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JP3991219B2 - インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法および記録物 - Google Patents
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インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法および記録物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法および記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出し、文字や図形を被記録体表面に記録する方法である。インクジェット記録方法としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、被記録体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。
【0003】
インクジェット記録におけるインクの供給形態としては、複数の異なる色を有するインクを組み合わせてなるインクセットを使用する方法が知られている。このようなインクセットによれば、インクセットから吐出される各インクの種類と吐出量とが、画像情報に基づいた信号に応じて随時選択されることにより、高画質なカラー画像を容易に得ることができるという利点がある。
【0004】
このようなインクセットが具備するインクとしては、一般には各種の水溶性染料を水性媒体に溶解させたものが汎用されているが、最近では、顔料を分散剤によって水性媒体に分散させたインクも提供されている。これは、顔料を用いたインク(以下、顔料インクともいう)が、水溶性染料を用いたインクに比べて耐候性(耐水性や耐光性など)に優れるという特徴を有することにある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来より知られている顔料インクを具備するインクセットでは、顔料インクを使用することによって高い耐候性は得られるものの、色再現範囲が十分でなく、画像が的確に再現されにくいという問題がある。近年、インクジェット記録方法は、写真に代わり得る記録方法として注目されていることから、顔料インクを具備するインクセットであって、さらなる高画質化で達成できるものが求められているのが実状である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するもので、顔料インクを使用することによって高い耐候性を得ることができるだけでなく、印刷濃度が高い画像を得ることができ、色再現範囲が広いインクジェット記録用インクセットおよびインクジェット記録方法の提供をその目的としている。
また、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字を行うことのできるインクジェット記録方法の提供をその目的としている。
また、本発明は、高い印刷濃度かつ広い色再現範囲で画像が形成された記録物、および、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字物(記録物)の提供をその目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、今般、インクセットが具備する黒色インクとカラーインクのそれぞれに対して、特定の顔料を使用することによって、色再現範囲が広いインクジェット記録を達成できることを見出し、本発明に至ったものである。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
1. 「分散剤なしに水性媒体に分散可能なカーボンブラック」と水とを少なくとも含有する黒色インクと、「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」と水とを少なくとも含有する1種以上のカラーインクとを備えてなるインクジェット記録用インクセット。
2. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、アセチレングリコール系界面活性剤と、アセチレンアルコール系界面活性剤と、グリコールエーテル類と、1,2−アルキレングリコールと、式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性有機溶媒を含有することを特徴とする前記1.に記載のインクジェット記録用インクセット。
式(1) RO−(EP)n−M
R:アルキル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基およびアリール基からなる群から選択される炭素数4〜10の基
O:酸素原子
EP:エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基の繰り返し
n:分子中の平均値であり、1〜30
M:水素原子、スルホン酸塩、燐酸塩または硼酸塩
3. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、水溶性有機溶媒として、アセチレングリコール系界面活性剤とアセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、グリコールエーテル類と1,2−アルキレングリコールと式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有することを特徴とする前記1.に記載のインクジェット記録用インクセット。
式(1) RO−(EP)n−M
R:アルキル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基およびアリール基からなる群から選択される炭素数4〜10の基
O:酸素原子
EP:エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基の繰り返し
n:分子中の平均値であり、1〜30
M:水素原子、スルホン酸塩、燐酸塩または硼酸塩
4. 前記水溶性有機溶媒が、インクの全量に対して0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする前記2.または前記3.に記載のインクジェット記録用インクセット。
5. 前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤が、インクの全量に対して5重量%以下であることを特徴とする前記2.〜前記4.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
6. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以下含有するとともに、前記グリコールエーテル類と、前記1,2−アルキレングリコールと、前記式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を1重量%以上含有することを特徴とする前記2.〜前記5.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
7. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するとともに、前記界面活性剤と前記グリコールエーテル類との重量比が1:0〜1:10であることを特徴とする前記2.〜前記6.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
8. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するとともに、前記界面活性剤と前記1,2−アルキレングリコールとの重量比が1:0〜1:10であることを特徴とする前記2.〜前記7.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
9. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するとともに、前記界面活性剤と前記式(1)で示される化合物との比が1:0〜1:10であることを特徴とする前記2.〜前記8.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
10. 前記グリコールエーテル類が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、プロピレングリコールモノブチルエーテルと、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルとからなる群から選択された1種または2種以上の混合物であることを特徴とする前記2.〜前記9.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
11. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記プロピレングリコールモノブチルエーテルと前記ジプロピレングリコールモノブチルエーテルとからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を10重量%以下含有することを特徴とする前記10.に記載のインクジェット記録用インクセット。
12. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルと前記トリエチレングリコールモノブチルエーテルとからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を20重量%以下含有することを特徴とする前記10.または前記11.に記載のインクジェット記録用インクセット。
13. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記1,2−アルキレングリコールとして、炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールをインクの全量に対して10重量%以下含有することを特徴とする前記2.〜前記12.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
14. 前記1,2−アルキレングリコールが、1,2−ペンタンジオールおよび/または1,2−ヘキサンジオールであることを特徴とする前記2.〜前記13.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
15. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記式(1)で示される化合物を10重量%以下含有することを特徴とする前記2.〜前記14.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
16. 前記カラー顔料を包含するポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とすることを特徴とする前記1.〜前記15.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
17. 前記カラー顔料を包含するポリマーが、少なくとも重合性基を有する分散剤と、前記分散剤に対して共重合可能な共重合性モノマーとの共重合体であることを特徴とする前記1.〜前記16.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
18. 前記共重合体が、重合性基を有する分散剤によって前記カラー顔料を水に分散させた後、前記分散剤と、前記分散剤に対して共重合可能なモノマーとを、重合開始剤を用いて水中で乳化重合させることにより得られたものであることを特徴とする前記17.に記載のインクジェット記録用インクセット。
19. 前記カラー顔料を包含するポリマーが、架橋構造を有するポリマーであることを特徴とする前記1.〜前記15.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
20. 前記架橋構造を有するポリマーが、架橋反応性基と親水性基とを有する重合体および架橋剤を少なくとも含む有機相を水相と接触させ転相乳化させることによってカラー顔料を該重合体で包含し、次いで、該重合体と架橋剤との架橋反応を行うことによって得られたものであることを特徴とする前記19.に記載のインクジェット記録用インクセット。
21. 前記架橋反応性基と親水性基とを有する重合体が、ビニル系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系重合体、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマーおよびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた1種以上を主成分とすることを特徴とする前記20.に記載のインクジェット記録用インクセット。
22. 前記架橋構造を有するポリマーが、重合性基を有する分散剤と架橋性モノマーとの重合体であることを特徴とする前記19.に記載のインクジェット記録用インクセット。
23. 前記架橋構造を有するポリマーが、重合性基を有する分散剤によってカラー顔料を水に分散させた後に、少なくとも架橋性モノマーと重合開始剤とを添加して重合させることにより得られたものであることを特徴とする前記19.または前記22.に記載のインクジェット記録用インクセット。
24. 前記黒色インクが、ポリマー微粒子を含有することを特徴とする前記1.〜前記23.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
【0009】
25. 前記1.〜前記24.のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
26. 前記25.に記載のインクジェット記録方法において、前記インクジェット記録用インクセットが、カラーインクとして、マゼンタインクと、シアンインクと、イエローインクとを具備するとともに、前記マゼンタインクと前記シアンインクと前記イエローインクとが組み合わされてなるコンポジットブラックと、前記インクジェット記録用インクセットが具備する黒色インクとを併用することによって、テキスト印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
27.前記26.に記載のインクジェット記録方法において、前記黒色インクにポリマー微粒子を含有させるとともに、インクジェット用記録媒体に対してテキスト印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
28. 前記コンポジットブラックと前記黒色インクとを、重量比20:80〜65:35で使用することを特徴とする前記26.または前記27.に記載のインクジェット記録方法。
【0010】
29. 前記25.〜前記28.のいずれかに記載のインクジェット記録方法によって印刷されたことを特徴とする記録物。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用インクセット(単に、“インクセット”ともいう)は、「分散剤なしに水性媒体(水、もしくは、水を主成分とする溶媒)に分散可能なカーボンブラック」と水とを少なくとも含有する黒色インクと、「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」と水とを少なくとも含有する1種以上のカラーインクとを備えてなる。
【0012】
黒色インクに含有される「分散剤なしに水性媒体に分散可能なカーボンブラック」とは“親水性基を表面に有するカーボンブラック粒子”を意味する。そして、カーボンブラック粒子の表面を親水性基付与剤によって処理することにより「分散剤なしに水性媒体に分散可能なカーボンブラック」を好適に作製できる。よって、「親水性基を表面に有するカーボンブラック粒子」を構成するカーボンブラックとしては、親水性基付与剤に溶解しないカーボンブラックであれば特に限定されない。このような観点から、黒色インクに含有されるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック,ランブブラック,アセチレンブラック,チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.l.ピグメントブラック7)類を挙げることができる。より具体的には、三菱化学製のNo.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B等が、コロンビア社製のRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700等が、キャボット社製のRegal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4等が使用できる。
【0013】
カーボンブラック粒子の表面を処理するための親水性基付与剤としては、先ず、硫黄を含有する処理剤を好適に挙げることができる。
硫黄を含有する処理剤としては、硫酸,発煙硫酸,三酸化硫黄,クロロ硫酸,フルオロ硫酸,アミド硫酸,スルホン化ピリジン塩,スルファミン酸が挙げられ、中でも、三酸化硫黄,スルホン化ピリジン塩またはスルファミン酸等のスルホン化剤が好適である。これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。(なお、“スルホン化剤”とは、スルホン酸(−SOOH)および/またはスルフィン酸(−RSOH:RはC〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその変性体)を付与するための処理剤である。)
【0014】
また、前記三酸化硫黄を、三酸化硫黄と錯体を形成することのできる溶剤(N,N−ジメチルホルムアミドジオキサン,ピリジン,トリエチルアミン,トリメチルアミンのような塩基性溶剤、ニトロメタン、アセトニトリル等)と後述する溶剤1種以上との混合溶媒により、錯体化させることも有用である。
特に、三酸化硫黄自身では反応性が大きすぎて、カーボンブラック自身を分解または変質させたり、あるいは強酸による反応制御が困難な場合には、上記のように三酸化硫黄と第三アミンとの錯体を用いてカーボンブラック粒子の表面処理(この場合はスルホン化)を行うことが好ましい。
【0015】
また、硫酸や発煙硫酸,クロロ硫酸、フルオロ硫酸などを単体で使用すると容易にカーボンブラック粒子が溶解し、一分子ごとに反応する様な強酸に対しては、反応を抑制する必要があり、後述する溶剤の種類や使用する量に関して留意する必要がある。
