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JP3896764B2 - ロープの劣化状態判別方法、及びそれを用いたエレベータ - Google Patents
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ロープの劣化状態判別方法、及びそれを用いたエレベータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータ等に用いられるロープに係り、特にその劣化状態判別法、とそれを用いたロープ式エレベータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロープの寿命判定の方法として、特開平10−182036号公報では、エレベータの巻き上げに使用されるロープにおいて、ストランド内に負荷を保持しないチューブを設けて、そのチューブ内に不連続の透磁性のターゲットを設け、ロープが検出器を通過する際の磁場の変化から各ターゲット間の距離の変化を検出し、ロープの廃棄時期を判定する方法が記載されている。この磁場の変化を、高周波のレーダ光又はレーザ光を発生するモニタ装置をロープの長さ方向に対して垂直方向にビームを発生するように設置し、ターゲットからの反射を計測することが記載されている。
【0003】
又、特開平8−261972号公報には、合成繊維ケーブルを構成するストランド内にカーボン繊維からなる導電性インジケータ繊維を撚りこみ、電圧を印加することで破断する状態をモニタすることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
安全確保のため、ロープの劣化状態は適切に検出されなければならない。ロープが使用に耐えられなくなる前に、ロープの管理者はこれを把握しなければならない。特に、突然のロープ破断、あるいはロープを用いる機械システムの突然の停止を防止するため、ロープの劣化進行状態は、連続的にオンラインでモニタリングされ、変化する状態を把握しなければならない。これにより、消耗品としてのロープを計画的に交換し、機械システムとしての安全性、信頼性を向上させることができる。
【0005】
本発明の目的は、屈曲を繰り返したロープの劣化進行状態を経時的に把握し、ロープの廃棄時期を判定する方法及びそれを通報する装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、荷重支持部材として屈曲が繰り返し作用する箇所に使用されるロープの劣化状態を判別する方法において、前記ロープは各ストランド内に樹脂材料をコア材とした光ファイバが配設され、前記ロープの一端に発光手段を、他端に受光手段とを備え、前記ロープの屈曲を与える前の前記光ファイバ内を通過する透過光量に対する屈曲を繰り返した後の透過光量の比を透過光量保持率とし、予め測定した前記ロープの前記シーブ通過による屈曲回数に伴う前記ロープの破断強度と前記透過光量保持率とより前記ロープの破断強度の低下を検出するものである。
【0007】
また、上記において、前記ロープは、合成繊維の前記ストランドが複数本撚り合わされ、前記光ファイバの撚りピッチは、合成繊維の撚りピッチよりも短くされたことが望ましい。
【0008】
さらに、本発明は、乗りかごとカウンターウェイトが、複数のロープにより連結され、該ロープをシーブに巻きかけて摩擦駆動するエレベータにおいて、前記ロープを構成する各ストランドに樹脂材料をコア材とした光ファイバが配設され、前記ロープの一端に発光手段を、他端に受光手段とを備え、前記ロープの屈曲を与える前の前記光ファイバ内を通過する透過光量に対する屈曲を繰り返した後の透過光量の比を透過光量保持率とし、予め測定した前記ロープの前記シーブ通過による屈曲回数に伴う前記ロープの破断強度と前記透過光量保持率とより前記ロープの破断強度の低下を検出し、前記透過光量保持率の低下が許容値以内であれば運転を継続し、許容値を超えた場合は、前記乗りかごを最寄り階に停止させ、運転を終了するものである。
【0009】
また、上記のものにおいて、前記ロープは、外層に導電性材料の被覆と、最外層に非導電性の樹脂材料からなる被覆を施し、前記ロープの導電性材料からなる被覆と前記金属製シーブとの間に電源装置を備え、前記導電性材料からなる被覆と、前記金属製のシーブとの接触による導通を検出する手段と、導通したロープ箇所を記録する手段と、前記最外層樹脂被覆の摩耗、劣化と前記光ファイバの光量検出結果とから廃棄時期を判定する手段と、前記導通記録、及びロープが廃棄時期に至ったことをエレベータの管理者に伝える手段とを備えたことが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図1から図8を用いて説明する。
