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JP3948147B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents
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JP3948147B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents

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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとモータとを併用して走行するハイブリッド車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ハイブリッド車両としてシリーズ方式と呼ばれるものが知られている(例えば、特開平6−165309号公報参照)。このものでは、エンジンでジェネレータを駆動して発電を行い、電力をバッテリに蓄える。そして、バッテリからモータに電力を供給し、このモータによって走行用の駆動力を得るようにしている。
【0003】
一方、ハイブリッド車両としてパラレル方式と呼ばれるものが知られている。このものでは、電気モータ及びエンジンを併用して走行するように構成されている。つまり、エンジンでジェネレータを駆動してバッテリを充電する点は上記シリーズ方式と同様であるが、該シリーズ方式とは異なり、バッテリの電力で駆動するモータによる走行だけでなく、エンジンのみによる走行やエンジンとモータの双方による走行も可能に構成されている。そして、発進時にはモータで走行し、車速が上がってエンジンを効率のよい回転で運転できる状態となるとモータからエンジンに駆動源を切り換えて走行するようにしている。また、急発進や急加速のように大きな駆動力を要する場合にはモータとエンジンの双方によって走行するようにしている。
【0004】
上述のパラレル方式のハイブリッド車両には、モータは駆動輪に直結する一方、エンジンはクラッチを介して駆動輪に連結するものが提案されている。そして、この種のハイブリッド車両では、モータのみで走行する際には上記クラッチを切り、エンジンのみ又はエンジンとモータの両方で走行する際には上記クラッチを締結するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、パラレル方式のハイブリッド車両では、モータによる走行中に途中からエンジンのトルクが駆動輪に伝えられる。つまり、走行中にクラッチを締結することとなる。従って、クラッチにおける駆動輪側とエンジン側との回転差が大きな状態でクラッチを締結すると、クラッチの損傷を招くという問題があった。また、クラッチの損傷にまで至らない場合であっても、例えばエンジン側の回転が低い状態でクラッチを締結すると、車体に減速によるショックが生じ、走行状態が不安定となって運転者にも違和感を与えてしまうという問題があった。
【0006】
これに対して、クラッチを締結する際にスロットルの制御によってエンジンの回転数を調節し、クラッチにおける駆動輪側とエンジン側との回転数差を小さくすることが考えられる。しかしながら、スロットル開度の変化に対するエンジン回転数の応答性が低いため、クラッチ両側での回転数をうまく合わせることができず、上述の問題を解決することができなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンと駆動輪との間を断続するクラッチ手段を有するパラレル式のハイブリッド車両において、クラッチ手段を締結する際のクラッチ手段の損傷や走行状態の不安定化を防止して、信頼性の向上及び走行性能の向上を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発電機モータによってエンジンの回転数を制御するようにしたものである。
【0009】
具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、エンジンと、上記エンジンにクラッチ手段を介して連結される出力軸と、上記エンジンに連結された発電機モータと、上記発電機モータにより発生する電力を蓄える蓄電手段と、上記蓄電手段の電力により駆動される走行用モータと、上記走行用モータ及び出力軸に連結された駆動輪とを備えるハイブリッド車両を対象としている。そして、上記クラッチ手段におけるエンジン側の入力側回転数及び出力軸側の出力側回転数を検出する検出手段と、上記検出手段が検出したクラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数とが一致するように上記発電機モータによってエンジンの回転数を調節する回転同期動作を行った上で上記クラッチ手段を締結する制御手段とを設けるものである。
【0010】
更に、上記第1の解決手段は、制御手段が、回転同期動作中はエンジンの出力を一定に保持する一方、発電機モータの制御量を調節して回転同期動作を行うように構成されるものである。
【0011】
更に、上記第1の解決手段は、制御手段が、加速走行中は発電機モータによってエンジンの出力に動力を付与する一方、定常走行中は発電機モータによってエンジンの出力に負荷を付与することでクラッチ手段の入力側回転数を制御するように構成されるものである。
【0012】
また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、制御手段が、回転同期動作中には走行用モータの制御状態を一定に保持するように構成されるものである。
【0013】
また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、制御手段が、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との差が所定の回転許容範囲内になると両回転数の一致として該クラッチ手段を締結し、且つ、上記回転許容範囲を車両の走行状態に応じて変更するように構成されるものである。
【0014】
また、本発明が講じた第4の解決手段は、上記第1の解決手段において、制御手段が、エンジンと出力軸との間に介設された自動変速機の変速比を走行状態に対応して選択し、且つ、少なくともクラッチ手段の締結を開始してから完了するまでは選択した変速比の変更を禁止するように構成されるものである。
