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JP4042332B2 - レニウム含有触媒を用いるオレフィンオキシドの製造方法 - Google Patents
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レニウム含有触媒を用いるオレフィンオキシドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン、特にエチレンを気相接触酸化してオレフィンオキシドを製造する方法に関するものである。本発明によればオレフィンオキシドを長期間に亘り高選択率で製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
エチレンを気相接触酸化してエチレンオキシドを製造することは大規模に行われている。触媒としては銀を主体とし、これに種々の助触媒成分を添加した担体付触媒が主に用いられている。例えば特開昭49−30286号公報には、多孔性担体にカリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属を銀と同時に担持させた触媒が、高い選択率でエチレンオキシドを与えることが記載されている。特開昭53−1191号公報には、銀にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどを含有させると、触媒の活性及び選択性が向上すると記載されている。アルカリ金属以外の助触媒成分としては、レニウム(特開昭63−126552号公報)、モリブデン(特開平2−131140、241544号公報)、タングステン(特開平6−296867、343864号公報)などが知られている。
【0003】
また、この反応を行うに際しては、原料ガス中に有機ハロゲン化合物を微量含有させるのが好ましいことが知られており、その含有量の制御方法についても種々検討されている(特開平2−104579、104580号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
銀を主成分とし、これに上述した種々の助触媒成分を含有させた触媒は、いずれも使用中にその性能が漸次劣化する。公知のエチレンオキシド製造用触媒のなかでも好ましいものの一つとして知られている、銀を主成分とし、レニウム及びアルカリ金属を助触媒成分とする触媒では、この劣化傾向が特に顕著であり、使用中にそのエチレンオキシドの選択率が漸次低下する。この選択率の低下は、エチレンオキシド製造のエチレン原単位を悪化させるので、看過し得ない大きな問題である。従って本発明は、この選択率の低下を抑制して、工業的に有利にオレフィンオキシド、特にエチレンオキシドを製造する方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、銀、レニウム及びアルカリ金属を担体に担持させてなる触媒に、オレフィン、酸素及び炭素数1〜3の塩素化炭化水素を含む原料ガスを接触させてオレフィンオキシドを製造する方法において、オレフィンオキシドの選択率が1週間当り0.7%以上低下したならば原料ガス中の塩素化炭化水素の濃度を、塩素分子換算で、1.5体積ppmを越えない範囲で、0.15体積ppm以上増加させることにより、長期間にわたり高選択率でオレフィンオキシドを製造することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、銀、レニウム及びアルカリ金属の少なくとも三者を担体に担持させた担体付触媒を用いる。担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、炭化ケイ素など常用の耐火性担体を用いる。なかでもアルミナ、特にα−アルミナを用いるのが好ましい。担体の比表面積は、0.1〜3.0m2 /g、特に0.8〜1.7m2 /gであるのが好ましい。
【0007】
銀、レニウム及びアルカリ金属の担体への担持は、常法に従って行うことができる。通常はそれぞれの成分を単独で、又は他の成分との混合溶液として担体に含浸させる。含浸の順序は任意であり、例えば先ず銀を担持させたのち、アルカリ金属及びレニウムを担持させることもできるし、銀と一緒にアルカリ金属やレニウムを担持させることもできる。好ましくは担体にアルカリ金属の溶液を含浸して乾燥させたのち、これに銀及びレニウムを担持させる。銀及びレニウムを担持させる際にアルカリ金属をもう一度担持させるのも好ましい。なお、担体にアルカリ金属の溶液を含浸させたのちの乾燥は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体中で行ってもよく、また空気や過熱水蒸気中で行ってもよい。なかでも過熱水蒸気中で行うのが好ましい。乾燥は120〜500℃、特に120〜250℃で行うのが好ましい。
【0008】
アルカリ金属としてはセシウム、リチウム、ナトリウムなどのいずれを用いることもできるが、セシウム又はセシウムと他のものとを併用するのが好ましい。通常は水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩などを用い、水溶液として担体に含浸させる。レニウムとしては酸化レニウムや過レニウム酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩などを用いればよい。銀としては、通常はアンモニアやアミノ基、カルボニル基、カルボキシル基などを有する化合物と錯体を形成して水や有機溶媒に溶解し、かつ500℃以下の温度で分解して銀を析出する銀化合物を用いる。なかでも300℃以下、特に260℃以下の温度で分解して銀を析出する銀化合物を用いるのが好ましい。例えば酸化銀、硝酸銀、炭酸銀、硫酸銀、酢酸銀、シュウ酸銀などを用いる。なかでもシュウ酸銀を用いるのが好ましい。錯体形成に用いるアミノ基を有する化合物としては、通常はピリジンや炭素数1〜6のアルキルアミンなどのモノアミン;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパンなどのポリアミン;エタノールアミン、プロパノールアミンなどのアルカノールアミンなどが用いられる。なかでもエチレンジアミンや1,3−ジアミノプロパンを用いるのが好ましく、両者の混合物を用いるのがより好ましい。またカルボニル基を有する化合物としてはアセチルアセトンなどのβ−ジケトンが、カルボキシル基を有する化合物としてはネオデカン酸などがそれぞれ用いられる。
