JP4034582B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示媒体に対して所望の表示画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置に関し、特に、繰り返し書き換えが可能で紙のような使用感が得られる画像表示媒体に対して表示画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展に伴って、電子化された情報をディスプレイに画像として表示して閲覧する機会や、ディスプレイに表示された画像を印刷用紙に印刷して閲覧する機会が益々増えてきている。このような状況の中で、ディスプレイに対しては、印刷用紙に印刷した画像のような見やすさや、印刷用紙のように持ち運びが容易で折り曲げたりしながら使用できることが求められるようになってきており、また、印刷用紙に対しては、ディスプレイのように繰り返し書き換えが可能で、動画も表示できることが求められるようになっている。
【0003】
このような要求に応えるものとして、近年では、いわゆる電子ペーパやペーパライクディスプレイといった、ディスプレイの長所と印刷用紙の長所とを併せ持つ新規なメディアが提案され、実用化に向けての技術開発が盛んに行われるようになってきている。
【0004】
電子ペーパ或いはペーパライクディスプレイを実現する技術としては、これまで、例えば、電気泳動現象を利用して画像を表示する技術や、ツイストボールと呼ばれる着色粒子の回転を利用して画像を表示する技術、サーマルリライタブル方式により表示画像を可逆的に変化させる技術、液晶表示方式を応用した技術、粉体微粒子中で着色粉体を移動させて画像を表示する技術等、様々な技術が検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した電子ペーパやペーパライクディスプレイは、表示画像を形成する方法に着目すると2つのタイプに大別される。1つは、画像を表示する媒体(以下、画像表示媒体という。)側に表示画像の書き込み手段が一体化されたものであり、他の1つは、表示画像の書き込み手段を画像表示媒体から分離独立させて画像形成装置として構成し、この画像形成装置を用いて画像表示媒体に対して表示画像を形成するようにしたものである。
【0006】
これらのうち、画像表示媒体に書き込み手段が一体化されたタイプのものは、表示画像を逐次書き換えることが可能であるといった利点を有するが、画像表示媒体の構造が複雑となり、低コスト化に限界があるため、特に、これまでの紙に変わるメディアとして普及させることは困難であると思われる。一方、書き込み手段を画像表示媒体から分離させたタイプのものは、画像表示媒体の構造を簡素なものとすることが可能で、低コスト化を図る上で有利であり、紙に近い利用形態の実現が期待される。
【0007】
しかしながら、これまで提案されている技術では、書き込み手段を画像表示媒体から分離させたタイプのものであっても、画像表示媒体に適切な表示画像を形成させるためには、書き込み手段としての画像形成装置側に特別な機構が多数必要とされるものが多く、このことが、画像形成装置を含めてトータルでの低コスト化を実現する上での障害となっている。
【0008】
また、これまで提案されている技術では、書き込み手段としての画像形成装置を用いて画像表示媒体に表示画像を形成する際に、処理時間が長時間化する傾向にあり、例えば、印刷用紙を印刷する場合のような高速処理を実現できていないのが現状である。
【0009】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、電子ペーパ或いはペーパライクディスプレイとして利用される画像表示媒体に対して、低コストのシステムで所望の表示画像を適切に形成できると共に、画像表示媒体に対して表示画像を形成する処理を高速で行うことが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る画像形成方法は、書き換え可能な画像表示媒体に対して、回転ドラムに着版された製版マスタの穿孔画像を転写させて所望の表示画像を形成するものであり、前記画像表示媒体として、前記表示画像の各画素に対応した多数の遮光性を有する微細フィルム片が基部によって連結されてなるフィルム体と、一方の主面部側に前記フィルム体の多数の微細フィルム片に対応して各微細フィルム片を個別に移動可能とする多数の可動空間が設けられ、これら多数の可動空間が設けられた一方の主面部上にて前記フィルム体を支持する支持部材と、前記支持部材の一方の主面部上に前記フィルム体を介して配設される透光性および透気性を有するカバー部材とを備えて構成される画像表示媒体を用いる。そして、前記製版マスタが着版された回転ドラムからエアを放出或いは吸引させて、このエアの圧力により前記画像表示媒体が備える前記フィルム体の微細フィルム片を前記製版マスタの穿孔画像に応じて移動させて、このエアの圧力により移動した微細フィルム片と移動しない微細フィルム片とを、静電誘導によって前記カバー部材或いは前記支持部材の可動空間を隔てる隔壁に選択的に吸着保持させることで、前記画像表示媒体に前記表示画像を形成するようにしている。
【0011】
この画像形成方法で用いられる画像表示媒体は、所謂電子ペーパ或いはペーパライクディスプレイと呼ばれる画像表示媒体である。この画像表示媒体のフィルム体としては、例えば遮光性を有する絶縁フィルム等が適用可能である。そして、多数の微細フィルム片は、所望の大きさの絶縁フィルム等に例えばコ字状の切り込みを多数設けることで形成され、各切り込みに囲まれた領域がそれぞれ表示画素に対応した微細フィルム片とされる。また、隣接する各微細フィルム片間の領域がフィルム体の基部とされる。
【0012】
このようなフィルム体は、支持部材の一方の主面部上に配設されてこの支持部材により支持される。そして、支持部材に支持されたフィルム体上に、透光性および透気性を有するカバー部材が配設される。すなわち、フィルム体は、支持部材とカバー部材とによって挟み込まれた状態とされる。
【0013】
フィルム体を支持する支持部材の一方の主面部側には、フィルム体の多数の微細フィルム片に対応して多数の可動空間が設けられており、これら多数の可動空間内をフィルム体の多数の微細フィルム片が各々個別に移動できるようになっている。
【0014】
