JP4013766B2 - エンジンの排気還流制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジン(内燃機関)の排気還流制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼室内の内部EGRガス量を制御する内部EGRガス量制御手段と、排気の一部を排気系から外部還流通路を通じて吸気系へ還流する外部EGRガス量を制御する外部EGRガス量制御手段と、外部EGRガスを冷却するための水冷式冷却器とを備え、
(1)エンジンの低負荷時には比較的高温の内部EGRガス量を増加させ、吸気行程でのシリンダ内の吸入負圧を低減してポンピングロスを低下し、また水冷式冷却器の働きを停止して吸入混合気温度を高温に保つことにより燃焼の安定性を確保し、
(2)高負荷時になると水冷式冷却器により冷却された外部EGRガス量を増加させることで燃焼温度を低下させ、NOxの低減、熱負荷の低減、ノッキング発生の抑制を行い、
これによって、低負荷時のポンピングロス低減と高負荷時の熱負荷低減とを両立させつつノッキング発生防止を図るものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−175449号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸気コレクタと吸気マニホールドとからなる吸気部品を、樹脂により形成したものが増えてきている。樹脂はアルミニウムに比べて熱伝導率が悪いため、アルミニウムより吸入空気の温度が上昇しにくくその分だけ充填効率がよくなることや重量が軽いというメリットがあるためである。
【0005】
その一方で、外部EGRガスを導入したり燃焼室に内部EGRガスを残留させたりしてポンピングロスを低減することで燃費を向上することが行われているが、燃費を一段と向上させるため、より多くの外部EGRガスを導入することが要請されるようになってきている。
【0006】
しかしながら、上記の樹脂製吸気部品を備えるエンジンを対象として外部EGRガス量を増やすときにはその樹脂製吸気部品が、特にエンジンの高負荷時において高温となる外部EGRガスに晒されて耐久性が低下する(熱害を受ける)。
【0007】
熱害を受けないために樹脂製吸気部品に要求される部品耐熱上限温度は予めわかっているので、EGRクーラーによりエンジン高負荷時における高温の外部EGRガスをこの部品耐熱上限温度以下にまで冷却することが考えられるが、部品耐熱上限温度は樹脂では例えば170℃程度であり、エンジン高負荷時にこのような低い温度にまで外部EGRガスを冷却したのでは、エンジン高負荷時における燃焼安定性が悪化する。この燃焼安定性の悪化からの回復を図ろうと燃料増量を行ったのではEGRによる燃費向上効果が低下する。
【0008】
そこで本発明は、樹脂製吸気部品を介して空気を燃焼室に導入するようにしたエンジンを対象として、外部EGR装置と内部EGR装置とを用い、エンジン負荷状態に応じて外部EGRガス量(または外部EGR率)と内部EGRガス量(または内部EGR率)との分担割合を変化させ、高負荷になるほど内部EGRガス量の分担割合を増加させることにより、高負荷時の大量EGR条件下においても樹脂製吸気部品に対する熱害を抑制しつつ燃費向上効果を維持することを目的とする。
【0009】
これに対して、上記従来装置は、樹脂製吸気部品を備えるエンジンを対象とするものでなく、また高負荷時に、本発明と相違して外部EGRガス量を増加させると共に内部EGRガス量を減少させている。このように上記従来装置は、対象とするエンジンが異なり、かつ外部、内部のEGRガス量の制御方向が逆になっているなど、本発明とは技術的思想が異なっている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸気コレクタと吸気マニホールドからなり樹脂から形成される吸気部品を介して空気を燃焼室に導入するようにしたエンジンにおいて、排気通路と前記吸気マニホールドを連通するEGR通路と、このEGR通路を介して吸気マニホールドへと流れる排気の量を調整し得るEGR弁と、このEGR弁を駆動するアクチュエータとからなり外部EGR率または外部EGRガス量を調整可能な外部EGR装置と、内部EGR率または内部EGRガス量を調整可能な内部EGR装置と、外部EGRガスを導入するEGR領域のうち樹脂製吸気部品に対する熱害を招く可能性のある領域及び樹脂製吸気部品に対する熱害を招く領域でエンジン負荷状態に応じて前記外部EGR率または外部EGRガス量と前記内部EGR率または内部EGRガス量との分担割合を変化させ、高負荷になるほど前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させ、前記内部EGR率または内部EGRガス量の分担割合を増加させる分担割合制御手段とを備える。
【0011】
また、前記外部EGRガスと冷媒との間で熱交換を行わせて外部EGRガスを冷却する外部EGRガス冷却装置を備え、前記高負荷になるほど前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させる際に、燃焼安定性が悪化しない流量まで前記外部EGRガス冷却装置に流す冷媒流量を低下させる。
【0012】
【発明の効果】
高負荷時に従来より多い外部EGRガスを導入することによって、ポンピングロスの低下による一層の燃費向上効果が得られる一方で、高負荷時の高温の外部EGRガスにより金属以外の材料例えば樹脂から形成される吸気部品に対する熱害も大きくなるのであるが、本発明では、高負荷になるほど外部EGR率(または外部EGRガス量)の分担割合を減らし、内部EGR率(または内部EGRガス量)の分担割合を増やすので、樹脂製吸気部品に対する熱害を抑制でき、かつ外部EGR率の低下によって燃費が悪くなる分は内部EGR率の増加によって補われるため燃費向上効果も維持できる。
