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JP3972430B2 - 液晶性(メタ)アクリレート化合物と該化合物を含有する組成物及びこれを用いた光学異方体 - Google Patents
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JP3972430B2 - 液晶性(メタ)アクリレート化合物と該化合物を含有する組成物及びこれを用いた光学異方体 - Google Patents

液晶性(メタ)アクリレート化合物と該化合物を含有する組成物及びこれを用いた光学異方体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光ビームスプリッターや光学的ローパスフィルター、偏光プリズム等の光学素子材料として利用される新規な液晶性(メタ)アクリレート化合物と該化合物を含有する組成物及びこれを用いた光学異方体に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合性の官能基を付与した重合性低分子液晶の用途の一つとして、特開平8−122708号公報に開示されているような光学的ローパスフィルターが知られている。これは、重合性低分子液晶を基板に対してある角度を付与した状態に配向させておき、その配向状態を紫外線等の活性エネルギー線の照射により固定化せさることによって作製するものである。このような用途に用いる重合性低分子液晶に求められる性質は、配向工程における望ましくない熱重合の誘起をさけるために、室温に近い温度で液晶相を呈することと、光学的ローパスフィルターとしての性能を確保するために、大きな複屈折率を有することの2点である。しかしながら、この2点を高い次元で両立する重合性液晶を得るのは困難という問題があった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、重合性低分子液晶組成物において、室温に近い温度で液晶相を呈することと、大きな複屈折率を有することの2点を両立させるために有用な重合性液晶化合物と液晶組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため、重合性液晶化合物の化学構造と結晶−液晶相転移温度及び複屈折率との相関について鋭意検討した結果、かかる課題が、特定の化学構造を有する液晶性(メタ)アクリレート化合物の利用により解決されることを見いだし本発明を提供するに至った。即ち、
1.一般式(I)
【0005】
【化4】
Figure 0003972430
【0006】
(式中、X1及びX2のうち一方がフッ素原子で、もう一方が水素原子を表し、Y1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表す。)で表されることを特徴とする液晶性(メタ)アクリレート化合物。
2.上記1記載の液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有し、且つ液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物。
3.少なくとも2つの6員環を有する液晶骨格を部分構造として有する環状アルコール、フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物のアクリル酸又はメタクリル酸エステルである単官能(メタ)アクリレートを含有し、液晶相を示すことを特徴とする上記2記載の液晶組成物。
4.単官能(メタ)アクリレート化合物が一般式(II)
【0007】
【化5】
Figure 0003972430
【0008】
(式中、X3は水素原子又はメチル基を表し、rは0または1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に
【0009】
【化6】
Figure 0003972430
【0010】
から選ばれる環を表し、pは1〜4の整数を表し、Y2及びY3はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y4は単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表す。)で表されることを特徴とする上記3記載の液晶組成物。
5.一般式(II)において、X3は水素原子を表し、rは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニレン基を表し、Y4は単結合を表し、Z1はシアノ基を表すことを特徴とする上記4記載の液晶組成物。
6.一般式(II)において、X3は水素原子を表し、rは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニレン基を表し、Y4は−C≡C−を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする上記4記載の液晶組成物。
7.液晶相が少なくとも20℃〜30℃の温度範囲で発現することを特徴とする上記2、3、4、5又は6記載の液晶組成物。
8.上記2、3、4、5、6又は7記載の液晶組成物の重合体からなることを特徴とする光学異方体。
を前記解決手段とした。
【0011】
本発明の化合物は、高複屈折率を特徴とするビフェニルエチニルベンゼン骨格を採用し、さらにビフェニル部位の2位にフッ素原子を導入することにより、結晶−液晶相転移温度の低減を図ったものである。また、本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物は重合性官能基としては迅速な光重合が可能な(メタ)アクリロイルオキシ基が付与されており、且つ(メタ)アクリロイルオキシ基とビフェニルエチニルベンゼン液晶骨格との間に、アルキレン基又はオキシアルキレン基等の液晶の技術分野でスペーサーと呼ばれる柔軟性の連結基が無い。そのため、このような単官能(メタ)アクリレートを重合させて得られる重合体の主鎖には、スペーサーを介さず直接剛直な液晶骨格が結合し、液晶骨格の熱運動は高分子主鎖により制限されることが予想され、優れた耐熱性及び強度特性が期待できるという利点も有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明の化合物)である一般式(I)
【0013】
【化7】
Figure 0003972430
【0014】
(式中、X1及びX2のうち一方がフッ素原子で、もう一方が水素原子を表し、Y1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基を表す。)は、以下の方法で製造することができる。例えば、特開平8−217706号公報に開示されているような一般式(III)
【0015】
【化8】
Figure 0003972430
【0016】
(式中、X1、X2及びRは、一般式(I)におけるものと同じ意味を表す。)で表されるアセチレン誘導体と、p−ヨードフェノールを銅とパラジウム触媒の存在下でカップリングさせ、一般式(IV)
【0017】
【化9】
Figure 0003972430
【0018】
