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JP4004686B2 - マグネシウム系廃材の再生方法 - Google Patents
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JP4004686B2 - マグネシウム系廃材の再生方法 - Google Patents

マグネシウム系廃材の再生方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料が塗布されたマグネシウム系廃材を塗料の燃焼による有害ガスを生じさせることなく再生するための方法に関する
【0002】
【従来の技術】
近年、軽量材料のニーズが高まり、樹脂材料や軽量金属材料が用いられている。しかし樹脂材料は一般にリサイクルが困難で環境性に問題があるのに対して、金属材料はリサイクルが容易であるため、マグネシウム系材料、アルミニウム系材料等が注目され、特に実用軽量金属材料中最も密度の小さいマグネシウム系材料は、自動車用材料あるいは携帯用家電製品用材料等として幅広く使用されている。
マグネシウム系材料製の部品や製品は、クロメート等の化成処理(酸化処理)を施された後、塗装されて使用されることが多い。又マグネシウム系廃材を繰り返し溶融し再生利用を行うと、金属成分は変動しないのにもかかわらず、溶湯の流動性や鋳物の耐食性が劣化することが知られている。これは、マグネシウム酸化物や離型材の混入、又塗料に顔料が使用される場合の該顔料の混入に起因する。従ってこのような異物が溶湯中に残存している場合には再生利用前に除去することが望ましく、場合によっては除去が必須となる。
【0003】
このような塗装されたマグネシウム系材料はリサイクルに際し、そのまま大気中でフラックスを使用して700 ℃近傍で廃材を再生溶融する時の高温により塗料を燃焼させているのが現状である。この塗料燃焼で発生するガスにはC4 9 4 N、C9 13N、C8 9 ON、C3 9 N、C5 152 NやC7 7 ON等の多くの有機系ガスが含まれ、多くの場合ダイオキシンも発生する。燃焼温度が高温であれば有機系ガス成分の炭素数は少なくなり有害性は低下する。
しかしマグネシウムの発火の危険性があるため、通常はあまり高温で処理を行うことは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の通り、マグネシウム系材料は樹脂材料と比較してリサイクルが行いやすくかつ該リサイクルを環境への悪影響が少ない状況で実施できるという優位性を有し、このことがマグネシウム系材料の用途拡大の大きな原動力となっており、マグネシウム系材料の需要が世界的に急上昇している。しかしながらマグネシウム系材料のリサイクルでも僅かとは言いながら前述の通り環境への悪影響が生ずる可能性があり、今後塗装されたマグネシウム系材料製の部品及び製品のスクラップが大量に発生すると予想されることからも、塗装されたマグネシウム系材料製部品及び製品のリサイクル技術の確立が要請されている。
従って本発明は、塗装されたマグネシウム系廃材を燃焼させずに塗料を分解した後に再生する、環境性に優れた再生方法を提供することを目的とする。更に前記マグネシウム系廃材中に、塗料以外に再生される材料へ悪影響を与える異物が混入している場合にも適宜対処できる再生方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塗装されたマグネシウム系廃材を、非酸化性雰囲気中で、塗料が分解揮散する温度で熱処理を行って前記塗料を分解しその分解生成物を除去するマグネシウム系廃材の再生方法において、非酸化性雰囲気を構成するガスが、アルゴン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ、二酸化イオウ、二酸化炭素及び窒素から選択される1又は2以上のガスであり、塗料の分解生成物を有機溶媒に溶解して除去するようにしたことを特徴とするマグネシウム系廃材の再生方法であり、この分解生成物の除去の後に、再生処理中のマグネシウム系廃材を溶融し、生成する溶湯にガス吹き込みを行い該ガスとともに浮上する異物を除去するようにしても良い。又従来行われているフラックスを使用した再溶解により沈降する異物を除去しても良い。