【0013】
このようにして本発明によれば、高負荷時の大量EGR条件下においても、樹脂製吸気部品に対する熱害を抑制しつつ格段の燃費向上効果を維持することができる。
【0014】
また、高負荷になるほど外部EGR率(または外部EGRガス量)の分担割合を減少させる際に、外部EGRガス冷却装置に流す冷媒流量が外部EGR率の分担割合を減少させる前と同じであると、外部EGRガスの冷却が相対的に強くなり過ぎ、高負荷時における燃焼安定性を悪化させることになるが、本発明によれば高負荷になるほど外部EGR率の分担割合を減少させる際に燃焼安定性が悪化しない流量まで外部EGRガス冷却装置に流す冷媒流量を低下させるので、燃焼安定性が損なわれることもない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明のシステムを説明するための概略図である。
【0017】
空気は吸気コレクタ2と吸気マニホールド3とからなる樹脂製の吸気部品を介して各気筒の燃焼室5に導入される。燃料は各気筒の吸気ポート4に配置された燃料インジェクタ21より噴射供給される。空気中に噴射された燃料は気化しつつ空気と混合してガス(混合気)を作り燃焼室5に流入する。この混合気は吸気弁15が閉じることで燃焼室5内に閉じこめられ、ピストン6の上昇によって圧縮される。
【0018】
この圧縮混合気に対して高圧火花により点火を行うため、パワートランジスタ内蔵の点火コイルを各気筒に配した電子配電システムの点火装置11を備える。点火装置11は、バッテリからの電気エネルギーを蓄える点火コイル13と、点火コイル13の一次側への通電、遮断を行うパワートランジスタと、燃焼室5の天井に設けられる点火プラグ14とからなっている。
【0019】
燃費が最良となる点火時期が基本点火時期として定められており、エンジンコントローラ31では運転条件(エンジンの負荷と回転速度)に応じて基本点火時期を演算し、実際のクランク角がこの点火時期に一致するとき、パワートランジスタ13を介して点火プラグ14の一次側電流を遮断することにより、点火時期を制御する。この点火時期は圧縮上死点より少し手前にあり、点火プラグ14により火花が飛ばされ燃焼室5内の圧縮混合気に着火されると、火炎が広がりやがて爆発的に燃焼し、この燃焼によるガス圧がピストン6を押し下げる仕事を行う。この仕事はクランクシャフト7の回転力として取り出される。燃焼後のガス(排気)は排気弁16が開いたとき排気通路8へと排出される。
【0020】
排気通路8には三元触媒9を備える。三元触媒9は排気の空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲(ウインドウ)にあるとき、排気に含まれるHC、CO、NOxといった有害三成分を同時に効率よく除去できる。空燃比は吸入空気量と燃料量の比であるので、エンジンの1サイクル(4サイクルエンジンではクランク角で720°区間)当たりに燃焼室5に導入される吸入空気量と、燃料インジェクタ21からの燃料噴射量との比が理論空燃比となるように、エンジンコントローラ31ではエアフローメータ32からの吸入空気流量の信号とクランク角センサ(33、34)からの信号に基づいて燃料インジェクタ21からの燃料噴射量を定めると共に、三元触媒9の上流に設けたO2センサ(図示しない)からの信号に基づいて空燃比をフィードバック制御している。
【0021】
吸気コレクタ2の上流には吸気絞り弁23がスロットルモータ24により駆動される、いわゆる電子制御スロットル22を備える。運転者が要求するトルクはアクセルペダル41の踏み込み量(アクセル開度)に現れるので、エンジンコントローラ31ではアクセルセンサ42からの信号に基づいて目標トルクを定め、この目標トルクを実現するための目標空気量を定め、この目標空気量が得られるようにスロットルモータ24を介して吸気絞り弁23の開度を制御する。
【0022】
主に燃費向上のためEGR装置(外部EGR装置)を備える。EGR装置は、排気通路8と吸気マニホールド3を連通するEGR通路25と、このEGR通路25を介して吸気マニホールド3へと流れる排気、つまり不活性ガス(外部EGRガス)の量(あるいは率)を調整し得るEGR弁26と、このEGR弁26を駆動するアクチュエータ27(例えばステップモータ)とからなり、外部EGRガスが吸気マニホールド3に導入されると、ポンピングロスが減ってそのぶん燃費がよくなる。
【0023】
また、燃焼室5内に不活性ガス(内部EGRガス)を残留させるため、作動角一定のまま吸気弁用カムの位相を連続的に制御し得る吸気バルブタイミングコントロール機構(以下、「VTC機構」という。)29(内部EGR装置)を備える。すなわち、吸気弁用カムシャフト28及びクランクシャフト7の各前部にはそれぞれカムスプロケット、クランクスプロケットが取り付けられ、これらスプロケットにタイミングチェーン(図示しない)を掛け回すことで、吸気弁用カムシャフト28がエンジンのクランクシャフト7により駆動されるのであるが、このカムスプロケットと吸気弁用カムシャフト28との間にVTC機構29を備えている。このVTC機構29では、VTC機構アクチュエータに信号を与えないとき、吸気弁用カムシャフト28が最遅角位置にあり、VTC機構アクチュエータに与える制御量を増やすほどカムスプロケットに対して吸気弁用カムシャフト28が進角側に回転するようになっている。この吸気弁用カムシャフト28の回転角を以下「カム位相」という。
【0024】
このカム位相つまり吸気弁15の開閉時期を変えると燃焼室5に残留する内部EGRガスの量が変化する。燃焼室5内の内部EGRガス量が増えるほどポンピングロスが減って燃費がよくなる。
【0025】
上記のEGR弁27とこのVTC機構29とは燃焼室5内に不活性ガスを導入するという意味では等価な働きをしている。両者により実現されるEGR率を区別するため、EGR弁27により実現されるEGR率を「外部EGR率」、VTC機構29により実現されるEGR率を「内部EGR率」という。