以上のような構造の画像表示媒体では、例えば、カバー部材と支持部材とをそれぞれエレクトレット化(電荷固定)しておくことにより、フィルム体の多数の微細フィルム片が、静電誘導によってそれぞれカバー部材或いは支持部材の可動空間を隔てる隔壁に吸着保持され、その状態が維持されることになる。微細フィルム片がカバー部材側に吸着保持されると、その部分では微細フィルム片によって光が遮断されることになり、一方、微細フィルム片が支持部材の隔壁側に吸着保持されると、その部分では光が透過することになる。したがって、フィルム体の各微細フィルム片毎に、これら微細フィルム片がカバー部材に吸着保持されて光を遮断する状態と、これら微細フィルム片が支持部材の隔壁に吸着保持されて光を透過させる状態とが選択的に切り換えられることで、表示画素毎に光の遮断と透過が制御されてこれに応じた画像が表示されることになる。
【0015】
本発明に係る画像形成方法では、以上のような画像表示媒体が備えるフィルム体の各微細フィルム片を、回転ドラムに着版された製版マスタの穿孔画像に応じてカバー部材或いは支持部材の可動空間を隔てる隔壁に選択的に吸着保持させることで、画像表示媒体に製版マスタの穿孔画像を転写させて、所望の表示画像を形成するようにしている。
【0018】
画像表示媒体に製版マスタの穿孔画像を転写させて、所望の表示画像を形成するには、製版マスタが着版された回転ドラムからエアを放出或いは吸引させて、このエアの圧力を、穿孔画像が形成された製版マスタを介して画像表示媒体に作用させる。そして、エアの圧力によって画像表示媒体が備えるフィルム体の微細フィルム片を製版マスタの穿孔画像に応じて移動させ、このエアの圧力によって移動した微細フィルム片と移動しない微細フィルム片とを、静電誘導によってカバー部材或いは支持部材の可動空間を隔てる隔壁に選択的に吸着保持させる。これにより、画像表示媒体に製版マスタの穿孔画像に応じた表示画像が形成されることになる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、書き換え可能な画像表示媒体に対して所望の表示画像を形成するものであり、画像表示媒体を搬送する媒体搬送手段と、この媒体搬送手段により搬送される画像表示媒体に対して前記表示画像を形成する画像形成処理部とを備えて構成される。そして、この画像形成装置では、媒体搬送手段が、上述した画像表示媒体、すなわち、表示画像の各画素に対応した多数の遮光性を有する微細フィルム片が基部によって連結されてなるフィルム体と、一方の主面部側に前記フィルム体の多数の微細フィルム片に対応して各微細フィルム片を個別に移動可能とする多数の可動空間が設けられ、これら多数の可動空間が設けられた一方の主面部上にて前記フィルム体を支持する支持部材と、前記支持部材の一方の主面部上に前記フィルム体を介して配設される透光性および透気性を有するカバー部材とを備えて構成される画像表示媒体を搬送するようになっている。
【0020】
また、この画像形成装置では、画像形成処理部が、製版マスタが着版された回転ドラムを有している。そして、この製版マスタが着版された回転ドラムからエアを放出或いは吸引させて、このエアの圧力により、媒体搬送手段により搬送される画像表示媒体が備えるフィルム体の微細フィルム片を製版マスタの穿孔画像に応じて移動させて、このエアの圧力により移動した微細フィルム片と移動しない微細フィルム片とを、静電誘導によって画像表示媒体のカバー部材或いは支持部材の可動空間を隔てる隔壁に選択的に吸着保持させることで、画像表示媒体に対して、回転ドラムに着版された製版マスタの穿孔画像を転写させて、所望の表示画像を形成するようになっている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
本発明を適用した画像形成システムは、電子ペーパ或いはペーパライクディスプレイとして利用される画像表示媒体に対して、孔版印刷機を応用した画像形成装置を用いて、所望の表示画像を形成するようにしたものである。
【0025】
(画像表示媒体)
まず、本発明を適用した画像形成システムで用いられる画像表示媒体について説明する。
【0026】
本システムで用いられる画像表示媒体の一例を図1及び図2に示す。この図1及び図2に示す画像表示媒体1は、絶縁フィルムよりなるフィルム体2が支持部材3とカバー部材4とにより挟み込まれた構造となっている。
【0027】
フィルム体2は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂材料が、表示画面に対応した任意の大きさ及び形状のフィルム状に成形されてなるものである。そして、このフィルム体2には、その全面に亘って例えばコ字状の切り込みが所定間隔を存して多数設けられ、これら各切り込みに囲まれた領域が、遮光性を有する多数の微細フィルム片2aとされている。また、各微細フィルム片2a間の領域が、フィルム体2の基部2bとされている。
【0028】
フィルム体2の各微細フィルム片2aは、それぞれが画像表示媒体1の表示画素に対応するものであり、例えば、1辺の長さが20〜100μm程度の正方形とされる。なお、この微細フィルム片2aの大きさは、画像表示媒体1の使用目的に応じて適宜決定されればよく、例えば、画像表示媒体1を大型の看板等のように離れた位置から参照することが想定される使用形態で用いる場合には、微細フィルム片2aの大きさを100μm以上としてもよい。また、微細フィルム片2aの形状も正方形に限らず、成形の容易さや視認性等を考慮した上で、任意の形状とすればよい。このような微細フィルム片2aは、例えば、切り込み形状に対応した微細な刃を有する成形金型を用いてフィルム体2に切り込みを形成したり、或いは、レーザカッティング装置を用いてフィルム体2に切り込みを形成したりといったように、現行の精密加工技術を用いて容易に作製可能である。
【0029】
以上のようなフィルム体2は、多数の微細フィルム片2aが、基部2bとの境界部分を支点として、基部2bに対してそれぞれ回動可能となっている。そして、このフィルム体2は、基部2bを支持部材3の一方の主面部3a上に当接させて、この支持部材3に支持されている。
【0030】
支持部材3は、例えばPET等の樹脂材料が、画像表示媒体1としての十分な強度と適度な可撓性が得られる厚さの板状に成形されてなるものである。そして、この支持部材3には、その一方の主面部3a側に、フィルム体2の多数の微細フィルム片2aに対応して、各微細フィルム片2aを個別に移動可能とする多数の可動空間5が設けられている。
【0031】
