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JP4717282B2 - 光学異方体の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学、表示、記録材料、液晶ディスプレイの光学補償板や偏光プリズム材料として利用される、重合性官能基を有する液晶を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶物質はTN(ツイステッド・ネマチック)型やSTN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型に代表されるディスプレイ素子等の液晶分子の可逆的運動を利用した表示媒体への応用以外にも、その配向性と屈折率、誘電率、磁化率等の物理的性質の異方性を利用して、位相差板、偏光板、偏光プリズム、各種光フィルター等の光学異方体への応用が検討されている。
【0003】
このような液晶物質を構成材料とする光学異方体には、安定で均一な光学特性が必要とされ、そのためには、液晶状態における液晶分子の配向状態構造を半永久的に固定化することが必須である。
【0004】
液晶状態における液晶分子の配向状態構造を半永久的に固定化する手段としては、重合性官能基を有する液晶性化合物又はこのような化合物を含有する重合性液晶組成物を、液晶状態で配向させた後、その状態で紫外線等のエネルギー線を照射することによって高分子化させる方法が知られている。
【0005】
このような技術に適用できる重合性官能基を有する液晶材料が、特開昭58−102205号公報、特開昭62−70406号公報、特公平8−3586号公報、特開平4−227611号公報、ドイツ公開特許DE4226994号等に開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの材料は、液晶相を呈する温度が高いため、配向工程において、望ましくない熱重合が誘起され、均一性に優れた光学異方体を作製できないという問題、もしくは作製した光学異方体の耐熱性が充分でないという問題があった。
【0007】
また、2つ又は2つ以上の重合性官能基を有し、かつ、室温で液晶相を呈する液晶材料が、ドイツ公開特許DE4408171号公報、PCT国際公開WO97/14674公報、特開平8−245520号公報、特開平8−104870号公報等に開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの材料のほとんどは、液晶骨格中にベンゼン環やシクロヘキサン環等の6員環を3つ以上有しており、分子量の平均値が約500〜1000程度と大きいという問題を有していた。すなわち、液晶ディスプレイの分野で使用されている非重合性の液晶材料の分子量の平均値は約250〜450程度であるのに対して、このように分子量の平均値が大きいと、粘度を増大させ、均一な配向状態を得るのに時間がかかるという問題を生じてしまう。特に、配向状態を領域毎に変える配向分割技術を用いる場合には、粘度が高いと配向が安定するまでに30分以上の時間が必要な場合があるため、光学異方体の製造プロセスの効率を著しく悪化させてしまうという問題があった。
【0009】
一方、特開平8−3111号公報には、室温で液晶相を呈し、重合後の耐熱性に優れ、かつ分子量の平均値が約250〜450程度と小さい液晶材料が開示されている。この材料は室温における液晶相が安定である上に粘度も低いので、室温での光学異方体製造が容易であるという特長を有する。しかしながらこれらを室温もしくは室温付近で重合して得られた光学異方体の透明性は悪く、光学素子として用いるには不充分であった。
【0010】
以上の問題を解決するものとして、室温で液晶相を呈し、重合後の光学異方体の耐熱性に優れ、かつ、分子量の平均値が約250〜450程度と小さい重合性の液晶材料が、特開2000−178233号公報に開示されている。しかしながら、該公報に開示されている重合条件、すなわち、この重合性液晶材料を室温もしくは室温付近で重合するという条件で得た光学異方体の透明度は、従来よりかなり改善されたものの、未だ充分なものではなかった。また、実用的な透明度を得るために、開示された三官能重合性液晶化合物の組成割合を大きくする必要があり、このため、液晶材料の室温における保存安定性が低下するという問題があった。
【0011】
また、光学異方体の性能を評価する上で、光学異方体の複屈折率と光学異方体の厚みの積で表される光学位相差(以下、リタデーションと称す)は、目的、用途に応じて制御可能であることが望ましいが、従来の重合性液晶材料では、光重合前と後でのリタデーション値が変化し、重合前と比べて大幅に値が減少してしまう。そのため、リタデーションを規定の値に保つために、製造過程において、ある程度光学異方体の厚みを厚くしておくことで対応するなどしているが、完全に制御することは困難であった。また、厚みを厚くしてしまうことにより、透明性が低下するという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、重合性官能基を有する液晶を含有する重合性液晶組成物を用い、透明性に優れ、かつ、光学位相差(リタデーション)の値の減少が少ない光学異方体を得る製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、重合性官能基を有する液晶を含有し、20℃以下であっても液晶状態を示す重合性液晶組成物を、基板上に塗布して液膜を形成するかもしくは基板間に挟持した後、液晶を配向させた状態で、20℃以下で、かつ、液晶相を保持した状態で光重合させることを特徴とする光学異方体の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する重合性液晶組成物は、重合性官能基を有する液晶を含有し、20℃以下であっても液晶状態を示す重合性液晶組成物である。当該液晶組成物が呈する液晶相は、液晶技術分野で液晶相と認識される相で有ればよいが、中でも、配向処理を行い易い液晶相として、ネマチック相、スメクチックA相、スメクチックC相、キラルスメクチックC相及びコレステリック相を発現するものが好ましい。この中でも、ネマチック相は粘度が低くなる傾向があり、光学異方体の製造時の配向工程において、安定した配向状態を迅速に得られる傾向があるため、特に好ましい。また、スメクチックC相またはキラルスメクチックC相を示す場合には、該スメクチックC相またはキラルスメクチックC相の温度領域より上の温度領域でスメクチックA相を、スメクチックA相を示す場合には、該スメクチックA相の温度領域より上の温度領域でネマチック相を、それぞれ発現する液晶組成物は、良好な一軸の配向特性が得られるので好ましい。これ以外の相の場合、流動性が極めて小さいために、配向処理に特別な手法が必要とされ、製造工程の複雑化を招く原因となる。