【0026】
EGR通路25にはEGRクーラー55(外部EGRガス冷却装置)を備える。これは、外部EGRガスを冷却するためのものである。EGRクーラー55は、内管と外管からなる2重構造をしており、内管を外部EGRガスが、外管をエンジン冷却水(冷媒)が流れる。図1には冷却水流路の一部しか示していないが、全体の冷却水流路は図2に示したようになっており、エンジン1(ウォータジャケット)への主流路53をバイパスする流路54にEGRクーラー55が介装されている。51はエンジンで暖められた冷却水を冷却するラジエータ、52はラジエータ51により冷やされた冷却水をエンジンに向け圧送するウォータポンプである。
【0027】
また、バイパス通路54にはEGRクーラー55を流れる冷却水流量を調整するための流量制御弁56を備える。
【0028】
さて、燃費を格段に向上させるため、より多くの外部EGRガスを導入することが要請されるようになってきている。
【0029】
しかしながら、樹脂製吸気部品を備えるエンジンを対象として外部EGRガス量を増やすときには樹脂製吸気部品に対する熱害を考慮する必要がある。
【0030】
そこで、外部EGRガスを導入するEGR領域と樹脂製吸気部品に対する熱害との関係を調べてみると、図3に示したように運転領域を概ね4つに分割することができ、各領域における樹脂製吸気部品に対する熱害は次のようになることがわかった。なお、本発明では、外部EGRガスを導入するEGR領域が従来装置より拡大し、かつ各領域での外部EGR率も従来装置より大きくなっている。
【0031】
領域R1:樹脂製吸気部品に対する熱害が問題とならない領域。
【0032】
領域R2:樹脂製吸気部品に対する熱害を招く可能性のある領域(短時間での溶損発生はないが、熱疲労の蓄積により溶損が発生する領域)。
【0033】
領域R3:樹脂製吸気部品に対する熱害を招く領域(短時間での溶損が発生する領域)。
【0034】
領域R4:外部EGRガスを導入しないため樹脂製吸気部品に対する熱害が問題とならない領域。
【0035】
すなわち、領域R1は低中負荷域かつ低中回転速度域で、外部EGR率を最も大きくしている。これに対して残りの領域R2、R3、R4はいずれも高負荷域かつ高回転速度域で、この領域を低負荷側かつ低回転側よりR2、R3、R4の3つに分けている。領域R4では外部EGRガスを導入しない、つまり外部EGR率=0であるので、残り2つの領域R3、R2についてこの順に外部EGR率を大きくしている。
【0036】
一方、排気温度は領域R1において最も低く、高負荷側の領域R2、R3において高くなる(例えば領域R1ではほぼ130℃未満、領域R2では130℃以上170℃未満、領域R3では170℃以上である)。領域R2、R3では外部EGRガスが高温となるので、EGRクーラー55により外部EGRガスをある程度は冷却するものの、それでも領域R3では短時間で樹脂製吸気部品に溶損が発生し、領域R2では短時間での溶損発生はないが、熱疲労の蓄積により溶損が発生する。
【0037】
そこでエンジンコントローラ31では、一段の燃費向上を狙い広い領域にわたって大量の外部EGR率が達成できるようにエンジンの負荷と回転速度に応じて外部EGR率基本値Pegr0を定めておき、この外部EGR率基本値Pegr0に基づいてEGR弁開度を算出し、このEGR弁開度となるようにEGR弁アクチュエータ27を制御すると共に、運転条件が領域R2またはR3にあるか否かを判定し、運転条件が領域R2またはR3にあるときには、領域R2、R3毎に樹脂製吸気部品の外部EGRガスからの受熱量Smheatをエンジンの負荷と回転速度及び吸入空気流量に基づいて算出(推定)し、その受熱量Smheatが、予め定めている部品耐熱要求クライテリアX以上となったとき、外部EGR率の分担割合を減少させかつ内部EGR率の分担割合を増加させる。すなわち、外部EGR率を減らすと共に、この外部EGR率の減少分を内部EGR率の増加で補い、トータルで燃費向上効果が変わらないようにする。
【0038】
これら外部EGR率、内部EGR率の分担割合の可変制御をさらに図4、図5を参照しながら説明すると、図4は領域R2での、図5は領域R3での定常運転状態での変化をモデル的に示す波形図である。
【0039】
図4において、領域R2では外部EGR率基本値Pegr0に従う流量の高温(例えば130℃〜170℃)の外部EGRガスが樹脂製吸気部品に導入されるので、領域R2での運転が継続すると樹脂製吸気部品の受熱量Smheatが増えてゆき、やがてt1で部品耐熱要求クライテリアXに達する(図4第1段目参照)。このときには、外部EGR率を基本値Pegr0より目標減量後外部EGR率P´egr2へと下げるため(図4第2段目参照)、基本値Pegr0に対するEGR弁開度の値より、目標減量後外部EGR率P´egr2に対するEGR弁開度の値へとEGR弁開度を小さくする(図4第3段目参照)。これにより、実際の外部EGR率は所定の傾きをもって小さくなり、t2において目標減量後外部EGR率P´egr2に追いつく。t1よりt2の期間は移行期間である。これは、EGR弁アクチュエータ27には応答遅れがあり、EGR弁アクチュエータ27の最高速度以上でEGR弁26を閉じることができないためである。
【0040】
また、外部EGR率をt1より低下させたことに対応してEGRクーラー55の冷却水流量を減少させる(図4第4段目参照)。これは、冷却水流量を減少させないとEGRクーラー55による冷却量が大きくなり過ぎ、高負荷領域である領域R2での燃焼安定性を悪化させてしまうので、これを避けるためである。従って、冷却水流量の流量低下代Qegrc2は領域R2での燃焼安定性の悪化を招かない流量までに制限する。
【0041】