すなわち、支持部材3の一方の主面部3a側には、フィルム体2を支持したときにこのフィルム体2の多数の微細フィルム片2aの直下となる位置に、微細フィルム片2aに対応した形状の可動空間5がそれぞれ設けられている。そして、隣接する各可動空間5を隔てる隔壁5aの上端面にフィルム体2の基部2bが当接されて、この隔壁5aの上端面にてフィルム体2を支持するようになっている。これにより、フィルム体2の各微細フィルム片2aが基部2bとの境界部分を支点として回動すると、これら各微細フィルム片2aは、支持部材3の可動空間5内を移動することになる。なお、以上のような支持部材3は、例えば多数の可動空間5に対応した形状の微細突起が設けられた成形金型内に溶融した樹脂材料を充填し、これを固化させることによって容易に作製可能である。また、以上のような支持部材3は、例えば、多数の切り込みが形成された板状部材を伸長させて各切り込みを広げることで可動空間5を形成し、このようなハニカム構造の部材に、各可動空間5の底面となるシート部材を貼り合わせて作製するようにしてもよい。
【0032】
支持部材3の可動空間5が設けられた一方の主面部3a上には、フィルム体2を介してカバー部材4が配設されている。このカバー部材4は、例えば透光性を有する樹脂材料がフィルム体2及び支持部材3に対応した大きさ及び形状のシート状に成形されてなるものである。画像表示媒体1では、このカバー部材4と支持部材3とによりフィルム体2を挟み込むようにして、フィルム体2を支持部材3上に保持するようになっている。
【0033】
以上のように構成される画像表示媒体1において、支持部材3とカバー部材4は、共にエレクトレット化(電荷固定)されている。これにより、支持部材3の表面及びカバー部材4の表面は、それぞれ静電荷が生じた状態となっている。
【0034】
支持部材3及びカバー部材4は、例えば以下のような方法でエレクトレット化することができる。すなわち、支持部材3及びカバー部材4を構成する樹脂材料を溶融させた状態で、この樹脂材料に対して外部電界を印加する。そして、この外部電界により樹脂材料に内部で分極が生じた状態とした上で、この溶融樹脂材料を固化させる。これにより、固化した樹脂材料に内部分極が生じた状態が維持され、エレクトレット化された支持部材3及びカバー部材4が作製されることになる。
【0035】
支持部材3及びカバー部材4がエレクトレット化されていることにより、これら支持部材3及びカバー部材4により挟み込まれたフィルム体2の多数の微細フィルム片2aは、その静電荷による静電誘導現象により、支持部材3の可動空間5を隔てる隔壁5a側とカバー部材4側との両位置において、静電的位置エネルギーが小さい、いわゆる双安定マルチバイブレータのかたちとなる。そして、画像表示媒体1では、このフィルム体2の各微細フィルム片2aがカバー部材4に吸着保持されて光を遮断する状態と、支持部材3の隔壁5aに吸着保持されて光を透過させる状態とが、各微細フィルム片2a毎に選択的に切り換えられることで、画像が表示されるようになっている。
【0036】
詳述すると、フィルム体2を構成する樹脂材料は電気的絶縁体(誘電体)であるため、このフィルム体2の各微細フィルム片2aは、例えば図3(a)に示すように、支持部材3の隔壁5aに接している状態では、支持部材3の隔壁5aの静電荷による静電誘導現象によって分極を起こし、クーロン力が働いて支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態となっている。このように、微細フィルム片2aが支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態では、カバー部材4を介して画像表示媒体1内に入射する光が遮光性を有する微細フィルム片2aによって遮断されることなくフィルム体2を透過することになり、この微細フィルム片2aに対応した表示画素が明るい点として表示されることになる。
【0037】
ここで、図3(b)に示すように、静電誘導による保持力を越える強力な吸引力Pがカバー部材4側に与えられると、フィルム体2の微細フィルム片2aは、この吸引力Pの作用で支持部材3の隔壁5aから引き剥がされ、支持部材3の可動空間5内を移動することになる。このとき、支持部材3の可動空間5内を移動する微細フィルム片2aは、支持部材3の隔壁5aから離間することで電気的に中性の状態となる。
【0038】
そして、カバー部材4側に与えられた吸引力Pに引き付けられた微細フィルム片2aが支持部材3の可動空間5内を移動してカバー部材4に近づくと、今度はこのカバー部材4の静電荷による静電誘導現象によって分極を起こし、図3(c)に示すように、このカバー部材4に吸着保持されることになる。このように、微細フィルム片2aがカバー部材4に吸着保持された状態では、カバー部材4を介して画像表示媒体1内に入射する光が遮光性を有する微細フィルム片2aによって遮断されることになり、この微細フィルム片2aに対応した表示画素が暗い点として表示されることになる。
【0039】
画像表示媒体1では、以上のように、フィルム体2の微細フィルム片2aがカバー部材4に吸着保持されて光を遮断する状態と、支持部材3の隔壁5aに吸着保持されて光を透過させる状態とが、各微細フィルム片2a毎に選択的に切り換えられるようになっている。これにより、画像表示媒体1は、各微細フィルム片2aに対応した表示画素の明るさがそれぞれ制御されて、所望の画像を鮮明に表示できるようになっている。
【0040】
また、この画像表示媒体1では、静電誘導による保持力を越える強力な力が外部から付与されない状態では、フィルム体2の各微細フィルム片2aがカバー部材4或いは支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態が維持されるので、所望の画像を表示した状態を安定的に維持することができる。更に、この画像表示媒体1では、所望の表示画像に応じて、外部から強力な力を作用させることにより、フィルム体2の各微細フィルム片2aを、光を遮断する状態と光を透過させる状態とで選択的に切り換えることができるので、表示画像の書き換えを繰り返し行うことができ、また、このような表示画像の書き換えが、微細フィルム片2aの移動により実現されるので、表示画像の書き換えを極めて迅速に応答性良く行うことができる。
【0041】
更に、この画像表示媒体1は、磁性フィルムや樹脂成形品等のように既に製造技術が確立された部材を用いて構成されており、また、既存の精密加工技術により作製できるので、低コストで簡便に製造することが可能である。
【0042】
なお、以上説明した画像表示媒体1においては、フィルム体2に設けられたコ字状の切り込みで囲まれた領域がそれぞれ遮光性を有する微細フィルム片2aとされ、各微細フィルム片2aが、支持部材3の各可動空間5の開口形状に対応した一体のフィルム片として構成されているが、これら各微細フィルム片2aは、例えば図4及び図5に示すように、複数の要素フィルム片22に分割されて、これら複数の要素フィルム片22の集合として構成されていてもよい。
