JP3924983B2 - 潜没型ポンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揚液対象の液体中に潜没させて用いられ潜没型ポンプ装置に関し、特に例えば液化天然ガスなどのような液化ガスをその貯蔵タンクから揚液するのに好適なものとして用いることのできる潜没型ポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液化ガス液を貯蔵してあるタンク中に潜没させて用いられる液化ガス用ポンプ装置のような潜没型ポンプ装置には、例えば特開平8−296586号公報にその例が開示されるように、ポンプ回転軸を支持するために自液潤滑の静圧軸受と玉軸受が用いられており、静圧軸受が定常運転時に機能し、玉軸受が起動時および停止時に機能するようにされている。これらの軸受は運転時間の経過とともにその摩耗が進み、それが所定の程度を越えると分解点検などを行なう必要がある。しかるに潜没型ポンプ装置はその動作機構部の全体が液中に潜没するようにされていることからその分解点検などに多大な作業を必要とする。このため、軸受の摩耗程度を常に監視してその分解点検などを必要とする時期を正確に把握する必要がある。
【0003】
軸受の摩耗状態を監視するについては、軸受の摩耗に応じて回転軸に発生する変化を利用するのが一般的である。すなわち静圧軸受で摩耗が進むと、回転中の回転軸にラジアル方向で振動的な変位が発生し、摩耗の程度に応じてこれが増大する。一方、玉軸受で摩耗が進むと、その程度に応じて静止時に当該玉軸受で支持されている回転軸に沈み込みとしてスラスト方向の変位が生じる。したがってこれらの回転軸における変位を検出手段により検出することで、軸受の摩耗状態を監視することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状態監視は、従来では回転軸のラジアル方向変位とスラスト方向変位をそれぞれラジアル方向変位用の検出手段とスラスト方向変位用の検出手段により検出するようにしていた。つまり通常はセンサの形態をとる検出手段がラジアル方向変位用とスラスト方向変位用として二つ必要であった。このため、検出手段自体のコストに加えて、二つの検出手段を設置したり、各検出手段からの出力を処理装置に送るためのケーブル類を設置するためのコストが2倍かかることになる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、液化ガス用ポンプ装置のような潜没型ポンプ装置について、その状態監視のためのコストを低減できるようにすることを目的としている。
【0006】
上記目的のために本発明では、定常運転時に機能する自液潤滑の静圧軸受と起動時および停止時に機能する玉軸受とにより支持された回転軸を有し、この回転軸が垂直状態になるようにして揚液対象の液体中に潜没させて用いられ、前記静圧軸受の摩耗状態を前記回転軸のラジアル方向の変位に基づいて監視すると共に、前記玉軸受の摩耗状態を前記回転軸のスラスト方向の変位に基づいて監視するようにされている潜没型ポンプ装置において、前記回転軸の上端部に、前記回転軸の回転中心に対して傾斜する傾斜面を有する円錐状のターゲットを設け、前記ターゲットの前記傾斜面と直交する方向に、前記回転軸のラジアル方向変位による変化成分とスラスト方向変位による変化成分をそれぞれ検出する一つの検出手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する上で好ましい形態について図を参照しながら説明する。図1に本発明による潜没型ポンプ装置の一実施形態である潜没型の液化ガス用ポンプ装置の要部を簡略化した断面図の状態で示し、またこの液化ガス用ポンプ装置が液化ガスタンクに潜没設置される状態を図2に示す。先ず図2に関して説明する。
【0009】
液化ガスタンク1にはその天井板1Aを貫通するようにして、液化ガス用ポンプ装置の一部である揚液管2が垂下されており、揚液管2はその下端を液化ガスタンク1の例えば50m程度の深さがある底部近辺まで達するようにされている。この揚液管2の下端部には吸込弁3が取り付けられると共に座面4が設けられており、この座面4で支持するようにしてポンプ本体5が揚液管2の内部に吊り下げられている。ポンプ本体5はその外周部に吐出口6が複数設けられており、これらの吐出口6から吐出された液化ガス液が揚液管2内を上昇して吐出管11に送り出される。また揚液管2の頂部には、ポンプ吊上機構を備えたヘッドプレート7が設けられ、このヘッドプレート7から吊りワイヤ8で吊り下げる状態にしてポンプ本体5を支持している。ポンプ本体5はそれに接続された給電ケーブル9を介して供給される電力により作動するようにされており、作動時にその吐出口6から吐出される液化ガス液が揚液管2内を上昇して吐出管11に送り出されることは上記の通りである。なお図1中に示す巻き上げ機10は、必要時にポンプ本体5や揚液管2を吊り上げるためのものである。
【0010】
