JP3905886B2 - たばこおよびたばこ用フィルター - Google Patents
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Description
本発明は、主流煙中のアルデヒド類の量が少ないたばこ、およびたばこ主流煙中のアルデヒド類の量を低減できるたばこ用フィルターに関する。
背景技術
たばこの喫煙に際して、喫煙者により吸引される主流煙中には様々な化学成分が存在する。これらの化学成分のうちホルムアルデヒドに代表されるアルデヒド類は通常のたばこ用フィルターでは吸着除去が難しいものであった。このため、たばこ主流煙中からアルデヒド類を除去することが要望されている。
従来、たばこ主流煙中のアルデヒド類を吸着して除去するために、フィルターなどに種々の添加剤を添加することが試みられている。
しかし、従来の添加剤を使用した場合には、たばこの喫味が悪くなるなどの問題があった。
本発明の目的は、たばこの喫味を悪くするなどの影響が少なく、しかもたばこ主流煙中のアルデヒド類を効果的に低減させることができるたばこおよびたばこ用フィルターを提供することにある。
発明の開示
本発明の一態様に係るたばこは、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を含有することを特徴とする。
本発明の一態様に係るたばこ用フィルターは、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を含有することを特徴とする。
本発明においては、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が、1本当り1mg以上含有されていることが好ましい。本発明においては、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が、水溶液として添加されていることが好ましい。本発明のたばこまたはたばこ用フィルターは、さらに界面活性剤を含有していてもよい。
発明を実施するための最良の形態
本発明者らは、たばこ主流煙中のアルデヒド類を低減するための添加剤をさまざまな観点から検討した結果、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が有効であることを見出した。塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩としては、たとえばアルギニン、アルギニン塩、リジン、リジン塩、ヒスチジン、ヒスチジン塩、オルニチン、オルニチン塩、シトルリン、シトルリン塩、ヒドロキシジン、ヒドロキシジン塩からなる群より選択されるものが用いられる。このうち、たとえばアルギニンおよびその塩などは食品添加物として認められている。
本発明のたばこにおいて、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を添加する部位は、たばこ刻み、巻紙、フィルターのいずれでもよく、特に限定されない。
本発明のたばこ用フィルターは、シガレットのたばこ部の吸口側に取り付けられるフィルターでもよいし、シガレットホルダーの形態のフィルターでもよい。
本発明のたばこまたはたばこ用フィルターにおいて、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩の含有量を1本当り1mg以上としたのは、この量より少ないとアルデヒド類の低減効果が十分に得られにくいためである。
本発明においては、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を水の共存下で使用するとアルデヒド類の低減効果が増す。
本発明においては、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を界面活性剤とともに使用した場合にもアルデヒド類の低減効果が増す。これは、界面活性剤および塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を含む水溶液のぬれ性がよくなり、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が良好に分散されるためであると考えられる。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤であるソルビン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなど、非イオン性界面活性剤であるショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(実施例)
以下の実施例において採用した、たばこ主流煙中のアルデヒド類の測定方法は、捕集物質として2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用い、生成した誘導体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定するものである。この方法により同時に測定可能な対象物質は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、メチルエチルケトンおよびn−ブチルアルデヒドの8成分である。以下においては、測定対象物質であるアルデヒド類(カルボニル化合物)のうち、ホルムアルデヒドについて実施例を記述する。
まず、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)9.51gをアセトニトリル1Lに溶解し、60%過塩素酸5.6mLを加えて超純水で2Lにメスアップして捕集液を調製した。
図1を参照して測定装置の概要を説明する。図1に示すように、捕集用洗気瓶11にDNPH捕集液12を入れる。洗気瓶11の容量は250mLであり、DNPH捕集液12の量を100mL、デッドボリューム(dead volume)を150mLとした。この洗気瓶11を氷水バス13に入れて氷冷する。洗気瓶11内の捕集液12に、シガレット1が取り付けられるガラス管14の下端を浸漬する。洗気瓶11のデッドボリュームに連通するように、ガラス管15およびケンブリッジパッド(Cambridge pad)16を取り付け、ケンブリッジパッド16と自動喫煙器17とを接続する。