ロープの劣化は、破断強度の低下として表すことができる。特に動索として使用する合成繊維製ロープの場合、ロープのシーブ通過に伴う屈曲による繊維相互の相対的なすべりなどにより、繊維の部分的な破断が生じ、ロープ全体の破断強度が低下する。このとき、繊維相互のすべり量最大値は、ロープ径dと共に増加し、シーブ径Dの増加に伴い減少する。これより、ロープ径d、シーブ径Dの組合せ毎に、ロープのシーブ通過に伴う劣化進行のデータベースを作成し、ロープのある箇所での繰り返し曲げ回数の履歴を検出することにより、その箇所でのロープの劣化状態を判別することができる。
【0011】
このため、まず、ロープ屈曲回数の増加に伴う、ロープ破断強度の保持率の低下を測定した。図1にその実験結果を示す。図1において、横軸は屈曲回数で有り縦軸は破断強度の保持率を示したものである。本実験では、ロープをシーブに180度巻き掛け、張力はそのロープが持つ破断強度の10%として、繰り返しシーブを通過させた。使用したロープは径10mm、シーブは径200mm、および、300mmであり、ロープ寿命と関連が高いとされるシーブ径Dとロープ径dの比D/dは、それぞれ、20、30となる。屈曲回数が103回、104回、105回、106回に達した時点で、そのロープの破断強度を引張り試験機で測定し、屈曲させていない状態での破断強度と比較し、強度保持率を得た。実験結果から、屈曲回数の増加に伴い、強度保持率は低下し、その低下率は、D/dが20の方が、D/dが30のときよりも大きいことがわかる。
【0012】
次に、繰り返し曲げ伸ばしを受ける動索としてロープが使用された際、ロープのある箇所が受けた屈曲回数の履歴を検出する手段として、光ファイバに着目し、その妥当性を検証した。ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂材料をコア材としたプラスチック系光ファイバ(POF)は、屈曲が繰り返し作用すると、コア材料に「白化」が生じ、透過光量が低下する。このため、POFをロープ内に配置し、POF自体に屈曲を作用させ、白化させることにより、透過光量の低下を検出し、ロープの屈曲履歴を検出することができる。
【0013】
図2に、屈曲回数の増加に伴う透過光量保持率の低下を示す。本実験では、直径0.75mm、および1.0mmのPOFを用い、曲率半径200mmの円筒に180度巻き掛ける屈曲を繰り返した。屈曲回数が103回、104回、105回、106回に達した時点で、POFの透過光量を測定し、屈曲を与える前の透過光量と比較して、透過光量保持率を得た。直径2mm、および3mmのPOFは共に、屈曲回数の増加に伴い、透過光量保持率は低下した。POFの直径増加に伴い、最大発生曲げ応力も増加することから、直径3mmのPOFでは、直径2mmのPOFよりも白化が進み、透過光量保持率の低下が大きい。このため、使用するシーブ径から、適切にPOFの直径を選定すれば、予め測定したロープの屈曲回数に伴うロープ破断強度のデータと、ロープ内に配設されたPOFの透過光量保持率のデータとを照らし合わせることで、ロープの破断強度の低下を検出することができる。
【0014】
図3に本発明の、ロープの劣化状態検出方法の一実施例であるロープ1の断面図を示す。ロープ1は、アラミド繊維などの合成繊維2から構成されるストランド3を、複数本撚り合わせて構成される。各ストランド3には、それぞれ光ファイバ4が配設されている。本実施例では、各ストランド3の最外層には、ポリエチレン、ポリアミド、4フッ化エチレン、ポリウレタンなどの樹脂材料からなるストランド被覆5が施してある。ロープ1の最外層は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンなどの樹脂材料からなるロープ被覆6が施してある。光ファイバ4は、PMMAをコア材としたPOFが望ましい。なお、ロープ1での荷重支持部材となる合成繊維2の弾性率と光ファイバ4の弾性率の差から、光ファイバ4の撚りピッチは、合成繊維2の撚りピッチよりも短くし、光ファイバ4の軸方向荷重を低減させることが望ましい。また、光ファイバ4による情報通信を行うことも可能である。また、ストランド3を構成する材料は、合成繊維2に変えて鋼製の素線であっても良い。
【0015】
図4は本発明のロープ1の劣化状態を検出する方法の一実施例を示した図である。ロープ1中に配設された光ファイバ4の透過光量保持率を検出するシステムを示す。発光素子7は、半導体レーザ、発光ダイオード、固体レーザなどの光源からなり、コネクタ8を通じて、光ファイバ4の一端側に接続される。光ファイバ4内を伝送された光は、ロープ1中に生じた白化により減衰し、光ファイバ4の他端に設けたフォトトランジスタ、ピン型フォトダイオード、アバラシン・フォトダイオードなどの受光素子9によってその光量が検出される。検出された光量を図2に示した透過光量保持率、及び、図1に示した強度保持率とを照らし合わせ、ロープ1の劣化状態を判別する。すなわち、ロープ長が変化しても使用する光ファイバが同じであれば、白化前と白化後の変化量も略等価になるため図2の透過光量保持率を用いることができる。
