JP3899811B2 - 燃料電池システムの保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池システムの保護装置に係り、特に、温度異常が検出される以前に冷却系の故障を検出することができる燃料電池システムの保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題、特に自動車の排気ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題に対して、クリーンな排気及び高いエネルギー効率を可能とする電力源、あるいは動力源として、燃料電池技術が注目されている。
【0003】
燃料電池は、その燃料となる水素あるいは水素濃度の高いガス、および酸化剤となる酸素、あるいは酸素を含んだ空気を電解質と電極触媒との複合体であるスタックに供給し、電気化学反応を起こして、化学エネルギーを電気エネルギーに変えるエネルギー変換システムである。燃料電池の中でも特に高い出力密度を有する固体高分子電解質型燃料電池が自動車等の移動体用動力源として注目されている。
【0004】
燃料電池は、スタック内の燃料と酸素との反応熱を外部へ強制的に放出しなければ、スタック温度が上昇し、電解質等の燃料電池構成部材の耐熱温度を超えるため、冷媒をスタック内に循環させることで、スタック温度を制御している。固体高分子電解質型燃料電池は、スタック温度が約85℃以下になるよう制御されるのが一般的なため、冷媒には水を用いることが多い。
【0005】
図16は、従来の燃料電池システムの冷却系を説明するシステム構成図である。同図において、燃料電池スタック103は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201上には、冷媒ポンプ202と、燃料電池スタック103の入口付近に温度センサ300、同出口付近に温度センサ301とが設けられている。そして、燃料電池スタック103の内部の冷媒通路と冷媒配管201とラジエータ200との内部には、冷媒が充填され、冷媒ポンプ202により、これらの間を冷媒が循環して、燃料電池スタック103を冷媒により冷却するとともに、冷媒の熱をラジエータ200から外部へ放熱するようになっている。
【0006】
制御装置400へは、温度センサ300、301からの温度計測信号が入力される一方、制御装置400から、冷媒ポンプ202と、ラジエータファン203とに対して制御信号を出力し、それぞれ冷媒流量、ラジエータ200の通風量を制御可能となっている。
【0007】
通常運転時には、制御装置400は、温度センサ300、301が検出する温度が所定の範囲内となるように、冷媒ポンプ202、ラジエータファン203を制御することにより、燃料電池スタック103の動作温度を所定範囲に維持している。一方、冷却系や制御系に異常が生じて、温度センサ300または301の検出する温度が所定値を超えた場合には、制御装置400により温度異常判定がなされ、燃料電池システムの停止などによる処置を行い、燃料電池スタック103の内部温度上昇による寿命低下を回避する。
【0008】
また、燃料電池システムには、空気を圧縮して酸素分圧を高めた圧縮空気を用いるタイプがあり、このタイプの従来例のシステム構成を図17に示す。同図において、空気圧縮装置100は燃料電池で使用する空気を圧縮し、断熱圧縮されて温度が上昇した空気を熱交換装置101で冷却し、冷却した空気を加湿装置102により加湿し、加湿された空気を燃料電池スタック103に供給し、燃料電池スタック103から排出される空気流量を空気流量制御弁104により制御している。
【0009】
熱交換装置101は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201上には、冷媒ポンプ202と、熱交換装置101の冷媒入口付近に冷媒温度センサ301が設けられている。そして、熱交換装置101の内部の冷媒通路と冷媒配管201とラジエータ200との内部には、冷媒が充填され、冷媒ポンプ202により、これらの間を冷媒が循環して、熱交換装置101を冷媒により冷却するとともに、冷媒の熱をラジエータ200から外部へ放熱するようになっている。
【0010】
制御装置400へは、空気温度センサ300、冷媒温度センサ301からの温度計測信号が入力される一方、制御装置400から、冷媒ポンプ202と、ラジエータファン203とに対して制御信号を出力し、それぞれ冷媒流量、ラジエータ200の通風量を制御可能となっている。
【0011】
通常運転時には、制御装置400は、空気温度センサ300、冷媒温度センサ301が検出する温度が所定の範囲内となるように、冷媒ポンプ202、ラジエータファン203を制御することにより、加湿装置102に供給される空気の温度を所定範囲に維持している。一方、冷却系や制御系に異常が生じて、空気温度センサ300または冷媒温度センサ301の検出する温度が所定値を超えた場合には、制御装置400により温度異常判定がなされ、空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などによる異常処置を行い、空気温度の異常上昇による加湿装置102や燃料電池スタック103の寿命低下を回避する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の燃料電池システムにおいては、燃料電池を冷却する冷媒温度が徐々に上昇するような故障モードに対しては、温度センサが温度異常を検出したことにより、異常時の処置を行っても燃料電池の寿命低下を回避することができた。しかしながら、冷媒回路の瞬時閉塞、冷媒漏れ、エアロック、冷媒ポンプの瞬時停止等の突然故障が生じた場合には、温度センサが温度異常を検出したときには、既に燃料電池スタック内部の温度が寿命低下限界を超えていて、燃料電池の寿命低下が避けられないという問題点があった。
【0013】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、温度センサによる温度異常検出前に、燃料電池システムの冷却系の異常を検出し、寿命低下限界温度を超える前に異常制御を行って、突発的な異常発生に基づく寿命低下を回避することができる燃料電池システムの保護装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、燃料電池の発熱部とラジエータとの間に冷媒を循環させる冷媒ポンプを備えた燃料電池システムの保護装置であって、前記冷媒ポンプ出口付近に設けられ前記冷媒の圧力値を検出する第1の圧力検出手段と、前記冷媒ポンプ出口から前記燃料電池の発熱部の冷媒入口までの冷媒流路以外の冷媒流路に設けられ前記冷媒の圧力値を検出する第2の圧力検出手段と、第1、第2の圧力検出手段の検出した圧力値の差分に基づいて前記冷媒の流量値を推定する流量検出手段と、これら圧力検出手段及び流量検出手段による圧力値及び流量値が正常か異常かを判定する判定手段と、この判定手段が異常と判定したとき燃料電池の出力を制限又は運転を停止させることにより前記発熱部の発熱を制限する異常制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0016】
