JP4019793B2 - 車両用シートのサイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートのサイドエアバッグ装置に関し、特にエアバッグがシートバックサイドにおける上下方向のほぼ全域にわたって膨張展開する大きさに設定された車両用シートのサイドエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用シートのサイドエアバッグ装置としては、例えば特開平9−123860号公報に開示されている技術が公知である。この技術では、シートバックのサイドに内蔵されたエアバッグケースの中にエアバッグが収納され、このエアバッグケースにおける外向きの開口部が力布で塞がれている。この力布は、その一端がエアバッグケースに固定され、先細形状の他端がシートカバーにおける破断用の縫合部に共縫いされている。この構造により、エアバッグの膨張圧力が力布を通じて縫合部に集中して作用し、この縫合部を迅速に破断させる。
【0003】
この公報に開示されている技術からも明らかなように、力布は、エアバッグの膨張によって破断させることが予定されている縫製ラインの破断開始部位に力を集中させる役目を果たす。つまり破断開始部位におけるシートカバーの伸びを力布で抑え、縫製ラインの破断を瞬時に開始させる。したがって力布に伸びが生じるようでは、その機能を充分に果たせないことになる。そこで力布は、その織布の縦糸もしくは横糸の方向と、エアバッグの膨張によって力を受ける方向とを合わせている。
【0004】
図4は一般的なサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートの概略図である。この図面の仮想線は、サイドエアバッグ装置のエアバッグ132が膨張展開した状態を示している。エアバッグ132はシートバック12のシートカバにおける所定の縫製ライン122を破断して膨張展開する。この大きさのエアバッグ132を展開させるのに必要な縫製ライン122の破断領域は比較的短い距離で済むことから、力布140の幅も小さく設定されている。
しかしながらサイドエアバッグ装置の機能を高めるためにエアバッグ132を後述するように大型にすると、それに合わせて縫製ライン122の破断領域も拡張する必要がある。この破断領域の拡張に伴い、力布140の少なくとも縫製ライン122側の幅を大きく設定しなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エアバッグの大型化に基づいて縫製ライン側の幅のみを大きくした力布は、その全体形状が台形になる。その結果、力布が力を受ける方向と織布のバイアス方向とが一致する場合があり、力布に伸びが生じやすくなって本来の役目を果たせなくなる。
本発明は前記課題を解決しようとするもので、その目的は、破断が予定されている縫製ライン側の幅を大きくした力布であるにもかかわらず、その伸びを抑えて縫製ラインの破断開始部位に対する力の集中性を高めることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するためのもので、つぎのように構成されている。
シートバックに内蔵されたエアバッグが、その膨張圧によってシートカバーを所定の縫製ラインで破断して膨張展開するサイドエアバッグ装置であって、前記エアバッグがシートバックのサイドにおける上下方向のほぼ全域にわたって膨張展開する大きさに設定されている。縫製ラインの破断が開始される部位に力を集中させるための力布は、前記シートバックのフレームに結合される結合縁が短く、その反対側で前記縫製ラインに沿って縫合される縫合縁が長い矩形状に設定されている。しかも前記力布は、織布が用いられ、かつその結合縁と縫合縁との相対応する端部を結ぶ二辺のうち、長い方の辺を織布の縦糸もしくは横糸の方向に合わせて裁断されている。
この構成においては、エアバッグの大型化に伴って拡張されるシートカバーの縫製ラインの破断領域に対応させて力布の縫合縁を長く設定しても、エアバッグの膨張圧によって縫製ラインを破断するときの力布の伸びが抑えられる。したがって、縫製ラインの破断開始部位に力を効果的に集中させ、エアバッグを速やかに膨張展開させることができる。
しかも、力布の結合縁と縫合縁との相対応する端部を結ぶ二辺のうち、長い方の辺を織布の縦糸もしくは横糸の方向に合わせたことにより、シートカバーの縫製ラインが破断するときに、力布の結合縁から最も離れていてエアバッグの膨張圧に対する応力を掛けにくい箇所にも力を掛けることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1はサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートの概略図、図2は図1のA-A矢視における拡大断面図である。図1で示すように車両用シートは、シートクッション10とシートバック12とを備えている。そしてサイドエアバッグ装置が作動したとき、図1の仮想線で示すようにエアバッグ32が膨張展開する。展開状態のエアバッグ32は、シートバック12のサイドにおいて上下方向のほぼ全域にわたって保護できる大きさに設定されている。
【0010】
図2で示すようにシートバック12の構造は、シートフレーム14の外側にシートパッド16が位置し、かつシートパッド16の外側がシートカバー20で被われている。なおシートパッド16の背面はパッド支持部材15で支えられている。またシートバック12の背面部を構成しているバックボード18は、その基材18aの表面が表皮材18bで被われた構造になっている。
【0011】
