移動に支障を来さぬようにしてある。
【0015】
また図5に示すように、基礎部3の上記ブロック相互の当接部下側の基礎部上面には止水溝17が部分的に設けられており、その止水溝17に止水ゴムチューブ18が収容してある。この止水ゴムチューブ18は図(A)に示すような断面形状が四辺形のゴムチューブであるが、止水溝17がゲート函体5により塞がれた状態では、上記ゲート函体5の止水材6の下側に位置して図(B)のように膨張接触し、当接面下の函体底面と基礎部上面との隙間を水密に遮断する。
なお、止水溝17は函体相互の当接部位だけではなく基礎部3の長手方向に連続的に設けてもよい。
【0016】
また図6に示すように、突堤2の突端内側とゲート函体5の側端部との重なり部分には、水路部閉鎖時に注水により膨張するゴムパッキン又はゴムチューブ等による止水材19が取付けてあり、突堤2の内側面にはローラーフェンダーによる緩衝材20が取付けてある。
【0017】
上記推進ジャッキ9は、ピストンロッド92に接続した牽引ロッド93をゲート函体5の端面に連結して、ガイドレール8の上に走行自在に車輪を載せた油圧シリンダー91と、油圧シリンダー上の受部材に軸承したホイール94に吊下して、油圧シリンダー91に上下動自在に跨設し、下面が傾斜面で後端を係合突起に形成した両端の係止爪95を、ガイドレール8の上記ストッパー81の間に位置させた固定部材96と、ホイール94の回動軸端に取り付けたアーム先端のカウンターウェイト97とからなる。
【0018】
このような推進ジャッキ9では、縮小状態を示す図9において、ピストン伸長側に油圧を掛けると、ゲート函体側を反力として油圧シリンダ91側が移動するようになる。これにより図は省略するが、推進ジャッキ9が図左側に移動して係止爪95がストッパー81から離れる。この前進移動により係止爪95が前側のストッパー81aに達すると、カウンターウェイト94により係脱部材96が自動的に上がり、両端の係止爪95は下面の傾斜面によりストッパー81aを乗越える。乗越後の係止爪95はカウンターウェイト94との吊り持ち位置まで下がってストッパー81aの前面に位置するようになり、推進ジャッキ9はストッパー間隔だけ前進移動して、ピストンロッド92は伸長状態となる。
【0019】
その状態で油圧を切り換えてピストン縮小側に加圧すると、係止爪95の後端がストッパー81aと係合する。これにより油圧シリンダー91ではガイドレール側が反力となってピストンロッド92が縮小し、牽引ロッド93によりゲート函体5はピストンの縮小限界まで引っ張られて、ストッパー間隔分だけ前進移動する。したがつて、油圧シリンダー91における伸縮作動を繰り返し行うことによって、ゲート函体5を設定位置に移動することができる。また後退移動時には係止爪95を180度回転させて向きを変えるだけでよく、前進移動時と同様な伸縮操作によりゲート函体5を移動することができる。
【0020】
上記函体支持装置11は、図8に示すようにゲート函体5の移動時に、該ゲート函体5の底面摩擦を低減する低摩擦機構12と、その上部の上下移動機構13とからなり、その上下移動機構13の頂面に三基を一組として連結する函体受桁14が設けてある。
【0021】
上記低摩擦機構12は、上下移動機構13を載置固定した円盤状のサポートフレーム121と底板122との間に、受圧面積が小さな外周囲の一次圧力室123と、そのピストン124により囲繞された受圧面積が大きな内部の二次圧力室125とを、同心円に形成したシリンダからなり、函体支持装置11に載せたゲート函体5の荷重を、図(A)に示すように、底板周囲のピストン124の下端で支える。この状態で、一次圧力室123に水を高圧供給すると、サポートフレーム121が上下移動機構13と共に上昇し始め、二次圧力室125にも水が供給される。
【0022】
さらに水を供給すると、上下移動機構13のサポートフレーム121が押し上げられるとともに、底版122に空けられた微小な孔(図は省略)から水が僅かに流れ出ることにより、図(B)に示すように、水の流体膜が底版122とガイドプレート10の上面との間に生じ、この流体膜により函体支持装置11の底面摩擦が低減されて、ゲート函体5をスライドできる状態となる。
【0023】
