JP4010667B2 - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂組成物の製造方法に関し、更に詳しくは、粒子の分散性と固有粘度保持率とが改善されたポリエステル樹脂組成物を容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは優れた物理的、化学的特性を有しており、繊維、フイルム、その他成形品として広く使用されている。しかし、その優れた特性にもかかわらず、上記成形品を得る成形工程における成形加工性の問題、あるいは成形品自体での取り扱いにおける滑り性不良による作業性の悪化、製品価値の低下といった好ましくないトラブルが発生することも知られている。
【0003】
これらの問題を解決するため、ポリエステルに微粒子を含有させて成形品の表面に適度に微細な凹凸を付与し、これにより成形品の表面の滑り性を向上させる方法が数多く提案され、その一部は実用化されている。例えば、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイトなどの不活性無機粒子をポリエステルに添加する方法(特開昭55−133431号公報等)、あるいは、シリコン粒子、ポリスチレン粒子などの耐熱性ポリマー粒子をポリエステルに添加する方法(特開平3−115354号公報等)等を挙げることができる。
【0004】
しかし、これらの粒子を添加する方法は、粗大粒子が混入しやすく、粗大粒子が混入した場合には、例えば磁気テープ用フイルムにおいては、電磁変換特性を低下させたり、ドロップアウトを引き起こす原因となる。また、製版印刷用、マイクロフイルム用などの透明性が要求されるフイルムにおいては、透明性が著しく低下するなど、フイルム品質を損ねてしまう。更に、繊維用途においては、紡糸時のフイルター詰まりが発生し生産性が低下したり、単糸切れが発生したりして好ましくない。
【0005】
そこでこのような粗大粒子を除去するため、ポリエステルの合成反応時に粒子を添加する場合に、粉砕、分級などによりあらかじめ粗大粒子を除去したスラリーあるいは溶液を添加する方法も提案されている(特公平1−41170号公報、特開昭63−105059号公報等)。しかし、ポリエステルの合成反応時に粒子を添加する方法では、粉砕、分級等の精製操作に多大な費用や作業時間を要する上、たとえこれらの操作を十分に行った後においても、ポリエステル合成系に添加する時点や添加後のポリエステル内部にて粒子が再凝集することがあり、製品ポリエステル中の粗大粒子を低減することは難しいのが現状である。また、大量にポリエステルを製造する際にポリエステル合成系に粒子をその都度添加していたのでは、ポリエステルの銘柄を変更する度にポリエステル合成系の洗浄等による大量の銘柄切り替えロスが発生する。
【0006】
これらの問題を回避するため、合成後のポリエステルに粒子を混練、配合する方法が近来、検討されている。この場合、粉末状粒子を単軸あるいは二軸押出機によって、ポリマー及び粉末状粒子に剪断応力を加えながら添加する方法が提案されている(特開平2−34307号公報、特公平7−62076号公報等)。
【0007】
しかし、粉末状の粒子中の粗大粒子を単軸あるいは二軸押出機中を通過させるだけで完全に粉砕、あるいは解砕することは現実には極めて難しく、また、ポリエステル中に粉末状の粒子を均一に分散させるために剪断応力をかけすぎると、ポリエステルの固有粘度が著しく低下して、成形性あるいは製品の品質が悪化するという問題があった。
【0008】
一方、粒子を添加する場合、粒子の分散性を上げるために粒子に表面処理を施したり、分散剤を添加したり等、物理的あるいは化学的に改質する方法が知られている(特開昭49−97822号公報、特開昭49−122535号公報等)。しかし、これらの特殊処理方法は未処理の場合に比べてコスト高となるが、改質のみで十分な分散を得ることは極めて困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリエステル中の粒子の分散性に優れ、実質的に粗大粒子が存在せず、従って、繊維、フイルム、及び樹脂成形品とする際の成形加工性に優れ、繊維の場合には単糸切れが少なく、フイルムの場合には易滑性とフイルム表面の均一性及び耐磨耗性に優れ、そして、樹脂成形品の場合には寸法安定性や耐衝撃性に優れ、且つベースポリマーに対して固有粘度が高く保持されたポリエステル組成物を容易に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の従来技術が有していた問題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、粒子の分散性とポリエステル樹脂組成物の固有粘度保持率とが不十分となる要因の一つとして、ポリエステル樹脂と粒子とを混練すると固有粘度の低下によるポリエステル樹脂の溶融粘度低下が起こり、粒子の分散に必要な剪断力が働いていないことを見出した。