JP3922138B2 - 金属化フィルムコンデンサとその製造方法および金属化フィルムコンデンサを用いたインバータ装置 - Google Patents
金属化フィルムコンデンサとその製造方法および金属化フィルムコンデンサを用いたインバータ装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器用、産業用、電力用等の自己保安機構を有する金属化フィルムコンデンサ、およびその製造法とそのコンデンサを用いたインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電極に蒸着金属を用いた金属化フィルムコンデンサは、アルミ電解コンデンサよりも低損失、高耐圧、無極性、長寿命、温度特性が良好など優れた電気特性を有する。しかし、これまで誘電体フィルムの薄膜化に限界があったことと、フィルムの誘電率が小さいことから、電解コンデンサと同等の静電容量を得ようとすると、どうしてもサイズが大きくなるという課題を有していた。
【0003】
しかし、近年、インバータ回路を備えた電気機器を今までよりも省エネ化、高寿命化し、なおかつ安全性も向上させるために、電解コンデンサの代わりに金属化フィルムコンデンサを使用する動きが出てきている。
【0004】
アルミ電解コンデンサは、駆動用電解液のドライアップを避けることが困難であることから、金属化フィルムコンデンサよりも寿命が短い。そのため、アルミ電解コンデンサを使用している電気機器は、電解コンデンサの寿命がその機器の寿命を決めてしまうため、長期使用する際にはコンデンサを一定期間で交換する必要があった。さらに、電解液は有機溶媒であるため安全性に関しても課題があった。また、アルミ電解コンデンサは誘電体である酸化皮膜の高耐圧化が困難であったことから、単品では定格600V以上で使用するのは困難であり、高圧用途ではコンデンサを複数個、直列接続して使用する必要があった。
【0005】
また、電解コンデンサは電解液の電気抵抗が金属よりも高く、特に低温域で抵抗がさらに増大するため、リップル電流による発熱が大きい。そのため平滑用途で数10A以上の比較的大きなリップル電流が流れる回路においては、静電容量を大きく(電極面積を拡大)し、直列抵抗成分を低下させて耐リップル性を向上させて用いる場合が多い。このように、電極箔面積を拡大すると電解コンデンサのサイズが大きくなるので、高リップル電流が流れる平滑用途ではサイズパフォーマンスの低下を招いていた。
【0006】
一方、金属化フィルムコンデンサは極めて寿命が長いことから、長期使用において交換する必要がないため電気機器のメンテナンスを容易にする。さらに、金属化フィルムコンデンサは誘電体フィルムの耐圧が高いため600V以上の高い電圧のインバータ回路にも単品で使用可能である。そのため、金属化フィルムコンデンサを用いればインバータを高電圧化し効率を向上させることができ、機器の省エネ化が図れる。また、金属化フィルムコンデンサは電極に電気抵抗の小さい金属を用いていることと、誘電体自身の誘電損失が小さいためコンデンサとしての損失が小さく、耐リップル性に優れている。
【0007】
このような金属化フィルムコンデンサは、その長所を生かして市場のニーズに応えていくためには、これまでよりも薄い誘電体フィルムを用いることによってアルミ電解コンデンサ並に小型化し、信頼性や安全性をさらに高める必要がある。
【0008】
金属化フィルムコンデンサは、小型化するためには従来例よりも薄い誘電体フィルムを使用しなければならないことから、金属蒸着した誘電体フィルムの電位傾度(1μm当たりの耐圧)を増加させることが必要となる。また、信頼性や安全性をさらに高めるには、蒸着金属の品質が重要なポイントとなる。
【0009】
誘電体フィルムを薄くしていくと、フィルム中に電気的弱点部が存在する確率が増加する。このような電気的弱点部があってもコンデンサとして正常に機能させるために、次のような2つの方法を用いることが一般的である。
【0010】
一つは、蒸着膜の厚みを薄くし自己回復(セルフヒーリング)性を向上させることである。自己回復性とは、ショート等で電気的弱点部に過大な電流が流れた際の発熱によって、弱点部周囲の蒸着膜が蒸発飛散し、瞬時に絶縁回復する現象のことである。この性質が鋭敏に働き、自己回復時のクリアリングエネルギーが比較的小さい場合は、電気的弱点部から絶縁破壊が進行しにくいのでコンデンサに大きなダメージを与えることなく正常状態で使用し続けることができる。
【0011】
もう一つは、蒸着金属電極の形成の際にオイル印刷工法等を利用し、非蒸着スリットを格子状に多数設けることによって多数の分割金属蒸着電極とそれらを接続するヒューズ部からなるパターン蒸着電極を形成することである(例えば、特開平10−154631号公報参照)。
【0012】
図10、11に、パターン蒸着された金属電極を有する蒸着フィルムの従来例を示す。図10は、分割電極の形状が四角形の蒸着パターンであり、図11は、菱形と三角形を用いた蒸着パターンである。図中、20、30は長さ方向の一端縁部に設けた非蒸着部、21、31は非蒸着スリット、22、32は分割電極、23、33はフィルム幅方向の分割電極を接続するヒューズ部、24、34は引き出し電極に最も近いヒューズ部、25はフィルム長さ方向の分割電極を接続するヒューズ部、26、35は金属化フィルムコンデンサとした時に引き出し電極であるメタリコンに接する部分である。
【0013】
