JP4011255B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の油圧制御装置に関し、詳しくは、クラッチ等の摩擦係合要素の締結時に、油圧をプリチャージする構成の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用の自動変速機において、クラッチ等の摩擦係合要素を締結させるときに、油圧を摩擦係合要素に対してプリチャージすることで、摩擦係合要素の動作遅れを防止する構成が知られている(特開平5−106722号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来では、締結しようとする摩擦係合要素が直前に解放制御された摩擦係合要素であった場合などにおいて、油圧が抜け切っていない状態でプリチャージが行われる可能性があった。プリチャージは、通常、油圧が抜け切った状態の摩擦係合要素に対して行われ、係る条件に適合してプリチャージ圧・プリチャージ時間が設定されるため、前述のように、油圧が抜け切っていない状態でプリチャージが行われると、プリチャージによって過剰に油圧が上昇し、大きな変速ショックを発生させてしまう可能性があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、油圧が抜け切っていない状態でプリチャージが行われることがあっても、油圧の過剰上昇を回避でき、以って、変速ショックの発生を回避できる自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、摩擦係合要素を締結させるときに油圧のプリチャージを行う自動変速機の油圧制御装置であって、前回の解放制御において摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロにまで減少する過程における前記指示油圧の降下速度、及び、前記指示油圧がゼロになってからの経過時間に応じて、前記プリチャージを補正制御する構成とした。
【0006】
かかる構成によると、指示油圧をゼロに向けて減少変化させるときの変化速度によって実際の係合油圧の遅れが変化し、指示油圧がゼロになってからの経過時間が同じでも指示油圧の変化速度が異なっていた場合には、摩擦係合要素の係合油圧が異なる値を示すので、指示油圧がゼロになるまでの変化速度及びゼロになってからの経過時間に応じてプリチャージ開始直前の係合油圧を推定し、そのときの残圧に応じた特性でプリチャージを行わせる。
【0007】
請求項2記載の発明では、前記降下速度が速いほど、また、前記経過時間が短いほど、前記プリチャージにおける指示油圧をより低く、及び/又は、プリチャージ時間をより短く補正する構成とした。
【0008】
かかる構成によると、前記経過時間が長いほど、プリチャージにおける指示圧をより高く、プリチャージ時間をより長く設定する一方、指示圧の降下速度が速いほど、同じ経過時間に対して、プリチャージにおける指示圧をより低く、プリチャージ時間をより短く設定する。
【0009】
【発明の効果】
請求項1,2記載の発明によると、指示油圧の変化速度による係合油圧の遅れの変化に対応して、プリチャージ開始時の残圧を精度良く推定でき、プリチャージの開始時に残圧がある場合にプリチャージを補正することで、過剰な油圧の供給が行われることを回避し、以って、変速ショックの発生を防止できるという効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る油圧制御装置が適用される車両用の自動変速機を示す図であり、図示しない車両に搭載されるエンジン1の出力トルクは、自動変速機2の出力軸2aを介して駆動輪(図示省略)に伝達される。
【0011】
前記自動変速機2は、各種クラッチ,ブレーキなどの摩擦係合要素に対する係合油圧の供給をソレノイドバルブユニット3によって制御することで変速が行われる構成のものである。本実施の形態では、1方向クラッチを用いずに、2つの摩擦係合要素の締結と解放とを油圧制御によって同時に行わせる変速を実行する構成となっており、図2に示すように、解放させる摩擦係合要素の係合油圧を徐々に減少させつつ、締結させる摩擦係合要素の係合油圧を徐々に増大させ、解放側摩擦係合要素から締結側摩擦係合要素へのトルクの掛け替えが行われるようになっている。
【0012】
具体的には、自動変速機2は図3に示すように、トルクコンバータT/Cを介してエンジンの出力トルクを入力する構成であって、フロント遊星歯車組83,リヤ遊星歯車組84を備えると共に、摩擦係合要素として、リバースクラッチR/C,ハイクラッチH/C,バンドブレーキB/B,ロー&リバースブレーキL&R/B,フォワードクラッチFWD/Cを備える。尚、図3において、81は変速機の入力軸,82は変速機の出力軸を示し、また、Neはエンジン回転速度,Ntはタービン回転速度,Noは出力軸回転速度を示す。
【0013】
上記構成において、図4に示すように、前記リバースクラッチR/C,ハイクラッチH/C,バンドブレーキB/B,ロー&リバースブレーキL&R/B,フォワードクラッチFWD/Cの締結,解放の組み合わせに応じて変速が行われ、例えば、3速→4速のアップシフト時には、フォワードクラッチFWD/Cの解放と、バンドブレーキB/Bの締結とが同時に行われることになる。
【0014】
前記ソレノイドバルブユニット3の各ソレノイドバルブは、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット4によって制御されるが、クラッチ等の摩擦係合要素の締結制御においては、係合油圧のプリチャージを行って、クラッチ板とピストンとの隙間を予め埋めるよう構成されている。
【0015】
即ち、クラッチ等の摩擦係合要素の締結動作を必要とする変速要求が発生すると、まず、プリチャージを行って摩擦係合要素を接触直前まで無効ストロークさせた後、係合油圧を締結力が発生するぎりぎりの臨界圧に保持し、その後、摩擦係合要素の締結が解放制御にタイミングを合わせて行われる。
【0016】
ここで、前記プリチャージ制御の詳細を図5のフローチャートに従って説明する。図5のフローチャートにおいて、まず、ステップS21では、直前の変速で締結制御した摩擦係合要素の指示圧Pが0(完全解放相当値)になっているか否かを判別し、指示圧Pが0になっていない場合には、ステップS22へ進み、単位時間毎に1アップされるタイマーTMR1を0にリセットする。
【0017】
