JP3902864B2 - 自動調心型クラッチレリーズ軸受装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動調心型クラッチレリーズ軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に概念的に示すように、自動車のクラッチ解放機構において、クラッチレリーズ軸受装置Aは、マニアルミッション自動車のエンジン(出力軸39)とトランスミッション32との間に配置され、クラッチペダル(図示省略)の操作に連動して作動するレリーズフォーク34に押圧されて、フロントカバー33上をエンジン側に軸方向摺動し、エンジンの回転力がトランスミッション32に伝達されるのを一時遮断する機能を有する。
【0003】
上記のようなクラッチレリーズ軸受装置Aは、例えば、フロントカバー33上を摺動するスリーブと、スリーブに外挿された玉軸受と、スリーブの外周から外径方向に延び、その一面に玉軸受の外輪が半径方向摺動自在に当接し、その他面にレリーズフォークが当接する側板と、玉軸受の外輪を側板の一面に弾性的に押圧して保持する弾性手段とを主体として構成される。
【0004】
クラッチペダルを踏み込むと、レリーズフォーク34が同図で反時計方向に揺動し、側板の他面に当接してクラッチレリーズ軸受Aをエンジン側に軸方向に押圧摺動させる。それによって、玉軸受の内輪がクラッチ装置のダイヤフラムスプリング35に当接し、さらに、ダイヤフラムスプリング35の撓みによって、クラッチディスク36をフライホイール37に押圧しているプレシャープレート38がクラッチディスク36から離れて、エンジンの出力軸39の回転力がトランスミッション32から一時的に切り離される。
【0005】
また、エンジン側の軸心とトランスミッション側の軸心との間にずれがあった場合、クラッチレリーズ軸受装置Aの玉軸受がそのずれ量に応じて半径方向に摺動移動することにより、その心ずれが自動的に調心される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
フロントカバーの摩耗軽減、クラッチフィーリングの向上、クラッチ解放機構の軽量化を図るため、クラッチレリーズ軸受装置のスリーブを樹脂材料で形成する場合が多くなってきている。スリーブを樹脂材料で形成した従来技術として、例えば特開昭61−6433号がある。そこでは、スリーブの材質として、6−6ナイロン(ポリアミド6−6)にガラス繊維を20〜50重量%の割合で配合した樹脂材料が示されている。
【0007】
しかしながら、近時、クラッチ解放機構のより一層の軽量化を図るため、フロントカバーをアルミ材で形成する場合があり、その場合、上記のような従来の樹脂スリーブではアルミ材に対する攻撃性が強すぎ、フロントカバーの外周面に偏摩耗を生じさせる可能性が有る。フロントカバーの外周面に偏摩耗が生じると、クラッチレリーズ軸受装置の軸方向摺動時にスティックスリップが発生し、クラッチフィーリングを悪化させると同時に、摺動部分で振動や騒音が発生し、これが車体に伝わって乗員に不快感を与える。また、スリーブの内周面とフロントカバーの外周面との間の摺動隙間が拡大し、クラッチレリーズ軸受装置にガタツキやふらつきが発生し、上記と同様の問題が生じる。一方、樹脂スリーブのアルミ材に対する攻撃性を弱めるため、樹脂材の柔軟性を高めることも考えられるが、耐荷重変形性や摺動面の耐摩耗性の低下につながり、必要な特性が得られない。
【0008】
本発明は、樹脂スリーブの強度等の機械的特性や摺動特性、耐摩耗性等をさらに良好にすると同時に、相手材特にアルミ製フロントカバーに対する攻撃性を弱め、摩耗を抑制することにより、クラッチフィーリングの向上、振動・騒音の低減、耐久寿命の向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、クラッチ装置の回転部材に接触する外向きの鍔部が一端に設けられた鋼板プレス製の内輪、及び、内向きのフランジ部が他端に設けられた鋼板プレス製の外輪を有する玉軸受と、玉軸受の内方に挿入される樹脂スリーブと、樹脂スリーブの外周から外径方向に延び、その一面に玉軸受の外輪のフランジ部が半径方向摺動自在に当接し、その他面にレリーズフォークが当接する鋼板プレス製の側板と、玉軸受の外輪を側板の一面に弾性的に押圧して保持する弾性手段とを備え、樹脂スリーブは炭素繊維を10重量%以上25重量%以下の割合で配合したポリアミド樹脂で形成されていると共に、樹脂スリーブの外周には外径側に突出したストッパ部が一体形成され、ストッパ部の他端側の壁面の最内径部は、該樹脂スリーブの一端側の外周よりも深くなっており、弾性手段は小径端部と大径端部とを有する皿バネで構成され、皿バネの小径端部はストッパ部の他端側の壁面と係合し、皿バネの大径端部は外輪のフランジ部の内側面に接触してフランジ部を側板に弾性的に押圧する自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を提供する。
