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JP4041301B2 - 液膜形成方法 - Google Patents
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JP4041301B2 - 液膜形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理基板に対して液体を螺旋状の軌跡を描くように塗布して成膜を行う液膜形成方法に関し、特に液体を吐出する液体供給ノズルの位置、該ノズルから吐出される液体の液体供給速度、及び被処理基板の回転数の3パラメータを同時に制御して行う液膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス製造におけるリソグラフィ工程では、被処理基板の表面に薬液を塗布する液膜形成方法にスピンコート法が採用されていた。しかし、この方法ではウェハ表面から薬液が多く飛散してしまうために無駄が多く、そうして排出された薬液による環境への影響もあった。また、方形の基板や12インチ以上の大きい円形基板の場合には、基板の外周部で乱気流が生じて膜厚が不均一になるという問題があった。
そこで従来から、使用する薬液の量を極力少なくするための方法として、特開2000−288450号公報や特開2000−350955号公報などで、回転する被処理基板に対して薬液供給ノズルを径方向へ移動させる間に薬液を吐出し、その被処理基板に対して薬液を螺旋状の軌跡を描くようにして塗布する液膜形成方法が採用されている。
【0003】
そして当該公報には、その液膜形成を行うに際して、被処理基板上を移動する際、薬液供給ノズルからのレジスト液の吐出、その吐出の際の薬液供給速度、薬液供給ノズルの移動、その移動速度、基板の回転、およびその回転速度を適宜制御することが記載されている。
すなわち特開2000−288450号公報の方法では、例えば薬液供給ノズルからの薬液の吐出に関し、薬液供給ノズルを基板上で移動している際、薬液の吐出を連続し、または薬液供給ノズルの基板上の位置に応じて薬液の吐出を中断して、膜厚の均一化やレジスト使用量の削減を図るようにしている。そして、特開2000−350955号公報の方法では、薬液供給ノズルが移動する間に薬液供給量を漸次多くして基板の中央部と周辺部との間で単位面積あたりの薬液塗布量を等量にして均一な膜を形成するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の膜形成方法では、いわゆる螺旋塗布で均一な液膜を形成するのに必要な薬液供給ノズルの移動速度、薬液供給速度及び基板回転数の3パラメータ全てが時間に対して可変として扱われていなかったため、薬液の飛散による問題は解決されても均一な液膜を得るという点では信頼性が低かった。
【0005】
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決すべく、3パラメータの同時制御により被処理基板上に液体を均一に塗布するための信頼性を向上させた液膜形成方法を提供することを目的とする
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
求項に係る液膜形成方法は、回転する被処理基板に対して径方向に移動しつつ液体を吐出する液体供給部の移動区間の一端を第1の位置として設定する工程と、前記液体供給部が、前記被処理基板の液体供給領域の最外径に位置する時の前記被処理基板の回転数と該基板への滴下液体の想定される軌跡の単位長さあたりの液体供給量qout を決定する工程と、前記液体供給部が任意の位置に存在する時、被処理基板が1周する毎に生じる前記液体供給部の径方向の移動ピッチが変化するように、移動ピッチを設定する工程と、第1の位置、その第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチ、及び前記液体供給量qout から、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数を決定する工程と、前記液体供給部が第1の位置に位置してから前記被処理基板を単位時間回転させたときの回転角と、第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチとから、単位時間後に前記液体供給部が位置する第2の位置を決定する工程と、第2の位置が移動区間の他端に至るまで、第2の位置を新たな第1の位置として再設定して、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数の決定、液体供給速度と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係、及び、被処理基板回転数と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係をそれぞれ関数として決定する工程と、決定された関数に基づいて液体供給部の径方向位置と、液体供給速度と被処理基板回転数の算出された制御値と現在値とが一致するか否かを確認して、前記制御値の誤差補正を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜の形成を行うことを特徴とする。
【0012】
そして、こうした発明に対しては前記請求項及び請求項に係る実施態様が好ましい。
前記被処理基板に対して径方向に移動する液体供給部の移動方向が、中心部側から周辺部側、または周辺部側から中心部側であり、その移動に伴う液膜形成処理を単位時間毎に得られた前記制御値により液体供給部の径方向位置、液体供給速度及び被処理基板回転数の制御を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜を形成すること。
また、直前の制御値だけではなく、被処理基板の径方向でフィードバックをかけるために、被処理基板の1回転前の制御値も、前記関数に基づいて算出された制御値を補正する際に利用すること。
【0013】
よって、本発明によれば、被処理基板上に載った液体が遠心力によって移動しないように液体供給部の移動位置、液体供給部から吐出される液体の供給速度、及び被処理基板の回転数を単位時間毎に求め、この3パラメータを同時に制御するので、被処理基板上に螺旋状の軌跡を描いて液体を塗布する螺旋塗布において液膜を均一化するための塗布制御の信頼性を向上させることができる。その結果、被処理基板上の液膜が従来のものに比べてより均一に塗布され、最終製品の品質向上にも大きく寄与することになる。そして特に、こうした3パラメータの同時制御を予め設定された関数に基づいて行うようにしたため、制御を容易に行うことができる。