【0015】
また、本発明が講じた第5の解決手段は、上記第1の解決手段において、エンジンと出力軸との間に自動変速機を介設し、制御手段が、クラッチ手段の出力側回転数に基づいてエンジンが最も効率の良い運転状態となる自動変速機の変速比を選択し、エンジンの回転数を該変速比に対応した回転数に調節して回転同期動作を行うように構成されるものである。
【0016】
また、本発明が講じた第6の解決手段は、上記第1の解決手段において、制御手段が、クラッチ手段の締結を完了した後はエンジンの制御状態をアクセルの操作量に対応した制御状態とするように構成されるものである。
【0017】
−作用−
上記第1の解決手段では、走行用モータの出力が駆動輪に伝達される一方、クラッチ手段を締結するとエンジンの出力も駆動輪に伝達される。そして、走行用モータとエンジンの一方の出力又は両方の出力を駆動輪に伝達して、車両が走行する。発電機モータは、エンジンに駆動されて発電を行い、発生した電力は蓄電手段に蓄えられて走行用モータの駆動等に用いられる。
【0018】
ハイブリッド車両では、駆動源を切り換えるために車両の走行中にクラッチ手段の断続操作を行う。特に、クラッチ手段を締結する際には、制御手段が回転同期動作を行った上でクラッチ手段の締結を行う。つまり、制御手段は、発電機モータによってエンジンの回転数を制御し、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との一致を図った上でクラッチ手段を締結する。尚、回転同期動作中において、エンジンは始動して自力で回転する状態でもよいし、始動前で発電機モータの出力のみで回転する状態であってもよい。
【0019】
また、上記第1の解決手段では、エンジンはその出力が一定となるように保持される。例えば、所定の出力を発揮するようにスロットル開度等が一定に保持される。その一方、発電機モータがエンジンに付与する制御量を調節してエンジンの回転数を制御し、クラッチ手段における入力側回転数と出力側回転数との一致を図る。
【0020】
また、上記第1の解決手段では、加速走行中には、発電機モータによってエンジンの出力に動力を与え、発電機モータの動力によってもエンジンを回転駆動して回転同期動作を行う。一方、定常走行中には、発電機モータによってエンジンにの出力に負荷を与え、発電機モータの負荷でエンジンの回転を押さえ込むことによって回転同期動作を行う。
【0021】
また、上記第2の解決手段では、走行用モータの制御状態、例えば発生トルク等が一定に保持され、クラッチ手段の出力側回転数又は該回転数の変化率が一定に保持される。そして、その上でクラッチ手段の出力側回転数と入力側回転数との一致を図り、クラッチ手段を締結する。
【0022】
また、上記第3の解決手段では、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との差が回転許容範囲内になるとクラッチ手段が締結される。その際、この回転許容範囲は、車両の走行状態に応じて変更される。例えば、走行状態によっては、入力側回転数と出力側回転数と差がある程度残ったままでクラッチ手段を締結してよい状態と、両回転数がほぼ一致しないとクラッチ手段を締結できない状態とがあり、このような走行状態の違いに応じて回転許容範囲が変更される。
【0023】
また、上記第4の解決手段では、通常は制御手段によって所定の変速比が選択され、選択した変速比に自動変速機が変速される。これに対し、所定の期間においては、例え走行状態が変化してこれに対応する変速比が変化した場合であっても、一度選択した変速比の変更が禁止される。ここで、自動変速機の変速比が変化すると、これに伴ってクラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数とが一致した状態におけるエンジン回転数が変化する。従って、例えば、クラッチ手段の両回転数の一致を図るために1速の変速比に対応するエンジン回転数に調節しても、クラッチ手段を締結する際に、選択した変速比が2速の変速比に変更されると、クラッチ手段の両回転数が大きく相違した状態でクラッチ手段が締結されてしまう。このため、この様な事態を回避すべく、クラッチ手段の締結完了までは選択した変速比の変更が禁止される。
【0024】
また、上記第5の解決手段では、エンジンが高効率な状態となるように自動変速機の変速比が選択される。具体例を示すと、エンジンが2000〜3000rpmで最も効率よく運転される場合には、その時点での車速においてエンジン回転数が2000〜3000rpmとなるように変速比を選択する。そして、エンジンの回転数をこの選択した変速比に対応した回転数に調節し、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との一致を図る。
【0025】
また、上記第6の解決手段では、クラッチ手段の締結後は、エンジンの制御状態、例えばスロットル開度等がアクセルの操作量に応じた状態とされる。
【0026】
【発明の効果】
上記第1の解決手段によれば、制御性と応答性に優れた発電機モータを用いてエンジンの回転数を制御しているため、エンジン回転数の迅速な制御か可能となる。また、発電機モータを用いることによってエンジン回転数の検出が容易となる。従って、スロットル開度の調節等によってエンジン自体を制御する場合に比して、発電機モータを用いることによってクラッチ手段の入力側回転数を確実に且つ迅速に制御することができる。このため、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との一致が確実に図られ、クラッチ手段の締結する際のクラッチ手段の損傷を防止でき、またその際の車両の走行状態を安定に維持することができる。この結果、信頼性の向上及び走行性能の向上を図ることができる。
【0027】
また、上記第1の解決手段によれば、エンジンを始動した後にエンジンに対する制御と発電機モータの制御との両方によってエンジン回転数を調節し、これによってクラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数の一致を図ることができる。更に、エンジンの出力を一定に保持しているため、入力側回転数の変動を抑制することができる。このため、クラッチ手段の両回転数の一致を確実に且つ迅速に図ることができる。この結果、クラッチ手段の保護を図りつつ、クラッチ手段を迅速に締結し、エンジンの出力を駆動輪に伝達して走行性能の向上を図ることができる。
【0028】