ガラス管14にシガレット1を取り付け、ISO準拠の標準喫煙条件でシガレット1を自動喫煙させる。すなわち、シガレット1本につき、空パフ1回で2秒間35mL吸煙する動作を58秒間隔で繰り返す。主流煙がバブリングしている間に、ホルムアルデヒドはDNPHによって誘導体化される。測定用シガレットは2本とした。
上記のようにして生成した誘導体をHPLCによって測定する。まず、捕集液を濾過した後、Trizma Base液で希釈する(捕集液4mL:Trizma Base液6mL)。この液をHPLCで測定する。HPLC測定条件は以下の通りである。
カラム:HP LiChrospher 100RP−18(5μ)250×4mm
ガードカラム:HP LiChrospher 100RP−18(5μ)4×4mm
カラム温度:30℃
検出波長:DAD356nm
注入量:20μL
移動相:3相によるグラジエント(A液:アセトニトリル30%、テトラヒドロフラン10%およびIPA1%を含有する超純水水溶液、B液:アセトニトリル65%、テトラヒドロフラン1%およびIPA1%を含有する超純水水溶液、C液:アセトニトリル100%)。
図2の断面図を参照して、試料として用いたシガレットの構造を説明する。図2に示すように、このシガレットは、たばこ刻み21を巻紙22により巻装したたばこ部20と、フィルター31を成形紙32により巻装したフィルター部30とを、チップペーパー40によって取り付けたものである。フィルター材料としては、例えばセルロースアセテート繊維のトウを使用することができる。
なお、分割した複数のフィルターを用い、個々のフィルターをそれぞれ個別巻取り紙で巻装した状態で、成形紙により一体に巻装してもよい。
塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を添加した試験用フィルターを用いたシガレットを試験に供する際には、市販のタール6mgのシガレットからアセテートフィルターを切断して単巻部分を取り出し、これを試験用フィルターと接続して試料を作製した。試験用フィルターに塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を添加するには、粒子発生器(アトマイザー)を用いた。また、刻みに塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を添加する場合には、市販シガレットの刻みを一度ばらし、刻みに噴霧器を用いて塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を添加した後、再び巻紙で巻き直して単巻の試料を作製した。
なお、市販のタール6mgシガレットのフィルター部を切断した単巻について、上記の測定方法によりパフ回数7回で測定した結果、ホルムアルデヒド量は110μgであった。
実施例1
ベースフィルターAとして可塑剤なしのアセテートフィルターを用意した。また、ベースフィルターAにアルギニン10wt%水溶液を粒子発生器(アトマイザー)を用いて35mg添加して48時間調和乾燥することにより試験用フィルター(アルギニン3.5mg添加)を用意した。同様に、ベースフィルターAにアルギニン・グルタミン酸塩10wt%水溶液を粒子発生器(アトマイザー)を用いて35mg添加して48時間調和乾燥することにより別の試験用フィルター(アルギニン・グルタミン酸塩3.5mg添加)を用意した。
各々のフィルターを上記の単巻部と接続し、上述した測定方法に従って主流煙中のホルムアルデヒド量(FA)を測定した。その結果を表1に示す。表1から、ベースフィルターAにアルギニンまたはアルギニン・グルタミン酸塩を添加したフィルターを用いたシガレットは、ベースフィルターAを用いたシガレットに対して十分なホルムアルデヒド低減効果を示すことがわかる。
実施例2
ベースフィルターAに可塑剤としてトリアセチン6wt%を添加して可塑化したベースフィルターBを用意した。このベースフィルターBは製品に用いられているものと同等である。また、ベースフィルターBにアルギニン10wt%水溶液を35mg添加して48時間調和乾燥することにより試験用フィルター(アルギニン3.5mg添加)を用意した。同様に、ベースフィルターBにアルギニン・グルタミン酸塩10wt%水溶液を35mg添加して48時間調和乾燥することにより別の試験用フィルター(アルギニン・グルタミン酸塩3.5mg添加)を用意した。
各々のフィルターを上記のシガレット部と接続し、上述した測定方法に従って主流煙中のホルムアルデヒド量(FA)を測定した。その結果を表2に示す。表2から、可塑剤が添加されているベースフィルターBにアルギニンまたはアルギニン・グルタミン酸塩を添加したフィルターを用いたシガレットでも、十分なホルムアルデヒド低減効果を示すことがわかる。
実施例3
ベースフィルターBに、アルギニン10wt%水溶液、アルギニン20wt%水溶液またはアルギニン30wt%水溶液を35mg添加して48時間調和乾燥することにより、3種のフィルター(それぞれアルギニン3.5mg添加、アルギニン7.0mg添加、またはアルギニン10.5mg添加)を用意した。
各々のフィルターを上記のシガレット部と接続し、上述した測定方法に従って主流煙中のホルムアルデヒド量(FA)を測定した。その結果を表3に示す。表3から、ベースフィルターBに対して添加するアルギニンの量を増加していくと効果は上がるが、3.5mgで十分効果があることがわかる。
実施例4
水の共存下でのアルギニンまたはアルギニン・グルタミン酸塩によるホルムアルデヒドの低減効果を評価するために以下のような測定を行った。
実施例1および実施例2に記載したように、ベースフィルターAまたはベースフィルターBに、アルギニン10wt%水溶液またはアルギニン・グルタミン酸塩10wt%水溶液を35mg添加し、添加直後に上記と同様にして主流煙中のホルムアルデヒド量(FA)を測定した。いずれの場合も、アルギニンまたはアルギニン・グルタミン酸塩の添加量は3.5mgである。その結果を表4に示す。表4と表1および表2との比較から、アルギニンまたはアルギニン・グルタミン酸塩と水とが共存していると、ホルムアルデヒドの低減効果が増大することがわかる。
実施例5
