JP4024503B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、電力制御などに用いられるトレンチゲート型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などに適用して好適な半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力制御用の半導体装置として、パワーMOSFET(Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのMOS型トランジスタが用いられている。これらの半導体装置は、スイッチングオペレーション時の導通損失を低減する必要があり、また同時に低容量特性も要求される。
【0003】
これらの要求に応えるものとして、「トレンチゲート構造」がある。
【0004】
図10は、トレンチゲート構造のパワーMOSFETの要部断面構造を表す模式図である。
【0005】
すなわち、同図に表したMOSFETは、n+型半導体基板101の上に、n−型エピタキシャル半導体層2、p型ベース領域103、n+型ソース領域104がこの順に形成された構造を有する。そして、これら積層構造に対して垂直方向に形成されたトレンチTの内壁面にゲート絶縁膜107が設けられ、さらにトレンチを埋め込むようにゲート電極(ポリシリコン)106が設けられている。また、ソース領域104は、トレンチ間で選択的に除去され、その底部のベース領域103の表面側には追加p+型領域105が選択的に形成されている。
【0006】
ゲート電極106及びゲート絶縁膜107の上には、これらを覆うように層間絶縁膜108が設けられ、一方、ソース領域104の露出部にはこれに接触するようにソース電極109が設けられている。また、基板101の裏面側には、ドレイン電極110が設けられている。
【0007】
なお、図10は、ひとつのトレンチに対応するセル部分を表したが、通常はこのようなトレンチを有するセルが素子内に複数配列されている場合が多い。
【0008】
さて、このようなトレンチゲート型の構造においては、素子を微細化してトレンチゲートをたくさん設けるほど合計のチャネル幅が増大してオン抵抗を下げることができる。
【0009】
素子の微細化によるオン抵抗の低減が進められるのは、以下に説明する背景による。すなわち、一般にトランジスタのオン抵抗の成分としては、高濃度基板の抵抗、エピタキシャル層の抵抗、チャンネル抵抗、ソース抵抗、コンタクト抵抗などを挙げることができる。特に、100V以下の低耐圧系MOSFETでは、オン抵抗の成分のうち、チャンネル部の抵抗が大きな割合を占めている。チャンネル部の抵抗が占める割合は、例えば、耐圧100V系MOSFETでは約20%、30V系では約60%にもなる。したがって、セル部を微細化してチャンネル密度を増やすことはオン抵抗低減に非常に効果的である。
【0010】
そこで、セルピッチを縮小して微細化することにより、デバイスのオン抵抗、すなわち導電損失を下げる工夫がされている。
【0011】
一方、低容量特性を得るためには、p型ベース領域3の深さとトレンチゲートの深さを浅くし、素子容量を減少させる工夫がされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トレンチゲート構造の長所である高集積化は、オン抵抗に関しては最大の利点となるが、「アバランシェ耐量」という素子破壊耐量にとっては短所となるという問題があった。
【0013】
ここで、「アバランシェ破壊」について簡単に説明すると以下の如くである。
【0014】
すなわち、図10に例示したようなMOSFETをターンオフ動作させるときは、ゲートG・ソースS間を短絡させてゲートG・ソースS電圧VGSを0Vとする。このとき、VGSがしきい電圧以下になると、チャネルが消滅する。電流経路が遮断されたため、ドレイン電流IDは0Aになるが、この電流変化により、インダクタンスを持つ負荷が逆起電力を発生し、これがドレインDに印加される。この印加された起電力が、n−型エピタキシャル層102とp型ベース領域103とにより構成されるダイオードを逆バイアス状態とし、ブレイクダウンを引き起こす。
【0015】
一方、MOSFETには、n型ソース領域104、p型ベース領域103、n型エピタキシャル層102によって、寄生的にnpn型のバイポーラ・トランジスタが構成されている。このバイポーラ・トランジスタのベースとなるp型領域103には、寄生抵抗RBが生じている。上述したターンオフ時にブレイクダウンした電流は、n型半導体基板101とn型エピタキシャル層102とp型ベース領域103に流れ込み、バイポーラ・トランジスタがオン動作する。ベース抵抗が大きいと、ベース・エミッタ間の順バイアスが大きくなる。このバイポーラ動作の起きているセルでは熱発生による電子正孔対が生成され、これがさらに熱を発生させるといった循環作用により、そのセルでは電流が集中し破壊が起こる。これが、いわゆる「アバランシェ破壊」である。