ベント付き混練押出機を用いてポリエステル樹脂と粒子とを混練する際に、該混練押出機内のポリエステル樹脂の溶融粘度を低下させない方法について更に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、
少なくとも1個のニュートラル型ニーディングディスクを含み、該ニーディングディスクの1枚あたりのリード幅Wとスクリュー直径Dとの比W/Dが0.3〜1.0の範囲にある混練ゾーンを複数個所に備えたベント付き混練押出機に、ポリエステル樹脂と平均粒径が0.01〜5μmの粒子とを供給・溶融混練してポリエステル樹脂組成物を製造するに際し、
該粒子と該粒子の重量以下のポリエステル(A)樹脂とを供給し、該ディスクを設置した第1の混練ゾーンのバレル内の温度を該ポリエステル(A)樹脂の融点±10℃の範囲内に保持しつつ該押出機内を2.0D長以上通過させた後、更に、ポリエステル(A)樹脂及び/又は固有粘度がポリエステル(A)樹脂よりも高いポリエステル(B)樹脂を追加供給して第2の混練ゾーンで溶融混練を行うことを特徴とする、ポリエステル樹脂組成物の製造方法により達成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法に用いるベント付き混練押出機は、少なくとも1つのベント孔を設けた混練押出機で、かつニュートラル型ニーディングディスクを設けていることが必要である。混練押出し機とは混練押出機能を有していれば、市販のいずれのタイプも用いることができ、一軸スクリュータイプでも二軸スクリュータイプでもよく、一軸ロータタイプでも二軸ロータタイプでも良い。また、連続式でもバッチ式でもどちらでも構わない。
【0013】
ベント孔は大気に開放されたオープンベント方式であっても、真空ポンプ又はエジェクターに接続して真空に保持して使用してもよい。好ましくは複数のベント孔を設け、粒子の供給口に隣接又は近隣する位置にオープンベントを設け、粒子が含有する水分やスラリーとして添加する場合、その媒体の留去を促進し、それらのオープンベントより下流側の位置に真空ベントを設けてポリエステル組成物の個有粘度が低下するのを防止するように構成する。
【0014】
また、上記のベント付き混練押出機の混練ゾーンは、1枚あたりのリード幅Wとスクリュー直径Dの比W/Dを0.3〜1.0の範囲に設定したニュートラル型ニーディングディスクを少なくとも1個具備する必要がある。
【0015】
該ニュートラル型ニーディングディスクは、ポリエステル樹脂と粒子からなる未混合物を滞留させて強い剪断力を付与し、粒子とポリエステル樹脂との混練を促進し、スラリー残部の添加時にポリエステル樹脂に高度な分散性との粘度を付与する働きを有する。
【0016】
ここで、該W/Dが0.3より小さいと十分な混練効果を得ることができず、逆に1.0を越えるとニーディングディスク同士及びニーディングディスクとバレル内壁との剪断発熱が大きくなり、樹脂の固有粘度の低下につながり、樹脂の推進をも妨げてしまう。該W/Dの好ましい範囲は0.3〜0.6である。
【0017】
更に、該ニュートラル型ニーディンググディスクはディスク枚数に応じて各ディスクの位相のずれが45°、60°、90°等となっているが、いずれの位相のものでも好適に用いることができる。
【0018】
このような形状のニーディングディスクでポリエステル樹脂と粒子とを混練するには、該ポリエステル樹脂を上記のベント付き混練押出機内において2.0D長以上の領域を通過させる必要があり、十分な剪断力を付与するために2.5D長以上であることがより好ましい。一方、10D長を越えると剪断力を極端に増加させることになり、ポリエステル樹脂の劣化を招きやすい。
【0019】
更に第1の混練ゾーンと第2以降の混練ゾーンではニーディスクの形状、個数、それらの構成が異なっていても何ら差し支えない。
【0020】