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、従来のマグネシウム系廃材の再生の際に燃焼により塗装マグネシウム系廃材の表面から除去していた塗料を、前記燃焼に代えて非酸化性雰囲気での熱処理を採用することにより、環境へ悪影響を与える有害ガスを大気に放散することなくマグネシウム系廃材の再生を行うことを意図している。
つまり塗装されたマグネシウム系廃材のスクラップを、酸素分圧がゼロか又はかなり低い非酸化性雰囲気下で熱処理することにより、塗料の燃焼によらずに、塗料分解による低分子量の分子やガスとして塗料を廃材表面から除去しようとするものである。熱処理により二酸化炭素のような無害なガスのみが生ずる場合は発生ガスはそのまま大気中に放散させれば良い。
【0007】
前記非酸化性雰囲気を構成するガスは、アルゴン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ、二酸化イオウ、二酸化炭素及び窒素から選択される1又は2以上のガスが使用できる。塗料燃焼が生じなければ少量の酸素や他の酸化性ガスが混入していても良い。
しかしながら酸素分圧ができる限り低く望ましくはゼロであることは当然であり、酸素分圧がゼロのときに最も良好な結果が得られる。従ってマグネシウム系廃材が収容されるチャンバーは予め真空吸引して50Torr程度の減圧状態にし、その後減圧状態にしたチャンバーに前述した非酸化性ガスを充填してチャンバー内を非酸化性ガスで置換することが望ましく、この置換操作を複数回繰り返すことが更に望ましい。減圧度が50Torrに達しない場合には雰囲気中に酸素が比較的高濃度で残存する可能性が高いため複数回の置換操作を行うことが好ましい。
【0008】
このような非酸化性雰囲気で行われる熱処理の温度は燃焼が起きないように、より厳密には酸化も起きないように選択することが望ましく、好適な熱処理温度の範囲はマグネシウム系廃材の材質や非酸化性ガスの種類等に依存するが通常は500 〜600 ℃である。
酸素がほぼ完全に排除されている該温度範囲では、塗料中の炭素の一部は廃材中に残存するが有機物はほぼ完全に分解又は揮散する。熱処理温度が500 ℃未満であると有機物の分解速度が遅かったり、分解が不十分になる傾向がある。又熱処理温度が600 ℃を越えるとチャンバー内でマグネシウム系廃材が溶融して分解ガスと反応し溶湯が酸化燃焼することがある。従って処理を十分行うことと安全性への配慮の折衷点として前記温度範囲で熱処理を行うことが望ましい。
【0009】
この熱処理工程中の非酸化性雰囲気の圧力は特に限定されず、塗料の分解ガスを系外に排除して分解を促進するため、つまり揮散効率を高めるためにはガス供給を連続して又は間欠的に行うことができる。このガスは酸化性がなければその種類は限定されないが、前述の非酸化性ガスを使用することが簡便でかつ望ましい。ガス供給速度は前述の熱処理温度が維持される範囲でなるべく多くすることが好ましい。
前記温度範囲での熱処理操作により微量の有害ガスが発生する場合には、アセトン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させて容易に除去することができる。
【0010】
このような条件で溶融したマグネシウム系廃材の熱処理を塗料が十分に分解するまで行う。処理時間は塗料の種類、廃材に対する塗料の相対量などに依存して変化するが、通常は10〜60分である。塗料分解の終了はチャンバーからの流出ガス中に分解ガスが存在しないことにより確認できる。
塗料が除去されたマグネシウム系廃材はそのまま溶融し成形して再使用しても良いが、廃材中に酸化物等の異物が残存しているとそのままリサイクルすると溶湯が燃焼しやすく、又流動性や鋳物の耐食性が劣化することが知られている。
従って塗料除去後に更に前記異物も除去してからリサイクルすると再生されるマグネシウム系材料を長期間再使用できる。
【0011】