次に図1について説明する。液化ガス用ポンプ装置は、上記のように、揚液管2とその内部に設置されるポンプ本体5からなり、揚液管2の底部に取り付けられている吸込弁3を介して吸い込まれる液化ガスをポンプ本体5により昇圧してその吐出口6から吐出することで溶液管2の内部を上昇させて吐出管11から外部に送り出すようになっている。
【0011】
ポンプ本体5は回転軸5Aを備えている。回転軸5Aには、吸込性能向上のために取り付けられたインデューサ5Bと複数の羽根車5C及びサブマージドモータロータ5Dが固定されている。これらは一体型構造であり、回転軸5Aとともに一体となって回転するようにされ、単一な回転体を形成している。この回転体は、その回転軸5Aを介して上静圧軸受5Eと中静圧軸受5Fおよび下静圧軸受5Gの各静圧軸受による支持と、上玉軸受5Hおよび中玉軸受5Iの各玉軸受による支持を受けるようにされている。回転軸5Aに対する支持は静圧軸受による支持が主であり、玉軸受による支持は補助的である。すなわち回転軸5Aは、液化ガス用ポンプ装置の通常的運転下で回転している状態では、軸受寿命が長く制振性にも優れた自液潤滑式の静圧軸受で支持され、自液潤滑が十分に機能しない起動時や停止時においては玉軸受により支持される。
【0012】
その切り換えは軸スラスト平衡装置5Mによりなされる。軸スラスト平衡装置5Mは、例えば特公昭61−5558号公報に示されるようなバランスディスクなどにより構成されるもので、液化ガス用ポンプ装置が通常の運転をなされている状態ではその作用力により回転軸5Aを上方に遊動させる。この結果、中玉軸受5Iがハウジング5L2から離脱浮上し、中玉軸受5Iに負荷されるスラスト荷重はゼロとなる。一方、軸スラスト平衡装置5Mで回転軸5Aを上方に遊動させ得る状態ではポンプ本体5による液化ガスに対する昇圧が高まって自液潤滑が十分に機能するようになっているので、静圧軸受(上静圧軸受5E、中静圧軸受5Fおよび下静圧軸受5G)が回転軸5Aの支持に働くようになる。ただしこの場合は回転軸5Aが遊動状態になっているので、静圧軸受による支持はラジアル方向のみである。
【0013】
以上のようにして回転軸5Aを支持している静圧軸受や玉軸受は、運転時間の経過とともに摩耗が進む。静圧軸受で摩耗が進むと、回転中の回転軸5Aにラジアル方向で図3に模式化して示すような振動的な変位(振動の振幅)に変化を生じ、その程度が摩耗の進行に応じて大きくなる。一方、玉軸受で摩耗が進むと、その程度に応じて静止時の回転軸5Aに沈み込みとしてスラスト方向の変位に変化を生じる(同じく図3に模式化して示す)。すなわちポンプ本体5が停止している際には軸スラスト平衡装置5Mが機能しないために回転軸5Aが下降して中玉軸受5Iはハウジング5L2に着座している。そしてこの状態では中玉軸受5Iの玉軸受内輪5I1に回転軸5Aを含む上記回転体の全重量が加わる。このため図3に示すように、中玉軸受5Iの摩耗程度に応じて、玉軸受内輪5I1が玉軸受外輪5I2よりも低く沈み込み、この結果、玉軸受内輪5I1により直接支持されている回転軸5Aも沈み込みを生じる。
【0014】
軸受の摩耗は、一般に静圧軸受に比べて玉軸受において特に進行しやすい。その理由は以下の通りである。ポンプ本体5の起動時は、液化ガス液で揚液管2の内部が満たされるまでの数分間について、液を押し上げるだけのわずかな吐出圧力だけで充分なために、ポンプ本体5が所定の吐出圧力よりかなり低い吐出圧力で運転される。このため、軸スラスト平衡装置5Mは機能せず、回転軸5Aを含む上記の回転体の全重量と羽根車5Cの下向きの推力による大きなスラスト荷重が中玉軸受5Iに負荷される。特に、ポンプの大容量化などにより揚液管2が大口径化すると、ポンプ本体5の起動から液化ガス液が揚液管2を満たすまでに要する時間がより長くなることから、上記のような大きなスラスト荷重が中玉軸受5Iに加わる時間も長くなり、中玉軸受5Iにおける摩耗はさらに進行しやすくなる。また起動時の数分間は、ポンプ本体の吐出圧力が小さいことから静圧軸受による軸受効果が小さいために、回転軸5Aが静圧軸受との間のギャップ分について一杯に振れ廻り、中軸受部を中心とした歳差運動を行うようになる。この歳差運動の状態で中玉軸受5Iは、多大なスラスト荷重を回転軸5Aが傾いた状態で受ける。つまり中玉軸受5Iに不安定な荷重がかかる状態となり、これによっても中玉軸受5Iはその摩耗が促進される。
【0015】
以上のように軸受は運転の継続に伴って摩耗が進み、そして軸受の摩耗の進行に応じて回転軸5Aのラジアル方向での変位やスラスト方向での変位に変化を生じる。したがってこれらの変位変化を検出することで、静圧軸受や玉軸受の摩耗状態を監視することができる。この状態監視のための監視系について以下に説明する。
【0016】