金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに図10や図11のようにパターン蒸着電極を採用すると、ショートした電気的弱点部に向かって周りの分割電極からもヒューズ部を通って過大な電流が流れ込み、その大きな電流によって分割電極を接続しているヒューズ部が切れて全体のコンデンサから電気的弱点部を有する分割コンデンサを切り離すことができる。
【0014】
このように分割電極を構成すると、前述した自己回復作用が鋭敏に働かなかったとしても、弱点部を有する分割コンデンサがヒューズ部の溶断によって瞬時に電気的に切り離されることで、僅かに容量は減少するもののコンデンサとして正常に使用し続けることができる。従って、分割電極の面積を小さくすればするほど、同じ使用電圧における長期使用時の容量減少は小さくなる。すなわち、分割電極を小さくすれば誘電体フィルムの電位傾度を高くすることができるので、コンデンサの長寿命化が図れる。
【0015】
さらに、パターン蒸着によって分割電極を構成すると、例えコンデンサに異常が発生してもヒューズ部が連鎖的に切れて静電容量がなくなるという自己保安機能が働くので、発火や発煙の心配がなく安全性の高いコンデンサが得られる。
【0016】
しかしながら、金属化フィルムコンデンサは蒸着時の分割電極形状およびヒューズ部のパターンは定常状態で使用時のコンデンサの発熱に大きな影響を与える。ヒューズ部は、個々の分割電極よりも抵抗値が大きいため電流によって発熱し、電流量が大きすぎる場合溶断する。このようなことから、発熱を抑えることと、自己保安機能を高めることは互いに相反することになる。そのため、定常状態で使用時には極力発熱が小さく、なおかつ分割電極内における局所短絡時には自己保安機能が確実に働くような蒸着パターンの設計が必要であった。
【0017】
これまでに、図10や図11のように四角形、三角形、菱形などの多角形の辺や頂点にヒューズ部を配置する発明が幾つか開示されている(例えば、特開平7−865088号公報、特開平11−144995号公報参照)。しかしながら、前記従来例において、分割電極の形状とヒューズ部の配置やヒューズ部の向きに関する設計をどのようにすれば前記発熱を最大限抑えることができるかについては詳細に開示されていなかった。
【0018】
本発明者らは、これまで低発熱の蒸着膜パターンの開発において鋭意研究を積み重ねてきた。低発熱にするには、誘電体フィルムの幅方向において抵抗成分となるヒューズ部の本数を極力少なくすれば良い。しかし、ヒューズ部の本数を減らすために分割電極をフィルムの幅方向に拡大し面積を大きくしてしまうと電位傾度が低下し寿命が短くなる。
【0019】
電位傾度が低下するのを防止するためには、四角形や菱形の分割電極を誘電体フィルムの長さ方向には幅を細くし、フィルムの幅方向において長くなるような形状にする。このように構成すると、分割電極の面積を増加させずにフィルム幅方向のヒューズ部の数を少なくすることができるので、高い電位傾度を維持しつつ低発熱化できる。
【0020】
誘電体フィルムの幅方向に細長い四角形の分割電極を配置した場合、分割電極を囲む非蒸着部の割合が菱形を配置した場合よりも大きくなるので、小型化には適していない。従って、四角形状のパターンを採用するよりも、フィルムの幅方向において細長い菱形を配置する方が小型化には有利である。
【0021】
このように誘電体フィルムに分割電極として菱形を採用する場合、極力発熱を抑えるためには菱形のどの位置にヒューズ部を配置し、どのような向きにヒューズ部を接続すれば良いか、これまで明確にわかっていなかった。また、菱形状の分割電極を有するパターンにおいて、保安機能を確実に動作させるためにヒューズ部の位置や形状をどのようにすれば最適になるのかについても詳細にはわかっていなかった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高電圧・高リップル電流用途において低発熱と高い自己保安機能を実現する金属化フィルムコンデンサ、およびその金属化フィルムコンデンサの製造方法、およびそのコンデンサを用いたインバータ装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサは、ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、前記分割電極の各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状を有する蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を有する金属化フィルムコンデンサであって、前記分割電極の菱形を、対角線の長い方が短い方の2倍以上である形状とし、かつ長い方の対角線が金属化フィルムの幅方向を向くように配置し、分割電極の三角形状は前記菱形状を短い方の対角線で2等分した形の二等辺三角形とし、その底辺をメタリコン部と近接する位置に配置すると共に、前記ヒューズ部は前記菱形状の分割電極の頂点から辺の長さの1/3以下の距離に設けたことを特徴としている。
【0024】
また、本発明の請求項2に記載の金属化フィルムコンデンサは、ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、その各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状を有する蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を有する金属化フィルムコンデンサであって、分割電極同士を接続するヒューズ部の前記非金属部分との境界線の方向が前記メタリコン部の面の方向と略垂直に形成したことを特徴としている。
【0025】