尚、指示圧P=0は、本実施形態において完全解放制御状態を示すものであるから、完全解放制御状態において指示圧P=0でない場合には、完全解放制御状態に相当する値になっているか否かを判別させる構成とすれば良い。
【0018】
更に、ステップS23では、指示圧Pが0まで減少する過程における指示圧Pの降下速度ΔPを算出する。一方、ステップS21で指示圧Pが0になっていると判別されると、ステップS24へ進み、前回の変速で解放制御した摩擦係合要素について今回の変速で締結制御を開始させるか否かを判別する。
【0019】
締結制御を行う場合には、ステップS25へ進み、プリチャージにおける指示圧の基本値を補正する補正係数Pαを、後述するタイマーTMR2の値及び指示圧Pの降下速度ΔPに基づいて設定し、次のステップS26では、プリチャージ時間の基本値を補正する補正係数Tαを、前記タイマーTMR2の値及び指示圧Pの降下速度ΔPに基づいて設定し、ステップS27では、前記補正係数Pα,Tαでプリチャージにおける指示圧及びプリチャージ時間を決定し、締結させる摩擦係合要素の指示圧を出力する。
【0020】
前記タイマーTMR2は、前記タイマーTMR1の値が所定値T1になってからの経過時間を計測するためのタイマーであり、前記所定値T1は、指示圧Pが0になってから、摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧が遅れて0になるまでの遅れ時間として予め設定されており、更に、摩擦係合要素の係合油圧は、前記油圧配管内の油圧に対して遅れて0にまで変化するので、前記タイマーTMR2によって計測される油圧配管内の油圧が0になってからの時間から、摩擦係合要素の係合油圧(残圧)を推定できる。
【0021】
前記補正係数Pα,Tαは、図6,7に示すように、タイマーTMR2による計測時間が長いほど、プリチャージにおける指示圧をより高く、プリチャージ時間をより長くするように設定される一方、指示圧Pの降下速度ΔPが速いほど、同じタイマーTMR2に対して、プリチャージにおける指示圧をより低く、プリチャージ時間をより短くするように設定される。
【0022】
上記実施形態では、指示圧Pから摩擦係合要素の係合油圧を推定し、更に、指示圧Pに対する摩擦係合要素の係合油圧の遅れ時間が、指示圧Pの変化速度に影響されることから、タイマーTMR2と共に、指示圧Pの降下速度ΔPに応じて補正係数Pα,Tαを設定する構成としてある。
【0023】
指示圧Pが0にまで低下する速度が速かった場合には、実際の摩擦係合要素の係合油圧の降下遅れが大きくなり、速度が遅かった場合に比べて同じ経過時間に対する残圧が高くなるので、指示圧Pが0にまで低下する速度が速かったときほど、プリチャージにおける指示圧をより低く、プリチャージ時間をより短くするようにしてある。
【0024】
上記実施形態によると、指示油圧の変化速度による係合油圧の遅れの変化に対応して、プリチャージ開始時の残圧を精度良く推定でき、プリチャージの開始時に残圧がある場合にプリチャージを補正することで、過剰な油圧の供給が行われることを回避し、以って、変速ショックの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される自動変速機を示すシステム図。
【図2】変速時の油圧制御の様子を示すタイムチャート。
【図3】自動変速機の詳細を示す構成図。
【図4】上記自動変速機における摩擦係合要素の締結状態の組み合わせによる変速の様子を示す図。
【図5】実施形態におけるプリチャージ制御を示すフローチャート。
【図6】実施形態におけるプリチャージ指示圧の特性を示す線図。
【図7】実施形態におけるプリチャージ時間の特性を示す線図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…自動変速機
3…ソレノイドバルブユニット
4…コントロールユニット
5…油圧センサ
83…フロント遊星歯車組
84…リヤ遊星歯車組
R/C…リバースクラッチ
H/C…ハイクラッチ
B/B…バンドブレーキ
L&R/B…ロー&リバースブレーキ
FWD/C…フォワードクラッチ
Claims (2)
- 摩擦係合要素を締結させるときに油圧のプリチャージを行う自動変速機の油圧制御装置であって、
前回の解放制御において摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロにまで減少する過程における前記指示油圧の降下速度、及び、前記指示油圧がゼロになってからの経過時間に応じて、前記プリチャージを補正制御することを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。 - 前記降下速度が速いほど、また、前記経過時間が短いほど、前記プリチャージにおける指示油圧をより低く、及び/又は、プリチャージ時間をより短く補正することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
Priority Applications (1)
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| JP2000051916A JP4011255B2 (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | 自動変速機の油圧制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2000051916A JP4011255B2 (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | 自動変速機の油圧制御装置 |
Publications (2)
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| JP2001241541A JP2001241541A (ja) | 2001-09-07 |
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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2000
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| JP2001241541A (ja) | 2001-09-07 |
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