上記目的を達成するため、請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池システムの保護装置において、前記判定手段による判定に際し、前記圧力値に対する前記流量値が正常範囲より少ない方へ偏移、または前記流量値に対する前記圧力値が正常範囲より高い方へ偏移している場合、前記冷媒の流路の閉塞故障または冷媒ポンプの故障があると判定し、前記圧力値に対する前記流量値が正常範囲より多い方へ偏移、または前記流量値に対する前記圧力値が正常範囲より低い方へ偏移している場合、前記冷媒の漏洩故障またはエアロック故障があると判定することを要旨とする。
【0017】
上記目的を達成するため、請求項3記載の発明は、燃料電池の発熱部とラジエータとの間に冷媒を循環させる冷媒ポンプを備えた燃料電池システムの保護装置であって、前記冷媒ポンプの駆動トルク値を検出するトルク検出手段と、前記冷媒ポンプの回転速度値を検出する回転速度検出手段と、これら検出された駆動トルク値および回転速度値が正常か異常かを判定する判定手段と、この判定手段が異常と判定したとき、燃料電池の出力を制限又は運転を停止させる異常制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0018】
上記目的を達成するため、請求項4記載の発明は、請求項3記載の燃料電池システムの保護装置において、前記判定手段は、前記冷媒ポンプの回転速度が一定でない場合に、前記駆動トルク値を補正して正常か異常かを判定することを要旨とする。
【0019】
上記目的を達成するため、請求項5記載の発明は、請求項3または請求項4記載の燃料電池システムの保護装置において、前記判定手段による判定に際し、前記回転速度値に対する前記駆動トルク値が正常範囲より駆動トルク値が大きい方へ偏移している場合、前記冷媒の流路の閉塞故障または冷媒ポンプ故障があると判定し、前記回転速度値に対する前記駆動トルク値が正常範囲より駆動トルク値が小さい方へ偏移している場合、前記冷媒の漏洩故障またはエアロック故障があると判定することを要旨とする。
【0020】
上記目的を達成するため、請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池システムの保護装置において、前記判定手段による故障状況の判定結果を記憶する記憶手段を更に備えたことを要旨とする。
【0021】
上記目的を達成するため、請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の燃料電池システムの保護装置において、前記燃料電池の発熱部は、燃料電池スタックであることを要旨とする。
【0022】
上記目的を達成するため、請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の燃料電池システムの保護装置において、前記燃料電池の発熱部は、燃料電池スタックに供給する圧縮空気を冷却する冷却器であることを要旨とする。
【0024】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、冷却系に異常が生じた場合、温度が寿命低下限界に至る前に、確実且つ速やかに寿命低下回避のための異常制御を行うことができるとともに、第1、第2の圧力検出手段の検出した圧力値の差分に基づいて冷媒の流量値を推定するようにしたので、第1及び第2の圧力検出手段により、冷媒の圧力値および流量値を検出できるようになり、直接冷媒流量を検出することが困難な構成においても燃料電池システムの保護装置の検出手段の構成を簡素化し、コスト低減を可能にするという効果がある。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、冷却系に異常が生じた場合、温度が寿命低下限界に至る前に、確実且つ速やかに寿命低下回避のための異常制御を行うことができるとともに、前記判定手段による判定に際し、前記圧力値に対する前記流量値が正常範囲より少ない方へ偏移、または前記流量値に対する前記圧力値が正常範囲より高い方へ偏移している場合、前記冷媒の流路の閉塞故障または冷媒ポンプの故障があると判定し、前記圧力値に対する前記流量値が正常範囲より多い方へ偏移、または前記流量値に対する前記圧力値が正常範囲より低い方へ偏移している場合、前記冷媒の漏洩故障またはエアロック故障があると判定するようにしたので、故障修理時の故障モード判別を容易とすることができるという効果がある。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、燃料電池の発熱部とラジエータとの間に冷媒を循環させる冷媒ポンプを備えた燃料電池システムの保護装置であって、前記冷媒ポンプの駆動トルク値を検出するトルク検出手段と、前記冷媒ポンプの回転速度値を検出する回転速度検出手段と、これら検出された駆動トルク値および回転速度値が正常か異常かを判定する判定手段と、この判定手段が異常と判定したとき、燃料電池の出力を制限又は運転を停止させる異常制御手段と、を備えたので、冷媒の漏洩原因となる圧力及び流量の検出センサ類のための冷媒回路接続部を増加させることなく、冷却系に異常が生じた場合温度が寿命低下限界に至る前に、確実且つ速やかに寿命低下回避のための異常制御を行うことができるという効果がある。特に、冷媒ポンプの制御装置が既にトルク検出手段と回転速度検出手段とを備えている場合には、燃料電池システムの保護装置の構成を簡素化しコスト低減を可能にするという効果も加えられる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、前記判定手段は、前記冷媒ポンプの回転速度が一定でない場合に、前記駆動トルク値を補正して正常か異常かを判定するようにしたので、冷媒ポンプが一定速度でなく、加速時または減速時にも正確な冷媒圧力を推定して、異常判定を行うことができるという効果がある。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、請求項3または請求項4記載の発明の効果に加えて、前記判定手段による判定に際し、前記回転速度値に対する前記駆動トルク値が正常範囲より駆動トルク値が大きい方へ偏移している場合、前記冷媒の流路の閉塞故障または冷媒ポンプ故障があると判定し、前記回転速度値に対する前記駆動トルク値が正常範囲より駆動トルク値が小さい方へ偏移している場合、前記冷媒の漏洩故障またはエアロック故障があると判定するようにしたので、故障修理時の故障モード判別を容易とすることができるという効果がある。
【0029】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし請求項5に記載の発明の効果に加えて、前記判定手段による故障状況の判定結果を記憶する記憶手段を更に備えたので、燃料電池システムの修理時に、記憶された故障状況の判定結果を読み出して、故障原因追求を容易にするという効果がある。
