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JP3983597B2 - 光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏波モード分散を抑制するため、ねじれを付与された光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シングルモード光ファイバなどの光ファイバの偏波モード分散(PMD)を低減するため、光ファイバを製造する際、該光ファイバにねじれを付与する方法が知られている。
光ファイバにねじれを付与する方法としては、例えば、光ファイバ母材から溶融紡糸された光ファイバ裸線を冷却後、被覆を施して光ファイバ素線とした後、ローラなどを用いて光ファイバ素線を、横方向の移動が周期的に反転するように転動させる方法が知られている(例えば、特表平10−507438号公報、特許3224235号公報を参照)。
【0003】
従来、光ファイバにねじれを付与するための製造装置および製造方法について、図1を参照しながら説明する。
同図において、符号1は光ファイバ母材である。この光ファイバ母材1は、紡糸炉10内で加熱され、線引されて光ファイバ裸線2となる。この線引きされた光ファイバ裸線2は、冷却筒11に送られて冷却された後、第1の被覆装置12により一次被覆用樹脂を塗布されたのち、第1の架橋筒13内にて前記一次被覆用樹脂を硬化させて一次被覆を設けられる。さらに、第2の被覆装置14により二次被覆用樹脂を塗布されたのち、第2の架橋筒15内にて前記二次被覆用樹脂を硬化させて二次被覆を設けられ、光ファイバ素線3となる。
【0004】
この光ファイバ素線3は、ねじり装置16によりねじれを付与される。このねじり装置16は、一般にローラや車輪等を有しており、このローラ等により光ファイバ素線3を押圧しながら、前記ローラ等の回転方向を周期的に反転させるなどして、光ファイバ素線3に周期的に長手方向に対して右回りまたは左回りのトルクを加える装置である。
【0005】
このようにして光ファイバ素線3に加えられたトルクは、冷却筒11で冷却される前の光ファイバ裸線2にまで遡って伝搬し、該光ファイバ裸線2はまだ軟らかい状態でねじれが付与される。このようにしてねじれが付与された光ファイバ裸線2は、ねじれたまま冷却され、次いで被覆を施されて光ファイバ素線3となる。この光ファイバ素線3はターンプーリ17を介して、引き取り機18により引き取られ、ダンサー19によりスクリーニングされたのち、巻取機20により巻き取られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の製造方法では、光ファイバ素線3にねじれを付与する際、該光ファイバ素線3が大きく振動(線ぶれ)することがある。この場合、製造中の光ファイバ素線3の外径を検査するため、非接触式の外径測定器を用いて該光ファイバ素線3の外径を測定する際、その測定値が不正確になるおそれがあり、生産管理上、問題となっている。また、光ファイバ素線3の振動があまりに大きくなると、第1の被覆装置12や第2の被覆装置14で塗布される樹脂の被覆厚にも悪影響を与え、被覆厚が不均一になったり、被覆が偏心(偏肉)したりするおそれがある。
【0007】
従って、本発明の課題は、光ファイバの製造工程において、光ファイバ素線にねじれを付与しても、光ファイバ素線の外径の測定を正確に行うことができ、かつ、被覆を均一に設けることができる光ファイバの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討した結果、この光ファイバ素線の振動は、光ファイバ素線にねじれを付与する転動に伴って発生するものであり、転動の振動数が製造装置に張り回されている光ファイバ素線の固有振動数と一致するか極めて近い値となった時に共振現象が起こり、上述の問題が発生しているということを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、前記課題を解決するための本発明の光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融紡糸して得られる走行中の光ファイバ裸線に第1の被覆装置により一次被覆用樹脂を塗布して一次被覆を設けたのち、第2の被覆装置により二次被覆用樹脂を塗布して二次被覆を設けることにより光ファイバ素線とし、この光ファイバ素線をねじり装置により周期的に転動させてねじれを付与する光ファイバの製造方法であって、前記光ファイバ素線の固有振動数を算出したのち、前記ねじり装置の振動数または前記ねじり装置と前記第2の被覆装置との間隔を変更することによって、前記ねじれを付与する転動の振動数と、光ファイバ素線の固有振動数との間に、転動に伴って光ファイバ素線が共振しないだけの差を生じさせた状態で製造することを特徴とするものである。
【0010】
上述の光ファイバの製造方法において、前記光ファイバ素線の固有振動数は、前記ねじり装置と前記第2の被覆装置との間隔をL[m]、光ファイバ素線に働く張力をT[N]、光ファイバ素線の線密度をρ[kg/m]、光ファイバ素線の紡糸線速をV [m/s]とし、V =√(T/ρ)、V =V −V 、V =V +V とおくとき、n倍振動の固有振動数(ただしn=1,2,3…)を、