また、関数に基づく制御は、被処理基板に対する液体供給部の径方向移動を中心部側から周辺部側またはその逆方向のいずれでも、同じように液膜を高いレベルで均一化させる制御を行うことができる。更に、1回転前の値に基づいても制御値の補正を行うため、螺旋状の軌跡を描く液体塗布を1回転単位で適切に制御することができる。
【0014】
請求項に係る液膜形成方法は、回転する被処理基板に対してその上を径方向に移動する液体供給部から液体を吐出することにより、被処理基板上に液体による螺旋状の軌跡を描いて液膜形成する方法であって、前記液体供給部から吐出されて前記被処理基板上に載った液体が遠心力によって移動しないように、前記液体供給部の被処理基板中心からの径方向位置rにおける液体の供給速度Vと、前記被処理基板の回転数Wとの積が一定となる関係を維持しながら、前記被処理基板の回転数Wを低下させるとともに、前記液体の供給速度Vを増加させる場合に、前記液体供給部の移動位置と、前記液体供給部から吐出される液体の供給速度と、前記被処理基板の回転数とをそれぞれ処理時間tに応じて制御するための関数を予め設定しておき、その関数に基づいて処理時間tにおける前記液体供給部の移動位置と、前記液体供給部から吐出される液体の供給速度と、前記被処理基板の回転数とを随時求めながら制御を行うことを特徴とする。
【0015】
そして、係る発明に対しては前記請求項乃至請求項11に係る実施態様が好ましい。
すなわち、前記液体供給部から吐出した液体によって前記被処理基板に液膜を形成する処理過程が複数の領域に分けられ、前記関数が、それぞれの領域に対して設けられていること。
前記領域の境界が、理論値に近似させるように前記関数を求めようとした場合に、その関数における誤差が大きくなる部分に設けられていること。
前記領域の境界が、前記被処理基板の回転数制御が制御限界値になったところ、または液体供給部から吐出される液体の液体供給速度が制御限界値になったところに設けられていること。
前記領域の境界が、処理時間tに対する前記液体供給部の移動位置制御、前記液体供給部から吐出される液体の供給速度制御、前記被処理基板の回転数制御のいずれかの値の変曲点に定められていること。
【0016】
前記領域の境界で、処理時間tの関数が連続となるように関数の次数と係数が決定されること。
前記被処理基板の回転数制御が、回転接線方向加速度の符号が反転することのないように行われ、該制御を反映して液体の供給速度が制御されること。
前記液体供給部が前記被処理基板の最外径rout で定められた基板の回転数Wout 、及び該液体供給部からの液体供給速度Vout に対し、前記液体供給部が基板中心から距離rに位置するときの基板回転数Wが(rout /r)の平方根と係数bとWout との積で定められ、且つ供給速度VがVout を(rout /r)の平方根と係数bで除した値で定められること。
【0017】
よって、本発明によれば、被処理基板上に載った液体が遠心力によって移動しないように液体供給部の移動位置、液体供給部から吐出される液体の供給速度、及び被処理基板の回転数を随時求め、この3パラメータを同時に制御するので被処理基板上に螺旋状の軌跡を描いて液体を塗布する螺旋塗布において液膜を均一化するための塗布制御の信頼性を向上させることができる。その結果、被処理基板上の液膜が従来のものに比べてより均一に塗布され、最終製品の品質向上にも大きく寄与することになる。そして特に、こうした3パラメータの同時制御を予め設定された関数に基づいて行うようにしたため、制御を容易に行うことができる。
【0018】
また、実施態様により次のような効果も奏する。即ち、関数を複数の領域に分けて設定したことにより、遠心力など変化する状態に応じた適切な制御を行うことができる。領域の境界を理論値との誤差が大きくなる部分に設けたことにより、制御に適切な関数を得ることができる。領域の境界を機器の制御限界値に設けたことにより、液膜形成装置を構成する各機器の性能に応じた適切な制御を行うことできる。3パラメータを同時に制御する本発明では、いずれかの値の変曲点によって領域の境界を定めることにより、3パラメータを最も好ましい状態で制御することができる。更に、こうした境界で処理時間tの関数が連続となるように関数の次数と係数を決定することにより、塗布状態の急激な変化を防止して均一な液膜を形成することができる。また、被処理基板の回転が急激に変化しないように回転数制御を行うため、被処理基板上に塗布された液体の加速変化による移動を防止できる。
【0019】
請求項12に係る液膜形成方法は、回転する被処理基板に対して径方向に移動しつつ液体を吐出する液体供給部の移動区間の一端を第1の位置として設定する工程と、前記液体供給部が、前記被処理基板の液体供給領域の最外径に位置する時の前記被処理基板の回転数と該基板への滴下液体の想定される軌跡の単位長さあたりの液体供給量qout を決定する工程と、第1の位置、その第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチ、及び前記液体供給量qout から、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数を決定する工程と、前記液体供給部が第1の位置に位置してから前記被処理基板を単位時間回転させたときの回転角と、第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチとから、単位時間後に前記液体供給部が位置する第2の位置を決定する工程と、第2の位置が移動区間の他端に至るまで、第2の位置を新たな第1の位置として再設定して、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数の決定、液体供給速度と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係、及び、被処理基板回転数と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係をそれぞれ関数として決定する工程と、決定された関数に基づいて液体供給部の径方向位置と、液体供給速度と被処理基板回転数の算出された制御値と現在値とが一致するか否かを確認して、前記制御値の誤差補正を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜の形成を行うことを特徴とする。
【0020】
そして、こうした発明に対しては前記請求項13及び請求項14に係る実施態様が好ましい。