また、重合性官能基とは、例えばアクリル基、メタアクリル基またはエポキシ基等の重合性を有する官能基を表す。
【0015】
本発明で使用する重合性液晶組成物は、融点以下の温度状態、即ち過冷却状態にあっても、20℃以下で液晶状態を示していればよい。
物理あるいは化学の分野で、融点とは、ある圧力下において固体と液体とが平衡状態を保つ温度であり、一般的には固体を加熱したときに固体が融解して液体状態になる温度と解釈でき、凝固点と等しい。融点は、単一物質に限らず組成物(複数の単一物質の混合物)でも見られる。組成物の場合、混合した単一物質どうしの相互作用により化学ポテンシャルが変化し、融解挙動がより複雑になる。例えば物質AとBを混合し、単一の融点を示す場合、このような混合物は共融混合物と呼ばれ、その融点は共融点と呼ばれる。混合物の融点は物質AやBいずれの融点よりも低い温度になる場合があり、液晶組成物の融点を低下させる方法として、組成物の融点の加成性や線形性が成り立たないという、共融混合物の性質がよく用いられる。
【0016】
一方、熱力学的な意味を持つ融点(共融点)は、主に低温から昇温した場合に測定される点であるが、降温過程においては熱力学的に非平衡状態を取るため、融点以下の温度でも凝固せず液晶状態を保つことがある。この状態を過冷却状態といい、光学異方体製造過程において通常の液晶状態と何ら変わることなく同様に扱うことが可能である。
【0017】
本発明において光学異方体を製造する場合は、この過冷却状態を利用して重合、固定化を行うことが好ましい。具体的には、高温(等方相状態)から徐々に降温して液晶相を発現し、液晶を配向させた状態で20℃以下で、好ましくは、かつ、過冷却状態で光重合を行い、配向を固定化する。20℃を越える範囲では、たとえ過冷却状態を保っていても、得られる光学異方体のリタデーションの減少率を押さえることができない。
【0018】
また、過冷却状態は熱力学的に安定な状態ではないので、長時間経た後では凝固する可能性がある。そのため、凝固しにくい製造温度制御を施し、さらになるべく短い時間で配向処理から重合まで完了させることが望ましい。具体的には、融点から、融点マイナス10℃の温度範囲内の過冷却状態で光重合を行うことが好ましい。融点マイナス10℃より低い温度範囲では、重合中に液晶組成物の平衡が崩れやすく、透明性を悪化する要因である相分離が生じやすくなる。
【0019】
本発明で使用する基板としては、特に限定されることはなく、公知慣用のものを使用できる。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができ、例えば、有機材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0020】
本発明で使用する重合性液晶組成物を、基板上に塗布して液膜を形成するかもしくは基板間に挟持する方法としては、例えば重合性液晶組成物をワイヤーバーあるいはダイコーターなどを用いて基板上に塗布する方法、または液晶ガラスセルに毛細管現象や真空注入法を用いて重合性液晶組成物を注入する方法が挙げられる。
【0021】
本発明の光学異方体製造時における液晶組成物の、基板へのコーティング工程又は液晶セルへの注入工程において、均一な配向状態を迅速に得る目的で、一時的に液晶組成物を等方性液体状態にすることは有効な手段である。しかし、液晶相−等方性液体への相転移温度、即ち透明点が90℃を越えて高くなると等方性液体状態にした時、望ましくない熱重合が誘起されてしまい、均一性の良い光学異方体を作製できなくなる危険があるので、組成物の液晶温度領域は、アクリレート化合物もしくはメタクリレート化合物中のアクリル基あるいはメタクリル基の自己重合開始温度、例えば90℃よりも低い温度範囲であることが望ましい。特にスメクチックC相あるいはキラルスメクチックC相で本発明で使用する液晶組成物は、アクリル基あるいはメタクリル基の自己重合開始温度よりも低い温度範囲でスメクチックC相もしくはキラルスメクチックC相を発現するような組成とするのが望ましい。そのために、組成割合を調節し、透明点が90℃以下となるようにするのは有効である
【0022】
本発明で使用する重合性液晶組成物を配向させる方法としては、例えば、表面を布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上にコーティング等の手段により担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させる方法が挙げられる。その他の配向処理方法としては、液晶組成物の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いてもよい。その中でも基板表面を布等でラビング処理した基板を用いる方法が、その簡便性から特に好ましい。
【0023】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしてもよい。また、通常のツイステッド・ネマチック(TN)素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック(STN)素子で使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。
