JP3954866B2 - 壁面保護材及び壁面保護構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建造物における廊下や居室などの内部壁面に貼り付けてその壁面を保護すると同時に、壁面の意匠・デザイン性(外観)の向上を図るための壁面保護材及び該壁面保護材を用いた壁面保護構造に関し、特に、病院や老健施設或いは刑務所の独房等の壁面においてぶつかると怪我が発生する恐れのある施設の壁面に適用するのに適した壁面保護材及びその壁面保護材を用いた壁面保護構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建造物の内部壁面に貼り付ける壁面材として従来から提供されているものには、いわゆる壁紙と称される比較的薄い合成樹脂製シート・フィルムからなるものが多い。この薄い合成樹脂製シート・フィルムからなる壁面材は、主に意匠性および表面防汚性,表面傷付防止性を目的に設計されたものであり、薄く柔軟性があるので壁面パネルの表面から側縁まで回り込ませたり、壁面の出隅・入隅部分やドアまたはドア枠、可倒式(収納)ベットの側面及び裏面、或いはキャビネット等の平坦でない複雑な形状部分にも容易に追従し得るため施工性(施工の容易性)は良いが、衝撃吸収性能およびぶつかった時の怪我防止性能については不十分であった。
【0003】
逆に、衝撃吸収性能および怪我防止性能を中心に設計された壁面保護材は、当然のことながら衝撃吸収性能および怪我防止性能については十分な性能を有しているが、壁面に対する施工性が大幅に低下してしまうという問題が生じる。特に、壁面の出隅・入隅部分やドアまたはドア枠、或いはキャビネット等の平坦でない複雑な形状に追従しきれなくなって、場合によっては施工すらできないことがあった。
加えて、この種の壁面材は壁面保護材としての表面強度が弱く、引っ掻きや衝撃に対して破れやすいという不具合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な現状に鑑みてなされたものであり、建造物の内部壁面に貼り付ける壁面材としての意匠性および表面強度を備えると同時に、所要の衝撃吸収性能およびぶつかった時の怪我防止性能を備え、しかも、壁面パネルの表面から側縁ないしは裏側まで回り込ませたり、壁面の出隅・入隅部分やドア或いはドア枠またはキャビネット等の平坦でない複雑な形状部分にも容易に追従して、施工性(施工の容易性)も良好な壁面保護材を提供することを目的としたものである。
ここで表面強度とは、例えば、子供がおもちゃ等をぶつけたりスプーンなどで引っ掻いた場合でも表面に傷が付いたり破れない性能をいう。
更に本発明のもう1つの目的は、上記壁面保護材を用いた壁面保護構造を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の壁面保護材は、熱可塑性樹脂発泡層に熱可塑性樹脂表面層を一体に積層してなる壁面保護材であって、前記発泡層の厚さが1.0〜3.0mmで発泡倍率が2〜30倍であると共に圧縮強度が5〜70kPaであり、前記熱可塑性樹脂表面層の厚さが0.25〜1.5mmで表面硬度が30〜50で耐引っ掻き強度が硬度B以上で引裂き強度が65〜100N/mmでパンクチャー衝撃強度が35〜75N・mmで且つ折り曲げ保持時間が15秒以上であり、全体の厚さが1.0mm〜5.0mmで、最大加速度が135G以下であることを特徴としたものである(請求項1)。
この際、前記熱可塑性樹脂表面層は、熱可塑性樹脂透明層と熱可塑性樹脂印刷層とで構成することが好ましい(請求項2)。
また、本発明に係る壁面保護構造は、前記壁面保護材を壁面の表面に張り合わせる際に、壁面の少なくとも側縁まで回り込ませて貼り合わせてなることを特徴としたものである(請求項3)。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る壁面保護材及びに壁面保護構造の好適実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0007】
