JP3944835B2 - 液晶表示パネルおよびその製造方法、それを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層構造の反射型の液晶表示パネルに関し、特に、調光層間を分離する、製造時の剥離耐久性が高くかつ薄型の隔壁層を用いるとともに、コントラスト性能の優れた液晶表示パネルおよびその製造方法、それを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯端末のディスプレイには、長時間動作が可能で省電力な表示モードである反射型の液晶表示パネルが使用される。この反射型の液晶表示パネルにおいては、画面の明るさが重要であり、現在まで、偏光板を用いないいくつかの方式が開発されている。今日では、特に、ゲスト・ホスト型もしくは散乱型が有力であると知られている。
【0003】
図6にはゲスト・ホスト型の液晶表示パネルの構成例を示す。
透明基板61の一方の面に透明電極62が形成されており、また、透明基板65の一方の面に透明電極64が形成されている。この液晶表示パネル60では、この透明電極62,64間に、ゲスト・ホスト型の液晶が調光層63として挟み込まれて構成されている。
【0004】
光反射層66は、透明基板65の透明電極64側の反対面に形成されている。この他、光反射層66が、透明基板65と透明電極64の間に形成されている開示例もある。
調光層63としては、ネマチック液晶と2色性色素を混合したタイプや、この混合物を高分子マトリックスに分散させたタイプ等がある。特に数種類の2色性染料を混合し黒色に調整した場合には、この調光層63の光透過−光吸収状態の制御で白黒表示が可能となる。
【0005】
図7には散乱型の液晶表示パネルの構成例を示す。
透明基板71の一方の面に透明電極77が形成され、また、透明基板75の一方の面に透明電極74が形成されている。この液晶表示パネル70は、透明電極77,74間に散乱型の調光層73が挟み込まれ、さらに、光吸収層76が透明基板75の透明電極74側の反対面に形成されて構成されている。この他、光吸収層76が、透明基板75と透明電極74との間に形成されている開示例もある。
【0006】
調光層73としては、高分子分散型液晶やネマチック液晶のDSM方式等がある。この調光層73が散乱状態であれば、調光層への入射光は後方散乱成分と前方散乱成分にわかれ、後方散乱性成分は透明基板71を透過して外部に出射され、前方散乱成分は光吸収層76に吸収され、外部からは白表示として認識される。調光層73が透明状態であれば、入射光は光吸収層76に吸収されるので結果として黒表示が得られる。以上、調光層73の光散乱−光透過状態の制御で白黒表示を実現している。
【0007】
反射型の白黒表示を行う液晶表示パネルとしては、このように、光透過−光吸収型(図6)と光散乱−光透過型(図7)の2種類に大きく分けることができる。
ところが、光透過−光吸収型(図6)であるゲスト・ホスト型では、2色性色素の2色比がその明るさ,コントラストに影響を与える。実際、十分に大きな2色比を有する染料がないため、黒表示で十分な黒が得られるように調整された調光層では、その光透過状態でも光の吸収が生じてしまい、暗い白表示(グレー表示)となってしまう。
【0008】
また、光散乱−光吸収型(図7)においては、光散乱状態の調光層への入射光の散乱光(後方散乱)で白表示が得られるが、液晶により形成される光散乱−光吸収型の調光層の後方散乱強度は弱く、十分に明るい白表示を得ることができない。
【0009】
十分な白表示(もしくはコントラスト)が得られない、かような反射型白黒表示液晶素子の課題を克服するための方法として、特開平5−45672号公報(文献1という)に、光透過−光吸収変化層と光散乱−光透過変化層との組み合わせによる液晶表示素子が開示されている。
この基本構成は図8に示すように、光散乱−光透過が制御される第1の調光層81と、光透過−光吸収が制御される第2の調光層83が透明な層間分離膜82を介して積層され、さらに第2の調光層83の入射側に対する反対面に、光反射層84を設けたことを特徴としている。
【0010】
白黒表示をするためには第1,2の調光層の状態を、以下のように制御して実現している。
▲1▼第1調光層81が散乱状態で、第2調光層83が透過状態
▲2▼第1調光層81が透過状態で、第2調光層83が吸収状態