【0024】
また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0025】
さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0026】
本発明で使用する重合性液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等のエネルギー線を照射することによって光重合を行う方法が好ましい。光重合を行う際の光源としては、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。強度と照射時間、および全エネルギー量は、照射される組成物の膜厚、表面積、及び該組成物中のアクリル基及びメタクリル基等の重合性官能基濃度により最適値が異なるが、一般的に強度を大きくし、短時間で重合を完結することによって、透明性に優れた光学異方体を得ることができる。
【0027】
このとき、光重合反応性を向上させることを目的として、各種光重合開始剤を添加することもできる。光重合開始剤としては公知慣用のものが使用できるが、例えば、大阪有機社製「BEE」、黒金化成社製「ソルバスロンBIPE」、精工化学社製「セイクオールBBI」などのベンゾインエーテル類、日本化薬社製「カヤキュアーBP」、日本油脂社製「BTTB」などのベンゾフェノン類、メルク社製「ダロキュアー1116」、チバガイギー社製「イルガキュアー184」などのアセトフェノン類、チバガイギー社製「イルガキュアー651」、BASF社製「Lucirin BDK」などのベンジルケタール類等が挙げられる。光重合開始剤を添加する場合の添加量は、液晶組成物に対して10重量%以下が好ましく、5重量%以下が特に好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲が更に好ましい。
【0028】
重合を迅速に行うには、生長ラジカルとの付加反応を容易に起こし重合を抑制する酸素の影響を避けるため、窒素などの不活性雰囲気で行うことが望ましいが、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で重合を行う場合には必ずしもその必要はない。後者の場合、光重合を行うには少なくとも照射面側の基板は適当な透明性が与えられていなければならない。
【0029】
重合性液晶性組成物を配向させた状態で、光重合により製造された光学異方体は、より透明性をあげるために、熱処理を施すことが好ましい。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いても良い。
【0030】
重合性官能基を有する液晶を含有し、20℃以下であっても液晶状態を示す重合性液晶組成物を、基板上に塗布して液膜を形成するかもしくは基板間に挟持した後、液晶を配向させた状態で、20℃以下で且つ液晶相を保持した状態で光重合させることで、得られる光学異方体の透明性が向上し、かつ、光学位相差またはリタデーション値の減少が少ない理由は必ずしも明らかではないが、何らかの形で重合に起因する相分離あるいは配向の乱れを抑制している結果と考えられる。以下、考えうる機構を仮説として説明するが、これにより本発明は何らの限定を受けるものではない。
透明性が低下する原因としては、重合時における相分離によって、屈折率の異なる微小部分(ドメイン)が生成することが挙げられる。互いに接触している屈折率を異にするドメイン界面では、光は反射・散乱を起こすので、これがヘイズを発生させると考えられる。本発明で透明性が改善された原因の一つとして、低温で重合するが故に屈折率を異にするドメインの大きさが、光の散乱要因になる大きさまで成長しなかったことが考えられる。
【0031】
例えばモノマーの状態にある重合性液晶組成物がネマチック相である場合、通常、その重合過程において、重合性液晶組成物がスメクチック相類似の構造を有するドメインを生成し、これが光を散乱させ、得られる光学異方体が不透明化するものと考えられる。これに対し、本発明の製造方法は、重合性液晶組成物を通常よりも低温領域、即ち過冷却状態で重合することで、高温領域よりも重合速度が大きくなり、ゲル化による網目構造が迅速に形成され、ドメインが光を散乱させる大きさにまで成長できなかった可能性が考えられる。また、低温領域にすることにより、組成物の粘度がより高い状態のまま迅速な重合を行うことができ、重合に伴う液晶分子の配向乱れも抑制できる可能性が考えられる。
【0032】
(メタ)アクリレート組成物等のラジカル重合性組成物の重合反応は、重合開始反応、生長反応、連鎖移動反応、停止反応の総和である。一般に、非晶性の(メタ)アクリレート組成物は高温になるほど重合速度が大きい。これは、モノマーが3次元的にランダムに移動できるため、高温になるほどモノマーとラジカル種が衝突して反応する確率が高くなるためである。一方、ネマチック相を呈する液晶性の(メタ)アクリレート組成物の場合、分子がある方向性をもってパッキングしているので、反応点が互いに近接して存在すると考えられ、成長反応が進行し易い環境といえる。さらに、低温側では分子の運動性がさらに制限されるため、ラジカルを失活させる因子がラジカル反応を停止させる確率も低いと推測される。一方、高温になると、ラジカルを失活させる因子の移動も活発になるため、ラジカル重合の停止反応が促進されると考えられる。これらの理由から、液晶性モノマーは低温では成長反応が停止反応に対して優勢であり、高温になれば停止反応が優勢であるため、過冷却を示すような低温では重合速度が大きくなったと考えられる。光反応熱量計や赤外吸収測定の実験結果からも、液晶性の(メタ)アクリレート化合物では低温での反応速度が大きいことが示唆されている。
【0033】