前記被処理基板に対して径方向に移動する液体供給部の移動方向が、中心部側から周辺部側、または周辺部側から中心部側であり、その移動に伴う液膜形成処理を単位時間毎に得られた前記制御値により液体供給部の径方向位置、液体供給速度及び被処理基板回転数の制御を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜を形成すること。
また、直前の制御値だけではなく、被処理基板の径方向でフィードバックをかけるために、被処理基板の1回転前の制御値も、前記関数に基づいて算出された制御値を補正する際に利用すること。
【0021】
よって、本発明によれば、被処理基板上に載った液体が遠心力によって移動しないように液体供給部の移動位置、液体供給部から吐出される液体の供給速度、及び被処理基板の回転数を単位時間毎に求め、この3パラメータを同時に制御するので被処理基板上に螺旋状の軌跡を描いて液体を塗布する螺旋塗布において液膜を均一化するための塗布制御の信頼性を向上させることができる。その結果、被処理基板上の液膜が従来のものに比べてより均一に塗布され、最終製品の品質向上にも大きく寄与することになる。そして特に、こうした3パラメータの同時制御を予め設定された関数に基づいて行うようにしたため、制御を容易に行うことができる。
また、関数に基づく制御は、被処理基板に対する液体供給部の径方向移動を中心部側から周辺部側またはその逆方向のいずれでも、同じように液膜を高いレベルで均一化させる制御を行うことができる。更に、1回転前の値に基づいても制御値の補正を行うため、螺旋状の軌跡を描く液体塗布を1回転単位で適切に制御することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る液膜形成方法の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明に係る液膜形成方法を実行するための螺旋塗布装置を示した構成図である。
螺旋塗布装置1は、箱形の装置本体2内に駆動系が構成され、先ず装置本体2の底面に回転駆動モータ3が配置され、上方に突き出た回転軸に回転テーブル4が取り付けられている。回転テーブル4には、上面に吸着プレート5が設けられ、その上に載置された被処理基板10を水平に真空吸着し、回転駆動モータ3の回転出力によって回転させるように構成されている。
【0023】
回転駆動モータ3上には処理容器6が形成され、回転テーブル4及びその上の被処理基板10を包み込むようになっている。そして、その処理容器6の蓋6aには、その上から被処理基板10に対して薬液を落とすためのスリット6sが径方向に形成されている。スリット6sは、回転テーブル4の中心、すなわち載置された被処理基板の中心から液膜の最外径となる位置まで直線状に切り欠かれている。そうしたスリット6sを有する蓋6a上には、スリット6sの両端に処理容器6外から吐出される薬液を受けるための受皿7a,7bが設けられている。これは、被処理基板10へ塗布する時以外に薬液供給ノズル8から吐出される薬液を受ける必要があるからである。
【0024】
装置本体2内には、被処理基板10へ薬液を塗布するための薬液供給ノズル8が移動可能に設けられいている。この薬液供給ノズル8は、被処理基板10の径方向に沿ったスリット6s上を移動するようにノズル移動機構が処理容器6上に構成されている。具体的には、スライドレール11とノズル移動モータ12に連結された回転軸13とが並設され、スライドレール11を摺動して直線往復運動する薬液供給ノズル8と回転軸13との間に、ノズル移動モータ12の回転力を薬液供給ノズル8の直線運動に変えるボールネジや磁気ネジが構成されている。
【0025】
薬液供給ノズル8は、薬液を収容した薬液タンク15に対し、薬液供給ポンプ16を介してチューブ17,17によって接続されている。この薬液供給ポンプ16は、空気圧供給弁18からの空気圧によってポンプ室25上に設けられたダイヤフラム21を動作させることによって、薬液タンク15から薬液供給ノズル8へと薬液を所定の圧力で供給するようにしたものであり、薬液の吐出圧力を検出する圧力センサ22が内蔵され、ポンプ室25の入力側及び出力側には、ポンプ室25に薬液を蓄えて所定圧で供給するために薬液供給遮断弁23と薬液排出遮断弁24とがそれぞれ設けられている。
【0026】
次に螺旋塗布装置1には、こうして構成された駆動系を制御するための制御系が構成されている。本実施形態では、被処理基板10の回転数、薬液供給ノズル8の駆動速度(薬液供給ノズル8の位置)、そして薬液供給ノズル8からの薬液供給速度(薬液の吐出圧力)をパラメータとして、これらを同時に制御するように構成されている。そこで、回転駆動モータ3に対しては回転用コントローラ31が、ノズル移動モータ12に対してはノズル移動用コントローラ32が、また空気圧供給弁18と圧力センサ22にはポンプ用コントローラ33が接続されている。そして、薬液が被処理基板上に供給される間、被処理基板10の回転数、薬液供給ノズル8の駆動速度(薬液供給ノズル8の位置)、及び薬液供給ノズル8からの薬液供給速度(薬液の吐出圧力)が各コントローラ31,32,33により管理されるが、更にこれらにはメインコントローラ30が接続され統括管理できるように構成されている。
【0027】
続いて、螺旋塗布装置1を利用した液膜形成方法について以下に説明する。本実施形態の液膜形成方法は、スピンコート法に代えて、薬液供給ノズル8から吐出される微細噴流の薬液を、回転する被処理基板10に対して螺旋状に塗布するいわゆる螺旋塗布を実行するものである。そこで先ず、回転駆動モータ3によって回転テーブル4に回転が与えられ、吸着プレート5に保持された被処理基板10が回転駆動モータ3の出力に応じた所定の回転数で回転する。一方、薬液タンク15内の薬液が薬液供給ポンプ16によって薬液供給ノズル8へ圧送され、微細噴流となった薬液が薬液供給ノズル8から直下に吐出される。薬液は細い流線となって途切れることなく吐出され、薬液供給ノズル8が移動する間にスリット6sを通って被処理基板10上に供給される。
【0028】
被処理基板10に対する薬液の供給は、その中心部から周辺側に向けて、又は周辺部から中心側に向けて薬液供給ノズル8が移動する際に行われる。薬液供給ノズル8の移動はノズル移動モータ12の駆動によって行われ、回転軸13に回転が与えられると、その回転が不図示のボールネジや磁気ネジによって薬液供給ノズル8の直線運動に変換される。そのため、薬液供給ノズル8は、スライドレール11を摺動してリット6sの上方を吐出口を真下にした姿勢を崩さずに移動していく。
【0029】