本発明では、塗料を除去したマグネシウム系廃材を溶融状態に維持しかつ不活性ガスを吹き込みながら、酸化物等の異物を溶融物表面に浮上させて除去する工程を追加しても良い。吹き込まれたガスは気泡として溶湯中を浮上する過程で該溶湯中に浮遊している酸化物、離型材又は顔料等の異物をその表面に付着させて共に浮上し、このガスとともに異物が分離除去される。ガス吹き込みは細かく泡立てながら行うことが好ましく、ガス供給により溶湯中に対流が生じて全ての溶湯と供給ガスが十分に接触して全て又は殆どの異物が浮上して清浄化が行われる。
このガス吹き込みの際の溶湯温度は、通常の鋳造の際の溶湯温度と同じで良いが、溶湯温度を600 ℃未満にするとガス吹き込みによる溶湯温度の低下が溶湯の鋳造性に悪影響を及ぼすことがあり、又溶湯温度が700 ℃を越えると保護ガスとして六フッ化イオウや二酸化イオウを使用しても材質劣化が起こる傾向があり、従って溶湯温度は600 〜700 ℃であることが好ましく、600 〜650 ℃であると一層好ましい。
【0012】
溶湯に吹き込むガスは酸化物等の異物を付着させて共に浮上する性質を有すれば十分で、その種類は溶湯と反応する等の溶湯への悪影響がなければ特に限定されない。これらの条件を満足し所望の結果が得られるガスとして、アルゴン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ、二酸化イオウ、二酸化炭素及び窒素があり、これらと乾燥空気(湿分を含まない空気)との混合ガスも使用でき、他の不活性ガスの使用も可能である。
しかし前記混合ガスや二酸化イオウ及び窒素はマグネシウム溶湯との間で僅かに反応を生じさせることがある。従って本工程に使用するガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ、及び二酸化炭素が最適である。
【0013】
異物を伴って浮上した供給ガスは放散して溶湯から除去されるが、浮上した異物は溶湯表面に残存する。この溶湯表面の異物はいわゆるノロかきのような用具を使って掻き取り除去する。又は金属製又はセラミックス製のフィルターによる濾過等により異物を除去する。
この工程の追加により単に異物が除去できるだけでなく、溶湯の流動性が向上するとともに、溶湯中の吸蔵ガスが減少して該吸蔵ガスに起因する鋳造欠陥が減少するという効果が得られ、マグネシウム系廃材はより高純度及び高性能のマグネシウム系材料として再生できる。
又別炉で、一般に行われているダウケミカル社製フラックスDOW230 やDOW310 、又は立川鋳造溶剤工業所製のフラックスSK101 やSK105 に代表されるようなKCl、MgCl2 、BaCl2 、CaF2 、MgO等から成るフラックスを用いて再溶解し異物をスラッジとして沈降させた後、スラッジ除去用具でスラッジを除去する方法でも良い。この場合も処理後の溶湯は、流動性が向上し、鋳造欠陥が減少する効果が得られ、マグネシウム系廃材はより高純度及び高性能のマグネシウム系廃材として再生できる。
【0014】
本発明の再生対象となるマグネシウム系廃材は、マグネシウム又はマグネシウム合金(例えばダイカスト用のマグネシウム合金であるAZ91、AM60 AM50、AS41)製の鋳造品、ダイカスト品、加工品(板材、線材)等でその表面に塗料による塗装が施されている部品及び製品の使用済回収品や、製造工程で生ずる不良品を包含する。本発明は単にこれらのマグネシウム系廃材自体に適用できるだけでなく、マグネシウム系廃材に別の新しいマグネシウム地金を添加して一緒に再生処理を行っても良い。この場合のマグネシウム系廃材の割合は任意に設定できるが、一般的には50%以下が望ましく、新地金の添加により溶湯表面に浮上するドロス量は減少する。
又本発明における除去対象である塗料はマグネシウム系材料に従来使用されあるいは今後使用される全ての塗料が含まれ、例えばフェノール樹脂系塗料、尿素樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、ビニル樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、珪素樹脂系塗料、フラン樹脂系塗料、セルロース系塗料及びクリアーラッカー等がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明のマグネシウム系廃材の再生方法に使用できる装置の例を説明する。
