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JP3905813B2 - 自動車用内装表皮材及びその製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用内装表皮材ならびにその製造方法に係り、詳しくは、例えば天井材,ドアトリム材,リヤーパッケージ材などに好適な自動車用内装表皮材ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用内装用の表皮材には不織布が広く使用され、なかでもソフトな風合いを有するものとして、ニードルパンチ不織布の表や裏面に樹脂によるスプレーやディッピング等のコーティングを施した表皮材と基材とを接着したものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、自動車用内装表皮材に使用する不織布は通常、目付が低いため成型時や表面の繊維間の接着を充分にするために樹脂を使用せざるを得なく、そのために表皮材としては充分にソフトさを満足するものではない。
【0004】
本発明は上記従来の技術に鑑み、その問題を解消すべく、特に表皮材として成型性が優れ、表面をソフトにするために樹脂を使用することなく、繊維間の接着がよく、表面がソフトな自動車用内装表皮材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本発明は、高融点繊維と熱融着性繊維の混繊からなり、熱融着性繊維を5〜50重量%含有する繊維層をニードル加工し、かつ熱風処理によって熱融着性繊維を融着し、高融点繊維と互いに接着してなる不織布であって、100g/m当たりの圧縮弾性率を0.6〜1.2g/mm,剛軟度を200mm以下、表面摩擦係数を0.45以下となしたことを特徴とする。
【0006】
ここで、高融点繊維としては、例えばポリエステル系繊維,ポリエチレン系繊維,ポリプロピレン系繊維,ポリアミド系繊維などの熱可塑性繊維やレーヨン繊維,綿,麻,芳香族ポリアミド繊維などの熱不溶融性繊維などが挙げられるが、なかでもポリエステル系繊維,ポリプロピレン系繊維,ポリアミド系繊維は好適である。
【0007】
また、熱融着性繊維としては、例えばポリエステル系樹脂,ポリエチレン系樹脂,ポリプロピレン系樹脂,ポリアミド系樹脂の何れかの熱可塑性樹脂の高融点成分と低融点成分からなる芯鞘型,サイドバイサイド型の何れかの複合繊維である。
代表例として、ポリエステル繊維(融点250℃〜270℃程度)と低融点ポリエステル繊維(融点100℃〜200℃程度)の複合繊維,エステル/ナイロン複合繊維,ポリエステル/ポリエチレン複合繊維,ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維などが挙げられる。
【0008】
また、本発明は上記表皮材の製造方法として、高融点繊維と、熱融着性の混繊からなり、熱融着性繊維を5〜50重量%含有する繊維層にニードル加工を施し、次いでホットエアースルー法により熱風処理して繊維層中の熱融着性繊維を溶融して高融点繊維を互いに接着させ、不織布とした後、更にローラーで繊維層内の厚さと繊維間の接着を調整して、100g/m当たりの圧縮弾性率を0.6〜1.2g/mm,剛軟度を200mm以下、表面摩擦係数が0.45以下となるよう加工することも特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、更に本発明の具体的態様について詳述する。
【0010】
本発明は前述のように、先ず、高融点繊維と、熱融着性繊維の混繊からなる繊維層であり、成型性の面より熱融着性繊維を5重量%以上、とりわけ10重量%以上を含有せしめることが好ましく、また製品の硬さや表面のソフトのために50重量%以下、好ましくは40重量%以下含有せしめるものである。
5重量%以下では成型に難があり、50重量%以上では製品が硬くなり、外観的にも好ましくない。
【0011】
そして、上記繊維層は、ニードル加工されると共に、熱風処理によって含有されている熱融着性繊維の低融点成分が溶融し混繊されている高融点繊維と融着され、一体となって表皮材の基礎となる不織布を形成する。
【0012】
ニードルパンチ不織布の目付は、成型時にスケや破れが生じにくいようにするためには、50g/m以上、就中、80g/m以上とすることが好ましく、また軽量化の点からは300g/m、就中、200g/m以下とすることが好ましい。
なお、ニードルパンチによる繊維の交絡処理は表面に起毛を起こし易いので、できるだけ両面を均一にパンチすることが必要である。
【0013】
ニードルパンチ処理された繊維層の熱風処理は熱風が繊維層の厚さ方向に貫通するホットエアースルー法(熱風貫通処理)がよく、熱風並行流のピンテンター方式では繊維層の内部とのむらを起こし易いので好ましくない。
ホットエアースルー方式は繊維層の表面と内層の温度差が少なく、高融点繊維と熱融着性繊維が立体的に接着するのによい方式である。
処理温度としては、熱融着性繊維の低融点の融点温度の50℃以上の温度が好ましい。
【0014】
そして、上記熱風処理された繊維層は直ちにローラーにより厚さと繊維間の接着のコントロールをする。この場合、ローラーの温度とローラー間の間隔が重要である。