【0010】
本発明の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、アルミ製フロントカバーとの組み合わせにおいて、特に好ましい結果を生じさせる。
【0011】
鋼板プレス製の側板は、樹脂スリーブの外周に接着、嵌合、係合、一体成形(インサート成形)等によって一体結合されが、量産性、構造の簡略化、組立作業の簡略化を図るため、一体成形(インサート成形)を採用するのが好ましい。
【0012】
また、ストッパ部の一端側の壁面を傾斜状にしても良い。
【0013】
クラッチレリーズ軸受装置の樹脂スリーブには、▲1▼円滑なクラッチ操作を可能にするため良好な摺動特性が要求され、▲2▼フロントカバーの偏摩耗を抑制するため相手材、特にアルミ材に対する攻撃性が少ないことが要求され、▲3▼自身の摺動面(内周面)の摩耗を抑制するため耐摩耗性が要求され、▲4▼レリーズフォークの押圧・引張り荷重を側板を介して受けるので耐荷重変形性および強度が要求され、▲5▼玉軸受がダイヤフラムスプリングに当接して急激に回転する際の衝撃荷重を側板を介して受けるので耐衝撃性が要求され、▲6▼フロントカバーとの摺動隙間を一定に維持するため寸法安定性が要求され、▲7▼量産を可能にするため易成形性が要求される。
【0014】
樹脂スリーブの材質として、炭素繊維を10重量%以上25重量%以下の割合で配合したポリアミド樹脂を採用することにより、樹脂スリーブに要求される上記諸特性を得ることができる。
【0015】
ベース樹脂としてポリアミド(PA:ナイロン)を採用したのは、高温下での強度等の機械的特性に優れ、特に耐衝撃性が良好であること、表面硬度が大きく耐摩耗性に優れていること、自己潤滑性があること、易成形性に優れていること等のポリアミドの特性を考慮したためである。ポリアミド樹脂として、例えばポリアミド6、ポリアミド6−6、ポリアミド4−6、ポリアミド6−10、ポリアミド6−12、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族系ポリアミド(パラ系芳香族ポリアミド、メタ系芳香族ポリアミド)等を用いることができる。
【0016】
強化材として炭素繊維を採用したのは、ガラス繊維強化品より更に機械的特性を向上させ、摺動特性(摩擦特性)を未強化品と同等ないしはそれ以上に向上させ、かつ、相手材特にアルミ材に対する攻撃性を少なくすることができるためである。炭素繊維は、現在汎用されている1000°C以上、好ましくは1200〜1500°Cの高温に耐えうるものであれば、レーヨン系、ポリアクリロニトル系、リグニン−ポバール系混合物、特殊ピッチ系など原料の種類の如何にかかわらず使用できる。そして、その形状は長短いずれの単繊維であっても良く、クロス、フェルト、ペーパ、ヤーン等のように一次加工を経た編織布、不織布、糸、紐等の製品形状のものでも良い。
【0017】
また、炭素繊維は、その材質を特に制限することなく、ピッチ系、PAN系、カーボン質のいずれであっても良い。また、炭素繊維の形態は、繊維径1〜20μm程度、繊維長10〜1000μm程度好ましくは10〜500μmのものであれば、樹脂成形物中に均一に分散し、これを充分に補強するので好ましいものといえる。尚、より好ましい炭素繊維径は、平均5〜14μm、また繊維長は10〜500μmである。適度な弾性率があり、強度等の機械的特性を高め、相手材への攻撃性を少なくし、成形時の樹脂材料の流動性も良い。
【0018】
炭素繊維の配合割合は、10重量%以上、25重量%以下とする。10重量%未満の少量では、機械的特性等の改善効果が期待できず、25重量%を超える多量では、溶融流動性等の成形性が低下して良好な成形品が得られないからである。10〜25重量%であれば、溶融流動性等の成形性を阻害することなく、樹脂スリーブの強度等の機械的特性や摺動特性、耐摩耗等を良好なものとし、かつ、相手材特にアルミ材に対する攻撃性を少なくすることができる。
【0019】