本発明で使用する、重合性官能基を有する液晶を含有し、20℃以下であっても液晶状態を示す重合性液晶組成物としては、例えば、下記一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物、及び、下記一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性液晶組成物が挙げられる。
【0034】
【化5】
Figure 0004717282
【0035】
一般式(1)中、L1、L2、L3はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
1、L2、L3として水素原子を選択した方が、メチル基を選択した場合よりも、反応性が高い。従って、光重合が迅速に進行する材料が必要な時には水素原子を選択するのが好ましく、反応性を低く調節する必要があるときには、L1、L2、L3のうち、1〜2つ、もしくは全部にメチル基を選択するのが好ましい。
【0036】
6員環A、B、Cはそれぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又はヘテロ原子として一つ又は二つの窒素、酸素、硫黄を有する複素環を表す。これらの6員環A、B及びCは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。
【0037】
複屈折率が大きな化合物が必要な場合には、共役系が分子の長軸方向に伸びている必要があるので、6員環A、B及びCとしては、無置換の芳香環、芳香族複素環もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換基を有する芳香環または芳香族複素環が好ましい。
逆に複屈折率が小さな化合物が必要な場合には、6員環A、B及びCとしては、無置換の環状脂肪族あるいは脂肪族複素環、もしくは炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で1つ以上置換された環状脂肪族あるいは脂肪族複素環が好ましい。特に、光学異方体の複屈折率と膜厚の積で表されるリタデーションを制御するには、複屈折率を左右する重合性液晶の複屈折率の制御を、目的に応じて適宜行うことが好ましい。
【0038】
1、Y2はそれぞれ独立に単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、又は−OCO−COO−を表し、X1、X2、X3はそれぞれ独立に単結合、−O−、−COO−、又は−OCO−を表す。
リタデーションの大きな光学異方体を製造する場合複屈折率が大きな化合物が好ましいので、共役系が分子の長軸方向に伸びていることが望ましい。この場合、Y1、Y2は単結合、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、又は−CF=CF−を選択するのが好ましい。
逆に、リタデーションが小さな光学異方体を製造する場合、複屈折率が小さな化合物が好ましいので、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、又は−OCH2CH2CH2−を選択するのが望ましい。
【0039】
Sp1、Sp2、Sp3はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキレン鎖、又は炭素原子数1から20のアルキレン鎖が−O−、−COO−、−OCO−で結合された鎖を表す。これらの化学基は、重合性液晶の相転移点や粘度、さらに光学異方体のリタデーションや透明性にも影響を与える。また、これらの化学基中の水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていても良い。化学基としては粘度の低減という観点から、炭素原子数1から20のアルキレン鎖を選択するのが好ましい。炭素原子数は、2〜12が好ましく、2〜8がさらに好ましく、3〜6が特に好ましい。炭素原子数が多くなると、分子量が増大し、粘度が高くなってしまう傾向があり、炭素原子数が少なくなると、化合物の液晶温度の高温化、あるいは重合後の透明性やリタデーションの低下などを起こす可能性がある。
【0040】
1、X2、X3はそれぞれ独立に単結合、−COO−、−OCO−、又は−O−を表す。化合物の加水分解による劣化を最低限に抑制するためには、−O−を選択するのが好ましい。
本発明で使用する、上記に挙げたような液晶性(メタ)アクリレート化合物は、具体的には、特開2000−178233号公報に開示されている化合物を挙げることができ、これらの化合物も、同公報に開示されている方法で得ることが出来る。
【0041】
【化6】
Figure 0004717282
【0042】
上記一般式(II)中、L4は水素原子又はメチル基を表し、nは0又は1の整数を表す。粘度上昇を抑制する観点から、nは0であることが特に好ましい。6員環D、E、Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ヘテロ原子として一つ又は二つの窒素、酸素、硫黄を有する複素環を表す。これらの6員環D、E、Fは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良い。
【0043】
上記一般式(II)中、Y3、Y4はそれぞれ独立に単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、中でも単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、又は−CF=CF−であることが液晶相を安定的に呈するという観点から特に好ましい。
5は単結合、−O−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−COO−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は炭素原子1〜20の炭化水素基を表す。Y5は単結合、−O−、−OCO−、又は−COO−であることが液晶相を安定的に発現する傾向や、化合物の光に対する安定性などにおいて特に好ましく、Z1はハロゲン原子、シアノ基、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基であることが特に好ましい。