ここで図2は、螺旋塗布のイメージ図であるが、液膜形成時には、回転する被処理基板10に対して径方向に移動する薬液供給ノズル8から薬液が吐出されると、被処理基板10上には、図示するように微細噴流の薬液が流線になって渦巻き状に順次供給されていく。そして渦巻き状に供給された薬液は広がって隣接する薬液同士が結合し、被処理基板10上には一つの液膜が形成される。
こうして形成された被処理基板10上の液膜は、その後、液膜中にある溶剤の乾燥除去が行われるが、その乾燥手法には、加熱、溶剤の飽和蒸気圧以下での減圧乾燥、表面の気流に接触させる手法などが用いられる。
【0030】
ところで、回転駆動モータ3などが前述したように駆動して行われる本実施形態の螺旋塗布は、各機器の制御プログラムが格納されており、これに従ってメインコントローラ30の管理の下、各コントローラ31,32,33からの制御指令によって実行される。すなわち、回転駆動モータ3、ノズル移動モータ12及び薬液供給ポンプ16の各機器は、前述したように被処理基板10の回転数、薬液供給ノズル8の移動速度(薬液供給ノズル8の位置)、そして薬液供給ノズル8からの薬液供給速度(薬液の吐出圧力)をパラメータとした処理時間tに対する高次関数(以下、次数が1/2であるものも「高次関数」に含まれるとする。)で制御されるようになっている。図3は、各機器がそうした高次関数を基に制御された場合の処理時間tに対応したノズル位置(a)、吐出圧力(b)及び基板の回転数(c)をそれぞれ示したものである。
【0031】
一方、図5は、高次関数に基づいて3パラメータを制御しながら被処理基板10上に薬液を塗布するための塗布制御フローを示した図である。螺旋塗布装置1のメインコントローラ30には、この塗布制御フローを実行するための処理プログラムが記憶されている。そこで、このフローに従った塗布処理について説明していく。
先ず、被処理基板10への薬液塗布の開始信号が入力されると、薬液供給ノズル8の配置や薬液供給ポンプ16の弁開閉など、各駆動系が所定の状態になるよう初期化処理が行われる(S1)。初期化処理の具体的動作としは、先ず薬液供給ノズル8が中心側の受皿7a上に配置される。そして、薬液供給ポンプ16では、薬液供給遮断弁23を開けられて薬液排出遮断弁24が閉じられ、薬液タンク15からポンプ室25内に薬液が吸引されたところで薬液供給遮断弁23が閉じられる。
【0032】
そして、初期化処理が行われた後は、続いて薬液吐出安定化処理が行われる(S2)。薬液吐出安定化処理は、図3に示す高次関数による各パラメータ制御を実行するための準備工程であり、図6は、この薬液吐出安定化処理を示すサブフローを示したものである。また図4は、その薬液吐出安定化処理における処理時間に対応した基板中心を基準とした、基板径方向のノズル位置(a)、吐出圧力(b)及び被処理基板の回転数(c)をそれぞれ示したものである。
【0033】
先ず、薬液供給ポンプ16では、遮断弁23,24が共に閉じられ、ポンプ室25内の薬液が、空気圧供給弁18からの空気圧により駆動するダイヤフラム21によって加圧される。この加圧力は圧力センサ22によって検出されており、空気圧供給弁18がその検出値に基づくポンプ用コントローラ33の制御によって、図4(b)に示すよう薬液の吐出圧力が0.3MPaに調整される(S101)。また回転用コントローラ31によって回転駆動モータ3に回転が与えられ、徐々に被処理基板10の回転数が上げられる(S102)。そして、処理開始後2secの時間経過が確認され(S103)、その時間経過によって(S103:YES)薬液供給ポンプ16の薬液供給遮断弁23が開けられる(S104)。そのため、薬液供給ノズル8からは0.3MPaで薬液が吐出されるが、この時点では薬液供給ノズル8が受皿7a上にあるため、薬液は全て受皿7aに受け取られる。
【0034】
その後も被処理基板10の回転数は、図4(c)に示すように直線的に更に加速され続ける(S105)。そして、処理時間が6secになるまではこの状態が継続され、処理時間が6secになったところで(S106:YES)図4(b)に示すように2secかけて薬液の吐出圧力が0.2MPaまで減圧される(S107)。吐出圧力の低下は、圧力センサ22からの検出値に基づいて空気圧供給弁18が制御され、空気圧によってポンプ室25内の薬液を圧送するダイヤフラム21の加圧力が抑えられていく。こうして吐出圧力の減圧を0.2MPaまでとしているのは、薬液供給ノズル8から薬液を微細噴流として吐出することのできる薬液供給ポンプ16の制御限界値が0.2MPaだからである。
【0035】
そして、その後も更に被処理基板10の回転数が図4(c)に示すように直線的に加速されつづけ(S108)、被処理基板10へ薬液の塗布を開始する初期回転数(180rpm)になったか否かの確認が行われる(S109)。180rpmを初期回転数としているのは、当該回転数が回転駆動モータ3の性能による制御限界値だからである。そこで、被処理基板10の回転が初期回転数に達すれば、図4(c)に示すよう回転数が一定になるように制御される。次に、薬液の吐出圧力は0.2MPaで安定しており、更にこの被処理基板10の回転も初期回転数で安定したところで(S109:YES)、これまで受皿7a上にあった薬液供給ノズル8の移動が開始される(S110)。
【0036】
薬液供給ノズル8は、被処理基板10の中心を基準に一方向のをプラス範囲とし、その逆方向をマイナス範囲としている。そこで薬液供給ノズル8は、S110で移動を開始するまではマイナス範囲に配置された受皿7a上に位置しており(図4(a)参照)、処理開始後10sec程で基板中心へプラス方向の移動が始められる。薬液供給ノズル8の位置はエンコーダ等の検出器からの信号によって検出され、基板中心(ノズル原点)に到達したか否かが確認される(S111)。薬液供給ノズル8は、図4(a)に示すように処理開始後12secの時点でノズル原点に到達し(S111:YES)、これによって薬液吐出安定化処理(S2)が終了する。従って、薬液吐出安定化処理が終了した時点では、図4に示すように薬液供給ノズル8が被基板基板8の中心に位置し、薬液の吐出圧力が0.2MPaに、そして被処理基板10の回転数が180rpmにて安定している。
【0037】
そこで、薬液を被処理基板10上へ実際に吐出する塗布処理は、こうして薬液供給ノズル8が基板中心に到達した直後から開始される。図3では、薬液供給ノズル8が被処理基板10の中心に位置した時点を0時として示している。
螺旋塗布の制御は、図5に示す制御フローに戻って各機器の現在値が確認される(S3)。すなわち、回転駆動モータ3の回転数、薬液供給ノズル8の位置、及び薬液供給ポンプ16の吐出圧力が、各コントローラ31,32,33に送られる情報によって各機器の現在値として取り込まれる。こうした各機器の現在値は、薬液供給ノズル8が移動する間、単位時間毎に確認される。
