JP6300844B2 - 冷媒ポンプの故障検知方法及び燃料電池システム - Google Patents
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Description
次に、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1の全体構成について説明する。燃料電池システム1は、燃料電池スタック3とラジエータ5を備えている。燃料電池スタック3とラジエータ5の間には、冷媒が循環する冷媒回路7が設けられている。冷媒回路7は主に2つの流路7A,7Bを備えている。一方の流路7Aは、ラジエータ5から燃料電池スタック3へ冷媒を供給するための冷媒供給流路である。他方の流路7Bは、燃料電池スタック3から排出される冷媒を、ラジエータ5に戻すための冷媒排出流路である。冷媒供給流路7Aには、電動式の冷媒ポンプ9が設けられている。冷媒ポンプ9は、電動モータによって駆動されるポンプである。また、冷媒ポンプ9の出口側(下流側)には、冷媒のポンプ出口側圧力を検出するための圧力センサ11が設けられている。この圧力センサ11の信号は、制御部17に送信されるようになっている。なお、冷媒ポンプ9の入口側には圧力センサは設けられていない。
次に、図2に基づいて、冷媒ポンプ9の故障検知の原理について説明する。図2の上側の線図は、冷媒ポンプの実際の回転数の変化を示している。一方、下側の線図は、冷媒のポンプ出口側圧力の変化を示している。また、図2の線図は、縦方向に延びる2本の実線で3つの領域に区切られている。左側の領域は、燃料電池システム1の起動時を示し、中央領域は発電中を示し、右側の領域は、CAN通信異常時を示している。更に、太い実線の線図は、冷媒ポンプ9が正常な場合の変化を示しており、太い点線の線図は、冷媒ポンプ9が異常な場合の変化を示している。なお、冷媒ポンプ9が正常とは、回転数指令に基づいて冷媒ポンプ9が回転している状態を意味する。一方、冷媒ポンプ9が異常とは、冷媒ポンプ9が回転数指令に従っていない場合を意味する。具体的には、冷媒ポンプ9の機械的あるいは電気的な故障に加え、冷媒回路への空気混入や、冷媒回路中の冷媒量低下等も広く含んでいる。また、CAN通信異常とは、制御部17とポンプドライバ10との間で、CAN信号の送受信が行えない状態を意味する。
[冷媒ポンプが正常な場合]
先ず、図3に基づいて、燃料電池システム1の起動時における、冷媒ポンプ9の故障検知について説明する。
第1及び第2冷媒圧力の差が閾値を超えていない場合(ステップS9のNo)、制御部17からの第2回転数指令に対して、冷媒ポンプ9が正常に回転していないと考えられる。このため、冷媒ポンプ9は故障していると判断される(ステップS91)。これにより、故障確定フラグIが立てられる(ステップS92)。故障確定フラグが立てられたら、制御部17は、燃料電池スタック3による発電を停止する等、燃料電池スタック3の破損を回避するための制御を行う。
時刻T12では、燃料電池動作モードがM14に変更され、発電が開始される。この時点で、制御部17によって、冷媒のポンプ出口側圧力(第1冷媒圧力)が取得される(ステップS5)。これは、制御部17が有する第1冷媒圧力取得機能である。また、制御部17は、冷媒ポンプ9の回転数が第2の回転数(例えば、2000rpm)になるように、第2回転数指令を出力する(ステップS6)。
その後、時刻T13において、制御部17は、500rpmに対応する第1回転数指令を出力する。これにより、冷媒ポンプ9の回転数は500rpmまで低下する。冷媒ポンプ9の回転数が低下するので、冷媒のポンプ出口側圧力も低下する。そして、冷媒のポンプ出口側圧力が所定値になった後は一定値となる。
[時刻T12から時刻T13]
次に、冷媒ポンプ9が故障している場合について説明する。但し、時刻T12までの動作は、冷媒ポンプ9が正常な場合と同様であるので、説明を省略する。冷媒ポンプ9が故障している場合、時刻T12から時刻T13の間において、冷媒ポンプ9の回転数は上昇しないか(図3中の実際の回転数の太点線)あるいは低下する。冷媒ポンプ9の回転数が上昇しなければ、冷媒のポンプ出口側圧力も上昇しない(図中のポンプ出口側圧力の太点線)。時刻T13において、第1と第2冷媒圧力の差が閾値を超えていない場合(ステップS9のNo)、制御部17は、第2の回転数に対応する回転数指令(2000rpm)を延長する。これは、冷媒のポンプ出口側圧力の差が閾値を超えているかどうかを判断するための時間を延長するためである。