本発明に係る壁面保護材Aは、熱可塑性樹脂発泡層1に熱可塑性樹脂表面層2を一体に積層した積層体から基本的に構成され、建造物の内部壁面や壁面パネルの表面に貼り合わせることにより、当該壁面に意匠性を始めとして、衝撃吸収性能、怪我防止性能および表面強度を付与し、同時に優れた施工性(施工の容易性)を発揮するものである。
尚、本発明に係る壁面保護材Aが適用される壁面Bとしては、既設の内部壁面は勿論のこと、可動式または固定式の間仕切りやパーテーションを含む建造物の内部壁面を構成するために使用される鉄板等の金属製板,石膏ボード,スレート板,合成樹脂製板,パーティクルボード,などの平坦な板状に成形された板状体(壁面パネル)、およびドア,ドア枠、可倒式(収納)ベットの側面及び裏面、キャビネット等も含むものであり、これらを総称して、単に壁面と称する。
【0008】
熱可塑性樹脂発泡層1は、主に壁面保護材Aとしての衝撃吸収性能および怪我防止性能を向上させるためのものであり、熱可塑性樹脂またはゴムを発泡させたもの、またはそれらの発泡体を積層したもの等が使用できる。発泡層1を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,ホモポリプロピレン,ランダムポリプロピレン,ブロックポリプロピレン,ポリブテン−1,エチレンと炭素数3以上のαオレフィンとの共重合樹脂,エチレン−プロピレンゴム,エチレン−プロピレン−ジエンゴム,エチレン−ブテンゴム,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂,エチレン−メタクリル酸共重合樹脂等のエチレンとビニルモノマーの共重合体,オレフィン系熱可塑性エラストマー,非結晶のαオレフィン樹脂等の一種類または二種類以上の合成樹脂混合物を使用できる。
発泡層1の発泡倍率としては、2倍〜40倍程度が好ましい。すなわち、発泡倍率が2倍より低いと所望の衝撃吸収性能が得られず、発泡倍率が40倍より高くなると衝撃吸収性能が低下してしまうので、更に好ましくは2倍〜30倍程度の発泡倍率とすると共に、その圧縮強度がJIS K 6767 5.7[圧縮硬さ]による圧縮強度測定で5〜70kPa、更には10〜50kPaとなるようにすることが好ましい。この時、発泡の形態としては連続気泡と独立気泡のどちらでも良いが、より優れた衝撃吸収性能を発揮させるなら独立気泡のものが好ましい。
ちなみに、発泡層1の発泡倍率は、原料となる熱可塑性樹脂が軟質性の樹脂か硬質性の樹脂かによって異なり、例えば、塩化ビニルなどの軟質性の熱可塑性樹脂を用いる場合には2〜5倍程度の発泡倍率とし、ポリエチレンなどの硬質性の熱可塑性樹脂を用いる場合には25〜30倍程度の発泡倍率とする。そうすることにより、上記した所要の圧縮強度を発揮し得るようになる。
【0009】
また、発泡層1の厚さは、発泡倍率に応じて決定されるが、通常1.0mm〜5.0mmが適当であり、発泡層1が厚くなると施工時における折り曲げ加工性が低下し施工性が悪くなるので、1.0mm〜3.0mm程度の厚みとするのが好ましい。
実験の結果では、壁面保護材Aとしての衝撃吸収性能と施工性のバランスを勘案すると、塩化ビニルなどの軟質性の熱可塑性樹脂からなる発泡層1では厚みが2.0mm〜2.5mmで発泡倍率2〜5倍とし、ポリエチレンなどの硬質性の熱可塑性樹脂からなる発泡層1では厚みが2.0mm〜2.5mmで発泡倍率を25〜30倍とすることにより、壁面保護材Aとして衝撃吸収性能および施工性に優れた発泡層1が得られた。
【0010】
本発明では、衝撃吸収性能の評価方法として、JIS−A−6519[体育館用鋼製床下地構成材] 8.6[床の硬さ試験]、に規定されている方法に準拠して行なった。この試験方法は、床の上に頭部モデルを落下させた時の最大加速度(G値)を測定することにより床の硬さを評価するものであり、G値が小さいほど衝撃を吸収していることになり、衝撃吸収性能が高く、ぶつかった時の安全性(怪我防止性能)が高いものといえる。