【0038】
次に、被処理基板10に薬液が被処理基板10上に塗布された場合、その液膜の周辺部分がどのような状態になるかの確認が行われる(S4)。すなわち、薬液供給ノズル8が被処理基板10の薬液供給領域の最外径に位置した場合に、被処理基板10上に塗布された薬液が飛散しないような被処理基板10の回転数と、その被処理基板10へ塗布する滴下薬液の想定される軌跡の単位長さあたりの薬液供給量qout の各々の各値が求められる。
【0039】
そして、こうして得られた任意の位置における各機器の現在値と周辺部の値とを基に、単位時間毎に薬液供給ノズル8の移動速度(薬液供給ノズル8の移動位置)、薬液供給速度(薬液の吐出圧力)、及び被処理基板10の回転数の3パラメータについて、予め設定されている高次関数に基づく制御値の計算が行われる(S5)。このとき、被処理基板10上に塗布された薬液が遠心力によって流れないようにすることに注意する必要があるが、高次関数は、そうした点を考慮して設定されたものである。そこで、高次関数の設定について以下に説明する。
【0040】
先ず、単位面積当たりの塗布量を一定にする場合、特に中心部では径が小さい反面、薬液の吐出圧力を0.2MPa以下に落とせないため、径方向に隣り合う薬液が重ならないように被処理基板10が1周する毎に生じる径方向の移動ピッチdrを大きくする必要がある。その一方で、薬液供給ノズル8の移動に従い径は大きくなるため、径方向の移動ピッチdrを小さくする必要がある。そこで、被処理基板10上に薬液を螺旋状に塗布する薬液供給ノズル8の径方向の移動ピッチdrは、その直前の移動ピッチdr0に1より小さい変化率aを乗じた値で決定され、ピッチ間隔は液膜の周辺部側に移動する間、徐々に狭められるよう設定する。
【0041】
具体的には、被処理基板10が1回転する毎に、薬液供給ノズル8の移動ピッチ変化率aを0.99(1%減少)するようにした。被処理基板10の中心を基準とした螺旋の数を周値n(n>0の実数)と定義すると、この周値nを用い、n=1における薬液供給ノズル8の移動ピッチd1を用いると、周値nにおける径方向の移動ピッチdnは、
dn=d1×an-1 (1)
=d1×0.99n-1
と表すことができる。このときの薬液供給ノズル8の径方向位置Rnは、
Rn=d1×(1−an-1)/(1−a) (2)
=d1×(1−0.99n-1)/(1−0.99)
と表すことができる。
【0042】
上記dnが一定(a=1)の場合には、被処理基板10の中心からの距離rにおける面積変化率は2πrである。被処理基板10の中心からの距離rにおける面積変化率は、被処理基板10の中心からの距離rに比例しているので、薬液供給最外径rout と、その時の滴下薬液の想定される軌跡の単位長さあたりの薬液供給量qout との比と、被処理基板10の中心からの距離rと薬液供給量qとの比とを等しくする必要がある。
従って、被処理基板10の中心からの距離rでの薬液供給量qは、
q=qout ×r/rout (3)
とする必要がある。
【0043】
また、被処理基板10の中心からの距離rにおける薬液供給速度Vrと回転数Wrと薬液供給量qとの間には、
q=Vr/Wr (4)
との関係が成立する。
従って、(3),(4)式から
Vr/Wr=(Vrout /Wrout )×(r/rout ) (5)
を満たすような被処理基板10の中心からの距離rにおける薬液供給速度Vrと回転数Wrを定めればよい。ここでVrout ,Wrout はそれぞれ最外径routにおける薬液供給ノズル8の径方向位置Rnでの薬液供給速度と回転数である。
【0044】
従って、薬液供給速度Vrと回転数Wrに同じ変化率を与えることとし、被処理基板10の中心からの距離rにおいて、薬液供給ポンプ制御と回転数制御の限界を考慮し、制御の負荷配分を係数b’(b’=1/bとする。)を用いると次式のように表せる。
Vr=Vrout ×b/(rout /r)1/2 (6)
Wr=Wrout ×(rout /r)1/2/b (7)
【0045】
なお、本実施形態ではdnは一定ではなく等比級数的に変化しているので(6),(7)式は、
Vr=Vrout /(rout /r)1/2×(b×((Rn+0.5−Rn-0.5)/(Rnout+0.5−Rnout-0.5))1/2) (8)
Wr=Wrout ×(r/rout )1/2/(b×((Rn+0.5−Rn-0.5)/(Rnout+0.5−Rnout-0.5))1/2) (9)
にそれぞれおきかえられる。
【0046】
また、被処理基板10の中心からの距離rにおける微少単位面積にある液膜にかかる遠心力Fは、液体の比重cを用いて、
F=mrWr2
=c×(qout /2π)×(r/rout )Wr2 (10)
と表せる。
遠心力Fが一定になる関係を求めると、C=c(qout /2πrout )とおくと、
Wr=(F/C)1/2 × /r)1/2 (11)
となる。
【0047】
(7),(11)式から、最外径rout における回転数Wrout を、広がった液膜に流動性を生じる下限の遠心力Fと定数C及び係数b(通常は1)を用いて、
Wrout ≦(F/C)1/2 ×b’/r out 1/2 (12)
のように定めることで、被処理基板10外に薬液が排出することなく、被処理基板10の面内で液膜分布の偏りのない液膜形成が可能となる。したがって、
Wr≦(F/C)1/2 ×(1/r) 1/2 (13)
なお、回転数Wrと薬液供給速度Vrは(4),(13)式を満たす組合せであれば如何なる値にしてもよい。
以上のことを考慮した上で薬液供給ノズル8の移動位置を決定する移動速度、薬液供給ノズル8からの薬液吐出圧力、そして被処理基板10の回転数について、処理時間tに対するそれぞれの高次関数を求めればよい。
【0048】
すなわち、3パラメータを制御する高次関数は、以下の手順に従って得られた理論値により決定される。
回転する被処理基板10に対して薬液供給ノズル8を径方向に移動させたとき、単位時間毎に区切った移動領域の一端が第1の位置として設定され、先ず、薬液供給ノズル8が塗布領域の最外径に位置する時の被処理基板10の回転数Woutと、被処理基板10への滴下薬液の想定される軌跡の単位長さあたりの薬液供給量qout が求められる。そして、設定された第1の位置とその第1の位置における薬液供給ノズル8の移動ピッチ、そして最外径における薬液供給量qout とに基づいて、当該第1の位置における薬液供給速度と被処理基板10の回転数とが決定される。
【0049】