次に、時刻T13から時刻T14まで、継続して第1及び第2冷媒圧力の差が閾値を超えなかった場合には(ステップS9のNo)、時刻T14において、冷媒ポンプ9の故障であると判断される(ステップS91)。このとき、燃料電池動作モードがM19となる。制御部17は、冷媒ポンプ9を停止させるための回転数指令(図中における回転数指令の太点線)を出力する。更に、時刻T14において、故障確定フラグIが立てられる(ステップS92)。故障確定フラグIが立てられると、燃料電池スタック3による発電が停止される。これにより、燃料電池スタック3の過度な温度上昇が抑制されて、燃料電池スタック3の破損が防止される。
[冷媒ポンプが正常な場合]
次に、図5及び図6に基づいて、発電中における冷媒ポンプ9の故障検知方法について説明する。ここで、図6は、図5の故障検知方法の一具体例をチャイムチャートで示したものである。先ず、時刻T20において、イグニッションがオンにされると、所定の発電準備制御が行われた後、燃料電池スタック3による発電が開始される。このとき、制御部17からは、第1の回転数(例えば、500rpm)に対応する第1回転数指令が出力される。このとき、冷媒のポンプ出口側圧力(第1冷媒圧力)が取得される(ステップS21)。その後、時刻T21において、制御部17から、冷媒ポンプ9の回転数を上昇させる回転数指令が出力される。そして、回転数指令が所定値(例えば、2000rpm)を超えているか否かが判断される(ステップS22)。回転数指令が所定値を超えている場合には、冷媒ポンプ9の故障検知に進む。一方、回転数指令が所定値を超えていない場合には、再度回転数指令が監視される。なお、2000rpmは一例であって、これに限定されるものではない。
[時刻T22から時刻T24]
例えば、時刻T22の時点で冷媒ポンプ9が故障した場合について説明する。時刻T22において、冷媒ポンプ9が正常に動作していないため、冷媒のポンプ出口側圧力が低下する(冷媒のポンプ出口側圧力の差の太点線)。そして、冷媒のポンプ出口側圧力の差が閾値よりも低下し、時刻T24において、故障検知フラグが立てられる(ステップS25)。また、時刻T24において、メータアクションが実行される。このメータアクションとは、例えば、自動車のメータなどに、冷媒ポンプ9が故障したことを表示するなどの警報表示である。故障確定前にメータアクションを実行することで、運転者に注意を促すことができる。
前記したように、制御部17は、時刻T24において、燃料電池スタック3の発電量を低減させる(ステップS26)。このとき、発電量が急激に低下すると、電力を利用している負荷にも大きな影響を及ぼす。このため、発電量の時間当たりの低減量を制限し、急激な発電量変化を防止してもよい。その後、前記ステップS24と同様に、再度、第1及び第2の冷媒圧力の差が所定の閾値を超えているか否かが判断される(ステップS24−2)。第1及び第2の冷媒圧力の差が所定の閾値を超えていると判断された場合(ステップS24−2のYes)、通常運転が行われる。一方、第1及び第2の冷媒圧力の差が所定の閾値を超えていないと判断された場合(ステップS24−2のNo)、続いて、故障検知フラグが立てられてから、所定時間経過しているか否かが判断される(ステップS27)。所定時間経過していないと判断された場合は(ステップS27のNo)、再度、第1及び第2の冷媒圧力の差が所定の閾値を超えているか否かが判断される(ステップS24−2)。一方、所定時間経過していると判断された場合は(ステップS27のYes)、時刻T25において、故障検知フラグが取り下げられると共に(ステップS28)、故障確定フラグIIが立てられる(ステップS29)。故障確定フラグIIが立てられると、制御部17は、燃料電池スタック3の発電量がゼロになるように制御する(ステップS30)。なお、発電量低減の開始タイミングとしては、故障確定フラグIIが立てられてからでもよい。