【0044】
中でも、本発明においては、一般式(II)で表される化合物として、下記一般式(III)で表される化合物と、(IV)で表される化合物との混合物であることが好ましい。その理由として、当該混合物は室温付近において安定的にネマチック液晶相を呈することが挙げられる。ネマチック相は比較的低粘度であるため、室温での配向処理が容易に行えるなど製造工程が単純化できる。その組成割合としては、当該組成物中の一般式(III)で表される化合物の重量分率が25%〜75%で、且つ一般式(IV)で表される化合物の重量分率は75%〜25%の範囲であることが望ましい。さらに、一般式(III)及び(IV)で表される化合物の混合比は、一般式(I)で表される化合物との混合物を調整し、なおかつ液晶相を安定的に保つ組成物が必要とされるので、当該組成物中の一般式(III)で表される化合物の重量分率が40%〜60%及び一般式(IV)で表される化合物の重量分率は60%〜40%の範囲であることが望ましい。特に一般式(III)で表される化合物の重量分率が45%〜55%及び一般式(IV)で表される化合物の重量分率は55%〜45%の範囲で含有する混合物は、好適に用いられる。
【0045】
【化7】
Figure 0004717282
【0046】
【化8】
Figure 0004717282
【0047】
上記一般式(I)と、一般式(II)で表される化合物の配合割合は、特に制限はないが、液晶相を示し、液晶相を安定的に呈する必要性から、一般式(I)と一般式(II)で表される化合物の配合割合は、一般式(I)で表される化合物の重量分率が5%〜50%であり、かつ一般式(II)で表される化合物の重量分率が50%〜95%の範囲であることが好ましい。さらに、重合性液晶組成物の粘度を低くするために、一般式(I)と一般式(II)で表される化合物の配合割合として、一般式(I)で表される化合物の重量分率が5%〜30%、かつ一般式(II)で表される化合物の重量分率が70%〜95%であるものが好適に用いられる。
【0048】
さらに、室温でのネマチック相の保存安定性が特に必要とされる場合、例えば液晶組成物を在庫として長期間保存する場合や、液晶組成物の配向処理に長時間を要する場合、或いは液晶をセルに注入するときに毛細管現象を利用する方法のみが実施可能であって、液晶組成物の粘度を特に低く抑える必要がある場合などでは、一般式(I)と一般式(II)で表される化合物の配合割合は、一般式(I)で表される化合物の重量分率が5%〜20%、かつ一般式(II)で表される化合物の重量分率が80%〜95%の範囲であることが好ましい。
【0049】
一般式(I)で表される化合物の重量分率は、本来は多い方が透明性に優れ、リタデーションが大きな光学異方体を得ることができる。例えば、一般式(I)で表わされる化合物の濃度が20重量%の条件では、ヘーズは1.6%以下の値となり、リタデーション値は2.90マイクロメーター以上になる。また、濃度が30%では、ヘーズは1%以下の値となり、リタデーション値は3.50マイクロメーター以上となる。
しかし、本発明の製造方法によれば、一般式(I)で表される化合物の重量分率が上記のように5%〜20%の範囲であっても、透明性に優れ、光学位相差(リタデーション)の値の減少が少ない光学異方体を得ることが可能である。
【0050】
また、本発明で使用する液晶組成物に、重合性官能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加した組成物を用いて光学異方体を製造することもできる。しかしながら、液晶組成物を用いて作製する光学異方体の耐熱性を確保する観点から、その添加量は10重量%以下にするのが好ましい。
【0051】
また、本発明で使用する液晶組成物中に、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を補助的に添加した組成物を使って光学異方体を製造することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成能を有するモノマーあるいは高分子形成能を有するオリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、アクリレート化合物、メタクリレート化合物もしくはビニルエーテル化合物が特に好ましい。
【0052】
その他、本発明で使用する液晶組成物には、保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えばラジカル重合禁止剤として効果のあるヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下が特に好ましい。添加量は製造環境、保存環境に応じて適宜加減する。
【0053】
また、本発明で使用する液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する光学異方体を得ることを目的として、キラル(光学活性)化合物を添加することもできる。そのような目的で使用するキラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要はなく、また重合性官能基を有していても、有していなくても良い。また、その螺旋の向きは、光学異方体の使用用途によって適宜選択することができる。そのようなキラル化合物としては、例えば、光学活性基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、光学活性基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社(BDH社;イギリス国)製の「CB−15」、「C−15」、メルク社(ドイツ国)製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」;光学活性基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」等を挙げることができる。