【0016】
近年、スイッチング電源やDC−DCコンバータ用途など、MOSFETには高速動作、高周波動作の要求が高まりつつある。この要求に対して、高速・高周波動作時に生ずるパルス幅の狭いサージ電圧に対し、素子が破壊しないこと、すなわちアバランシェ破壊の高耐量化が望まれる。
【0017】
さて、このような「アバランシェ破壊」を解決する従来技術として、図10に表したようにベース領域103の一部分のベース濃度を高濃度化した追加p+型領域105を設け、寄生トランジスタ(nチャネルならnpn型)のベース抵抗を低減して動作を抑制する、「トレンチコンタクト技術」がある。
【0018】
しかしながら、従来の解決方法では、トレンチコンタクト部TCにおいて、ソース領域104とソース電極109との接触部で、加工のバラツキによりオーミック不良が発生し易く、オン抵抗特性のバラツキが増加する問題が生じていた。
【0019】
また一方、アバランシェ破壊を防ぐためには、ソース領域104の濃度を下げることにより寄生トランジスタのバイポーラ動作を抑制するという方策も有効である。
【0020】
しかし、ソース領域104の濃度を下げると、ソース電極109とのオーミックコンタクトがさらに形成しにくくなり、オン抵抗が上昇するという問題があった。
【0021】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、トレンチコンタクト技術を採用したトレンチゲート型MOSFETなどの半導体装置において、アバランシェ耐量を改善すると同時にオン抵抗を低減した半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の半導体装置は、第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面付近に形成された第2導電型の半導体領域と、前記第2導電型の半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電型の半導体領域と、前記第1導電型の半導体領域から前記第2導電型の半導体領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に至るトレンチと、前記トレンチの内壁に設けられた絶縁層と、前記トレンチにおける前記絶縁層の内側空間を充填する導電体と、前記第1導電型の半導体領域に接続された電極と、を備え、前記第1導電型の半導体領域は、前記電極との接続部において第1導電型の不純物の濃度が高い高濃度領域を有し、前記高濃度領域は、前記絶縁層及び前記第2導電型の半導体領域から離間して設けられたことを特徴とする。
【0023】
ここで、第1導電型の半導体領域が有する「第1導電型の不純物の濃度が高い高濃度領域」とは、電極との間でオーミックコンタクトが形成される不純物濃度を有する領域をいう。
【0024】
上記構成によれば、電極とのオーミックコンタクトを確保してオン抵抗を下げることができると同時に、アバランシェ耐圧も改善することができる。
【0025】
ここで、前記高濃度領域は、前記絶縁層及び前記第2導電型の半導体領域から離間して設けられたものとすれば、第2導電型の半導体領域との間に急峻なpn接合が形成されることによるアバランシェの発生を防ぐことができる。
【0026】
または、本発明の第2の半導体装置は、第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面付近に形成された第2導電型の半導体領域と、前記第2導電型の半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電型の半導体領域と、前記第1導電型の半導体領域から前記第2導電型の半導体領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に至るトレンチと、前記トレンチの内壁に設けられた絶縁層と、前記トレンチにおける前記絶縁層の内側空間を充填する導電体と、前記第1導電型の半導体領域に接続された電極と、を備え、前記第1導電型の半導体領域は、前記絶縁層との接触部における第1導電型の不純物の濃度よりも前記電極との接触部における第1導電型の不純物の濃度のほうが高くなる濃度分布を有し、前記第1導電型の半導体領域は、前記第2導電型の半導体領域との接触部における第1導電型の不純物の濃度よりも前記電極との接触部における第1導電型の不純物の濃度のほうが高くなる濃度分布を有することを特徴とする。