(式中、X1、X2及びRは、一般式(I)におけるものと同じ意味を表す。)のフェノール誘導体を得る。これに、塩基触媒下で(メタ)アクリル酸クロリドを反応させエステル化することによって目的とする本発明の化合物を製造することができる。本発明の目的からX1、X2のどちらか一方がフッ素原子であることは必須である。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基から選択して用いることができる。このR中の炭素原子数としては1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8が特に好ましい。炭素原子数が20より大きくなると、得られる化合物の液晶性が損なわれる傾向があるため好ましくない。また、これらの基のアルキル基部分は直鎖状であっても分枝状であっても良い。
【0019】
また、本発明の化合物は単体として液晶相、特にネマチック相、スメクチック相を示すことが好ましい。
本発明は更に、本発明の化合物を含有する液晶組成物をも提供する。本発明の液晶組成物の液晶相としては、通常この技術分野で液晶相と認識される相であれば特に制限なく用いることができるが、その中でもネマチック相、スメクチックA相、(カイラル)スメクチックC相、コレステリック相を発現するものが特に好ましい。また、(カイラル)スメクチックC相を示す場合には、該(カイラル)スメクチックC相の上の温度領域でスメクチックA相を、スメクチックA相を示す場合には、該スメクチックA相の上の温度領域でネマチック相を発現するようにすると、良好な一軸の配向特性が得られるため好ましい。実際に紫外線を照射して本発明の液晶組成物中の(メタ)アクリレート化合物を重合させる液晶相の温度領域もしくは実際に使用する液晶相の温度領域としては、室温付近、即ち少なくとも20〜30℃の温度範囲で液晶相を発現するものが特に好ましい。例えば(カイラル)スメクチックC相で実際に本発明の液晶組成物を重合させる場合には、(カイラル)スメクチックC相が室温付近で、即ち少なくとも20〜30℃の温度範囲で(カイラル)スメクチックC相が発現するものが好ましい。
【0020】
本発明の液晶組成物には、大きな複屈折率を確保するため、本発明の化合物を3重量%以上含有させることが好ましい。
また、本発明の液晶組成物には、分子内に通常この技術分野で液晶骨格と認められる骨格と重合性官能基を同時に有する重合性の液晶化合物を、好ましくは97重量%以下の濃度で特に制限なく添加することができる。液晶骨格としては、少なくとも2つ又は3つの6員環を有するものが特に好ましい。重合性官能基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、ビニルエーテル基、シンナモイル基、ビニル基等を挙げることができるが、良好な光重合特性が得られることから、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。複数以上の重合性官能基を有する化合物の場合には、重合性官能基の種類が異なっていても良い。例えば、2つの重合性官能基を有する液晶化合物の場合、一つがアクリロイルオキシ基、もう一つがメタアクリロイルオキシ基または、ビニルエーテル基であっても良い。重合性官能基を2つ有する液晶化合物は多くの種類が知られており、一般的にこれらを重合させた場合には良好な耐熱性及び強度特性を得られることから、好適に用いることができる。このような重合性官能基を2つ有する液晶化合物の具体的な例としては、式(1)〜(10)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0021】
【化10】
Figure 0003972430
【0022】
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、Xはハロゲン原子、シアノ基、メチル基を表し、sは2〜12の整数を表す)。さらに本発明の液晶組成物には、分子内に一つの重合性官能基を有する液晶化合物を添加しても良い。このような重合性官能基を一つ有する液晶化合物の具体的な例としては、式(11)〜(56)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化11】
Figure 0003972430
【0024】
【化12】
Figure 0003972430
【0025】
【化13】
Figure 0003972430
【0026】
【化14】
Figure 0003972430
【0027】
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルケニル基、又はエーテル結合を介したアルキル基、アルケニル基、又はエステル結合を介したアルキル基、アルケニル基を表し、sは2から12の整数を表す)。さらに本発明の液晶組成物には、室温付近、即ち少なくとも20〜30℃の温度範囲での液晶相の発現を容易にし、かつ液晶組成物の光重合物の耐熱性及び強度特性の確保を図ることを目的として、少なくとも2つの6員環を有する液晶骨格を部分構造として有する環状アルコール、フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物のアクリル酸又はメタクリル酸エステルである単官能(メタ)アクリレートを含有させても良い。このよう単官能(メタ)アクリレートとしては一般式(II)
【0028】
【化15】
Figure 0003972430
【0029】
(式中、X3は水素原子又はメチル基を表し、rは0または1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
【0030】
【化16】
Figure 0003972430
【0031】
を表し、pは1〜4の整数を表し、Y2及びY3はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y4は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルケニル基を表す。)で表される化合物が好ましい。このような単官能(メタ)アクリレートの具体的な例としては、式(57)〜(76)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる単官能(メタ)アクリレートはこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化17】
Figure 0003972430
【0033】
【化18】
Figure 0003972430
【0034】
【化19】
Figure 0003972430
【0035】
(上記中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、またCは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相を表し、数字は相転移温度を表す。)