【0043】
具体的な例を挙げると、例えば図4に示す例では、フィルム体2の全面に亘ってX字状の切り込みが所定間隔を存して多数設けられ、これら各切り込みと支持部材3の可動空間5端縁とに囲まれた三角形の領域がそれぞれ要素フィルム片22とされている。そして、各可動空間5に対応する4つの要素フィルム片22で1つの微細フィルム片2aが構成されるようになっている。
【0044】
以上のような画像表示媒体1では、1つの微細フィルム片2aを構成する4つの要素フィルム片22が、1つの可動空間5内を連動して移動し、カバー部材4或いは支持部材3の隔壁5aに吸着保持される。これにより、各表示画素毎に光を遮断する状態と透過させる状態とが選択的に切り換えられて、画像表示媒体1に所望の画像が表示されることになる。
【0045】
また、例えば図5に示す例では、フィルム体2の全面に亘ってH字状の切り込みが所定間隔を存して多数設けられ、これら各切り込みと支持部材3の可動空間5端縁とに囲まれた長方形の領域がそれぞれ要素フィルム片22とされている。そして、各可動空間5に対応する2つの要素フィルム片22で1つの微細フィルム片2aが構成されるようになっている。
【0046】
以上のような画像表示媒体1では、1つの微細フィルム片2aを構成する2つの要素フィルム片22が、1つの可動空間5内を連動して移動し、カバー部材4或いは支持部材3の隔壁5aに吸着保持される。これにより、各表示画素毎に光を遮断する状態と透過させる状態とが選択的に切り換えられて、画像表示媒体1に所望の画像が表示されることになる。
【0047】
以上のように、表示画素に対応する各微細フィルム片2aをそれぞれ複数の要素フィルム片22に分割し、1つの微細フィルム片2aがこれら複数の要素フィルム片22の集合として構成される構造とした場合には、支持部材3の可動空間5の深さ寸法を短く設定することができ、支持部材3の厚みを薄くして、画像表示媒体1全体の薄型化を実現することができる。
【0048】
なお、各微細フィルム片2aを複数の要素フィルム片22に分割する方法や要素フィルム片22の形状等は、図4及び図5に示した例に限定されるものではなく、様々な態様が考えられる。例えば、各微細フィルム片2a毎にランダムに切り込みを入れ、各微細フィルム片2aが不規則な形状の複数の要素フィルム片22に分割されるようにしてもよい。但し、図4及び図5に示したように、各微細フィルム片2aを、この微細フィルム片2aに対応する可動空間5の開口部中心位置を通る分割線によって複数の要素フィルム片22に分割した場合には、支持部材3の可動空間5の深さ寸法を図1に示した例の1/2にすることができ、画像表示媒体1全体の薄型化を図る上では最も有効である。
【0049】
(画像形成装置)
次に、本発明を適用した画像形成システムにおいて、以上のような画像表示媒体1に対して所望の表示画像を形成する画像表示装置について説明する。
【0050】
本システムで用いられる画像形成装置の一例を図6に示す。この図6に示す画像形成装置10は、孔版印刷機を応用して構成されたものであり、画像表示媒体1に表示させる表示画像を原稿から読み取る画像読み取り処理部11と、この画像読み取り処理部11にて読み取られた表示画像のデータを基に孔版原紙100に穿孔画像を形成して製版マスタ101を作製する製版処理部12と、この製版処理部12にて作製された製版マスタ101の穿孔画像を画像表示媒体1に転写して、画像表示媒体1に表示画像を形成する画像形成処理部13と、画像表示媒体1を搬送する搬送処理部14と、使用済みの製版マスタ101を破棄する排版処理部15とを備えて構成される。
【0051】
画像読み取り処理部11は、原稿載置部16に載置された原稿を、原稿送り手段17によって所定の読み取り位置に設置し、この読み取り位置に設置された原稿の画像(表示画像)をイメージセンサ18により読み取る構造となっている。イメージセンサ18は、ベルト19とプーリ20,21とを有する往復移動手段によって、原稿の読み取り面をスキャンできるようになっている。
【0052】
製版処理部12は、ロール状で格納された孔版原紙100を原紙搬送手段22によって引き出してプラテンローラ23とサーマルヘッド24との間に挟み込み、画像読み取り処理部11にて読み取られた表示画像のデータに応じて駆動されるサーマルヘッド24によって、この孔版原紙100に穿孔画像を形成して製版マスタ101を作製する構造となっている。そして、作製された製版マスタ101は、原紙搬送手段22により搬送されて画像形成処理部13に供給され、その端部がカッター25によって切断されるようになっている。
【0053】
ここで、画像形成装置1の製版処理部12における処理によって表示画像に対応した穿孔画像が形成される孔版原紙100としては、例えば図7に示すように、導電剤が塗布された多孔性支持体100a上に感熱フィルム100bが積層されてなるものが好適に用いられる。このような孔版原紙100では、多孔性支持体100a上に積層された感熱フィルム100bが、サーマルヘッド24により表示画像に応じて溶融穿孔或いは熱破壊穿孔されることで、穿孔画像が形成されるようになっている。
【0054】
多孔性支持体100aとしては、この種の孔版原紙に一般的に用いられているものを任意に使用することができる。例えば、各種の繊維を用いて紙状に成形した和紙等が使用可能である。この場合、繊維としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維等の合成繊維、マニラ麻、コウゾ、ミツマタ、パルプ等の天然繊維を単独又は混合して用いることができる。このような多孔性支持体100aの坪量は、通常6〜14g/m2、好ましくは7〜13g/m2であり、その厚さは20〜60μm、好ましくは25〜50μmである。
【0055】
また、多孔性支持体100aに塗布する導電剤としては、共重合体からなる高分子カチオン系導電剤を使用することができ、このような高分子カチオン系導電剤は、例えば、綜研化学(株)製のエレコンド50B(商品名)や、三洋化成(株)製のケミスタット6300,8800,5500(商品名)、カルゴン社製のコンダクティブポリマーC−280(商品名)、日本合成(株)製のゴーセイファイマーC−760(商品名)等として市販されている。
【0056】