アルギニン20wt%水溶液を、ミキシングドラムに入れたたばこ刻みに対してハンド噴霧器を用いて20wt%スプレー添加した後、乾燥機にて80℃で5分間乾燥した。その後、48時間調和し、たばこ刻み690mgで59mmの単巻部を作製した。巻紙には三島製紙(株)製の4P35巻紙を用いた。アルギニン添加量は刻みに対して4wt%(27.6mg)となる。フィルターを付けずに上記と同様にして単巻き出口での主流煙中のホルムアルデヒド量を測定した。比較に用いたベース刻みは、水のみをたばこ刻みに対して20wt%スプレー添加したものである。ベース刻みについても上記と同様にして単巻き出口での主流煙中のホルムアルデヒド量を測定した。その結果を表5に示す。表5から、刻みにアルギニンを添加することによっても、主流煙中のホルムアルデヒドを大幅に低減できることがわかる。
実施例6
水の共存下で種々の塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩によるホルムアルデヒドの低減効果を評価するために実施例4と同様な測定を行った。
ベースフィルターBに、表6に示す各種の塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩の水溶液を所定量添加し、添加直後に上記と同様にして主流煙中のホルムアルデヒド量(FA)を測定した。いずれの場合も、塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩の添加量は3.5mgである。その結果を表6に示す。表6から、アルギニンに限らず、他の塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩によってもホルムアルデヒドの低減効果が得られることがわかる。
実施例7
界面活性剤の共存下で種々の塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩によるホルムアルデヒドの低減効果を評価するために実施例2と同様な測定を行った。
ベースフィルターBに、表7に示すようにアルギニン単独の水溶液またはアルギニンと各種の界面活性剤との水溶液を所定量添加し、48時間調和後に上記と同様にして主流煙中のホルムアルデヒド量(FA)および水分増加量(ΔW)を測定した。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤であるソルビン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムもしくはラウリン酸ナトリウム、または非イオン性界面活性剤であるショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステルもしくはショ糖ステアリン酸エステルを用いた。その結果を表7に示す。表7から、塩基性アミノ酸と界面活性剤とを併用することにより、水の共存下でなくてもホルムアルデヒドの低減効果が得られることがわかる。この理由として、アルギニンと界面活性剤を含む水溶液を用いたことによりフィルターに対する水溶液のぬれ性が良好になり、アルギニンの分散性が向上したことが考えられる。
ショ糖ラウリン酸エステル:三菱化学フーズ(株)商品名L−1695
ショ糖ミリスチン酸エステル:三菱化学フーズ(株)商品名M−1695
ショ糖パルミチン酸エステル:三菱化学フーズ(株)商品名P−1670
ショ糖ステアリン酸エステル:三菱化学フーズ(株)商品名S−1670
グリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノラウレート):理研ビタミン(株)商品名ポエムJ−0021
本発明に係るたばこ用フィルターは、図3に示すようなシガレットホルダーの形態で適用することもできる。このたばこ用フィルターは、円筒状シガレットホルダー本体41の内部にフィルター31を設けたものであり、このフィルター31に塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が含有される。シガレットホルダー本体41は、吸口部42に一体的に連設されている。このようなたばこ用フィルターを用いた場合にも、たばこ主流煙中のアルデヒド類を低減させることができる。
産業上の利用可能性
以上詳述したように本発明のたばこおよびたばこ用フィルターを用いれば、たばこ主流煙中のアルデヒド類を効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施例において用いたたばこ主流煙中のホルムアルデヒドの測定装置を示す図。
図2は本発明の実施例におけるシガレットの断面図。
図3は本発明の他の実施例におけるたばこ用フィルターの断面図。
Claims (6)
- リジン、リジン塩、ヒスチジン、ヒスチジン塩、オルニチン、オルニチン塩、シトルリン、シトルリン塩、ヒドロキシジン、ヒドロキシジン塩からなる群より選択される塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を1本当り1〜27.6mg含有することを特徴とするたばこ。
- 塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が、水溶液として添加されていることを特徴とする請求項1に記載のたばこ。
- さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のたばこ。
- リジン、リジン塩、ヒスチジン、ヒスチジン塩、オルニチン、オルニチン塩、シトルリン、シトルリン塩、ヒドロキシジン、ヒドロキシジン塩からなる群より選択される塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩を1本当り1〜27.6mg含有することを特徴とするたばこ用フィルター。
- 塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩が、水溶液として添加されていることを特徴とする請求項4に記載のたばこ用フィルター。
- さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項4または5に記載のたばこ用フィルター。
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