また、本発明の請求項3に記載の金属化フィルムコンデンサは、パターン形状の分割電極中で菱形状および三角形状の1辺には1個所のみヒューズ部が存在し、分割電極の1つの頂点には1本のヒューズ部のみが近接するように配置したことを特徴としている。
【0026】
また、本発明の請求項4に記載の金属化フィルムコンデンサは、ヒューズ部を分割電極に接続される部分で、幅が広がるように形成したことを特徴としている。
【0027】
また、本発明の請求項5に記載の金属化フィルムコンデンサの製造方法は、請求項1から4のいずれかに記載のパターン形状を形成して金属化フィルムコンデンサを製造することを特徴としている。
【0028】
また、本発明の請求項6に記載の金属化フィルムコンデンサは、請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用に用いたことを特徴としている。
【0029】
また、本発明の請求項7に記載の金属化フィルムコンデンサは、車輌駆動用モータの駆動回路においてコンデンサに印加される最大電圧が600V以上であることを特徴としている。
【0030】
また、本発明の請求項8に記載のインバータ装置は、請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用コンデンサとして用いたことを特徴としている。
【0031】
【発明の実施の形態】
上記した本発明の目的は、各請求項に記載した構成を実施の形態とすることにより達成できるので、以下には各請求項の構成にその構成による作用効果を併記し併せて請求項記載の構成のうち説明を必要とする特定用語については詳細な説明を加えて、本発明における実施の形態の説明とする。
【0032】
本発明の請求項1に記載の発明は、ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、その各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状の蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を有する金属化フィルムコンデンサであって、前記分割電極の菱形を、対角線の長い方が短い方の2倍以上である形状とし、かつ長い方の対角線が金属化フィルムの幅方向を向くように配置し、分割電極の三角形状は前記菱形状を短い方の対角線で2等分した形の二等辺三角形とし、その底辺をメタリコン部と近接する位置に配置すると共に、前記ヒューズ部は前記菱形状の分割電極の頂点から辺の長さの1/3以下の距離に設けたことから、電位傾度を低下させずに金属化フィルムの幅方向におけるヒューズ部の本数が少なくなるとともに、パターン形状の分割電極内の電流密度分布が均一になる。
【0033】
本発明の請求項2に記載の発明は、ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、その各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状の蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を備えた金属化フィルムコンデンサであって、分割電極同士を接続するヒューズ部を分割電極の頂点から辺の長さの1/3以下の距離に設け、かつ前記非金属部分との境界線の方向が前記メタリコン部の面の方向と略垂直に形成していることから、パターン形状の分割電極内の電流密度分布が均一になり、なおかつヒューズ部内での局所的な電流集中を緩和する。
【0034】
本発明の請求項3に記載の発明は、パターン形状の分割電極中で菱形状および三角形状の1辺には1個所のみヒューズ部が存在し、分割電極の1つの頂点には1本のヒューズ部のみが近接するように配置したことから、分割電極内で電流密度分布を均一化できる。
【0035】
本発明の請求項4に記載の発明は、ヒューズ部の分割電極に接続される部分を、幅が広がるように形成したことから、ヒューズ部内の局所的な電流集中を緩和することができる。
【0036】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のパターン形状を形成して金属化フィルムコンデンサを製造することから、発熱が小さいコンデンサが得られる。
【0037】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用に用いたことから、従来例よりも高電圧のインバータ回路を実現できる。
【0038】
本発明の請求項7に記載の発明は、車輌駆動用モータの駆動回路においてコンデンサに印加される最大電圧が600V以上であることから、インバータ装置において電解コンデンサを使用するよりも小型化、長寿命化が図れる。
【0039】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用に用いたインバータ装置であることから、発熱を小さくできる。
【0040】
以下本発明の金属化フィルムコンデンサおよびその製造方法と、その金属化フィルムコンデンサを搭載したインバータ装置につき、図面を参照して説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明の金属化フィルムコンデンサに使用する蒸着フィルム表面の模式図で、図2は図1の蒸着フィルムを用いた金属化フィルムコンデンサの模式図である。
【0042】