更に、薬液供給ノズル8が第1の位置に位置してから被処理基板10が単位時間回転したときの回転角、及びその第1の位置における薬液供給ノズル8の移動ピッチとから、薬液供給ノズル8が単位時間だけ移動したときの位置が第2の位置として求められる。そして、塗布領域終端に至るまでは、第2の位置が次の単位時間における新たな第1の位置として再設定され、第1の位置における薬液供給ノズル8からの薬液供給速度と被処理基板10の回転数の決定、単位時間後に薬液供給ノズル8が位置する第2の位置の決定が繰り返し行われる。そこで、こうして得られた理論値から、薬液供給ノズル8の径方向位置、薬液供給速度及び被処理基板10の回転数を適切に制御するため処理時間に対する高次関数が決定される。
【0050】
ところで本実施形態では、こうして決定された高次関数が、図3に示すようにノズル位置(a)、吐出圧力(b)及び基板の回転数(c)の3パラメータについて各機器を制御をするものであるが、この高次関数の決定に当たっては、被処理基板10への螺旋塗布処理が領域1から領域4までの4段階に分けられ、その各領域毎に求められている。そして、ここでの各領域の境界は、時間tに対する薬液供給ノズル8の径方向位置制御(移動速度制御)、薬液の吐出圧力制御、被処理基板10の回転数制御のいずれかの値の変曲点を基に定められており、具体的には次の通りである。
【0051】
先ず、領域1と領域2の境界は処理時間t1にあるが、これは被処理基板10の回転数制御に基づく変曲点であり、被処理基板10を回転させる回転駆動モータ3の制御限界値によって設定されている。領域1での処理開始時点では、ノズル移動の原点(被処理基板10の中心)から所定の距離までを螺旋塗布する場合には、半径が小さいため1周分の距離が短く、薬液の吐出圧力が0.2MPa以下に落とせないことから、塗布された薬液が重ならないようにするため、薬液供給ノズル8を高速移動させるとともに被処理基板10を回転させる回転駆動モータ3の制御限界値である180rpmに設定している。しかし、一方で中心からの距離が大きくなれば塗布された薬液にかかる遠心力が大きくなることから、薬液が遠心力によって流れないようにするため、処理が進むに従って回転駆動モータ3の回転数を下げる必要がある。そこで、回転駆動モータ3の回転数を制御限界値から下げる処理時間t1の時点が変曲点1となっている。
【0052】
次に、領域2と領域3の境界はt1直後の処理時間t2にあり、薬液供給ノズル8から吐出される薬液供給速度(吐出圧力)制御に基づく変曲点である。薬液供給ポンプ16から薬液を微細噴流として吐出するための吐出圧力の制御限界値が0.2MPaであるため、これ以下に落とすことができず、前述したように制御限界値の0.2MPaで薬液を吐出していた。しかし、塗布する螺旋の半径が大きくなると塗布面積も大きくなるため、単位面積当たりの塗布量を一定にするためには、被処理基板10の回転数に続いてに薬液吐出圧力を上げて薬液供給量を大きくする必要がある。そこで、薬液の吐出圧力を制御限界値から上昇させる処理時間t2の時点が変曲点2となっている。なお、変曲点1,2の処理時間t1,t2にズレが生じさせているのは、薬液の塗布状態の急激な変化により被処理基板10上の薬液が流れて液膜にムラが生じないようにするためである。
【0053】
更に、領域3と領域4の境界は処理時間t3にあり、これも薬液供給ノズル8から吐出される薬液供給速度(吐出圧力)制御に基づく変曲点である。薬液供給ポンプ16が薬液に加えることのできる吐出圧力の制御限界値が0.35MPaであるため、これ以上に上げることができず、領域3で上昇させてきた吐出圧力が限界に達するからである。そこで、薬液の吐出圧力が上限の制御限界値に達した処理時間t3の時点が変曲点3となっている。
【0054】
ところで高次関数を分ける各領域の境界は、上記薬液供給ノズル8の径方向位置制御などにおける変曲点を基に定められているが、これは高次関数を理論値に近似させるようにした場合、高次関数をこの変曲点で近似させることが難しく誤差が大きくなってしまうからである。従って領域の境界とは、時間tに対する薬液供給ノズル8の径方向位置制御などの値の変曲点に限らず、理論値に近似させるように求めた高次関数の誤差が大きくなる部分で定められるといえる。
そしてまた、塗布状態の急激な変化を防止するためには、こうして求められた各高次関数を各領域の境界において連続させるようにしなければならない。そこで高次関数は、こうした各領域間での連続性を考慮して次数と係数とが決定される。
【0055】
再び図5に示す制御フローに戻り、高次関数に基づいて算出された被処理基板10の回転数、薬液供給ノズル8の移動速度そして薬液の吐出圧力の計算値が、先のS3で得られた現在値と比較される(S6)。比較の結果、両者の値が一致すれば計算値が出力値として決定され(S7)、一方、両者の値が一致しない場合には制御値の誤差補正処理が行われ(S8)、その補正値が出力値として決定される(S7)。このときの誤差補正処理では、計算値及び現在値の他に、被処理基板10が1回転する前の値をも利用する。螺旋状に薬液を塗布する螺旋塗布では、単位時間にみた接線方向の制御に加え、薬液供給ノズル8を移動方向にみた場合の1回転単位で薬液の塗布状態を制御することも必要だからである。
こうして決定された出力値は、メインコントローラ30からの指令により各コントローラ31,32,33から回転駆動モータ3、ノズル移動モータ12及び空気圧調整弁18へと制御信号として出力される(S9)。
【0056】
そこで、制御信号を受けた回転駆動モータ3、ノズル移動モータ12及び空気圧調整弁18により、被処理基板10が所定の回転数で回転し、その被処理基板10上を所定の速度で薬液供給ノズル8が移動し、更に薬液供給ノズル8からは所定の吐出圧力で薬液が被処理基板10に塗布される。そして各機器の制御は、単位時間毎に送信される制御信号によって更新され、液膜の周辺部に至るまでS3〜S9の処理が繰り返される。
液膜の周辺部に当たる位置には処理容器6の蓋6a上に配置された受皿7bがあり、薬液供給ノズル8の位置が受皿7bに達したことが検出されたところで、基板塗布の終了が確認される(S10)。
【0057】
そして、薬液供給ノズル8が外周側の受皿7bにまで達して基板塗布の終了が確認された場合には(S10:YES)、薬液吐出終了処理(S11)に移る。図7は、この薬液吐出終了処理を示すサブフローを示した図である。
【0058】
薬液供給ノズル8から吐出された薬液は受皿7bによって受け取られる。そこで、薬液吐出終了処理の開始により、薬液供給ポンプ16の薬液排出遮断弁24が閉じられ(S201)、空気圧供給弁18の圧力調整によって閉じられたポンプ室25内の圧力が0MPaまで減圧される(S202)。こうした0MPaまでの減圧は圧力センサ22によって検出され、減圧完了の確認が行われる(S203)。そして、0MPaまで減圧されると(S203:YES)、薬液供給ポンプ16の薬液供給遮断弁23が開けられ(S204)、ダイヤフラム21が引き上げられて薬液タンク15から薬液供給ポンプ16内に薬液が吸引される(S205)。薬液の吸引が完了すれば(S206:YES)、薬液供給遮断弁23が閉じられて薬液吐出終了処理が完了する(S207)。