樹脂スリーブの成形方法としては、射出成形、押出成形、加熱加圧圧縮成形等の溶融成形や、モノマー注型成形、圧縮成形、粉末成形などの種々の公知の成形方法を採用することができる。射出成形は、効率よく大量生産できるので生産性に優れ、圧縮成形は、強度特性等の物性面で優れている。また、成形後に、熱処理、調質処理を行なっても良い。熱処理は成形品の残留応力を緩和し、寸法安定性を高めると共に、結晶化度を高め、機械特性等を高めるために行なう。熱処理剤としては、水、流動パラフィン、焼入れ油等を用いることができる。調質処理は、特に寸法安定性を高めるため、強制的に短時間で平衡水分量まで吸水させる処理である。沸騰水か酢酸カリウム水溶液などを用いて調質すると良い。また、成形後、摺動面に研削加工等を施しても良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、図4に示す自動車のクラッチ解放機構に組み込まれる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置Aを示している。クラッチレリーズ軸受装置Aは、マニアルミッション自動車のエンジン(出力軸39)とトランスミッション(32)との間に配置され、レリーズフォーク(34)の作動によってフロントカバー(33)上をエンジン側に軸方向摺動して、エンジンの回転力がトランスミッション(32)に伝達されるのを一時遮断するものである。この実施形態では、フロントカバー(33)はアルミ材で形成されている。
【0022】
この実施形態のクラッチレリーズ軸受装置Aは、樹脂スリーブ1、樹脂スリーブ1と一体成形(インサート成形)された側板2、樹脂スリーブ1の外周1aと側板2の一方の端面2aとの間に配され、弾性手段例えば皿バネ4によって弾性保持された玉軸受3を備えている。
【0023】
樹脂スリーブ1は、炭素繊維を10重量%以上25重量%以下の割合で配合したポリアミド樹脂を射出成形して、同図に示すような略円筒形部材に成形したものである。この実施形態では、ポリアミド樹脂としてポリアミド6−6を用い、炭素繊維の配合量を15重量%にしている。樹脂スリーブ1の内周1bは、フロントカバー(33)に摺動自在に外挿される。樹脂スリーブ1の外周1aの一端側角部にはテーパ状の案内面1a1が形成され、略中央部(他端側寄り)には外径側に突出したストッパ部1a2が形成され、他端部には側板2が一体に突設される。案内面1a1は、後述する玉軸受3と皿バネ4とのアッセンブリを樹脂スリーブ1の外周1aに外挿する際に、皿バネ4の小径端を案内する機能をもつ。また、ストッパ部1a2は、組立完了後の状態において、皿バネ4の小径端と係合して、その位置ずれを防止する機能をもつ。ストッパ部1a2は幅狭で、その一端側は鈍角な傾斜壁、皿バネ4の小径端が係合する他端側は垂直壁又はやや鋭角な傾斜壁である。一端側の傾斜壁は、組み込みの際、皿バネ4の小径端を案内する機能をもつ。また、他端側の壁面の最内径部と連続して、円周溝があり、この円周溝の径は一端側の外周1aよりもやや深い。
【0024】
側板2は鋼板プレス製の環体で、樹脂スリーブ1の他端部外周に一体にインサート成形される。側板2の一方の端面2aには後述する玉軸受3の外輪3bのフランジ部3b1が半径方向摺動自在に当接し、他方の端面側にはレリーズフォーク(34)が当接する当接部2bが例えば180度対向位置にそれぞれ配設される。この実施形態の側板2は、冷間圧延鋼板例えばSPCC鋼板をプレス加工によって所定形状に成形した後、表面硬化処理として浸炭窒化処理を施している。
【0025】
玉軸受3は、クラッチ装置のダイヤフラムスプリング(35)に接触する外向きの鍔部3a1を一端に有する鋼板プレス製の内輪3aと、内向きのフランジ部3b1を他端に有する鋼板プレス製の外輪3bと、内輪3aと外輪3bとの間に介在し、それぞれの軌道面3a2、3b2とアンギュラコンタクトする複数のボール3cと、ボール3cを円周所定間隔に保持する保持器3dと、内輪3aの外径面と外輪3bの内径面との間を一端側において密封する第1シール部材3eおよび他端側において密封する第2シール部材3fとを備えている。この実施形態において、ダイヤフラムスプリング(35)に接触する内輪3aの鍔部3a1の接触部の直径φTとボール3cのピッチ円直径PCD(ボール3cの中心を通る円の直径)とは、φT〉PCD{r=(φT/PCD)〉1}の関係を有する。また、第1シール部材3eは非接触形の弾性体シールで、その外径側部分が外輪3bの一端側内径面に圧入固定され、その内径側のリップ部が内輪3aの一端側外径面にラビリンス隙間を介して近接する。また、第2シール部材3fは略コ字形断面を有する鋼板プレス製のシールドで、その外径側部分が外輪3bの他端側内径面に圧入固定され、その内径側端部が内輪5aの他端側外径面にラビリンス隙間を介して近接する。尚、第1シール部材、第2シール部材として、接触形シールを用いてもよい。
【0026】
図2に示すように、内輪3aの外径面には、軌道面3a2を挟んで一端側に第1シール部材3eのリップ部が近接するシール面3a3、他端側にカウンタボア3b5、第2シール部材3fの内径側端部が近接するシール面3a4がそれぞれ設けられる。シール面3a3は軌道面3a2の一端側の肩部と連続し、シール面3a4は軌道面3a2の他端側のカウンタボア3a5と連続している。カウンタボア3a5の段差δ1は、軸受ラジアルすきま程度の値に設定される(図面では誇張して示している。)。