【0016】
反応に用いられる溶剤は、硫黄を含む処理剤とは反応せず、また、上記した顔料が不溶性または難溶性となるようなものから選択され、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、キノリン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、液体二酸化硫黄、二硫化炭素、トリクロロフルオロメタンなどが挙げられる。
【0017】
硫黄を含む処理剤による処理は、カーボンブラック粒子を溶剤に分散させ、この分散液に硫黄を含む処理剤を添加し、60〜200℃に加熱、3〜10時間攪拌することにより行う。具体的には、予めハイスピードミキサー等で高速せん断分散し、あるいはビーズミルやジェットミル等で衝撃分散し、スラリー状(分散液)とする方法が好ましい。その後、穏やかな攪拌に移した後、硫黄を含む処理剤を添加し、親水性基をカーボンブラック粒子の表面に導入させる。この際、親水性基の導入量の決定には、反応条件と硫黄を含む処理剤の種類が大きく左右する。この後に加熱処理した後、カーボンブラック粒子のスラリーから、溶剤および残留する硫黄を含む処理剤は取り除かれる。除去は、水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行う。
【0018】
さらに、前掲したスルホン酸(−SOOH)および/またはスルフィン酸(−RSOH:RはC〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその変性体)をアルカリ化合物で処理することによって、親水性基として、スルホン酸アニオン基(−SO )及び/又はスルフィン酸アニオン基(−RSO:RはC〜C12のアルキル基又はフェニル基およびその変性体)を表面に有するカーボンブラック粒子としても良い。
【0019】
アルカリ化合物としては、カチオンがアルカリ金属イオンまたは化学式(RN)(R,R,RおよびRは同一でも異なってもよく、水素原子,アルキル基,ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示す)で示される1価のイオンとなるアルカリ化合物が選択される。好ましくは、カチオンが、リチウムイオン(Li),カリウムイオン(K),ナトリウムイオン(Na),アンモニウムイオン(NH )、および、トリエタノールアミンカチオン等のアルカノールアミンカチオンとなるアルカリ化合物である。
【0020】
アルカリ化合物のアニオンとしては、水酸化アニオンが好適に用いられ、その具体例としては、アンモニア,アルカノールアミン(モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,N,N−ブチルエタノールアミン,トリエタノールアミン,プロパノールアミン,アミノメチルプロパノール,2−アミノイソプロパノール等)、一価のアルカリ金属の水酸化物(LiOH,NaOH,KOH)が例示できる。
【0021】
上記したアルカリ化合物の添加量としては、カーボンブラック粒子のスルホン酸基および/またはスルフィン酸基の中和当量以上が好ましい。さらに、アンモニア,アルカノールアミン等の揮発性のある添加剤については、概ね、中和当量の1.5倍以上の添加が好ましい。
なお、操作は、アルカリ化合物中に上記スルホン酸基および/またはスルフィン酸基が表面に化学結合されたカーボンブラック粒子を入れ、ペイントシェーカー等で振とうすることにより行うことができる。
【0022】
また、カーボンブラック粒子の表面を処理するための親水性基付与剤としては、カルボキシル化剤も好適に挙げることができる。ここで“カルボキシル化剤”とは、カルボン酸基(−COH)を付与するための処理剤である。
カルボキシル化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等の次亜ハロゲン酸塩の様な酸化剤を使い、顔料粒子表面の一部結合(C=C、C−C)を切断し、酸化処理することによる。また前記の化学処理のほかにプラズマ処理等のような物理的酸化によりカルボン酸基を付与する場合もあるが、本発明では、水性媒体中での分散安定を確保可能な処理方法であれば、各種手法の選択が可能である。さらに、例示のカルボン酸導入処理においては、量的には少ないがキノン基等が導入される場合もある。
【0023】
カルボキシル化剤による処理の一例を挙げると、カーボンブラック粒子を水性媒体中に予めハイスピードミキサー等で高速せん断分散し、あるいはビーズミルやジェットミル等で衝撃分散し、スラリー状(分散液)とする。次に、有効ハロゲン濃度で10〜30%の次亜塩素酸ナトリウムのような次亜ハロゲン酸塩とを適量の水中で混合させ、60〜80℃に加熱、5〜10時間程度、好ましくは10時間以上攪拌することにより行う。この作業は、かなりの発熱を伴うため、安全上の注意が必要である。この後に表面処理されたカーボンブラック粒子のスラリーから、溶剤および残留するカルボキシル化剤を加熱処理することで取り除く。また、必要によっては水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行うことで所望の水性分散体とすることが可能である。
【0024】
ここでも、カルボン酸基(−COH)を有するカーボンブラック粒子をアルカリ化合物で処理することによって、親水性基として、カルボン酸アニオン基(−CO )を表面に有する顔料粒子としても良い。
アルカリ化合物の種類およびアルカリ化合物による処理方法は前述と同様である。
【0025】
次に、親水性基のカーボンブラック粒子表面への好ましい導入量とその導入状態を調べるための手法について述べる。
まず、親水化をスルホン化剤によって行う場合、カーボンブラック粒子表面に導入された親水性基の導入量は、カーボンブラック粒子1g当たり10×10−6当量以上であることが好ましい。親水性基の導入量が10×10−6当量未満になると、カーボンブラック粒子の凝集物が発生し易くなり、マイクロカプセル化顔料の平均粒径が増大する傾向となる。
【0026】
カーボンブラック粒子に対する親水性基の導入量の上限は、特に限定されないが、150×10−6当量より大きくなると、親水性基導入量の増加に伴うカーボンブラック粒子の平均粒径に変化が認められなくなることがあるので、コストの点から、150×10−6当量以下であることが好ましい。
【0027】
次に、カルボキシル化剤によるカーボンブラック粒子表面への親水性基の導入量について述べる。本発明で用いる表面処理手法では、カルボン酸基(−COH)及び/又はカルボン酸アニオン基(−CO )がカーボンブラック粒子表面に導入されると考えられるが、直接的にこの導入量を求めることが出来ないため、本発明においてはその導入量を表面活性水素含有量で測定するものとする。詳細な測定方法は、後述する。
【0028】
こうした方法によって得られるカーボンブラック粒子への活性水素含有量は、1.0mmol/g以上であることが好ましく、1.5mmol/g以上であることがより好ましい。1.0mmol/g以下では水分散性が悪くなり、マイクロカプセル化工程中で合一(粒子が自然に集まり、大粒径化すること)が起り易くなる。
【0029】
以上、親水性基を表面に有するカーボンブラック粒子について詳述したが、上記方法により、親水性基を表面に有するカーボンブラック粒子の平均粒径を容易に150nm以下とすることができる。特に、顔料や親水性基付与剤の種類、親水性基の導入量などを選択することにより平均粒径を20nm〜80nmとするのがより好ましく、これにより、分散安定性および吐出安定性(記録ヘッドから一定方向に安定して吐出される特性)が優れるとともに、画像の印刷濃度を高くできる黒色インクをより確実に作製できる。(本明細書において平均粒径の記述は、レーザ光散乱法の計測値によって述べている。)
【0030】
また、「分散剤なしに水性媒体に分散可能なカーボンブラック」の黒色インクに対する含有量は、0.1〜25重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0031】
次に、カラーインクについて説明する。本発明のインクセットは、1種以上のカラーインクを備えており、カラーインクの種類としては、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、グリーンインク等を挙げることができる。ここで、カラーインクは、いずれも「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」と水とを含有している。
【0032】
イエローインクに使用されるカラー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、151、153、154、
【0033】
マゼンタインクに使用されるカラー顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48(Ca)、48(Mn)、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57(Ca)、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、
【0034】
シアンインクに使用されるカラー顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、15:34、16、17:1、22、56、60、63、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 60、
【0035】
グリーンインクに使用されるカラー顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、
等を挙げることができる。
【0036】
これらのカラー顔料の粒径は、吐出安定性の観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.15μmである。
【0037】
以下、「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」について具体的に説明する。なお、本発明における包含とは、カラー顔料を重合体(ポリマー)で完全に包み込んだ状態をいう。
【0038】
前述のカラー顔料を包含するポリマーは、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン等のビニルポリマー(ビニル系重合体)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマーおよび含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とするのが好ましい。これにより、ポリマーが安定にカラー顔料を包含できることから、カラー顔料を前掲のポリマーで包含した着色剤をカラーインクの着色剤として用いることによって、安定な吐出が得られ、良好な画像を得ることができる。
【0039】
本発明の特に好ましい態様においては、上記のポリマーは、二重結合としてアクリロイル基,メタクリロイル基,ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類が、重合開始剤を使用する公知の重合法に従って、重合されたものを好適に用いることができる。
【0040】
ここで、モノマーとしては、例えば、スチレン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルメタクリレート、(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、含フッ素,含塩素または含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等の1官能の他に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。
【0041】
重合開始剤は、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムの他に、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができるが、水溶性の重合開始剤が好ましく用いられる。
このようなポリマーによってカラー顔料を包含する方法としては、先ず、転相乳化法、酸折法、強制乳化法を挙げることができる。
【0042】
転相乳化法の具体例としては、一部の酸基が塩基で中和された自己水分散性樹脂(自己水分散性ポリマー)を有機溶媒に溶解し、この溶液にカラー顔料を分散または溶解して得た着色樹脂溶液と、水を必須成分とする水性媒体とを混合することによって転相乳化を行う方法が知られている。転相乳化時において上記樹脂でカラー顔料を包含した着色剤の粒子が発生するので、引き続き、有機溶媒を水性媒体より除去することによって、カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤を好適に得ることができる。ここで、自己水分散性樹脂としては、酸価が20〜200KOHg/gのスチレン,置換スチレン,(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと(メタ)アクリル酸との共重合体を好適に例示することができる。
【0043】
また、転相乳化法の別の具体例としては、ポリエステルをカラー顔料と共にケトン系溶剤に添加し、このケトン系溶液に中和剤を加えることによってポリエステル中のカルボキシル基をイオン化した後に、水を加えて転相乳化する方法が知られており、この混合溶液からケトン系溶剤を留去することによって、ポリエステルでカラー顔料を包含した着色剤を好適に得ることができる。
【0044】
酸折法としては、“塩基性化合物を用いて中和されたカルボキシル基を有する樹脂(ポリマー)”によって微分散されたカラー顔料の水性分散体に、酸性化合物を添加することによって、水性分散体のpHを中性または酸性にし、これによって樹脂を疎水性化させて、樹脂をカラー顔料に強く固着させる方法を挙げることができる。次いで、水性分散体に塩基性化合物を添加し、樹脂のカルボキシル基を再び中和させることによって、樹脂(ポリマー)でカラー顔料を包含した着色剤の水性分散体を好適に得ることができる。
【0045】
また、強制乳化法としては、有機溶媒中に、共重合成分としてシリコンマクロマーを有するビニル系ポリマーと、カラー顔料とを添加し、得られた溶液または分散液に、中和剤を加えてビニル系ポリマー中の塩生成基をイオン化した後に、水を加えて乳化する方法が知られており、次いで、有機溶媒を留去することにより、ポリマーでカラー顔料を包含した着色剤を好適に得ることができる。
【0046】
また、カラー顔料を包含するポリマーとしては、特に、後に詳述する重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。カラー顔料を重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体で包含した着色剤は、重合性基を有する分散剤によってカラー顔料を水に分散させた後に、共重合性モノマーと重合開始剤とを添加して重合させることにより好適に得られる。
【0047】
インクジェット記録用インクとしては粒径が比較的そろっていた方が目詰まりや吐出の安定性の観点から好ましいので、カラー顔料をポリマーで包含した着色剤は、重合性基を有する分散剤でカラー顔料を分散させた後、その分散剤と共重合可能なモノマー(共重合性モノマー)と重合開始剤とを用いて水中で乳化重合を行なうことによって、得るのが好ましい。
【0048】
乳化重合は、通常の方法を用いることができ、重合は、乳化剤の存在下で水溶性の重合開始剤の熱分解で発生するフリーラジカルで進められる。
【0049】
前記共重合性モノマーは、構造中に不飽和基を有する化合物であることが好ましく、不飽和基は、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、アクリルアミド基、ビニールアミド基、ビニリデン基、ビニル基からなる群から選ばれたものであることが特に好ましい。
【0050】
より具体的には、共重合性モノマーとしては、重合性基を有する分散剤と共重合性の高いものであれば何れのものも用いることができ、一般的に用いられるラジカル重合性モノマーが使用できる。ラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合性基である、ビニル基、アリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基、プロペニル基、アクリルアミド基、ビニルアミド基、ビニリデン基、ビニレン基等の不飽和炭化水素基を分子中に1個以上含むモノマーを挙げることができる。ラジカル重合性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、プロムスチレン、P−クロルメチルスチレン、ジヒニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フエノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロベンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、カプロラクトンアクリレート、グリシジルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、プトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フエノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、カプロラクトンメタクリレート、グリシジルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、アクリル酸アミノエチルアミド、アクリル酸アミノプロピルアミド、アクリル酸メチルアミノエチルアミド、アクリル酸メチルアミノプロピルアミド、アクリル酸エチルアミノエチルアミド、アクリル酸エチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸アミノエチルアミド、メタクリル酸アミノプロピルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチルアミド、メタクリル酸メチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸エチルアミノエチルアミド、メタクリル酸エチルアミノプロピルアミド、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルポン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらのエステル頬;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