図1は、本発明方法に使用可能な塗料の分解用装置の一例を示す概略縦断面図、図2及び図3は、塗料分解後のマグネシウム系廃材からの異物除去に使用可能な装置を例示する概略図である。
図1において、横長円筒状のチャンバー1内に破砕したマグネシウム系廃材2を配置し、このチャンバー1を処理炉3中に収容する。チャンバー1の入口側にはバルブ付非酸化性ガス導入用配管4が設置され、出口側にはチャンバー1内部を真空ポンプ又は捕集瓶に接続しあるいは両者から遮断できる三方弁5が設置されている。符号6は入口側から挿入されたチャンバー1内温度を測定するための熱電対である。
【0016】
このチャンバー1内の破砕マグネシウム系廃材2を再生するためには、まず非酸化性ガス導入用バルブを閉じ、かつチャンバー1内部を真空ポンプに接続するように三方弁5を開く。この状態で真空ポンプを作動させてチャンバー1内を減圧状態に維持し、次いで三方弁5を閉じ非酸化性ガス導入用バルブを開いて非酸化性ガス導入用配管4からアルゴンやヘリウム等の非酸化性ガスをチャンバー1内に導入してチャンバー1内を非酸化性ガスで置換する。必要に応じてこの置換操作を2〜3階程度繰り返す。次いで三方弁5により、チャンバー1内部を、テトラヒドロフラン等の溶媒が充填された捕集瓶側に連通させる。
この状態で、マグネシウム系廃材2が500 〜600 ℃程度で加熱されるように、処理炉3でチャンバー1を加熱する。チャンバー内の雰囲気が非酸化性であり、加熱温度が比較的低いため、マグネシウム系廃材2表面の塗料は燃焼せず、無害な無機系ガスやより低分子量の固形分又は有機系ガスに分解される。
【0017】
塗料が分解して生成する有機系ガスや無機系ガスはチャンバー1内に導入される非酸化性ガスにより三方弁5を通って捕集瓶側に取り出され、捕捉される。
なおこの処理炉3による加熱の前に、チャンバー1を真空ポンプに接続しかつバルブを閉じてチャンバー1内を減圧状態にしておいても良い。この場合には加熱停止後にチャンバー1を常圧に戻し、チャンバー1内の分解ガスを回収すれば良い。
このようにして塗料が分解除去されたマグネシウム系廃材は異物混入がない場合は、そのまま成形して製品とすれば良いが、塗料除去後に異物が混入している場合は、該異物除去を行うことが望ましい。
【0018】
その場合にはチャンバー1内の塗料分解揮散後のマグネシウム系廃材2を冷却した後、図2に示すような他の溶融炉3aにより加熱されるるつぼ7に入れる。このるつぼ7内のマグネシウム系廃材2a表面に非酸化性ガスを吹き込み管8を通して吹き込みながら、溶融炉3aで前記マグネシウム系廃材2aを熱電対6aにより調節しながら600 〜700 ℃程度に加熱溶融する。これにより該マグネシウム系廃材2a中に混入している酸化物等の異物が表面まで浮上し、この異物をノロ掻きのような用具を使って除去する。
非酸化性ガスのるつぼ7への導入は、図2のように該ガスをマグネシウム系廃材表面に吹き込み管8を通して吹き付けるように導入することに代えて、溶融したマグネシウム系廃材中に挿入した吹き込み管8aから該マグネシウム系廃材中に細かい気泡が生ずるように吹き込んでも良く、更に図3に示すように表面への吹き付けと内部への吹き込みを併用しても良い。
【0019】
(実施例)
本発明によるマグネシウム系廃材の再生方法の実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【0020】
実施例1
図1の装置を使用してマグネシウム系廃材の塗料の分解除去を行った。
塗装されたマグネシウム系廃材としてAZ91合金(Mg−9%Al−0.7 %Zn−0.2 %Mn)製鋳造品の表面をDOW1法によって化成処理し、中塗り塗料としてサイクロン999 (東京ペイント株式会社製)を用い、上塗り塗料としてMGR−481 ゴールド(東京ペイント株式会社製)を用いて塗装した製品の使用済回収品をマグネシウム系廃材として使用した。
【0021】