【0027】
上記構成によっても、電極とのオーミックコンタクトを確保してオン抵抗を下げることができると同時に、アバランシェ耐圧も改善することができる。
【0028】
ここで、前記第1導電型の半導体領域は、前記第2導電型の半導体領域との接触部における第1導電型の不純物の濃度よりも前記電極との接触部における第1導電型の不純物の濃度のほうが高くなる濃度分布を有するものとすれば、第2導電型の半導体領域との間に急峻なpn接合が形成されることによるアバランシェの発生を防ぐことができる。
【0029】
また、前記電極は、前記第2導電型の半導体領域にも接続され、前記第2導電型の半導体領域のうちの前記電極との接続部には、第2導電型の不純物の濃度が高い高濃度領域が設けられたものとすれば、第2導電型の半導体領域に対しても低い接触抵抗が得られ、オン抵抗をさらに下げることができる。
【0030】
または、本発明の第3の半導体装置は、第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面付近に形成された第2導電型のベース領域と、前記ベース領域の上に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、前記ソース領域から前記ベース領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に至るトレンチと、前記トレンチの内壁に設けられたゲート絶縁層と、前記トレンチにおける前記絶縁層の内側空間を充填するゲート電極と、前記ソース領域に接続されたソース電極と、を備え、
前記ソース領域は、前記ゲート絶縁層と接触した部分よりも前記ソース電極と接触した部分において第1導電型の不純物濃度が高く、且つ前記ベース領域と接触した部分よりも前記ソース電極と接触した部分において第1導電型の不純物濃度が高いことを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、電極とのオーミックコンタクトを確保してオン抵抗を下げることができると同時に、アバランシェ耐圧も改善することができ、同時に、第2導電型の半導体領域との間に急峻なpn接合が形成されることによるアバランシェの発生を防ぐこともできる。
【0033】
一方、本発明の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体層と、第2導電型の半導体領域と、第1導電型の半導体領域と、がこの順に積層された積層体を形成する工程と、前記第1導電型の半導体領域から前記第2導電型の半導体領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に達するトレンチを形成する工程と、前記トレンチの内壁面に絶縁層を形成する工程と、前記トレンチの前記絶縁層の内側を導電体で埋め込む工程と、前記第1導電型の半導体領域のうちで前記トレンチから離間した表面部分に第1導電型の不純物を導入することより、前記第2導電型の半導体領域には達しない高濃度領域を形成する工程と、前記高濃度領域の一部をエッチング除去して前記第2導電型の半導体領域を露出させる工程と、前記高濃度領域及び前記露出された第2導電型の半導体領域に電極を接続する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0034】
上記構成によれば、電極とのオーミックコンタクトを確保してオン抵抗を下げることができると同時に、アバランシェ耐圧も改善することができる。
【0035】
ここで、前記露出された第2導電型の半導体領域の表面に第2導電型の不純物を導入する工程をさらに備えたものとすれば、オン抵抗をさらに下げることが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態にかかる半導体装置の要部断面構造を表す模式図である。すなわち、同図は、トレンチゲート型のnチャンネル型MOSFETを表す。
【0038】
本実施形態のMOSFETは、従来型MOSFETと比べると、n+型ソース領域4のうちのソース電極9との接触部に、高濃度のn++型ソース領域4aが設けられたことをひとつの特徴とする。
【0039】
図1のMOSFETの全体構造について説明すると、以下の如くである。すなわち、n+型半導体基板1の上には、n−型エピタキシャル半導体層2、p型ベース領域3、n+型ソース領域4がこの順に形成されている。そして、これら積層構造に対して垂直方向に形成されたトレンチの内壁面にゲート絶縁膜7が設けられ、さらにトレンチを埋め込むようにゲート電極6が設けられている。また、ソース領域4は、トレンチ間で選択的に除去され、その角部にn++型ソース領域4aが設けられるとともに、この部分のベース領域3の表面側には追加p+型領域5が選択的に形成されている。