上記サポートフレーム121が完全に上昇した後に、上下移動機構13を上昇作動すると、上記函体受桁14を介して支持していたゲート函体5が、基礎部上面から持ち上げられて底面摩擦が低減されるようになる。これによりゲート函体5と函体支持装置11の両方の底面摩擦が減少した状態(摩擦係数2%以下)で、上記推進ジャッキ9による移動をスムーズに行えるようになる。
【0024】
上記構成の水門では、図11に示すように、上記水路部1の両側の突堤2,2の内側を、ゲート函体5の格納部101、その両端を推進ジャッキ9と函体支持装置11とによる移動装置の陸揚部102として利用することができる。
例えば、水路部1が450mの大型水門では、1ブロックのゲート函体長さ115mに設定して、4ブロックのゲート函体5により閉鎖することができる。また、ゲート函体5の格納部101は240m、陸揚げ部102は移動装置の維持管理では移動装置を陸揚げするのに必要な長さとなっている。
またゲート函体5の移動による水路部1の開閉は、推進ジャッキ9と函体支持装置11の駆動を陸上で遠隔操作することにより確実に行い得る。
【0025】
図11は水門の閉鎖手順の説明図で、図11(A)に示す開放中は、ゲート函体5を両突堤2,2の側部に仮置きし、陸揚部102にて上記移動装置を水中から引き上げてメンテナンスを行う。
【0026】
以下、図11(B)〜(D)により閉鎖作動中の動作と閉鎖完了とを順に示すと、先ず陸揚部102の函体支持装置11を内側のゲート函体51の下に自走移動により送込む。この移送は低摩擦機構12を加圧作動してガイドプレート10との摩擦を低減した状態で行うのが好ましい。ゲート函体51の設定位置に達したら、上記自走装置15の車輪を上げて函体支持装置11をガイドプレート10の上に据え置く。その状態で低摩擦機構12と上下移動機構13を加圧作動し、基礎部3とゲート函体及び基礎部3と函体支持装置11との摩擦を低減した後、推進ジャッキ9の伸縮移動を繰り返し行って、両突堤2,2から水路部1の中央にゲート函体51を移動する。中央の設定位置まで移動したら推進ジャッキ9を停止し、函体支持装置11の加圧作動を停止して、必要によりゲート函体51内にバラスト水を注入し、安定重量を確保する。
【0027】
この1ブロックの内側のゲート函体51の設置が完了したら、自走装置15の車輪を下ろして函体支持装置11を次の1ブロックの待機位置まで自走移動により戻し、外側のゲート函体52の下に据え替える。そして再び函体支持装置11の加圧作動によりゲート函体52の底面摩擦を低減して水路部1に移動し、既に設置されているゲート函体51の後端に当接して端面相互を嵌合した後、移動と函体支持装置11の加圧作動とを停止し、ゲート函体52内に必要によりバラスト水を注入し、安定重量を確保する。
【0028】
その後に、両突堤2,2の突端内側とゲート函体52の側端部と間の上記止水材18に注水を行って膨らませ、水密に仕切って閉鎖を完了する。なお、水路部1の開放は上記閉鎖手順を反対に行えばよい。
また閉鎖移動時の推進ジャッキ9は、ゲート函体51に対しては前側に、ゲート函体52の場合には後側に取付けるのが好ましい。このような状態であればゲート函体51からゲート函体52に函体支持装置11を戻す際に、ガイド溝7を推進ジャッキ9が共用していても後方移送の障害とならず、函体支持装置11の入れ替えを迅速に行うことができる。
【0029】
また設置後のゲート函体51の推進ジャッキ9は撤去して、解放時に後側に盛り替えて使用するのが好ましい。撤去により対向側のゲート函体51の推進ジャッキ9の障害とならず、対向側を先行設置したゲート函体51の当接面まで支障なく移動できるからである。当接後の対向側のゲート函体51の推進ジャッキ9は撤去できないので、解放用として残置する。
【0030】
上記施形態では、左右のゲート函体51,52の配列を1列としているが、図12(A)(B)に示すように、複数ブロックで複数列にして、ブロック間で適宜のラップをとって移動することにより、開閉するようにしてもよい。このようにすれば、開門時にゲート函体51,52を収める奥行が少なく済む。さらに突堤を形成しなくとも、水路1が所定幅で狭くなっていれば、水路1の少なくとも一方を切り込むことで、ゲート函体51,52を収めるようにしてもよい。
【0031】