この回収品を粉砕して図1に示すようなチャンバーに入れ、三方弁でチャンバーを真空ポンプに接続してチャンバー内を50Torrに減圧し、その後真空ポンプへの接続を解除してチャンバー内にアルゴンガスを導入してチャンバー内をアルゴン置換して1気圧とした。次いで三方弁によりチャンバーをテトラヒドロフランが充填された捕集瓶側に連通させ、入口側からアルゴンガスを0.5 リットル/分の割合で供給しながら、マグネシウム系廃材を600 ℃で10分間加熱した。
チャンバーを冷却し、内部のガスを分析したところ、大部分がアルゴンで、その他に水、窒素ガス、酸素ガス及び二酸化炭素が検出され、それ以外のガスは極く微量しか検出されなかった(捕集瓶から排出されたガスもほぼ同様であった)。
このように塗装されたマグネシウム系廃材を600 ℃程度で加熱すると塗料は分解揮散し発生ガスを溶媒で捕集することで大気中に有害ガスを放出することなく、塗装したマグネシウム系廃材から塗料を分解除去できることが分かった。
【0022】
実施例2
実施例1で塗料が除去されたマグネシウム系廃材2kgを図2に示した容量1.5 リットルの10番黒鉛るつぼに入れ、溶融炉で加熱して溶融させた。溶融時にはガス発生は見られなかった。アルゴンを吹き付けながら溶湯を650 ℃に10分間保持した後、表面に浮上したドロスを除去した。除去後の溶湯の蛍光X線による元素分析の結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0004004686
【0024】
実施例3
実施例2と同じマグネシウム系廃材2kgを図3に示した容量1.5 リットルの10番黒鉛るつぼ(溶湯表面積が約120 cm2 、深さ17cm)に入れ、溶融炉で加熱して溶融させた。溶融時にはガス発生は見られなかった。溶湯表面から15cm下の位置に、アルゴンガスを0.5 リットル/分の割合で細かく泡立てながら供給し、溶湯を650 ℃に保持し、20分後、40分後及び60分後の溶湯の蛍光X線による元素分析の結果を表1に示す。
表1からガスを溶湯中に気泡として吹き込むと(実施例3)と、溶湯表面へのガス供給(実施例2)と比較して、炭素、酸素、硫黄、チタン、バリウム、燐等塗料分解残留物から混入する成分の含有率が減少しており、溶湯中の塗料分解物等の異物が効果的に除去されていることを示している。
【0025】
実施例4
実施例2と同じマグネシウム廃材6kgを容量4.5 リットルの30番るつぼに入れ、廃材の上から立川鋳造溶剤工業所製のSK101 フラックス50grで覆い溶融した。730 ℃で保持しながら同工業所製のSK105 フラックス50grを添加し攪拌棒で5分間攪拌した後、沈降したスラッジをノロ掻きで除去した。650 ℃で30分間沈静した後、溶湯を汲み出し、蛍光X線分析を行った。結果を表1に示す。実施例2と比較して、塗料分解物から成る混入する成分の含有率が減少していて異物が効果的に除去されることを示している。
【0026】
実施例5(ピンホール試験)
実施例3のアルゴンガス吹き込み20分後、40分後、60分後及び実施例4のそれぞれの溶湯約50mlをデシケーター中のるつぼに注湯し、デシケーターを真空吸引しながら凝固させた。得られた鋳物材の比重からピンホール量を測定した。その結果を表2に示す。表2から吹き込み時間の経過とともにピンホール量が減少している、又フラックス処理した溶湯もピンホールが減少していることが分かる。
凝固時に発生ガスが酸化物に捕捉されてそのガスによりピンホール形成が起こることは周知であり、本実施例ではアルゴンガス吹き込み又はフラックス処理により酸化物を除去したため、ガスが酸化物に捕捉されず従ってピンホールも生じなかったことは明白である。
【0027】
【表2】
Figure 0004004686
【0028】
実施例6(塩水噴霧試験)
JIS Z 2371に従って塩水噴霧試験を実施した。実施例4で凝固させた3個の鋳物材表面にそれぞれ5%食塩水を20時間噴霧した後取り出して白錆の発生の有無を目視で観察した。その結果いずれの鋳物材でも白錆は一切観察されなかった。
【0029】
比較例1