【0011】
▲1▼の状態では、入射光は第1調光層81で後方散乱成分として散乱された光と、前方散乱成分が第2調光層83を透過して光反射層84で反射され、再び第1調光層81に入射した光の前方散乱成分の光との和で、白表示が得られる。このため、図6、7に示した反射型の白黒表示を行う液晶表示パネルよりも、明るい白表示が得られる。
また、▲2▼の状態では第1調光層81を透過した光が、第2調光層83で吸収されて黒表示となる。この表示の黒は、第2調光層83の表示モードに依存することになる。
【0012】
本文献1では、第1調光層81としては高分子分散型液晶が用いられ、また、第2調光層83としては、ネマチック液晶と2色性色素のゲスト・ホスト型液晶、2周波駆動型液晶と2色性色素の高分子分散液晶層としたゲスト・ホスト型液晶、あるいは、誘電率異方性が負のネマチック液晶と2色性色素の高分子分散型(初期配向を電場もしくは磁場印加により層内で垂直にした)が用いられている。
【0013】
ここで、層間分離膜の作成方法としては、第1,2調光層81,83がいずれも自己保持性(or自立膜)の高分子分散型である場合は、透明電極を形成した透明基板上にいずれかの調光層を形成し、その上にポリイミド膜をスピンコートもしくは印刷等で形成し乾燥させて、これを層間分離膜(膜厚150nm)としている。また、第2調光層83がネマチック液晶と2色性色素とから成るゲスト・ホスト型液晶のような流動性を有し、かつ自己保持性がない層である場合には、一定の層厚を保持するために、透明基板としてガラス基板を用いている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような積層型の液晶表示パネルにおいては、層間分離膜が厚いと視差が発生するという問題があり、一般的に厚さが0.5〜1.1mmのガラス基板を用いるのは好ましくない。
また、層間分離膜が薄い構成にできる第2調光層が高分子分散型のゲスト・ホスト液晶の場合では、この調光層の高分子マトリックス表面近傍の液晶分子は強い束縛力を受け、ほとんど電場に応答しないために、十分なコントラストが得にくいという欠点がある。
さらに、あらかじめ形成した調光層上に層間分離膜を形成するために、有機溶剤にポリイミド樹脂を分散させた溶液を塗布する方法では、調光層の膨潤、あるいは液晶、2色性染料の溶出等を引き起こし、調光層の電気光学特性を低下させるという問題点を有している。
【0015】
他方、積層型の液晶表示パネルにおいて、薄い層間分離膜の形成方法として特開2000−147478号公報(文献2という)に開示例がある。この文献2では、層間分離膜は、剥離基板から転写された導電性膜という名称で記述されている。具体的には、ITO(インジウムチンオキサイド)付きのPES(ポリエーテルサルホン)フィルム(厚さ5μm)が導電性膜であり、これをPMMA(ポリメチルメタクリレート)からなる剥離基板に貼りつけ、ITO付きの透明基板(ガラス基板等)と対向させて液晶層を挟み、この後に、剥離基板を取り除いて調光層を形成する。しかしながら、このような薄いPESフィルムに、無機物であるITOが形成されているような構成では、その成膜時の残留応力や、加工時の湿度温度に対する膨張係数の差によるカールにより、ITOの剥離や亀裂が発生したり著しく生産性が悪くなる。
【0016】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされ、その目的は、調光層間を分離する、製造時の剥離耐久性が高くかつ薄型の隔壁層を用いるとともに、コントラスト性能の優れた液晶表示パネルおよびその製造方法、それを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明では、光散乱性の高分子分散液晶層が形成された第1の調光層と、低分子量ゲル化剤および液晶材料による物理ゲル状態の液晶ゲル層が形成された第2の調光層とを有する液晶表示パネルの製造方法において、前記第1,2の調光層は、剥離基板上に隔壁層を形成した後に、透明導電膜層を形成し、該透明導電膜層と、これと対向する透明電極を有する基板とに挟持された、前記高分子分散液晶層または前記液晶ゲル層からなる液晶層を形成し、この後に、前記剥離基板を剥離して生成することを特徴とする。
これにより、層間分離膜(隔壁層)を薄く、生産性が高く、かつ均質に形成する製造方法を提供することができる。