本発明に係る壁面保護材Aが求める衝撃吸収性能としては、仮に転倒して頭部をぶつけた場合を想定したときに、上記JIS−A−6519 8.6 に規定されている床の硬さ試験における最大加速度が135G以下であることが好ましく、より好ましくは120G以下である。
ちなみに、コンクリート製床の最大加速度が160G程度であり、JIS A5705[ビニル系床材]規格に準拠した市販されている床仕上げ材のうち発泡層を備えていない2.0mm厚の床ビニルシート(JIS A 5705[ビニル系床材]の記号:NC)の最大加速度が142G程度であり、同じく発泡層のある2.8mm厚のビニル床シート(JIS A 5705[ビニル系床材]の記号:DC)の最大加速度が125G程度である。また、新聞紙(0.07mm厚)を10枚重ね合わせて4ッ折りしたものの最大加速度が135G程度であり、同8ッ折りしたものが最大加速度120G程度である。
【0011】
尚、壁面保護材Aとしての衝撃吸収性能および施工性は、この発泡層1だけで決定されるものではなく、後述する熱可塑性樹脂表面層2にも影響される。すなわち、壁面保護材Aの衝撃吸収性能は、樹脂発泡層1の反発力と、樹脂発泡層1の表面を覆う樹脂表面層2の強度(表面硬度や弾性等)および樹脂表面層2の厚さ、などによって決定されるものである。
【0012】
発泡層1の表面を覆う熱可塑性樹脂表面層2は、壁面保護材Aとしての意匠性を付与すると同時に、表面強度等を付与させるためのものである。
樹脂表面層2として用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,ホモポリプロピレン,ランダムポリプロピレン,ブロックポリプロピレン,ポリブテン−1,エチレンと炭素数3以上のαオレフィンとの共重合樹脂,エチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体,オレフィン系熱可塑性エラストマー,スチレン−オレフィンブロック共重合体,スチレン系エラストマー,非結晶のαオレフィン樹脂,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリスチレン,ポリオキシメチレン,ポリフェニレンオキサイド,ポリスルホン,ポリアクリレート,アクリル樹脂,メタクリル樹脂,ポリエステル,ポリウレタン,ポリエステル系エラストマー,ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、または、ブチルゴム,アクリルゴム,イソプレンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,アクリル−スチレンゴム等の合成ゴムや天然ゴム及びその水素添加物等の一種類または二種類以上の合成樹脂混合物などを挙げることができ、これらの樹脂に必要に応じて可塑剤,安定剤,充填剤,着色剤,難燃剤,抗菌剤,防かび剤,帯電防止剤,加工助剤等を添加しても良い。
【0013】
この樹脂表面層2の表面強度は、表面傷付性能に関係する表面硬度および耐引っ掻き強度と、耐破れ強度に関係する引裂き強度およびパンクチャー衝撃強度等に、その厚みが加味されて評価される。
樹脂表面層2の厚さは、通常0.1mm〜1.5mmの範囲とすることが好ましい。樹脂表面層2の厚さが0.1mmより薄くなると、樹脂表面層2としての必要な表面強度、特に耐引っ掻き強度を保持し得なくなり、1.5mmより厚く形成すると柔軟性に乏しくなって施工時における折り曲げ加工が困難になり施工性が悪くなる。
【0014】