本発明の製造方法において用いるベント付き混練押出機において、ニュートラル型ニーディングディスクの組み込まれている領域の温度は、実質的に、該ポリエステル樹脂の融点近傍に保つ必要があり、具体的にはポリエステル(A)樹脂融点の±10℃以内にて運転することが必要である。該温度設定が高すぎる場合にはポリエステル樹脂の溶融粘度が下がりすぎて、混練効率が低下し、更に樹脂の熱劣化を誘発しやすい。一方、温度設定が低すぎると一部樹脂の固化が起きて、同じく混練効率が激減することがある。該温度設定については、バレルのヒーター温度と混練押出機のスクリュー回転数に起因する剪断発熱量とで制御すればよく、目的とする温度になるように適宜運転条件を設定すればよい。なお、剪断発熱量を適度なものとするには、スクリュー回転数を200〜600rpmの範囲内に設定することが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法において、ポリエステルに添加する粒子としては、無機粒子でも有機粒子でも良く、ここで無機粒子としては、コロイダルシリカ、湿式シリカ、乾式シリカなどの酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリナイト、チャイナクレー、タルク、アルミナ、ゼオライト、グラファイト、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の粒子を挙げることができ、一方、有機粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂、架橋シリコーン樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0022】
これら粒子の平均粒径は0.01〜5μmの範囲であることが必要である。平均粒径が5μmを越えると加工時の工程不良や製糸時の断糸が多くなり、実用上問題がある。一方、0.01μmよりも小さい粒子は、比表面積が極めて大きいため、ポリエステル樹脂内部における粒子の再凝集が著しい。
【0023】
また、これらの粒子は、特開平7−247119号公報、特開平4−7336号公報等によって提案されている様に、粒子の表面を粒子内部の組成とは異なる化合物で被覆していても、シランカップリング剤及び/又はチタンカップリング剤などで処理されていても固有粘度が著しく落ちない範囲であれば使用しても一向に構わない。なかでも、酸化珪素、酸化チタン、アルミナ、ポリスチレン、架橋シリコーン樹脂の粒子、あるいはこれらの粒子の表面を他の化合物で適度に被覆した粒子は比較的安価で混練効果を相乗的に高める場合が多く好ましい。なお、酸化チタンにはルチル型とアナターゼ型との2種の結晶系が知られているが、アナターゼ型の方が樹脂の劣化が小さく好ましく用いられる。
【0024】
ポリエステル樹脂組成物に対する粒子の含有量は粒子の種類と運転条件、製品の品質目標により適宜設定すればよいが、該樹脂組成物を基準として粒子含有量が0.1〜60重量%であることが好ましい。
【0025】
該含有量が上記の範囲内にあるときには、ポリエステル樹脂組成物の見掛けの粘度が適度なものとなり、更に良好な混練効果が得られ、経済的な観点からも好ましい。
【0026】
なお、粒子を50重量%以上添加しようとする場合には、混練効果を更に向上させるために、追加添加するポリエステル(A)樹脂及び/又はポリエステル(B)樹脂をベント付き混練機の数箇所から数段階で分割して供給してもよい。
【0027】
本発明の製造方法においては、ポリエステル(A)樹脂と粒子が混練分散されると剪断熱や粒子自身の分解活性により固有粘度が低下するので高剪断力を与えるためにポリエステル(A)樹脂及び/又はポリエステル(A)樹脂より固有粘度が高いポリエステル(B)樹脂を追加添加する。
【0028】
追加添加するポリエステル樹脂はポリエステル(A)樹脂単独でも、ポリエステル(B)樹脂単独でも、両者の混合物でも、いずれでもよいが、ポリエステル(A)樹脂単独で追加添加した場合には、使用する樹脂が同一となるので経済的に有利であり、銘柄切り替え時等の切り替えロスやポリエステル合成系の洗浄ロスが少ないので好ましい。
【0029】
ここで、ポリエステル(A)樹脂及びポリエステル(B)樹脂は、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレートからなる繰り返し単位が70モル%以上のポリエステルからなる群から選ばれたポリエステル樹脂である。