なお、このような導電剤は、一般に水溶性高分子電解質であるため、比較的低坪量の多孔性支持体100aに導電剤を塗布する塗布工程において、多孔性支持体100aに切れ目を生じさせてしまったり、導電剤が塗布された多孔性支持体100aを乾燥する乾燥工程において、多孔性支持体100aに乾燥じわを生じさせてしまうことが懸念される。そのため、この導電剤の希釈液としては、水以外にアルコールやケトン、エステル系の有機溶剤を用いることが望ましい。以上のような有機溶剤を用いて導電処理剤を希釈して導電剤とし、この導電剤を多孔性支持体100aに塗布することにより、多孔性支持体100aに切れ目や乾燥じわを生じさせる不都合を有効に抑制することができる。
【0057】
また、導電剤の導電処理剤としては、ポリビニルベンジルトリメチルやアンモニウムクロライド、ポリジメチルアリールアンモニウムクロライド、ポリN−メチルビニルピリジウムクロライド等の第4級アンモニウム基を持つ公知の高分子カチオン塩が特に望ましいが、その他の第3級アミノ基やスルホンニウム基、ホスホニウム基を持つイオン伝導型導電剤を使用するようにしてもよい。また、導電性の付与効果は少々劣るが、分子中にカルボキシル基やスルホン基、硫酸基、リン酸基等を持つ高分子アニオン塩を使用することも可能である。また、このような導電処理剤に、バインダーその他の副成分を混合或いは併用するようにしてもよい。
【0058】
また、感熱フィルム100bとしては、この種の孔版原紙に一般的に用いられているプラスチックフィルムを任意に使用することができる。例えば、ポリエステルフィルムやPETフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等が使用可能である。このような感熱フィルム100bとしては、特に2軸延伸フィルムが好適であり、その厚さは、通常10μm以下、好ましくは1〜5μmである。
【0059】
なお、孔版原紙100としては、以上のような構造のものの他に、例えば図8に示すように、導電フィルム100c上に導電性が付与されたワックス100dを介して感熱フィルム100bが密着されてなるものを用いるようにしてもよい。このような孔版原紙100においても、導電フィルム100c上に密着された感熱フィルム100bが、サーマルヘッド24により表示画像に応じて溶融穿孔されることで、穿孔画像が形成されるようになっている。
【0060】
画像形成処理部13は、図示しないモータの駆動により回転操作される回転ドラム26を有している。この回転ドラム26の外周面はニッケル等の金属材料で覆われており、この回転ドラム26の金属材料よりなる外周面に、製版処理部12により作製された製版マスタ101(穿孔画像が形成された孔版原紙100)が巻装されるようになっている。この製版マスタ101は、端部がクランパ27により係止されることで、回転ドラム26の外周面に着版される。
【0061】
回転ドラム26の外周面から若干離間した位置には、回転ドラム26の外周面に着版された製版マスタ101を帯電させるためのコロトロン28が配設されている。このコロトロン28により製版マスタ101全体にチャージが与えられると、製版マスタ101の感熱フィルム100bでは電荷が保持されるが、穿孔画像が形成されて導電剤が塗布された多孔性支持体100aが露出している部分では、電荷が回転ドラム26側へと逃がされる。これにより、製版マスタ101には、穿孔画像に応じた電荷のコントラストが生じることになる。
【0062】
また、回転ドラム26の下方には、この回転ドラム26と平行にプレスローラ29が回転可能な状態で設けられている。このプレスローラ29は、所定の範囲内で回転ドラム26に近接離間する方向に移動可能とされており、搬送処理部14により搬送される画像表示媒体1を回転ドラム26との間に挟み込むようになっている。このプレスローラ29は、プレス圧可変モータ30の駆動に応じて、回転ドラム26に対するプレス圧を調整できるようになっている。なお、このプレスローラ29は、導電材で作製することが望ましい。このようにプレスローラ29を導電材で作製した場合には、このプレスローラ29からアースを取ることが可能となり、不要なチャージをプレスローラ29を介してアースに逃がして、画像表示媒体1に対する画像形成と画像表示媒体1の搬送とをよりスムーズに行うことができる。
【0063】
搬送処理部14は、給紙台31上に載置された画像表示媒体1を給紙ローラ32及び紙捌きローラ33によって一枚ずつ取り出し、取り出した画像表示媒体1をタイミングローラ34によって所定のタイミングで画像形成処理部13に搬送するようになっている。この画像表示媒体1の搬送経路上には消去用ヘッド35が設けられており、この消去用ヘッド35によって画像表示媒体1に表示されている表示画像を消去して、画像表示媒体1を初期状態に戻した後に、この初期状態の画像表示媒体1を画像形成処理部13に搬送するようになっている。
【0064】
また、搬送処理部14は、画像形成処理部13により表示画像が形成された画像表示媒体1を媒体分離爪36によって回転ドラム26から引き離し、この画像表示媒体1を搬送コンベアによって搬送して排紙台37に排出するようになっている。搬送コンベアは、搬送開始位置と搬送終了位置とに配設されたプーリ38,39の間に無端搬送ベルト40が架設されてなるものであり、プーリ38,39の回転に応じて無端搬送ベルト40が駆動されることで、無端ベルト40上に載置された画像表示媒体1を排紙台37へと搬送するようになっている。
【0065】
また、排版処理部15は、使用済みの製版マスタ101をマスタ分離爪41によって回転ドラム26から引き離し、この使用済みの製版マスタ101を排版ローラ42によって搬送して排版箱43に収納する構造となっている。
【0066】
以上のように構成される画像形成装置10を用いて画像表示媒体1に所望の表示画像を形成する場合、まず、画像読み取り処理部11の原稿載置部16に原稿がセットされると共に、搬送処理部14の給紙台31上に画像表示媒体1が載置される。そして、画像読み取り処理部11により原稿の画像が読み取られ、この画像(表示画像)のデータが製版処理部12に供給される。
【0067】
表示画像のデータが製版処理部12に供給されると、製版処理部12では、ロール状で格納された孔版原紙100が原紙搬送手段22によって引き出されると共に、サーマルヘッド24が表示画像のデータに応じて駆動される、これにより、引き出された孔版原紙100の感熱フィルム100bが表示画像に応じて溶融穿孔されて、孔版原紙100に穿孔画像が形成される。
【0068】
穿孔画像が形成された孔版原紙100(製版マスタ101)は、その端部がカッター25によって切断されて、画像形成処理部13の回転ドラム26へと搬送される。そして、回転ドラム26に搬送された製版マスタ101は、その端部がクランパ27により係止されて、回転ドラム26の外周面に着版される。