時刻T25から所定時間経過後の時刻T26において、故障確定フラグIIが取り下げられる。なお、発電中の故障検知は、燃料電池スタック3の暖機が完了した後に行ってもよい。燃料電池スタック3の暖機の完了を判断するためには、例えば、燃料電池スタック3から排出される冷媒の温度を測定すればよい。冷媒の温度が例えば60℃を超えていれば、燃料電池スタック3の暖機が完了していると判断できる。冷媒の温度は、冷媒排出流路7Bに設けられた温度センサ33によって取得される。
[時刻T30から時刻T32]
次に、図7及び図8に基づいて、CAN通信異常時の、冷媒ポンプ9の故障検知について説明する。図8は、図7の故障検知方法の一具体例をチャイムチャートで示したものである。図8において、最上段の線図がCAN通信の状態を示している。イグニッションがオンにされた時刻T30から所定時間経過後の時刻T31において、制御部17からポンプドライバ10へのCAN通信が開始される(ステップS31)。CAN通信が開始されてから所定時間(例えば、100ms)経過後の時刻T32において、制御部17からポンプドライバ10へ向けてイグニッション(IG)信号の送信が開始される。そして、ポンプドライバ10において、イグニッションオンの信号を受信した否かが判断される(ステップS32)。ポンプドライバ10がイグニッションオンの信号を受信していない場合、燃料電池システム1の運転は行われない。なお、イグニッション信号は、イグニッション信号線を介して送信される。
CAN通信異常が発生している場合、制御部17とポンプドライバ10との間で、CAN信号の送受信が行われない。本実施形態では、イグニッションがオンにされた時刻T30から所定時間経過時である時刻T33において、ポンプドライバ10がCAN信号を受信したか否かが判断される(ステップS33)。ポンプドライバ10がCAN信号を受信できなかった場合、ポンプドライバ側でCAN通信異常フラグが立てられる(ステップS34)。このとき、冷媒ポンプ9の回転数(第1の回転数)はゼロである。そして、このCAN通信異常フラグが立てられたタイミングで、冷媒のポンプ出口側圧力(第1の冷媒圧力)が取得される(ステップS35)。なお、冷媒のポンプ出口側圧力を取得するのは、正確にCAN通信異常フラグが立てられたときでなくてもよい。例えば、CAN通信異常フラグが立てられる直前や、直後であってもよい。但し、冷媒ポンプ9が回転していないので、原則として冷媒のポンプ出口側圧力はゼロである。
時刻T33において、制御部17ではなくポンプドライバ10が、第2の回転数に対応する回転数指令を冷媒ポンプ9に出力する(ステップS36)。これは、制御部17とポンプドライバ10との間でCAN通信異常が発生しており、制御部17から回転数指令を受信することができないからである。第2の回転数は、発電量に対応した回転数よりも高い回転数(例えば、2000rpm)である。冷媒ポンプ9が故障していない場合、冷媒ポンプ9は高い回転数で回転する。これにより、冷媒のポンプ出口側圧力は上昇する。このときの冷媒のポンプ出口側圧力(第2の冷媒圧力)を取得する(ステップS37)。そして、第1の冷媒圧力と第2の冷媒圧力との差が、所定の閾値を超えているかどうかが判断される(ステップS38)。冷媒圧力の差が閾値を超えていれば、冷媒ポンプ9は正常であると判断できる。このため、CAN通信異常であると判断される(ステップS39)。そして、時刻T33から所定時間継続して冷媒圧力の差が閾値を超えていた場合、時刻T34において故障確定フラグIIIが立てられる(ステップS40)。なお、冷媒ポンプ9が正常に動作していれば、燃料電池スタック3が冷却されるので、燃料電池スタックによる発電を継続することが可能である。