また、上記第1の解決手段によれば、発電機モータの動力による回転同期動作と負荷による回転同期動作とを、走行状態に応じて適宜使い分けることができる。つまり、加速走行中には、発電機モータの動力で回転同期動作を行い、これによって締結動作をできるだけ素早く駆動輪に伝えることができる。一方、定常走行中には、発電機モータの負荷で回転同期動作を行い、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との一致精度を高めて走行状態を安定に維持することができる。
【0029】
また、上記第2の解決手段によれば、クラッチ手段の出力側回転数又は該回転数の変化率を一定に保持することによって出力側回転数の変動を抑制でき、この結果、入力側回転数と出力側回転数との一致を一層確実に且つ容易に図ることができる。
【0030】
また、上記第3の解決手段によれば、走行状態に応じた回転同期動作を行うことができる。例えば、加速時はできるだけ迅速にエンジンの出力を駆動輪に伝達するのが望ましく、この様な場合は、回転許容範囲を広くすることにより、多少のショックは許容して素早くクラッチ手段を締結することができる。定常走行時には締結時のショックをできるだけ抑制して走行状態を安定に維持するのが望ましく、この様な場合は、回転に許容範囲を狭くすることにより、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との一致精度を高めて締結時のショックの発生を防止することができる。
【0031】
また、上記第4の解決手段によれば、変速比の変更を禁止することによって回転同期動作中に入力側回転数の制御目標が変更されるのを防止でき、これによって回転同期動作に要する時間を短縮することができる。また、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との一致を確実に図ることができ、クラッチ手段の保護や走行の安定化を確実に行って信頼性や走行性能の向上を図ることができる。
【0032】
また、上記第5の解決手段によれば、クラッチ手段を締結した後に最も燃費効率の良い状態でエンジンを運転することができ、燃費の向上を図ることができる。
【0033】
また、上記第6の解決手段によれば、エンジンに対する制御を的確に行って車両の制御を確実に行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
−ハイブリッド自動車の機械的構成−
図1は、本実施形態のハイブリッド自動車の機械的構成を示すブロック図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態のハイブリッド自動車は、駆動力を発生するためのパワーユニットとして、蓄電手段であるバッテリ3から供給される電力により駆動される走行用モータ2とガソリン等の液体燃料の爆発力により駆動されるエンジン1とを併用して走行し、後述する車両の走行状態に応じて、走行用モータ2のみによる走行、エンジン1のみによる走行、或いは走行用モータ2とエンジン1の双方による走行とが実現される。
【0037】
エンジン1は、トルクコンバータ5及び自動変速機7を介して駆動輪9,10に連結されている。そして、エンジン1の駆動力は、自動変速機7の出力側に直結された出力軸12からギヤトレイン11及び差動機構8を介して駆動輪9,10に伝達される。また、エンジン1はバッテリ3を充電するために発電機モータ4を駆動する。
【0038】
トルクコンバータ5は、図示しないが、ロックアップ機構であるロックアップクラッチを有し、ロックアップクラッチを繋ぐとロックアップされ、ロックアップクラッチを切るとロックアップが解除されるように構成されている。
【0039】
自動変速機7は、図示しないが、遊星歯車機構、多板クラッチ、ブレーキ、ワンウェイクラッチ等の構成要素から成る4速の変速機である。そして、この自動変速機7は、多板クラッチの断続等によって、入力側と出力側とが切断されるニュートラルレンジ(以下、Nレンジという)と、入力側と出力側とが連結される1速〜4速の各変速レンジとに切り換わるように構成されている。この自動変速機7は、変速機として機能するほか、Nレンジと変速レンジとに切り換わることによってエンジン1と駆動輪9,10との間の断続を行う。そして、自動変速機7をNレンジと変速レンジとに切り換える多板クラッチ等の自動変速機用クラッチ手段が、エンジン1と出力軸12との間を断続するクラッチ手段を構成している。
【0040】
走行用モータ2は、バッテリ3から供給される電力により駆動され、ギヤトレイン11を介して駆動輪9,10に駆動力を伝達する。また、走行用モータ2は、車両の減速時には逆に駆動輪9,10に駆動され、車両の運動エネルギを電力に変換してバッテリ3に供給する。
【0041】
発電機モータ4は、エンジン1によって駆動されて発電を行い、バッテリ3に電力を供給する。また、この発電機モータ4は、エンジン1の始動時にはバッテリ3から電力を受けてエンジン1をクランキングさせる。
【0042】
エンジン1は例えば高燃費型のバルブの閉弁タイミングを遅延させるタイプのものが搭載され、走行用モータ2は例えば最大出力20KWのIPM同期式モータが使用され、発電機モータ4は例えば最大出力10KWのものが使用され、バッテリ3は例えば最大出力30KWのニッケル水素電池が搭載される。
【0043】
統括制御ECU100は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路及びインバータ回路等からなり、エンジン1の点火時期や燃料噴射量等をコントロールすると共に、走行用モータ2及び発電機モータ4の出力や回転数の制御、トルクコンバータ5のロックアップ制御、自動変速機7の制御、バッテリ3の充放電等を総括的に制御する制御手段に構成されている。
【0044】
また、統括制御ECU100には、エンジン1のクランク軸回転数と走行用モータ2の回転数とが入力されている。そして、統括制御ECU100は、入力された両回転数に基づき、自動変速機7の変速比及びギヤトレイン11のギヤ比を考慮して自動変速機7における入力側及び出力側の軸回転数をそれぞれ算出するように構成されている。即ち、統括制御ECU100は、自動変速機7の入力側回転数及び出力側回転数を検出する検出手段を構成している。
【0045】