ν o,n =(n/2L)V
ν 1,n =(n/2L)V
ν 2,n =(n/2L)V
として算出し、
これらν o,n 、ν 1,n およびν 2,n のいずれもが、前記ねじれを付与する転動の振動数との間に、転動に伴って光ファイバ素線が共振しないだけの差を生じさせた状態で製造することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
例えば図1に示す装置を用いて光ファイバを製造する際、光ファイバ素線3は、製造装置中の各所で長手方向に垂直な方向の移動を抑止されているので、当該位置とねじり装置16の位置の両端を固定端とする弦となって振動することがある。このような固定端となる位置のうち、光ファイバ素線3の線ぶれの原因となる箇所は、ねじり装置16の直上で光ファイバ素線3の横ゆれ振動が抑止されている箇所であり、図1に示す装置の場合、第2の被覆装置14の位置である。
【0012】
このため、ねじり装置16と第2の被覆装置14との間に張られている光ファイバ素線3の固有振動数が、ねじり装置16の転動の振動数に一致するか、極めて近接するかすると、光ファイバ素線3がねじり装置16の転動に共振することがある。すると、光ファイバ素線3の振動の振幅は極めて大きくなり、外径測定の誤差の増大や被覆不良などが発生するおそれがある。
【0013】
従って、前記ねじれを付与する転動の振動数と、光ファイバ素線3の固有振動数との間に、転動に伴って光ファイバ素線が共振しないだけの差を生じさせれば、共振現象を効果的に防止することができるので、光ファイバ素線の外径の測定を正確に行うことができ、かつ、被覆を均一に設けることができるようになる。
【0014】
次に、光ファイバ素線3の固有振動数を求める方法を説明する。
まず、光ファイバ素線3の移動速度(紡糸線速)の影響がない振動モードについて考察すると、この振動は、両端を固定端とする長さL[m]の弦の振動と考えることができる。この長さLとしては、例えば、ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔とすることができる。この場合、この振動モードの固有振動数ν0,nは下記式(1)により表される。
【0015】
【数1】
Figure 0003983597
【0016】
ここで、V0はこの振動モードにおける伝搬速度であり、これは、下記式(2)により求められる。また、n=1,2,3,…である。
【0017】
【数2】
Figure 0003983597
【0018】
式(2)中、Tは光ファイバ素線3に働く張力[N]であり、ρは光ファイバ素線3の線密度[kg/m]である。
【0019】
式(1)と式(2)から、固有振動数ν0,nは下記式(3)により求めることができる。
【0020】
【数3】
Figure 0003983597
【0021】
次に、光ファイバ素線3の移動速度(紡糸線速)の影響を有する振動モードについて考察する。ねじり装置16から発せられた振動のうち、線引き方向に対して反対方向に進行するものは、第2の被覆装置14において反射し、再びねじり装置16の方向に伝搬する。
従って、光ファイバ素線3の紡糸線速をVf[m/s]とすると、ねじり装置16から第2の被覆装置14に至る方向に伝搬する振動の伝搬速度V1は、V1=V0−Vfで表され、また、第2の被覆装置14からねじり装置16に至る方向に伝搬する振動の伝搬速度V2は、V2=V0+Vfで表される。
【0022】
これらの振動の固有振動数ν1,nおよびν2,nは、それぞれ、下記式(4)および式(5)により表現される。
【0023】
【数4】
Figure 0003983597
【0024】
【数5】
Figure 0003983597
【0025】
従って、本実施の形態においては、上述のようにして求められた3種類の振動モードに対応する固有振動数ν0,n、ν1,nおよびν2,nを、これらのn倍振動を含めて考慮し、これらのいずれに対しても、ねじり装置16の振動数と、光ファイバ素線が共振しないだけの差を生じさせる。
ねじり装置16の振動数と光ファイバ素線3の固有振動数の差としては、0.2Hz以上とすることが好ましい。
【0026】
ねじり装置16が発生する振動数と光ファイバ素線3の固有振動数を一致させないための方法としては、例えば、ねじり装置16の振動数を可能な範囲で変更してずらす方法が可能である。
ここで、ねじり装置16の振動数について、ねじり装置16の具体的な構成例を参照しながら説明する。
【0027】
図2に、ねじり装置16の第1例の概略構成を示す。同図に示す装置は、鉛直方向に線引きされている光ファイバ素線3を側方から押圧する押圧ローラ101と、この押圧ローラ101の上流側に位置する上流ローラ102、および、下流側に位置する下流ローラ103とを有している。
【0028】
押圧ローラ101の円周面は、光ファイバ素線3の経路を、鉛直方向に垂直かつ押圧ローラ101の軸方向に垂直な方向に、所定の変位にて撓ませるようになっている。また、押圧ローラ101は、ベアリング104、104に支持されたシャフト105を軸として回転可能なヨーク106に取り付けられており、これにより、押圧ローラ101は、シャフト105を軸として揺動するようになっている。