樹脂表面層2の表面硬度は、ASTM D 2240−86[Test Method for Rubber Property-Durometer Hardness]、の規格に準拠したゴム硬度計(ショアーDタイプ硬度計)による表面硬度(20℃、15秒後)において、30〜50の範囲が好ましく、35〜45の範囲がより好ましい。表面層2の表面硬度を高くすると表面傷付性能は向上するが、反面、表面硬度が高くなるにしたがって柔軟性に乏しくなり施工時における折り曲げ加工が困難になり施工性が悪くなる。また、表面硬度(20℃、15秒後)を「30」より低くすると、表面傷付性能が著しく低下してしまい、壁面保護材Aとしての機能を果たし得なくなる。
ちなみに、樹脂表面層2として塩化ビニル系樹脂を使用した場合には、重合度1000の塩化ビニル樹脂100重量部に対して、可塑剤を10〜60重量部、好ましくは30〜50重量部添加してシート状にカレンダー成形した時に、その表面硬度(20℃、15秒後)が35〜45の範囲内となり、表面傷付性能と折り曲げ加工の容易性の両方の要求を満足させることができるものとなった。
【0015】
また、樹脂表面層2の耐引っ掻き強度の評価は、JIS−K−5400 8.4.1[試験機法]、に準拠して行なった。この試験方法は、シート・フィルム状に成形された樹脂表面層2の表面を鉛筆により引っ掻いて測定するものであり、樹脂表面層2の耐引っ掻き強度としては、鉛筆引っかき値において硬度B以上が好ましく、より好ましくは硬度H以上が良い。硬度がB以下では、樹脂表面層2として必要な表面傷付性能を発揮しえず、壁面保護材Aとしての機能を果たし得なくなる。
【0016】
また、樹脂表面層2の引裂き強度は、壁面の出隅部分のように衝撃等が他の部分より過剰に加わるような場合に求められる強度であり、本発明ではJIS−K−6301 9.[引裂試験]、に準拠して行なった。この試験方法は、樹脂をシート・フィルム状に成形したものをJIS−K−6301[9.2.1試験片の形状・寸法]に規定された[B形]にて、直角部分からの引裂き強度を測定するものであり、本樹脂表面層2の引裂き強度としては65〜100N/mmの範囲が好ましく、75〜95N/mmの範囲がさらに好ましい。樹脂表面層2の引裂き強度を65〜100N/mmの範囲にした場合に、耐破れ強度に優れ、且つ施工時における折り曲げ加工がしやすい樹脂表面層2が得られた。
【0017】
また、樹脂表面層2のパンクチャー衝撃強度は、壁面の出隅部分のように衝撃等が他の部分より過剰に加わるような場合に求められる衝撃による耐亀裂強度を測定しようとするものであり、ASTM D 256−84[Test Methods for Impact Resistance of Plastics and Electrical Insulating Materials]試験法、の規格に準拠して行なった。この試験方法は、パンクチャーテスターにより、衝撃突き刺し抵抗とこわさ(stiffness;剛性)を測定するものであり、耐亀裂強度とこわさ(剛性)の相対的寄与度を決定することができ、パンクチャー衝撃強度の単位は[N・mm]で表される。本発明に係る樹脂表面層2のパンクチャー衝撃強度は、35〜75N・mmの範囲が好ましく、更には40〜70N・mmの範囲がより好ましい。樹脂表面層2のパンクチャー衝撃強度が35〜75N・mmの範囲にあれば、壁面保護材としての耐亀裂強度に優れたものとなり、且つ施工時における折り曲げ加工がしやすいものとなる。
【0018】
また、樹脂表面層2は、図1に示すごとく、全体が透明または不透明或いは半透明である単層に形成しても良いし、図2に示すごとく、表面の保護や汚れ防止を目的として印刷層22の上に当該印刷層22の印刷模様が容易に視認可能な熱可塑性樹脂からなる透明または半透明な透明層21を一体に積層させた複合層に形成しても良い。ここでいう透明または半透明には、乳白色、有色透明、繊維等を混入した透明層も含まれるものとする。
そして、樹脂表面層2の表面ないしは透明層21の表面にエンボス加工を施すことにより、より意匠性に優れた壁面保護材Aを得ることができる。