【0051】
特に共重合性モノマーとしては、親水性基を有するモノマーが好ましく用いられ、カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。スルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、4−スチレンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩、スルホエチルアクリレート及びその塩、スルホエチルメタクリレート及びその塩、スルホアルキルアクリレート及びその塩、スルホアルキルメタクリレート及びその塩、スルホプロピルアクリレート及びその塩、スルホプロピルメタクリレート及びその塩、スルホアリールアクリレート及びその塩、スルホアリールメタクリレート及びその塩、ブチルアクリルアミドスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。また、水酸基を有するモノマーとして、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール400アクリレート、ポリエチレングリコール400メタクリレート、N−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸アミノプロピルアミド、メタクリル酸アミノプロピルアミド、アクリル酸アミノエチルアミド、メタクリル酸アミノエチルアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。ホスホン基を有するモノマーとしては、ホスホエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0052】
重合性基を有する分散剤として好ましい式(I)で表される重合性界面活性剤(後に詳述する)は、電子供与性の高いモノマーであることから、用いる共重合性モノマーとしては電子受容性の高いモノマーが好ましい。電子受容性の高いモノマーの具体例としては、アクリロニトリル、フマロニトリル、フマール酸ジブチルエステルのようなフマール酸ジエステル類;マレイン酸ジブチルエステルのようなマレイン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミドのようなマレイミド類;ならびにシアン化ビニリデンなど;が挙げられる。これらは単独または二種以上の混合物として使用されても良い。
【0053】
共重合性モノマーの添加量は、重合性基を有する分散剤に対して、2〜15モル比程度の範囲が好ましく、より好ましくは3〜12モル比程度の範囲が好ましい。2モル比以上の添加量とすることで形成されるカブセル顔料粒子は水性媒体中において分散安定性に優れたものとなる。また、15モル比以下の添加量とすることで、モノマーは重合性基を有する分散剤の吸着層に十分溶解することができ、水に不溶性のポリマーの発生や、相対的にイオン性反発基の量が減少するのを抑制することができるので、インクの分散安定性を高めることができる。
【0054】
重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体を得るための重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが好適に挙げられる。
【0055】
また、乳化重合では連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、t−ドデシルメルカプタンの他にn−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、あるいはジペンテン、インデン、1、4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどが挙げられる。
【0056】
カラー顔料の水への分散方法は超音波分散、ビーズミル、サンドミル、ロールミルなどによる方法などの分散方法を用いることができる。特に、顔料を用いる場合においては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル等の分散機を使用することは、着色剤の微粒子化が可能なことから好ましい。
【0057】
また、前記カラー顔料を包含するポリマーとしては、架橋構造を有するポリマーを挙げることができる。
【0058】
本発明に用いられる架橋構造を有する重合体でカラー顔料を包含した着色剤は、カラー顔料を架橋反応性基と親水性基とを有する重合体(ポリマー)を用いて転相乳化することによって包含し、さらに架橋剤と架橋反応を行うことで得ることができる。
【0059】
詳しくは、有機溶媒中に、カラー顔料、架橋反応性基と親水性基とを有する重合体、および架橋剤を添加して得た溶液または分散液に中和剤と必要によっては界面活性剤(界面活性剤は後に詳述する重合性界面活性剤を使用するのが好ましい。)を加えて得た混合液を有機溶媒相とし、有機溶媒相または水のいずれか一方を攪拌しながら、該有機溶媒相に水を投入するか、または、水中に該有機溶媒相を投入することによって転相乳化させて、カラー顔料を架橋反応性基と親水性基とを有する重合体と架橋剤とからなる有機相で内包させる。この際に、架橋反応を引き起こす触媒は、有機溶媒相と水相の何れに添加してもよいが、かかる触媒が油溶性のものであれば有機溶媒相に、水溶性であれば水相に添加するのが好ましい。次いで、架橋反応が起こる所定の温度で所定時間、架橋反応を行った後に、蒸留法や減圧蒸留法等の一般的な方法で有機溶媒を留去して、架橋構造を有する重合体でカラー顔料を包含した着色剤が水相中に分散した分散液を得ることができる。
【0060】
上記の架橋反応性基と親水性基とを有する重合体としては、架橋反応性基と親水性基とを少なくとも有するものであればよく、例えば、ビニル系重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系重合体、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの混合物であって、架橋反応性基と親水性基とを有するものを挙げることができる。
【0061】
前記架橋反応性基と親水性基とを有する重合体の親水性基としては、スルホン基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、およびこれらの塩ならびに第4級アンモニウム塩が挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。
前記架橋反応性基と親水性基とを有する重合体の架橋反応性基としては、グリシジル基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、不飽和炭化水素基が挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。
【0062】
前記架橋反応性基と親水性基とを有する重合体の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基が挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。
本発明の好ましい態様では、架橋反応性基と親水性基とを有する重合体としては、ビニル系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が用いられる。このような重合体は、スルホン基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、およびこれらの塩ならびに第4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる1個以上の親水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、グリシジル基、イソシアネート基等の架橋反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、これらのモノマーと共重合し得るモノマーとを、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物やアゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等の重合開始剤の存在下で脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、非プロトン系溶剤などの溶媒中で溶液重合を行うことによって得ることができる。溶液重合の際には、さらに重合連鎖移動剤を添加しても良く、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;及びアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが50重量部以上のものが好ましい)、さらに9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;キサンテン、2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
重合は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃で1〜10時間行われ、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶剤の種類などにより適宜選定される。また、重合は、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。重合後、反応液から再沈澱、溶剤留去など、公知の方法により共重合体を単離することができる。また、得られた共重合体は、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法などにより、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。このようにして得られる重合体の重量平均分子量は、色材を包含する容易さと架橋の容易さの観点から、1000〜50000が好ましく、さらに好ましくは1000〜30000であることが好ましい。
【0064】
親水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、カルボキシル基を有するアクリルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。スルホン酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、スルホエチルメタクリレート、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。ホスホン基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、ホスホエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0065】
架橋反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ブロックイソシアネート基を有する重合性モノマー、エポキシ基を有するモノマー、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有するモノマー等が挙げられる。ブロックイソシアネート基を有する重合性モノマーとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を有する重合性モノマーに公知のブロック剤を付加反応させることによって容易に得ることができる。また、水酸基およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体に、イソシアネート基とブロックイソシアネート基とを有する化合物を付加反応することによっても製造することが可能である。エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーなどが挙げられる。1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有するモノマーとしては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチル(メタ)アクリレート,1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0066】
これらのモノマーと共重合し得るモノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;ステアリン酸とグリシジルメタクリレートの付加反応物等の油脂肪酸とオキシラン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの付加反応物;炭素原子数3以上のアルキル基を含むオキシラン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジルやイタコン酸エチル等のイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチルやマレイン酸ジエチル等のマレイン酸エステル;フマール酸ジメチルやフマール酸ジエチル等のフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、アクリル酸アミノエチルアミド、アクリル酸アミノプロピルアミド、アクリル酸メチルアミノエチルアミド、アクリル酸メチルアミノプロピルアミド、アクリル酸エチルアミノエチルアミド、アクリル酸エチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸アミノエチルアミド、メタクリル酸アミノプロピルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチルアミド、メタクリル酸メチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸エチルアミノエチルアミド、メタクリル酸エチルアミノプロピルアミド、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール等が挙げられる。
【0067】
架橋剤は、架橋反応性基と親水性基とを有する重合体の架橋反応性基と反応して架橋するものであって、前記重合体の架橋反応性基と反応する官能基を分子構造中に少なくとも2個以上有するものが用いられる。前記重合体の架橋反応性基がグリシジル基である場合は、アミノ基,カルボキシル基,水酸基,N−メチロール基,N−メチロールエーテル基から選ばれる1種以上の官能基を2個以上有する化合物を用いるのが好ましく、例えば、エチレンアミン族、N−アミノエチルピペラジン、メタキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ポリアミド等の脂肪族アミン類;パラメンタンジアミン、メソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の環状脂肪族アミン類;メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド等の芳香族アミン類;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ナジック酸無水物等の酸無水物類等が挙げられる。架橋反応性基と親水性基とを有する重合体の架橋反応性基がイソシアネート基である場合は、カルボキシル基,水酸基,アミノ基,メルカプト基から選ばれる1種以上の官能基を2個以上有する化合物を用いるのが好ましく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、アルキレンオキサイド共重合ポリオール、エポキシ樹脂変成ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、縮合系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、含リンポリオール、ハロゲン含有ポリオール等のポリオール類;ポリエーテルポリアミン、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、アルキレンオキサイド共重合ポリアミン、エポキシ変成ポリアミン、縮合系ポリエステルポリアミン、ポリカーボネートポリアミン、アクリルポリアミン等のポリアミン類;ポリエーテルポリチオール、ポリテトラメチレンエーテルジチオール、アルキレンオキサイド共重合ポリチオール、エポキシ樹脂変成ポリチオール、ラクトン系ポリエステルポリチオール、縮合系ポリエステルポリチオール、ポリカーボネートジチオール、アクリルポリチオール、ポリブタジエンポリチオール、含リンポリチオール、ハロゲン含有ポリチオール等のポリチオール類等が挙げられる。前記重合体の架橋反応性基が水酸基である場合は、グリシジル基,イソシアネート基から選ばれる1種以上の官能基を2個以上有する化合物を用いるのが好ましい。前記重合体の架橋反応性基が不飽和炭化水素基である場合は、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を用いるのが好ましく、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモピスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロビレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0068】
前記架橋剤は、架橋反応性基と親水性基を有する重合体に対して重量比で0.01〜0.1の範囲で有機溶媒相に添加するのが好ましい。0.01未満の場合は長期での粘度の上昇、ノズルの目詰まり、吐出安定性不良等が起こるため好ましくない。また、0.1を超すと耐擦性の低下,粒子径の増大等が起こるため好ましくない。
【0069】