【0030】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6に記載の発明の効果に加えて、前記燃料電池の発熱部は、燃料電池スタックであるとしたので、燃料電池スタックの温度上昇が検出されるよりも早期に冷媒循環系の故障を検出し、燃料電池スタックの温度上昇により引き起こされる寿命低下を回避することができるという効果がある。
【0031】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6に記載の発明の効果に加えて、前記燃料電池の発熱部は、燃料電池スタックに供給する圧縮空気を冷却する冷却器であるとしたので、圧縮空気の温度上昇が検出されるよりも早期に圧縮空気冷却系の異常を検出し、圧縮空気の温度上昇により引き起こされる燃料電池システムの寿命低下を回避することができるという効果がある。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、第1ないし第5実施形態において、冷却対象となる燃料電池の発熱部を燃料電池スタックとした実施形態を説明し、次いで、第6実施形態ないし第9実施形態において冷却対象となる燃料電池の発熱部を圧縮空気冷却器とした実施形態を説明する。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第1実施形態を説明するシステム構成図である。同図において、燃料電池スタック103は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201には、冷媒を循環させる冷媒ポンプ202と、冷媒ポンプ202の流量を検出する流量検出器302と、冷媒ポンプ202の吐出圧力を検出する圧力検出器303と、燃料電池スタック103の入口付近の温度を計測する温度センサ300と、同出口付近の温度を計測する温度センサ301とが設けられている。
【0034】
流量検出器302は、特に限定されないが、冷媒配管201の内部に翼車やスクリュー等の回転体を設けて流体速度を回転体の回転速度に変換して検出する速度式流量計、流れの順逆両方向の音速を測定して流量を検出する超音波流量計、ベルヌーイの定理及び連続の式に基づく差圧流量計等を利用することができる。
【0035】
圧力検出器303は、特に限定されないが、ダイヤフラムの変位を静電容量の変化として検出する容量式圧力センサ、半導体ダイアフラムの歪みにより圧力を検出する半導体圧力センサ等を利用することができる。特に後者は、温度補償回路や増幅回路等も含めて半導体チップに集積化したもので、実装上好ましい。
【0036】
そして、燃料電池スタック103の内部の冷媒通路と冷媒配管201とラジエータ200との内部には、冷媒が充填され、冷媒ポンプ202により、これらの間を冷媒が循環して、燃料電池スタック103を冷媒により冷却するとともに、冷媒の熱をラジエータ200から外部へ放熱するようになっている。
【0037】
流量検出器302、圧力検出器303、温度センサ300、及び温度センサ301からの計測信号は、それぞれ制御装置400へ入力される。制御装置400は、正常流量範囲データ、正常吐出圧力範囲データ、及び正常温度範囲データを記憶する内部データ記憶部を内蔵し、これらセンサ類からの計測信号を内部データと照合して、正常範囲か否かの判断ができるようになっている。また、制御装置400から、冷媒ポンプ202と、ラジエータファン203とに対して制御信号を出力し、それぞれ冷媒流量、ラジエータ200の通風量を制御可能となっている。
【0038】
通常運転時には、制御装置400は、温度センサ300、301が検出する温度が所定の範囲内となるように、冷媒ポンプ202、ラジエータファン203を制御することにより、燃料電池スタック103の動作温度を所定範囲に維持している。
【0039】
一方、冷却系や制御系に異常が生じて、流量検出器302が検出する流量、または圧力検出器303が検出する圧力、または流量と圧力との組合せが所定の正常範囲から外れた場合には、制御装置400により冷却系異常判定がなされ、燃料電池システムの出力制限や発電停止などによる処置を行い、燃料電池スタック103の内部温度上昇による寿命低下を回避するようになっている。
【0040】
図2は、第1実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートである。制御装置400は、この異常検出動作以外に、燃料電池の出力や冷媒温度に応じた冷媒ポンプ202の駆動制御及びラジエータファン203の制御等の主制御動作を行っているが、本発明の要旨とは直接関係がないので説明を省略する。
【0041】
図2のフローチャートによる動作は、特に限定されないが、例えば、前記主制御動作の中から一定時間(例えば、0.05sec)毎に呼び出されるサブルーチンとして構成されている。
【0042】
図2において、まず、流量検出器302により冷媒ポンプ202による冷媒の流量が検出され(ステップ10、以下ステップをSと略す)、検出された流量が内部データと照合されて、例えば燃料電池出力に応じた正常流量範囲か否かが判定される(S12)。正常流量範囲でなければ、S20の異常判定へ移る。
【0043】
正常流量範囲であれば、次いで圧力検出器303により冷媒ポンプ202の吐出圧力が検出され(S14)、検出された吐出圧力が内部データと照合されて、流量に応じた正常吐出圧力範囲か否かが判定される(S16)。正常吐出圧力範囲でなければ、S20の異常判定へ移る。正常吐出圧力範囲であれば、異常はないとして処理を終了し、メインルーチンへリターンする。
【0044】
S20の異常判定では、冷媒流量異常(多/少)を検出したのか、冷媒吐出圧力異常(高/低)を検出したのか、或いは流量に対する吐出圧力異常(高/低)を検出したのかを示す故障モードを修理時の参考のために、図示しない不揮発性メモリに記憶する。
【0045】
冷媒流量が正常範囲より多い場合、冷媒回路の漏洩故障または冷媒ポンプ及びその制御の故障のモードとし、冷媒流量が正常範囲より少ない場合、冷媒回路の閉塞故障または冷媒ポンプ及びその制御の故障のモードとして記憶する。
【0046】
冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より高い場合、冷媒回路の詰まり、または閉塞故障のモードとし、冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より低い場合、冷媒回路の漏れ、またはエアロック故障のモードとして記憶する。
【0047】
次いで、冷却系に異常が検出された場合の異常処置、例えば、燃料電池の出力制限、燃料電池の運転停止等を行い、図示しない警告ランプの点灯または点滅、図示しない警報ブザーの鳴動等により運転者に異常発生を告知して(S22)、メインルーチンへリターンする。
【0048】
図3は、冷媒ポンプの吐出圧力と吐出流量との関係を説明するグラフである。図中、正常圧力上限線Aは流量に対する正常圧力の上限を示し、正常圧力下限線Bは流量に対する正常圧力の下限を示す。AとBとに挟まれた領域が正常運転範囲である。
【0049】
