JP3898594B2 - 酸素センサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス中の酸素濃度を測定するのに用いられ、発熱体を具備する板状の酸素センサ素子の改良に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、環境問題がクローズアップされ、各業界にて地球環境を最優先とする取り組みがなされている。とりわけ、自動車業界においては、アメリカのカルフォルニア州の排気ガス規制に代表されるように年々、排気ガス中のCO2、CO、HC、NOx量を低減していくことが世の中の流れになってきている。その中で、更なる排気ガス中の上記ガスを低減するためには、効率よく燃料を燃焼させてやることが重要であり、そのためにも排気ガス中の残存酸素量を瞬時に測定し、その情報を燃焼系に速くフィードバックしてやることができる酸素センサの要望が高まりつつある。
【0003】
酸素センサは、これまで、排気ガスの熱を利用して、コップ状の酸素センサを昇温し、センサ機能を出現させてきた。しかし、センサ機能が出現するまでの間の、排気ガスは垂れ流しの状態にあり、昨今の厳しい排気ガス規制には対応しきれなくなってきた。
【0004】
そこで、図3に示すように、固体電解質からなるコップ状基体41の封止された先端部の外側に測定電極42、内側に基準電極43を形成した酸素センサの内部にヒータ44を配設し、先端部を積極的に加熱することによって、速くセンサ機能を出現できるようになり、よりレスポンス良く、情報をフィードバックできるようになってきた。
【0005】
しかしながら、コップ状の酸素センサにおいては、サイズが大きく、更に、センサ部とヒータ部との距離が大きいために、より速くセンサ機能を出現させるためには限界があった。
【0006】
そこで、最近では、図4に示すように、板状の酸素センサと呼ばれるような、大気導入孔51を内蔵した固体電解質基板52の外側表面に測定電極53、大気導入孔51側の内壁に基準電極54を形成し、このセンサ部に隣接して絶縁層55中に発熱体56を埋設したヒータ部を積層一体化することで、昇温スピードを高めて、より速くセンサ機能を出現できるようになる酸素センサが開発されてきつつある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記板状酸素センサの製造にあたっては、電極などの導体パターン等が印刷されたグリーンシートおよび導体パターンのないグリーンシート等を積層密着させた後、焼成して板状酸素センサを形成しているが、大気導入孔51に並列して、発熱体56を埋設した絶縁層55を積層すると、積層密着時に、大気導入孔51が形成された部分のプレス圧が低下するために、ヒータ部にプレス圧が均一にかからなくなるため、シート間に空気が巻き込まれて密着力が低下するという課題があった。その結果、積層時のグリーンシートの生密度が不均一となり、焼成後に収縮差による反りが発生する原因となっていた。
【0008】
また、板状酸素センサとして、大気導入孔51を挟んで積層方向の片面側にセンサ部、その反対側にヒータ部を形成した場合、センサ部に較べてヒータ部の温度が200〜300℃高めになるため、ヒータ部の外表面に引張応力が掛かり、この引張応力により疲労してヒータ部の絶縁層55にクラックが発生し、発熱体56が断線するという問題があった。
【0009】
これを防止するためには、ヒータ部の厚みを厚くして応力を吸収することが有効であるが、ヒータ部の厚みを厚くすると酸素センサ素子の熱容量が大きくなり急昇温の性能が低下するので好ましくない。
【0010】
本発明は前記課題に対してなされたものであり、その目的は、板状の酸素センサにおいて、各シート間の密着力を向上させ、反りやクラックの発生を解消することができ、しかも耐久性が良好な酸素センサ素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題に対して、鋭意研究した結果、これまでのセラミック絶縁層に発熱体を埋設したヒータ部を大気導入孔と平行して設けていたのを、大気導入孔を形成する側壁部に設けることによって、積層密着時のプレス圧が不均一になり、密着不良が発生するのを防止でき、その結果、反りやクラックの発生も防止できることを見出し、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明の酸素センサ素子は、内部に大気導入孔を有するセラミックスからなる板状の基体と、該基体の一主面にのみ形成された測定電極と、前記測定電極と対向する大気導入孔の内壁に形成された基準電極と、を備えた酸素センサ素子であって、前記大気導入孔を形成する両方の側壁部の一部に、発熱体を埋設したセラミック絶縁層が設けられ、前記大気導入孔及び前記セラミック絶縁層が前記基体の厚み方向の略中央部に配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