更に、統括制御ECU100は、図2に示すようなシフトスケジュールに従って自動変速機7を変速するように構成されている。このシフトスケジュールは、車速とアクセル踏込量との関係で表され、4速の自動変速機7に対応して3本の変速ラインが定められている。そして、この変速ラインを横切ると自動変速機7を変速するようにしている。このシフトスケジュールは、車速との関係でエンジン1の回転数が最もエンジン1の効率の良い回転数の範囲となるように定められている。
【0046】
また、図2にハッチングで示すように、所定のロックアップ領域が定められ、このロックアップ領域ではトルクコンバータ5をロックアップするようにしている。つまり、エンジン1のみの車両ではロックアップ領域が変速の行われない領域に限られるのに対し、本ハイブリッド自動車では変速が行われる領域にまでロックアップ領域が拡大されている。これは、本ハイブリッド自動車では、変速によるエンジン1の駆動力の変化を走行用モータ2の駆動力で吸収することができ、トルクコンバータ5のロックアップ状態でも変速ショックを生じることなく変速が可能だからである。
【0047】
−運転動作−
次に、下記表1を参照して主要な状態下におけるエンジン1、発電機モータ4、走行用モータ2及びバッテリ3の制御について説明する。尚、表1において「力行」とは駆動トルクを出力している状態を意味する。
【0048】
【表1】
Figure 0003948147
【0049】
[停車時]
表1に示すように、停車時では、エンジン1、発電機モータ4、走行用モータ2は停止される。但し、エンジン1は冷間時とバッテリ蓄電量低下時に運転され、発電機モータ4はエンジン運転中は発電するために駆動されてバッテリ3を充電する。
【0050】
[緩発進時]
表1に示すように、緩発進時では、エンジン1、発電機モータ4は停止され、走行用モータ2が駆動トルクを出力する。
【0051】
[急発進時]
表1に示すように、急発進時では、走行用モータ2が駆動トルクを出力し、エンジン1は始動後高出力で運転される。バッテリ3は走行用モータ2に放電する。尚、ここではエンジン1の始動後は発電機モータ4を停止しているが、発電機モータ4が継続して駆動トルクを出力するようにしてもよい。
【0052】
[エンジン始動時]
表1に示すように、エンジン始動時では、発電機モータ4がエンジン1をクランキングするために駆動トルクを出力してエンジン1が起動される。バッテリ3は発電機モータ4に放電する。
【0053】
[定常低負荷走行時]
表1に示すように、定常低負荷走行時では、エンジン1、発電機モータ4は停止され、走行用モータ2が駆動トルクを出力する。バッテリ3は走行用モータ2に放電する。但し、エンジン1は冷間時とバッテリ蓄電量低下時に運転され、発電機モータ4はエンジン運転中は発電するために駆動されてバッテリ3を充電する。尚、本実施形態では、定常低負荷走行の状態となるのは車速が時速20キロ以下の場合に限られている。従って、定常走行時において車速が時速20キロを超えると、低負荷運転から中負荷運転に移行する。
【0054】
[定常中負荷走行時]
表1に示すように、定常中負荷走行時では、走行用モータ2は無出力とされ、エンジン1は高効率領域で運転され、バッテリ3は走行用モータ2には放電せず、発電機モータ4はバッテリ3を充電する。
【0055】
[定常高負荷走行時]
表1に示すように、定常高負荷走行時では、エンジン1は高出力運転され、発電機モータ4と走行用モータ2が駆動トルクを出力する。バッテリ3は発電機モータ4と走行用モータ2に放電する。但し、発電機モータ4はバッテリ蓄電量低下時はバッテリ3を充電する。
【0056】
[急加速時]
表1に示すように、急加速時では、エンジン1は高出力運転され、発電機モータ4と走行用モータ2が走行のために駆動トルクを出力する。バッテリ3は発電機モータ4と走行用モータ2に放電する。
【0057】
[減速時(回生制動時)]
表1に示すように、減速時では、エンジン1及び発電機モータ4は停止され、走行用モータ2は発電機として電力を回生してバッテリ3を充電する。
【0058】
−エンジン締結時の動作−
本実施形態のハイブリッド自動車では、走行用モータ2の駆動トルクのみでの走行中に、途中からエンジン1のトルクを駆動輪9,10に伝達する場合がある。具体的には、上述の急発進時や、定常低負荷走行から定常中負荷走行、定常高負荷走行又は急加速へ移行する場合が該当する。そして、この場合において、統括制御ECU100は、所定のエンジン締結制御を行う。また、統括制御ECU100は、このエンジン締結制御の一部として、自動変速機7におけるエンジン側の入力側回転数と出力軸側の出力側回転数が一致するように発電機モータ4でエンジン1の回転数を調節する回転同期動作を行う。
【0059】
先ず、このエンジン締結制御の概要について、図3のタイムチャートを参照しながら説明する。この図3は、停止状態から発進し、緩やかに加速して定常低負荷走行から定常中負荷走行へ移行するまでを示している。時刻t1において緩発進し、上述の定常低負荷走行状態となる。そして、走行用モータ2のみが駆動力を発生し、車速が緩やかに上昇する。
【0060】
その後、時刻t2において車速が時速20キロを超えると、定常低負荷走行から定常中負荷走行へと移行するために、発電機モータ4によってエンジン1をクランキングする。エンジン1がかかると、時刻t3から発電機モータ4に対するフィードバック制御を開始する。その後、時刻t4までは、スロットル開度を所定開度に保持してエンジン1に所定のトルクを発生させる一方、発電機モータ4が発電機となってエンジン1に負荷をかけ、この負荷を制御してエンジン回転数の制御を行う。
【0061】
時刻t4においてエンジン回転数と目標エンジン回転数とが一致すると、自動変速機7をNレンジから1速レンジに切り換える。この状態で、エンジン1の駆動力が駆動輪9,10に伝達される。このため、時刻t4では、自動変速機7を切り換えると共に走行用モータ2の駆動力を減じ、駆動輪9,10に伝わる駆動力を一定に保つ。そして、その後はエンジン1の駆動力のみで走行を継続する。
【0062】
次に、このエンジン締結制御の詳細について、図4及び図5のフロー図を参照しながら説明する。
【0063】
ステップST1では、車速、アクセル踏込量、走行用モータ2の回転数及びエンジン1の回転数を読み込む。そして、走行用モータ2の回転数にギヤトレイン11のギヤ比を乗じて出力軸12の回転数を算出し、ステップST2に移る。
【0064】
ステップST2では、車速、アクセル踏込量及びアクセル踏込量の変化率に基づいて、エンジン1の始動を要するか否かを判断する。つまり、車速が時速20キロを超えて上述の定常中負荷走行へ移行した場合や、アクセルが急激に踏み込まれて急加速や急発進が要求されている場合には、エンジン1の始動が必要と判断してステップST3に移る。一方、エンジン1の始動が不要であれば通常の制御に戻る。