また、閉塞判定線Cは、この線を圧力が超えれば、冷媒回路に閉塞が生じたか、或いは圧力損失異常上昇若しくはポンプ故障が生じたと判定する基準である。漏洩判定線Dは、この線より圧力が低下すれば、冷媒回路に漏れが生じたか、或いはエアロック故障若しくはポンプ故障が生じたと判定する基準である。
【0050】
正常運転範囲の上下に沿って存在する領域、即ちAとCとで挟まれた領域と、BとCとで挟まれた領域とは、正常/異常の判定を保留する判定保留領域としてもよい。この判定保留領域において、測定温度が正常温度の上限に達したという他の冷却系異常の兆候があれば、直ちに異常判定を行って、異常制御へ移る。
【0051】
尚、判定保留領域を設けず、正常圧力上限線Aと閉塞判定線Cとを一致させ、正常圧力下限線Bと漏洩判定線Dとを一致させた制御を行うことも可能である。
【0052】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第2実施形態を説明するシステム構成図である。同図において、燃料電池スタック103は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201には、冷媒を循環させる冷媒ポンプ202と、燃料電池スタック103の入口付近の温度を計測する温度センサ300と、同出口付近の温度を計測する温度センサ301と、冷媒ポンプ202の回転数(回転速度)を検出する回転数検出器302と、冷媒ポンプ202の駆動トルクを検出するトルク検出器303とが設けられている。
【0053】
回転数検出器302は、冷媒ポンプ202を駆動する電動機等の回転数を検出することで冷媒ポンプ202の回転数を検出するものであってもよい。通常、冷媒ポンプ202を駆動する電動機には、回転数制御のための回転数検出器が設けられているので、別途冷媒ポンプ202のための回転数検出器302を設けることなく、前記検出器の出力を用いてもよい。
【0054】
トルク検出器303は、冷媒ポンプ202の駆動トルクを検出するもので、上記のように電動機を駆動源をとして用いる場合、電動機の駆動電流値から負荷である冷媒ポンプ202の駆動トルクを検出することができる。
【0055】
そして、燃料電池スタック103の内部の冷媒通路と冷媒配管201とラジエータ200との内部には、冷媒が充填され、冷媒ポンプ202により、これらの間を冷媒が循環して、燃料電池スタック103を冷媒により冷却するとともに、冷媒の熱をラジエータ200から外部へ放熱するようになっている。
【0056】
回転数検出器302、トルク検出器303、温度センサ300、及び温度センサ301からの計測信号は、それぞれ制御装置400へ入力される。
【0057】
制御装置400は、冷媒ポンプ202の目標回転数範囲データ、冷媒ポンプ202の回転数を冷媒流量に変換するポンプ特性データ、冷媒ポンプ202のトルクを冷媒吐出圧力に変換するポンプ特性データ、正常流量範囲データ、正常吐出圧力範囲データ、及び正常温度範囲データを記憶する内部データ記憶部を内蔵し、これらセンサ類からの計測信号を内部データと照合して、正常範囲か否かの判断ができるようになっている。また、制御装置400から、冷媒ポンプ202と、ラジエータファン203とに対して制御信号を出力し、それぞれ冷媒流量、ラジエータ200の通風量を制御可能となっている。
【0058】
通常運転時には、制御装置400は、温度センサ300、301が検出する温度が所定の範囲内となるように、冷媒ポンプ202、ラジエータファン203を制御することにより、燃料電池スタック103の動作温度を所定範囲に維持している。
【0059】
一方、冷却系や制御系に異常が生じて、回転数検出器302が検出する冷媒ポンプ回転数、または冷媒ポンプ回転数に基づく冷媒流量、またはトルク検出器303が検出する冷媒ポンプ駆動トルクに基づく冷媒吐出圧力と前記冷媒流量との組合せが所定の正常範囲から外れた場合には、制御装置400により冷却系異常判定がなされ、燃料電池システムの出力制限や発電停止などによる処置を行い、燃料電池スタック103の内部温度上昇による寿命低下を回避するようになっている。
【0060】
図5は、第2実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートであり、特に限定されないが、第1実施形態で説明したように、一定時間(例えば、0.05sec)毎に呼び出されるサブルーチンとして構成されている。
【0061】
図5において、まず、回転数検出器302により冷媒ポンプ202の回転数が検出され(S30)、検出された回転数が制御装置400に記憶された目標回転数範囲データと照合されて、目標回転数範囲か否かが判定される(S32)。目標回転数範囲でなければ、S46の異常判定へ移る。
【0062】
目標回転数範囲であれば、トルク検出器303により冷媒ポンプ202の駆動トルクが検出される(S34)。次いで前記回転数と制御装置400内部に記憶されたポンプ特性データとを使用して、冷媒ポンプ202の流量を推定し(S36)、前記トルクとポンプ特性データとを使用して冷媒ポンプ202の吐出圧力を推定し(S38)、推定した流量が正常流量範囲か否かを判定する(S40)。正常流量範囲でなければ、S46の異常判定へ移る。正常流量範囲であれば、次いで正常吐出圧力範囲か否かが判定され(S42)、正常吐出圧力範囲でなければ、S46の異常判定へ移る。正常吐出圧力範囲であれば、異常はないとして処理を終了し、メインルーチンへリターンする。
【0063】
S46の異常判定では、冷媒ポンプ回転数異常(高/低)を検出したのか、冷媒流量異常(多/少)を検出したのか、冷媒吐出圧力異常(高/低)を検出したのか、或いは流量に対する吐出圧力異常(高/低)を検出したのかを示す故障モードを修理時の参考のために、図示しない不揮発性メモリに記憶する。
【0064】
冷媒ポンプ202の回転数が目標回転数範囲と異なる場合、冷媒ポンプ若しくは冷媒ポンプ制御装置の故障モードとして記憶する。
【0065】
冷媒流量が正常範囲より多い場合、冷媒回路の漏洩故障または冷媒ポンプ及びその制御の故障のモードとし、冷媒流量が正常範囲より少ない場合、冷媒回路の閉塞故障または冷媒ポンプ及びその制御の故障のモードとして記憶する。
【0066】
冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より高い場合、冷媒回路の詰まり、または閉塞故障のモードとし、冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より低い場合、冷媒回路の漏れ、またはエアロック故障のモードとして記憶する。
【0067】
次いで、冷却系に異常が検出された場合の異常処置、例えば、燃料電池の出力制限、燃料電池の運転停止等を行い、図示しない警告ランプの点灯または点滅、図示しない警報ブザーの鳴動等により運転者に異常発生を告知して(S48)、メインルーチンへリターンする。
【0068】
〔第3実施形態〕