【0018】
(2)また、上記(1)の液晶表示パネルの製造方法において、前記隔壁層は、アクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーを含むアクリレート化合物の紫外線硬化物より形成された樹脂からなり、かつ、その厚みが5〜30μmで形成されることを特徴とする。
これにより、生産性が高く、視差が生じない表示特性の優れた液晶表示パネルの製造方法を提供することができる。
【0019】
(3)また、上記(1)または(2)の液晶表示パネルの製造方法により製造された液晶表示パネルにおいて、前記第1,2の調光層は、その各々の前記隔壁層を互いに対向させて積層され、前記第2の調光層の前記隔壁層とは反対側の面に、光反射層が設けられていることを特徴とする。
これにより、第1,2の調光層および光反射層を積層した構造の薄い液晶パネルを提供することができる。
【0020】
(4)また、上記(3)の液晶表示パネルにおいて、前記第2の調光層の前記液晶ゲル層は、2色性色素が混合されたゲストホスト型の液晶ゲル層であることを特徴とする。
これにより、コントラストの高い、偏光板を用いることのない明るい反射型白黒表示液晶パネルを提供することができる。
【0021】
(5)また、上記(4)の液晶表示パネルにおいて、前記第2の調光層の前記液晶材料は、負の誘電率異方性を有し、電界無印加時には垂直配向状態に保たれ、所定のしきい値電圧より高い電圧の印加によって、水平配向に対して45°の光軸を導くλ/4波長板を、前記光反射層と前記第2の調光層との間にさらに設けたことを特徴とする。
これにより、さらにコントラストの高い、明るい反射型白黒表示液晶パネルを提供することができる。
【0022】
(6)また、上記(3)乃至(5)のいずれかの液晶表示パネルにおいて、前記第1の調光層の前記高分子分散液晶層に対して前記隔壁層とは反対の面に設けられた、透明電極を有する第1の基板と、前記第2の調光層の前記液晶ゲル層に対して前記隔壁層とは反対の面に設けられた、透明電極を有する第2の基板とは、その少なくとも一方の厚みが80〜250μmのプラスチック基板であることを特徴とする。
これにより、さらに薄型、軽量で耐久性の高い積層構造の液晶表示パネルを提供することができる。
【0023】
(7)また、上記(3)乃至(6)のいずれかの液晶表示パネルを液晶表示装置に搭載して用いてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、図1を用いて、本発明に係る積層型の液晶表示パネルの各調光層(第1,2の調光層という)の製造方法について説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
剥離基板として、寸法が30mm×40mmのガラス基板11に十条ケミカル(株)製のUVマスキングインキ(紫外線硬化型のアクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーを含むアクリレート化合物よりなる)をスクリーン印刷で塗布した後、高圧水銀ランプにより波長365nm中心の紫外線(強度40mW/cm2)を30s照射することで、膜厚18μmの隔壁層12を形成した。この隔壁層12上に真空成膜スパッタリング法によりITO電極層13を形成し、通常のフォトリソグラフ法で所定のパターンを形成することで一方の基板14を用意した。
【0026】
もう一方の基板として、ITO付きのポリエーテルサルフォンシート(PES:住友ベークライト製、厚み150μm)をパターニングした基板15を準備した。
【0027】
基板14に、シール剤17としてアミン硬化エポキシ樹脂中をディスペンサー塗布し、基板15には15μm粒径のシリカビーズをイソプロピルアルコールを溶媒として、約300個/mm2の密度で散布し、互いに貼り合わせ加熱硬化させて空セルを作製した。この空セルに、大日本インキ化学工業(株)製のポリマーネットワーク型液晶素子用の液晶組成物、モノマー組成物、および重合開始剤の混合物(製品名:PNM−101)を封入した後、紫外線(隔壁層形成と同様の照射装置で強度50mW/cm2)を2分間照射し高分子分散液晶層を形成した。
【0028】
かように形成した積層体からガラス基板11を剥離することで、光散乱−光透過変化を起こす第1の調光層18が得られた。
【0029】