【0016】
また、図4に示すように、発光素子7側に、カプラ10を介在して、受光素子9を設けた構成としても良い。本構成で受光素子9は、ロープ1中のある箇所に集中的に白化が生じた場合、その散乱反射波を検出しするものである。この場合、発光素子7が発光してから、受光素子9が受光するまでの時間差から、集中的に白化が生じた位置の特定が可能となる。
【0017】
図5は、本発明のロープ1の劣化状態検出方法を用いた、エレベータのロープ劣化状態判別演算装置の処理手順を示す。まず、図4に示したシステムを用いて、光ファイバ4の透過光量保持率を検出する。検出結果は、測定したロープ走行距離、延べ走行時間などと共に記録を行い、連続的な測定から得られるロープの劣化進行の経時的把握に活用される。また、この結果は、ロープの屈曲に伴う破断強度の低下、及び、POFの屈曲に伴う透過光量保持率の低下のデータベースに基づいて、予め設定、記録された透過光量保持率の許容値と比較を行う。透過光量保持率の低下が許容値以内であれば、通常運転を継続する。許容値を超えた場合は、乗りかごを最寄り階に停止させ、運転を終了する。また、この結果は、エレベータの管理者に通報される。以上示したように、検出結果を随時記録し、データベースとの比較を行うことにより、ロープ1の劣化進行状態を、経時的に把握することができる。このため、予め、ロープ1の寿命を予測し、余裕を持った交換時期を決定することができ、製品の安全、信頼性を向上させることができる。
【0018】
図6は、本発明の実施例であるロープ1を用いたエレベータの概略図である。ロープ式エレベータは電動機11、シーブ12、そらせ車13からなる駆動装置を備え、シーブ12に巻き掛けたロープ1の一方に乗りかご14の荷重を、シーブ12を介して他方にカウンタウェイト15の荷重を作用させ、ロープ1とシーブ12との間の摩擦により、乗りかご14、カウンタウェイト15を昇降させる機構を有している。ここで使用されるロープ1は、内部に光ファイバ4が配設されている。ロープ1の端部には、発光素子および受光素子ボックス16が設置され、ロープ1の内部に配設された光ファイバ4の白化状態を検出する。また、図中省略したロープ劣化状態判別演算装置がエレベータに備えられている。なお、乗りかご14にはかご位置検出器17が設置され、光ファイバ4による白化状態の検出、すなわちロープ屈曲回数のモニタリングに併せて、乗りかご2の移動量から、ロープ1の各箇所ごとのシーブ通過回数、すなわち屈曲回数もモニタリングされても良い。
【0019】
図7は本発明に係わるロープの劣化状態を検出する方法の一実施例であるロープ18の断面図を示す。ロープ18は、図3で示したロープ1の外層(ロープ被覆6の外側)に導電性材料から構成される導電性被覆19と非導電性被覆20を施したものである。導電性被覆19は、導電性樹脂、金属網、金属線などから構成される。また、非導電性樹脂被覆20は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンなどの樹脂材料から構成される。また、ロープ1の寿命と比較して、非導電性樹脂被覆20の摩耗が早く進むよう、すなわち、導電性被覆19の露出が早くなるよう、最外層樹脂20の材質、厚さは決定される。
【0020】
図8は本発明に係わるロープ18の劣化状態を検出する方法の一実施例である、ロープ18中に配設された導電性被覆19と、金属製シーブ21との導通を検出するシステムを示す。ロープ18の非導電性樹脂被覆20が、金属シーブ21との接触を繰り返し、摩耗が進むと、導電性被覆19が露出し、金属シーブ21と接触する。電源22からの電流が、導電性被覆19と金属シーブ21との間で流れると、導通検出器23が検出する。この検出結果を、図中省略した劣化状態判別演算装置が受け取り、先に述べた光ファイバの検出結果と合わせて、ロープ18の廃棄時期を判別する。また、かご位置検出器17からのロープ位置情報をもとに、ロープ18の導電性被覆19が露出した箇所を特定することができる。これらの検出結果は、図中省略した劣化状態判別演算装置から、エレベータ管理者に通報される。このように、最外層の被覆が破損した状況まで加味してロープの寿命を判断でき、寿命の判断精度が向上する。
【0021】