このような化合物の中でも、シアノ基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物は大きな複屈折率を有するため、本発明の化合物との組み合わせにより、大きな複屈折率を有する液晶組成物を調製できる。従って、式(63)のような化合物は本発明の液晶組成物に好適に添加することができる。また、トラン骨格を有する単官能(メタ)アクリレート化合物も大きな複屈折率を有するため、本発明の化合物との組み合わせにより、大きな複屈折率を有する液晶組成物を調製できる。従って、式(60)、式(68)、(69)のような化合物は本発明の液晶組成物に好適に添加することができる。さらに、シアノ基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物及びトラン骨格を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を同時に使用することは、大きな複屈折率を得る点から好ましい。
【0036】
また、本発明の液晶組成物には、重合性官能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加しても良い。使用用途として本発明の液晶組成物の重合体を、表示素子と用いる場合や、温度によって屈折率を変化させたい場合には、重合性官能基を有していない液晶化合物の総量は10〜97重量%の範囲に設定するのが好ましい。また、温度によって屈折率が変化するのが好ましくない場合や、耐熱性や機械的特性を重視する場合には、重合性官能基を有していない液晶化合物の総量は0〜10重量%の範囲に設定するのが好ましい。
【0037】
また、本発明の液晶組成物には重合性官能基を有しており、かつ液晶性を示さない化合物も添加することができる。このような化合物としては、通常この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、ビニルエーテル化合物が特に好ましい。
【0038】
以上のような重合性官能基を有する液晶化合物、重合性官能基を有さない液晶化合物、液晶性を示さない重合性化合物は適宜組み合わせて添加してもよいが、少なくとも得られる液晶組成物の液晶性が失われないように各成分の添加量を調整することが必要である。
【0039】
更に本発明の液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、光重合開始剤の重合開始剤を添加しても良い。ここで使用できる熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ビスアゾブチロニトリル等から選択することができ、光重合開始剤としてはベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類等から選択して使用することができる。その添加量は、液晶組成物に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0040】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために安定剤を添加しても良い。ここで使用することができる安定剤としては、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール等から選択して使用することができる。その添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましい。
【0041】
また、本発明の液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する重合体を得ることを目的としてカイラル(光学活性)化合物を添加しても良い。ここで使用することができるカイラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要は無く、また重合性官能基を有していても、有していなくても良い。またその螺旋の向きは重合体の使用用途によって適宜選択することができる。そのようなカイラル化合物としては光学活性基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、光学活性基として2−メチルブチル基を有する「CB−15」、「C−15」(以上BDH社製)、「S−1082」(メルク社製)、「CM−19」、「CM−20」、「CM」(以上チッソ社製)、光学活性基として1−メチルヘプチル基を有する「S−811」(メルク社製)、「CM−21」、「CM−22」(以上チッソ社製)を挙げることができる。このカイラル化合物の好ましい添加量は液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜20の範囲になるよう調整するのが好ましい。
【0042】
また、本発明の液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、または印刷インキ及び塗料等として利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、界面活性剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの金属酸化物等を添加することもできる。
【0043】
本発明は更に、本発明の液晶組成物の重合体であることを特徴とする光学異方体をも提供する。本発明の光学異方体は、本発明の液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造することができる。例えば、基板表面を布等でラビング、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させる方法を挙げることができる。その他の配向処理方法としては、液晶組成物の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。その中でも基板表面を布等でラビング処理した基板を用いる方法は、その簡便性から特に好ましい。
【0044】
この時使用することができる基板は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。具体的な例を挙げると有機材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン、無機材料としてはシリコン、ガラス、方解石等を挙げることができる。
【0045】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られないときには、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また通常のTN又はSTN素子で使用されているようなプレチルト角を与えるポリイミド薄膜を利用すると、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御できることから、特に好ましく利用することができる。また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用することができ、この場合には電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0046】