キラル化合物を添加する場合の好ましい添加量は、液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を光学異方体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜20の範囲となる量が好ましい。
【0054】
また、特殊用途の光学異方体、例えば偏光フィルムや配向膜、又塗料等を製造する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、界面活性剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの金属酸化物等を組成物に添加することができる。
【0055】
本発明の製造方法によれば、透明性に非常に優れ、リタデーション値の減少が少ない光学異方体を簡単に得ることができる。また、本発明の光学異方体は、位相差板、偏光板、偏光プリズム、各種光フィルター等の光機能フィルムの材料として、非常に有用である。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例の限定されるものではない。なお、透明度はヘーズ値で表し、JIS K−7136に準拠して測定を行った。
【0057】
(合成例1)液晶性アクリレート化合物の合成
4,4’−ビフェノール120.0g、6−クロロ−1−ヘキサノール88.0g、水酸化ナトリウム25.7g、ヨウ化カリウム25.0g、エタノール480ml及び水440mlから成る混合物を撹拌しながら、80℃で4時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却後、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。析出した結晶をガラスフィルターを用いて、濾取した後、結晶を水2000mlで洗うことにより、粗生成物900gを得た。この粗生成物を、メタノール900mlからの再結晶を1回、メタノール300mlからの再結晶を2回行うことにより精製し、式(a)で表される化合物を50.0g得た。
【0058】
【化9】
Figure 0004717282
【0059】
式(a)の化合物48.0g、アクリル酸48.3g、p−トルエンスルホン酸15.0g、ヒドロキノン2.5g、トルエン220ml、テトラヒドロフラン90ml、n−ヘキサン130mlからなる混合物を加熱撹拌し、生成してくる水を留去しながら4時間還流させた。
反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水1000ml、酢酸エチル700mlを加えて抽出を行った。得られた有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して粗生成物60.9g得た。得られた粗生成物をトルエン60mlとヘキサン120mlの混合溶媒から再結晶を行い、不純物であるアクリル酸の大部分を除いた粗生成物41.8gを得た。このうちの31.8gを酢酸エチル及びトルエンからなる混合溶媒(容量比で酢酸エチル:トルエン=1:4、Rf=0.52)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、下記式(b)で表される化合物を19.0g得た。
【0060】
【化10】
Figure 0004717282
【0061】
3,4−ジヒドロキシ安息香酸10.0g、6−クロロ−1−ヘキサノール19.4g、水酸化ナトリウム8.2g、ヨウ化カリウム1.0g、エタノール45ml、水45mlから成る混合物を撹拌しながら、80℃で32時間反応させた。得られた反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水500mlを加え、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。この反応溶液に酢酸エチル300mlを加えて抽出を行った。 得られた有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して下記式(c)の粗生成物23.2gを得た。
【0062】
【化11】
Figure 0004717282
【0063】
式(c)の粗生成物23.2g、アクリル酸30.0g、p−トルエンスルホン酸5.0g、ヒドロキノン1.0g、トルエン100ml、n−ヘキサン60ml、テトラヒドロフラン40mlから成る混合物を加熱撹拌し、生成してくる水を留去しながら4時間還流させた。反応液を室温まで冷却後、反応液に飽和食塩水500ml、酢酸エチル300mlを加えて抽出を行った。得られた有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物40.1g得た。次に、この粗生成物につき、ヘキサン100mlとトルエン20mlの混合物からの再結晶を2回行い、不純物であるアクリル酸の大部分を除いた粗生成物16.5gを得た。さらに、酢酸エチル及びトルエンからなる混合溶媒(容量比で酢酸エチル:トルエン=1:3、Rf=0.31)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、下記式(d)で表される化合物8.0gを得た。
【0064】
【化12】
Figure 0004717282
【0065】