一方、t1の前後で同じ良好な燃費向上効果が維持されるようにt1より内部EGR率を目標内部EGR率Piegr2に向かって所定の傾きで増加させ、t2で目標内部EGR率Piegr2と一致させるため(図4第5段目参照)、最遅角位置より目標内部EGR率Piegr2に対するカム位相の値へとカム位相を所定の傾きで進角し、t2で目標内部EGR率Piegr2に対するカム位相の値と一致させる(図4第6段目参照)。
【0042】
このようにして外部EGR率を減少させ、代わりに内部EGR率を増加させることで、図4最下段のように、130〜170℃あった外部EGRガス温度がt1より低下してt2では130℃未満の状態となり、これにより樹脂製吸気部品に熱疲労が発生することを回避できる。
【0043】
次に図5に移ると、全体的には図4と同様である。従って、ここでは図4との違いを主に述べると、領域R3では外部EGRガス温度が領域R2のときより高いため(例えば170℃以上)、受熱量Smheatの傾きが領域R2のときより急であり(図5最上段参照)、そのぶん部品耐熱要求クライテリアXに達するまでの時間が短い。また、領域R3での目標内部EGR率Piegr3のほうが、領域R2での目標内部EGR率Piegr2より大きい(図5第5段目参照)。
【0044】
領域R3でも領域R2と同様に、外部EGR率を減少させ、代わりに内部EGR率を増加させることで、図5最下段のように170℃を超えていた外部EGRガス温度が、t3より低下してt4ではほぼ130℃程度となり、これにより樹脂製吸気部品に溶損が発生することを回避できる。
【0045】
なお、領域R2、R3で高温の外部EGRガスを樹脂製吸気部品に導入することにより樹脂製吸気部品が熱害を受けるのであれば、最初から外部EGRガスの導入に頼らず内部EGRガスの導入のみを行うことが考えられる。しかしながら、このときには領域R1で内部EGR率を最も大きくするため吸排気のオーバーラップ量を大きくしなければならないが、もともと低温状態にある領域R1でこのようにオーバーラップ量を大きくしたのでは、安定した燃焼を得ることができない。従って、まずは外部EGRガスを導入し、熱疲労や溶損の事態を招く可能性が生じる領域R2、R3で外部EGR率を減らし、内部EGR率を増やすのが好ましいといえる。
【0046】
エンジンコントローラ31で実行されるこの外部EGR率、内部EGR率の分担割合の可変制御を以下に示すフローチャートにより詳述する。
【0047】
図6は外部EGRガス流量の減量を指示するフラグ(以下単に「減量フラグ」という。)を設定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0048】
ステップ1ではクランク角センサ33、34により検出されるエンジン回転速度Ne、基本噴射パルス幅Tp、エアフローメータ32により検出される吸入空気流量QAを読み込む。ここで、Tpは燃料噴射量の演算フローにおいて算出されている値で、エンジン負荷相当量である。
【0049】
ステップ2では運転条件(Ne、Tp)が図3に示す領域R2またはR3にあるか否かをみる。運転条件が領域R2またはR3になれけばそのまま今回の処理を終了する。
【0050】
運転条件が領域R2またはR3にあるときにはステップ3に進んで減量フラグをみる。この減量フラグはエンジン始動時にゼロに初期設定されているので、ステップ4に進み樹脂製吸気部品の外部EGRガスからの受熱量を算出する。この樹脂製吸気部品の外部EGRガスからの受熱量の算出については図7のフローにより説明する。
【0051】
図7において、ステップ11では外部EGR率基本値Pegr0を決定する。例えばエンジン回転速度Neと基本噴射パルス幅Tpとから図8の特性を内容とするマップを検索することにより外部EGR率基本値Pegr0を演算する。前述したように従来より外部EGRガスを導入する領域は拡大し、かつ外部EGR率基本値の値も従来より大きくなっている。
【0052】
ステップ12ではこの外部EGR率基本値Pegr0と吸入空気流量QAとから、
Qegr=QA×Pegr0…(1)
の式により外部EGRガス流量Qegrを算出する。
【0053】
ステップ13では排気温度Texhを決定する。例えばエンジン回転速度Neと基本噴射パルス幅Tpとから図9の特性を内容とするマップを検索することにより排気温度Texhを演算する。
【0054】
ステップ14では、EGRクーラー55に流す冷却水流量基本値Qcool0を決定する。例えばエンジン回転速度Neと基本噴射パルス幅Tpとから図10の特性を内容とするマップを検索することによりEGRクーラー55に流す冷却水流量基本値Qcool0を演算する。
【0055】
ステップ15では、EGRクーラー55による外部EGRガスの温度低下代Tegrcを、冷却水流量基本値Qcool0と外部EGR率基本値Pegr0とに基づいて決定する。例えば、Qcool0とPegr0とから図11の特性を内容とするマップを検索することによりEGRクーラー55による外部EGRガスの温度低下代Tegrcを演算する。図11のように冷却水流量が同じであれば、外部EGR率が大きいほど温度低下代は小さく、外部EGR率が同じであれば冷却水流量が多いほど大きい。
【0056】
ステップ16では、排気温度Texhとこの温度低下代Tegrcを用いて、
Tegr=Texh−Tegrc…(2)
の式により樹脂製吸気部品に導入される外部EGRガスの温度Tegrを算出する。
【0057】
ステップ17では、このEGRガス温度TegrをEGRガス流量Qegrに乗算した値を樹脂製吸気部品の所定時間当たりの受熱量Segrとして計算する。
【0058】
ステップ18では、この所定時間当たりの受熱量Segrを積算することによて、つまり
Smheat=Segr+Smheat(−1)…(3)
ただし、Smheat(−1):Smheatの前回値、
の式により領域R2あるいは領域R3になってからの樹脂製吸気部品の受熱量Sheatを算出する。なお、(3)式右辺のSmheat(−1)の初期値としては、エンジンの始動時または領域R2またはR3に入った直後にゼロを入れておく。