【0069】
製版マスタ101が着版された回転ドラム26は、モータの駆動により回転操作される。これに伴って、回転ドラム26に着版された製版マスタ101は、回転ドラム26の外周側を移動することになる。このとき、回転ドラム101の近傍に設けられたコロトロン28により、製版マスタ101全体にチャージが与えられる。コロトロン28により製版マスタ101全体にチャージが与えられると、製版マスタ101の感熱フィルム100bでは電荷が保持されるが、穿孔画像が形成されて導電剤が塗布された多孔性支持体100aが露出している部分では、電荷が回転ドラム26側へと逃がされることになる。これにより、製版マスタ101には、穿孔画像に応じた電荷のコントラストが生じることになる。
【0070】
一方、搬送処理部14の給紙台31上に載置された画像表示媒体1は、給紙ローラ32及び紙捌きローラ33によって一枚ずつ取り出され、消去用ヘッド35によって表示画像の消去が行われて初期状態とされる。なお、ここでは、フィルム体2の全ての微細フィルム片2aが、支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態を初期状態として説明する。そして、初期状態とされた画像表示媒体1は、タイミングローラ34によって、回転ドラム26の回転に同期したタイミングで画像形成処理部13に供給される。
【0071】
画像形成処理部13に供給された画像表示媒体1は、回転ドラム26とプレスローラ29との間に挟み込まれる。そして、これら回転ドラム26とプレスローラ29の回転に伴って画像表示媒体1が搬送される間に、回転ドラム1の外周面に着版された製版マスタ101の穿孔画像が画像表示媒体1に転写されて、画像表示媒体1に表示画像が形成されることになる。
【0072】
詳述すると、製版マスタ101は、上述したように製版処理部12により表示画像に応じた穿孔画像が形成されることで、絶縁体である感熱フィルム100bが残存している部分と、感熱フィルム100bが溶融されて多孔性支持体100aが露出している部分との間に電気抵抗の差が生じることになる。そして、回転ドラム26の外周面に着版された製版マスタ101全体に対して、コロトロン28によりチャージが与えられることにより、製版マスタ101の感熱フィルム100bが残存している部分では電荷が保持される一方、感熱フィルム100bが溶融して多孔性支持体100aが露出している部分では電荷が逃がされて、表示画像に対応した電荷のコントラストが生じた状態となっている。
【0073】
このような製版マスタ101に対して、消去用ヘッド35によって初期状態とされた画像表示媒体1が当接されると、図9に示すように、製版マスタ101の穿孔画像が形成されている部分、すなわち、感熱フィルム100bが溶融されて多孔性支持体100aが露出している部分の直下に位置する画像表示媒体1の微細フィルム片2aは、支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態が維持される。一方、製版マスタ101の感熱フィルム100bが残存している部分の直下に位置する画像表示媒体1の微細フィルム片2aは、この感熱フィルム100bに帯電している電荷の作用で支持部材3の隔壁5aから引き剥がされ、支持部材3の可動空間5内を移動してカバー部材4側に引き付けられて、カバー部材4に吸着保持されることになる。
【0074】
これにより、画像表示媒体1が備えるフィルム体2の各微細フィルム片2aが、製版マスタ101の穿孔画像に応じて支持部材3の隔壁5a或いはカバー部材4に選択的に吸着保持されることになり、製版マスタ101の穿孔画像に対応した画像、すなわち表示画像が、画像表示媒体1に形成されることになる。
【0075】
以上のように表示画像が形成された画像表示媒体1は、媒体分離爪36によって回転ドラム26から引き離され、搬送コンベアによって搬送されて排紙台37に排出される。また、使用済みの製版マスタ101は、マスタ分離爪41によって回転ドラム26から引き離され、排版ローラ42によって搬送されて排版箱43に収納される。
【0076】
以上説明したように、孔版印刷機を応用した画像形成装置10を用いることで、画像表示媒体1に対して所望の表示画像を適切且つ簡便に形成することができる。特に、この画像形成装置10では、孔版印刷機と同様に、回転ドラム23が1回転する毎に1つの画像表示媒体1に対して表示画像を形成できるので、孔版印刷機の多数部高速印刷の利点を活かして、画像表示媒体1に対する表示画像の形成を極めて高速に行うことができる。
【0077】
なお、以上、本発明を適用した画像形成システムで用いられる画像形成装置の一例について具体的に説明したが、本システムで用いられる画像形成装置は、孔版印刷の技術を応用して画像表示媒体1に所望の表示画像を適切に表示できるように構成されていれば、以上の例に限定されることなく様々な変形が可能である。
【0078】
具体的には、上述した画像形成装置10では、回転ドラム26に着版された製版マスタ101に対して、コロトロン28によりチャージを与えることで穿孔画像に応じた電荷のコントラストを生じさせ、この製版マスタ101に生じた電荷のコントラストに応じて、画像表示媒体1の各微細フィルム片2aをカバー部材4或いは支持部材3の隔壁5aに選択的に吸着保持させることで、画像表示媒体1に表示画像を形成するようにしているが、本システムで用いられる画像形成装置としては、例えば、回転ドラム26から製版マスタ101を介して画像表示媒体1にエアの圧力を作用させ、このエアの圧力によって画像表示媒体1の各微細フィルム片2aを製版マスタ101の穿孔画像に応じて移動させて、画像表示媒体1の各微細フィルム片2aをカバー部材4或いは支持部材3の隔壁5aに選択的に吸着保持させることで、画像表示媒体1に表示画像を形成するように構成されていてもよい。
【0079】
以上のように構成された画像形成装置について、図10及び図11を参照して説明する。なお、この図10及び図11に示す画像形成装置50は、画像形成処理部13が以上のような方式で画像表示媒体1に表示画像を形成するように構成されている以外は、上述した画像形成装置10と同様の構成とされているので、上述した画像形成装置10と同様の部分については図中同一の符号を付して詳細な説明を省略し、この画像形成装置50に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0080】