【0029】
また、押圧ローラ101を揺動させる動力として、モータ107が設けられており、このモータ107の動力は、クランク108および接続ロッド109を介してヨーク106に伝達され、これにより、押圧ローラ101は、クランク108の回転に同期して揺動するようになっている。
【0030】
上流ローラ102および下流ローラ103は、製造装置の壁面110に固定されており、かつその位置は、上流ローラ102の上流および下流ローラ103の下流で、光ファイバ素線3の経路が鉛直になるような位置とされており、これにより、光ファイバ素線3が押圧ローラ101により押圧されても円滑に線引きされるように、光ファイバ素線3の経路を規制している。
このようなねじり装置16においては、その転動の振動数は、クランク108の回転数に等しい。
【0031】
図3は、ねじり装置16の第2例を示す斜視図である。同図に示す装置は、一対の第1のローラ201aと第2のローラ201bとを備えている。これらのローラ201a、201bは、光ファイバ素線3が該ローラ201a、201bの周曲面に接するように走行し、かつこれらの間で押圧されるように構成されている。
【0032】
第1のローラ201aは、第1の要素キャリッジ202aの上に取り付けられており、そしてこの第1の要素キャリッジ202aは、第1の取り付け台203aの上に配置されている。
同様に、第2のローラ201bは、第2の要素キャリッジ202bの上に取り付けられており、そしてこの第2の要素キャリッジ202bは、第2の取り付け台203bの上に配置されている。
【0033】
第1および第2の要素キャリッジ202a、202bは、それぞれ第1および第2の取り付け台203a、203bの上をスライド可能とされている。
第1の要素キャリッジ202aは、バネ204により光ファイバ素線3を押圧する方向に付勢されており、かつ、止め具205により、光ファイバ素線3を押圧する変位量が所定の量を超えないように、移動を制限されている。
また、第2の要素キャリッジ202bは、マイクロ調整装置206により、第2の取り付け台203b上における位置を調整可能である。これらの機構を用いることにより、この例のねじり装置では、第1および第2のローラ201a、201bの間隔を調整することができるようになっている。
【0034】
さらに、このねじり装置には、線形アクチュエータ等の揺動駆動装置210が取り付けられている。これにより、光ファイバ素線3が線引される方向に対して垂直かつ第1の取り付け台203aが光ファイバ素線3を押圧する方向に対して垂直に、第1の取り付け台203aを揺動することができるようになっている。
第1の取り付け台203aは、第1のピンジョイント接続ロッド211aを介してピボットリンク212の一端に接続されており、また、第2の取り付け台203bは、第2のピンジョイント接続ロッド211bを介して前記ピボットリンク212の他端に接続されている。このピボットリンク212は、ねじり装置の壁面213に固定されたピボット214を中心にして回動可能となっている。
これにより、第2の取り付け台203bは、第1の取り付け台203aの揺揺方向に対して反対の方向に揺動されられるようになっている。
【0035】
このねじり装置においては、上述のように、第1の取り付け台203aと第2の取り付け台203bとが振動すると、それらの上に配設されている第1および第2のローラ201a、201bも振動するようになっており、これにより、光ファイバ素線3にねじれを付与することができる。
このようなねじり装置においては、その振動数は、揺動駆動装置210の振動数に等しい。
【0036】
図4は、ねじり装置16の第3例を示す斜視図である。同図に示す装置は、一対の第1のローラ301aと第2のローラ301bとを備えている。第1のローラ301aは、第1のヨーク302aに取り付けられており、第2のローラ301bは、第2のヨーク302bに取り付けられている。これらのローラ301a、301bは、それぞれ、第1または第2のヨーク302a、302bに対して相対的に決められる所定の回転軸を中心に回転可能であり、これにより、該ローラ301a、301bの間を走行する光ファイバ素線3を押圧することができるようになっている。
【0037】
これらのヨーク302a、302bは、紙面に垂直な揺動軸303を中心として揺動できるように、ねじり装置の壁面(図示せず)上に取り付けられている。また、第1のヨーク302aは、第1のピンジョイント接続ロッド304aを介してリンク305の一端に接続されており、また、第2のヨーク302bは、第2のピンジョイント接続ロッド304を介して前記リンク305の他端に接続されている。このリンク305は、駆動装置306により、上下に往復運動しうるように構成されている。
【0038】
駆動装置306により、リンク305が往復運動すると、第1および第2のヨーク302a、302bは、揺動軸303を中心として揺動し、これにより、第1および第2のローラ301a、301bを介して光ファイバ素線3にねじれを付与することができるようになっている。