図13〜図16は、基礎部3とゲート函体5の構築例を示すものである。
上記基礎部3は外部を鋼殻とし、その状態で曳航して基礎杭3aを打設した場所まで運搬し、図13に示すように、起重機船21により基礎杭3aの上に沈設する。その後に鋼殻内にコンクリートを打設して水底に設置してから、図14に示すように、クリーン付台船22によりレール等を設置することで完成することができる。
【0032】
上記ゲート函体5は、陸上又は水上で図15に示すように、クローラクレーン23により底版、外壁、隔壁の一部を鉄筋コンクリートにより水上に浮く状態まで構築し、それを曳航により上記基礎部3を設置した場所まで運搬して、図16に示すように沈設したのち、水面上にて残部の構築を行って完成することができる。
【0033】
この実施形態では、基礎部3を鋼殻製、ゲート函体5を鉄筋コンクリート製としているが、鋼殻製は精度的な面からの採用であり、また鉄筋コンクリート製はコスト的な面からの採用によるものであるから、基礎部3を鉄筋コンクリート製、ゲート函体5を鋼殻製としても構成上は何等差支えがなく、要は、この発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用してもよい、というものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる水門の概略を示す斜視図である。
【図2】 ゲート函体の平面図である。
【図3】 同上の側面図である。
【図4】 水門の水路部における基礎部を縦断して示すとゲート函体の正面図である。
【図5】 ゲート函体相互の当接部位における止水ゴムの止水時(A)と止水前(B)の状態を示す基礎部の部分断面図である。
【図6】 突堤とゲート函体の重なり部分の部分平面図である。
【図7】 ゲート函体に対する函体支持装置と推進ジャッキの配置状態を示すゲート函体と基礎部の部分縦断面図である。
【図8】 ガイド溝内における推進ジャッキの側面図である。
【図9】 同上の拡大正面図である。
【図10】 函体支持装置の作動時(A)と非作動時(B)の状態説明図である。
【図11】 この発明の水門の閉鎖手順の説明図である。
【図12】 他の実施形態の水門の閉鎖手順の説明図である。
【図13】 基礎部の沈設状態図である。
【図14】 基礎部の設置状態図である。
【図15】 ゲート函体の水上構築状態図である。
【図16】 ゲート函体の設置状態図である。
【符号の説明】
1 水路部
2 突堤
3 基礎部
3b コンクリート保護マット
4 海底
5 ゲート函体
6 当接面の止水材
7 ガイド溝
8 ガイドレール
9 推進ジャッキ
10 ガイドプレート
11 函体支持装置
12 低摩擦機構
13 上下移動機構
14 函体受桁
17 止水溝
18 止水ゴムチューブ
19 止水材
20 緩衝材

Claims (3)

  1. 水路部を横断して水底に設置された基礎部と、基礎部上を移動して水路部を開閉する複数のゲート函体と、基礎部とゲート函体底面との間に設けられ、基礎部との摩擦を低減する低摩擦機構を備えた走行自在な函体支持装置と、基礎部とゲート函体とにわたり設けられた推進装置とからなり、上記基礎部を突堤の内側から水路部に設置し、その突堤の内側をゲート函体の格納部と、上記函体支持装置と推進装置とからなる移動装置の陸揚部に構成してなることを特徴とする水門
  2. 上記基礎部は、上面に並設したガイド溝の底面に函体推進用のガイドレールと共に敷設されたガイドプレートを備え、そのガイドプレートに上下移動機構を上部に有する上記低摩擦機構を設置してガイド溝内に走行自在に収容した上記函体支持装置と、上記ガイドレールに載せて牽引ロッドをゲート函体に連結し、そのガイドレールとゲート函体とに反力を交互に取って函体支持装置上のゲート函体と共に移動するガイド溝内の上記推進装置とを具備することを特徴とす請求項1記載の水門
  3. 上記函体支持装置は、上記上下移動機構の頂面に設けた函体受桁に油圧又は電動の車輪による自走装置を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の水門。
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