かかる酸素センサ素子によれば、特に、前記基体における前記測定電極と前記基準電極によって挟まれた壁部、および該壁部と大気導入孔を挟んで対向する反対側の壁部が、セラミック固体電解質からなることが望ましく、さらには、前記基体における前記測定電極と前記基準電極によって挟まれた壁部、および該壁部と大気導入孔を挟んで対向する反対側の壁部が、同じ厚みであることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の酸素センサ素子の一例について、図1の(a)概略平面図と、(b)x−x断面図をもとに説明する。
図1の酸素センサ素子1によれば、板状の固体電解質からなる基体2は一端が封止された中空の大気導入孔3が設けられており、その大気導入孔3の内壁の一部には基準電極4が被着形成され、その基準電極4と対向する固体電解質基体2の外側表面には、被測定ガスと接触する測定電極5が形成されており、センサ部Aを形成している。また、基体2の表面または大気導入孔3の内壁には、一端が基準電極4や測定電極5と電気的に接続された電極リード5aや電極パッド5bが形成されている。
【0015】
一方、基体2の大気導入孔3の側壁部には、発熱体6を内蔵したセラミック絶縁層7が設けられており、この発熱体6およびセラミック絶縁層7によってヒータ部Bを形成している。
【0016】
このような本発明の構造においては、セラミック絶縁層7内に発熱体6を埋設したヒータ部Bが大気導入孔3の側壁内に形成されているために、セラミック絶縁層7の上下面に均一にプレス圧がかかるようになる。そのため密着積層時における密着力が向上するようになる。また、セラミック絶縁層7全体にプレス圧が均一にかかるため、密度差が起きにくく、焼成後、収縮差による影響が少なくなり反りが発生しにくくなる。
【0017】
さらに、大気導入孔3内部にカーボンなどを埋め込みプレスすれば、ヒータ部Bへの圧がより均一になりより強固な密着力が得ることが可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、上記のセラミック絶縁層7内に発熱体6を埋設したヒータ部Bが、大気導入孔3を有する板状の基体2の略中心の位置に形成されていることが望ましい。略中心とは、酸素センサ素子1の断面図における中心線Pにセラミック絶縁層7が存在する、特に、中心線P上に発熱体6が存在することが望ましい。このように、大気導入孔3を有する板状の基体2の略中心の位置にヒータ部Bを形成することにより、密着積層時におけるプレス圧がより均一になり、また、焼成後の反りもより、発生しにくくなる。
【0019】
さらに、図1(b)に示すように、基体2における測定電極5と基準電極4によって挟まれた壁部は、センサ部Aを形成するためにセラミック固体電解質によって形成されるが、このセンサ部Aを形成する壁部と大気導入孔3を挟んで対向する反対側の壁部もセンサ部Aを形成するセラミック固体電解質からなることが望ましく、特に、センサ部Aにおける厚みと同じ厚みで形成されていることが望ましい。これによって、基体2は、中央部にセラミック絶縁層7が存在し、その両側に、セラミック固体電解質からなる層が配置されているために、セラミック固体電解質とセラミック絶縁層7との熱膨張係数や焼成収縮差等に相違に起因する反りの発生を防止することができる。
【0020】
また、ヒータ部Bを中心線P付近に形成することにより、発熱体6によりセンサ部Aを加熱した際に、酸素センサ素子表面に異常な引張応力が発生することを防止できるので、これにより発熱体の断線を防止し酸素センサ素子の耐久性を向上させることが可能となる。ヒータ部Bが中心線Pより大きく外れると、ヒータ部Bの温度がヒータ部Bに対向する部分の温度より200〜300℃高くなるので、ヒータ部Bが膨張して発熱体6が形成された部分の外表面側が凸になるように反りが発生し、これにより外表面側に引張応力が働くようになり、長期間の加熱により前記外表面側のセラミックスが粒界破壊するようになる。
【0021】
特に、発熱体6を含むヒータ部Bが、大気導入孔3の壁面全体に形成されるような従来の構造の酸素センサ素子においては、大気導入孔3の側壁部の熱引きにより前記壁面の中心部が外周部より温度が高くなるので、前記のような反りがいっそう発生し易くなる。
【0022】
本発明のように、大気導入孔3の側壁部にヒータ部Bを形成すると、酸素センサ素子全体を中心の側壁部から加熱するようになるので、全体の温度分布を小さくすることができ、これにより、上記のような反りやクラックの発生を低減することが可能となる。
【0023】
なお、発熱体6を内蔵したセラミック絶縁層7の全体厚みtは、5〜100μm、特に10〜50μmであることが反りなどの発生抑制の点で望ましい。
【0024】