架橋反応に用いる触媒は、反応を引き起こすか、あるいは促進する効果のある化合物であれば良い。前記重合体の架橋反応性基が不飽和炭化水素基であって、架橋剤にビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を用いる場合には、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物やアゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等の油溶性のラジカル重合開始剤と過硫酸カリウム、過硫酸アシモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の水溶性のラジカル重合開始剤の何れも使用することができる。なお、触媒の添加量は、適宜決定される。
【0070】
有機溶媒相に用いる有機溶媒は、特に限定されるものでなく、少なくとも前記の架橋反応性基と親水性基とを有する重合体を溶解するものであればよい。有機溶媒の留去の容易さを考慮すると低沸点の有機溶剤が好ましい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤、酢酸エチル等のエステル系有機溶剤、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系有機溶剤、ベンゼン等の芳香族炭化水素系有機溶剤などが挙げられる。
【0071】
架橋反応性基と親水性基とを有する重合体は、カラー顔料に対して重量比で0.3〜1.5の範囲で適宜決定されるが、着色剤の平均粒子径が400nm以下、好ましくは200nm以下で、製造後の水相中の架橋反応性基と親水性基とを有する重合体に由来する水溶性物質が1000ppm以下となるように調整し決定するのが好ましい。
【0072】
有機溶媒中に、“架橋反応性基と親水性基とを有する重合体”と“架橋剤”と“カラー顔料”とを少なくとも含有する混合液は、カラー顔料をビーズミル、ロールミル、サンドミル等の種々の分散機を用いて、前記の架橋反応性基と親水性基とを有する重合体を溶解した有機溶媒相中に分散し、ついで、架橋剤、場合によっては油溶性の触媒を溶解するという方法、あるいは、水に、カラー顔料を分散化した状態のもの(例えば、顔料のウェットケーキ)を各種分散機で架橋反応性基と親水性基とを有する重合体中にフラッシングして分散し、ついで、架橋剤と場合によっては油溶性の触媒を溶解ないしは分散するという方法などが挙げられる。カラー顔料の分散性を上げる目的で、一般的に分散剤や界面活性剤が使用されるが、本発明においては、反応性界面活性剤が好ましく用いられる。なお、ここで言う反応性界面活性剤とは、後記する重合性界面活性剤と同様のものである。該反応性界面活性剤は、架橋反応性基と親水性基とを有する重合体もしくは架橋剤と反応するものが使用される。これによって、一般的に用いられる分散剤や界面活性剤を使用して製造した着色剤を用いたインク組成物で起こりやすい普通紙上での滲みの発生等の印刷画像の低下やプリンタヘッドのノズル周囲への濡れによる吐出不良等が改善される。
なお、得られる着色剤を微細化するには、転相乳化の際に超音波を照射しながら行うのが好ましい。
【0073】
また、架橋構造を有する重合体の別の好ましい態様は、少なくとも重合性基を有する分散剤と架橋性モノマーとの共重合体によって構成された架橋構造を有する重合体である。
上記の架橋構造を有する重合体は、重合性基を有する分散剤と、架橋性モノマーと、これらの架橋性モノマーと共重合し得るモノマーとを共重合して得られる重合体をも当然含むものである。
【0074】
少なくとも重合性基を有する分散剤と架橋性モノマーとの共重合体によって構成された架橋構造を有する重合体でカラー顔料を包含した着色剤は、カラー顔料の微小かつ安定で完全な状態のカプセル化粒子を指す。
重合性基を有する分散剤と架橋性モノマーとの共重合体によって構成された架橋構造を有する重合体でカラー顔料を包含した着色剤は、各種の水溶性有機溶媒と水とからなる水性媒体中において分散安定性に優れ、良好な分散安定性を有する。その理由は明確ではないが、カプセル化することによって、分散剤が色材粒子表面に単にファンデルワールス力によって吸着している場合に比べて、色材により強固に包含ポリマーが固着していること、および、その包含ポリマーが架橋構造を有することから耐溶剤性が向上することに起因するものと考えられる。なお、上記の理論はあくまでも本発明の内容を説明するために用いたものであって、当該理論のみによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0075】
本発明において用いられる架橋性モノマーとしては、重合性基を有する分散剤と共重合性の高いものであれば何のものも用いることができる。
本発明において用いられる架橋性モノマーは、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を用いるのが好ましく、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモピスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロビレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0076】
前記架橋性モノマーの添加量は、得られるポリマーの重量に対して0.1〜20重量%の範囲とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。0.1重量%未満の場合は長期での粘度の上昇、ノズルの目詰まり、吐出安定性不良等が起こるなど好ましくない。また、20重量%を超すと目的の着色剤が得られにくいため好ましくない。
【0077】
本発明において、重合性基を有する分散剤および架橋性モノマーと共重合し得るモノマーとしては、一般的に用いられるラジカル重合性モノマーが使用できる。ラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合性基である、ビニル基、アリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基等の不飽和炭化水素基を分子中に1個以上含むモノマーを挙げることができる。ラジカル重合性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、プロムスチレン、P−クロルメチルスチレン、ジヒニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フエノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、カプロラクトンアクリレート、グリシジルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、プトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フエノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イリボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、カブロラクトンメタクリレート、グリシジルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルポン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらのエステル頬;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、N一置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
【0078】
重合性基を有する分散剤として好ましい式(I)で表される重合性界面活性剤(後に詳述する)は電子供与性の高いモノマーであることから、用いるモノマーとしては電子受容性の高いモノマーが好ましい。電子受容性の高いモノマーの具体例としては、アクリロニトリル、フマロニトリル、フマール酸ジブチルエステルのようなフマール酸ジエステル;マレイン酸ジブチルエステルのようなマレイン酸ジエステル;N−フェニルマレイミドのようなマレイミド類;ならびにシアン化ビニリデンなど;が挙げられる。これらは単独または二種以上の混合物として使用されても良い。
【0079】
モノマーの添加量は、重合性基を有する分散剤に対して、2〜15モル比程度の範囲が好ましく、より好ましくは3〜12モル比程度の範囲が好ましい。2モル比以上の添加量とすることで形成される着色剤(カブセル色材粒子)は水性媒体中において分散安定性に優れたものとなる。また、15モル比以下の添加量とすることで、モノマーは重合性基を有する分散剤の吸着層に十分溶解することができ、水に不溶性のポリマーの発生や、相対的にイオン性反発基の量が減少するのを抑制することができるので、インク組成物の分散安定性を高めることができる。
【0080】
重合性基を有する分散剤と、架橋性モノマーと、これらのモノマーと共重合し得るモノマーから構成される架橋構造を有する重合体でカラー顔料を包含した着色剤の製造は下記のようにして製造することができる。
すなわちカラー顔料と重合性基を有する分散剤とを水性有機溶媒および/または水に加えて、超音波,ボールミル,あるいはサンドグラインダー等の分散機により湿式粉砕したのちに、超音波発生器,撹拌器,滴下装置,還流冷却器,温度計,温度調整器を備えた反応容器中に移し、架橋性モノマーとその他の共重合性モノマーと重合開始剤とを必要に応じて水および/又は水性有機溶媒を加えて、40〜100℃で10〜60時間重合反応させることによって架橋構造を有する重合体でカラー顔料を包含した着色剤を得ることができる。重合開始剤の添加量は、重合性基を有する分散剤と架橋性モノマーと共重合し得るモノマーとの総量に対して、0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%が好ましい。より好ましくは、特開平10−316909号公報に記載されている製造法に準じて製造することができる。
【0081】
架橋構造を有する重合体を得るための重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などの水溶性の重合開始剤が好適に用いられる。
前記した“重合性基を有する分散剤”は、その分子構造中に重合性基と疎水性基と親水性基とを少なくとも含むものであれば良く、特に、分子構造中に重合性基と疎水性基と親水性基とを少なくとも含んだ重合性界面活性剤(界面活性剤に重合性基を導入したもの)、および、分子構造中に重合性基と疎水性基と親水性基とを少なくとも含んだ高分子分散剤(高分子分散剤に重合性基を導入したもの)を好適に挙げることができる。
【0082】
重合性基としては、ラジカル重合、重付加、重縮合等の重合反応を起こす官能基であれば良い。ラジカル重合性基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニリデン基、ビニレン基等の不飽和炭化水素基が挙げられる。重付加反応性基としては、イソシアネート基またはイソチオシアネート基とこれらの基と反応するものとして水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基等を挙げることができる。重縮合反応性基としては、縮合反応が可能な官能基であって、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基を挙げることができる。
【0083】
重合性基は、ラジカル重合性基である不飽和炭化水素基が好ましく、かかる不飽和炭化水素基は、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択するのが好ましい。
また親水性基は、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基、スルホン酸基およびこれらの塩、ならびに第4級アンモニウム塩からなる群から選択するのが好ましい。
【0084】
重合性基を導入した高分子分散剤は、以下の合成高分子に重合性基を導入したものが使用できる。合成高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール類:ポリビニルビロリドン類:ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂およびそれらの塩:スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂およびそれらの塩:スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体およびそれらの塩:および酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。
【0085】
本発明において、好ましい態様としては、重合性基を有する分散剤として重合性界面活性剤が使用される。
本発明で用いられる重合性界面活性剤は、親水性基がスルホン基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、およびこれらの塩ならびに第4級アンモニウム塩からなる群から選択されるものであることが好ましく、また、重合性基が不飽和炭化水素基であって、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるものであることが好ましい。かかる重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公昭49−46291号公報,特公平1−24142号公報,特開昭62−104802号公報に記載されているようなアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載されているようなアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報,特開昭55−11525号公報に記載されているようなアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報,特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のイタコン酸誘導体、特公昭51−4157号公報,特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のマレイン酸誘導体;特開昭62−104802号公報に記載されているようなノニオン性のアリル誘導体、特開昭62−100502号公報に記載されているようなノニオン性のプロペニル誘導体、特開昭56−28208号公報に記載されているようなノニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭59−12681号公報に記載されているようなノニオン性のイタコン酸誘導体、特開昭59−74102号公報に記載されているようなノニオン性のマレイン酸誘導体;特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル誘導体等が挙げられる。
【0086】
重合性界面活性剤は、カラー顔料粒子の表面に吸着し、その後の重合条件下でも分散安定性(すなわち、粒子同士の凝集を防止することができる)に優れているため、カプセル化粒子を形成することが容易である点で有利である。
【0087】
本発明において、重合性界面活性剤としては、下記の式(I)または式(II)で表される化合物が好ましい。式(I)または式(II)で表される重合性界面活性剤を使用することによって、「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」を、微小かつ安定なカプセル化粒子として水性媒体において安定に分散させることができる。式(I)または式(II)で表される重合性界面活性剤は、カラー顔料の表面への吸着性、ならびに、その後の重合条件下での分散安定性(すなわち、粒子同士の凝集を防止することができる)に特に優れていることから、カプセル化粒子を形成することが容易である点で有利である。また、式(I)で表される重合性界面活性剤は、特開平5−320276号公報、特開平10−316909号公報において開示されたものである。
【0088】
【化1】
Figure 0003991219
[上式中、Rは水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、nは2〜20の数を表し、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す]
【0089】
式(I)におけるRとnとの値を適宜調整することによって、色材表面の親水性または疎水性の度合いに対応させることが可能である。式(I)で表される好ましい重合性界面活性剤は、具体的には下記の式(III)〜(VI)によって表される化合物が挙げられる。これらは単独または二種以上の混合物として使用されてよい。
【0090】
【化2】
Figure 0003991219
【0091】
式(I)の重合性界面活性剤は市販品を用いることもできる。例えば、旭電化株式会社のアデカリアソープSEシリーズのSE−10NはRがC19でnが10でMがNHであって、式(III)に該当する。SE−20Nは、SE−10Nのnが20のものである。
【0092】
また、式(II)で表される重合性界面活性剤は以下の通りである。
【0093】
【化3】
Figure 0003991219
[上式中、R’は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、nは2〜20の数を表し、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。]
R’は、C19−またはC17−であることが好ましい。
【0094】
重合性界面活性剤は、上記の市販品以外にも使用することができる。例えば、第一工業薬品株式会社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−05、HS−10、HS−20、HS−1025)、アクアロンRNシリーズ(RN−10、RN−20、RN−30、RN−50,RN−2025)、ニューフロンティアシリーズ(ニューフロンティアN−177E,S−510)、旭電化株式会社のアデカリアソープNEシリーズ(NE−10,NE−20,NE−30,NE−40,NE−50)などが挙げられる。
【0095】
重合性界面活性剤の添加量は、カラー顔料に対して、10〜150重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは20〜100重量%程度の範囲である。10重量%以上の添加量とすることでインク組成物の分散安定性を向上することが可能となる。
また、150重量%以下の添加量とすることによって、カラー顔料との未吸着な重合性界面活性剤の発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外にポリマーが発生することを防止できるので、その結果、インク組成物の吐出安定性を良好にすることができる。