【0059】
ステップ19では次回の演算に備えて、今回値であるSmheatの値を前回値であるSmheat(−1)に移す。
【0060】
このようにして樹脂製吸気部品の受熱量Smheatを求めたら図6に戻り、ステップ5でこの樹脂製吸気部品の受熱量Smheatとしきい値Xを比較する。しきい値Xは図4、図5の最上段に示した部品耐熱要求クライテリアである。受熱量Smheatがしきい値X未満であればそのまま今回の処理を終了する。受熱量Smheatがしきい値X以上になると、ステップ6に進んで減量フラグ=1とする。
【0061】
図12、図13は外部EGR率を決定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0062】
ステップ21では図7のステップ11と同様にして外部EGR率基本値Pegr0を決定する。ステップ22では減量フラグをみる。減量フラグ=0であるときにはステップ23に進んで外部EGR率基本値Pegr0をそのまま外部EGR率Pegrに入れる。
【0063】
減量フラグ=1であるときにはステップ24に進み運転条件が領域R2とR3のいずれにあるのかを判定する。運転条件が領域R2にあるときにはステップ25〜34に、また領域R3にあるときには図13のステップ35〜44に進む。各領域における処理は同様であるので、領域R2での処理を主に説明する。
【0064】
ステップ25では移行済フラグ2(ゼロに初期設定)をみる。ここでは移行済フラグ2=0であるとして話を進めると、このときにはステップ26に進み減量フラグ=1となって初めてか否かをみる。減量フラグ=1となって初めてであるときにはステップ27、28に進んで移行処理のための初期設定を行う。すなわち、ステップ27では樹脂製吸気部品の熱的損傷に対して問題ない温度と燃焼安定性の確保が可能な温度との要求から定まる目標減量後外部EGR率P´egr2を決定する。例えば外部EGR率基本値Pegr0から図14の特性を内容とするテーブルを検索することにより目標減量後外部EGR率P´egr2を演算する。図14において一点鎖線はP´egr2=Pegr0の直線である。ここでは、外部EGR率の減量後にはPegr0より小さくしたいのであるから、P´egr2の特性を表す直線の傾きは、一点鎖線の傾きより小さくなる(図14実線参照)。
【0065】
ステップ28では外部EGR率基本値Pegr0をメモリである「PegrTR(−1)」に入れる。ここでは、外部EGR率を減量前の値である基本値Pegr0より減量後の値であるP´egr2へと所定の傾きをもって移行させるが、PegrTRはこの移行中の外部EGR率を表し、「PegrTR(−1)」はその前回値を表す。
【0066】
ステップ29では、次式により移行中の外部EGR率PegrTRを算出し、ステップ30でこれと目標減量後外部EGR率P´egr2とを比較する。
【0067】
PegrTR=PegrTR(−1)−Degr2…(4)
ただし、PegrTR(−1):PegrTRの前回値、
Degr2:移行速度を定める所定値(一定値)、
ここで、(4)式は、PegrTRを演算周期当たり所定値Degr2ずつ漸減する式である。所定値Degr2はEGR弁アクチュエータの駆動速度に応じて定める。
【0068】
移行中の外部EGR率を表すPegrTRが目標減量後外部EGR率P´egr2に到達していないときにはステップ31に進んでPegrTRを外部EGR率Pegrに入れる。移行中の外部EGR率を表すPegrTRが目標減量後外部EGR率P´egr2に到達していないときにステップ29を繰り返すと、やがてPegrTRが所定値Degr2ずつ小さくなって目標減量後外部EGR率P´egr2に到達する。このときにはステップ30よりステップ32に進んで移行済フラグ2=1とすると共に、ステップ33で目標減量後外部EGR率P´egr2を外部EGR率Pegrに入れる。
【0069】
移行済フラグ2=1としたことにより、次回からはステップ25よりステップ34に進み、目標減量後外部EGR率P´egr2を外部EGR率Pegrに入れる。ステップ34は移行後の処理である。
【0070】
領域R3での処理である図13のステップ35〜44は領域R2での処理である図12のステップ25〜34と同様である。すなわち、ステップ35〜44における「2」を「3」に置き換えてやれば、領域R3での処理であるステップ35〜44の操作が得られる。なお、ステップ37では外部EGR率基本値Pegr0から図14破線の特性を内容とするテーブルを検索することにより、樹脂製吸気部品の熱的損傷に対して問題ない温度と燃焼安定性の確保が可能な温度との要求から定まる領域R3での目標減量後外部EGR率P´egr3を演算する。領域R3での目標減量後外部EGR率P´egr3は領域R2での目標減量後外部EGR率P´egr2より傾きが小さい。
【0071】
このようにして決定された外部EGR率Pegrに基づいて外部EGRガス流量(Pegr×QA)が算出され、この外部EGRガス流量よりEGR弁開度が算出され、このEGR弁開度が達成されるようにEGR弁アクチュエータ27が制御される。
【0072】
図15は目標内部EGR率及び目標カム位相を決定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0073】
ステップ51では減量フラグをみる。減量フラグ=0であるときにはステップ52に進んで目標内部EGR率Piegr=0とし、ステップ53では目標カム位相θegr=0とする。このとき、VTC機構29は最遅角位置にある。
【0074】
減量フラグ=1であるときにはステップ51よりステップ54に進んで運転条件が領域R2またはR3のいずれにあるか否かをみる。運転条件が領域R2にあるときにはステップ55〜57、62に、運転条件が領域R3にあるときにはステップ59〜61、62に進む。