また、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法も用いることができる。これはポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜や光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、このましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜とするものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0047】
重合の方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等のエネルギーを照射することによって光重合させる方法が好ましい。この光重合させる際の光源としては偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で光重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は適当な透明性が与えられていなければならない。また、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からもできるだけ室温に近い温度で、即ち20〜30℃の温度で重合させることが好ましい。重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理をしても良い。熱処理の温度としては50〜250℃の温度範囲で、また熱処理時間としては30秒〜12時間の範囲にあるのが好ましい。
【0048】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いても良い。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)液晶性アクリレート化合物の合成
式(a)
【0050】
【化20】
Figure 0003972430
【0051】
で表される2−フルオロ−4−プロピル−4’−エチニルビフェニル5.9g、p−ヨードフェノール5.5g、ジメチルホルムアミド30ml、トリエチルアミン6ml、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.29g及びヨウ化銅(I)0.05gからなる混合物を窒素気流下、室温にて4時間撹拌した。撹拌終了後、10%希塩酸水溶液100mlを加えた後、酢酸エチル200mlを用いて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して粗生成物8.1gを得た。この粗生成物を、トルエン及びヘキサンから成る混合溶媒(容量比でトルエン:ヘキサン=1:4)60mlからの再結晶を2回行うことにより精製し、式(b)
【0052】
【化21】
Figure 0003972430
【0053】
で表される4−(2−(4−(2−フルオロ−4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェノール5.7gを得た。この化合物の相転移温度は、結晶相−ネマチック液晶相転移が141℃、ネマチック相−等方性液体相転移が181℃であった。
【0054】
さらに、式(b)の4−(2−(4−(2−フルオロ−4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェノール5.4g、トリエチルアミン2.0g及びテトラヒドロフラン50mlからなる混合物に、反応液の温度を15℃以下に保ちながら、アクリル酸クロリド1.6g及びテトラヒドロフラン10mlからなる溶液を滴下した。滴下終了後、室温にて1時間30分撹拌した後、反応液に飽和食塩水50mlを加えた。反応液の水層が弱酸性となるまで希塩酸を加え、酢酸エチル70mlを用いて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して粗生成物6.0gを得た。この粗生成物を、エタノール180mlからの再結晶により精製し、式(c)
【0055】
【化22】
Figure 0003972430
【0056】
で表される液晶性アクリレート化合物、4−(2−(4−(2−フルオロ−4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェニル 2−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、結晶相−ネマチック液晶相転移が112℃、ネマチック相−等方性液体相転移が236℃であった。
(実施例2)液晶組成物の調製
式(57)
【0057】
【化23】
Figure 0003972430
【0058】
で表される化合物50重量部及び式(60)
【0059】
【化24】
Figure 0003972430
【0060】
で表される化合物50重量部から成る液晶組成物(A)を調製した。この液晶組成物(A)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は46℃であった。また、常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.662、複屈折率は0.152であった。この液晶組成物(A)95重量部に、実施例1で合成した式(c)の液晶性アクリレート化合物4−(2−(4−(2−フルオロ−4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェニル 2−プロペノエート5重量部から成る液晶組成物(B)を得た。この液晶組成物(B)の結晶−ネマチック相転移温度は室温以下であるため、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は54℃であった。また、常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.674、複屈折率は0.164であった。つまり、本発明の化合物を5%添加することによって液晶組成物の複屈折率を約8%大きくできたことがわかる。
(比較例1)液晶組成物の調製
実施例2で作製した液晶組成物(A)95重量部に、式(d)の化合物4−(2−(4−(4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェニル 2−プロペノエート
【0061】
【化25】
Figure 0003972430
【0062】
5重量部からなる液晶組成物(C)を得た。この液晶組成物(C)の常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.675、複屈折率は0.165であり、液晶組成物(B)とほぼ同じ複屈折率が得られた。この液晶組成物(C)のネマチック相−等方性液体相の相転移温度は55℃であったが、結晶−ネマチック相転移温度は室温以上であるため、室温に放置すると結晶が析出してしまった。
(実施例3)液晶組成物の調製
実施例2で作製した液晶組成物(A)95重量部に、式(63)
【0063】
【化26】
Figure 0003972430
【0064】
