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JP3897677B2 - 加圧ボールペン用インキ組成物 - Google Patents
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JP3897677B2 - 加圧ボールペン用インキ組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧ボールペン用インキ組成物に関し、更に詳しくは、高温での長期保存時に、ペン先からインキの溶液部分が押し出され、ペン先内部に固形分が濃縮されることに起因して筆記不良が起きる現象(以下、単に、「濾過現象」と呼ぶ)に対して、優れた耐性を持つ加圧用ボールペンに好適な加圧ボールペン用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボールペンには、ボールペン先とインキ収容管及びそれに充填されたインキからなる重力式(大気開放型)と、インキ充填後のインキ充填管内または、インキ充填管をその中に含む密閉された容器内に、窒素ガス等の加圧ガスを封入した、いわゆる加圧式ボールペンが知られている。
【0003】
この加圧式ボールペンは、上向き筆記や特殊機能を持たせたインキを流出させることができるといった利点はあるが、インキが充填されたインキが常に加圧されているために、ペン先から少量のインキが漏れ出す恐れがある。
これを防止するためには、インキの見かけ粘度を高くしなければならず、これによって、筆記感が重くなる等の問題があり、更に、冬期にはそれが更に顕著になるといった問題があった。
【0004】
一方、加圧した筆記又は標記器具としては、ボール周りにインキ又は流体を流出させない筆記具とすることを主眼とし、該筆記具の書写用流体は少なくとも1種の溶剤及び着色剤と、上記溶剤に可溶性であって書写用流体の他の成分と共に該流体に粘弾性、強凝集性、強粘着性、流体抵抗性及びフィルム形成性を与える少なくとも1種のポリマーとよりなり、該書写用流体は100000cps以上の粘度(ブルックフィールドLMT粘度計に第5円筒形スピンドルを用い、25℃、0.3rpmにおいて測定して)を持ち、かつ上記ポリマーとして交差連結カルボキシポリメチレン型ポリマーまたはポリビニルピロリドン型ポリマー、またはこの両者を用いたことを特徴とするボールペン筆記具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、加圧ボールペン用インキとして、高級脂肪酸石鹸を含むチキソトロピックな加圧ボールペン用インキ、並びに、その粘度は実施例から600000cps〜800000cpsとなるインキが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、50000cps以上の粘度に設定した、金属光沢を有するインキ組成物が知られ(例えば、特許文献3参照。)、また、プロツターに使用される加圧ボールペン用インキとして、その粘度が40000〜500000cpsの範囲が好ましいインキが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特公昭47−48565号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開昭50−096336号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】
特開昭60−186574号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】
特開昭62−7775号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載される加圧用ボールペンインキ組成物等は、その粘度が高いため、筆感が重く、機械に筆記させるプロッターペンとしては適していても、特に冬期に手書き筆記する場合は未だ重い筆感となる点に課題があるものである。
ところで、インキ組成物を比較的低粘度にした場合には、インキ吹き出しの他に、長期保存安定性に欠けるという問題が発生する。原因は定かではないが、顔料、シリカ凝集塊等がインキ中に存在する場合には、ペン先内部で固形分が流動性を失うことが原因と思われる。
【0008】
他方、重力式(大気開放型)ボールペン用インキについてであるが、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアリールエーテルのリン酸エステルを添加したインキが知られ(例えば、特許文献5参照。)、また、リン酸モノエステル又はその塩、リン酸ジエステル又はその塩等のリン酸誘導体を添加し、ともに初期および長期の経時後も滑らかな書き味を維持するインキ組成物が知られている(例えば、特許文献6参照。)。
更に、酸性ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルのモルホリン塩又はアルキルアルカノールアミン塩を添加し、キャップをしない状態で放置した後も滑らかな書き味を維持するインキ組成物が知られている(例えば、特許文献7参照。)。