図6は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第3実施形態の動作を説明するフローチャートである。第3実施形態の構成は、図4に示した第2実施形態の構成と同様である。第3実施形態では、冷媒ポンプ202の回転数が定常状態ではなく、加速または減速過程にある場合に、冷媒及び冷媒ポンプの慣性エネルギが変化することにより生じる、冷媒ポンプ202の駆動トルクと冷媒ポンプ202の吐出圧力との相関ずれを補正し、冷媒ポンプ回転数が変化過程にあっても精度よく冷媒ポンプ202の吐出圧力を推定可能としたものである。
【0069】
このため、図6のS34の次に、冷媒ポンプ回転数変化速度検出ステップ(S35)が追加されている。
【0070】
S30における最初の冷媒ポンプ回転数をN1、S35における冷媒ポンプ回転数をN2、S30の実行時刻からS35の実行時刻までの時間をtとすれば、冷媒ポンプ回転数の変化速度(変化率)αは、次の式(1)で示される。
【0071】
【数1】
α=(N2−N1)/t …(1)
そして、S38における冷媒ポンプ吐出圧力推定において、この変化速度αを参照して、この変化速度αが正の時は、その変化速度に応じて冷媒及び冷媒ポンプを加速するために駆動トルクが使われるので、冷媒吐出圧力はその分だけ低く推定し、逆に変化速度αが負の時は、その変化速度に応じて冷媒及び冷媒ポンプの慣性力が働くために、駆動トルクに比べて冷媒吐出圧力はその分だけ高く推定する。
【0072】
このような冷媒ポンプ回転数変化速度に応じた冷媒ポンプ吐出圧力推定値の補正値は、冷媒回路のシミュレーション結果や燃料電池装置における実験値等に基づいて作成し、制御装置400の内部データとして記憶しておくものとする。
【0073】
その他のステップは、第2実施形態の同じステップ番号が付与されたステップと同じ動作であるので、説明を省略する。
【0074】
本実施形態によれば、冷媒ポンプ回転数が一定速度ではなく、加速または減速している場合にも冷媒吐出圧力を正確に推定して、燃料電池スタックの温度上昇が検出されるよりも早期に冷媒循環系の故障を検出し、燃料電池スタックの温度上昇により引き起こされる寿命低下を回避することができる。
【0075】
〔第4実施形態〕
次に、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第4実施形態を説明する。本実施形態における流量検知手段は、冷媒ポンプ出口付近に設けた第1の圧力検出手段と、該第1の圧力検出手段とは異なる冷媒流路の位置に設けた第2の圧力検出手段とを備え、第1、第2の圧力検出手段の検出した圧力値の差分に基づいて冷媒の流量値を推定するものである。
【0076】
図7は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第4実施形態を説明するシステム構成図である。同図において、燃料電池スタック103は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201には、冷媒を循環させる冷媒ポンプ202と、燃料電池スタック103の入口付近の温度を計測する温度センサ300と、同出口付近の温度を計測する温度センサ301と、冷媒ポンプ202の吐出圧力を検出する第1の圧力検出手段である圧力検出器302と、第2の圧力検出手段である燃料電池スタック103の出口付近の冷媒圧力を検出する圧力検出器303とが設けられている。
【0077】
圧力検出器302、303は、特に限定されないが、ダイヤフラムの変位を静電容量の変化として検出する容量式圧力センサ、半導体ダイアフラムの歪みにより圧力を検出する半導体圧力センサ等を利用することができる。特に後者は、温度補償回路や増幅回路等も含めて半導体チップに集積化したもので、実装上好ましい。
【0078】
圧力検出器302は、冷媒ポンプ202の出口付近に設けられ、冷媒ポンプ202の吐出圧力を検出する。圧力検出器303は、圧力検出器302とは異なる冷媒配管201の位置に設けられている。そして、制御装置400は、第1の圧力検出器302の設置位置から第2の圧力検出器303の設置位置までの冷媒回路の回路圧損に関するデータを記憶し、圧力検出器302、303からの圧力信号の差分と回路圧損データにより、冷媒流量を推定可能となっている。
【0079】
そして、燃料電池スタック103の内部の冷媒通路と冷媒配管201とラジエータ200との内部には、冷媒が充填され、冷媒ポンプ202により、これらの間を冷媒が循環して、燃料電池スタック103を冷媒により冷却するとともに、冷媒の熱をラジエータ200から外部へ放熱するようになっている。
【0080】
温度センサ300、301、及び圧力検出器302、303からの計測信号は、それぞれ制御装置400へ入力される。制御装置400は、正常流量範囲データ、正常吐出圧力範囲データ、及び正常温度範囲データを記憶する内部データ記憶部を内蔵し、これらセンサ類からの計測信号を内部データと照合して、正常範囲か否かの判断ができるようになっている。また、制御装置400から、冷媒ポンプ202と、ラジエータファン203とに対して制御信号を出力し、それぞれ冷媒流量、ラジエータ200の通風量を制御可能となっている。
【0081】
通常運転時には、制御装置400は、温度センサ300、301が検出する温度が所定の範囲内となるように、冷媒ポンプ202、ラジエータファン203を制御することにより、燃料電池スタック103の動作温度を所定範囲に維持している。
【0082】
一方、冷却系や制御系に異常が生じて、圧力検出器302が検出する冷媒ポンプ吐出圧力、または圧力検出器302と303との検出値の差圧に基づく冷媒流量、または流量と圧力との組合せが所定の正常範囲から外れた場合には、制御装置400により冷却系異常判定がなされ、燃料電池システムの出力制限や発電停止などによる処置を行い、燃料電池スタック103の内部温度上昇による寿命低下を回避するようになっている。
【0083】
図8は、第4実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートであり、特に限定されないが、第1実施形態で説明したように、一定時間(例えば、0.05sec)毎に呼び出されるサブルーチンとして構成されている。
【0084】
図8において、まず、圧力検出器302により冷媒ポンプ202の吐出圧力が検出され(S50)、検出された圧力が内部データと照合されて、正常吐出圧力範囲か否かが判定される(S52)。正常吐出圧力範囲でなければ、S62の異常判定へ移る。
【0085】
正常吐出圧力範囲であれば、次いで圧力検出器303により燃料電池スタック103の出口付近の冷媒圧力が検出され(S54)、この検出された圧力及びS50で検出された冷媒ポンプ吐出圧力の差圧と、冷媒回路の回路圧損とに基づいて、冷媒ポンプ流量を推定し(S56)、推定された冷媒流量と内部データとを照合して、正常流量範囲か否かを判定する(S58)。正常流量範囲でなければ、S62の異常判定へ移る。正常流量範囲であれば、異常はないとして処理を終了し、メインルーチンへリターンする。
【0086】
S62の異常判定では、冷媒流量異常(多/少)を検出したのか、冷媒吐出圧力異常(高/低)を検出したのか、或いは流量に対する吐出圧力異常(高/低)を検出したのかを示す故障モードを修理時の参考のために、図示しない不揮発性メモリに記憶する。
【0087】