第2の調光層は以下のようにして作製した。なお、上記の図1の動作と多くは類似するため、図面は省略している。
【0030】
剥離基板であるガラス基板上に上記と同様の隔壁層、電極層を形成した後、配向処理膜として水平配向用のポリイミド(JSR製:AL3046)膜を積層し、その表面をラビング処理して第1の基板を用意した。
もう一方の第2の基板にも、電極パターン付きのPESシート上に同様の配向処理膜を形成した。第1の基板にシール剤としてアミン硬化エポキシ樹脂中をディスペンサー塗布し、第2の基板には8.7μm粒径のシリカビーズをイソプロピルアルコールを溶媒として、約300個/mm2の密度で散布し、互いにそのラビング方向が反平行になるように貼り合わせ加熱硬化させて空セルを作製した。
【0031】
そして、メルク・ジャパン製の誘電異方性が正のネマチック液晶と三菱化学製の2色性色素(4種類の色素を混合して黒色に調製した。)からなるゲスト・ホスト液晶(色素濃度5wt%)に、図9の化学構造をもつ低分子量ゲル化剤(ZI18)を0.4wt%混合して、120℃のオーブン中に30分放置し、等方性液体状態で、液晶とゲル化剤を十分に混和させた。室温でこの組成物は液晶ゲル状態であることが確認され、そのゾル−ゲル転移温度は約67℃であった。
この液晶ゲル組成物を約80℃に加熱した状態で前記空セルに封入し、室温まで冷却して、ゲスト・ホスト型の液晶ゲル層を形成した。
【0032】
かように形成した積層体からガラス基板を剥離することで、光吸収−光透過変化を起こす第2の調光層が得られた。
【0033】
上述のように作製された第1,2の調光層をその隔壁層で重ね合わせ、さらに第2の調光層のその隔壁層がある面とは反対面側に、Agタイプの反射板を貼り付けて、図3に示すような、積層構造の反射型白黒液晶表示パネル30を製造した。
【0034】
第1の調光層の単層反射型表示素子としての性能を評価するために、隔壁層側に光吸収のための黒色板を配置した素子の反射測定による、白表示の反射率(明るさ)および白黒表示のコントラストを測定した。測定系は図2に示す。反射率は18%、コントラストは5.4であった。
【0035】
第2の調光層も単層反射型表示素子としての性能を評価するために、隔壁層側に反射板を配置した素子で同様の評価を実施したところ、反射率10%、コントラストは3.5であった。
【0036】
また、積層構造の液晶表示パネル30では、反射率25%、コントラスト8.7を示し、本発明の積層構造の反射型白黒液晶表示パネルが優れた性能を有することが確認できた。また、隔壁層が薄いため黒表示状態で視差はほぼ全く感じられなかった。
【0037】
なお、液晶表示パネルの全体厚みは、PESフィルム基板のようなプラスチック基板(厚み80〜250μm)を使用することで、0.5mm以下が可能となり、積層構造でありながら薄型にできる。プラスチック基板としてはPES以外にPCやポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム基板も使用可能である。
【0038】
(第2の実施形態)
ここでは、他の液晶表示パネルの製造および構成について説明する。
【0039】
第1調光層は上述の第1の実施形態と同様に作製した。
【0040】
第2の調光層は以下のようにして作製した。
剥離基板であるガラス基板上に、第1の調光層での同様の隔壁層、電極層を形成した後、配向処理膜として垂直配向用のポリイミド(JSR製:JALS2021)膜を積層し、その表面をラビング処理して第1の基板を用意した。もう一方の第2の基板にも、電極パターン付きのPESシート上に同様の配向処理膜を形成した。垂直配向膜をラビング処理することで、しきい値電圧以上の電圧印加で液晶分子長軸の倒れる方向をラビング方向に規定できる。
第1の基板にシール剤としてアミン硬化エポキシ樹脂中をディスペンサー塗布し、第2の基板には8.7μm粒径のシリカビーズをイソプロピルアルコールを溶媒として、約300個/mm2の密度で散布し、互いにそのラビング方向が反平行になるように貼り合わせ加熱硬化させて空セルを作製した。
【0041】
メルク・ジャパン製の誘電異方性が負のネマチック液晶と三菱化学製の2色性色素(実施例1と同様に4類の色素を混合して黒色に調製した。)からなるゲスト・ホスト液晶(色素濃度3wt%)に、低分子量ゲル化剤(ZI18)を0.4wt%混合して、120℃のオーブン中に30分放置し、等方性液体状態で、液晶とゲル化剤を十分に混和させた。室温でこの組成物は液晶ゲル状態であることが確認された。この液晶ゲル組成物を約80℃に加熱した状態で前記空セルに封入し、室温まで冷却して、ゲスト・ホスト型の液晶ゲル層を形成した。