【0059】
こうした薬液吐出終了処理(S11)の後は、液膜が形成された被処理基板10が、被処理基板10の傾斜が投影レンズの像面に対して平行になるようにレベリング処理が行われ(S12)、次いで液膜中にある溶剤を乾燥除去する乾燥処理が行われる(S13)。その乾燥処理には、加熱、溶剤の飽和蒸気圧以下での減圧乾燥、表面の気流に接触させる手法などが用いられる。
【0060】
よって、以上説明した本実施形態の液膜形成方法によれば、薬液供給ノズル8の移動位置(移動速度)、その薬液供給ノズル8から吐出される液体の供給速度(吐出圧力)、及び被処理基板10の回転数を同時に制御するようにしたので、単位面積当たりの薬液の塗布量を一定にすること、また遠心力による薬液の流れを防止すること等を考慮した適切な制御を行うことが可能になり、被処理基板10上への螺旋塗布において液膜を均一化するための塗布制御の信頼性を向上させることができた。
そして特に、こうした3パラメータの同時制御を予め設定された高次関数に基づいて行うようにしたため、制御を容易に行うことができるようになった。
【0061】
また、高次関数を領域1〜4の複数に分けて設定したことにより、遠心力など変化する状態に応じた適切な制御を行うことができるようになった。そして、領域1〜4の境界を回転駆動モータ3や薬液供給ポンプ16の制御限界値に設けたことにより、液膜形成装置を構成する当該機器の性能に応じた適切な制御を行うことができるようになった。更には、3パラメータのいずれかの値の変曲点によって領域1〜4の境界を定めたので、最も好ましい状態で制御することができるようになった。
【0062】
以上、液膜形成方法の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、様々な変更が可能である。
例えば、吐出圧力の制御限界値などは本実施形態で挙げた薬液供給ポンプ16などによるものであり、性能の異なった機器を使用すれば値が異なるのは当然である。そうした場合には変曲点の位置も異なり、処理時間tに対応するノズル位置、吐出圧力及び基板回転数の3パラメータを制御する高次関数も変更され、図3とは異なる制御となる。
また、例えば前記実施形態では薬液供給ノズル8を被処理基板10の中心から周辺部へ移動させる際に塗布するようにしたが、逆方向に移動する場合であってもよい。
また前記実施形態では、薬液供給ノズル8の移動ピッチが一定の割合で減少するようにしたが、移動ピッチは、中心部側から周辺部側にみた場合に小さくなるようにするのであって、必ずしも薬液供給ノズル8の移動領域全体にわたって常に減少する必要はない。各機器の性能により一部区間について移動ピッチを一定にする必要があることも考えられるからである。
【0063】
【発明の効果】
よって、本発明の液膜形成方法によれば、液体供給部の移動位置、液体供給部から吐出される液体の供給速度、及び被処理基板の回転数を予め設定された高次関数に基づいて随時求め、この3パラメータを同時に制御するので、被処理基板上に螺旋状の軌跡を描いて液体を塗布する螺旋塗布において液膜を均一化するための塗布制御の信頼性を向上させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液膜形成方法を実行するための螺旋塗布装置を示した構成図である。
【図2】 螺旋塗布のイメージ図である。
【図3】 高次関数に基づいて制御した処理時間tに対応するノズル位置(a)、吐出圧力(b)及び基板の回転数(c)の特性図である。
【図4】 薬液吐出安定化処理における処理時間に対応したノズル位置(a)、吐出圧力(b)及び被処理基板の回転数(c)の特性図である。
【図5】 塗布制御フローを示した図である。
【図6】 薬液吐出安定化処理を示すサブフローを示した図である。
【図7】 薬液吐出終了処理を示すサブフローを示した図である。
【符号の説明】
1 螺旋塗布装置
3 回転駆動モータ
4 回転テーブル
8 薬液供給ノズル
10 被処理基板
12 ノズル移動モータ
16 薬液供給ポンプ
18 空気圧供給弁
22 圧力センサ
30 メインコントローラ
31 回転用コントローラ
32 ノズル移動用コントローラ
33 ポンプ用コントローラ

Claims (14)

  1. 回転する被処理基板に対して径方向に移動しつつ液体を吐出する液体供給部の移動区間の一端を第1の位置として設定する工程と、
    前記液体供給部が、前記被処理基板の液体供給領域の最外径に位置する時の前記被処理基板の回転数と該基板への滴下液体の想定される軌跡の単位長さあたりの液体供給量q out を決定する工程と、
    前記液体供給部が任意の位置に存在する時、被処理基板が1周する毎に生じる前記液体供給部の径方向の移動ピッチが変化するように、移動ピッチを設定する工程と、
    第1の位置、その第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチ、及び前記液体供給量q out から、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数を決定する工程と、
    前記液体供給部が第1の位置に位置してから前記被処理基板を単位時間回転させたときの回転角と、第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチとから、単位時間後に前記液体供給部が位置する第2の位置を決定する工程と、
    第2の位置が移動区間の他端に至るまで、第2の位置を新たな第1の位置として再設定して、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数の決定、液体供給速度と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係、及び、被処理基板回転数と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係をそれぞれ関数として決定する工程と、
    決定された関数に基づいて液体供給部の径方向位置と、液体供給速度と被処理基板回転数の算出された制御値と現在値とが一致するか否かを確認して、前記制御値の誤差補正を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜の形成を行うことを特徴とする液膜形成方法。
  2. 請求項1に記載する液膜形成方法において、