ローラーの温度範囲は熱風処理温度に対して90℃〜150℃以下の範囲が好ましい。熱風処理温度とローラーの温度の温度差が少ないと表面が硬くなり、全体に厚さが薄くなる。逆に温度差が大きいと厚さのコントロールが出来ず、繊維間の接着が不十分となり好ましくない。従って、通常、熱風処理温度に対して90〜150℃以下の温度範囲とする。
【0015】
かくして得られた不織布の特性として、カンチレバーによる剛難度が200mm以下で100g/m当たりの圧縮弾性率が0.6g/mm〜1.2g/mmの範囲であれば、不織布の手触りがソフトで柔軟性に富んだ成形性に優れたものとなる。
不織布の圧縮弾性率が0.6g/mm以下では腰がなく締まりのない、成形性が悪く破れ、引けを生じ易く、また、カンチレバーの剛軟度が200mm以上で圧縮弾性率が1.2g/mm以上では、不織布が硬くプラスチックライクになり、成形性にはさほど問題にはならないが、薄いものしか得られない。
さらに加えて、得られた不織布の表面摩擦係数が0.45以下がよく、手触りの触感が柔らかくソフトである。
表面摩擦係数が0.45以上では不織布の表面の手触りがざらざらして、硬いものとなる。
【0016】
以下、更に上記本発明表皮材の製造工程の1例を図1にもとづいて説明する。
図において、1は繊維混繊部、2は混繊された繊維を層状に形成するカーディング部、3,4はカーディングされた繊維層をニードルパンチする処理部、5はホットエアースルー方式の熱風処理部、6は熱ロール、7は貯溜部、8は巻取部で、ニードルパンチ処理部は下面よりの処理部3と上面,下面を同時又は別々に行う2段処理部4の2段階となっており、また、ホットエアースルー方式の熱風処理部5は上方より熱風を投入し下方より吸引することによって熱風を繊維層の上方より下方へ向けて貫通し、熱処理するようになつている。
【0017】
かくして高融点繊維と、熱融着性繊維は混繊部1において均一に混合され、次のカーディング部2において繊維層に形成されてニードルパンチ処理部3,4で表裏よりニードルパンチが施され、次のホットエアースルー方式の熱風処理部5で処理され、熱融着性繊維が溶融されて高融点繊維と融着され、その後、熱ロール6,7を経て順次、巻取部8に送られ、製品化される。
また、ホットエアースルー方式の熱処理部では160〜250℃で滞留時間60から100秒程度の処理が通常行われ、熱処理部において、約3%程度の収縮が見られる。
【0018】
その後、熱ロール6において、50〜120℃程度に加熱されて繊維間の接着と厚みが調整される。
勿論、上記の各条件は必らずしも限定されるものではなく、高融点繊維と熱融着性繊維の種類,配合割合に応じて随時、若干の変化をもって選定されることは云うまでもない。
【0019】
【実施例】
以下、更に引続き実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例における目付量,厚さ,圧縮弾性率,表面摩擦係数,剛軟度の評価又は測定は、夫々下記の方法に従った。
【0020】
(1)目付量
JIS L1096の8.4.2に記載の方法に準処して求めた。
(2)厚さ
JIS L1096の8.5.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
(3)剛軟度
JIS L1096の8.19.1に記載の45℃カンチレバー法で測定した。但し、試料長は30cmを用いた。
【0021】
(4)圧縮弾性率
圧縮試験は東洋ボールドイン社製1トンテンシロンを用い、圧縮面積10cmφで圧縮速度2mm/minで試料を圧縮し、初荷重0.15g/mmとして荷重0.8g/mm下での変形距離(mm)を求め、その距離を荷重0.8g/mmに除して、更に、試料の目付で除して、100倍して得た。単位は100g/m当たりg/mmである。
【0022】
(5)表面摩擦係数
幅1cm,長さ2cm(面積2cm)の表面粗さ(ミツトヨ製表面粗さ測定器による)算術平均粗さRaが0.86μm,最大高さRyが5.2μmの鉄片(重量6.0g)を試料表面に乗せて試料を傾斜して鉄片が動き出す時のの傾斜角度をtan値として表し表面摩擦係数とした。
【0023】
実施例1
繊度3.0デニール,繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)80重量%と、繊度4.0デニール繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)20重量%を均一混合して、次いでカーディングして目付130g/mの繊維層(平均繊度:3.2デニール)とし、引き続き表面に深さ8mm,打ち込み本数63本/cm、裏面に同様に深さ10mm,打ち込み本数90本/cm、更に表面に深さ7mm,打ち込み本数90本/cmのニードルパンチ処理を施し、連続して熱処理機(ホットエアースルー方式)で90秒間滞留時間熱処理した。更に、処理された繊維層を連続して、熱ロール(ロール温度70℃)で繊維間の接着と厚み調整をしてワインダーに巻き取って本発明の自動車用内装表皮材の製品を得た。
【0024】
実施例2
実施例1と同じ生産工程で目付を180g/mとした以外は実施例と同じ条件で処理し、ワインダーに巻き取って本発明の自動車用内装表皮材の製品を得た。
【0025】
実施例3