本発明の酸素センサ素子1において基体2として用いられる固体電解質は、ZrO2やTiO2など、公知のセラミック固体電解質によって形成できるが、その性能の点からジルコニア系固体電解質からなることが望ましい。ジルコニア固体電解質は、安定化剤として、Y2O3およびYb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Nd2O3、Dy2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられている。さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al2O3やSiO2を総量で5重量%以下、特に2重量%以下であることが望ましい。
【0025】
固体電解質基体2の表面または大気導入孔3の内壁に被着形成される基準電極4、測定電極5、さらには電極リード5a、電極パッド5bは、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。また、センサ動作時における電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる白金粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で混合してもよい。また、電極形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、電極4、5の厚さは、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
【0026】
一方、発熱体6を埋設するセラミック絶縁層7としては、アルミナ、ムライト、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種のセラミックスからなる相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが基板強度を高める上で望ましく、特にアルミナセラミックスが望ましい。上記セラミックス中には、焼結性を改善する目的で種々の焼結助剤、例えばアルミナセラミックスの場合、Mg、Ca、Siの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物を総和で1〜10質量%含有していてもよい。
【0027】
また、このセラミック絶縁層7中において、Na、K等のアルカリ金属が多量に存在するとマイグレーションしてヒータ部Bにおける一対のヒータ間の電気絶縁性を悪くするため酸化物重量換算で50ppm以下に制御することが望ましい。
【0028】
ヒータ部Bにおけるセラミック絶縁層7内に埋設された発熱体6や発熱体6へのリード(図示せず)は、金属として白金単味、あるいは白金とロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種との合金を用いることができる。この場合、発熱体6とリードの抵抗比率は室温において、9:1〜7:3の範囲に制御することが好ましい。
【0029】
また、本発明の酸素センサ素子1は、素子全体の厚さとしては、0.8〜2.0mm、特に1.0〜1.7mm、素子の長さとしては40〜60mm、特に45〜55mmが急速昇温性と素子のエンジン中への取付け具合との関係から好ましい。
【0030】
また、測定電極5の表面には、図1(b)に示すように、保護のためにセラミック多孔質層9を形成することが望ましい。このセラミック多孔質層9は、厚さ10〜800μmで、気孔率が10〜50%のジルコニア、アルミナ、γ−アルミナおよびスピネルの群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましい。特に、多孔質層9の厚さとしては気孔率にもよるが、100〜500μmが適当である。
【0031】
次に、本発明の酸素センサ素子を製造する方法について、図1の酸素センサ素子を例にとってその製造方法を図2の分解斜視図をもとに説明する。
【0032】
まず、固体電解質のグリーンシート20を作製する。このグリーンシート20は、例えば、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製する。尚、薄く作製したグリーンシートを所定の厚みになるように複数枚重ねて積層したものを使用することもできる。
【0033】
次に、上記のグリーンシート20の両面に、それぞれ測定電極5および基準電極4となるパターン21やリードパターン22や電極パッドパターン23などを例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷形成する。また、グリーンシート20には適宜、スルーホール(図示せず)等を形成して導電性ペーストを充填し、シート表裏間の電極パッド23間の等の接続を行う。
【0034】
次に、大気導入孔24を形成したグリーンシートを作製する。この時、本発明によれば、大気導入孔24を形成した2枚のジルコニアグリーンシート25a、25bの間に、例えば、アルミナ、ムライト、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種の絶縁性セラミックスからなるセラミック絶縁層26の間に発熱体パターン30を埋設したヒータ部を配置する。