冷媒流量が正常範囲より多い場合、冷媒回路の漏洩故障または冷媒ポンプ及びその制御の故障のモードとし、冷媒流量が正常範囲より少ない場合、冷媒回路の閉塞故障または冷媒ポンプ及びその制御の故障のモードとして記憶する。
【0088】
冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より高い場合、冷媒回路の詰まり、または閉塞故障のモードとし、冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より低い場合、冷媒回路の漏れ、またはエアロック故障のモードとして記憶する。
【0089】
次いで、冷却系に異常が検出された場合の異常処置、例えば、燃料電池の出力制限、燃料電池の運転停止等を行い、図示しない警告ランプの点灯または点滅、図示しない警報ブザーの鳴動等により運転者に異常発生を告知して(S64)、メインルーチンへリターンする。
【0090】
本実施形態によれば、冷媒ポンプ吐出圧力を検出する第1の圧力検出手段と、冷媒回路の他の部分の圧力を検出する第2の圧力検出手段により、冷媒の圧力値および流量値を検知できるようになり、直接冷媒流量を検出することが困難な構成においても燃料電池システムの保護装置の検出手段の構成を簡素化し、コスト低減を可能にするという効果がある。
【0091】
尚、第1の圧力検出手段である圧力検出器302は、冷媒ポンプの吐出圧力を検出するために冷媒ポンプ202の出口付近に配置したが、冷媒流量を推定するための差圧を得るための第2の圧力検出手段である圧力検出器303は、冷媒回路内で安定した圧力損失特性が得られる限りにおいて、取付部位は任意に設定することができる。
【0092】
〔第5実施形態〕
図9は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第5実施形態を説明するシステム構成図である。同図において、燃料電池スタック103は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201には、冷媒を循環させる冷媒ポンプ202と、燃料電池スタック103の入口付近の温度を計測する温度センサ300と、同出口付近の温度を計測する温度センサ301と、冷媒ポンプ202の吐出圧力を検出する圧力検出器302とが設けられている。
【0093】
本実施形態と第4実施形態との構成上の相違は、第4実施形態における第2の圧力検出手段である圧力検出器303が削除されていることと、制御装置400に、冷媒ポンプ202の回転数制御値(ほぼ流量に対応する)に対して決まる正常吐出圧力範囲を内部データとして記憶していることである。その他の構成は、第9実施形態と同様である。
【0094】
図10は、第5実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートであり、特に限定されないが、第1実施形態で説明したように、一定時間(例えば、0.05sec)毎に呼び出されるサブルーチンとして構成されている。
【0095】
図10において、まず、圧力検出器302により冷媒ポンプ202の吐出圧力が検出され(S80)、検出された圧力と、そのときの冷媒ポンプ回転数制御値に対応する正常吐出圧力範囲を示す内部データとの照合により、正常吐出圧力範囲か否かを定する(S82)。正常吐出圧力範囲でなければ、S86の異常判定へ移る。
【0096】
正常吐出圧力範囲であれば、正常判定として(S84)、処理を終了し、メインルーチンへリターンする。
【0097】
S86の異常判定では、冷媒吐出圧力異常(高/低)を検出したのか、或いは冷媒ポンプ回転数制御値に対する吐出圧力異常(高/低)を検出したのかを示す故障モードを修理時の参考のために、図示しない不揮発性メモリに記憶する。
【0098】
冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より高い場合、冷媒回路の詰まり、または閉塞故障のモードとし、冷媒ポンプ流量に対する冷媒ポンプ吐出圧力が正常範囲より低い場合、冷媒回路の漏れ、またはエアロック故障のモードとして記憶する。
【0099】
次いで、冷却系に異常が検出された場合の異常処置、例えば、燃料電池の出力制限、燃料電池の運転停止等を行い、図示しない警告ランプの点灯または点滅、図示しない警報ブザーの鳴動等により運転者に異常発生を告知して(S88)、メインルーチンへリターンする。
【0100】
本実施形態によれば、従来の冷却系に対して、冷媒ポンプの吐出圧力を検出する圧力検出器と、制御装置の内部データ及び僅かのプログラムの追加だけで、冷却系に異常が生じた場合、温度が寿命低下限界に至る前に、確実且つ速やかに寿命低下回避のための異常制御を行うことができるという効果がある。
【0101】
また本実施形態によれば、第1ないし第4実施形態のような詳細な故障モードの判定は困難であるが、簡易的に冷媒システムの故障状況の記憶が可能であり、費用対効果の点からも適用性が高い。
【0102】
〔第6実施形態〕
図11は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第6実施形態を説明するシステム構成図である。同図において、空気圧縮装置100は燃料電池で使用する空気を圧縮し、断熱圧縮されて温度が上昇した空気を熱交換装置101で冷却し、冷却した空気を加湿装置102により加湿し、加湿された空気を燃料電池スタック103に供給し、燃料電池スタック103から排出される空気流量を空気流量制御弁104により制御している。
【0103】
熱交換装置101は、内部に冷却のための冷媒通路を有し、この冷媒通路とラジエータ200との間は、冷媒配管201により接続されている。また冷媒配管201上には、冷媒ポンプ202と、熱交換装置101の冷媒入口付近に冷媒温度センサ301が設けられている。そして、熱交換装置101の内部の冷媒通路と冷媒配管201とラジエータ200との内部には、冷媒が充填され、冷媒ポンプ202により、これらの間を冷媒が循環して、熱交換装置101を冷媒により冷却するとともに、冷媒の熱をラジエータ200から外部へ放熱するようになっている。
【0104】
制御装置400へは、空気温度センサ300、冷媒温度センサ301からの温度計測信号が入力される一方、制御装置400から、冷媒ポンプ202と、ラジエータファン203とに対して制御信号を出力し、それぞれ冷媒流量、ラジエータ200の通風量を制御可能となっている。
【0105】
通常運転時には、制御装置400は、熱交換装置101から加湿装置102に供給される空気温度を検出する空気温度センサ300、冷媒温度センサ301が検出する温度が所定の範囲内となるように、冷媒ポンプ202、ラジエータファン203を制御することにより、加湿装置102に供給される空気の温度を所定範囲に維持している。
【0106】
一方、冷却系や制御系に異常が生じて、流量検出器302が検出する流量、または圧力検出器303が検出する圧力、または流量と圧力との組合せが所定の正常範囲から外れた場合には、制御装置400により冷却系異常判定がなされ、空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などによる異常処置を行い、空気温度の異常上昇による加湿装置102や燃料電池スタック103の寿命低下を回避するようになっている。