【0027】
上記のような内輪3aは、例えば、鋼板素材からプレス加工→熱処理→軌道面3a2、シール面3a4の研削加工という工程を経て製造される。鋼板素材としては浸炭鋼板、熱処理としては浸炭焼入れを採用することができる。浸炭鋼には、ニッケルクロム鋼(SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)、クロム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)がある。これらの中で、ニッケルクロム鋼(SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は、過剰浸炭を起こしにくく、機械的性質にも優れた材料であるが、合金元素として高価なニッケルNiを含んでいるため、コスト的な面で難がある。内輪に必要とされる機械的特性を考慮すると、SNC鋼、SNCM鋼では過剰品質の感があり、コスト面での釣り合いがとれない。これに対して、クロムモリブデン鋼(SCM)は、過剰浸炭を起こしにくく、焼入れ性が良く、しかも、SNC鋼、SNCM鋼に比べると比較的安価である。また、クラッチレリーズ軸受装置の内輪として要求される機械的特性も十分満足できる。このような理由から、内輪3aの材質としてクロムモリブデン鋼(SCM)を用いるのが好ましい。クロムモリブデン鋼(SCM)は、含有炭素量によってSCM415、SCM418、SCM420、SCM421、SCM822があり、その中でも、SCM415Mが最も好ましい。
【0028】
内輪3aの軌道面3a2、カウンタボア3a5、シール面3a4の研削加工はそれぞれ別個に行なっても良いが、同図に示すような研削砥石20を用いて、軌道面3a2とカウンタボア3a5、さらにはシール面3a4とを同時研削すると、工程の簡略化につながり、また、同軸度および段差δ1の寸法精度を確保する上で有利である。尚、軌道面3a2とシール面3a3および3a4の同時研削を行なうことも可能である。
【0029】
図3に示すように、外輪3bの内径面には、軌道面3b2を挟んで一端側にカウンタボア3b5、第1シール部材3eの外径側部分が圧入されるシール圧入部3b3、他端側に第2シール部材3fの外径側部分が圧入されるシール圧入部3b4がそれぞれ設けられる。シール圧入部3b3は軌道面3b2の一端側のカウンタボア3b5と連続し、シール圧入部3b4は軌道面3b2の他端側の肩部と連続している。カウンタボア3b5の段差δ2も、軸受ラジアルすきま程度の値に設定される(図面では誇張して示している。)。外輪3bの材質、製造方法については、上述した内輪3aに準ずる。例えば、軌道面3b2とシール圧入部3b3を同時研削で仕上げることができる。
【0030】
弾性手段としての皿バネ4は略円錐筒状のプレス成形品で、小径端から切欠き形成された複数の切欠き部と、隣り合った切欠き部間に形成された複数の舌片とを円周等配位置に備えている。各舌片の弾性変形に応じて、皿バネ4の小径端部が縮拡径する。
【0031】
組立に際しては、玉軸受3の組立品と皿バネ4とのアッセンブリを、一端側から樹脂スリーブ1の外周1aに外挿し、玉軸受3の外輪3bのフランジ部3b1が側板2の端面2aに当接し、かつ、皿バネ4の小径端部(舌片)がストッパ部1a2の他端側の壁面に当接するまで推し進める。上記アッセンブリを推し進めてゆく過程において、皿バネ4の小径端部(舌片)は、先ず樹脂スリーブ1の一端側の案内面1a1に案内されて外周1a上に乗り、次に外周1a上を滑りながらストッパ部1a2の一端側の傾斜壁に当接し、さらに、その傾斜壁に案内されてストッパ部1a2の他端側に嵌まり込む。
【0032】
上記のようにして、玉軸受3と皿バネ4とのアッセンブリを樹脂スリーブ1の外周1aに外挿すると、図1に示すこの実施形態のクラッチレリーズ軸受装置Aが完成する。樹脂スリーブ1の外周1aと玉軸受3の内輪3aの内径面との間には半径方向すきまS1があり、外輪3bのフランジ部3b1の内径と樹脂スリーブ1の外周1aとの間には半径方向すきまS2がある。半径方向すきまS2は、半径方向すきまS1よりも小さい(S1〉S2)。そして、樹脂スリーブ1のストッパ部1a2と外輪3bのフランジ部3b1の内側面との間に圧縮介在する皿バネ4の付勢力によって、外輪3bのフランジ部3b1が側板2の端面2aに弾性的に押圧され、これにより、玉軸受3が樹脂スリーブ1の外周1aと側板2の端面2aとの間に半径方向摺動自在に弾性保持される。玉軸受3は、半径方向すきまS1およびS2の存在によって、樹脂スリーブ1および側板2に対して半径方向に調心移動が可能であり、その調心移動量は小さい方の半径方向すきまS2によって規制される。フロントカバー(33)の軸心と出力軸(39)の軸心との間に組み込み上の誤差等があり、ダイヤフラムスプリング(35)の回転中心とクラッチレリーズ軸受装置の回転中心とで心ずれが生じても、玉軸受3がそのずれ量に応じて調心移動することによって、心ずれが自動的に調心される。また、玉軸受3は所要量調心移動した後、皿バネ4の付勢力によって、その位置に弾性保持され、エンジンの振動、衝撃等を受けても位置ずれしない(いわゆる調心抗力を有する)。