また、ノニルフェノール系リン酸エステルを添加し、滑らかな書き味とチップ摩耗を抑制するインキ組成物が知られている(例えば、特許文献8参照。)。
【0009】
【特許文献5】
特開平9−111177号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献6】
特開平9−194783号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献7】
特開平11−21495号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献8】
特開平11−293174号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0010】
しかしながら、上記特許文献5〜8に記載されるボールペン用インキ組成物に配合される高分子物質としては、ケトン樹脂やキシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が例示されているが、インキ中にシリカを含む凝集塊が存在した場合については何等記載も示唆もされておらず、しかも、このインキ組成物は初期的にはインキ吐出性が良くても、高温の長期保存試験において、ペン先からインキの溶液部分が押し出され、ペン先内部に固形分が濃縮されるなど保存安定性に欠ける点に課題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、滑らかな筆感、描線が得られるボールペン用インキ組成物、特に、高温の長期保存においても保存安定性に優れた加圧用ボールペンに好適なボールペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、少なくとも顔料を含む色材及び溶剤を含有するボールペン用インキ組成物において、該インキ組成物にシリカを含む凝集塊及び特定成分を含有せしめることにより、上記目的のボールペン用インキ組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 少なくとも着色剤と溶剤と樹脂とを含有する加圧ボールペン用インキ組成物において、粒子径1〜200μmのシリカ凝集体とリン酸エステルとを含有し、25℃における粘度が、10000mPa・s〜36500mPa・sであることを特徴とする加圧ボールペン用インキ組成物。
(2) 樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を少なくとも含む上記(1)記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
(3) シリカの比表面積が80m2/g以上である上記(1)又は(2)に記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
(4) リン酸エステルの含有量が、インキ組成物全量に対して、0.3重量%〜3重量%である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のボールペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤と溶剤と樹脂とを含有する加圧ボールペン用インキ組成物において、粒子径1〜200μmのシリカ凝集体とリン酸エステルとを含有し、25℃における粘度が、10000mPa・s〜36500mPa・sであることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に用いる着色剤としては、ボールペン用に用いられている着色剤であれば、特に限定されず、染料や顔料などが挙げられる。
染料としては、例えば、油溶性染料が挙げられ、具体的には、田岡染料製造社製のRhodamine B Base(C.I.Solvent Red 49)、中外化成社製のSoldan Red 3R(C.I.Solvent Red 18)、National Aniline Div.製のMethyl Violet 2B Base(C.I.Solvent Violet 8)、BASF社製のVictoria Blue F4R(C.I.Solvent Blue 2)、NIGROSINE BASE LK(C.I.Solvent Black 5)、オリエント化学工業社製のVALIFAST Yellow 3104(C.I.Solvent Yellow 19)、VALIFAST Yellow 3105(C.I.Solvent Yellow 21)、SPIRIT BLACE AB(C.I.Solvent Black 5)、NIGROSIN BASE EX,EE,EEL,EX−BP、EB(C.L.Solvent Black 7)、VALIFAST BLACE 3804(C.I.Solvent Black 34)、VALIFAST Yellow 1109、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST RED 1320、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST VIOLET 1701、保土谷化学工業社製のSpilon Black GMH special(C.I.Solvent Black 43)、Spilon Yellow C−2GH、Spilon Yellow C−GNH、Spilon Red C−GH、Spilon Red C一BH、Spilon Blue BPNH、S.B.Blue 70l、Spilon Blue C−RH、Spilon Violet C−RH、S.P.T.Orange−6、S.P.T.Blue−111などが挙げられる。