式(d)の化合物7.0g、塩化チオニル7.0g、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール0.05gから成る混合物にジメチルホルムアミド3滴を加え、40℃で30分加熱撹拌した。反応液を減圧乾燥させた後、これを、式(b)の化合物5.1g、トリエチルアミン3.1g、テトラヒドロフラン30mlからなる混合物に滴下した。この時、混合物の内温が30℃以下になるように滴下速度を調節した。滴下終了後、3時間30分室温にて撹拌した。これに、飽和食塩水を200ml加えた後、水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。さらに、酢酸エチルを100ml加えて、抽出した。得られた有機層を水洗後、有機溶媒を減圧留去して粗精製物12.5gを得た。これを酢酸エチル及びトルエンからなる混合溶媒(容量比で酢酸エチル:トルエン=1:4、Rf=0.59)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びメタノール10mlからの再結晶2回により精製を行い、式(e)で表される液晶性アクリレート化合物(以下、液晶性アクリレート化合物(e)と記す)1.3gを得た。
【0066】
【化13】
Figure 0004717282
【0067】
(組成物調製例1)
化合物(f)の液晶性アクリレート化合物50重量部、及び化合物(g)の液晶性アクリレート50重量部から成る組成物(A)を調製した。組成物(A)の融点は16℃であった。
【0068】
【化14】
Figure 0004717282
【0069】
【化15】
Figure 0004717282
【0070】
合成例1で合成した液晶性アクリレート化合物(e)20重量部、組成物(A)80重量部から成る組成物(B)を調製した。組成物(B)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。N(ネマチック相)−I(等方性液体相)転移温度は48℃であった。融点は15℃であった。また、589nmで測定したne(異常光の屈折率)は1.6582で、no(常光の屈折率)は1.512、複屈折率は0.146であった。分子量の平均値は、336である。B型粘度計で測定した組成物(B)の粘度は74mPa・sであった。
【0071】
(組成物調製例2)
合成例1で合成した液晶性アクリレート化合物(e)30重量部、組成物(A)70重量部から成る組成物(D)を調製した。組成物(D)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。N(ネマチック相)−I(等方性液体相)転移温度は50℃であった。融点は16℃であった。また、589nmで測定したne(異常光の屈折率)は1.656で、no(常光の屈折率)は1.513、複屈折率は0.143であった。分子量の平均値は、361である。B型粘度計で測定した組成物(B)の粘度は123mPa・sであった。
【0072】
(保存安定性)
重合性液晶組成物のネマチック相の保存安定性は、組成物を封入したサンプル瓶を室温に放置して、目視により結晶析出の有無を観察して評価した。組成物調製例1で調製した組成物(B)の保存安定性試験では、調製から1年を経た後もネマチック相を呈し、結晶の析出は見られなかった。
一方、組成物(D)は調製から3日を経てもネマチック相を呈し、結晶の析出は見られなかったが、調製から1週間を経たものには、結晶の析出が見られた。このことから、組成物(D)の保存安定性は3日以上、1週間以下であった。
【0073】
(実施例1)光学異方体の作製(1)
組成物調製例1で調製した組成物(B)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(C)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(C)を室温にて注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、セルを7℃までゆっくり冷却したところ、過冷却状態であるが配向状態を保ったまま液晶状態を保持した。次に、目白プレシジョン製超高圧水銀灯750Wを用いて14W/m2の紫外線(波長366nm)を200秒間照射して、組成物(C)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルにいれたままの光学異方体の平行光透過率は86.8%で、ヘーズは1.3%であった。リタデーション値は2.95ミクロンであった。
【0074】
(実施例2)光学異方体の作製(2)
組成物調製例2で調製した組成物(D)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(E)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(E)を等方相を示す温度にて注入し、液晶状態を示す温度まで徐冷した。液晶状態を発現した後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、次に、セルを15℃までゆっくり冷却したところ、過冷却状態であるが配向状態を保ったまま液晶状態を保持した。次に、目白プレシジョン製超高圧水銀灯750Wを用いて14W/m2の紫外線(波長366nm)を200秒間照射して、組成物(E)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルにいれたままの光学異方体の平行光透過率は87.8%で、ヘーズは1.0%であった。リタデーション値は3.50ミクロンであった。
【0075】
(実施例3)光学異方体の作製(3)
組成物調製例1で調製した組成物(B)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(C)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(C)を室温にて注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、セルを15℃までゆっくり冷却したところ、配向状態を保ったまま液晶状態を保持した。次に、目白プレシジョン製超高圧水銀灯750Wを用いて14W/m2の紫外線(波長366nm)を200秒間照射して、組成物(C)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルにいれたままの光学異方体の平行光透過率は86.4%で、ヘーズは1.6%であった。リタデーション値は2.90ミクロンであった。