【0096】
また、顔料をポリマーで包含した着色剤としては、特公平7−94634号公報あるいは特開平8−59715号公報に掲載されているような顔料微粒子をカプセル化したもの、WO9951690に記載されているような表面にポリマー基が結合した顔料、米国特許第6103380号に記載されているようなハロゲン基を持ったポリマー基を結合した変性粒子などを挙げることもできる。
【0097】
以上に詳述した「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」のカラーインク中の含有量は、0.5重量%〜30重量%が好ましく、1.0重量%〜12重量%が特に好ましい。0.5重量%以下の添加量では、印刷濃度を確保しにくくなり、また30重量%以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、吐出安定性が悪くなる傾向となる。
【0098】
本発明のインクセットにおいて、黒色インクとカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインク(以下、単に“インク”ともいう)は、アセチレングリコール系界面活性剤と、アセチレンアルコール系界面活性剤と、グリコールエーテル類と、1,2−アルキレングリコール、式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性有機溶媒を含有するのが好ましく、これにより、普通紙やインクジェット記録用紙を用いたときのにじみや印字むらが低減して印字品質が良好になる。
【0099】
式(1) RO−(EP)n−M
ここでRは、アルキル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基およびアリール基からなる群から選択される炭素数4〜10の基、例えば、炭素数4〜10のアリール基としてはフェニル基またはナフチル基である。炭素数が3以下では浸透性が得にくく、炭素数が10を越えると分子量が大きくなり、系の粘度が増大しやすいという課題がある。
【0100】
また、特に電歪素子を用いてインクを吐出させるヘッドを用い、ノズル前面を撥水処理した場合、10を越えると吐出が不安定になりやすい。従って、Rは炭素数4〜10であるが、好ましくは4〜8である。Oは酸素原子、EPはエチレンオキシおよび/またはプロピレンオキシの繰り返しである。nは分子中の平均値であり1〜30である。nが30を越えると特にエチレンオキシの繰り返しの場合泡の発生が多くなり、インクジェット記録用インクとして使用しづらくなり、また、30を越えると平均分子量が大きくなるので添加量の割には印字品質向上効果が低く、逆に粘度が上昇するなどの弊害がでるので30以下が好ましい。Mは水素原子、スルホン酸塩、燐酸塩または硼酸塩である。水素原子以外はナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミンやトリプロパノールアミンなどのアルカノールアミン塩などとして用いることができる。
【0101】
特に、本発明のインクセットにおいて、インクは、水溶性有機溶媒として、アセチレングリコール系界面活性剤とアセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、グリコールエーテル類と1,2−アルキレングリコールと式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有するのが好ましく、これにより、特に印字品質を良好にできる。
【0102】
ここで、前記水溶性有機溶媒は、インクの全量に対して0.5重量%〜30重量%となるように構成されるのが好ましい。0.5重量%未満では浸透性向上の効果が不十分となりやすく、印字品質が向上しにくくなる。一方、30重量%を超えると粘度上昇により使いづらくなり、それ以上添加しても印字品質向上の効果が認められない傾向にある。より好ましくは1重量%〜15重量%である。
また、インクは、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択された1種以上の界面活性剤を5重量%以下含有するのが好ましい。5重量%を超えると印字品質の効果が頭打ちであり、添加しても粘度が上昇して使いづらくなり、ヘッドの先端にインクが付着しやすくなり、印字が乱れやすくなる。より好ましい添加量は0.1重量%〜2重量%である。
【0103】
また、インクは、アセチレングリコール系界面活性剤とアセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以下含有するとともに、グリコールエーテル類と、1,2−アルキレングリコールと、前記式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を1重量%以上含有する形態を好ましく挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤は、少量で浸透性を向上させる効果がある。よって、この理由により、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択された1種以上の界面活性剤がインク中に0.5重量%以下含有される場合にあっては、グリコールエーテル類と、1,2−アルキレングリコールと、前記式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物がインク中に1重量%以上含有されるのが、印字品質向上の観点から好ましい。
【0104】
また、インクが、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するときは、印字品質の観点から、該界面活性剤とグリコールエーテル類との重量比が1:0〜1:10となるようにするのが好ましい。グリコールエーテル類の添加量が、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍を超えると印字品質の向上効果が頭打ちとなる傾向となるだけでなく、逆にインクの粘度上昇の弊害が生じやすくなる。
【0105】
また、インクが、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するときは、印字品質の観点から、該界面活性剤と1,2−アルキレングリコールとの重量比が1:0〜1:10となるようにするのが好ましい。1,2−アルキレングリコールの添加量が、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍を超えると印字品質の向上効果が頭打ちとなる傾向となるだけでなく、逆にインクの粘度上昇の弊害が生じやすくなる。
【0106】
また、インクが、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するときは、印字品質の観点から、該界面活性剤と式(1)で示される化合物との重量比が1:0〜1:10となるようにするのが好ましい。式(1)で示される化合物の添加量が、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍を超えると印字品質の向上効果が頭打ちとなる傾向となるだけでなく、逆にインクの粘度上昇の弊害が生じやすくなる。
【0107】
特に、本発明のインクセットにおいて、黒色インクおよび1種以上のカラーインクの全てが、それぞれ、アセチレングリコール系界面活性剤とアセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有するとともに、黒色インクの全量に対する前記界面活性剤の含有率、および、カラーインクの全量に対する前記界面活性剤の各含有率のうち、最小値に対する最大値の比が、1.00〜1.80であるのが好ましく、これにより、得られる画像に滲みがほとんど発生しない。
【0108】
アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択された1種以上の界面活性剤としては、印字品質向上の観点から、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、並びに、該2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール、該2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよび該3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのそれぞれに対してエチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基が平均で30個以下付加したもの、からなる群から選択された1種以上の化合物を好適に挙げることができる。
【0109】
ここで、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよび3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのそれぞれに対してエチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基が付加したもの関して、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基の付加量が平均で30個を超えると、インクの泡立ちが激しくなり、印字品質の向上の効果が低くなる傾向となるので、30個以下が好ましい。
【0110】
グリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノ(炭素数1〜8のアルキル)エーテル、トリエチレングリコールモノ(炭素数1〜8のアルキル)エーテル、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜6のアルキル)エーテル、ジプロピレングリコールモノ(炭素数1〜6のアルキル)エーテルを挙げることができ、これらを1種または2種以上の混合物として使用できる。
【0111】
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGmME)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGmEE)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(DEGmPE)、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル(DEGmPeE)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(DEGmHE)、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテル(DEGmHpE)、ジエチレングリコールモノオクチルチルエーテル(DEGmOE)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGmME)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGmEE)、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル(TEGmPE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル(TEGmPeE)、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル(TEGmHE)、トリエチレングリコールモノヘプチルエーテル(TEGmHpE)、トリエチレングリコールモノオクチルチルエーテル(TRGmOE)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGmME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGmEE)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGmPE)、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(PGmBE)、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノペンチルエーテル(PGmPeE)、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル(PGmHE)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGmME)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(DPGmEE)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(DPGmPE)、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル(DPGmPeE)、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル(DPGmHE)などを挙げることができるが、アルキル基が大きくなると疎水性が高くなるのでメチル、エチル、プロピル、ブチルが普通紙での印字品質を良好にするためには好適である。
【0112】
特に、グリコールエーテル類は、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましい。
ここで(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルとは、プロピレングリコールモノブチルエーテル(PGmBE)および/またはジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)のことをいう。また、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)および/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)のことをいう。
【0113】
インクジェット記録用インクとしてふさわしい浸透性とするために、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルは、インク中に10%重量以下含有されるのが好ましい。10重量%を超えると印字品質向上の効果が頭打となるだけでなく、逆に粘度上昇の弊害が生じやすくなる傾向となる。また、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルは水溶性がさほど高くないので、インク中の添加量が10重量%を超えると、溶解助剤の添加が必要になる傾向となる。より好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
【0114】
また、インクジェット記録用インクとしてふさわしい浸透性とするために、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルは、インク中に20%重量以下含有されるのが好ましい。20重量%を超えると印字品質向上の効果が頭打となるばかりでなく、逆に粘度上昇の弊害が生じやすくなる傾向となる。より好ましくは0.5重量%〜10重量%である。
特に、本発明のインクセットにおいて、黒色インクおよび1種以上のカラーインクの全てが、それぞれ、グリコールエーテル類を含有するとともに、黒色インクの全量に対するグリコールエーテル類の含有率、および、カラーインクの全量に対するグリコールエーテル類の各含有率のうち、最小値に対する最大値の比が、1.00〜1.80であるのが好ましく、これにより、得られる画像に滲みがほとんど発生しない。
【0115】
インクジェット記録用インクとしてふさわしい浸透性とするために、炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールが、インクの全量に対して10重量%以下含有されるのが好ましい。1,2−アルキレングリコールの中で炭素数が3以下のものは浸透性の向上の効果が低い。一方、炭素数が10を超えると水溶性が低いので本発明のような水溶性インクには使用しづらく、オキシエチレン鎖を付加した構造やスルホン酸基、燐酸基などの水溶性基を導入する必要が生じる。なお、炭素数が4以上であれば、前記した水溶性基が導入された構造の1,2−アルキレングリコール誘導体で炭素数は30以下ものを好適に使用することもできる。
【0116】
1,2−アルキレングリコールとしては、1,2−ブタンジオール(1,2−BD)、1,2−ペンタンジオール(1,2−PeD)、1,2−ヘキサンジオール(1,2−HD)、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等を挙げることができる。1,2−アルキレングリコールとしてそのまま用いて効果が高いのは、1,2−ペンタンジオールおよび/または1,2−ヘキサンジオールである。
特に、本発明のインクセットにおいて、黒色インクおよび1種以上のカラーインクの全てが、それぞれ、1,2−アルキレングリコールを含有するとともに、黒色インクの全量に対する1,2−アルキレングリコールの含有率、および、カラーインクの全量に対する1,2−アルキレングリコールの各含有率のうち、最小値に対する最大値の比が、1.00〜1.80であるのが好ましく、これにより、得られる画像に滲みがほとんど発生しない。
【0117】
また、本発明のインクセットにおいて、前記式(1)で表される化合物は、インクに10重量%以下含有されるのが好ましい。10重量%を超えると印字品質向上の効果が頭打となるばかりでなく、逆に粘度上昇の弊害が生じやすくなる傾向となる。より好ましくは0.5重量%〜7重量%である。
【0118】
また、インクが、糖および/またはグリセリンをさらに含有する形態を好適に挙げることができ、特に、水溶性で保水効果のあるグリセリンと糖を併用することによって、水分の蒸発の抑制効果が高まるから、ヘッドのノズル先端部での乾燥によるインクの粘度上昇やインクの固化を防止できるため、インクの目詰まりをより確実に防止することができ(目詰まり信頼性を向上でき)、長期にわたって良好な吐出安定性を確保することができる。
【0119】
本発明に用いることができる糖としては、単糖類、少糖類、多糖類、あるいは配糖類などが挙げられる。