【0030】
該ポリエステル(A)樹脂及びポリエステル(B)樹脂には、ポリエステルの物性を損なわない範囲で、具体的には該樹脂を基準として30モル%未満で他の成分が共重合されていてもよく、該他の成分としては、酸成分としてのイソフタル酸成分、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分、アジピン酸成分、セバシン酸成分、フタル酸成分、無水フタル酸成分、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸成分、p−ヒドロキシ安息香酸成分、テレフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、などを挙げることができる。
【0031】
他方、ジオール成分としては、例えばエチレングリコール成分、1,4−ブタンジオール成分、ジエチレングリコール成分、プロピレングリコール成分、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール成分、ジプロピレングリコール成分、1,6−ヘキサンジオール成分、1,4−ヘキサンジメタノール成分、ジメチロールプロピオン酸成分、ポリ(エチレンオキシド)グリコール成分、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール成分などを挙げることができ、これらの共重合成分としての酸成分及びジオール成分は、複数の成分が共重合されていてもその総共重合量がポリエステル樹脂を基準として30モル%未満であれば一向にかまわない。
【0032】
また、本発明におけるポリエステル(A)樹脂及びポリエステル(B)樹脂は、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸モノカリウム塩などの多価カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物を本発明の製造方法の目的を奏する範囲内であれば共重合されていてもよい。
【0033】
ポリエステル(A)樹脂及び(B)樹脂は、前記の例示した化合物から常法によって得ることができる。すなわち、多価カルボン酸と多価ヒドロキシ化合物とをエステル化反応させた後、高温、減圧下にて重縮合させるか、又は多価カルボン酸のエステル形成性誘導体と多価ヒドロキシ化合物とをエステル交換反応後、高温、減圧下にて重縮合させることで製造することができる。
【0034】
ポリエステル(A)樹脂及びポリエステル(B)樹脂の固有粘度は、ベント付き混練押出機内での混練が終了した後、ペレット化、製糸、フィルム製膜等成形ができる範囲であれば特に制限はないが、好ましい固有粘度の範囲は0.60以上である。この範囲にあるときには、該ポリエステルの溶融粘度が適度なものとなり、溶融成形性が更に良好となる。
【0035】
ここで、ポリエステル(A)樹脂とポリエステル(B)樹脂との固有粘度を比べた際に、ポリエステル(B)樹脂の方が高いことが必要である。なぜならば追加添加するポリエステル(B)樹脂を粒子を既に含有させたポリエステル(A)樹脂の溶融粘度より低い場合には高い溶融粘度とすることができず高剪断力を発生させることができないためである。
【0036】
また、ポリエステル(A)樹脂と、追加添加するポリエステル(A)樹脂及び/又はポリエステル(B)樹脂との重量比は粒子の種類、運転条件及び目的とする製品の品質に従って最良の条件に設定すれば良く、ベント付き混練押出機内へ上記樹脂を追加添加する位置については、ポリエステル(A)樹脂と粒子とが混練ゾーンを通過した後から、該混練押出機内における最終混練ゾーンより前であれば、即ち、少なくとも、ポリエステル(A)樹脂と粒子との組成物と、追加添加した樹脂とが混練されるのであれば、いずれの場所に設定しても問題は無い。しかし、ポリエステル(A)樹脂と粒子とが混練ゾーンを通過した後からベント孔より前の間の任意の場所に設定することが好ましい。
【0037】
本発明の製造方法において、ポリエステル樹脂への粒子添加方法としては、粉体で添加しても、スラリー状態で添加してもどちらでも構わないが、スラリーで添加した場合には、粒子中の粗大粒子の除去や場合に応じて粒子の表面処理を容易に行うことができるので好ましい。スラリー状態にて添加する場合には、分散媒として水及び/又は沸点240℃以下の有機化合物を用いてスラリーとすることが好ましく、経済性や取り扱いの簡便さから水が最も好ましく用いられる。