図1において、1は誘電体フィルムであるポリプロピレン(PP)フィルムの長さ方向の一端縁部に設けた非蒸着部、2はオイル転写によって形成した非金属部分である非蒸着スリットである。また、3は非蒸着スリット2によって多数に分割された金属部である蒸着金属からなる菱形状の分割電極であり、同じく4は三角形状の分割電極である。菱形状の分割電極3における対角線の長さは、長い方が18mmであり、短い方は5mmとした。従って、1つの菱形状の分割電極3の面積は45mm2である。三角形状の分割電極4は、菱形状の分割電極3の短い方の対角線で2つに分割した二等辺三角形である。本実施の形態1では、蒸着金属にアルミニウムを用いた。
【0043】
5は菱形状の分割電極3および三角形状の分割電極4を接続するヒューズ部であり、ヒューズ幅が0.3mmであり、ヒューズ長さを0.4mmとした。ヒューズ部5の位置は、分割電極3および分割電極4の頂点から各辺に沿って2mmのところに配置した。図1のように、各分割電極の一つの頂点には必ず一つのヒューズ部のみが近接するように配置した。
【0044】
6は引出し電極であるメタリコンと接触する蒸着電極部である。7は蒸着電極部6と分割電極4とを接続するヒューズ部であり、ヒューズ幅0.5mmでヒューズ長さ0.4mmとした。図1においては、ポリプロピレンフィルムの片面のみに蒸着金属を形成してある。図1では、パターン蒸着金属部を灰色で示した。
【0045】
次に、図2を用いて図1の金属化フィルムを用いて製造した本実施の形態1における金属化フィルムコンデンサの構造を説明する。
【0046】
図2において、8は図1で説明した分割電極3、4と前記分割電極3、4同士を接続するヒューズ部5、7を備えたパターン形状の蒸着金属電極を有する金属化フィルムである片面金属化ポリプロピレンフィルム、9は端縁部である非蒸着部1以外の全面を蒸着した金属化フィルムである片面金属化ポリプロピレンフィルムである。図2では、非蒸着部を灰色で示した。
【0047】
図2のように蒸着金属パターンのある片面金属化ポリプロピレンフィルム8とパターンのない片面金属化ポリプロピレンフィルム9の2枚を金属化フィルムの一端縁部の非蒸着部1が重ならないような向きに重ねて1対として巻回し、その巻回物の2つの端面に亜鉛を溶射することによって引き出し電極であるメタリコン部であるメタリコン電極10を形成してある。11は電極リードである。
【0048】
本実施の形態1で用いた誘電体であるポリプロピレンフィルムのマイクロメータ法による厚みは3.3μmであり、試作コンデンサの静電容量は200μFである。
【0049】
次の(表1)に、本実施の形態1のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。
【0050】
ステップアップ試験においては、800V位から容量が減少し始めて1300Vまでに発火や発煙せずにヒューズ部が溶断して97%以上容量が減少したものを◎(合格)とした。この結果に基づく、本実施の形態の特徴ならびに作用効果は比較例との対比で後述する。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施の形態2)
図3は本実施の形態2で説明する金属化フィルムコンデンサに使用する蒸着フィルム表面の模式図である。本実施の形態は、ヒューズ部の構成が実施の形態1における発明のヒューズ部5と異なるだけで、それ以外の同一構成ならびに作用効果を奏する部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0053】
本実施の形態では、図3に示すように実施の形態1における図1のヒューズ部5を、ヒューズ部12に置き換えたこと以外は実施の形態1と同じにした。図3においてヒューズ部12は、その非金属部分である非蒸着スリット2との境界線12aの方向がメタリコン電極10の面の方向と垂直にしたことである。ヒューズ部12の幅は0.3mmとした。
【0054】
この図3のようなパターン蒸着フィルムを、実施の形態1における蒸着フィルムである片面金属化ポリプロピレンフィルム8と置き換えて、実施の形態1と同様な方法で本実施の形態2の金属化フィルムコンデンサを製造した。
【0055】
上記(表1)に、本実施の形態2のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。この結果に基づく、本実施の形態の特徴ならびに作用効果は比較例との対比で後述する。
【0056】
(実施の形態3)
本実施の形態は、ヒューズ部の配置が実施の形態1における発明のヒューズ部5と異なるだけで、それ以外は同一構成ならびに作用効果を奏するので詳細な説明を省略し、図1を利用して異なるところを中心に説明する。
【0057】
本実施の形態では、実施の形態1における蒸着パターンの図1でヒューズ部5を、分割電極3の菱形状の頂点から辺の長さにおける3分の1の距離に配置したこと以外は、実施の形態1と同様な方法でコンデンサを製造した。
【0058】
上記(表1)に、本実施の形態のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。この結果に基づく、本実施の形態の特徴ならびに作用効果は比較例との対比で後述する。
【0059】
(実施の形態4)
図4は本実施の形態で説明する金属化フィルムコンデンサに使用する蒸着フィルム表面のヒューズ部の拡大模式図である。本実施の形態は、ヒューズ部の構成が実施の形態1における発明のヒューズ部5と異なるだけで、それ以外は同一構成ならびに作用効果を奏するので詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0060】