【0035】
ヒータ部の形成にあたっては、例えば、ジルコニアグリーンシート25bの表面に絶縁性セラミックスのスラリーを所定の厚みで塗布してセラミック絶縁層26bを形成した後、白金などの導体ペーストを用いてセラミック絶縁層26bの表面に発熱体パターン30を印刷塗布し、再度、絶縁性セラミックスのスラリーを所定の厚みで塗布してセラミック絶縁層26aを形成する。
【0036】
また、他の方法としては、絶縁性セラミックスのスラリーを用いてドクターブレード法によって所定厚みに成形した絶縁性グリーンシート26a、26bを形成し、その一方のグリーンシート表面に白金などの導体ペーストを用いて発熱体パターン30を印刷塗布し、積層することもできる。
【0037】
なお、大気導入孔24は、パンチング等によって開口するか、またはプレス成形によって大気導入孔24を形成した型を用いてプレス成形することもできる。
【0038】
そして、大気導入孔24の反対側を塞ぐために、前記ジルコニアグリーンシート20と同一の材質からなるジルコニアグリーンシート27を配置する。
【0039】
そして、上記の各グリーンシートをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着材を介在させるか、あるいはローラやプレスにより1.0〜100MPaの圧力を加えながら機械的に積層、接着して一体化する。
【0040】
また、ジルコニアグリーンシート27、セラミック絶縁層26には、ヒータパターンを外部に導出するための電極パッド(図示せず)や、これと接続するための導体ビアを形成することもできる。
【0041】
この後、この積層体を大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1700℃の温度範囲で1〜10時間焼成する。なお、焼成時には、焼成時のセンサ部の反りを抑制するため、錘として平滑なアルミナ等の基板を積層体の上に置くことにより反りをさらに低減することができる。
【0042】
その後、必要に応じて、焼成後の測定電極21の表面に、プラズマ溶射法等により、アルミナ、ジルコニア、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種のセラミック多孔質層を形成することによって、センサ部とヒータ部が一体化された酸素センサ素子を形成することができる。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
まず、平均粒径0.8μmのジルコニア粉末に対して、アクリル系バインダー、溶剤およびメディアを混合し、48時間撹拌して、スラリーを得た。その後、ドクターブレード成形にて前記スラリーを成形、乾燥させて、厚さ180μmのグリーンシートを作製した。
【0044】
次に、平均粒径1μmの白金粉末に対して、アクリル系バインダーおよびテルピネオールを調合し、3本ロールにて10回パス混合した後、テルピネオールにて希釈し、粘度調整した電極用ペーストおよび発熱体用ペーストを得た。
【0045】
得られた発熱体用ペーストを用いて、前記グリーンシートの2枚に測定電極用および基準電極用のパターンをスクリーン印刷にて形成し、乾燥させた。そして、電極を形成した2枚のグリーンシートの間に2枚の電極を形成していないグリーンシートを挟み、センサ部を形成するための積層体を形成した。
【0046】
一方、平均粒径0.5μmのアルミナ粉末に対して、アクリル系バインダーおよびテルピネオールを調合し、3本ロールにて10回パス混合した後、テルピネオールにて希釈、混合して絶縁性セラミックスのペーストを得た。
【0047】
得られた絶縁性セラミックペーストを用いて、前記ジルコニアグリーンシートの1枚に、焼成後の厚さが20μmのセラミック絶縁層をスクリーン印刷にて形成し、乾燥させた後、前記発熱体用ペーストをスクリーン印刷にて焼成後の厚さが15μmとなるように形成し、乾燥させた後、更にその上に絶縁性セラミックペーストを用いて、焼成後の厚さが20μmのセラミック絶縁層をスクリーン印刷にて形成し、乾燥させて、発熱体パターンを内在するセラミック絶縁層からなるヒータ部を形成したグリーンシートを得た。そして、このグリーンシートに、基準大気と接する大気導入孔を、金型にて検知部分が幅1.6mm、長さ11mmを有する溝形状に打ち抜いた。
【0048】
そして、このヒータ部を形成したグリーンシートの表面に、大気導入孔を形成した1枚のグリーンシートを積層して、大気導入孔を形成する側壁部を形成する成形体を作製した。
【0049】
また、酸素センサ素子の大気導入孔の下壁として、グリーンシートを4枚積層したものを使用した。
【0050】
これらの積層体を位置合わせして、密着液を用いて密着積層し、5MPaの圧力を印加して加圧プレスして、酸素センサ用の成形体を作製した。
【0051】