この場合、糖としては、単糖類、少糖類、多糖類あるいは配糖体などが挙げられ、アルデヒド型、ケトン型あるいは糖アルコール型がある。具体的にはエリトロース、トレオース、エリスルロース、エリスリトール、アラビノース、キシロース、リブロース、キシルロース、キシリトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、タロース、フラクトース、プシコース、タガトース、ソルポース、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、コージビオース、ニグロース、マルトース、イソマルトース、イソトレハロース、ソフォロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチビオース、マルチデキストリン、直鎖オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、異性化糖、ゲンチオリゴ糖、ポリデキストロース、マルチトール、フラクトオリゴ糖、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、乳化オリゴ糖、ラクチトール、ラクツロース、ラクトシュクロース、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、キチン・キトサンオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、アガロオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、パラニチット、還元水飴、カラギーナン、アルギン酸、プルラン、キサンタンガム、ジェランガム、カードランあるいはポリデキストロースなどが挙げられる。これらの糖類の中で分子量が大きいものは粘度が高くなり添加量が制限されるため、分子量の比較的小さい単糖類や二糖類が好ましい。多糖類の添加量が多くなると、粘度が高くなるので好ましくない。
よって、糖のうち80重量%以上は、炭素数12以下のアルドース、ケトースおよび/または糖アルコールであるのが好ましい。
【0120】
本発明において特に好ましく使用される糖類には、グルコース、マンノース、マルチトール、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、エリスリトール、マルトトリオース、イソマルトオリゴ糖、マンニトール、ソルビトール、フラクトース、キシリトールが挙げられる。本発明において用いられる上記の糖類の添加量は0.05%重量以上で30%重量以下が良く、より好ましくは、3重量%〜20重量%である。0.05重量%未満ではヘッドのノズル先端部でインクが乾燥して詰まる現象、いわゆる目詰まり現象を回復させる効果が小さく、また30重量%を超えるとインクの粘度が高くなるため、吐出不良等の吐出安定性に問題が生じるので好ましくない。
【0121】
また、本発明のインクセットが具備する黒色インクは、ポリマー微粒子を含有するのが好ましく、これにより得られる画像の耐擦性を向上させることができる。本発明において、「ポリマー微粒子」とは、ポリマー成分の微粒子をいい、好ましくは被膜形成能を有するポリマーからなるものをいう。
【0122】
また、後述の「水性エマルジョン」とは、連続相が水であり、分散粒子がポリマー微粒子である水性分散液をいう。この「水性エマルジョン」は、ポリマーエマルジョン又は樹脂エマルジョンと呼ばれることがある。ポリマー微粒子を構成するポリマー成分の具体例としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メタクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。また、これらのポリマーは、共重合の態様によっては制限されず、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマーなどの形態で存在するものであっても良い。
【0123】
ポリマー微粒子は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを主成分とするポリマーを含んでなるものが好ましい。
ポリマー微粒子は、上記のポリマーの中でも、成膜性を有するものが好ましい。ここで、「成膜性」とは、ポリマー微粒子を水に分散させて水性エマルジョンの形態としたとき、この水性エマルジョンの水成分を蒸発させていくと、ポリマー被膜が形成されることを意味する。このポリマー微粒子が添加されたインクは、その溶媒成分を蒸発させていくと、ポリマー被膜が同様に形成される性質を有することとなる。このポリマー被膜は、インク中の着色剤成分を強固に記録媒体表面に固着する役割を担う。これによって、耐擦過性及び耐水性に優れた画像が実現できると考えられる。
【0124】
ポリマー微粒子は、室温以下の最低成膜温度を有するものであることが好ましく、より好ましくは30℃以下、最も好ましくは10℃以下の最低成膜温度を有するものであることが好ましい。ポリマー微粒子は成膜性を有するが、膜形成が室温以下で行われるのが好ましいからである。ここで、最低成膜温度とは、ポリマー微粒子を水に分散させて得られたポリマーエマルジョンをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に透明な連続フィルムの形成される最低の温度をいう。最低成膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。ポリマー微粒子のガラス転移点は30℃以下であることがさらに好ましい。
【0125】
ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニル単量体に由来する構造と、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体によって架橋された構造を有してなるものが好ましい。このようなポリマー微粒子は、重合の際に、重合可能な二重結合を二つ以上さらに好ましくは三つ以上有する架橋性単量体類を共重合させて三次元架橋構造を構成する。
【0126】
ポリマー微粒子としては単粒子構造のものを利用することができる。一方、コア部とそれを囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有するポリマー微粒子を利用することも可能である。本明細書において「コアシェル構造」とは、「組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリマーの一部がコア粒子内にドメイン等を形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間に、更にもう一層以上、組成の異なる層を含む三層以上の多層構造を持つものであってもよい。コアシェル構造を有するポリマー微粒子は、水及び水溶性有機溶媒の減少により、ポリマー微粒子同士が合一し成膜に伴う圧力によって変形する。このような性質によって、コア部とシェル部との両内に存在する反応性の官能基が結合して、網目構造を形成すると考えられる。これにより、より強度の大きな被膜を形成することができるとの利点がえられる。このようなポリマー微粒子内に反応性の官能基を共存させ網目構造を形成する性質を本明細書に有っては「自己架橋性」と呼ぶ。
【0127】
ポリマー微粒子は、公知の乳化重合によって得ることができる。即ち、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルモノマー)を重合触媒、及び乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
【0128】
不飽和ビニル単量体としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類が挙げられる。カルボキシル基を有さない単量体には、カルボキシル基を有する不飽和ビニル単量体の利用が必須となるが、好ましいその具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。また、使用可能な乳化剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0129】
また、不飽和ビニル単量体としては、スチレン、テトラヒドロフルフリルアクリレートおよびブチルメタクリレートの他に(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3、4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他含フッ素、含塩素、含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等の1官能の他に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、8−オクタンジオールおよび1、10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等アクリル基やメタクリル基を有する化合物も挙げることができる。
【0130】
さらに、上記単量体に加えて、アクリルアミド類または水酸基含有単量体を添加することによって、さらに印字安定性を向上させることができる。アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド及びN,N’−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられ、これらを単独又は二種以上混合して使用することができる。
【0131】
乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸カリウムの他にステアルリル基、ノニル基、オクチル基などを有するアルキル基や分岐アルキル基、あるいはアルキルフェニル基などの硫酸塩である活性剤の他に燐酸塩、硼酸塩の活性剤やアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および両性界面活性剤等を用いることができる。
【0132】
また、コアシェル構造のポリマー微粒子は、公知の手法により、一般的には多段階の乳化重合等によって製造される。例えば、特開平4−76004号公報で開示されている方法によって製造することができる。重合に用いられる不飽和ビニル単量体の具体例としては、上記したものが同様に挙げられる。
【0133】
ポリマー微粒子は、そのポリマー構造中にスルホン酸基及び/又はその塩に由来するものが好ましく用いられる。かかるポリマー微粒子は、スルホン酸基及び/又はその塩に由来する構造と、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体(モノマー)によって架橋された構造を有してなるものが好ましい。スルホン酸基及び/又はその塩に由来する構造は、スルホン酸基を有するモノマーを共重合成分として用いることによって導入することが可能である。スルホン酸基を有するモノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。
【0134】
また、乳化重合の際に使用される開始剤、界面活性剤、分子量調整剤(連鎖移動剤)、さらに中和剤等も常法に準じて使用してよい。
【0135】
重合開始剤としては、過硫酸カリや過硫酸アンモニウムの他に、過流酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができるが、重合反応は水中で行なうため水溶性の方が好ましい。
重合のための連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタンの他にn−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、あるいはジペンテン、インデン、1、4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなど一般的な連鎖移動剤を用いることができる。
【0136】
また、本発明ではコアとシェルが構造が違うコアシェル型の高分子微粒子を用いた複相の例を示したが、ワンショットで作成される単相の場合でも構わない。しかし、これら高分子微粒子の膜形成温度(MFT)は室温以下に設計するかMFT低下剤を用いて室温以下にすることが好ましい。また、反応条件等によっては上述の添加剤を用いなくてもよい。例えば、ミセル形成モノマーを用いる場合にはミセル形成剤は不要になり、反応条件によっては連鎖移動剤も用いなくて良い場合もあるので、適宜選択できる。
【0137】
ポリマー微粒子は、微粒子粉末として黒色インクの他の成分と混合されても良いが、好ましくはポリマー微粒子を水媒体に分散させ、ポリマーエマルジョンの形態とした後、黒色インクの他の成分と混合されるのが好ましい。黒色インクにおけるポリマー微粒子の含有量は、0.1〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%程度である。ポリマー微粒子の分子量は、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは100,000以上である。
ポリマー微粒子の粒径は好ましくは10〜400nm程度であり、より好ましくは50〜200nm程度である。
【0138】
前記ポリマー微粒子は、その表面に親水性基を有するものが好ましい。ここで、前記親水性基としては、好ましくはスルホン酸基及びその塩である。
特に、前記ポリマー微粒子として、成膜性を有し、その表面に親水性基(特にスルホン酸基及びその塩)を有する、粒子径が50〜200nmの微粒子が好ましい。
【0139】
また、インクは、保存安定性の確保、目詰まり防止、吐出安定の確保、放置安定性の確保の目的で、湿潤剤、保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、その他の金属イオン捕獲剤等種々の添加剤を含有することができる。
【0140】
ヘッドのノズル先端部でのインクの乾燥を抑えるために、湿潤剤(あるいは保湿剤)として、水溶性で保水効果のある以下の水溶性有機溶媒を添加することが好ましく、その例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。本発明においては、特に、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
【0141】
防腐剤としては、アルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコール、オキサゾリジン系化合物およびクロルキシレノールからなる群から選択された1種以上の化合物が好ましい。
防腐剤の具体例としては、例えば、アルキルイソチアゾロンとしてはオクチルイソチアゾロンを有効成分とするものが(例えばNS−800H、NS800G、NS−800P:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。クロルアルキルイソチアゾロンとしてはクロルイソメチルチアゾロンを有効成分とするものが(例えばNS−500W、NS−80D、NS−CG、NS−TM、NS−RS:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。ベンズイソチアゾロンを有効成分とするものが(例えば、プロキセルXL−2、プロキセルBDN、プロキセルBD20、プロキセルGXL、プロキセルLV、プロキセルTN:以上ゼネカ(英国)、デニサイドBIT、デニサイドNIPA:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。ブロモニトロアルコールを有効成分とするものが(例えばブロノポール、ミアサイドBT、ミアサイドAS:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。クロルキシレノールを有効成分とするものが(例えばPCMX:ナガセ化成工業株式会社)市販されている。また、オキサゾリジン系化合物やこれらの成分の混合物あるいは変性物を有効成分とするものが用途に応じて(例えばNS−BP、デニサイドBIT−20N、デニサイドSPB、サニセットHP、マイクロスタットS520、サニセットSK2、デニサイドNS−100、デニサイドBF−1、デニサイドC3H、サニセット161、デニサイドCSA、デニサイドCST、デニサイドC3、デニサイドOMP、デニサイドXR−6、デニサイドNM、モルデナイズN760、デニサットP4、デニサットP−8、デニサットCHR:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。この中でもオキサゾリジン系化合物を有効成分とするもの、クロルイソメチルチアゾロンを有効成分とするものおよびベンズイソチアゾロンを有効成分とするものが効果が高い。
【0142】
また、これら防腐剤は単独成分ではなく、構造があまり似通っていない2種以上用いた複合成分の方が耐性菌の抑制ができるので好ましい。
【0143】
金属イオン捕獲剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩が好ましく、防錆剤は、ジシクロヘキシルアンモニウムニトラートおよび/またはベンゾトリアゾールが好ましく用いられる。エチレンジアミン四酢酸塩としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩、エチレンジアミン四酢酸三カリウム塩、エチレンジアミン四酢酸四カリウム塩、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸三アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム塩などが挙げられるが、特に、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩が好ましく用いられる。
【0144】
このエチレンジアミン四酢酸塩はインクのカートリッジやヘッド中のインク経路に存在する微量の金属イオンの影響による、着色剤の分散安定性の低下を抑制する効果がある。
【0145】
防錆剤としてはジシクロヘキシルアンモニウムニトラートおよび/またはベンゾトリアゾールが有効である。これらの防錆剤は、金属ヘッドが錆びないようにするためのものであり、錆び易いメッキ面などに対して有効である(特に、ノズルの先端部は錆び易く、これにより、インクの飛びが悪くやすい)。
【0146】
その他、インク成分の溶解性を向上させ、さらに記録媒体たとえば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルの目詰まりを防止する成分として、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどが挙げられ、これらを適宜選択して使用することができる。