【0065】
ステップST3では、シフトスケジュールに基づいて自動変速機7の変速レンジを選択し、出力軸回転数に該変速レンジの変速比を乗じて目標エンジン回転数を算出する。エンジン1の回転数がこの目標エンジン回転数となると、自動変速機7の入力側回転数と出力側回転数とが一致することとなる。尚、このステップST3以降は、自動変速機7の変速が完了するまで一度選択した変速レンジの変更を禁止する。
【0066】
続くステップST4では、急発進の要求の有無を判断する。つまり、車両の停止状態でアクセルが急激に踏み込まれた場合には急発進が要求されていると判断してステップST15へ移る。一方、急発進が要求されていないと判断するとステップST5へ移る。尚、出力軸回転数の変化率に基づいて急発進の要求の有無を判断してもよい。つまり、出力軸回転数の増加率が大きければ急発進の要求が有ると判断し、害増加率が小さければ急発進の要求が無いと判断してもよい。
【0067】
急発進の要求があると、先ず、ステップST15においてトルクコンバータ5のロックアップを解除する制御を行う。この様にロックアップを解除するのは、トルクコンバータ5のトルク増幅作用を利用してより大きな駆動力を駆動輪9,10に伝達するためである。
【0068】
続くステップST16では、発電機モータ4にバッテリ3から電力を供給し、エンジン1を始動するために発電機モータ4でエンジン1をクランキングする。そして、エンジン回転数が1000rpmに達するとステップST17に移る。
【0069】
ステップST17では、エンジン1に燃料噴射及び点火を行ってエンジン1の始動を試みる。そして、エンジン1が始動したか否かを確認し、始動していればステップST18に移る。一方、エンジン1が始動していなければ、エンジン始動制御へ移行してエンジン1の始動を更に試みる。このエンジン始動制御については、後述する。尚、エンジン1が始動したか否かは、発電機モータ4へ供給される電流に基づいて判断する。つまり、発電機モータ4への電流が減少していればエンジン1が始動したと判断し、減少していなければエンジン1が始動していないと判断する。
【0070】
ステップST18では、エンジン1のトルクを最大とするためにスロットルを全開すると共に、発電機モータ4が発生させるトルクを最大として回転同期動作を行う。つまり、急発進状態では、走行用モータ2のトルクが最大にされて既に車両が動き出している一方、スロットルを開いてもエンジン回転数がすぐには上昇しないため、発電機モータ4のトルクを最大としてエンジン1を駆動して自動変速機7の入力側及び出力側回転数の一致を図る。
【0071】
ここで、運転者から急発進の要求が出てから僅かな時間しか経過していなければ、車速はまだそれ程上昇しておらず、単純に走行用モータ2、エンジン1及び発電機モータ4を最大出力とすれば、自動変速機7の入力側と出力側でほとんど回転数差が無いとみなすことができる。また、多少の回転数差はトルクコンバータ5で吸収できる。従って、ステップST18では、スロットル全開、発電機モータ4のトルク最大とした後は、時間をあけずに素早く自動変速機7をNレンジから1速レンジへと変速する。そして、変速完了後は、エンジン1及び走行用モータ2で駆動輪9,10を駆動する一方、発電機モータ4を停止させる。尚、発電機モータ4を停止させずに発電機モータ4のトルクをも駆動輪9,10に伝達してもよく、この場合はより大きな駆動力を駆動輪9,10に伝達できる。
【0072】
上記ステップST4で急発進の要求がない場合、ステップST5において急加速の要求の有無を判断する。つまり、車両の走行中にアクセルが急激に踏み込まれた場合には急加速が要求されていると判断してステップST6へ移る。一方、急加速が要求されていないと判断するとステップST20へ移る。尚、出力軸回転数の変化率に基づいて急加速の要求の有無を判断してもよい。つまり、出力軸回転数の増加率が大きければ急加速の要求が有ると判断し、該増加率が小さければ急加速の要求が無いと判断してもよい。
【0073】
急加速の要求があると、先ず、ステップST6においてトルクコンバータ5のロックアップを解除する制御を行う。ロックアップを解除するのは、上記ステップST15の場合と同様にトルクコンバータ5によるトルク増幅作用を得るためである。
【0074】
続くステップST7では、上記ステップST16に対応して発電機モータ4でエンジン1をクランキングし、エンジン回転数が1000rpmとなるとステップST8に移る。
【0075】
ステップST8では、上記ステップST17に対応してエンジン1を始動させる動作を行い、始動していればステップST9に移り、始動していなければエンジン始動制御に移行する。
【0076】
ステップST9では、目標トルクに加算トルクα2を加えて出力トルクを算出する。この目標トルクは、ステップST1で読み込んだ車速及びステップST3で選択した自動変速機7の変速レンジの変速比においてエンジン1のみで走行するためにエンジン1が発生させなければならないトルクである。一方、加算トルクα2は、走行状態に応じて予め設定されたものである。そして、エンジン1に対して出力トルクを発生させるように制御を行う。具体的には、スロットルを所定の開度とし、そのスロットル開度を一定に保持する。
【0077】
続くステップST10では、走行用モータ2に対して発生するトルクを一定に保つように制御を行い、この状態を自動変速機7の変速が完了するまで保持する。つまり、変速の完了までは、アクセルの踏込量、即ち運転者の意志とは無関係に走行用モータ2のトルクを一定に保持する。この様にするのは、出力軸回転数又は該回転数の変化率が一定に保持し、この出力軸回転数に対応したエンジン回転数の調整を確実に行うためである。
【0078】
続くステップST11では、回転同期動作を行う。具体的に、発電機モータ4が発電機として動作してエンジン1に負荷を与え、エンジン1の回転数がステップST3で算出した目標エンジン回転数となるように該負荷の量をエンジン回転数に対してフィードバック制御する。この制御を所定時間に亘って行い、ステップST12に移る。
【0079】
ステップST12では、自動変速機7をNレンジから変速レンジへ切り換える動作を開始する。その際、ある程度の時間に亘って回転同期動作を行えば実際のエンジン回転数と目標エンジン回転数との回転数差は充分に小さく、また、ステップST6でトルクコンバータ5のロックアップを解除しており、ある程度の回転数差があってもトルクコンバータ5で吸収できるため、自動変速機7の変速動作を行う。