【0075】
各領域における処理は同様であるので、ここでも領域R2での処理を主に説明する。
【0076】
ステップ55では外部EGR率Pegr(図12、図13により決定されている)を読み込み、ステップ56でこの外部EGR率Pegrに基づいて領域R2での目標内部EGR率をPiegr2を決定する。例えば、外部EGR率Pegrから図16の特性を内容とするテーブルを検索することにより領域R2での目標内部EGR率Piegr2を演算する。
【0077】
図16に示したように、目標内部EGR率Piegr2は外部EGR率Pegrが小さくなるほど大きくなる値である。減量フラグ=1であるときの外部EGR率Pegrは図12、図13で前述したように移行中はPegrTRに等しく(図12ステップ30、31参照)、移行後にはP´egr2になる(図12ステップ30、33、ステップ25、34参照)。移行中の外部EGR率を表すPegrTRはPegr0よりP´egr2へと小さくなる(図12ステップ26〜29参照)。従って、移行中の外部EGR率を表すPegrTRがPegr0よりP´egr2へと小さくなるとき、図16によればこれに合わせて目標内部EGR率Piegr2が0より大きくなる。
【0078】
ステップ57では領域R2での目標内部EGR率Piegr2を目標内部EGR率Piegrに入れる。
【0079】
領域R3での処理であるステップ59〜61は領域R2での処理であるステップ55〜57と同様である。すなわち、ステップ55〜57における「2」を「3」に置き換えてやれば、ステップ59〜61の操作が得られる。なお、ステップ60では外部EGR率Pegrから図16破線の特性を内容とするテーブルを検索することにより領域R3での目標内部EGR率Piegr3を演算する。同じ外部EGR率Pegrに対して領域R3での目標内部EGR率Piegr3のほうが領域R2での目標内部EGR率Piegr2より値が大きい(図16参照)。
【0080】
ステップ62では、このようにして求めた目標内部EGR率Piegrに基づいてVTC機構29の目標カム位相θegrを決定する。例えば、目標内部EGR率Piegrから図17の特性を内容とするテーブルを検索することによりVTC機構29の目標カム位相θegrを演算する。
【0081】
このようにして決定される目標カム位相θegrが得られるようにVTC機構アクチュエータが制御される。
【0082】
図18はEGRクーラー55の冷却水流量を決定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0083】
ステップ71ではエンジン回転速度Neと基本噴射パルス幅Tpを読み込み、ステップ72でこれらに基づいてEGRクーラー55の冷却水流量基本値Qcool0を決定する。例えばエンジン回転速度と基本噴射パルス幅Tpとから図10の特性を内容とするテーブルを検索することによりEGRクーラー55の冷却水流量基本値Qcool0を演算する。
【0084】
ステップ73では減量フラグをみる。減量フラグ=0であるときにはステップ74に進んでこの基本値Qcool0をそのままEGRクーラー55の冷却水流量Qcoolに入れる。
【0085】
減量フラグ=1であるときにはステップ73よりステップ75に進んで運転条件が領域R2またはR3のいずれにあるか否かをみる。運転条件が領域R2にあるときにはステップ76〜78に、運転条件が領域R3にあるときにはステップ79〜81に進む。
【0086】
各領域における処理は同様であるので、領域R2での処理を主に説明する。
【0087】
ステップ76で外部EGR率Pegr(図12、図13により決定している)を読み込み、ステップ77でこの外部EGR率Pegrに基づいて、領域R2における冷却水流量基本値Qcool0からの流量低下代Qegrc2を決定し、ステップ78において次式によりEGRクーラー55に流す冷却水流量Qcoolを算出する。
【0088】
Qcool=Qcool0−Qegrc2…(5)
領域R2での流量低下代Qegrc2は、例えば外部EGR率Pegrから図19の特性を内容とするテーブルを検索することにより演算する。
【0089】
図19に示したように流量低下代Qegrc2は外部EGR率Pegrが小さくなるほど小さくなる値である。この流量低下代は、減量フラグ=1となったことより外部EGR率を減らすときにEGRクーラー55に流す冷却水流量も減らすこととして、外部EGRガスを冷やしすぎないようにするためのものである。
【0090】
減量フラグ=1であるときの外部EGR率Pegrは図12、図13で前述したように移行中はPegrTRに等しく、移行後にはP´egr2になる。移行中の外部EGR率を表すPegrTRはPegr0よりP´egr2へと小さくなる。従って、移行中の外部EGR率を表すPegrTRがPegr0よりP´egr2へと小さくなるとき、図19によればこれに合わせて流量低下代Qegrc2だけ冷却水流量が減る。
【0091】
領域R3での処理であるステップ79〜81は領域R2での処理であるステップ76〜78と同様である。すなわち、ステップ76〜78における「2」を「3」に置き換えてやれば、ステップ79〜81の操作が得られる。なお、ステップ80では外部EGR率Pegrから図19破線の特性を内容とするテーブルを検索することにより領域R3での流量低下代Qegrc3を演算する。同じ値の外部EGR率Pegrに対して領域R3での流量低下代Qegrc3のほうが領域R2での流量低下代Qegrc2より小さい(図19参照)。
【0092】
このようにして決定される冷却水流量Qcoolが流れるように流量制御弁56が制御される。
【0093】