本実施の形態では、ヒューズ部13の形状を、図4に示すように分割電極3に接続されるところである部分13aを、ヒューズ幅が広がるように曲率を設けたものに変更したこと以外は、実施の形態1と同様な方法でコンデンサを製造した。本実施の形態において、ヒューズ部13はその最も細い部分の幅は0.2mmとした。
【0061】
上記(表1)に、本実施の形態のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。この結果に基づく、本実施の形態の特徴ならびに作用効果は比較例との対比で後述する。
【0062】
なお、実施の形態1から4では、巻回型の金属化フィルムコンデンサについて記載したが、本発明は巻回型のコンデンサに限定されるものではなく、積層型の金属化フィルムコンデンサに適用しても良い。
【0063】
また、実施の形態1から4では、ポリプロピレンフィルムの全面に均一厚みのアルミニウムを蒸着したが、本発明は蒸着膜厚によって何ら限定されるものではない。例えば、メタリコンに接する付近の蒸着金属の膜厚を厚くしたヘビーエッジ蒸着を用いると、メタリコンとの接触抵抗が向上するので好適である。
【0064】
また、本実施の形態1から4では、蒸着金属としてアルミニウムを用いたが、本発明ではアルミニウムに限定されるものではなく他の蒸着した金属であっても良いことは言うまでもない。例えば、アルミニウムと亜鉛の合金、亜鉛などでも良い。
【0065】
また、本実施の形態1から4では、片面蒸着したポリプロピレンフィルムについて記載したが、本発明ではポリプロピレンフィルムの片面に蒸着したパターンに限定されるものではなく、両面蒸着したポリプロピレンフィルムと蒸着していないポリプロピレンフィルムの2枚を1対として巻回や積層した場合のコンデンサでも良いことは言うまでもない。
【0066】
また、誘電体フィルムとしてもポリプロピレンに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスチレンフィルムなどの他の高分子フィルムでも良い。
【0067】
(比較例1)
比較例1で用いた蒸着パターンを有する金属化フィルムを図5(b)に示す。比較例1では、実施の形態1において、ヒューズ部5を菱形状の分割電極3と三角形状の分割電極4の辺の中央に配置したヒューズ部15に置き換えたこと以外は、実施の形態1と同様な方法でコンデンサを製造した。
【0068】
上記(表1)に、比較例1のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。
【0069】
(比較例2)
比較例2では、実施の形態1のヒューズ位置を、図6に示すように菱形状の1つの頂点に2つのヒューズ部14が近接するように配置したこと以外は、実施の形態1と同様な方法でコンデンサを製造した。
【0070】
上記(表1)に、比較例2のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。
【0071】
(比較例3)
比較例3では、実施の形態1における菱形状の分割電極3の長い方の対角線を半分の長さにし、短い方の対角線を2倍にしたこと以外は、実施の形態1と同様な方法でコンデンサを製造した。このようにすると、金属化フィルム幅方向のヒューズ本数が2倍になる。
【0072】
上記(表1)に、比較例3のコンデンサを85℃において直流電圧600Vを印加し、リップル電流を10kHzで30A印加した際の加速寿命試験2000時間後の容量減少率(ΔC/C)、および上記の条件における90分間通電後のコンデンサの温度上昇値(5個の平均値)、および85℃において直流電圧600Vから2時間おきに50Vずつ電圧を上昇させたステップアップ試験によって保安性を確認した結果を示す。
【0073】
(性能比較)
実施の形態1は、比較例1と比較してコンデンサの温度上昇が小さかった。この理由を図5(a)、(b)を用いて説明する。
【0074】
図5の(a)(b)は、実施の形態1および比較例1における金属化フィルムの蒸着パターン面上で10kHzのある位相における水平方向の電流の流れを矢印で模式的に示した図である。本発明者らは、フォトン社製電場シミュレーションソフト(VOLT)を用いて、有限要素法によって蒸着した分割電極のパターン内の電流密度分布や発熱分布解析を実施した結果を基に図5(a)(b)のような模式図を描いている。
【0075】
実施の形態1では、ヒューズ部5を菱形状と三角形状の頂点付近に配置し、頂点には1つのヒューズ部のみが近接するようにしたことから、分割電極内の電流の流れは図5(a)の矢印のようになっている。一方、ヒューズ部15を分割電極の辺の真中に配置した比較例1では、図5(b)のような電流の流れになっている。
【0076】
この二つの例を比較すると、比較例1における図5(b)の方が点線楕円で示した電流密度の小さい部分が存在することがわかる。ヒューズ部を菱形状の辺の真中に配置した比較例1では、ヒューズ部の位置よりも菱形状や三角形状の先端に相当する点線楕円部では電流の出口がないため蒸着膜平面方向では電流密度が小さくなる。
【0077】
従って、比較例1よりも実施の形態1の方が蒸着パターンの電極全体において、電流密度分布が均一であり、ヒューズ部5における発熱量も小さくなる。そのため、(表1)に示したように実施の形態1の方が比較例1よりもコンデンサの温度上昇が小さくなった。このことは、電場シミュレーションによる計算を行っても同じ傾向となった。
【0078】