センサ部を形成する積層体と、大気導入孔を形成する積層体と、大気導入孔の下壁とした4枚の積層体の剥離荷重を求めた。下壁側を固定して、センサ部を形成する積層体の電極バッドパターンの間にフックをかけ、垂直方向に引っ張り速度5mm/sで引っ張り、センサ部、大気導入孔、下壁の各積層体間の剥離荷重を求めた。剥離場所は、センサ部と大気導入孔の間、または、大気導入孔と下壁の間、のどちらか一方から剥離が起きた。
得られた成形体20個の剥離荷重を測定した結果、剥離荷重は平均2.5kgfであった。
【0052】
そして、酸素センサ素子成形体を1400℃にて2時間焼成して、酸素センサ素子を作製した。
【0053】
得られた酸素センサ素子20個について、3次元平坦度測定器にて反りを測定した。その結果、反りは200μmであった。
【0054】
また、25℃、2分間、700℃、2分間を一サイクルとする熱サイクル試験を行い、500時間後の発熱体の抵抗値やセンサ部の抵抗等を測定し、抵抗値の変化を観察した。その結果、本酸素センサ素子は、500時間後においてもすべての素子において、抵抗の変化は認められなかった。
(実施例2)
実施例1と同様に、センサ部を形成するグリーンシートとヒータ部を形成したグリーンシートと、酸素センサ素子の大気導入孔の下壁として、グリーンシートを7枚積層したものを位置合わせして、密着液を用いて密着積層し、5MPaの圧力を印加して加圧プレスして、酸素センサ用の成形体を作製した。そして、実施例1と同様な方法で焼成して、酸素センサ素子を作製した。
【0055】
得られた素子に対して実施例1と同様にして評価を行った結果、剥離荷重は平均2.4kgで、反りは600μmであった。また熱サイクル試験においてもすべての素子において抵抗値の変化は認められなかった。
(比較例)
実施例1において、大気導入孔形成部分では、ジルコニアグリーンシートを用いて形成し、大気導入孔の下壁部分に位置するジルコニアグリーンシートに対して、絶縁性セラミックスラリー塗布、発熱体用ペースト塗布、絶縁性セラミックスラリー塗布を行い、セラミック絶縁層内に発熱体パターンが埋設されたヒータ部を形成し、上記の大気導入孔を形成したグリーンシートとともに、密着液を用いて、5MPaの圧力を印加して酸素センサ素子の成形体を作製した。
【0056】
そして、実施例1と同様な方法で焼成して、図4に示すような板状の酸素センサ素子を作製し、実施例1と同様な評価を行った。
【0057】
その結果、剥離荷重は平均1.4kgで、反りは2mmと大きいものであった。また、熱サイクル試験の結果、5個の素子において抵抗変化が認められ、うち2個については発熱体を埋設している絶縁層にクラックの発生が認められた。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明の酸素センサ素子は、前記大気導入孔を形成する両方の側壁部の一部に、発熱体を埋設したセラミック絶縁層が設けられ、前記大気導入孔及び前記セラミック絶縁層が前記基体の厚み方向の略中央部に配置されていることによって、密着積層時におけるプレス圧がより均一になり、また、焼成後の反りもより発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサ素子の一例を説明するための(a)概略平面図、(b)x−x断面図である。
【図2】本発明の酸素センサ素子の製造方法として、図1の酸素センサ素子の製造方法を説明するための分解斜視図である。
【図3】従来の酸素センサ素子として、コップ条酸素センサ素子の概略断面図を示す。
【図4】従来の酸素センサ素子として、板状型の酸素センサ素子の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1 酸素センサ素子
2 基体
3 大気導入孔
4 基準電極
5 測定電極
6 発熱体
7 セラミック絶縁層
Claims (3)
- 内部に大気導入孔を有するセラミックスからなる板状の基体と、該基体の一主面にのみ形成された測定電極と、前記測定電極と対向する大気導入孔の内壁に形成された基準電極と、を備えた酸素センサ素子であって、
前記大気導入孔を形成する両方の側壁部の一部に、発熱体を埋設したセラミック絶縁層が設けられ、前記大気導入孔及び前記セラミック絶縁層が前記基体の厚み方向の略中央部に配置されていることを特徴とする酸素センサ素子。 - 前記基体における前記測定電極と前記基準電極によって挟まれた壁部、および該壁部と大気導入孔を挟んで対向する反対側の壁部が、セラミック固体電解質からなることを特徴とする請求項1記載の酸素センサ素子。
- 前記基体における前記測定電極と前記基準電極によって挟まれた壁部、および該壁部と大気導入孔を挟んで対向する反対側の壁部が、同じ厚みであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の酸素センサ素子。
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