このようなねじり装置においては、その振動数は、駆動装置306の振動数に等しい。
【0039】
本発明に用いられるねじり装置16の構成は上述の例のものに制限されるものではないが、一般に、ねじり装置16には、往復運動、揺動運動等、周期的な動力を与える動力源が設けられている。このため、この運動の振動数を、ねじり装置16が発生する振動の振動数とみなすことができる。
従って、この運動の振動数を適宜変更することにより、光ファイバ素線3の共振を抑制することができる。
【0040】
しかし、一般に、ねじり装置16の振動数を変更する際には、以下の2点に注意する必要がある。
(1) 光ファイバのPMDを低減させるためには、光ファイバを所定の長さごとに一回ねじる必要がある。また、一般に、紡糸線速が速いほど、所要のねじり装置16の振動数(下限値)は大きくなる。ねじり装置16の振動数が上記下限値より小さいと、光ファイバのPMDを十分に低減させることができない。
(2) ねじり装置16の振動数を過度に大きくすると、被覆装置12、14において光ファイバと被覆用の樹脂との界面が乱されやすくなり、被覆不良が発生しやすくなる。
【0041】
従って、ねじり装置16の振動数を変更しにくい事情がある場合には、光ファイバ素線3の紡糸線速や紡糸張力、ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔などの条件を変更し、光ファイバ素線3の固有振動数を変化させることにより、両振動数に十分な差が付くようにしてもよい。
例えば、ねじり装置16と第2の被覆装置14のいずれか一方もしくは両方を、光ファイバ素線3の走行方向に沿って移動可能とし、ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔を変更できるようにした装置を用いることにより、第2の被覆装置14とねじり装置16との間で走行する光ファイバ素線3の固有振動数を容易に変更することができる。
もちろん、ねじり装置16の振動数と、光ファイバ素線3の固有振動数の両方を適切に変更することによっても、共振現象を抑制することができる。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す装置を用い、第1の被覆装置12および第2の被覆装置14にウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を供給しながら、光ファイバ母材1を紡糸炉10中加熱して、外径125ミクロンの光ファイバ裸線2を線引きし、さらにこの外周上に一次被覆および二次被覆を順次形成して被覆径250μmの光ファイバ裸線2を製造した。この光ファイバ裸線2の線密度ρは約0.007kg/mである。また、紡糸線速Vfは300m/分とし、紡糸張力Tは100gfとした。
【0043】
光ファイバ裸線2を線引きする際、ねじり装置16として、図2に示す装置を用いて所定の条件でねじれを付与した。この条件では、PMDを十分に低減させるためには、120回/分以上の振動とする必要がある。ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔は3mであるので、ねじり装置16と第2の被覆装置14の間に張られている光ファイバ素線3の固有振動数は、基底振動(n=1)に対して求めると、それぞれν0,1=2.0Hz、ν1,1=1.1Hz、ν2,1=2.8Hzであり、毎分に換算するとそれぞれ118、68、168回/分である。同様に、2倍振動(n=2)の振動数を算出すると、それぞれ237、137、337回/分である。
【0044】
ねじり装置16の振動数を130回/分、150回/分、または190回/分等とした場合、目立った振動は発生しなかった。これに対して、ねじり装置16の振動数を120、140、170回/分の場合、光ファイバ素線3と共振し、光ファイバ素線3の振動が極めて大きくなった。
以上の結果を基に、また、ねじり装置16の振動数を不必要に高くすると被覆不良が発生しやすくなることを踏まえ、ねじり装置16の振動数を130回/分として光ファイバを製造したところ、品質の優れた光ファイバを問題なく製造することができた。
【0045】
(実施例2)
紡糸線速Vfを600m/分とし、紡糸張力Tを150gfとし、ねじり装置16として、図3に示す装置を用いることを除いて、実施例1と同様の紡糸条件を用いて、光ファイバを製造した。
この条件では、PMDを十分に低減させるためには、250回/分以上の振動とする必要がある。ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔を3mとすると、ねじり装置16と第2の被覆装置14の間に張られている光ファイバ素線3の固有振動数は、基底振動(n=1)に対して、それぞれν0,1=2.4Hz、ν1,1=0.7Hz、ν2,1=4.1Hzであり、毎分に換算するとそれぞれ145、45、245回/分である。同様に、2倍振動(n=2)の振動数を算出すると、それぞれ290、90、490回/分である。
【0046】