かように形成した積層体からガラス基板を剥離することで、光吸収−光透過変化を起こす第2の調光層が得られた。
【0042】
この作製された第1,2の調光層をその隔壁層で重ね合わせ、さらに第2の調光層のその隔壁層側とは反対面側に、ラビング方向との光軸が45°を導くポリカーボネート(PC)フィルムのλ/4波長板(厚み約60μm)を貼り付け、さらにAgタイプの反射板を貼り付けて積層構造の反射型白黒液晶表示パネルを製造した。
【0043】
第1調光層の単層反射型表示素子での白表示の反射率(明るさ)および白黒表示のコントラストは、上述の第1の実施形態と同じである。
第2の調光層も単層反射型表示素子としての性能を評価するために、隔壁層側にλ/4波長板、反射板(第1の実施形態で用いた反射板と同じ)を配置した素子で同様の評価を実施したところ、反射率12%、コントラストは5.6であった。
【0044】
そして、これら第1,2の調光層と、λ/4波長板と、光反射層とを、図4に示すように積層し、液晶表示パネル40を製造した。
この積層構造の液晶表示パネル40では、反射率27%、コントラスト13.3を示した。このように、第2の調光層としてλ/4波長板を用いたゲスト・ホスト型液晶ゲル層とすることで、よりコントラストの高い反射型白黒液晶表示パネルを得ることができた。
【0045】
以上、上述の第1,2の実施形態で製造した積層構造の液晶表示パネルを、11φの鉄球で押圧する試験を繰り返した。この試験で、第1の調光層の高分子分散液晶層では変化が見られなかったが、第2の調光層の液晶ゲル層では、液晶の配向が乱れたことによる欠陥が発生する場合があったが、欠陥発生時点で、この素子を85℃の液晶ゾル状態まで加熱し5分保持後、室温まで冷却すると、試験前の無欠陥な状態に復帰した。この欠陥修復の操作を300回繰り返したが、液晶表示パネルの外観、電界応答特性に変化は見られなかった。
【0046】
(第3の実施形態)
上述の第1,2の実施形態においては、隔壁層として十条ケミカル(株)製のUVマスキングインキ(紫外線硬化型のアクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーを含むアクリレート化合物よりなる)をスクリーン印刷で塗布した後、高圧水銀ランプにより波長365nm中心の紫外線(強度40mW/cm2)を30s照射することで、膜厚18μmの隔壁層を形成した。
【0047】
隔壁層が薄いほど視差が少なくなるが、剥離基板の剥離時のストレスへの耐久性を検討するために、第1の調光層の構造で、隔壁層の厚みに対する剥離耐久性を検討した。上記アクリレート化合物をアルコール系溶剤で希釈し、スピンコート法により2〜5μm未満の厚みの隔壁層を形成し、第1調光層を剥離した。隔壁層2〜3μmでは剥離時に隔壁層が破壊されるが、5μm以上の厚みではこのような不具合が発生しなかった。特に、この厚みとしては5〜30μmが好ましい。
【0048】
上述のように製造された、本発明の積層構造を持つ反射型の液晶表示パネルでは、第1の調光層の後方散乱成分と、前方散乱成分の反射層からの戻り分の光の和で白表示の明るさが得られる。さらに、第2の調光層を、低分子量ゲル化剤と液晶材料による物理ゲル状態の液晶ゲル層を利用することにより、自己保持性でありながらコントラストの高い黒表示が可能となる。また、その製造方法においては、視差が生じない薄い隔壁層を剥離基板からの転写により形成するため、調光層材料(液晶、2色性色素等)を汚染することない生産性の高さを実現することができる。
【0049】
さて、ゲスト・ホスト型の第2の調光層の電気光学特性は、図5に示すように、初期状態の配向処理方法により2種類の状態変化を取ることができる。初期配向として基板間で水平配向(ホモジニアス配向、あるいはツイスト配向)である場合の透過特性はその曲線51のように、あるしきい値電圧以下では光吸収による黒表示であり、しきい値電圧以上で光透過状態となる。この場合の液晶材料の誘電率異方性は正である。他方、初期配向が垂直配向に処理された場合には電圧に対して逆の透過特性曲線52を示す。この場合の液晶材料の誘電率異方性は負である。