なお、前述した上記のフローはかなり簡略化して示している。すなわち、領域R2に運転条件がある場合に減量フラグ=1となったことより外部EGR率を基本値Pegr0より目標減量後外部EGR率P´egr2へと変化させ、移行中の外部EGR率を表すPegrTRがこの目標減量後外部EGR率P´egr2と一致したタイミングで減量フラグ=0としているが、減量フラグ=1となった後かつ減量フラグ=0となる前に運転条件が領域R2より外れることも考えられる。しかしながら、この場合まで含んで上記のフローを作成してはいない。
【0094】
また、領域R2で図4に示す制御が一度行われたら同じ領域R2にとどまる限り、2度目、3度目と図4に示す制御が繰り返し行われることはない。領域R2で図4に示す制御が一度行われた後に、運転条件が変化して領域R2を外れ、再び領域R2に戻ってきたときには、再び図4に示す制御が一度だけ行われる。
【0095】
また、図4、図5には樹脂製吸気部品の受熱量が単純に増加する場合を示しているが、樹脂製吸気部品は外部EGRガスより熱を受領するだけでなく運転条件によっては外部EGRガスに対して熱を放出することがあるので、実際には樹脂製吸気部品の受熱量は増えたり減ったりする。この樹脂製吸気部品からの放熱量についても運転条件に応じて推定できるので、この場合を本発明から除くものではない。
【0096】
ここで、本実施形態の作用を説明する。
【0097】
領域R1では、EGRガス温度による樹脂製吸気部品への熱害が問題とならないため、EGR弁26を開いて外部EGRガスを樹脂製吸気部品へと導入している。その際、EGRクーラー55は作動させずに燃焼安定性の要求から定まる外部EGR率基本値Pegr0まで外部EGR率を増加させており、これにより燃費向上効果を最大限に引き出すことができる。
【0098】
領域R2では、外部EGRガス温度が130〜170℃といった比較的高温となるために、長時間にわたり樹脂製吸気部品がこの温度の外部EGRガスに晒されると、樹脂製吸気部品の熱的損傷を招く恐れがある。この領域R2では、外部EGRガスを導入するが、エンジンコントローラ31により求められた樹脂製吸気部品の受熱量Smheatが、樹脂製吸気部品の熱的な要求から定まるしきい値Xに達したときに、外部EGR率を、樹脂製吸気部品の熱的損傷に対して問題ない温度と燃焼安定性の確保が可能な温度との要求から定まるEGR率(P´egr2)となるまで減少させる。このとき、EGRクーラー55の作動は、ガス温度の低下を招き、燃焼安定性を悪化させるため、冷却水流量は必要最小限に制御する。また、並行してVTC機構29を制御し、吸排気弁のバルブオーバーラップ量を増加させ、内部EGR率の分担割合を増加させることで、外部EGR率が低下することによる燃費向上効果の低下を補うことができる。
【0099】
領域R3での作用は領域R2での作用と同様である。すなわち、領域R3においては樹脂製吸気部品が170℃を超える高温のEGRガスに晒されることで熱的損傷を招いてしまうため、領域R2と同様に、外部EGR率を、樹脂製吸気部品の熱的損傷に対して問題ない温度と燃焼安定性の確保が可能な温度との要求から定まるEGR率(P´egr3)となるまで減少させる。このときにも、EGRクーラー55の作動は、ガス温度の低下を招き、燃焼安定性を悪化させるため、冷却水流量は必要最小限に制御する。また、並行してVTC機構29を制御し、バルブオーバーラップ量を増加させ、内部EGR率の分担割合を領域R2に対してさらに増加させることで、外部EGR率が低下することによる燃費効果の低下を補うことができる。
【0100】
ここで、外部EGR装置としてのEGR弁26と、内部EGR装置としてのVTC機構29とを併用し、高負荷になるほど外部EGR率の分担割を減少させ、内部EGR率の分担割合を増加させる必要性について説明する。逆に言えば、EGR弁26とEGRクーラー55のみに頼ることは次の2つの懸案を生じさせる。
【0101】
一つ目の懸案は、高負荷時における高温の外部EGRガスを樹脂製吸気部品に導入するにしても、樹脂製吸気部品の耐熱性の要求から限界があることである。例えば150℃の外部EGRガスが直接に樹脂製の吸気コレクタ2に導入されると、外部EGRガスが直接あたる面が溶損を引き起こしてしまう。また、例えば130℃の外部EGRガスが導入されるときには、すぐに溶損が発生するには至らないが、長時間同じ領域で運転することで熱的な疲労が蓄積し、溶損が発生する恐れがある。
【0102】
もう一つの懸案は、外部EGR装置を用いたときに、EGRクーラー55の作動による外部EGRガスの冷却は、高負荷時においても燃焼速度を低下させ、燃焼安定性に対して悪影響が大きいことである。このとき、燃焼安定性の面から外部EGR率に制限が課せられるため、結果的に外部EGRガスの導入による燃費効果を低下させてしまうことになる。
【0103】
これに対して、外部EGR率の分担割合を減少し、内部EGR率の分担割合を増加させることで、上述の二つの懸案を同時に解決することが可能となる。
【0104】
このように、本実施形態(請求項3、4に記載の発明)では、外部EGRガスを導入する領域を拡大すると共に、その領域での外部EGR率(外部EGR率基本値Pegr0)をも大きくし、この外部EGR率基本値Pegr0が得られるようにEGR弁開度を制御することで、EGRによる格段の燃費向上効果を得る一方、外部EGR率基本値Pegr0と吸入空気流量QAとから外部EGRガス流量Qegrを算出し、この外部EGRガス流量QegrとEGRガス温度Tegrとから樹脂製吸気部品の受熱量Smheatを算出し、この樹脂製吸気部品の受熱量Smheatがしきい値X以上となったときには外部EGR率を減少させると共に内部EGR率を増加させ、かつEGRクーラーに流す冷却水流量を燃焼安定性が悪化しない流量まで低下させることで、樹脂製吸気部品に導入される外部EGRガスの温度が適正に保たれる。
【0105】
これにより樹脂製吸気部品の耐熱要求を満足しつつ燃焼安定性を確保し、かつEGRによる燃費向上効果を維持することが可能となった。
【0106】