次に、実施の形態1と比較例2の結果について図5(a)および図7を用いて説明する。比較例2のコンデンサは、実施の形態1よりも図7で示すように点線楕円で示した電流密度が小さい部分が生じる。従って、比較例2よりも実施の形態1の方が蒸着パターンの電極全体において、電流密度分布が均一であり、ヒューズ部5における発熱量も小さくなる。そのため、(表1)に示したように実施の形態1の方が比較例2よりもコンデンサの温度上昇が小さくなった。このことは、電場シミュレーションによる計算を行っても同じ傾向となった。
【0079】
実施の形態1は、比較例1および2よりもパターン電極内の電流密度分布が均一であるため、分割電極内のどこで短絡が起こっても周りのヒューズ部から電流がスムーズに流れ込んで効率的に自己回復性を発揮することができる。そのため、異常時の保安機能も比較例1や2よりも優れている。
【0080】
また、実施の形態1の図1で示した蒸着フィルムはヒューズ部の位置が隣合う辺において離れるように配置しているため、比較例1の図5(b)や比較例2の図6で示した蒸着フィルムよりも巻回し複数枚のフィルムが重なり合った時に、発熱要因となるヒューズ部の重なりが少ない。従って、実施の形態1におけるコンデンサのヒューズ部の発熱の放熱性は比較例1や2のコンデンサよりも高くなっている。前述の電流密度の均一性が高いということに加えて、ヒューズ部の重なりを少なくしたことも実施の形態1におけるコンデンサの温度上昇が小さくなった要因である。
【0081】
次に、実施の形態1と比較例3の結果について説明する。実施の形態1と比較例3を比べると、実施の形態1の方が比較例3よりも金属化フィルムの幅方向のヒューズ本数が2分の1になっているため、温度上昇が小さくなっている。このように、金属化フィルムの幅方向においてヒューズ本数を少なくするには、細長い菱形を長い方の対角線がメタリコンと垂直になる向きに配置し、なおかつ長い方の対角線が短い方の対角線の2倍以上であるのが好ましい。
【0082】
次に、実施の形態2における発明について図3および図8(a)、(b)を用いて詳細に説明する。
【0083】
実施の形態2では、図3および図8(a)に示すようにヒューズ部12の向きをメタリコンと垂直になるように構成した。すなわち、ヒューズ部12の非金属部分である非蒸着スリット2との境界線12aの方向が前記メタリコン面の方向と略垂直に形成する。このようにすると、図8(b)に示した分割電極の辺と垂直になるように接続した比較例3のヒューズ部15の場合よりも、ヒューズ部と分割電極との境界エッジ部における局所的な電界集中を緩和することができる。図8(a)、(b)において、点線丸印で示したところが電界が集中し、発熱がヒューズ部内で最も高くなるヒューズ部と分割電極3との境界エッジ部16、17である。
【0084】
実施の形態2である図8(a)では電界集中部が2箇所であることに対して、比較例3を示す図8(b)では4箇所となりヒューズ部15内の発熱も大きくなる。さらに、図8(a)の方が通電面であるメタリコン面と垂直になっているため電流の流れがスムーズとなり、図8(b)よりもエッジ部に電界集中しにくい。電場シミュレーションによる計算結果においても、ここで述べた結果と同様の傾向が得られた。
【0085】
従って、本実施の形態2の発明は、低発熱化には大きな効果があり、コンデンサのリップル電流通電時の温度上昇を低下させることができる。そのため、(表1)において、実施の形態2のコンデンサは温度上昇値が小さい。
【0086】
なお本発明では、実施の形態1や実施の形態2という単独の方法だけに限定されるものではなく、本実施の形態2のようにヒューズ部の向きをメタリコン面と垂直にし、なおかつヒューズの位置を実施の形態1のように頂点付近に設けて、実施の形態1および2における両者の効果を複合させた実施の形態にしても良い。
【0087】
次に、実施の形態3における発明を比較例1と比べて詳細に説明する。ヒューズ部の位置を、分割電極の菱形状の頂点から辺における長さの3分の1の距離にした実施の形態3では、温度上昇値が4.9℃、辺の中心部にヒューズ部を配置した比較例1では温度上昇値が7.3℃であり、実施の形態3の方が温度上昇値が小さい。比較例1のようにヒューズ部の位置が頂点から辺の長さにおける3分の1以上の距離に配置されると温度上昇値が5℃以上となり、周囲温度が85℃以上の場合PPフィルムを用いたコンデンサの温度が90℃を越えるため好ましくない。PPフィルムを用いたコンデンサは100℃以下で使用するのが望ましく、好ましくは90℃以下で使用するのが良い。
【0088】
上記のような理由から、本発明においては実施の形態1や3のように分割電極の頂点から辺の長さにおける3分の1以下のところにヒューズ部を配置している。
【0089】
本実施の形態1では、ヒューズ部5の位置を各分割電極の頂点から2mmの位置にしたが、本発明はこの位置に限定されるものではなく、頂点付近に配置されていれば効果が得られる。実施の形態3のように各頂点から分割電極を構成する菱形や三角形の各辺の長さにおける3分の1以下の距離以内にヒューズ部を配置すれば、大きく発熱を増大させるほどパターン内の電流密度分布が不均一になることはない。3分の1以上の距離になると、発熱に影響する電流密度の不均一さが増大する。本発明者らは、ここで述べたヒューズ部の位置と発熱の関係についても、電場シミュレーションによって検証を行ない確認している。
【0090】
次に、本実施の形態4の発明について図4および図8(b)を用いて詳細に説明する。
【0091】
本実施の形態4では、図4に示したようにヒューズ部13の分割電極3との接続部分13aとなる境界部分を幅広になるようにしたため、図8(b)で示した電界集中部の発熱を減少させる効果がある。本実施の形態4では、最もヒューズ部13の細い幅を0.2mmと実施の形態1よりも狭くしたにもかかわらず、実施の形態1よりも若干温度上昇値が小さかった。