【0147】
また、インクには、さらに浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は、本発明のインクと相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
【0148】
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物、安息香酸ナトリウムなどがある。
【0149】
さらに、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
【0150】
また、インクは、表面張力が45mN/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは、25〜45mN/mの範囲である。表面張力が45mN/mを越えると、印字の乾燥性が悪くなる、滲みが発生しやすくなる、カラーブリードが発生する等のため良好な印刷画像が得られにくい。また、表面張力が25mN/m未満では、プリンタヘッドのノズル周囲が濡れやすくなるためにインク滴の飛行曲がりが発生する等、吐出安定性に問題が生じ易い。上記表面張力は、通常に用いられる表面張力計によって測定できる。
インクの表面張力は、インクを構成する各成分の種類や組成比などを調整することにより上記範囲内とすることができる。
【0151】
以上、本発明のインクセットが備えてなるインクの構成について説明したが、本発明のインクジェット記録用インクセットは、黒色インクと1種以上のカラーインクとを備えてなり、カラーインクについては、通常は、3色以上のそれぞれ色の異なるインクを組み合わせて構成される。例えば、黒色インク、マゼンダインク、イエローインクおよびシアンインクの4種のインクを備えるインクセットや、更に、マゼンダインク、イエローインク、シアンインクを色の濃淡で2種づつ備えることにより7種のインクを備えるインクセットを好適に挙げることができる。また、更に、これらの構成にオレンジインクやグリーンインクを組み合わせることもできる。
そして、このような本発明のインクジェット記録用インクセットによれば、印刷濃度が高い画像を得ることができ、色再現範囲が広いインクセットとすることができる。
【0152】
また、インク中の着色剤として顔料を使用するので、耐候性(耐光性や耐ガス性)が優れ、特に、カラーインクについては、カラー顔料がポリマーで包含してされているので、耐候性が非常に高い。そして、カラーインクについては、顔料を包含するポリマーの特性を、重合モノマーやその他の反応剤を選択することによって、高い自由度で設計できるので、インクに対して多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることもできる。
【0153】
顔料を一般的な分散剤(界面活性剤や高分子分散剤など)で分散させたインクは、基本的に分散剤が顔料に吸着しているだけの状態であるので、何らかの環境因子によって分散剤が顔料から脱離しやすく、このような分散剤によってインクの粘度は不必要に上昇しがちである。そのため、通常、着色剤の添加量は制限されており、これにより、画像の発色を十分に得ることが難しいとされている。しかしながら、本発明のインクセットに使用される「分散剤なしに水性媒体に分散可能なカーボンブラック」および「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」は、前記分散剤を使用する必要がないこと、および、カラー顔料を包含するポリマーの脱離が起こりにくいことから、着色剤を高添加量で添加してもインクの粘度が上がらず、インクの低粘度化が容易であり、顔料を一般的な分散剤で分散させたインクと比較して、着色剤の添加量を増やすことができるので、十分な発色を有する画像を得ることが容易である。
【0154】
また、本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録用インクセットを用いることを特徴としている。ここで、インクジェット記録方法は、インクセットをインクカートリッジの形態とし、このインクカートリッジを公知のインクジェット記録装置に搭載させて、記録媒体に対して印刷することにより、好適に行うことができる。
ここで、インクジェット記録用インクを収容するインクカートリッジ(収容ケース)としては、公知のものを好適に使用できる。
【0155】
また、本発明のインクジェット記録方法の一形態として、インクジェット記録用インクセットが、カラーインクとして、マゼンタインクと、シアンインクと、イエローインクとを具備するとともに、マゼンタインクとシアンインクとイエローインクとが組み合わされてなるコンポジットブラックと、インクジェット記録用インクセットが具備する黒色インクとを併用することによって、テキスト印字を行う形態を挙げることができる。これにより、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字を得ることができる。
ここで、インクジェット用記録媒体(インクジェット記録用インクを受容するためのインク受容層が表面に設けられた記録媒体)に対してテキスト印字を行う場合は、特に、黒色インクにポリマー微粒子を含有させると、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字を確実に得ることができるので好ましい。
【0156】
この記録方法の形態においては、コンポジットブラックと黒色インクとを、重量比20:80〜65:35で使用するのが好ましく、これにより、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字をより確実に得ることができる。
【0157】
また、本発明の記録物は、本発明の記録方法によって印刷されるので、広い色再現範囲で画像が形成された記録物である。
【0158】
【実施例】
次に具体的な実施の形態について説明する。
【0159】
<分散剤なしに水性媒体に分散可能な顔料粒子(着色剤1−1〜着色剤1−4)の調製>
以下に示す“顔料粒子の表面における親水性基の導入量”は、以下の方法によって求めた。
【0160】
「親水性基の導入量の定量」
(スルホン化剤によって親水性基を導入した場合)
スルホン化剤によって表面が処理された顔料粒子を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、この値をスルホン酸基に換算し、顔料1g当たりの当量として示した。
(カルボキシル化剤によって親水性基を導入した場合)
手法としては、ツアイゼル法を用いる。ジアゾメタンを適当な溶剤に溶かし込み、これを滴下することで顔料粒子表面の活性水素を全てメチル基に交換する。こうして処理した顔料に、比重1.7のヨウ化水素酸を加え加熱して、メチル基をヨウ化メチルとして気化させる。このヨウ化メチルの気体を硝酸銀溶液でトラップしてヨウ化メチル銀として沈殿させる。このヨウ化銀の重量より元のメチル基の量、即ち活性水素の量を測定する。
【0161】
(着色剤1−1:黒色)
カーボンブラック(三菱化学社製「MA−7」)15部をスルホラン200部中に混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、ビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で1時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら、120℃に加熱して、系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、150℃に温度制御した。次いで、三酸化硫黄25部を加えて6時間反応させ、反応終了後、過剰なスルホランで数回洗浄した後、水中に注ぎ濾過することで、着色剤1−1(親水性基を表面に有するカーボンブラック粒子)を得た。
得られた着色剤1−1の親水性基の導入量は、顔料1g当たり120×10−6当量であった。
【0162】
(着色剤1−2:シアン)
フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら120℃に加熱し、系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、160℃に温度制御した。次いで、スルホン化ピリジン錯体20部を加えて8時間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄した後に水中に注ぎ、濾過することで、着色剤1−2(親水性基を表面に有するシアン顔料粒子)を得た。
着色剤1−2の親水性基の導入量は、顔料1g当たり40×10−6当量であった。
【0163】
(着色剤1−3:イエロー)
前記着色剤1−2の作製において、「フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部」を「イソインドリノン顔料(C.I.ピグメントイエロー110)20部」に代えた以外は、同様な処理方法により、着色剤1−3(親水性基を表面に有するイエロー顔料粒子)を得た。
着色剤1−3の親水性基の導入量は、顔料1g当たり45×10−6当量であった。
【0164】
(着色剤1−4:マゼンタ)
前記着色剤1−2の作製において、「フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部」を「イソインドリノン顔料(C.I.ピグメントレッド122)20部」に代えた以外は、同様な処理方法により、着色剤1−4(親水性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子)を得た。
着色剤1−4の親水性基の導入量は、顔料1g当たり60×10−6当量であった。
【0165】
<重合性基を有する分散剤とモノマー(共重合性モノマー)との重合体(共重合体)で顔料を包含した着色剤(着色剤2−1〜着色剤2−4)の調製>
本着色剤は、顔料を重合性基を有する分散剤を用いて水性有機溶媒および/または水中で良く分散させた後、攪拌機、温度計、温度調整器、還流冷却器、滴下装置などを備えた反応容器内で重合性基を有する分散剤単独あるいはその他の共重合性モノマーとともに重合開始剤の存在下、所定の反応温度で所定の反応時間重合反応を行うことによって得た。着色剤の平均粒子径は、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150により測定した。また、着色剤のポリマーのガラス転移温度は、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)で測定し、前述した方法により求めた。
【0166】
(着色剤2−1:黒色)
特開平10−316909号公報に記載された実施例1と同様の方法により着色剤2−1を製造した。カーボンブラック(ラーベンC:コロンビアンカーボン株式会社製)100重量部と式(IV)で表される重合性界面活性剤アデカリアソーブSE−10N(旭電化製)60重量部とを水250重量部中に加えて超音波を照射し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2時間分散処理を行なった。このカーボンブラックを重合性界面活性剤で分散した分散液を、超音波発生器、攪拌機、温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に投入した。ついで、予め、アクリロニトリル30重量部、スチレン9重量部、n−ブチルアクリレート51重量部、メタクリル酸10重量部と上記重合性界面活性剤10重量部と過硫酸カリウム1重量部と水100重量部を混合した乳化物を調製し、これを滴下漏斗を用いて上記の反応容器中に徐々に滴下した。滴下終了後に60℃で48時間重合反応を行った。得られた着色剤の分散液を水酸化カリウムで中和してpH8前後に調整し、0.4μmのフィルターでろ過して粗大粒子を除去した。これによって目的の着色剤の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150(Leeds & Northrup Microtrac UPA 150)で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は105nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200で着色剤2−1のガラス転移温度を測定したところ、着色剤のポリマーのガラス転移温度は10℃であった。
【0167】
(着色剤2−2:シアン)
カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)に代えた以外は、前記(着色剤2−1)と同様の手法により目的の着色剤の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は85nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200で着色剤2−2のガラス転移温度を測定したところ、着色剤のポリマーのガラス転移温度は10℃であった。
【0168】
(着色剤2−3:マゼンタ)
カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)に代えた以外は、前記(着色剤2−1)と同様の手法により目的の着色剤の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は90nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200で着色剤2−3のガラス転移温度を測定したところ、着色剤のポリマーのガラス転移温度は10℃であった。
【0169】
(着色剤2−4:イエロー)
カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール:クラリアント製)に代えた以外は、前記(着色剤2−1)と同様の手法により目的の着色剤の分散液を得た。リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は80nmであった。また、セイコー電子(株)製熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200で着色剤2−4のガラス転移温度を測定したところ、着色剤のポリマーのガラス転移温度は10℃であった。
【0170】
<ポリマー微粒子の調製>
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておく。イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、スチレン5部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作成した。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、スチレン30部、ブチルメタクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸2部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート1部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和してpH8〜8.5にし、これを0.3μmのフィルターでろ過することによって、ポリマー微粒子の水分散液を作製した。
【0171】
<インクの調製>
以下の組成を有するインク(表1〜2参照)を次の操作によって調製した。予め調整しておいた、各種の水溶性有機溶媒と水とからなる水性媒体を、攪拌している状態にある上記で得た着色剤の分散液に徐々に滴下し、滴下終了後、充分に攪拌した。これを、5μmのメンブランフィルターで濾過してインクを得た。
下記表1〜2中のインク組成に関する数値は、各構成物のインク全量に対する含有量を重量%で示したものである。着色剤は、その分散液の形態で添加する。ゆえに、添加するその分散液の量は、着色剤のインク中での含有量とその着色剤の分散液の固形分濃度から計算される。
【0172】
また、オルフィンE1010(日信化学工業製)、オルフィンSTG(日信化学工業製)、サーフィノール465(エアープロダクト社製)は、アセチレングリコール系界面活性剤である。サーフィノール61(エアープロダクト社製)は、アセチレンアルコール系界面活性剤である。
【0173】
また、下記表1〜2中の表面張力は、協和界面科学製の自動表面張力計CBVP−Z型で測定されたものである。
【0174】
着色剤、式(1)で示される化合物に関して、上段の数値は前記含有量を示し、下段の標記は、着色剤、式(1)で示される化合物の種類を示している。
すなわち、表中の上記標記で示される化合物は、以下の通りである。
【0175】
[1−1]: 式(1)で示される化合物であって、メチルイソブチルカルビノールにまずプロピレンオキシ基を平均で1.5モル付加した後、エチレンオキシ基を平均で5モル付加して末端がOH基になっている物質である。
【0176】
[1−2]: 式(1)で示される化合物であって、イソオクタノールにプロピレンオキシ基を平均で2モル付加したのち、末端OH基にスルホン酸基を導入し、ナトリウムを対イオンとして用いた物質である。
【0177】
【表1】
Figure 0003991219
【0178】
【表2】
Figure 0003991219
【0179】
また、インクN1〜N5のインクを以下の組成に基づき、調製した。
【0180】
(インクN1:黒色) 重量(%)
カーボンブラック顔料(平均粒子径105nm) 5.0
グリセリン 10.0
分散剤 3.0
非イオン系界面活性剤 1.0
イオン交換水 残量
カーボンブラック顔料:ラーベンC(コロンビアカーボン株式会社製)
非イオン系界面活性剤:ノイゲンEA160(第一工業製薬株式会社製)
分散剤:ジョンクリル62(ジョンソンポリマー製)
【0181】
(インクN2:シアン) 重量(%)
アシッドブルー9 5.5
DEGmME 7.0
ジエチレングリコール 10.0
2−ピロリドン 5.0
イオン交換水 残量
【0182】
(インクN3:マゼンタ) 重量(%)
アシッドレッド92 5.5
DEGmME 7.0
ジエチレングリコール 10.0
2−ピロリドン 5.0
イオン交換水 残量
【0183】
(インクN4:イエロー) 重量(%)
ダイレクトイエロー138 5.5
DEGmME 7.0
ジエチレングリコール 10.0
2−ピロリドン 5.0
イオン交換水 残量
【0184】
(インクN5:黒色) 重量(%)
ダイレクトブラック154 2.5
ジエチレングリコール 10.0
非イオン系界面活性剤 1.0
イオン交換水 残量