一方、冷媒圧力の差が閾値を超えていない場合、冷媒ポンプ9が回転していないと考えられる。これにより、冷媒ポンプ9には電源失陥が生じていると判断できる(ステップS381)。この場合は、時刻T33以降も冷媒ポンプ9の回転数はゼロのままである(図中の実際の回転数の太点線)。このため、冷媒のポンプ出口側圧力もゼロのままとなり(図中の冷媒のポンプ出口側圧力の太点線)、燃料電池スタック3は冷却されない。このため、制御部17は、燃料電池スタック3に対し発電停止の制御を行う(ステップS382)。そして、故障確定フラグIIIが立てられる(ステップS40)。なお、CAN通信異常が発生した後に、アノードガス又はカソードガスの圧力が所定範囲を超えて低下した場合、起動時の場合と同様に、故障検知を正しく判断できない。このため、故障検知を停止すると共に、燃料電池スタック3による発電を停止するようにしてもよい。
3 燃料電池スタック
5 ラジエータ
7 冷媒回路
7A 一方の流路(冷媒供給流路)
7B 他方の流路(冷媒排出流路)
9 冷媒ポンプ
10 ポンプドライバ
11 圧力センサ
13 イグニッション信号線(通信線)
15 CAN通信線(通信線)
17 制御部
33 温度センサ
43 水素供給流路
45 圧力センサ
47 空気供給流路
49 圧力センサ
Claims (5)
- 燃料電池スタックに冷媒を循環させる冷媒ポンプの故障検知方法であって、前記冷媒ポンプの回転数は制御部からの回転数指令によって制御されるものであり、
前記制御部が前記燃料電池スタックの発電量に対応する第1回転数指令を出力する前又は出力しているときに、前記冷媒のポンプ出口側圧力を取得し、
前記制御部が前記第1回転数指令よりも高い回転数に対応する第2回転数指令を出力しているときに、前記ポンプ出口側圧力を取得し、
取得された2つの前記出口側圧力の差に基づいて、前記冷媒ポンプの故障検知を行い、
前記制御部は、前記燃料電池スタックに供給されるアノードガスまたはカソードガスの時間に対する圧力変化が所定範囲内の場合に、前記第2回転数指令を出力し、
前記制御部は、前記アノードガスまたは前記カソードガスの圧力が前記所定範囲を超えて低下した場合には、前記第1回転数指令を出力する、冷媒ポンプの故障検知方法。 - 燃料電池スタックに冷媒を循環させる冷媒ポンプの故障検知方法であって、前記冷媒ポンプの回転数は、CAN通信線で接続された制御部又はポンプドライバからの回転数指令によって制御されるものであり、
前記CAN通信線においてCAN通信異常が発生した場合に、前記CAN通信異常の発生直前または発生時の冷媒のポンプ出口側圧力を取得し、
前記通信異常の発生から所定時間経過後の前記冷媒のポンプ出口側圧力を取得し、
取得された2つの前記冷媒のポンプ出口側圧力の差に基づいて、前記冷媒ポンプの故障を検知する、冷媒ポンプの故障検知方法。 - 請求項2に記載の冷媒ポンプの故障検知方法であって、
前記ポンプドライバは、前記CAN通信異常が発生した場合に、前記冷媒ポンプの回転数を上昇させる回転数指令を出力する、冷媒ポンプの故障検知方法。 - 請求項2又は3に記載の冷媒ポンプの故障検知方法であって、
前記CAN通信異常が発生した後に、前記燃料電池スタックに供給されるアノードガス又はカソードガスの圧力が所定範囲を超えて低下した場合には、前記燃料電池スタックによる発電を停止する、冷媒ポンプの故障検知方法。 - 燃料電池システムであって、
燃料電池スタックと、この燃料電池スタックに接続される冷媒回路と、この冷媒回路に設けられて前記燃料電池スタックに冷媒を循環させる冷媒ポンプと、前記冷媒ポンプに回転数指令を出力する制御部と、前記冷媒ポンプの出口側の冷媒圧力を測定する圧力センサとを備え、
前記制御部は、
前記燃料電池スタックの発電量に対応する第1回転数指令を出力する前又は出力しているときに、前記冷媒のポンプ出口側圧力を取得する、第1の冷媒圧力取得機能と、
前記第1回転数指令よりも高い回転数に対応する第2回転数指令を出力しているときに、前記冷媒のポンプ出口側圧力を取得する、第2の冷媒圧力取得機能と、
取得された2つの前記出口側圧力の差に基づいて、前記冷媒ポンプの故障検知を行う故障検知機能と、
前記制御部が、前記燃料電池スタックに供給されるアノードガスまたはカソードガスの時間に対する圧力変化が所定範囲内の場合に、前記第2回転数指令を出力する機能と、
前記制御部が、前記アノードガスまたは前記カソードガスの圧力が前記所定範囲を超えて低下した場合には、前記第1回転数指令を出力する機能と、
を有する燃料電池システム。
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