【0038】
ここで、沸点240℃以下の有機化合物としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、エチレングリコールエーテルなどのエーテル類、その他エステル類、ケトン類、アミン類などを挙げることができ、就中、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、β−オキシエチルエーテル、β−オキシエチルメチルエーテルを用いることが好ましい。
【0039】
また、前記の粒子をスラリー状とするに当たり、これら分散媒としての水及び/又は沸点240℃以下の有機化合物は、一種を単独で用いても、2種以上を併用してもどちらでも良い。更に、均一に粒子が分散したスラリーを得るために、本発明の効果を損なわない範囲で分散助剤を添加してもよく、該分散助剤としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ビニル化合物とカルボン酸系単量体との共重合物の塩、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、アンモニア、各種のアンモニア塩、水酸化ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどの各種のナトリウム塩、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヒドロキサイドなどのオニウム化合物等を挙げることができる。
【0040】
水及び/又は沸点240℃以下の有機化合物を除去するためのベント孔のうち少なくとも一つは、減圧下に保持することが好ましく、この真空度としては100Torr以下であることが好ましく、20Torr以下であることがより好ましい。該真空度が上記の範囲内にある時には、得られる樹脂組成物の固有粘度保持率を更に向上させることができ、更に、ベント孔の真空度及び溶融混練時のバレル内壁温度を適度に設定することで任意の固有粘度に調節することも可能である。
【0041】
このようにしてベント付き混練押出機で得られたポリエステル組成物は、そのまま繊維化工程、製膜工程あるいは成形工程等へと送ることもできるし、造粒化工程で、ペレット化することもできる。
【0042】
本発明の製造方法において、組成物の固有粘度保持率は、出発原料のポリエステル(A)樹脂の固有粘度を基準として60%以上保持していると、次工程での工程安定性が更に安定するとともに、製品の物性も向上するので好ましく、ニーディングディスクの種類やスクリュー構成の選択、追加添加するポリエステル樹脂の固有粘度及び添加量を適宜設定することによって該保持率の範囲内とすることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、幅広い濃度範囲において、粗大粒子が実質的にない良好な分散状態にポリエステル樹脂中に粒子を分散・混合することができ、繊維、フイルム、及び樹脂成形品に成形加工する場合の成形加工性に優れ、また、繊維、フイルム、及び樹脂成形品としたときの製品品質にも優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、実施例中の種々の物性値及び特性は、以下の方法に従って測定した。
【0045】
(1)粒子の平均粒径:
島津製作所製CP−50型Centrifugal Particles Size Analyserを用いて測定した。そして、この測定器によって得られる遠心沈降曲線をもとに算出した各粒径の粒子とその存在量とのcumulative曲線から、50 mass percentに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とした(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0046】
(2)固有粘度:
1,1,2,2−テトラクロルエタン40重量部とフェノール60重量部の混合溶媒中35℃にて常法に従って測定した。
【0047】
(3)固有粘度保持率:
ポリエステル(A)樹脂の固有粘度を基準とした時のポリエステル樹脂組成物の固有粘度の比率を求め、固有粘度保持率とした。
【0048】
(4)ポリエステル中の粗大粒子:
ポリマー50mgを2枚のカバーグラス間に挟み込んで、280℃にて溶融プレスし、急冷させた後、位相差顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置「ルーゼックス500」を用いて顕微鏡像内の最大長が5.0μm以上の粒子数をカウントし、以下の基準に従って判定を行った。
特級:5.0μmをこえる粒子が全く見当たらないもの。
1級:5.0μmをこえる粒子数が5個/mm2未満であるもの。
2級:5.0μmをこえる粒子数が5〜10個/mm2であるもの。
3級:5.0μmをこえる粒子数が10個/mm2を越えるもの。
なお、特級及び1級のみを実用に供することができる。
【0049】
(5)ポリエステルを濾過した時の濾過圧力上昇速度:
小型1軸スクリュータイプ押出機の溶融ポリマー出側にポリマー定量供給装置を取り付け、更にその出側に内径64mmの2400メッシュ金網フイルターを2枚重ねて装着し、溶融ポリマーの温度を290℃一定にコントロールして、毎分33.3gの速度でポリマーを10時間連続して濾過し、この時のフイルター入側の圧力上昇値の平均値をもって、濾過圧力上昇速度とした。尚、この時濾過するポリマー中の粒子添加量は0.3重量%に統一し、以下の基準に従って判定を行った。
特級:濾過圧力上昇速度が、毎時5kg/cm2以下であるもの。
1級:濾過圧力上昇速度が、毎時5〜10kg/cm2であるもの。
2級:濾過圧力上昇速度が、毎時10〜20kg/cm2であるもの。
3級:濾過圧力上昇速度が、毎時20kg/cm2以上であるもの。
なお、特級及び1級のみを実用に供することができる。
【0050】
(6)ポリエステル中の粒子の分散性:
ポリエステル中の粒子の添加量を0.3重量%になるように、必要ならポリエステルベースチップで希釈した後、小型1軸スクリュータイプ押出機で押し出したポリエステルをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームで切断して切断面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率=5000〜10000倍)。30組の、任意に抽出した、互いに隣接する2つの粒子について、その粒子間の直線距離を測定し、平均値、標準偏差、変動係数を求め、以下の基準に従って判定した。
特級:変動係数が0.05未満であるもの。
1級:変動係数が0.05〜0.1であるもの。
2級:変動係数が0.1〜0.2であるもの。
3級:変動係数が0.2以上であるもの。
なお、特級及び1級のみを実用に供することができる。
【0051】
[実施例1]
上流側供給口と下流側投入口とを有し、W/Dが0.3、位相90°ずれでディスク長2.4Dのニュートラル型ニーディングディスクを備え、ベント孔を2つ備えた同方向回転型二軸スクリュータイプ混練押出機を、スクリュー回転数400rpmにて運転し、上流側供給口に170℃で4時間乾燥した融点264℃のポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.635)を15kg/hの流量で供給した。同時に粒子の全重量を基準として0.15wt%のトリメチロールプロパンをその表面に吸着被覆させた、平均粒径0.35μmのアナターゼ型酸化チタン粒子を25kg/hの流量で供給した。
【0052】
ポリエチレンテレフタレート樹脂の可塑化後、バレル内壁温度を255℃に保ちこの温度が平衡に達した時点で樹脂温度を測定した結果、268℃であった。ニーディングディスクを通過させて混練した樹脂組成物に対して、更に、上流側供給口に供給したものと同一のポリエチレンテレフタレート樹脂を10kg/hの流量にて下流側供給口に追加供給し、真空ベント領域を通過させた。
【0053】
ベント孔には各々独立したスチームエジェクターを設け、上流から順にそれぞれ8Torr、0.5Torrの真空度に保持し、樹脂温度を285℃で溶融押し出し後、ペレット化させて固有粘度0.595のポリエステル組成物ペレットを得た。このポリエステル組成物ペレットを用いて特性を評価した結果を表1に示す。
【0054】
[実施例2]