【0033】
【発明の効果】
本発明は以下に示す効果を有する。
【0034】
(1)炭素繊維を10重量%以上25重量%以下の割合で配合したポリアミド樹脂からなる樹脂スリーブは、強度等の機械的特性、摺動特性、耐摩耗性、寸法安定性、成形性に優れ、かつ、相手材特にアルミ材に対する攻撃性が少ない。そのため、本発明の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、樹脂スリーブの内周面に摩耗が生じにくく、また、摺動案内面となるフロントカバーの外周面に摩耗を生じさせにくく、安定したクラッチ操作を可能にすると同時に、良好な耐久性を有する。
【0035】
(2)本発明の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、アルミ製フロントカバーと組合わせて使用した場合、アルミ製フロントカバーに偏摩耗が発生しにくく、特に好ましい結果を生じさせる。
【0036】
(3)本発明の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、部品点数が少なく、低コスト、軽量、コンパクトで、かつ耐久性に優れている。
【0037】
(4)上記のような自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を備えた自動車のクラッチ解放機構は、クラッチフィーリングが良く、低振動・低騒音で、軽量・コンパクトで、かつ、良好な耐久寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係わるクラッチレリーズ軸受装置を示す断面図である。
【図2】内輪の断面図である。
【図3】外輪の断面図である。
【図4】自動車のクラッチ装置の周辺部を示す図である。
【符号の説明】
1 樹脂スリーブ
2 側板
3 玉軸受
3a 内輪
3a1 鍔部
3b 外輪
3b1 フランジ部
Claims (4)
- クラッチ装置の回転部材に接触する外向きの鍔部が一端に設けられた鋼板プレス製の内輪、及び、内向きのフランジ部が他端に設けられた鋼板プレス製の外輪を有する玉軸受と、
玉軸受の内方に挿入される樹脂スリーブと、
樹脂スリーブの外周から外径方向に延び、その一面に玉軸受の外輪のフランジ部が半径方向摺動自在に当接し、その他面にレリーズフォークが当接する鋼板プレス製の側板と、
玉軸受の外輪を側板の一面に弾性的に押圧して保持する弾性手段とを備え、
上記樹脂スリーブは炭素繊維を10重量%以上25重量%以下の割合で配合したポリアミド樹脂で形成されていると共に、上記樹脂スリーブの外周には外径側に突出したストッパ部が一体形成され、該ストッパ部の他端側の壁面の最内径部は、該樹脂スリーブの一端側の外周よりも深くなっており、
上記弾性手段は小径端部と大径端部とを有する皿バネで構成され、該皿バネの小径端部は上記ストッパ部の他端側の壁面と係合し、該皿バネの大径端部は上記外輪のフランジ部の内側面に接触して該フランジ部を上記側板に弾性的に押圧することを特徴とする自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。 - 上記樹脂スリーブが、トランスミッションに突設されたアルミ製フロントカバーの外周に軸方向摺動自在に外挿される請求項1記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
- 上記側板が樹脂スリーブと一体成形されている請求項1又は2記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
- 上記ストッパ部の一端側の壁面は傾斜状になっている請求項1記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
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1998
- 1998-05-06 JP JP12344098A patent/JP3902864B2/ja not_active Expired - Lifetime
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