【0107】
第6実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートは、第1実施形態で説明した図2とほぼ同様であるが、S22の異常処置・告知の内、異常処置が空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などに置き換わる点が第1実施形態と異なる。
【0108】
〔第7実施形態〕
図12は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第7実施形態を説明するシステム構成図である。図12において、第6実施形態(図11)の流量検出器302及び圧力検出器303に代えて、冷媒ポンプ202の回転数を検出する回転数検出器302及び同駆動トルクを検出するトルク検出器303が設けられている点が異なる。その他の構成要素は同じである。
【0109】
回転数検出器302は、冷媒ポンプ202を駆動する電動機等の回転数を検出することで冷媒ポンプ202の回転数を検出するものであってもよい。通常、冷媒ポンプ202を駆動する電動機には、回転数制御のための回転数検出器が設けられているので、別途冷媒ポンプ202のための回転数検出器302を設けることなく、前記検出器の出力を用いてもよい。
【0110】
トルク検出器303は、冷媒ポンプ202の駆動トルクを検出するもので、上記のように電動機を駆動源をとして用いる場合、電動機の駆動電流値から負荷である冷媒ポンプ202の駆動トルクを検出することができる。
【0111】
第7実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートは、第2実施形態で説明した図5とほぼ同様であるが、S48の異常処置・告知の内、異常処置が空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などに置き換わる点が第2実施形態と異なる。
【0112】
〔第8実施形態〕
第8実施形態の構成は、図12に示した第7実施形態の構成と同様である。第8実施形態では、冷媒ポンプ202の回転数が定常状態ではなく、加速または減速過程にある場合に、冷媒及び冷媒ポンプの慣性エネルギが変化することにより生じる、冷媒ポンプ202の駆動トルクと冷媒ポンプ202の吐出圧力との相関ずれを補正し、冷媒ポンプ回転数が変化過程にあっても精度よく冷媒ポンプ202の吐出圧力を推定可能としたものである。
【0113】
第8実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートは、第3実施形態で説明した図6とほぼ同様であるが、S48の異常処置・告知の内、異常処置が空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などに置き換わる点が第3実施形態と異なる。
【0114】
〔第9実施形態〕
図13は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第9実施形態を説明するシステム構成図である。第4実施形態と同様に、本実施形態における流量検知手段は、冷媒ポンプ出口付近に設けた第1の圧力検出手段と、該第1の圧力検出手段とは異なる冷媒流路の位置に設けた第2の圧力検出手段とを備え、第1、第2の圧力検出手段の検出した圧力値の差分に基づいて冷媒の流量値を推定するものである。
【0115】
図13において、第6実施形態(図11)の流量検出器302及び圧力検出器303に代えて、冷媒ポンプ202の吐出圧力を検出する第1の圧力検出手段である圧力検出器302及び熱交換装置101の出口付近の冷媒圧力を検出する第2の圧力検出手段である圧力検出器303が設けられている点が異なる。その他の構成要素は同じである。
【0116】
図14は、第9実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートである。同図は、第4実施形態で説明した図8とほぼ同様であるが、図8のS54に代えて図14のS55で熱交換装置出口の冷媒圧力を検出していること、及びS64の異常処置・告知の内、異常処置が空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などに置き換わる点が第4実施形態と異なる。
【0117】
〔第10実施形態〕
図15は、本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第10実施形態を説明するシステム構成図である。
【0118】
本実施形態と第9実施形態との構成上の相違は、第9実施形態における第2の圧力検出手段である圧力検出器303が削除されていることと、制御装置400に、冷媒ポンプ202の回転数制御値(ほぼ流量に対応する)に対して決まる正常吐出圧力範囲を内部データとして記憶していることである。その他の構成は、第9実施形態と同様である。
【0119】
第10実施形態における制御装置400による冷却系の異常検出動作を説明するフローチャートは、第5実施形態で説明した図10とほぼ同様であるが、S88の異常処置・告知の内、異常処置が空気圧縮装置100の停止や空気流量制御弁104の開放などに置き換わる点が第5実施形態と異なる。
【0120】
以上、好ましい実施の形態について説明したが、これらは本発明を限定するものではない。特に、各実施形態で示した、冷媒の圧力値を検出または推定する圧力検知手段と、冷媒の流量値を検出または推定する流量検知手段とは、対象システムに応じて適宜選択されるべきものであり、具体的な手段や組合せは任意である。
【0121】
また、流量検知手段として、冷媒ポンプ出口付近に設けた第1の圧力検出手段と、該第1の圧力検出手段とは異なる冷媒流路の位置に設けた第2の圧力検出手段と、を備え、第1、第2の圧力検出手段の検出した圧力値の差分に基づいて冷媒の流量値を推定する場合、第2の圧力検出手段は、冷媒回路内で安定した圧力損失特性が得られる限りにおいて、取付位置は任意に設定することができる。
【0122】
また、冷媒ポンプの流量と圧力とによる異常判定においては、正常運転範囲と故障判定範囲との間に第2領域である判定保留領域を設けてもよい。そして、流量及び圧力の判定結果が判定保留領域となった場合、直ちに燃料電池システムの停止処置を行わず、出力制限して運転を継続し、温度検知信号など他の診断信号が該信号の判定保留領域となるなど、さらに異常の兆候が現れたとき、運転停止処置を行うようにすると、さらに信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0123】