【0076】
(比較例1)光学異方体の作製(4)
実施例1と同様にして、組成物(C)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(C)を室温にて注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、セルを25℃に保って、目白プレシジョン製超高圧水銀灯750Wを用いて14W/m2の紫外線(波長366nm)を200秒間照射して、組成物(C)を重合させ、光学異方体を得た。ガラスセルにいれたままの光学異方体の平行光透過率は83.4%で、ヘーズは4.7%であった。リタデーション値は2.70ミクロンであった。
【0077】
(比較例2)光学異方体の作製(5)
実施例2と同様にして、組成物(E)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(C)を室温にて注入した。注入後、1分以内に配向が安定し、均一な一軸配向が得られているのが確認できた。次に、セルを25℃に保って目白プレシジョン製の超高圧水銀灯750Wを用いて14W/m2の紫外線(波長366nm)を200秒間照射して、組成物(E)を重合させた。ガラスセルにいれたままでの平行光透過率は86.1%で、ヘーズは1.8%であった。リタデーション値は2.90ミクロンであった。
【0078】
実施例1、2と比較例1、2の結果から、本発明の製造方法によって、重合性液晶組成物のネマチック相の保存安定性をさほど損なわずに、透明性に優れた光学異方体が得られることが判る。なお、実施例1、3は重合性液晶組成物のネマチック相の保存安定性として長期の保存安定性が要求される場合或いは重合性液晶組成物として特に低粘度が要求される場合に、その範囲内で、透明性、リタデーション減少のより少ない光学異方体とした例であり、実施例2は、保存安定性をある程度の水準以上に保ち、透明性、リタデーション減少のより少ない光学異方体を得ることを重視した例である。
【0079】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、ネマチック相の保存安定性が良好な重合性液晶組成物を用いて、透明性に優れ、かつ光学位相差(リタデーション)の値の減少が少ない光学異方体を提供することができる。

Claims (4)

  1. 重合性官能基を有する液晶を含有し、20℃以下であっても液晶状態を示す重合性液晶組成物を、基板上に塗布して液膜を形成するか、もしくは基板間に挟持した後、液晶を配向させた状態で、20℃以下で、かつ、液晶相を保持した状態で光重合させることを特徴とする光学異方体の製造方法。
  2. 前記重合性液晶組成物を20℃以下で且つ融点以下の温度状態で光重合させる、請求項1に記載の光学異方体の製造方法。
  3. 一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物と、一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性液晶組成物を、一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物のみで構成される組成物成分の融点から、融点マイナス10℃の温度範囲内で、かつ、過冷却状態で光重合することを特徴とする、請求項1に記載の光学異方体の製造方法。
    Figure 0004717282
    (式中、L1、L2、L3はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、6員環A、Bはそれぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又はヘテロ原子として一つ又は二つの窒素、酸素、硫黄を有する複素環を表し、これらの6員環A、B、Cはそれぞれ置換基を有していてもよく、Y1、Y2は水素原子がそれぞれ独立に単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、又は−OCO−COO−を表し、X1、X2、X3はそれぞれ独立に単結合、−O−、−COO−、又は−OCO−を表し、Sp1、Sp2、Sp3は炭素原子数1〜20のアルキレン鎖、又は炭素原子数1から20のアルキレン鎖が−O−、−COO−、−OCO−で結合された鎖を表す。)
    Figure 0004717282
    (式中、L4は水素原子又はメチル基を表し、nは0又は1の整数を表し、6員環D、E、Fはそれぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又はヘテロ原子として一つ又は二つの窒素、酸素、硫黄を有する複素環を表し、これらの6員環D、E、Fはそれぞれ置換基を有していてもよく、Y3、Y4はそれぞれ独立に単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Y5は単結合、−O−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−COO−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子1〜20の炭化水素基を表す。)
  4. 一般式(II)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物が、下記一般式(III)及び、一般式(IV)で表される化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の光学異方体の製造方法。
    Figure 0004717282
    Figure 0004717282
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