【0092】
なお本発明では、実施の形態4で述べたヒューズ部の形状の効果と実施の形態1〜3で述べたヒューズの位置や向きに関する発明を組み合わせた実施の形態にしても良く、実施の形態1から4に記載の発明を組み合わせると、より低発熱の効果が期待できる。
【0093】
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態1から4のいずれかにおける金属化フィルムコンデンサを搭載したインバータ装置の回路の概略図である。40は実施の形態1から4で説明したいずれかの金属化フィルムコンデンサの単品を4個並列にして800μFとしたコンデンサである。
【0094】
インバータ42のスイッチング周波数は10kHzでリップル電流として80A(実効値)がコンデンサ40に流れるインバータ装置である。バッテリー41等でコンデンサ40に印加される最大電圧は700Vである。このような状態でインバータ装置を運転し、車輌駆動用のモータ43を駆動させた。
【0095】
コンデンサ40の形としては、金属化フィルムを巻回後、扁平形にしたコンデンサ4個をケースに入れて樹脂モールドした。このようにして得たコンデンサの体積は、800cm3である。
【0096】
同じリップル電流を流そうとして市販の電解コンデンサ(定格電圧500V)を用いる場合は、低温域における直列抵抗成分の増大も考慮すると、容量を大きくして等価直列抵抗を小さくする必要がある。静電容量としては、少なくとも500μF×5=2500μF程度必要であり、体積として1250cm3コンデンサ部分として占有した。
【0097】
次の(表2)に、実施の形態5における上記条件で運転させた場合の定常状態のコンデンサ40の温度上昇値および85℃で2000時間運転後の容量減少率を示す。比較のために、市販の電解コンデンサを組み合わせた2500μFの場合の値も(表2)に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
(表2)の結果から、実施の形態1から4における金属化フィルムコンデンサを用いれば、電解コンデンサを用いる場合よりも小型で低発熱なインバータ装置を製造することができる。また、適切な蒸着パターンを有する金属化フィルムを用いたコンデンサを使用しているため、長期使用における容量減少が少なく、長寿命のインバータ装置にできる。
【0100】
本実施の形態5のように最大電圧が600V以上になると電解コンデンサでは、(表2)のように単品では容量減少が大きくなる。直列接続して耐圧を持たそうとすると更に体積増加につながるので、定格600V以上では、本実施の形態1から4における金属化フィルムコンデンサを用いると、低コストで、なおかつ低発熱、小型化、長寿命化が図れる。
【0101】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明は、ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、その各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状を有する蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を有する金属化フィルムコンデンサであって、前記分割電極の菱形を、対角線の長い方が短い方の2倍以上である形状とし、かつ長い方の対角線が金属化フィルムの幅方向を向くように配置し、分割電極の三角形状は前記菱形状を短い方の対角線で2等分した形の二等辺三角形とし、その底辺をメタリコン部と近接する位置に配置すると共に、前記ヒューズ部は前記菱形状の分割電極の頂点から辺の長さの1/3以下の距離に設けたことから、耐リップル電流性能が優れ、温度上昇が低く、保安性の優れたコンデンサを得ることができる。
【0102】
本発明の請求項2に記載の発明は、ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、その各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状を有する蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を備えた金属化フィルムコンデンサであって、前記分割電極同士を接続するヒューズ部を分割電極の頂点から辺の長さの1/3以下の距離に設け、かつ前記非金属部分との境界線の方向が前記メタリコン部の面の方向と略垂直に形成していることから、耐リップル電流性能が優れ、温度上昇の低いコンデンサを得ることができる。
【0103】
本発明の請求項3に記載の発明は、パターン電極中で菱形状および三角形状の1辺には1個所のみヒューズ部が存在し、1つの頂点には1本のヒューズ部のみが近接するように配置したことから、耐リップル電流性能が優れ、温度上昇が低く、保安性の優れたコンデンサを得ることができる。
【0104】
本発明の請求項4に記載の発明は、ヒューズ部が、分割電極に接続される部分のヒューズ幅が広がるように設けたものであることから、耐リップル電流性能が優れ、温度上昇の低いコンデンサを得ることができる。
【0105】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載のいずれかのパターン形状を形成して金属化フィルムコンデンサを製造することから、600V以上の高電圧用途に適し、耐リップル電流性能が優れ、温度上昇の低いコンデンサを得ることができる。
【0106】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用に用いたことから、インバータ装置の効率を向上させ、機器の省エネ化を図ることができる。