状態監視系は、その部分を拡大して示す図4にも見られるように、回転軸5Aの上端部に設けたターゲット部5Tとこれを検出する手段である一つのセンサ5Nを含んでいる。本実施形態におけるターゲット部5Tは、回転軸5Aの上端部を傾斜面部とした構造にして設けられている。このような傾斜面部は、回転軸5Aの回転時のバランスを考慮すると、例えば円錐のような錐体状とするのが好ましい。一方、本実施形態におけるセンサ5Nは、このターゲット部5Tにおける傾斜面と当該センサ5Nとの間隔を傾斜面に直交する向きから検出するようにされている。
【0017】
このようなターゲット部5Tとセンサ5Nの関係においては、回転軸5Aのラジアル方向変位とスラスト方向変位の何れによってもターゲット部5Tの傾斜面とセンサ5Nとの間隔が変化する。つまりターゲット部5Tは、回転軸5Aのラジアル方向変位による変化成分とスラスト方向変位による変化成分をともに含み、これらを一つのセンサ5Nだけで検出することができる。したがって一つのセンサ5Nにより、運転中はラジアル方向変位の変化成分を検出することで静圧軸受の摩耗状態を把握することができ、停止中はスラスト方向変位の変化成分を検出することで玉軸受の摩耗状態を把握することができる。
【0018】
本発明の範囲外ではあるが、状態監視系については、そのセンサ5Nを図5や図6に示す参考例のような配置とすることも可能である。またそのターゲット部5Tについても、回転軸5Aのラジアル方向変位による変化成分とスラスト方向変位による変化成分をともに含むという条件を満足すれば足りるので、他の参考例が可能である。そのような他の参考例を図7〜図9に示す。これらは何れも縞状パターン部としてターゲット部5Tを形成する場合である。図7の参考例は、回転軸5Aの側面に縞状のパターンを機械的に刻設することで縞状パターン部としており、図8の参考例は、回転軸5Aの側面に縞状のパターンを磁気的に与える、つまり磁性の異なる部分を縞状のパターンにして設けることで縞状パターン部としており、図9の参考例は、回転軸5Aの側面に縞状のパターンを電気的に与える、つまり導電率の異なる部分を縞状のパターンにして設けることで縞状パターン部としている。これらのターゲット部5Tについては、縞状パターン部における縞同士の間の見かけの間隔がターゲット部5Tとセンサ5Nとの間隔に応じて変化することを利用してラジアル方向変位の変化成分を検出し、縞状パターン部における縞が回転軸5Aのスラスト方向変位に応じて上下に移動することを利用してスラスト方向変位による変化成分を検出することができる。
【0020】
ここで、技術分野は異なるが本発明と関連する技術の例として例えば特開平6−26578号公報に開示の技術があることに触れておく。この技術はメカニカルシールのような機械要素の回転体についてその挙動を監視するものであり、軸受の摩耗状態監視を意図する本発明とは異質の技術である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ラジアル方向変位による変化成分とスラスト方向変位による変化成分をともに含むターゲット部を回転軸に設け、このターゲット部を検出手段で検出するようにしているので、1個の検出手段だけでも回転軸のラジアル方向変位とスラスト方向変位の何れをも検出することができる。この結果、検出手段に関するコストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態による液化ガス用ポンプ装置の簡略化した縦断面図である。
【図2】 図1の液化ガス用ポンプ装置を液化ガスタンクに潜没設置した状態を示す縦断面図である。
【図3】 回転軸の変位に関する説明図である。
【図4】 液化ガス用ポンプ装置における状態監視系の部分拡大図である。
【図5】 参考例による状態監視系の部分拡大図である。
【図6】 参考例による状態監視系の部分拡大図である。
【図7】 参考例による状態監視系の部分拡大図である。
【図8】 参考例による状態監視系の部分拡大図である。
【図9】 参考例による状態監視系の部分拡大図である。
Claims (1)
- 定常運転時に機能する自液潤滑の静圧軸受と起動時および停止時に機能する玉軸受とにより支持された回転軸を有し、この回転軸が垂直状態になるようにして揚液対象の液体中に潜没させて用いられ、前記静圧軸受の摩耗状態を前記回転軸のラジアル方向の変位に基づいて監視すると共に、前記玉軸受の摩耗状態を前記回転軸のスラスト方向の変位に基づいて監視するようにされている潜没型ポンプ装置において、前記回転軸の上端部に、前記回転軸の回転中心に対して傾斜する傾斜面を有する円錐状のターゲットを設け、前記ターゲットの前記傾斜面と直交する方向に、前記回転軸のラジアル方向変位による変化成分とスラスト方向変位による変化成分をそれぞれ検出する一つの検出手段を設けたことを特徴とする潜没型ポンプ装置。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10684299A JP3924983B2 (ja) | 1999-04-14 | 1999-04-14 | 潜没型ポンプ装置 |
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