非イオン系界面活性剤:エパン450(第一工業製薬株式会社製)
【0185】
<インクセットの製造>
表3に示す組み合わせに従って、各インクをインクジェットプリンタEM900C(セイコーエプソン株式会社製)用のインクカートリッジに充填することによって、ブランクインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクから構成される実施例および比較例のインクセットを作製した。
【0186】
【表3】
Figure 0003991219
【0187】
上記の実施例および比較例のインクセットについて下記の評価試験を行った。
【0188】
<評価1:印刷濃度>
各インクセットと、セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタEM900Cとを使用して、以下の各紙(普通紙12種)に対して、720dpiでベタ印字を行い、この部分の濃度をグレタグマクベス社製のカラーコントロールシステムSPM50を使用して、OD値を測定した。普通紙12種のOD値の平均値に基づき、印刷濃度を評価した。
評価に用いた紙は、Conqueror紙、Favorit紙、Modo紙、Rapid Copy紙、エプソン EPP紙、Xerox P紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙(再生紙)、Xerox R紙(再生紙)の12紙である。
【0189】
<評価2:色再現範囲>
各インクセットと、セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタEM900Cとを使用して、評価1で使用した各紙(普通紙12種)に対して、Gamut(ガマット)評価用のパッチパターンを印字した。Gamut評価用のパッチパターンとは、印字Dutyを変えて、各色の混合割合を変えて印字するパターンである。印字されたGamut評価用のパッチパターンから、グレタグマクベス社製のスペクトロスキャンを使用して、Gamut値を測定した。Gamut値は、L表色系におけるL空間の体積を示し、値が大きい方が色再現範囲が広いことを示す。普通紙12種のGamut値の平均値に基づき、各インクセットを評価した。
【0190】
表4に、評価1と評価2の結果を示す。
【0191】
【表4】
Figure 0003991219
【0192】
以上のように、実施例のインクセットによれば、印刷濃度が高い画像を得ることができ、広い色再現範囲を達成できることが確認された。
一方、比較例のインクセットでは、いずれも広い色再現範囲を達成できないことが確認された。
【0193】
<評価3:印刷濃度(テキスト印刷)>
各インクセットと、セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタEM900Cとを使用して、普通紙およびインクジェット用記録媒体に対して、10mm×10mmの領域に100%dutyでベタ印刷(黒色インクのみによるテキスト印刷,黒色インク50%とコンポジットブラック50%とによるテキスト印刷,コンポジットブラックのみによるテキスト印刷の3種類)をした以外は、評価1と同様にOD値をし、印刷濃度を評価した。ここで、表中、NPの欄の数値は、評価1で使用した普通紙12種のOD値の平均値であり、IJMの欄の数値は、PM写真用紙(セイコーエプソン株式会社製)のOD値とMC写真用紙(セイコーエプソン株式会社製)のOD値との平均値である。
【0194】
<評価4:耐擦性(テキスト印刷)>
各インクセットと、セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタEM900Cとを使用して、普通紙(ゼロックス社製 Xerox 4024紙)およびインクジェット用記録媒体(セイコーエプソン社製 スーパーファイン専用紙)に対して、10mm×10mmの領域に100%dutyでベタ印刷(黒色インクのみによるテキスト印刷,黒色インク50%とコンポジットブラック50%とによるテキスト印刷,コンポジットブラックのみによるテキスト印刷の3種類)し、25℃の温度で1時間放置した後に、上記の印刷領域をゼブラ社製イエロー水性蛍光ペン ZEBRA PEN2(商標)を用いて、300g荷重で速度100mm/秒で擦り、汚れの発生の有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。ここで、コンポジットブラックとは、マゼンタインクとシアンインクとイエローインクとが、35:28:37の比で組み合わされてなる。
A:2回擦っても全く汚れが生じない。
B:1回の擦りでは汚れが生じないが、2回目の擦りで汚れが発生する。
C:1回の擦りで汚れが発生する。
【0195】
表5に、評価3と評価4の結果を示す。
【0196】
【表5】
Figure 0003991219
【0197】
実施例1〜4のインクセットを使用するとともに、黒色インク50%とコンポジットブラック50%とによるテキスト印刷を行った場合は、印刷濃度および耐擦性に関し、良好な結果を示した。
特に、黒色インクにポリマー微粒子が含有された実施例3〜4のインクセットを使用するとともに、黒色インク50%とコンポジットブラック50%とによるテキスト印刷を行った場合は、耐擦性に関し、極めて良好な結果を示した。
【0198】
次に、実施例1のインクセットを使用するとともに、黒色インクとコンポジットブラックとの割合を変えて、テキスト印刷を行った。プリンタは、セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタEM900Cとを使用し、画像は、10mm×10mmの領域への100%dutyによるベタ印刷とした。普通紙としては、Conqueror紙、Rapid Copy紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙を、専用光沢紙としてセイコーエプソン製インクジェット用専用光沢紙MJA4SP3、マット紙としてセイコーエプソン製スーパーファイン専用紙MJA4SP1を用いた。
【0199】
得られた画像の印刷濃度と耐擦性とを評価した。印刷濃度は、評価1と同様の方法で評価した。
また、耐擦性は、三菱鉛筆製プラスチック消しゴムを60℃の傾きで加重1kgで画像を擦ることによって行った。3回以上擦っても剥がれないものをA、1回擦っても剥がれないものをB、1回でわずかに擦れるものをC、1回でかなり擦れるものをDとする。
表6に結果を示す。
【0200】
【表6】
Figure 0003991219
【0201】
また、表6に示すように、特に普通紙にテキスト印字する場合、コンポジットブラックと黒色インクとを重量比20:80〜65:35で使用すれば、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字物を確実に得ることができることが確認された。
【0202】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、顔料インクを使用することによって高い耐候性を得ることができるだけでなく、印刷濃度が高い画像を得ることができ、色再現範囲が広いインクジェット記録用インクセットおよびインクジェット記録方法の提供できる。
また、本発明によれば、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字を行うことのできるインクジェット記録方法を提供できる。
また、本発明は、高い印刷濃度かつ広い色再現範囲で画像が形成された記録物、および、印刷濃度が高く、耐擦性に優れたテキスト印字物(記録物)を提供できる。

Claims (29)

  1. 「分散剤なしに水性媒体に分散可能なカーボンブラック」と水とを少なくとも含有する黒色インクと、「カラー顔料をポリマーで包含してなる着色剤」と水とを少なくとも含有する1種以上のカラーインクとを備えてなるインクジェット記録用インクセット。
  2. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、アセチレングリコール系界面活性剤と、アセチレンアルコール系界面活性剤と、グリコールエーテル類と、1,2−アルキレングリコールと、式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
    式(1) RO−(EP)n−M
    R:アルキル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基およびアリール基からなる群から選択される炭素数4〜10の基
    O:酸素原子
    EP:エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基の繰り返し
    n:分子中の平均値であり、1〜30
    M:水素原子、スルホン酸塩、燐酸塩または硼酸塩
  3. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、水溶性有機溶媒として、アセチレングリコール系界面活性剤とアセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、グリコールエーテル類と1,2−アルキレングリコールと式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
    式(1) RO−(EP)n−M
    R:アルキル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基およびアリール基からなる群から選択される炭素数4〜10の基
    O:酸素原子
    EP:エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基の繰り返し
    n:分子中の平均値であり、1〜30
    M:水素原子、スルホン酸塩、燐酸塩または硼酸塩
  4. 前記水溶性有機溶媒が、インクの全量に対して0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤が、インクの全量に対して5重量%以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  6. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以下含有するとともに、前記グリコールエーテル類と、前記1,2−アルキレングリコールと、前記式(1)で示される化合物とからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を1重量%以上含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  7. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するとともに、前記界面活性剤と前記グリコールエーテル類との重量比が1:0〜1:10であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  8. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するとともに、前記界面活性剤と前記1,2−アルキレングリコールとの重量比が1:0〜1:10であることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  9. 前記黒色インクと前記1種以上のカラーインクとからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記アセチレンアルコール系界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.5重量%以上含有するとともに、前記界面活性剤と前記式(1)で示される化合物との比が1:0〜1:10であることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  10. 前記グリコールエーテル類が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、プロピレングリコールモノブチルエーテルと、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルとからなる群から選択された1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  11. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記プロピレングリコールモノブチルエーテルと前記ジプロピレングリコールモノブチルエーテルとからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を10重量%以下含有することを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録用インクセット。
  12. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルと前記トリエチレングリコールモノブチルエーテルとからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を20重量%以下含有することを特徴とする請求項10または11に記載のインクジェット記録用インクセット。
  13. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記1,2−アルキレングリコールとして、炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールをインクの全量に対して10重量%以下含有することを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  14. 前記1,2−アルキレングリコールが、1,2−ペンタンジオールおよび/または1,2−ヘキサンジオールであることを特徴とする請求項2〜13のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  15. 前記黒色インクおよび前記1種以上のカラーインクからなる群から選択される少なくとも1種のインクが、前記式(1)で示される化合物を10重量%以下含有することを特徴とする請求項2〜14のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  16. 前記カラー顔料を包含するポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とすることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  17. 前記カラー顔料を包含するポリマーが、少なくとも重合性基を有する分散剤と、前記分散剤に対して共重合可能な共重合性モノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  18. 前記共重合体が、重合性基を有する分散剤によって前記カラー顔料を水に分散させた後、前記分散剤と、前記分散剤に対して共重合可能なモノマーとを、重合開始剤を用いて水中で乳化重合させることにより得られたものであることを特徴とする請求項17に記載のインクジェット記録用インクセット。
  19. 前記カラー顔料を包含するポリマーが、架橋構造を有するポリマーであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  20. 前記架橋構造を有するポリマーが、架橋反応性基と親水性基とを有する重合体および架橋剤を少なくとも含む有機相を水相と接触させ転相乳化させることによってカラー顔料を該重合体で包含し、次いで、該重合体と架橋剤との架橋反応を行うことによって得られたものであることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録用インクセット。
  21. 前記架橋反応性基と親水性基とを有する重合体が、ビニル系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系重合体、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマーおよびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれた1種以上を主成分とすることを特徴とする請求項20に記載のインクジェット記録用インクセット。
  22. 前記架橋構造を有するポリマーが、重合性基を有する分散剤と架橋性モノマーとの重合体であることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録用インクセット。
  23. 前記架橋構造を有するポリマーが、重合性基を有する分散剤によってカラー顔料を水に分散させた後に、少なくとも架橋性モノマーと重合開始剤とを添加して重合させることにより得られたものであることを特徴とする請求項19または22に記載のインクジェット記録用インクセット。
  24. 前記黒色インクが、ポリマー微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  25. 請求項1〜24のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  26. 請求項25に記載のインクジェット記録方法において、前記インクジェット記録用インクセットが、カラーインクとして、マゼンタインクと、シアンインクと、イエローインクとを具備するとともに、前記マゼンタインクと前記シアンインクと前記イエローインクとが組み合わされてなるコンポジットブラックと、前記インクジェット記録用インクセットが具備する黒色インクとを併用することによって、テキスト印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  27. 請求項26に記載のインクジェット記録方法において、前記黒色インクにポリマー微粒子を含有させるとともに、インクジェット用記録媒体に対してテキスト印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  28. 前記コンポジットブラックと前記黒色インクとを、重量比20:80〜65:35で使用することを特徴とする請求項26または27に記載のインクジェット記録方法。
  29. 請求項25〜28のいずれかに記載のインクジェット記録方法によって印刷されたことを特徴とする記録物。
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