本発明によるロープの劣化状態判別方法は、エレベータ以外の装置、例えば、クレーン、ダムウェータ、巻き上げ機など、動索としてのロープを使用する機械システムにも適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているため、ロープの劣化進行状態をオンラインで連続的に把握することができ、ロープ交換、廃棄の時期を迅速に決定することができる。このため、エレベータなどの機械システムの安全性、信頼性を向上させることができる。また、ロープの劣化進行状態の記録、通報の自動化により、メンテナンスの省力化に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるロープの劣化状態判別方法の、ロープ破断保持率と、屈曲回数の関係を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例であるロープの劣化状態判別方法の、光ファイバの透過光量保持率と屈曲回数の関係を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例であるロープの劣化状態判別方法の、ロープの断面図を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施例であるロープの劣化状態を検出する方法の、ロープ中に配設された光ファイバの透過光量保持率を検出するシステムを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施例であるロープの劣化状態を検出する方法を用いたエレベータの、ロープ劣化状態判別演算装置の処理手順を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施例であるエレベータの概略図である。
【図7】本発明の一実施例であるロープの劣化状態判別方法の、ロープの断面図を示す概略図である。
【図8】本発明の一実施例であるロープ中に配設された導電性被覆と、金属製シーブとの導通を検出するシステムの概略図である。
【符号の説明】
1…ロープ、2…合成繊維、3…ストランド、4…光ファイバ、5…ストランド被覆、6…ロープ被覆、7…発光素子、8…コネクタ、9…受光素子、10…カプラー、11…電動機、12…シーブ、13…そらせ車、14…乗りかご、15…カウンタウェイト、16…発光素子および受光素子ボックス、17…かご位置検出器、18…ロープ、19…導電性被覆、20…非導電性樹脂被覆、21…金属製シーブ、22…電源、23…導通検出器。

Claims (4)

  1. 乗りかごとカウンターウェイトが、複数のロープにより連結され、該ロープをシーブに巻きかけて摩擦駆動するエレベータに使用されるロープの劣化状態を判別する方法において、
    前記ロープは各ストランド内に樹脂材料をコア材とした光ファイバが配設され、前記ロープの一端に発光手段を、他端に受光手段とを備え、
    前記ロープの屈曲を与える前の前記光ファイバ内を通過する透過光量に対する屈曲を繰り返した後の透過光量の比を透過光量保持率とし、予め測定した前記ロープの前記シーブ通過による屈曲回数に伴う前記ロープの破断強度と前記透過光量保持率とより前記ロープの破断強度の低下を検出することを特徴としたロープの劣化状態判別方法。
  2. 請求項1記載のロープの劣化状態判別方法において、前記ロープは、合成繊維の前記ストランドが複数本撚り合わされ、前記光ファイバの撚りピッチは、合成繊維の撚りピッチよりも短くされたことを特徴としたロープの劣化状態判別方法。
  3. 乗りかごとカウンターウェイトが、複数のロープにより連結され、該ロープをシーブに巻きかけて摩擦駆動するエレベータにおいて、
    前記ロープを構成する各ストランドに樹脂材料をコア材とした光ファイバが配設され、前記ロープの一端に発光手段を、他端に受光手段とを備え、
    前記ロープの屈曲を与える前の前記光ファイバ内を通過する透過光量に対する屈曲を繰り返した後の透過光量の比を透過光量保持率とし、予め測定した前記ロープの前記シーブ通過による屈曲回数に伴う前記ロープの破断強度と前記透過光量保持率とより前記ロープの破断強度の低下を検出し、前記透過光量保持率の低下が許容値以内であれば運転を継続し、許容値を超えた場合は、前記乗りかごを最寄り階に停止させ、運転を終了することを特徴とするエレベータ。
  4. 請求項3記載のエレベータにおいて、前記ロープは、外層に導電性材料の被覆と、最外層に非導電性の樹脂材料からなる被覆を施し、前記ロープの導電性材料からなる被覆と前記金属製シーブとの間に電源装置を備え、前記導電性材料からなる被覆と、前記金属製のシーブとの接触による導通を検出する手段と、導通したロープ箇所を記録する手段と、前記最外層樹脂被覆の摩耗、劣化と前記光ファイバの光量検出結果とから廃棄時期を判定する手段と、前記導通記録、及びロープが廃棄時期に至ったことをエレベータの管理者に伝える手段とを備えたことを特徴としたエレベータ。
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