    前記被処理基板に対して径方向に移動する液体供給部の移動方向は、中心部側から周辺部側、または周辺部側から中心部側であり、その移動に伴う液膜形成処理を単位時間毎に得られた前記制御値により液体供給部の径方向位置、液体供給速度及び被処理基板回転数の制御を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜を形成することを特徴とする液膜形成方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する液膜形成方法において、
    直前の制御値だけではなく、被処理基板の径方向でフィードバックをかけるために、被処理基板の1回転前の制御値も、前記関数に基づいて算出された制御値を補正する際に利用することを特徴とする液膜形成方法。
  4. 回転する被処理基板に対してその上を径方向に移動する液体供給部から液体を吐出することにより、被処理基板上に液体による螺旋状の軌跡を描いて液膜形成する液膜形成方法において、
    前記液体供給部から吐出されて前記被処理基板上に載った液体が遠心力によって移動しないように、前記液体供給部の被処理基板中心からの径方向位置rにおける液体の供給速度Vと、前記被処理基板の回転数Wとの積が一定となる関係を維持しながら、前記被処理基板の回転数Wを低下させるとともに、前記液体の供給速度Vを増加させる場合に、
    前記液体供給部の移動位置と、前記液体供給部から吐出される液体の供給速度と、前記被処理基板の回転数とをそれぞれ処理時間tに応じて制御するための関数を予め設定しておき、
    その関数に基づいて処理時間tにおける前記液体供給部の移動位置と、前記液体供給部から吐出される液体の供給速度と、前記被処理基板の回転数とを随時求めながら制御を行うことを特徴とする液膜形成方法。
  5. 請求項に記載する液膜形成方法において、
    前記液体供給部から吐出した液体によって前記被処理基板に液膜を形成する処理過程が複数の領域に分けられ、前記関数が、それぞれの領域に対して設けられていることを特徴とする液膜形成方法。
  6. 求項5に記載する液膜形成方法において、
    前記領域の境界が、理論値に近似させるように前記関数を求めようとした場合に、その関数における誤差が大きくなる部分に設けられていることを特徴とする液膜形成方法。
  7. 求項5に記載する液膜形成方法において、
    前記領域の境界が、前記被処理基板の回転数制御が制御限界値になったところ、または液体供給部から吐出される液体の液体供給速度が制御限界値になったところに設けられていることを特徴とする液膜形成方法。
  8. 求項5に記載する液膜形成方法において、
    前記領域の境界が、処理時間tに対する前記液体供給部の移動位置制御、前記液体供給部から吐出される液体の供給速度制御、前記被処理基板の回転数制御のいずれかの値の変曲点に定められていることを特徴とする液膜形成方法。
  9. 請求項5乃至請求項8のいずれかに記載する液膜形成方法において、
    前記領域の境界で、処理時間tの関数が連続となるように関数の次数と係数が決定されることを特徴とする液膜形成方法。
  10. 請求項4乃至請求項9のいずれかに記載する液膜形成方法において、
    前記被処理基板の回転数制御が、回転接線方向加速度の符号が反転することのないように行われ、該制御を反映して液体の供給速度が制御されることを特徴とする液膜形成方法。
  11. 請求項4乃至請求項10のいずれかに記載する液膜形成方法において、
    前記液体供給部が前記被処理基板の最外径r out で定められた基板の回転数W out 、及び該液体供給部からの液体供給速度V out に対し、
    前記液体供給部が基板中心から距離rに位置するときの基板回転数Wが(r out /r)の平方根と係数bとW out との積で定められ、且つ供給速度VがV out を(r out /r)の平方根と係数bで除した値で定められることを特徴とする液膜形成方法。
  12. 回転する被処理基板に対して径方向に移動しつつ液体を吐出する液体供給部の移動区間の一端を第1の位置として設定する工程と、
    前記液体供給部が、前記被処理基板の液体供給領域の最外径に位置する時の前記被処理基板の回転数と該基板への滴下液体の想定される軌跡の単位長さあたりの液体供給量q out を決定する工程と、
    第1の位置、その第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチ、及び前記液体供給量q out から、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数を決定する工程と、
    前記液体供給部が第1の位置に位置してから前記被処理基板を単位時間回転させたときの回転角と、第1の位置における前記液体供給部の移動ピッチとから、単位時間後に前記液体供給部が位置する第2の位置を決定する工程と、
    第2の位置が移動区間の他端に至るまで、第2の位置を新たな第1の位置として再設定して、第1の位置における前記液体供給部からの液体供給速度と被処理基板回転数の決定、液体供給速度と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係、及び、被処理基板回転数と時間に対する前記液体供給部の径方向位置との関係をそれぞれ関数として決定する工程と、
    決定された関数に基づいて液体供給部の径方向位置と、液体供給速度と被処理基板回転数の算出された制御値と現在値とが一致するか否かを確認して、前記制御値の誤差補正を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜の形成を行うことを特徴とする液膜形成方法。
  13. 請求項12に記載する液膜形成方法において、
    前記被処理基板に対して径方向に移動する液体供給部の移動方向は、中心部側から周辺部側、または周辺部側から中心部側であり、その移動に伴う液膜形成処理を単位時間毎に得られた前記制御値により液体供給部の径方向位置、液体供給速度及び被処理基板回転数 の制御を繰り返し行って、前記被処理基板上に液膜を形成することを特徴とする液膜形成方法。
  14. 請求項12又は請求項13に記載する液膜形成方法において、
    直前の制御値だけではなく、被処理基板の径方向でフィードバックをかけるために、被処理基板の1回転前の制御値も、前記関数に基づいて算出された制御値を補正する際に利用することを特徴とする液膜形成方法。
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