【0015】
また、顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン顔料等の無機顔料、タルク、アルミナ、マイカ、アルミナシリケート等の体質顔料、アゾ・縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系原料、アンスラキノン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、各種レーキ顔料等の有機顔料、蛍光顔料、パール顔料、金色、銀色等のメタリック顔料等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いる着色剤は、上記した染料、顔料の1種又は2種以上、或いは上記した染料、顔料を混合して用いてもよく、好ましくは、鮮やかな描線濃度を発揮せしめる点から顔料を含むことが望ましい。
これらの着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、合計で10〜60重量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、30〜50%含むことが好ましい。
これらの着色剤が10%未満では、描線濃度等で薄くなる等の弊害が発生し、60%より多く含むと、流動性や溶解成分の溶解性が悪くなり、保存安定性が悪くなり、好ましくない。
なお、着色剤中の顔料の含有量は、描線の堅牢性の面から、インキ組成物全量に対して3重量%以上、3〜30重量%とすることが望ましい。
【0017】
本発明に用いるリン酸エステルは、シリカを含む凝集塊を含むインキのボールペンとして長期保存性の安定化のために含有するものである。
製品として組み立てた後、50℃条件の長期保存試験を行った場合、ペン先からインキの溶液部分が押し出され、ペン先内部に固形分が濃縮されることに起因して筆記不良(以下濾過現象と呼ぶ)が発生することがある。この対策として、リン酸エステルの含有が有効であり、この濾過現象の発生をほぼ完全に抑えることができる。この作用の要因等は不明であるが、インキの乾燥膜が均一になる、乾燥膜のひび割れを防止する等、インキ−チップ界面に何らかの作用をしていると推察される。
【0018】
本発明に用いるリン酸エステルは、通常、リン酸モノエステル、ジエステル及び微量のトリエステルからなるものであり、芳香族、若しくは脂肪族の官能基と酸化エチレン基とリン酸基より構成される界面活性剤である。
具体的には、東邦化学社製の、フォスファノールRE−410,LE−500,RE−610,LE−700,RM−410,LM−400,LF200,LF205,RP−710,LP−700,RS−410,LS−500,RD−510Y,RB−410,LB−400,RA−600,GB−520,RD−720,ML−200,ML−220、第一工業製薬社製のA212E,A210G,AL,A212C,A215C,A208B,A208S,A208F等が挙げられる。
【0019】
これらのリン酸エステルの含有量は、インキ組成物全量に対して、0.3〜3.0%、更に好ましくは、0.5〜2%とすることが望ましい。
これらのリン酸エステルが0.3%未満では、濾過現象を抑制することができず、3%を越えて多い含有量では、大きな変化が望めない上に、経時安定性に悪影響となり、好ましくない。
【0020】
本発明に用いるシリカは、筆記性及びクリアドレーン性に悪影響を及ぼすことなく、インキ組成物中に少なくともシリカを含む凝集体を形成せしめて加圧ボールペンにおけるインキ漏れを防止するために含有するものである。
用いることができるシリカとしては、特に無水シリカが好ましく、具体的には、日本アエロジル社製の50、90G、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、972R、972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、R812S、OX50、TT600、RX200、RY200、RY200でAL203との混合品として、MOX80、MOX170、CABOT社製のL90、LM−130、LM−5、M−5、M−5P、PTG、MS−55、MS−75、HS−5、EH−5、TS−530、TS−610、TS−720等が挙げられる。
好ましいシリカとしては、インキ中での凝集体(凝集塊)の形成のしやすさの点から、BET法による比表面積が80m2/g上で、特に好ましいものは、200m2/g以上450m2/g以下のものを含むものが望ましい。