この画像形成装置50では、画像形成処理部13が備える回転ドラム26の内部に図示しないエア供給機構が設けられており、このエア供給機構から供給されるエアが、エア放出管51から回転ドラム26の外周側に向けて放出されるようになっている。また、回転ドラム26の金属材料よりなる外周部には、エア放出管51から放出されるエアを通過させるための通気用空隙26aが、その全面に亘って設けられている。そして、この通気用空隙26aが設けられた回転ドラム26の外周面に、穿孔画像が形成された孔版原紙100(製版マスタ101)が着版されるようになっている。なお、この画像形成装置50には、上述した画像形成装置10が備えるチャージ用のコロトロン28は設けられていない。
【0081】
ここで、製版マスタ101となる孔版原紙100としては、導電剤が塗布されていない多孔性支持体100a上に感熱フィルム100bが積層されてなるものが用いられる。すなわち、この画像形成装置50では、エアの圧力によって感熱フィルム100bに溶融穿孔された穿孔画像を画像表示媒体1に転写させるようにしているので、多孔性支持体100aには十分な透気性が要求され、また、多孔性支持体100aに導電性を付与する必要がない。そこで、この画像形成装置50では、上述した和紙等よりなる多孔性支持体100a上に感熱フィルム100bが積層されたものを孔版原紙100として用いるようにしている。このような孔版原紙100は、孔版印刷機において通常用いられる孔版原紙と同様のものである。
【0082】
また、この画像形成装置50により表示画像が形成される画像表示媒体1としては、透気性を有するカバー部材4を備えたものが用いられる。このような画像表示媒体1では、画像形成装置50に設けられたエア放出管51から放出されるエアが、カバー部材4を介して支持部材3の可動空間5内に導入されることになる。更に、画像表示媒体1は、支持部材3の底面部にも透気性を持たせておくことが望ましい。これにより、可動空間5内に導入されたエアが支持部材3の底面部を介して外部に放出されて、可動空間5内の気圧が過剰となる不都合を有効に防止できる。なお、画像表示媒体1のカバー部材4や支持部材3に対する透気性の付与は、例えば、シート状に成形された樹脂材料をダイヤモンドロール等で加工して多数の微細な孔をあけ、このような多数の微細な孔を有するシート状の樹脂材料を用いてカバー部材4や支持部材3の底面部を作製することで、容易に実現できる。
【0083】
また、この画像形成装置50では、回転ドラム26と共に画像表示媒体1を挟み込むプレスローラ29にも透気性を持たせておくことが望ましい。これにより、支持部材3の底面部から可動空間5の外部に放出されるエアをプレスローラ29で遮断する不都合を有効に防止できる。
【0084】
以上のように構成される画像形成装置50を用いて画像表示媒体1に所望の表示画像を形成する場合は、上述した画像形成装置10と同様に、画像読み取り処理部11により原稿の画像(表示画像)が読み取られる。そして、製版処理部12のサーマルヘッド24により、孔版原紙100の感熱フィルム100bが表示画像に応じて溶融穿孔されて、孔版原紙100に表示画像に対応した穿孔画像が形成される。そして、この穿孔画像が形成された孔版原紙100(製版マスタ101)が画像形成処理部13の回転ドラム26の外周面に着版される。
【0085】
また、搬送処理部14により、画像表示媒体1が回転ドラム26の回転に同期したタイミングで画像形成処理部13に供給される。このとき、画像形成処理部13に搬送される画像表示媒体1は、消去用ヘッド35よって表示画像の消去が行われて初期状態とされる。なお、ここでは、フィルム体2の全ての微細フィルム片2aが、カバー部材4に吸着保持された状態を初期状態として説明する。
【0086】
画像形成処理部13に供給された画像表示媒体1は、回転ドラム26とプレスローラ29との間に挟み込まれ、これら回転ドラム26とプレスローラ29の回転に伴って画像表示媒体1が搬送される間に、回転ドラム1の外周面に着版された製版マスタ101の穿孔画像が画像表示媒体1に転写されて、画像表示媒体1に表示画像が形成されることになる。
【0087】
詳述すると、製版マスタ101は、上述したように、感熱フィルム100bが表示画像に応じて溶融穿孔されることで穿孔画像が形成されているので、感熱フィルム100bが溶融穿孔された部分では多孔性支持体100aが露出し、それ以外の部分では残存した感熱フィルム100bで多孔性支持体100aが覆われた状態となっている。
【0088】
このような製版マスタ101が回転ドラム26の外周面に着版され、回転ドラム26に設けられたエア放出管51から回転ドラム26の外周側に向けてエアが放出されると、このエア放出管51から放出されたエアが、製版マスタ101を介して回転ドラム26の外部に放出されることになる。このとき、消去用ヘッド35によって初期状態とされた画像表示媒体1が、製版マスタ101が着版された回転ドラム26の外周面に当接されると、図11に示すように、製版マスタ101の感熱フィルム100bが残存している部分の直下では、この残存した感熱フィルム100bによって回転ドラム26からのエアが遮断されるので、ここに位置する画像表示媒体1の微細フィルム片2aは、回転ドラム26からのエアの圧力を受けることがなく、カバー部材4に吸着保持された状態が維持される。
【0089】
一方、製版マスタ101の感熱フィルム100bが溶融されて多孔性支持体100aが露出している部分の直下では、回転ドラム26からのエアが感熱フィルム100bに遮断されずに製版マスタ101を通過するので、ここに位置する画像表示媒体1の微細フィルム片2aは、回転ドラム26からのエアの圧力を受けてカバー部材4から引き剥がされ、支持部材3の可動空間5内を移動して隔壁5a側に引き付けられて、支持部材3の隔壁5aに吸着保持されることになる。
【0090】
これにより、画像表示媒体1が備えるフィルム体2の各微細フィルム片2aが、製版マスタ101の穿孔画像に応じて支持部材3の隔壁5a或いはカバー部材4に選択的に吸着保持されることになり、製版マスタ101の穿孔画像に対応した画像、すなわち表示画像が、画像表示媒体1に形成されることになる。
【0091】
以上説明したように、この画像形成装置50は、上述した画像形成装置10と同様に、画像表示媒体1に対して所望の表示画像を適切且つ簡便に形成することができ、また、孔版印刷機の多数部高速印刷の利点を活かして、画像表示媒体1に対する表示画像の形成を極めて高速に行うことができる。
【0092】