【0019】
更に、樹脂表面層2の透明層21には、無機または有機系の抗菌剤、防カビ剤を配合し、抗菌性・防カビ性を付与することも可能であり、また、静電気による塵埃付着の防止として、透明層21に帯電防止剤を混入させたり帯電防止塗料を塗布するなどの一般的な技術により、帯電防止性を付与することも可能である。帯電防止性の目安としては、JIS−K−6911 5.3[抵抗率]、の試験法による表面抵抗率が1013Ω以下がよく、好ましくは1010Ω以下である。
【0020】
樹脂発泡層1に樹脂表面層2を一体に積層する場合、その方法には特に限定されず、例えば、熱ラミネート法、或いは接着剤を使用するドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法などの方法で積層することが可能である。
この場合、樹脂表面層2と樹脂発泡層1とが同種の樹脂からなる場合は、熱ラミネートでも十分積層できるが、樹脂表面層2と樹脂発泡層1とが異種の樹脂からなる場合には接着剤を使用する方法が望ましい。この時、例えば、塩化ビニル樹脂製の樹脂表面層2とオレフィン系樹脂製の樹脂発泡層1を接着剤で積層する場合(逆に、塩化ビニル樹脂製の樹脂発泡層1にオレフィン系樹脂製の樹脂表面層2を接着剤で積層する場合も同様)には、オレフィン系樹脂発泡層(または表面層)の積層面にコロナ処理やプライマー処理を施すことが好ましい。プライマーとしては、ニトリルブタジエン(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエステル系、ウレタン系などがある。
【0021】
而して、本発明に係る壁面保護材Aを壁面Bの表面に貼り付けたり壁面Bの側部ないしは裏側へ回り込ませて固着するには、通常のビニル共重合樹脂系,酢酸ビニル樹脂系,EVA樹脂系,アクリル樹脂系,SBR系,クロロプレン系,ニトリルゴム系,エポキシ樹脂系,ポリウレタン樹脂系,ホットメルト系(EVA系、ポリエステル系、合成ゴム系)等の接着剤を使用できるが、特に壁面Bの出隅・入隅部分やドアまたはドア枠、或いはキャビネット等の平坦でない複雑な形状部分に貼り付ける場合には、貼り付け作業時の形状への追従性が重要となるため、初期粘着力が必要となる。従って、複雑な形状部分に対応する接着剤としては、クロロプレン系、ニトリルゴム系、ポリウレタン樹脂系、ホットメルト系(EVA系、ポリエステル系、合成ゴム系)が好ましく、その中でもクロロプレン系、ニトリルゴム系の接着剤がより好ましい。
【0022】
施工性に優れた壁面保護材Aとしては、壁の出隅・入隅部分やドア或いはドア枠またはキャビネット等の複雑な形状への追従性が良く、特に壁面パネルの側縁ないしは裏側への巻き込みが容易に出来ること、すなわち、容易に折り曲げ加工ができることが特に重要である。
壁面保護材Aの施工性、すなわち、壁面保護材Aを容易に折り曲げ加工できるか否かの評価は、下記の試験法により行なった。
[施工性の評価法]
ガラス板上にて、100mm×25mmの大きさの試験片を2つに折り曲げ、折り曲げた部分に500gのおもりを30秒間荷重する。次に、500gのおもりを取り除いた後、2つに折り曲げた試験片の先端部分に50gのおもりを乗せて、その状態でおもりが落ちずに維持されている時間(保持時間)を測定する。折り曲げは、表曲げ・裏曲げの両方向にて実施し、それに縦方向および横方向の合計4点測定を1サンプルとした。また、試験片の養生は、20±2℃、60±5%RHの恒温恒湿室にて24時間放置して行なった。