【0050】
第1の調光層は高分子分散型液晶であり、その光透過特性は図5の透過特性曲線52と同様になるが、表示状態としては、しきい値電圧以下では光散乱状態であり白表示であり、しきい値電圧以上の電圧印加では光透過状態となる。
【0051】
本発明のように積層型の液晶表示パネルとした場合、第2の調光層のゲスト・ホスト液晶の2つの状態に対応して、以下の2タイプの組み合わせが実現できた。
【0052】
▲1▼第1の調光層が電圧印加に対して光散乱状態から光透過状態に転移するのにあわせて、第2の調光層が(透過特性曲線51の水平配向ゲスト・ホスト液晶の場合)しきい値電圧以上の印加による光透過状態から、しきい値電圧以下の光散乱状態とすることで白黒表示をする。
▲2▼第1の調光層が電圧印加に対して光散乱状態から光透過状態に転移するのにあわせて、第2の調光層が(透過特性曲線52の垂直配向ゲスト・ホスト液晶の場合)しきい値電圧以下の光散乱状態から、しきい値電圧以上の光吸収状態とすることで白黒表示をする。
【0053】
このいずれのタイプにおいても、白表示の場合には、第1の調光層は散乱状態、第2の調光層は光透過状態にあるため、第1の調光層への入射光の前方散乱成分は第2の調光層を通過し、光反射層で反射されて、再び第1の調光層からの前方散乱成分として、入射光の後方散乱成分の光と足し合わされるので、非常に明るい白表示が得ることができた。
【0054】
第2の調光層を、液晶材料が負の誘電率異方性を有する液晶材料に、2色性色素と低分子量ゲル化剤が混合されたゲスト・ホスト型の液晶ゲル層として、初期状態で垂直配向に保たれ、かつ所定のしきい値電圧より高い電圧の印加で層面の一方向に水平配向するように処理し、この水平配向の方向と45°に光軸を有するλ/4波長板を反射層側に配置した構造(図4)にすることで、より黒表示のコントラストが高く、かつ明るい表示が実現できた。このλ/4波長板を用いたゲスト・ホスト液晶は、Appl.Phys.Lett.30,p.619(1977)等の文献に記載され良く知られているが、積層構造における第2の調光層に、ゲスト・ホスト液晶とゲル層とを組み合わせて応用できることは従来知られていなかった。
【0055】
なお、本発明で用いられるゲル化剤は、分子間水素結合によって物質をゲル化する性質を持ち、かつ、使用する液晶に溶解する低分子化合物である。
この低分子化合物とは、分子量分布を持たない化合物をさし、分子量としては2000以下、特に1000〜2000のものが好ましい。
【0056】
分子間水素結合が可能な分子構造上の条件は、一般的にはアミド基(−NHCO−)、アミノ基(−NH−)またはカルボニル基(−CO−)の組み合わせを有するものが望ましい。これ以外に、カルバメート基、ウレア基、カルボキシル基、アルコキシ基、リン酸基または水酸基などがあっても良く、これらの数、位置については限定しない。そのようなゲル化剤の中でも特に、分子間水素結合が可能な基およびアルキレン基を1分子中にそれぞれ2個以上有する化合物が望ましい。アルキレン基としては、炭素数4以上、好ましくは6〜20の長鎖構造(分岐があっても良い)を持つ方が、液晶への溶解性が高い。
【0057】
また、ゲル化剤はキラル構造を有することが好ましい。このゲル化剤は、例えば、特開平5−216015号公報(文献3という)、特開平11−21556号公報(文献4という)、特開平11−52341号公報(文献5という)、特開平11−256164号公報(文献6という)または特開2000−239663号公報(文献7という)に記載のものを利用することができ、さらに、具体的には文献4〜7に記載されているアミノ酸系ゲル化剤としての、1,2ビス−(11−(4−シアノビフェニル4’−オキソ)ウンデシルカルボニルアミノ)シクロヘキサン、1,2ビス−(ウンデシルカルボニルアミノ)シクロヘキサン、Z−L−イソロイシンオクタデシルアミド、Z−L−バリンのドデカメチレンジアミド等を使用することができる。
【0058】