なお、以上説明した画像表示装置50では、回転ドラム26から放出されたエアの圧力を製版マスタ101を介して画像表示媒体1に作用させることで、画像表示媒体1に表示画像を形成するように構成されているが、エア供給機構に代えてエア吸引機構を回転ドラム26に設け、回転ドラム26にエアを吸引させて、この吸引されるエアの圧力を利用して画像表示媒体1に表示画像を形成するようにしてもよい。この場合には、画像表示媒体1の全ての微細フィルム片2aが支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態が画像表示媒体1の初期状態とされる。そして、製版マスタ101の感熱フィルム100bが残存した部分の直下に位置する画像表示媒体1の微細フィルム片2aは、支持部材3の隔壁5aに吸着保持された状態が維持され、製版マスタ101の感熱フィルム100bが溶融された部分の直下に位置する画像表示媒体1の微細フィルム片2aが、回転ドラム26に吸引されるエアの圧力を受けて支持部材3の隔壁5aから引き剥がされ、可動空間5内を移動してカバー部材4側に引き付けられ、カバー部材4に吸着保持されることになる。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、安価な材料を用いて既存の精密加工技術で作製可能な画像表示媒体を用い、この画像表示媒体に対して、回転ドラムに着版された製版マスタの穿孔画像を転写させるといった孔版印刷の技術を応用して所望の表示画像を形成するようにしているので、画像表示媒体に対する表示画像の形成を適切に且つ低コストで行うことができると共に、孔版印刷の利点である高速処理を活かして、画像表示媒体に対する表示画像の形成を高速で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成システムで用いられる画像表示媒体の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図2】前記画像表示媒体の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】前記画像表示媒体の動作原理を説明する図であり、(a)はフィルム体の微細フィルム片が支持部材の隔壁に吸着保持された状態を示し、(b)はフィルム体の微細フィルム片が支持部材の可動空間内を移動している状態を示し、(c)はフィルム体の微細フィルム片がカバー部材に吸着保持された状態を示している。
【図4】本発明を適用した画像形成システムで用いられる他の画像表示媒体の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図5】本発明を適用した画像形成システムで用いられる更に他の前記画像表示媒体の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図6】本発明を適用した画像形成システムで用いられる画像形成装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図7】前記画像形成装置で使用される孔版原紙の一例を示す断面図である。
【図8】前記画像形成装置で使用される孔版原紙の他の例を示す断面図である。
【図9】前記画像形成装置により前記画像表示媒体に表示画像を形成する様子を拡大して示す図である。
【図10】本発明を適用した画像形成システムで用いられる他の画像形成装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図11】前記他の画像形成装置により前記画像表示媒体に表示画像を形成する様子を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 画像表示媒体
2 フィルム体
2a 微細フィルム片
3 支持部材
4 カバー部材
5 可動空間
5a 隔壁
10 画像形成装置
12 製版処理部
13 画像形成処理部
14 搬送処理部
26 回転ドラム
28 コロトロン
50 画像形成装置
51 エア放出管
100 孔版原紙
100a 多孔性支持体
100b 感熱フィルム
101 製版マスタ
Claims (2)
- 書き換え可能な画像表示媒体に対して、回転ドラムに着版された製版マスタの穿孔画像を転写させて所望の表示画像を形成する画像形成方法であって、
前記画像表示媒体として、
前記表示画像の各画素に対応した多数の遮光性を有する微細フィルム片が基部によって連結されてなるフィルム体と、
一方の主面部側に、前記フィルム体の多数の微細フィルム片に対応して、各微細フィルム片を個別に移動可能とする多数の可動空間が設けられ、これら多数の可動空間が設けられた一方の主面部上にて前記フィルム体を支持する支持部材と、
前記支持部材の一方の主面部上に前記フィルム体を介して配設される透光性および透気性を有するカバー部材とを備えて構成される画像表示媒体を用い、
前記回転ドラムからエアを放出或いは吸引させて、このエアの圧力により前記画像表示媒体が備える前記フィルム体の微細フィルム片を前記製版マスタの穿孔画像に応じて移動させて、前記エアの圧力により移動した微細フィルム片と移動しない微細フィルム片とを、静電誘導によって前記カバー部材或いは前記支持部材の可動空間を隔てる隔壁に選択的に吸着保持させることで、前記画像表示媒体に前記表示画像を形成すること
を特徴とする画像形成方法。 - 書き換え可能な画像表示媒体に対して所望の表示画像を形成する画像形成装置であって、
前記表示画像の各画素に対応した多数の遮光性を有する微細フィルム片が基部によって連結されてなるフィルム体と、一方の主面部側に前記フィルム体の多数の微細フィルム片に対応して各微細フィルム片を個別に移動可能とする多数の可動空間が設けられ、これら多数の可動空間が設けられた一方の主面部上にて前記フィルム体を支持する支持部材と、前記支持部材の一方の主面部上に前記フィルム体を介して配設される透光性および透気性を有するカバー部材とを備えて構成される画像表示媒体を搬送する媒体搬送手段と、
製版マスタが着版された回転ドラムを有し、前記媒体搬送手段により搬送される前記画像表示媒体に対して、前記回転ドラムに着版された前記製版マスタの穿孔画像を転写させて前記表示画像を形成する画像形成処理手段とを備え、
前記画像形成処理手段が、前記回転ドラムからエアを放出或いは吸引させて、このエアの圧力により前記画像表示媒体が備える前記フィルム体の微細フィルム片を前記製版マスタの穿孔画像に応じて移動させて、前記エアの圧力により移動した微細フィルム片と移動しない微細フィルム片とを、静電誘導によって前記カバー部材或いは前記支持部材の可動空間を隔てる隔壁に選択的に吸着保持させることで、前記画像表示媒体に前記表示画像を形成すること
を特徴とする画像形成装置。
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