上記の試験を行なったところ、保持時間が15秒以上のものが折り曲げ加工しやすく施工性に優れ、保持時間が30秒以上のものがより折り曲げ加工がしやすく施工性に優れていた。上記保持時間が15秒未満のものでは、実際の施工時に、壁面の90度の入隅部分へ貼り付けるのが困難であり、しかも折り曲げた時にしわが生じた。また、保持時間が15秒以上で30秒未満のものでは、折り曲げ加工ができ壁面の90度の入隅部分に何とか貼り付けることができた。そして、保持時間が30秒以上あるものでは、折り曲げ加工が容易にできて壁面の90度の入隅部分に容易に貼り付けることができた。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例および比較例をあげてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
<実施例1>
重合度1000の塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤を45重量部、充填材を15重量部、安定剤を4重量部と、着色顔料を添加してなる塩化ビニル樹脂組成物を、カレンダー成形機にて加工温度175℃で、厚さ0.8mmのシートに圧延して樹脂表面層2とすると同時に、該樹脂表面層2を厚さ2.0mmの30倍に発泡したポリエチレン樹脂製シート(樹脂発泡層1)の上に積層し、壁面保護材Aを得た。
【0025】
<実施例2>
実施例1と同じ塩化ビニル樹脂組成物を用いて、カレンダー成形機にて加工温度175℃で、厚さ0.8mmのシートに圧延して樹脂表面層2とし、この樹脂表面層2を厚さ2.0mmの3倍に発泡した塩化ビニル樹脂製シート(樹脂発泡層1)の上に積層して、壁面保護材Aを得た。
【0026】
<実施例3>
実施例1と同じ塩化ビニル樹脂組成物を用いて、カレンダー成形機にて加工温度175℃で、厚さ0.55mmのシートに圧延すると共にその上面に表面グラビヤ印刷機で印刷模様を施して印刷層22を形成し、この印刷層22の上面に、重合度1000からなる塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤を20重量部、安定剤を3重量部を含有する塩化ビニル樹脂組成物をカレンダー成形機にて加工温度175℃で、厚さ0.25mmのシートに圧延してなる透明層21を積層せしめて樹脂表面層2とし、当該樹脂表面層2の下面に厚さ2.0mmの30倍に発泡したポリエチレン樹脂製シート(樹脂発泡層1)に積層して、壁面保護材Aを得た。
【0027】
<実施例4>
部分架橋熱可塑性オレフィンエラストマー70重量部に対して低密度ポリエチレン(LLDPE)30部、着色顔料を含有するポリオレフィン樹脂組成物を、カレンダー成形機にて加工温度175℃で、厚さ0.8mmのシートに圧延して樹脂表面層2とし、この樹脂表面層2を厚さ2.0mmの30倍に発泡したポリプロピレン樹脂製シートの上に積層して、壁面保護材Aを得た。
【0028】
<比較例1>
重合度1000の塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤を65重量部、充填材を15重量部、安定剤を4重量部と、着色顔料を添加してなる塩化ビニル樹脂組成物を、カレンダー成形機にて加工温度175℃で、厚さ0.1mmのシートに圧延して樹脂表面層2とすると同時に、該樹脂表面層2を厚さ1.0mmの5倍に発泡したポリエチレン樹脂製シート(樹脂発泡層1)の上に積層して、壁面保護材Aを得た。
【0029】
実施例1〜4及び比較例1に関し、得られた壁面保護材Aの衝撃吸収性能と表面強度および施工性について評価した。その評価結果を表1に記す。
評価基準は、次のとおりである。
(評価基準)
<衝撃吸収性能>
計測法;JIS−A−6519 8.6 準拠して最大加速度を測定した。
◎=G値が120以下
○=G値が120を越え135以下
×=G値が135を越える
<表面強度>
(1)表面硬度
計測法;ASTM D 2240に準拠したゴム硬度計(ショアーDタイプ硬度計)による表面硬度(20℃、15秒後)を測定した。
○=表面硬度が35以上
×=表面硬度が35未満
(2)耐引っ掻き強度
計測法;JIS−K−5400 8.4.1試験機法に準拠して測定した。
○=鉛筆引っかき値が硬度H以上
×=鉛筆引っかき値が硬度B以下