実施例1において、酸化チタン粒子を、粒子の全重量を基準として0.15wt%のトリメチロールプロパンをその表面に吸着被覆させた、平均粒径0.32μmのアナターゼ型酸化チタンを、更に、全重量を基準として60重量%の粒子濃度を有する水/テトラヒドロフラン(重量比9/1)を分散媒とするスラリーとし、該スラリーをサンドミルを通過させて実質5μm以上の粗大粒子を除去して後、42kg/hの流量にて供給したこと以外は同様の操作を行ってポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られた組成物をペレット化して、固有粘度0.590のポリエステル組成物ペレットを得た。このポリエステル組成物ペレットを用いて特性を評価した結果を表1に示す。
【0055】
[実施例3]
実施例1において、ニュートラル型ニーディングディスクの形状を表1記載の通りに変更し、更に、スラリーの媒体を水のみに変更し、更に、追加添加したポリエチレンテレフタレート樹脂を固有粘度0.71のものとすること以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0056】
[実施例4]
実施例3において、粒子の供給量及びポリエチレンテレフタレート樹脂の供給量を表1に示す通り、実施した。結果を表1に示す。
【0057】
[比較例1]
実施例1において、下流側供給口からポリエチレンテレフタレート樹脂を供給せずに、上流側供給口のみから、ポリエチレンテレフタレート樹脂を25kg/hの流量にて供給したこと以外は、同様の操作を行ったところ粒子の分散性は不十分であった。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例2]
実施例1において、ニュートラル型ニーディングセグメントを、ピッチ0.5D、長さ3.0Dのフルフライトスクリューに変更し、更に、スラリーの媒体を水のみとしたこと以外は同様の操作を行ったところ粒子の分散性は不十分であった。結果を表1に示す。
【0059】
[比較例3]
実施例1において、ニュートラル型ニーディングセグメントとして、W/Dが0.2、長さ2.0Dのニュートラル型ニーディングディスクを組み込んだこと以外は同様の操作を行ったところ粒子の分散性は不十分であった。結果を表1に示す。
【0060】
[比較例4]
実施例1において、ニュートラル型ニーディングセグメントとして、W/Dが0.3、長さ1.5Dのニュートラル型ニーディングディスクを組み込んだこと以外は同様の操作を行ったところ粒子の分散性は不十分であった。結果を表1に示す。
【0061】
[比較例5]
実施例1において、ニュートラル型ニーディングセグメントが組み込まれている領域のバレル内壁温度を255℃から変更して300℃に設定したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0062】
[比較例6]
実施例1において、粉体の投入量とポリエチレンテレフタレート樹脂の投入量の比率をポリエチレンテレフタレート樹脂を過剰に投入したこと以外は同様の操作を行ったところ分散性は不十分であった。結果を表1に示す。
【0063】
[実施例5、6]
実施例1において、表1に記載した通りに粒子種類、添加形態、粒子供給量、ポリエチレンテレフタレート樹脂供給量を変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Claims (4)
- 少なくとも1個のニュートラル型ニーディングディスクを含み、該ニーディングディスクの1枚あたりのリード幅Wとスクリュー直径Dとの比W/Dが0.3〜1.0の範囲にある混練ゾーンを複数個所に備えたベント付き混練押出機に、ポリエステル樹脂と平均粒径が0.01〜5μmの粒子とを供給・溶融混練してポリエステル樹脂組成物を製造するに際し、
該粒子と該粒子の重量以下のポリエステル(A)樹脂とを供給し、該ディスクを設置した第1の混練ゾーンのバレル内の温度を該ポリエステル(A)樹脂の融点±10℃の範囲内に保持しつつ該押出機内を2.0D長以上通過させた後、更に、ポリエステル(A)樹脂及び/又は固有粘度がポリエステル(A)樹脂よりも高いポリエステル(B)樹脂を追加供給して第2の混練ゾーンで溶融混練を行うことを特徴とする、ポリエステル樹脂組成物の製造方法。 - ポリエステル樹脂組成物を基準として、粒子含有量を0.1〜60重量%の範囲とする、請求項1記載の製造方法。
- 粒子をアナターゼ型酸化チタンとする、請求項1記載の製造方法。
- 粒子を、水及び/又は沸点240℃以下の有機化合物とのスラリーとして供給する、請求項1記載の製造方法。
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