【0040】
ゲート電極6及びゲート絶縁膜7の上には、これらを覆うように層間絶縁膜8が設けられ、一方、n++型ソース領域4aと追加p+型領域5に接触するようにソース電極9が設けられている。また、基板1の裏面側には、ドレイン電極10が設けられている。
【0041】
以上説明した構成において、n+型ソース領域4の一部を高濃度のn++型ソース領域4aとすることにより、アバランシェ破壊を抑制しつつ、素子のオン抵抗を効果的に下げることができる。
【0042】
特に、図10に例示した従来の構造と比較した場合、従来の構造におけるソース領域104の濃度は、例えば、1.3×1019cm−3程度であった。この濃度は、アバランシェ破壊とオン抵抗とのトレード・オフにより決定されるオプティマムな値であり、これよりも濃度を下げるとオン抵抗が不十分で、これよりも濃度を上げるとアバランシェ耐圧が不十分となる。
【0043】
これに対して、本発明の構造においては、ソース領域4の濃度を、例えば5×1018cm−3あるいそれ以下にまで下げることができ、同時に、n++型ソース領域4aの濃度を、例えば5×1019cm−3あるいはそれ以上に上げることが可能である。その結果、ソース領域4の濃度を下げることにより、従来よりもアバランシェ耐圧を改善し、同時に、高い濃度のn++型ソース領域4aを設けることにより、従来よりもオン抵抗を下げることができる。
【0044】
また一方、本発明においては、高濃度のn++型ソース領域4aをp型ベース領域3とは接合させず、ソース領域4がそれらの間に設けた点も特徴のひとつである。
【0045】
つまり、高濃度のn++型ソース領域4aとベース領域3とが接合すると、濃度勾配の急峻なpn接合が形成され、寄生バイポーラ動作に際してアバランシェ現象が生じやすくなる。これに対して、図1に表したように、n++型ソース領域4aをベース領域3から離して形成すれば、ソース・ベース間のpn接合の急峻性を上げる心配はない。
【0046】
本発明者の試作検討の一例によれば、例えば、n+型ソース領域4の層厚T1を0.3μmとした場合には、n++型ソース領域4aの層厚T2を0.1μm乃至0.15μm程度とした時に良好な特性が得られた。
【0047】
以下、図1の半導体装置について、その製造方法を参照しつつさらに詳細に説明する。
【0048】
図2乃至図6は、本発明の半導体装置の要部製造工程を表す工程断面図である。
【0049】
まず、図2(a)に表したように、例えば1020cm−3程度の不純物濃度を有するn+型シリコンの半導体基板1の主面上に、気相成長により1016cm−3程度の不純物濃度のn−型のエピタキシャル層2を積層する。
【0050】
次に、図2(b)に表したように、ベース領域3を形成する。具体的には、n−型エピタキシャル層2の表面に酸化膜30を形成し、イオン注入法を用いてn−型エピタキシャル層2の表面にp型の不純物、例えばボロン(B)を打ち込み拡散させてp型ベース領域3を形成する。
【0051】
次に、図2(c)に表したように、酸化膜30を除去し、p型ベース領域3の表面にイオン注入法を用いて、n型の不純物、例えば砒素(As)を例えば2×1015cm−2のドーズ量で打ち込み拡散させて5×1018cm−3程度の不純物濃度を有するn+型ソース領域4を形成する。ちなみに、図10に例示したような従来の構造の場合、この工程における砒素のドーズ量は例えば5×1015cm−2であり、形成されるソース領域104の濃度は、1.4×1019cm−3程度もあった。後に図7を参照しつつ詳述するように、従来のソース領域104の濃度は、アバランシェ耐圧を低下させるとともに、ソース電極109とのオーミックコンタクトを得るには不十分な値であった。
【0052】
次に、図3(a)に表したように、PEP(Photo-Engraving Process)技術を用いてn+型ソース領域4の表面にレジストマスク32を設け、例えばRIE(Reactive Ion Etching)法により、n−型エピタキシャル層2に達するまでドライエッチングを行いゲートトレンチ領域にトレンチTを形成する。
【0053】
次に、図3(b)に表したように、PEP技術によりパターニングされたレジストマスク32を除去し、n−型エピタキシャル層2からn+型ソース領域4に至るトレンチTの内壁面及びその周囲の表面に、絶縁ゲート酸化膜7を形成する。
【0054】
次に、図3(c)に表したように、n型の不純物が高濃度にドープされたポリシリコンをゲートトレンチTの溝が十分に埋まるまで堆積させてゲート電極6を形成する。
【0055】