で表される化合物5重量部からなる液晶組成物(D)を得た。この液晶組成物(D)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は50℃であった。また、常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.670、複屈折率は0.160であった。この液晶組成物(D)95重量部に、実施例1で合成した式(c)の液晶性アクリレート化合物4−(2−(4−(2−フルオロ−4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェニル2−プロペノエート5重量部から成る液晶組成物(E)を得た。この液晶組成物(E)の結晶−ネマチック相転移温度は室温以下であるため、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は58℃であった。また、常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.682、複屈折率は0.172であった。
(比較例2)液晶組成物の調製
実施例3で作製した液晶組成物(D)95重量部に、式(d)の化合物4−(2−(4−(4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェニル 2−プロペノエート5重量部からなる液晶組成物(F)を得た。この液晶組成物(F)の常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.683、複屈折率は0.173であり、液晶組成物(E)とほぼ同じ複屈折率が得られた。この液晶組成物(F)のネマチック相−等方性液体相の相転移温度は58℃であったが、結晶−ネマチック相転移温度は室温以上であるため、室温に放置すると結晶が析出してしまった。
【0065】
以上の結果から、本発明のようなビフェニル部位の2位にフッ素原子を導入したビフェニルエチニルベンゼン骨格を有する液晶性アクリレートは、複屈折率の増大及び結晶−液晶相転移温度の低減に有効であることがわかる。
(実施例4)液晶組成物の調製
実施例2で作製した液晶組成物(A)80.75重量部、式(63)で表される化合物14.25重量部及び実施例1で合成した式(c)の液晶性アクリレート化合物4−(2−(4−(2−フルオロ−4−プロピルフェニル)フェニル)エチニル)フェニル 2−プロペノエート5重量部から成る液晶組成物(G)を得た。この液晶組成物(G)の、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は68℃であった。また、常光の屈折率noは1.510、異常光の屈折率neは1.699、複屈折率は0.189であった。
(実施例5)光学異方体の作製
実施例3で調製した液晶組成物(E)99重量部に光重合開始剤「IRG−651」(チバガイギー社製)1重量部を溶解させた。次にこれをセルギャップ10ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認できた。このセルに、25℃において高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したところ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得られているのが確認できた。次にセルのガラスを取り外すことにより、1枚のガラスの上に担持された厚さ10ミクロンのTN配向構造を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されることがわかった。
(比較例3)光学異方体の作製
比較例2で調製した液晶組成物(F)99重量部に光重合開始剤「IRG−651」(チバガイギー社製)1重量部を溶解させた。次にこれをセルギャップ10ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステッドネマチック)セルに注入したところ、結晶が析出してしまい、25℃において高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射しても、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得られなかった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の液晶性(メタ)アクリレート化合物と液晶組成物は、大きな複屈折率と結晶相−ネマチック液晶相転移温度の低減を両立させたものであり、偏光ビームスプリッター、光学的ローパスフィルター及び偏光プリズム等の光学素子の作製材料として有用である。

Claims (8)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003972430
    (式中、X1及びX2のうち一方がフッ素原子で、もう一方が水素原子を表し、Y1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表す。)で表されることを特徴とする液晶性(メタ)アクリレート化合物。
  2. 請求項1記載の液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有し、且つ液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物。
  3. 少なくとも2つの6員環を有する液晶骨格を部分構造として有する環状アルコール、フェノール又は芳香族ヒドロキシ化合物のアクリル酸又はメタクリル酸エステルである単官能(メタ)アクリレートを含有し、液晶相を示すことを特徴とする請求項2記載の液晶組成物。
  4. 単官能(メタ)アクリレート化合物が一般式(II)
    Figure 0003972430
    (式中、X3は水素原子又はメチル基を表し、rは0または1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に
    Figure 0003972430
    から選ばれる環を表し、pは1〜4の整数を表し、Y2及びY3はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y4は単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表す。)で表されることを特徴とする請求項3記載の液晶組成物。
  5. 一般式(II)において、X3は水素原子を表し、rは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニレン基を表し、Y4は単結合を表し、Z1はシアノ基を表すことを特徴とする請求項4記載の液晶組成物。
  6. 一般式(II)において、X3は水素原子を表し、rは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニレン基を表し、Y4は−C≡C−を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする請求項4記載の液晶組成物。
  7. 液晶相が少なくとも20℃〜30℃の温度範囲で発現することを特徴とする請求項2、3、4、5又は6記載の液晶組成物。
  8. 請求項2、3、4、5、6又は7記載の液晶組成物の重合体からなることを特徴とする光学異方体。
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