【0080】
続くステップST13では変速レンジへの切り換え完了を確認し、その後ステップST14に移る。従って、ステップST14に移る時点では、エンジン1の駆動力が駆動輪9,10に伝達されている。
【0081】
ステップST14では、発電機モータ4によってエンジン1に与えていた負荷をゼロとし、エンジン1に対してはアクセルの踏込量に応じたスロットル開度の制御を行う。そして、エンジン1及び走行用モータ2の駆動力を駆動輪9,10に伝達して急加速を行う。
【0082】
上記ステップST5で急加速の要求がない場合、図5に示すステップST20に移る。このステップST20では、上記ステップST16に対応して発電機モータ4でエンジン1をクランキングし、エンジン回転数が1000rpmとなるとステップST21に移る。
【0083】
ステップST21では、上記ステップST17に対応してエンジン1を始動させる動作を行い、始動していればステップST22に移り、始動していなければエンジン始動制御に移行する。
【0084】
ステップST22では、バッテリ3の蓄電量の多少を判断し、蓄電量が所定値以上であればステップST23に移り、所定値未満であればステップST24に移る。
【0085】
ステップST23では、上記ステップST9に対応して目標トルクに加算トルクαを加えて出力トルクを算出する。この加算トルクαは、ステップST9の加算トルクα2よりも小さい値とされている。そして、エンジン1が算出した出力トルクを発生するように所定のスロットル開度を維持し、ステップST25に移る。
【0086】
一方、ステップST24では、上記ステップST9に対応して目標トルクに加算トルクα1を加えて出力トルクを算出する。この加算トルクα1は、ステップST9の加算トルクα2よりも小さく、且つステップST23の加算トルクαより大きな値とされている。そして、エンジン1が算出した出力トルクを発生するように所定のスロットル開度を維持し、ステップST25に移る。
【0087】
つまり、バッテリ3の蓄電量によって加算トルクαと加算トルクα1とを使い分ける一方(ステップST23,ST24参照)、急加速の要求の有無によって加算トルクα2と加算トルクα,α1とを使い分けている(ステップST9,ST23,ST24参照)。
【0088】
ステップST25では、トルクコンバータ5がロックアップ状態か否かを判断する。そして、ロックアップ状態であればステップST26に移る一方、ロックアップが解除されていればステップST29に移る。
【0089】
トルクコンバータ5がロックアップ状態であれば、ステップST26〜ST28において、エンジン1の実際の回転数とステップST3で算出した目標エンジン回転数とがほぼ完全に一致したとみなせるまで回転同期動作を行う。これは、トルクコンバータ5のロックアップ状態ではエンジン1と自動変速機7の入力側とが直結状態となるため、エンジン1の実際の回転数を上記目標エンジン回転数にほぼ一致させなければ、自動変速機7をNレンジから変速レンジに切り換えた際にショックが出たり、自動変速機7の破損を招くおそれがあるからである。
【0090】
ステップST26では、発電機モータ4が発電機として動作してエンジン1に負荷を与え、エンジン1の回転数がステップST3で算出した目標エンジン回転数となるように該負荷の量をエンジン回転数に対してフィードバック制御する。その一方、ステップST27では、走行用モータ2の駆動力を、車体の加速度が一定となるように制御する。具体的には、出力軸回転数の変化率が一定となるように制御する。そして、ステップST28では、エンジン1の実際の回転数と上記目標エンジン回転数とがほぼ一致したとみなせるまでステップST26,ST27の状態を保持し、両回転数が一致したとみなせればステップST30に移る。
【0091】
トルクコンバータ5がロックアップ状態でなければ、ステップST29において上記ステップST11に対応した回転同期動作を行う。具体的には、発電機モータ4がエンジン1に与える負荷の量を、エンジン1の回転数がステップST3の目標回エンジン転数となるようにフィードバック制御する。
【0092】
つまり、ステップST25〜ST29では、トルクコンバータ5がロックアップ状態か否かによって、エンジン1の実際の回転数と目標エンジン回転数との一致をどの程度図るかを変更している。
【0093】
ステップST30では、ステップST12に対応して、自動変速機7をNレンジからステップST3で選択した変速レンジへと切り換える変速動作を開始する。そして、続くステップST31で変速レンジへの切り換え完了を確認すると、ステップST32に移る。また、上記変速動作の間には、駆動輪9,10にエンジン1から伝達される駆動力が増大してゆくが、これに合わせて走行用モータ2の駆動力を削減し、駆動輪9,10への駆動力を一定に維持する。
【0094】
ステップST32では、発電機モータ4によってエンジン1に与えていた負荷と走行用モータ2の駆動力をゼロとし、エンジン1に対してはアクセルの踏込量に応じたスロットル開度の制御を行う。尚、発電機モータ4によるエンジン1への負荷をゼロとせず、エンジン1の出力を多めに制御して発電機モータ4による発電を継続するようにしてもよい。
【0095】
−エンジン始動のための動作−
上述のエンジン締結制御の際に上記ステップST8,ST17,ST21でエンジン1を始動できなかった場合には、図6のフロー図に示すエンジン始動制御を行う。
【0096】
ステップST40では、バッテリ3から発電機モータ4へ供給する電力を増やし、エンジン回転数を上昇させる。そして、エンジン回転数が1500rpmに達するとステップST41に移る。
【0097】
ステップST41では、エンジン1に燃料噴射及び点火を行ってエンジン1の始動を試みる。そして、エンジン1が始動したが否かを確認し、始動していればステップST47に移り、元の制御フローに帰還してステップST8,ST17,ST21から次のステップに移行する。一方、エンジン1が始動していなければ、ステップST42に移る。
【0098】
ステップST42では、バッテリ3から走行用モータ2に供給する電流を削減する。これは、バッテリ3が放電できる電流には上限があるので、走行用モータ2への電流を削減してエンジン1をクランキングする発電機モータ4への電流を確保するためである。
【0099】