実施例1と同じ生産工程で繊度4.0デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)の重量%を30重量%とした以外は実施例1と同じ条件で処理し、ワインダーに巻き取って本発明の自動車用内装表皮材の製品を得た。
【0026】
比較例1,2
実施例1と同じ生産工程で繊度4.0デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)の重量%を8重量%と50重量%とした以外は実施例1と同じ条件で処理し、ワインダーに巻き取って本発明の自動車用内装表皮材を得た。
【0027】
比較例3
繊度3.0デニール、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)をカーディングして目付180g/mの繊維層とし、引き続き、表面に深さ8mm,打ち込み本数63本/cm、裏面に同様に深さ5mm、打ち込み本数360本/cm、更に表面に深さ5mm、打ち込み本数345本/cmのニードルパンチ処理を施した。得られた不織布の表面にスプレー法でアクリル樹脂が10g/mになるように、更に裏面に50g/mになるようにアクリル樹脂をコーティングし、引き続き熱処理機で乾燥し、トータル目付240g/mの不織布を得た。
【0028】
比較例4
繊度3.0デニール、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点260℃)をカーディングして目付200g/mの繊維層とし、引き続き、表面に深さ8mm、打ち込み本数63本cm、裏面に同様に深さ5mm、打ち込み本数360本cm、さらに表面に深さ5mm、打ち込み本数345/cmのニードルパンチ処理を施した。得られた不織布の表面に10g/mになるようにアクリル樹脂をスプレーコーティングし、引き続き熱処理機で乾燥し、トータル目付210g/mの不織布を得た。
【0029】
以上の実施例,比較例により得られた表皮材についてカンチレバーによる剛軟度,圧縮弾性率,表面摩擦係数の評価を行った。
結果、及び5名のパネラーによる不織布表面のソフトさ,しなやかさ,硬さの評価を実施した結果を表1に示す。
評価分類は良好を○,やや良を△,硬くてゴワゴワ感を×に分けて行った。
【0030】
【表1】
Figure 0003905813
【0031】
また、上記得られた各表皮材について成型加工を施し、その加工性と表面状態を評価した。その結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003905813
【0033】
以上の表1に示された結果から、実施例1〜3で得られた表皮材は、比較例1〜4で得られた表面の状態が硬く、ゴワゴワしているのに対し、表面状態がソフト,しなやかであることが分かる。
【0034】
また表2に示された結果から、比較例1,2が成型性がよくなく、比較例3〜4が成型性は問題ないが、得られた表面の状態が硬い結果となっているのに対し、実施例1〜3で得られた表皮材は、成型性とその得られた製品の表面状態がソフトであることが分かる。
【0035】
このように自動車用内装表皮材は成型性に優れ、得られた製品の表面がソフトな風合いを有することが肝要であり、本発明は充分、その目的を達成するものである。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明の自動車用内装表皮材は、従来問題となっていた表面の状態が硬く、ゴワゴワしていた風合いを成型性を損なうことなく手触りがソフトで、しなやかに改善し、天井材,ドアトリム材,リアパッケージ材などの自動車用内装表皮材に使用して極めて好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明自動車用内装表皮材を製造する工程の1例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 混繊部
2 カーディング部
3,4 ニードルパンチ処理部
5 ホットエアスルー方式の熱処理部
6 熱ロール

Claims (4)

  1. 高融点繊維と、熱融着性繊維の混繊からなり、熱融着性繊維を5〜50重量%含有する繊維層をニードル加工し、かつ熱風処理によって上記熱融着性繊維を融着して高融点繊維と互いに接着してなる不織布であって、該不織布の100g/m当たりの圧縮弾性率が0.6g/mm 〜1.2g/mm ,剛軟度が200mm以下、さらに表面摩擦係数が0.45以下であることを特徴とする自動車用内装表皮材。
  2. 高融点繊維がポリエステル系繊維,ポリプロピレン系繊維あるいはポリアミド系繊維である請求項1記載の自動車用内装表皮材。
  3. 熱融着性繊維が熱可塑性樹脂の高融点成分と低融点成分からなる芯鞘型、サイドバイサイド型の何れかの複合繊維である請求項1記載の自動車用内装表皮材。
  4. 高融点繊維と熱融着性繊維の混繊からなり、熱融着性繊維を5〜50重量%含有する繊維層にニードル加工を施し、次いでホットエアースルー法により熱風処理して繊維層中の熱融着性繊維を高融点繊維と互いに接着させ、不織布とした後、更にローラーで繊維層の厚さと繊維間の接着を調整して100g/m当たりの圧縮弾性率を0.6g/mm 〜1.2g/mm ,剛軟度が200mm以下、表面摩擦係数が0.45以下とすることを特徴とする自動車用内装表皮材の製造方法。
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