なお、上述の実施形態における液晶表示パネルと、その駆動回路、電源回路などとを搭載した液晶表示装置(携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置など)として用いてもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明による、液晶表示パネルおよびその製造方法では、調光層間を分離する、製造時の剥離耐久性が高くかつ薄型の隔壁層を構成することができるとともに、コントラスト性能の優れた液晶表示パネルを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る、液晶表示パネルの製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明に係る液晶表示パネルに設けるλ/4波長板を説明するための図である。
【図3】本発明に係る液晶表示パネルを説明するための図である。
【図4】本発明に係る別の液晶表示パネルを説明するための図である。
【図5】光透過特性を説明するための図である。
【図6】従来の、ゲスト・ホスト型の液晶表示パネルを説明するための図である。
【図7】従来の、散乱型の液晶表示パネルを説明するための図である。
【図8】従来の、積層型の液晶表示パネルを説明するための図である。
【図9】ZI18の低分子ゲル化剤の化学構造式である。
【符号の説明】
11:ガラス基板
12:隔壁層
13:透明電極層
14,15:基板
16:スペーサ
17:シール剤
18:第1の調光層
30,40,60,70,80:液晶表示パネル
31:第1の調光層
32,38:電極基板
33,37:液晶層
34,36:隔壁層
35:第2の調光層
39:光反射層
41:第1の調光層
42,48:電極基板
43,47:液晶層
44,46:隔壁層
45:第2の調光層
49:光反射層
50:λ/4波長板
Claims (7)
- 光散乱性の高分子分散液晶層が形成された第1の調光層と、低分子量ゲル化剤および液晶材料による物理ゲル状態の液晶ゲル層が形成された第2の調光層とを有する液晶表示パネルの製造方法において、
前記第1,2の調光層は、
剥離基板上に、紫外線硬化型の樹脂を塗布した後、紫外線を照射することで隔壁層を形成し、
該隔壁層上に透明導電膜層を形成し、
該透明導電膜層と、これと対向する透明電極を有する基板とに挟持された、前記高分子分散液晶層または前記液晶ゲル層からなる液晶層を形成し、
前記剥離基板を剥離して生成する
ことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。 - 請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法において、
前記隔壁層は、アクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーを含むアクリレート化合物よりなり、その厚みが5〜30μmで形成され、
前記透明導電膜層は、前記隔壁層上に真空成膜スパッタリング法により形成されることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。 - 請求項1または2に記載の液晶表示パネルの製造方法により製造された液晶表示パネルにおいて、
前記第1,2の調光層は、その各々の前記隔壁層を互いに対向させて積層され、
前記第2の調光層の前記隔壁層とは反対側の面に、光反射層が設けられていることを特徴とする液晶表示パネル。 - 請求項3に記載の液晶表示パネルにおいて、
前記第2の調光層の前記液晶ゲル層は、2色性色素が混合されたゲストホスト型の液晶ゲル層であることを特徴とする液晶表示パネル。 - 請求項4に記載の液晶表示パネルにおいて、
前記第2の調光層の前記液晶材料は、負の誘電率異方性を有し、
電界無印加時には垂直配向状態に保たれ、所定のしきい値電圧より高い電圧の印加によって、水平配向に対して45°の光軸を導くλ/4波長板を、前記光反射層と前記第2の調光層との間にさらに設けたことを特徴とする液晶表示パネル。 - 請求項3乃至5のいずれかに記載の液晶表示パネルにおいて、
前記第1の調光層の前記高分子分散液晶層に対して前記隔壁層とは反対の面に設けられた、透明電極を有する第1の基板と、前記第2の調光層の前記液晶ゲル層に対して前記隔壁層とは反対の面に設けられた、透明電極を有する第2の基板とは、その少なくとも一方の厚みが80〜250μmのプラスチック基板であることを特徴とする液晶表示パネル。 - 請求項3乃至6のいずれかに記載の液晶表示パネルを搭載した液晶表示装置。
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