これらのシリカの含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜5%、好ましくは、1〜3%、更に好ましくは、2.0〜2.5%とすることが望ましい。
このシリカの含有量が0.5%未満であると、インキ漏れ防止効果が少なくなり、逆に、5%を越えると、インキの粘度が非常に高くなり、手書き筆記用のボールペンとして不都合を生じることとなり、好ましくない。
【0021】
本発明に用いる樹脂は、定着性向上、筆跡の裏写り防止の他、顔料等の分散剤としての機能や粘度調整、染料の溶解促進のために含有するものである。
用いることができる樹脂としては、例えば、トルエンスルホンアミド・エポキシレジン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びこれらを水素添加した樹脂、マレイ酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合休、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロンーインデン樹脂、ポリテルペン、テルペン樹脂類、テルペン−フェノール樹脂類、キシレン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、ポリオキシエチレンやフェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独であるいは2種以上混合して使用することができる。
これらの樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して、1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは、1〜20重量%とすることが望ましい。
【0022】
本発明に用いる上述の樹脂において、更に、シリカを含む凝集体の分散性を向上させてインキ組成物の粘度上昇を防止すると共に、シリカを含む凝集体の吹き出し防止性向上のために、ポリビニルブチラール樹脂を含有することが望ましい。
具体的なポリビニルブチラール樹脂としては、デンカブチラ−ル#2000−l、#2000−2、#2000−D、#3000−l、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−l、#4000−2、#5000−S(電気化学工業社製)、エスレックBL−1、BL−1H、BL−2、BL−3、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BX−1、BX−7(以上、積水化学工業社製)などが挙げられる。
これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
これらのポリビニルブチラール樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%とすることが望ましい。
このポリビニルブチラール樹脂の含有量が0.5重量%未満であると、更なる顔料等の分散効果がなく、また、10重量%を越えると、インキ全体の粘度が高くなり、好ましくない。
【0023】
本発明に用いる溶剤は、粘度調整と染料の溶解促進、顔料等の分散調整、インキの乾燥性調整のために含有するものである。
用いることができる溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレグリコールモノへキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等のエーテル系溶剤、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール等のアルコール系溶剤やプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチルー2−ピロリドンロジンアルコール、水(精製水、イオン交換水、純水、海洋深層水)などが挙げられ、これらの溶剤は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらの溶剤の含有量は、後述する補助溶剤を含めて(合計含有量が)、インキ組成物全量に対して、30〜80重量%が好ましく、更に好ましくは、35〜60重量%とすることが望ましい。
【0024】
本発明では、更に、本発明の効果を損なわない範囲で、潤滑剤として高級脂肪酸、金属石鹸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤等を含有することができ、特に、オレイン酸が最も好適に用いられる。また、その他適宜な界面活性剤などの分散剤等必要に応じて使用できる。
【0025】
本発明において、インキ組成物の粘度は、一般のボールペン用インキの粘度範囲であれば、特に限定されないが、優れた筆記性及び描線濃度を発揮せしめる点、並びに、加圧ボールペン等に好適に用いる場合には、25℃における粘度が、10000mPa・sec〜36500mPa・secに調整することが好ましく、更に好ましくは、20000mPa・sec〜35000mPa・secとすることが望ましい。