次に、図4(a)に表したように、ウェーハの表面に堆積されたポリシリコンをRIE等によりエッチングし、ゲートトレンチTの内部のみにゲート電極6としてのポリシリコンが埋められた状態にする。このとき、ポリシリコンのエッチングはp型ベース領域3にまで達してはいけない。
【0056】
次に、図4(b)に表したように、PEP技術を用いてレジストマスク34を形成し、このレジストマスク34によりゲート酸化膜7をエッチング除去して、n+型ソース領域4の表面に高濃度のn++型ソース領域4aとなる領域を開口する。そして、この開口部に、イオン注入法を用いて高濃度のn型不純物、例えば砒素(As)を打ち込み、拡散させて、n++型ソース領域4aを形成する。ここで、例えば、砒素を1×1015cm−2のドーズ量で注入することにより、n++型ソース領域4aの濃度を5.5×1019cm−3まで上げることが可能である。
【0057】
次に、図4(c)に表したように、レジストマスク34を除去し、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの方法によりウェーハ全面に絶縁層間膜8を堆積する。層間絶縁膜8を形成する。
【0058】
次に、図5(a)に表したように、PEP技術を用いて絶縁層間膜8の表面にp+型のソース電極コンタクト部となる領域を開口したレジストマスク36を形成し、絶縁層間膜8をエッチングしてn++型ソース領域4aを露出させる。
【0059】
次に、図5(b)に表したように、レジストマスク36を除去し、例えばRIE法により、p型ベース領域3に達するまでドライエッチングを行う。なおここで、エッチングはp型ベース領域3の内部に達するまで行ってもよいが、n++型ソース領域4aとn+型ソース領域4をエッチングしてp型ベース領域3の表面でエッチングを停止してもよい。
【0060】
次に、図5(c)に表したように、イオン注入法を用いて高濃度のp型不純物、例えばBF2を打ち込み、拡散させてp+型追加領域5を形成する。
【0061】
そして、図6に表したように、ソース電極コンタクト部となる領域を開口したレジストマスク38をPEP技術を用いて形成する。さらに、絶縁層間膜8をエッチングしてn++型ソース領域4aの表面を露出させる。しかる後に、ソース電極9を堆積形成してソースコンタクトを形成する。また、基板1の裏面側には、ドレイン電極を形成する。
【0062】
図7は、このようにして得られた本発明のMOSFETのソース領域の濃度分布を表すプロファイル図である。すなわち、同図は、図1におけるA−A’線上でのn型不純物の濃度分布を表す。また、同図には、比較例として、図10に例示したMOSFETのソース領域104の濃度プロファイルも点線で併記した。
【0063】
まず、従来のソース濃度をみると、概ね1.4×1019cm−3で一定である。一方、ソース領域とソース電極とがオーミックコンタクトを形成するために必要な濃度は、およそ3×1019cm−3である。すなわち、従来の構造の場合、ソース領域104の濃度はオーミックコンタクトを得るためには不十分な濃度であった。
【0064】
これに対して、本発明の場合は、n+型ソース領域4の濃度は概ね5×1018cm−3とかなり低く、これに対して、n++型ソース領域4aの濃度は概ね5.5×1019cm−3と非常に高い。つまり、n+型ソース領域4は、従来のソース領域104よりも濃度を下げることにより、アバランシェ耐圧を改善することができる。また同時に、n++型ソース領域4aの濃度を約5.5×1019cm−3まで上げることにより、ソース電極9とのオーミックコンタクトを確実に得ることができ、素子のオン抵抗を顕著に下げ、且つ安定させることができる。
【0065】
本発明者は、図1及び図10に表した構造のMOSFETを試作し、それぞれから20個を無作為に抽出してアバランシェ耐量を統計的に測定した。
【0066】
図8は、本発明と従来例のMOSFETにおけるアバランシェ耐量の評価結果を表すグラフ図である。ここで、同図の横軸は素子の個数、縦軸はアバランシェ耐量をそれぞれ表す。また、これらの測定条件は、ロードインダクタンスL=1mH、VDD=24V、VGS=+15V/0V、Rg=25Ωとした。
【0067】
図8(a)に表したように、従来の素子の場合、アバランシェ耐量にかなりのバラツキがあり、その半数すなわち10個の素子は、規格値の下限である14.2Aを下回った。
【0068】
これに対して、図8(b)に表したように、本発明の素子は、アバランシェ耐量のバラツキが極めて小さく、20個全ての素子が規格値の下限である14.2Aを大きく上回ると同時に、その平均値は20A以上と、極めて優れたアバランシェ耐量が得られた。
【0069】
また、図8に一例を例示したような試作評価の結果から、アバランシェ耐量を十分に確保するためには、n+型ソース領域4の濃度は5.5×1018cm−3以下であることが望ましいことが分かった。