シートバック12内のサイド部において、シートフレーム14とシートパッド16との間に構成されたエアバッグ用の収納空間16aには、サイドエアバッグ装置のエアバッグユニット30が組み込まれている。このエアバッグユニット30は、エアバッグ32の中にインフレータ34が収納され、このインフレータ34が衝撃感知センサー(図示外)からの信号に基づいて作動圧を発生し、それによってエアバッグ32が膨張する。
【0012】
シートパッド16には、エアバッグ用の収納空間16aに連続し、かつシートバック12の外に向かって延びる破断促進部16bが設けられている。この破断促進部16bは、エアバッグ32の膨張圧力によるシートパッド16の破断を促してエアバッグ32を展開させる。そしてシートカバー20は、破断促進部16bの延長箇所に位置する縫製ライン22を、その他の縫製ラインよりも破断しやすくしている。この縫製ライン22の縫い目に沿った方向(図1の上下方向)の破断領域は、エアバッグ32の大型化に伴って拡張されている。なお縫製ライン22は、他の縫製ラインに使用される縫い糸よりも破断しやすい番手や強度の縫い糸を用いている。
【0013】
シートカバー20の内側には力布40が設けられ、この力布40は縫製ライン22の破断が開始される部位に力を集中させるために用いられる。力布40は、シートカバー20の縫製ライン22において分かれた二枚の力布40A,40Bによって成り立っている。これらの力布40A,40Bは、個々に図1で示すような台形状をしている。力布40A,40Bにおける縦向きの二つの縁のうち、短い方の結合縁42がシートフレーム14に結合され、長い方の縫合縁44が縫製ライン22に沿ってシートカバー20に縫合される。
【0014】
図2で示すように力布40A,40Bの結合縁42は、それぞれの結合プレート46,47に縫い付けられている。そして個々の結合プレート46,47は互いに重ね合わされた状態で、シートフレーム14の背面にボルト・ナット48により結合されている。これに対して力布40A,40Bの縫合縁44は縫製ライン22においてシートカバー20と共に縫合されている。すなわち一方の力布40Aは、その結合プレート47と縫製ライン22との間においてシートパッド16の外側面に倣った状態で張られている。また他方の力布40Bは、シートパッド16の前面側と背面側とにわたって形成されたスリット16cを通じて結合プレート47と縫製ライン22との間に張られている。
【0015】
力布40A,40Bにおける個々の結合縁42は、図4で示す力布140とほとんど同じ寸法に設定されている。これに対して縫合縁44は、エアバッグ32の大型化に伴って拡張された縫製ライン22の破断領域に対応させて長く設定されている。したがってシートフレーム14に対する力布40A,40Bの結合構造については図4の場合と同じでよく、シートフレーム14の構造あるいは結合プレート46,47を、そのまま利用することができる。
【0016】
図3は力布40A(または力布40B)の形状を表した模式図である。この図面で示すように力布40Aは、織布41を台形(矩形)に裁断することで得られる。この力布40Aにおける各コーナをa〜dとすると、辺a−bが結合縁42に相当し、辺c−dが縫合縁44に相当する。そして結合縁42と縫合縁44との相対応する端部を結ぶ二辺a−c,b−dのうち、長い方の辺b−dは織布41の縦糸(または横糸)の方向に合わせている。また辺a−cについても、図3の仮想線で示す織布41のバイアス方向とできるだけ一致しないように設定されている。
【0017】
このように力布40A(または力布40B)の形状を設定することにより、縫製ライン22の破断領域が拡張されたことに対応して縫合縁44を長くしたにもかかわらず、エアバッグ32の膨張圧による力布40Aの伸びが抑えられる。とくに距離の長い辺b−dの点dは、エアバッグ32の膨張圧に対する応力を掛けにくい部位となるが、この辺b−dを織布41の縦糸方向に合わせることで点dに力を効率よく掛けることができる。したがって力布40(力布40A,40B)の役目、つまり縫製ライン22の破断が開始される部位に力を集中させてエアバッグ32を速やかに膨張展開させる機能を適正に果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サイドエアバッグ装置を備えた車両用シートの概略図
【図2】図1のA-A矢視における拡大断面図
【図3】力布の形状を表した模式図
【図4】一般的なサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートの概略図
【符号の説明】
12 シートバック
20 シートカバー
22 縫製ライン
32 エアバッグ
40 力布
42 結合縁
44 縫合縁
Claims (1)
- シートバック(12)に内蔵されたエアバッグ(32)が、その膨張圧によってシートカバー(20)を所定の縫製ライン(22)で破断して膨張展開するサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグ(32)がシートバック(12)のサイドにおける上下方向のほぼ全域にわたって膨張展開する大きさに設定されているとともに、縫製ライン(22)の破断が開始される部位に力を集中させるための力布(40)は、前記シートバック(12)のフレーム(14)に結合される結合縁(42)が短く、その反対側で前記縫製ライン(22)に沿って縫合される縫合縁(44)が長い矩形状に設定され、しかも前記力布(40)は、織布(41)が用いられ、かつその結合縁(42)と縫合縁(44)との相対応する端部を結ぶ二辺のうち、長い方の辺を織布(41)の縦糸もしくは横糸の方向に合わせて裁断されている車両用シートのサイドエアバッグ装置。
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