この粘度が40000mPa・seを越えて粘度が高くなると、筆感が重くなり、滑らかに書きづらくなり、逆に、10000mPa・sec未満であると、インキ吹き出しが十分に抑制されず、好ましくない。
【0026】
本発明において、シリカを含む凝集体(凝集塊)の形成は、例えば、撹拌時間の長さ、撹拌力等で調整することができる。また、顔料等の分散装置・乳化装置も利用して調整することができる。本発明の加圧ボールペン用インキ組成物は、粘凋インキのため、ロールミルの利用が可能である。
本発明のインキ組成物中のシリカ凝集体の大きさは、lμm以上が好ましく、これにより、効率よくペン先からのインキ漏れを防止することができる。なお、このシリカの凝集体の大きさが200μmを越えて塊が存在すると、インキ漏れは防止するが、筆記時にボールの回転が阻害され、ひっかかり感がでたり、一部かすれたりすることが発生しやすくなり、好ましくなく、好ましくは、1〜100μmのものが望ましい。
【0027】
本発明の加圧ボールペンインキ組成物は、上記各成分を好適に組合わせ、従来公知のインキ組成物の製造方法を適用して、撹拌時間の長さ、撹拌力、粘度等などを好適に調整してインキを製造することができる。
具体的には、溶剤溶解成分は撹拌混合機で各成分を溶解することによって目的の加圧ボールペン用インキ組成物等を得ることができ、顔料等を用いた場合には分散混合機で顔料を分散剤、他の成分と共に分散させ、その後、必要成分を追加混合することによって目的の加圧ボールペン用インキ組成物等を得ることができる。
なお、製造時、染料などの固形物を溶解させるために加熱することや、有機顔料などの粗大粒子を除去するためにフィルター、遠心分離機等を用いることなど必要に応じて使用できる。
【0028】
本発明のインキ組成物を充填する加圧式のボールペン構造としては、金属製又は樹脂製のインキ収容管と、該インキ収容管の片側に少なくともボールとホルダーから構成されるチップが装着され、前記インキ収容管にインキが充填され、その後方より加圧ガスが充填され、該加圧ガスの圧力によりインキをチップ方向に押し出すようにした加圧式のボールペン構造であれば、特に限定されるものではなく、例えば、インキ充填後のインキ充填管内または、インキ充填管をその中に含む密閉された容器内に、窒素ガス等の加圧ガスを封入したリフィールを備えた加圧式ボールペンまた一時的に加圧したり、蓄圧する等の加圧ボールペンなどが挙げられる。
図1は、ガス加圧式ボールペンを示す具体的実施形態の一例であり、このボールペンAは、先端に筆記チップ10が設けられて内部に筆記チップに供給する本発明のインキ組成物11が収容され、かつ、後方の開放された例えば、PP製インキ収容管(チューブ体)12と、該インキ収容管12の後方開放部と連通する空間13を設け、該インキ収容管12の少なくとも一部を内包する収容筒体14とを有し、該収容筒体14をガス低透過性又はガス不透過性を有する部材(例えば、EVOH)で構成し、上記インキ収容管12と収容筒体14との間に設けた空間内に加圧ガスを封入してなるものである。なお、15は、軸体(例えば、PP製)である。
【0029】
このように構成される本発明では、少なくとも着色剤と溶剤からなるボールペン用インキにおいて、シリカを含む凝集塊を含むことで、インキ吹き出しが防止され、また、リン酸エステルが添加されていることにより、ペン先での濾過現象が防止されることにより、高温での保存でも安定性がよく、ひいては長期間の保存後の筆記性に優れたインキとなる。
なお、本発明の加圧ボールペン用インキ組成物は、その配合組成から、すなわち、粘着ないし接着性のある樹脂を含み、着色剤は溶解又は微細に分散しているため、紙面等に速やかに浸透し美麗な描線を形成するため、紙面等に筆記した筆記描線は消しゴムで消去することができないものである。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を製造例、実施例及び比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
得られた各インキの25℃の粘度は、コーンプレート型粘度計(株式会社トキメック製:TV−20タイプ)で測定した。
【0031】
〔実施例1〜6及び比較例1〜4〕
下記表1に示す配合組成及び下記方法によりインキ組成物を調製した。
(実施例1〜6)
加温装置付き撹拌機に溶剤成分を投入後、50℃に加温した後、樹脂成分、着色剤成分、その他の成分を順次添加後5時間撹拌し、次いでシリカの分散液を撹拌しながら添加し、更に5時間撹拌した後、3μmのフィルターを通してインキ組成物を調製した。
【0032】
(比較例1〜4)
加温装置付き撹拌機に溶剤成分を投入後、50℃に加温した後、樹脂成分、着色剤成分、リン酸エステルを除くその他の成分を順次添加後5時間撹拌し、次いでシリカの分散液を撹拌しながら添加し、更に5時間撹拌した後、3μmのフィルターを通してインキ組成物を調製した。
【0033】