さらに、実施形態においては、冷媒ポンプの回転数と駆動トルクとを検出し、これらに基づいて冷媒ポンプの流量と吐出圧力とを推定し、流量及び吐出圧力が正常運転範囲か否かを判定したが、回転数と駆動トルクから流量と吐出圧力を推定する過程を省略し、冷媒ポンプの回転数や駆動トルクそのもの値の正常運転範囲との比較に基づいて異常判定を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第1実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図2】第1実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図3】冷媒ポンプ吐出流量と冷媒ポンプ吐出圧力との正常運転範囲、異常範囲、判定を保留する第2領域をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第2、第3実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図5】第2実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図6】第3実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第4実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図8】第4実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第5実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図10】第5実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第6実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図12】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第7、第8実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図13】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第9実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図14】第9実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図15】本発明に係る燃料電池システムの保護装置の第10実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図16】第1の従来技術の構成を示すシステム構成図である。
【図17】第2の従来技術の構成を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
103 燃料電池スタック
200 ラジエータ
201 冷媒配管
202 冷媒ポンプ
203 ラジエータファン
300 温度センサ
301 温度センサ
302 流量検出器
303 圧力検出器
400 制御装置
Claims (8)
- 燃料電池の発熱部とラジエータとの間に冷媒を循環させる冷媒ポンプを備えた燃料電池システムの保護装置であって、
前記冷媒ポンプ出口付近に設けられ前記冷媒の圧力値を検出する第1の圧力検出手段と、
前記冷媒ポンプ出口から前記燃料電池の発熱部の冷媒入口までの冷媒流路以外の冷媒流路に設けられ前記冷媒の圧力値を検出する第2の圧力検出手段と、
第1、第2の圧力検出手段の検出した圧力値の差分に基づいて前記冷媒の流量値を推定する流量検出手段と、
これら圧力検出手段及び流量検出手段による圧力値及び流量値が正常か異常かを判定する判定手段と、
この判定手段が異常と判定したとき燃料電池の出力を制限又は運転を停止させることにより前記発熱部の発熱を制限する異常制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システムの保護装置。 - 燃料電池の発熱部とラジエータとの間に冷媒を循環させる冷媒ポンプを備えた燃料電池システムの保護装置であって、
冷媒の圧力値を検出または推定する圧力検出手段と、
冷媒の流量値を検出または推定する流量検出手段と、
これら圧力検出手段及び流量検出手段による圧力値及び流量値が正常か異常かを判定する判定手段と、
この判定手段が異常と判定したとき燃料電池の出力を制限又は運転を停止させることにより前記発熱部の発熱を制限する異常制御手段と、を備え、
前記判定手段による判定に際し、
前記圧力値に対する前記流量値が正常範囲より少ない方へ偏移、または前記流量値に対する前記圧力値が正常範囲より高い方へ偏移している場合、前記冷媒の流路の閉塞故障または冷媒ポンプの故障があると判定し、
前記圧力値に対する前記流量値が正常範囲より多い方へ偏移、または前記流量値に対する前記圧力値が正常範囲より低い方へ偏移している場合、前記冷媒の漏洩故障またはエアロック故障があると判定することを特徴とする燃料電池システムの保護装置。 - 燃料電池の発熱部とラジエータとの間に冷媒を循環させる冷媒ポンプを備えた燃料電池システムの保護装置であって、
前記冷媒ポンプの駆動トルク値を検出するトルク検出手段と、
前記冷媒ポンプの回転速度値を検出する回転速度検出手段と、
これら検出された駆動トルク値および回転速度値が正常か異常かを判定する判定手段と、
この判定手段が異常と判定したとき、燃料電池の出力を制限又は運転を停止させる異常制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システムの保護装置。 - 前記判定手段は、
前記冷媒ポンプの回転速度が一定でない場合に、前記駆動トルク値を補正して正常か異常かを判定することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システムの保護装置。 - 前記判定手段による判定に際し、
前記回転速度値に対する前記駆動トルク値が正常範囲より駆動トルク値が大きい方へ偏移している場合、前記冷媒の流路の閉塞故障または冷媒ポンプ故障があると判定し、
前記回転速度値に対する前記駆動トルク値が正常範囲より駆動トルク値が小さい方へ偏 移している場合、前記冷媒の漏洩故障またはエアロック故障があると判定することを特徴とする請求項3または請求項4記載の燃料電池システムの保護装置。 - 前記判定手段による故障状況の判定結果を記憶する記憶手段を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池システムの保護装置。
- 前記燃料電池の発熱部は、燃料電池スタックであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の燃料電池システムの保護装置。
- 前記燃料電池の発熱部は、燃料電池スタックに供給する圧縮空気を冷却する冷却器であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の燃料電池システムの保護装置。
Priority Applications (1)
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