実施例1の使用済回収品を実施例1に記載した熱処理を行わず、実施例2と同じ条件でるつぼ中で加熱したところ、マグネシウム系廃材が溶融するとともに刺激臭の強い多量のガスが発生した。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、塗装されたマグネシウム系廃材を、非酸化性雰囲気中で、塗料が分解揮散する温度で熱処理を行って前記塗料を分解しその分解生成物を除去するマグネシウム系廃材の再生方法において、非酸化性雰囲気を構成するガスが、アルゴン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ、二酸化イオウ、二酸化炭素及び窒素から選択される1又は2以上のガスであり、塗料の分解生成物を有機溶媒に溶解して除去するようにしたことを特徴とするマグネシウム系廃材の再生方法(請求項1)である。
本発明方法によると、塗料から生ずる有害ガスを大気中に放出することなく塗装したマグネシウム系廃材を再生できるため、環境への悪影響が生ずることがなくなり、これにより優秀な性能を有するマグネシウム系材料の用途及び使用量が拡大することが期待できる。しかも非酸化性雰囲気を構成するガスを適宜選択し、塗料の分解生成物を有機溶媒に溶解して除去しているため、環境への悪影響がより完全に排除できる。
【0031】
塗料を除去したマグネシウム系廃材はそのままリサイクルしても良いが、多くの場合該廃材は寿命の短縮等に直結する異物を含んでいる。塗料を除去したマグネシウム系廃材を溶融し、この溶湯へのガス吹き込み(請求項)又はフラックスを使用して(請求項)前記異物を除去すると、寿命が延びかつ不純物量が減少するだけでなく、溶湯の流動性が向上しかつ溶湯の構造欠陥が解消でき、より高性能のマグネシウム系材料が再生できる。本発明方法で塗料が分解揮散する温度は一般に500 〜600 ℃であり、ガス吹き込み時のマグネシウム系廃材の溶融温度は600 〜700 ℃とすることが好ましい(請求項)。又本発明はマグネシウム系廃材単独で再生するだけでなく新地金との混合物として再生しても良く(請求項)、これにより浮上する異物の量が減少して再生処理が容易になるとともに、一層高性能のマグネシウム系材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に使用可能な塗料の分解用装置の一例を示す概略縦断面図。
【図2】塗料分解後のマグネシウム系廃材からの異物除去に使用可能な装置の一例を示す概略図。
【図3】他の例を示す概略図。
【符号の説明】
1 チャンバー
2、2a マグネシウム系材料
3 処理炉
3a 溶融炉
4 非酸化性ガス導入用配管
5 三方弁
6、6a 熱電対
7 るつぼ
8、8a ガス吹き込み管

Claims (5)

  1. 塗装されたマグネシウム系廃材を、非酸化性雰囲気中で、塗料が分解揮散する温度で熱処理を行って前記塗料を分解しその分解生成物を除去するマグネシウム系廃材の再生方法において、非酸化性雰囲気を構成するガスが、アルゴン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ、二酸化イオウ、二酸化炭素及び窒素から選択される1又は2以上のガスであり、塗料の分解生成物を有機溶媒に溶解して除去するようにしたことを特徴とするマグネシウム系廃材の再生方法。
  2. 塗料を除去したマグネシウム系廃材を溶融しガス吹き込みを行い該ガスとともに浮上する異物を除去することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1記載の方法によって塗料を分解揮散した後、フラックスを用いて、再溶融して、溶湯中の異物を沈降分離除去することを特徴とする塗装されたマグネシウム系廃材の再生方法。
  4. 塗料が分解揮散する温度が500 〜600 ℃であり、マグネシウム系廃材の溶融温度が600 〜700 ℃である請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  5. 塗料を除去したマグネシウム系廃材に新地金を加えて該マグネシウム系廃材の再生を行うようにした請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
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