ねじり装置16の振動数を250回/分と決めてあるため、この条件では、ねじり装置16の振動が光ファイバと共振してしまう。そこで、ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔を3.2mとすると、ねじり装置16と第2の被覆装置14の間に張られている光ファイバ素線3の固有振動数は、基底振動に対して、それぞれν0,1=2.3Hz、ν1,1=0.7Hz、ν2,1=3.8Hzであり、毎分に換算するとそれぞれ136、42、230回/分である。同様に、2倍振動の振動数を算出すると、それぞれ272、84、459回/分である。これにより、ねじり装置16の振動数を250回/分としても、光ファイバ素線との共振を防止でき、線引き中の光ファイバ素線3が線ぶれすることなく、品質の優れた光ファイバを問題なく製造することができた。
【0047】
(実施例3)
紡糸線速Vfを1000m/分とし、紡糸張力Tを190gfとし、ねじり装置16として、図4に示す装置を用いること以外は、実施例1と同様の紡糸条件を用いて、光ファイバを製造した。
この条件では、PMDを十分に低減させるためには、350回/分以上の振動とする必要がある。ねじり装置16と第2の被覆装置14との間隔を3mとすると、ねじり装置16と第2の被覆装置14の間に張られている光ファイバ素線3の固有振動数は、基底振動(n=1)に対して、それぞれν0,1=2.7Hz、ν1,1=0.0Hz、ν2,1=5.5Hzである。
【0048】
ねじり装置16から第2の被覆装置14へ向かう振動の振動数ν1,0がほぼ0であるので、この振動の速度と紡糸線速とがほとんど拮抗し、波動として伝搬していかない。このため、第2の被覆装置14からねじり装置16に向かう反射波もなくなる。従って、この条件で観測される振動は、ν0,1の振動(固有振動数は2.7Hz、すなわち163回/分)およびそのn倍振動(ν0,n)のみであるので、ねじり装置16の振動数を350回/分として製造したところ、光ファイバ素線3との共振を防止でき、線引き中の光ファイバ素線3が線ぶれすることなく、品質の優れた光ファイバを問題なく製造することができた。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバの製造方法によれば、光ファイバ素線にねじれを付与しても、ねじり装置の振動に光ファイバ素線が共振することを効果的に防止することができる。従って、光ファイバ素線が線ぶれしにくくなり、その外径を正確に測定することができ、生産管理を容易にする。また、光ファイバ素線の被覆厚が不均一になることを抑制し、歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ファイバの製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】 本発明の光ファイバの製造方法において用いられるねじり装置の第1例の概略構成を示す斜視図である。
【図3】 本発明の光ファイバの製造方法において用いられるねじり装置の第2例の概略構成を示す斜視図である。
【図4】 本発明の光ファイバの製造方法において用いられるねじり装置の第3例の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ母材、2…光ファイバ裸線、3…光ファイバ素線、10…紡糸炉、12…第1の被覆装置、14…第2の被覆装置、16…ねじり装置。

Claims (2)

  1. 光ファイバ母材を溶融紡糸して得られる走行中の光ファイバ裸線に第1の被覆装置により一次被覆用樹脂を塗布して一次被覆を設けたのち、第2の被覆装置により二次被覆用樹脂を塗布して二次被覆を設けることにより光ファイバ素線とし、この光ファイバ素線をねじり装置により周期的に転動させてねじれを付与する光ファイバの製造方法であって、
    前記光ファイバ素線の固有振動数を算出したのち、前記ねじり装置の振動数または前記ねじり装置と前記第2の被覆装置との間隔を変更することによって、前記ねじれを付与する転動の振動数と、光ファイバ素線の固有振動数との間に、転動に伴って光ファイバ素線が共振しないだけの差を生じさせた状態で製造することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  2. 前記光ファイバ素線の固有振動数は、前記ねじり装置と前記第2の被覆装置との間隔をL[m]、光ファイバ素線に働く張力をT[N]、光ファイバ素線の線密度をρ[kg/m]、光ファイバ素線の紡糸線速をV [m/s]とし、V =√(T/ρ)、V =V −V 、V =V +V とおくとき、n倍振動の固有振動数(ただしn=1,2,3…)を、
    ν o,n =(n/2L)V
    ν 1,n =(n/2L)V
    ν 2,n =(n/2L)V
    として算出し、
    これらν o,n 、ν 1,n およびν 2,n のいずれもが、前記ねじれを付与する転動の振動数との間に、転動に伴って光ファイバ素線が共振しないだけの差を生じさせた状態で製造することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
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