【0070】
次に、本発明者は、図1及び図10に表した構造のMOSFETについて、それぞれから20個を無作為に抽出してオン抵抗を統計的に測定した。
【0071】
図9は、本発明と従来例のMOSFETにおけるアバランシェ耐量の評価結果を表すグラフ図である。ここで、同図の横軸は素子の個数、縦軸はオン抵抗値をそれぞれ表す。また、これらの測定条件は、VGS=4.5V、IDS=13Aとした。
【0072】
図8(a)に表したように、従来の素子の場合、20個全ての素子がオン抵抗の規格値上限である15mΩを下回ったが、その平均値は12.6mΩであった。
【0073】
これに対して、図8(b)に表したように、本発明の素子も、20個全ての素子が規格値下限を下回るとともに、その平均値は10.7mΩであり、従来例よりもかなり下げることができた。
【0074】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0075】
例えば、上述した特徴点以外のFETの各要素の形状、寸法、材質、導電型、不純物については、当業者が適宜設計変更したものも本発明の範囲に包含される。
【0076】
またさらに、本発明は、パワーMOSFETは限定されず、トレンチゲート型のスイッチング素子などに広く適用可能で同様の作用効果が得られる点で本発明の範囲に包含される。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、トレンチゲート型MOSFETにおいて、従来はオン抵抗、容量特性を改善するためにベース深さ、トレンチの深さを浅くし短チャネル化してきた。しかし、アバランシェ耐量を満足するためにはソース領域の濃度を下げなくてはならないという問題点がある。しかし、ソース濃度を下げることは、ソース電極とソース領域とのコンタクト部の抵抗が上昇(オーミック不良)し、オン抵抗が増加するという問題を併発する。この問題点を解決するために、本発明ではソース電極とソース領域とのコンタクト部の抵抗を低減するようにコンタクト部のソース領域を選択的に高濃度化し、コンタクト抵抗を下げ、オン抵抗を積極的に下げると同時に、ソース領域のその他の部分の濃度は逆に下げることによりアバランシェ耐量を改善できる。
【0078】
すなわち、本発明によれば、トレンチゲート型MOSFETの特性で必須といわれているオン抵抗とバランシェ耐量の特性をいずれも積極的に改善することができる点で産業上のメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる半導体装置の要部断面構造を表す模式図である。
【図2】本発明の半導体装置の要部製造工程を表す工程断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の要部製造工程を表す工程断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の要部製造工程を表す工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の要部製造工程を表す工程断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の要部製造工程を表す工程断面図である。
【図7】本発明のMOSFETのソース領域の濃度分布を表すプロファイル図である。
【図8】本発明と従来例のMOSFETにおけるアバランシェ耐量の評価結果を表すグラフ図である。
【図9】本発明と従来例のMOSFETにおけるアバランシェ耐量の評価結果を表すグラフ図である。
【図10】トレンチゲート構造のパワーMOSFETの要部断面構造を表す模式図である。
【符号の説明】
1 高濃度半導体基板
2 エピタキシャル層
3 ベース領域
4 n+型ソース領域
4a n++型ソース領域
5 追加p+型領域(nチャネルMOSFETの場合。Pチャネル型ではn+領域となる。)
6 トレンチゲート内のポリシリコン電極
7 ゲート絶縁膜
8 層間絶縁膜
9 ソースメタル電極
10 ドレイン電極
30 酸化膜
32、34、36、38 レジストマスク
101 高濃度半導体基板
102 エピタキシャル層
103 ベース領域
104 n+型ソース領域
105 追加p+型領域
106 トレンチゲート内のポリシリコン電極
107 ゲート絶縁膜
108 層間絶縁膜
109 ソースメタル電極
110 ドレイン電極
G ゲート
D ドレイン
S ソース
Claims (6)
- 第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表面付近に形成された第2導電型の半導体領域と、