続くステップST43では、ステップST41と同様にエンジン1の始動を試みる。そして、エンジン1が始動すればステップST47に移って元の制御フローに帰還する一方、エンジン1が始動していなければステップST44に移る。
【0100】
ステップST44では、発電機モータ4の駆動力のみでエンジン1の回転数とステップST3の目標エンジン回転数との一致を図り、その上で自動変速機7をNレンジから2速レンジへと切り換える。そして、発電機モータ4の駆動力だけでなく、走行用モータ2の駆動力及び車体の慣性力によってもエンジン1を回転させ、続くステップST45でエンジン1の始動を試みる。つまり、ステップST44,ST45では、いわゆる「押しがけ」を試みる。
【0101】
その際、自動変速機7をNレンジから2速レンジへと切り換えるのに伴って走行用モータ2の駆動力を増大させ、走行状態を一定に維持する制御を行う。ここで、走行用モータ2の駆動力が一定のままであれば、エンジン1と駆動輪9,10とを直結すると車両が減速してしまう。これに対し、走行用モータ2の駆動力を増やすことによって車両の状態を一定に維持し、運転者に違和感を与えないようにしている。
【0102】
ステップST45において、エンジン1が始動すればステップST47に移って元の制御フローに帰還する一方、エンジン1が始動していなければステップST46に移る。
【0103】
ステップST46では、エンジン1の始動が出来なかったことを警告ランプ等で運転者に知らせる一方、バッテリ3の充電量を確保するために走行用モータ2による回生を重視する制御を行う。
【0104】
−実施形態の効果−
本実施形態では、制御性と応答性に優れた発電機モータ4を用いてエンジン1の回転数を制御しているため、エンジン回転数の迅速な制御か可能となる。また、発電機モータ4を用いることによってエンジン回転数の検出が容易となる。従って、スロットル開度の調節等によってエンジン1自体を制御する場合に比して、発電機モータ4によってエンジン1の回転数を確実に制御できる。このため、自動変速機7の入力側回転数と出力側回転数との一致が確実に図られ、Nレンジから変速レンジに切り換えてエンジン1の駆動力を駆動輪9,10に伝達する際において、入力側と出力側との回転数差に起因する自動変速機7の損傷を確実に防止できる。また、上記回転数差に起因して車両が減速されたりするのを防止して、レンジの切り換えの際も走行状態を安定に維持することができる。この結果、信頼性の向上及び走行性能の向上を図ることができる。
【0105】
また、本実施形態では、自動変速機7を構成する多板クラッチ等がエンジン1と出力軸12との間を断続するクラッチ手段を兼ねている。ここで、上記多板クラッチ等は、大きな動力の断続を目的とする専用クラッチに比してクラッチ容量が低い。従って、入力側と出力側との間の回転数差が大きい状態でNレンジから変速レンジに切り換えると容易に損傷してしまう。これに対して、本実施形態によれば自動変速機7の入力側回転数と出力側回転数との一致を確実に図ることができる。このため、自動変速機7の多板クラッチ等がクラッチ手段を兼ねる構成としても自動変速機7の損傷を回避でき、信頼性を維持しつつ構成の簡素化を図ることができる。
【0106】
また、エンジン1の始動後にエンジン1の制御と発電機モータ4の制御との両方によってエンジン回転数を調節している。更に、エンジン1の出力トルクを一定に保持しているため、自動変速機7の入力側回転数の変動を抑制することができる。従って、自動変速機7の両側での回転数の一致を確実に且つ迅速に図ることができる。この結果、自動変速機7の保護を図りつつ、自動変速機7を迅速にNレンジから変速レンジに切り換え、エンジン1の出力を駆動輪9,10に伝達して走行性能の向上を図ることができる。
【0107】
また、加速中か否かによって回転同期動作を発電機モータ4の負荷で行うか駆動力で行うかを使い分けている(ステップST18,ST26,ST29参照)。具体的に、急発進の場合には、発電機モータ4の駆動力によってもエンジン1を回転させている。このため、より短時間のうちに自動変速機7の変速を完了してエンジン1の駆動力を駆動輪9,10に伝達することができる。一方、急発進でも急加速でもない場合には、発電機モータ4によってエンジン1に負荷を与えてエンジン1の回転数を目標エンジン回転数とするようにしている。このため、エンジン1の回転数の制御を安定して行うことができ、自動変速機7の損傷を招いたり、車両にショックを与えたりすることなく、Nレンジから変速レンジへの切り換えを行うことができる。
【0108】
尚、本実施形態では、急加速中であっても発電機モータ4の負荷で回転同期動作を行っている(ステップST11参照)。これは、急加速時には、車速がある程度出ていて出力軸12の回転数が高く、加速中であってもエンジン1の回転数を確実に目標エンジン回転数として自動変速機7の保護を優先する必要があるからである。
【0109】
また、バッテリ3の蓄電量によって加算トルクαと加算トルクα1とを使い分けている(ステップST23,ST24参照)。具体的には、バッテリ3の蓄電量が少ない場合には、エンジン1の出力トルクを大きめにしている。このため、発電機モータ4が吸収するエンジン1の余剰のトルクを増大させ、発電機モータ4による発電量を増やすことができる。
【0110】
また、急加速の要求の有無によって加算トルクα2と加算トルクα,α1とを使い分けている(ステップST9,ST23,ST24参照)。具体的には、急加速が要求されている場合には、エンジン1の出力トルクを大きめにしている。つまり、エンジン1に予め比較的大きなトルクを発生させておき、このエンジン1のトルクを発電機モータ4で吸収している。このため、自動変速機7を所定の変速レンジに切り換えた後は、発電機モータ4の負荷を減少させることによって、エンジン1から駆動輪9,10に伝達されるトルクを短時間で素早く増大させることが出来る。この結果、急加速時の走行性能を向上させることが出来る。
【0111】
また、トルクコンバータ5がロックアップ状態の時は、自動変速機7の入力側回転数と出力側回転数がほぼ一致するまで回転同期動作を行い、その後、自動変速機7をNレンジから変速レンジに切り換えている。このため、自動変速機7の多板クラッチ等が損傷するのを確実に防止でき、信頼性を向上させることができる。また、自動変速機7を変速レンジにする際のショックを抑制でき、走行を安定に維持することができる。
【0112】
【発明のその他の実施の形態】
−第1の変形例−