実施形態では金属以外の材料として樹脂の場合で説明したが、これに限らず、高温の外部EGRガスにより熱害を受ける材料であれば本発明の適用がある。
【0107】
実施形態では、外部EGR率と内部EGR率の分担割合を可変制御する場合で説明したが、外部EGRガス量と内部EGRガス量の分担割合を可変制御するようにしてもかまわない。
【0108】
実施形態に限らず、エンジン負荷状態に応じて外部EGR率(または外部EGRガス量)と内部EGR率(または内部EGRガス量)との分担割合を変化させ、高負荷になるほど外部EGR率の分担割合を減少させ、内部EGR率の分担割合を増加させるようにしてもかまわない(請求項1に記載の発明)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のシステム概略図。
【図2】冷却水流路図。
【図3】運転領域図。
【図4】領域R2での外部EGR率及び内部EGR率の変化を示す波形図。
【図5】領域R3での外部EGR率及び内部EGR率の変化を示す波形図。
【図6】減量フラグの設定を説明するためのフローチャート。
【図7】樹脂製吸気部品の受熱量の算出を説明するためのフローチャート。
【図8】外部EGR率基本値の特性図。
【図9】排気温度の特性図。
【図10】冷却水流量基本値の特性図。
【図11】温度低下代の特性図。
【図12】外部EGR率の決定を説明するためのフローチャート。
【図13】外部EGR率の決定を説明するためのフローチャート。
【図14】目標減量後外部EGR率の特性図。
【図15】目標内部EGR率及び目標カム位相の決定を説明するためのフローチャート。
【図16】目標内部EGR率の特性図。
【図17】目標カム位相の特性図。
【図18】EGRクーラー冷却水流量の決定を説明するためのフローチャート。
【図19】流量低下代の特性図。
【符号の説明】
22 燃料インジェクタ
25 EGR通路
26 EGR弁(外部EGR装置)
29 VTC機構(内部EGR装置)
31 エンジンコントローラ
55 EGRクーラー(外部EGRガス冷却装置)
56 流量制御弁
Claims (6)
- 吸気コレクタと吸気マニホールドからなり樹脂から形成される吸気部品を介して空気を燃焼室に導入するようにしたエンジンにおいて、
排気通路と前記吸気マニホールドを連通するEGR通路と、このEGR通路を介して吸気マニホールドへと流れる排気の量を調整し得るEGR弁と、このEGR弁を駆動するアクチュエータとからなり外部EGR率または外部EGRガス量を調整可能な外部EGR装置と、
内部EGR率または内部EGRガス量を調整可能な内部EGR装置と、
外部EGRガスを導入するEGR領域のうち樹脂製吸気部品に対する熱害を招く可能性のある領域及び樹脂製吸気部品に対する熱害を招く領域でエンジン負荷状態に応じて前記外部EGR率または外部EGRガス量と前記内部EGR率または内部EGRガス量との分担割合を変化させ、高負荷になるほど前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させ、前記内部EGR率または内部EGRガス量の分担割合を増加させる分担割合制御手段と
を備えることを特徴とするエンジンの排気還流制御装置。 - 前記外部EGRガスと冷媒との間で熱交換を行わせて外部EGRガスを冷却する外部EGRガス冷却装置を備え、
前記高負荷になるほど前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させる際に、燃焼安定性が悪化しない流量まで前記外部EGRガス冷却装置に流す冷媒流量を低下させることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気還流制御装置。 - 樹脂から形成される吸気部品を介して空気を燃焼室に導入するようにしたエンジンにおいて、
外部EGR率または外部EGRガス量を調整可能な外部EGR装置と、
内部EGR率または内部EGRガス量を調整可能な内部EGR装置と、
エンジン負荷状態に応じて前記外部EGR率または外部EGRガス量と前記内部EGR率または内部EGRガス量との分担割合を変化させ、高負荷になるほど前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させ、前記内部EGR率または内部EGRガス量の分担割合を増加させる分担割合制御手段と、
前記吸気部品に対する外部EGRガスによる熱履歴を推定する熱履歴推定手段と
を備え、
前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させ、前記内部EGR率または内部EGRガス量の分担割合を増加させるのは、この推定した吸気部品に対する外部EGRガスによる熱履歴が耐熱性の限界によって定まるしきい値以上となったときであることを特徴とするエンジンの排気還流制御装置。 - 前記外部EGRガスと冷媒との間で熱交換を行わせて外部EGRガスを冷却する外部EGRガス冷却装置を備え、
前記推定した吸気部品に対する外部EGRガスによる熱履歴が耐熱性の限界によって定まるしきい値以上となる前に前記外部EGRガス冷却装置により外部EGRガスを冷却し、
前記外部EGR率または外部EGRガス量の分担割合を減少させるときには燃焼安定性が悪化しない流量まで前記外部EGRガス冷却装置に流す冷媒流量を低下させることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気還流制御装置。 - 前記熱履歴は外部EGRガスからの前記吸気部品に対する受熱量であることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気還流制御装置。
- 前記受熱量をエンジンの負荷と回転速度及び吸入空気量に基づいて推定することを特徴とする請求項5に記載のエンジンの排気還流制御装置。
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