前記第2導電型の半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電型の半導体領域と、
前記第1導電型の半導体領域から前記第2導電型の半導体領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に至るトレンチと、
前記トレンチの内壁に設けられた絶縁層と、
前記トレンチにおける前記絶縁層の内側空間を充填する導電体と、
前記第1導電型の半導体領域に接続された電極と、
を備え、
前記第1導電型の半導体領域は、前記電極との接続部において第1導電型の不純物の濃度が高い高濃度領域を有し、
前記高濃度領域は、前記絶縁層及び前記第2導電型の半導体領域から離間して設けられたことを特徴とする半導体装置。 - 第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表面付近に形成された第2導電型の半導体領域と、
前記第2導電型の半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電型の半導体領域と、
前記第1導電型の半導体領域から前記第2導電型の半導体領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に至るトレンチと、
前記トレンチの内壁に設けられた絶縁層と、
前記トレンチにおける前記絶縁層の内側空間を充填する導電体と、
前記第1導電型の半導体領域に接続された電極と、
を備え、
前記第1導電型の半導体領域は、前記絶縁層との接触部における第1導電型の不純物の濃度よりも前記電極との接触部における第1導電型の不純物の濃度のほうが高くなる濃度分布を有し、
前記第1導電型の半導体領域は、前記第2導電型の半導体領域との接触部における第1導電型の不純物の濃度よりも前記電極との接触部における第1導電型の不純物の濃度のほうが高くなる濃度分布を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記電極は、前記第2導電型の半導体領域にも接続され、
前記第2導電型の半導体領域のうちの前記電極との接続部には、第2導電型の不純物の濃度が高い高濃度領域が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。 - 第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表面付近に形成された第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の上に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域から前記ベース領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に至るトレンチと、
前記トレンチの内壁に設けられたゲート絶縁層と、
前記トレンチにおける前記絶縁層の内側空間を充填するゲート電極と、
前記ソース領域に接続されたソース電極と、
を備え、
前記ソース領域は、前記ゲート絶縁層と接触した部分よりも前記ソース電極と接触した部分において第1導電型の不純物濃度が高く、且つ前記ベース領域と接触した部分よりも前記ソース電極と接触した部分において第1導電型の不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。 - 第1導電型の半導体層と、第2導電型の半導体領域と、第1導電型の半導体領域と、がこの順に積層された積層体を形成する工程と、
前記第1導電型の半導体領域から前記第2導電型の半導体領域を貫通して前記第1導電型の半導体層に達するトレンチを形成する工程と、
前記トレンチの内壁面に絶縁層を形成する工程と、
前記トレンチの前記絶縁層の内側を導電体で埋め込む工程と、
前記第1導電型の半導体領域のうちで前記トレンチから離間した表面部分に第1導電型の不純物を導入することより、前記第2導電型の半導体領域には達しない高濃度領域を形成する工程と、
前記高濃度領域の一部をエッチング除去して前記第2導電型の半導体領域を露出させる工程と、
前記高濃度領域及び前記露出された第2導電型の半導体領域に電極を接続する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記露出された第2導電型の半導体領域の表面に第2導電型の不純物を導入する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
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