得られた各インキ組成物について下記方法により、シリカ凝集体の有無、加圧ボールペンでの経時安定性、描線堅牢性、インキ漏れ試験を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
【0034】
〔シリカ凝集物塊の有無、大きさの測定方法〕
各インキ状態は、接眼・対物10×10の倍率顕微鏡でインキを観察し、状態を写真撮影した。
各個別のシリカ凝集物の有無及び塊は、対物ミクロスケール(最小目盛10μm)にてその有無及びその大きさを測定した。
用いたスライドグラス・カバーグラスは、通常の生物顕微鏡で使用されるもので、試料の厚みもほぼ一定になるため、特に問題ない。なお、より正確な厚みで試料を作成する場合は、血球計算盤、バクテリア計算盤などの深さが一定になるものを使用してもよい。
【0035】
〔加圧ボールペンでの評価法〕
上記で得た実施例1〜6及び比較例1〜4のインキ組成物について、下記方法により加圧ボールペンでの評価を行った。
上記各実施例及び比較例で調製した各インキ組成物0.3mlをポリプロピレンインキ収容管に充填し、片方にステンレスチップ(ボールは超鋼合金で、ボール径1mm)を装着し、更にインキ後方から窒素ガスで概略3000hpaの圧力を維持した状態で密閉リフィール状態にして試験用の加圧油性ボールペンを作製し、下記条件下で筆記性試験をした。なお、各インキ収容管は、内径1.7mm、厚さ0.65mmである。
得られた各試験用ボールペンについて、下記方法で、経時安定性、描線堅牢性、インキ漏れ試験を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
【0036】
〔経時安定性の評価方法〕
組み立てたペン体を50℃の恒温槽に5本横向きに放置し、3ヶ月後に筆記可能かどうかを下記評価基準で評価した。なお、筆記前にペン先から溶液部が押し出されていないかどうかを観察した。
評価基準:
◎:3ヶ月放置しても筆記可能。
○:3ヶ月放置後は初期に書き渋りが発生するが筆記可能。
△:3ヶ月放置後は1〜2本筆記不能。
×:3ヶ月放置後は3本以上筆記不能。
【0037】
(描線堅牢性の評価方法)
得られた各ペン体を用いて筆記用紙に丸書き筆記し、筆記描線にキセノンランプ1灯(2.5Kw)を100時間照射し、描線の退色状態を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:描線がはっきりと視認可能。
○:描線が判別できる。
△:描線が判別できない。
×:
【0038】
(インキ漏れ試験の評価方法)
試験用ボールペンを捨て書きした後、温度25℃、湿度60%で7日間で放置して、ペン先から漏れ出したインキの量を測り、試料数10本中の最頻値をとり、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:インキ漏れが全くない。
○:ペン先に極少量のインキ漏れが認められる。
△:ペン先に中程度のインキ漏れが認められる。
△△:ペン先に多量のインキ漏れが認められる。
×:インキが漏れ落ちた。
【0039】
【表1】
Figure 0003897677
【0040】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲内となる実施例1〜6は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、高温での優れた経時安定性、優れた描線堅牢性、優れた耐インキ漏れ性が得られるボールペン用インキ組成物となることが判明した。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、滑らかな筆感、描線が得られる加圧ボールペン用インキ組成物、特に、高温での優れた経時安定性、優れた描線堅牢性、優れた耐インキ漏れ性を有する加圧ボールペン用インキ組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる加圧ボールペンの一例を示す縦断面図である。

Claims (4)

  1. 少なくとも着色剤と溶剤と樹脂とを含有する加圧ボールペン用インキ組成物において、粒子径1〜200μmのシリカ凝集体とリン酸エステルとを含有し、25℃における粘度が、10000mPa・s〜36500mPa・sであることを特徴とする加圧ボールペン用インキ組成物。
  2. 樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を少なくとも含む請求項1記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
  3. シリカの比表面積が80m2/g以上である請求項1又は2に記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
  4. リン酸エステルの含有量が、インキ組成物全量に対して、0.3重量%〜3重量%である請求項1〜3の何れか一つに記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
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