【0107】
本発明の請求項7に記載の発明は、車輌用の駆動回路においてコンデンサに印加される最大電圧が600V以上であることから、本発明の請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを用いれば、小型で長寿命で安全性に優れたインバータ装置が得ることができる。
【0108】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用コンデンサとして用いたインバータ装置であることから、小型で長寿命で安全性に優れたインバータ装置にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1および3における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルムの表面の模式図
【図2】 同実施の形態1における金属化フィルムコンデンサの要部分解の模式図
【図3】 同実施の形態2における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルムの表面の模式図
【図4】 同実施の形態4における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルムのヒューズ部付近の模式図
【図5】 (a)同実施の形態1における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルム内の電流の流れ模式図
(b)比較例1における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルム内の電流の流れ模式図
【図6】 比較例2における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルムの表面の模式図
【図7】 比較例2における金属化フィルムコンデンサに使用した蒸着フィルム内の電流の流れ模式図
【図8】 (a)本発明の実施の形態2における金属化フィルムコンデンサのヒューズ部内の電流流れと電界集中部を示す模式図
(b)金属化フィルムコンデンサのヒューズ部が分割電極の辺と垂直になる向きに接続された場合のヒューズ部内の電流流れと電界集中を示す模式図
【図9】 本発明の実施の形態5におけるインバータ装置の回路図
【図10】 従来の金属化フィルムコンデンサに使用した四角形の分割電極にした蒸着フィルムの表面の模式図
【図11】 従来の金属化フィルムコンデンサに使用した三角形と菱形の分割電極にした蒸着フィルムの表面の模式図
【符号の説明】
1 非蒸着部
2 非蒸着スリット(非金属部分)
3 菱形状の分割電極(金属部)
4 三角形状の分割電極(金属部)
5、12、13 ヒューズ部
8、9 片面金属化ポリプロピレンフィルム(金属化フィルム)
10 引き出し電極(メタリコン部)
12a 境界線
13a 接続部分
40 コンデンサ(平滑用コンデンサ)
Claims (8)
- ヒューズ部を残して非金属部分に囲まれた金属部からなる略菱形状および略三角形状の分割電極と、その各辺上の少なくとも1箇所に配置して前記分割電極同士を接続するヒューズ部を備えたパターン形状を有する蒸着金属電極が形成してある金属化フィルムを巻回または積層し、両側端面にメタリコン部を有するものであって、前記分割電極の菱形を、対角線の長い方が短い方の2倍以上である形状とし、かつ長い方の対角線が金属化フィルムの幅方向を向くように配置し、分割電極の三角形状は前記菱形状を短い方の対角線で2等分した形の二等辺三角形とし、その底辺をメタリコン部と近接する位置に配置すると共に、前記ヒューズ部は前記菱形状の分割電極の頂点から辺の長さの1/3以下の距離に設けたことを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
- 分割電極部同士を接続するヒューズ部の非金属部分との境界線の方向をメタリコン部の面の方向と略垂直に形成したことを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 分割電極の菱形状および三角形状の1辺には1個所のみヒューズ部が存在し、分割電極の1つの頂点には1本のヒューズ部のみが近接するように配置したことを特徴とする請求項1〜2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 分割電極同士を接続するヒューズ部の分割電極に接続される部分のヒューズ幅が広がるように形成したことを特徴とする請求項1〜3に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のパターン形状を形成して金属化フィルムコンデンサを製造することを特徴とする金属化フィルムコンデンサの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用に用いたことを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
- コンデンサに印加される最大電圧が600V以上であることを特徴とする請求項6に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサを車輌駆動用モータの駆動回路の平滑用コンデンサとして用いたことを特徴とするインバータ装置。
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