上記実施形態では、エンジン1と出力軸12との間を断続するクラッチ手段を自動変速機7に設けられた多板クラッチ等の自動変速機用クラッチ手段により構成するようにしたが、エンジン1と出力軸12との間に独立したクラッチを設けるようにしてもよい。
【0113】
−第2の変形例−
上記実施形態では、エンジン締結制御において目標エンジン回転数を算出する際に、出力軸回転数に自動変速機7の変速比を乗じている(ステップST3参照)。しかしながら、トルクコンバータ5のロックアップが解除されている状態では、トルクコンバータ5の滑りがあるため、エンジン回転数と目標エンジン回転数が一致しても自動変速機7の入力側回転数と出力側回転数とは必ずしも一致しない。従って、トルクコンバータ5が非ロックアップ状態の時には、出力軸回転数に上記変速比を乗じた値にトルクコンバータ5の滑りを考慮した補正を加え、この補正後の値を目標エンジン回転数としてもよい。
【0114】
−第3の変形例−
上記実施形態では、エンジン締結制御における回転同期動作では、エンジン1に対して発電機モータ4によって負荷をかけ、この負荷を制御してエンジン回転数を制御するようにしている(ステップST11,ST26,ST29参照)。これに対して、エンジン1の始動後においても発電機モータ4によってエンジン1を回転駆動し、発電機モータ4の駆動力を制御してエンジン回転数を制御するようにしてもよい。
【0115】
この場合のエンジン締結制御の概要について、図7のタイムチャートを参照しながら説明する。この図7は、図3のタイムチャートと同様に、緩発進後に緩やかに加速し、定常低負荷走行から定常中負荷走行へ移行するまでを示している。
【0116】
時刻t1において発進すると、緩やかに加速して時刻t2で車速が時速20キロを超える。時刻t2では、定常低負荷走行から定常中負荷走行へと移行するために、発電機モータ4によってエンジン1をクランキングする。エンジン1がかかると、時刻t3から発電機モータ4に対するフィードバック制御を開始する。その後、時刻t4までは、発電機モータ4が継続してエンジン1を回転駆動し、発電機モータ4の駆動力を制御してエンジン回転数の制御を行う。
【0117】
時刻t4においてエンジン回転数と目標エンジン回転数とが一致すると、自動変速機7をNレンジから1速レンジに切り換える。この状態で、エンジン1の駆動力が駆動輪9,10に伝達される。このため、時刻t4では、自動変速機7を切り換えると共に走行用モータ2の駆動力を減じ、駆動輪9,10に伝わる駆動力を一定に保つ。そして、その後はエンジン1の駆動力のみで走行を継続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ハイブリッド自動車の構成を示すブロック図である。
【図2】 自動変速機のシフトスケジュール及びトルクコンバータのロックアップ領域を示す車速とアクセル踏込量の関係図である。
【図3】 エンジン締結制御における動作を示すタイムチャートである。
【図4】 エンジン締結制御における動作を示すフロー図である。
【図5】 エンジン締結制御における動作を示すフロー図である。
【図6】 エンジン始動制御における動作を示すフロー図である。
【図7】 その他の実施形態における図3相当図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 走行用モータ
3 バッテリ(蓄電手段)
4 発電機モータ
5 トルクコンバータ
7 自動変速機
12 出力軸

Claims (6)

  1. エンジンと、
    上記エンジンにクラッチ手段を介して連結される出力軸と、
    上記エンジンに連結された発電機モータと、
    上記発電機モータにより発生する電力を蓄える蓄電手段と、
    上記蓄電手段の電力により駆動される走行用モータと、
    上記走行用モータ及び出力軸に連結された駆動輪と、
    上記クラッチ手段におけるエンジン側の入力側回転数及び出力軸側の出力側回転数を検出する検出手段と、
    上記検出手段が検出したクラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数とが一致するように上記発電機モータによってエンジンの回転数を調節する回転同期動作を行った上で上記クラッチ手段を締結する制御手段とを備え、
    上記制御手段は、回転同期動作中はエンジンの出力を一定に保持する一方、発電機モータの制御量を調節して回転同期動作を行うように構成され
    更に、上記制御手段は、加速走行中は発電機モータによってエンジンの出力に動力を付与する一方、定常走行中は発電機モータによってエンジンの出力に負荷を付与することでクラッチ手段の入力側回転数を制御するように構成されているハイブリッド車両。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
    制御手段は、回転同期動作中には走行用モータの制御状態を一定に保持するように構成されているハイブリッド車両。
  3. 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
    制御手段は、クラッチ手段の入力側回転数と出力側回転数との差が所定の回転許容範囲内になると両回転数の一致として該クラッチ手段を締結し、且つ、上記回転許容範囲を車両の走行状態に応じて変更するように構成されているハイブリッド車両。
  4. 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
    制御手段は、エンジンと出力軸との間に介設された自動変速機の変速比を走行状態に対応して選択し、且つ、少なくともクラッチ手段の締結を開始してから完了するまでは選択した変速比の変更を禁止するように構成されているハイブリッド車両。
  5. 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
    エンジンと出力軸との間に自動変速機が介設され、
    制御手段は、クラッチ手段の出力側回転数に基づいてエンジンが最も効率の良い運転状態となる自動変速機の変速比を選択し、エンジンの回転数を該変速比に対応した回転数に調節して回転同期動作を行うように構成されているハイブリッド車両。
  6. 請求項1に記載のハイブリッド車両において、
    制御手段は、クラッチ手段の締結を完了した後はエンジンの制御状態をアクセルの操作量に対応した制御状態とするように構成されているハイブリッド車両。
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