(3)引裂き強度
計測法;JIS−K−6301 9.引裂試験法に準拠して測定した。
◎=75〜95N/mm
○=65〜75N/mm未満、95N/mm越〜100N/mm
×=75N/mm未満、100N/mm越
(4)パンクチャー衝撃強度
計測法;ASTM D 256試験法
◎=40〜70N・mm
○=35〜40N・mm未満、70N・mm越〜75N・mm以下
×=35N・mm未満、75N・mm越
<施工性>
施工性の評価法による保持時間を測定した。
◎=30秒以上
○=15秒以上30秒未満
×=15秒未満
【0030】
【表1】
【0031】
上記表1の評価結果より、衝撃吸収性能、表面強度、施工性をそれぞれ付与してなる壁面保護材Aを総合的に評価すると、実施例1〜4のものが壁面保護材Aとして好ましく、実施例1〜3がより好ましいと言える。その中でも、壁面保護材Aとして衝撃吸収性を重視する場合には、実施例2が好ましく、施工性を重視する場合には、実施例1又は実施例3が好ましいと言える。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る壁面保護材によれば、建造物の内部壁面に貼り付ける壁面材としての意匠性および表面強度を備えると同時に、所要の衝撃吸収性能およびぶつかった時の怪我防止性能を備えたものとなる。
しかも、壁面パネルの表面から側縁ないしは裏側まで回り込ませたり、壁面の出隅・入隅部分やドア或いはドア枠またはキャビネット等の平坦でない複雑な形状部分にも容易に追従して、施工性(施工の容易性)も良好なものとなる。
【0033】
また、請求項2に係る壁面保護材によれば、熱可塑性樹脂表面層が、熱可塑性樹脂透明層と熱可塑性樹脂印刷層とからなるので、従来の壁面材に比較して勝るとも劣らない優れた意匠性を発揮すると同時に、衝撃吸収性能と怪我防止性および施工性に優れた壁面保護材となる。
【0034】
また、請求項3に係る壁面保護構造によれば、壁面保護材を、壁面パネルの表面に少なくとも側縁まで回り込ませて固着してなるので、上記壁面保護材を用いた壁面保護構造を提供しえ、床材や壁紙などの貼着技術を使用した施工方法にて容易に固着することができると共に、表面強度、衝撃吸収性能、怪我防止性能に優れた壁面保護構造を得ることができる。
しかも、上記壁面保護材を壁面の上面に貼り合せることによって、従来の壁面に比べ、衝撃吸収性能が減少し(最大加速度G値が25G以上減少)、怪我防止性能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る壁面保護材を壁面に貼り付けた状態の実施の一例を示す模式断面図。
【図2】 本発明に係る壁面保護材の他の実施例を示す模式断面図。
【符号の説明】
A:壁面保護材 B:壁面
1:樹脂発泡層 2:樹脂表面層
3:固着用接着剤
21:透明層 22:印刷層
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂発泡層に熱可塑性樹脂表面層を一体に積層してなる壁面保護材であって、前記発泡層の厚さが1.0〜3.0mmで発泡倍率が2〜30倍であると共に圧縮強度が5〜70kPaであり、前記熱可塑性樹脂表面層の厚さが0.25〜1.5mmで表面硬度が30〜50で耐引っ掻き強度が硬度B以上で引裂き強度が65〜100N/mmでパンクチャー衝撃強度が35〜75N・mmで且つ折り曲げ保持時間が15秒以上であり、全体の厚さが1.0〜5.0mmで最大加速度が135G以下であることを特徴とする壁面保護材。
- 前記熱可塑性樹脂表面層が、熱可塑性樹脂透明層と熱可塑性樹脂印刷層とからなる請求項1または2に記載の壁面保護材。
- 前記請求項1又は2項に記載の壁面保護材を、壁面の表面に少なくとも側縁まで回り込ませて貼り付けてなることを特徴とする壁面保護構造。
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