【0009】
銀は最終的に生成する触媒の銀の含有量が5〜30重量%となるように担体に担持させるのが好ましい。またアルカリ金属及びレニウムは、通常は最終的に生成する触媒中の含有量が、それぞれ20〜10,000重量ppm、及び10〜5,000重量ppmとなるように担持させる。アルカリ金属及びレニウムの好ましい担持量はそれぞれ100〜2,000重量ppm及び50〜1,000重量ppmである。銀、レニウム及びアルカリ金属はいずれも溶液として担体に含浸させ、次いで加熱して担体に担持させるのが好ましい。この処理により銀は化合物から金属として析出して担体に担持されるが、加熱による銀の析出は、空気又は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス中で120〜500℃で30分〜24時間行えばよい。好ましくは0.3〜5m/秒の過熱水蒸気の流通下に、120〜300℃、特に130〜260℃で、1分〜3時間、特に3分〜30分間加熱して析出させる。過熱水蒸気を用いると一般に性能の良好な触媒が得られるが、これは触媒中における銀、レニウム、及びアルカリ金属の分布が均一になるためと考えられる。通常は触媒成分を含浸させた担体を、固定床方式又は移動床方式の熱処理装置に収容し、床内に加熱されたガスを流通させることにより触媒の調製を行う。
【0010】
本発明では、この担体に銀、レニウム及びアルカリ金属を担持させた触媒に、オレフィン、酸素及び微量のハロゲン化合物を含む原料ガスを接触させてオレフィンオキシドを生成させる。オレフィンとしてはブタジエンなども用い得るが通常はエチレンを用いる。エチレンを原料とする場合には、原料ガスの組成はエチレンが1〜40体積%、酸素が1〜20体積%であり、残部は窒素、メタンその他の希釈剤である。また、原料ガス中にはハロゲン化合物を1〜50体積ppm程度含有させる。ハロゲン化合物としては通常は塩素化合物、例えば塩素、塩化水素、炭素数1〜5の有機塩素化合物などが用いられる。取扱いの容易な点からして、モノクロロメタン、モノクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、モノクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、塩化ビニルなど、炭素数1〜3の塩素化炭化水素を用いるのが好ましい。所望ならば、これらの2種以上を併用してもよい。これらの有機塩素化合物を用いる場合には、原料ガス中のその濃度は、反応初期において0.5〜10体積ppm程度が好ましい。
【0011】
反応は通常は180〜350℃、好ましくは200〜300℃の温度、0.1〜4MPaの圧力下で行われる。原料ガスの空塔速度(GHSV)は、通常は0℃、1気圧で1,000〜10,000hr-1である。
銀、レニウム及びアルカリ金属を含む触媒を用いて上記の条件で反応を行わせると、エチレンオキシドの選択率は、反応開始時から次第に上昇して最高値に達する。この間は原料ガス中のハロゲン化合物の濃度は一定、好ましくは濃度変化が±0.5ppmの範囲におさまるようにするのが好ましい。エチレンオキシドの選択率が最高値に達した後は、選択率は次第に低下する。本発明では反応生成ガスを分析して選択率の低下を経時的に追跡し、選択率が1週間当り0.7%以上低下したならば、原料ガス中のハロゲン化合物の濃度をハロゲン分子換算で0.15体積ppm以上、好ましくは0.25体積ppm以上増加させる。選択率の低下が小さいうちにハロゲン化合物の濃度を増加させると、選択率が逆に低下するおそれがあるので、選択率の低下が十分に大きくなってからハロゲン化合物の濃度を増加させるのが好ましい。なお、ハロゲン分子換算で0.15ppm以上とは、モノクロロエタンや塩化ビニルのようなモノクロロ有機化合物であれば0.3体積ppm以上であり、ジクロロエタンやジクロロプロパンのようなジクロロ有機化合物であれば0.15体積ppm以上であることを意味する。
【0012】
エチレンオキシドの選択率に1週間当り1.0%以上、特に1.5%以上の低下が認められてからハロゲン化合物の濃度を増加させるのが好ましい。これにより低下した選択率を回復させることができる。なお、1週間当りの選択率の低下とは、エチレンオキシドの空時収率(STY)が一定となるように反応温度などを制御して反応を行った場合に生ずると考えられる選択率の低下であり、反応生成ガスを分析してその選択率を経時的に追跡し、その変化傾向を外挿することにより、一週間当りの選択率の低下を算出することができる。反応生成ガスの分析はガスクロマトグラフィーや質量分析計などで行えばよい。なお、分析精度の問題があるので、少なくとも2日間の分析値に基づいて1週間当りの選択率の低下を算出するのが好ましい。また、選択率の変化を追跡する途中で反応条件を変化させた場合には、経験的に求められるプラント固有の推算式に基づいて、選択率に及ぼす反応条件の変化の影響を補正すればよい。
【0013】
本発明はエチレンからのエチレンオキシドの製造に特に好適であるが、他のオレフィン、例えばブタジエンのエポキシ化にも適用できる。
【0014】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例で用いた触媒は下記により調製した。
触媒の調製;
α−アルミナ担体(表面積1.04m2 /g、吸収率32.3%、平均細孔径1.4μm、シリカ含有量3.0重量%、外径8mm、内径3mm、高さ8mmの筒状)90gを、炭酸リチウム(Li2 CO3 )1.40gと炭酸セシウム(Cs2 CO3 )0.129gが溶解している水溶液150mLに投入し、担体に水溶液を含浸させた。担体を取り出し、これに150℃の過熱水蒸気を2m/秒で15分間接触させて乾燥させた。得られた担体のリチウム含有量は568重量ppmであり、セシウム含有量は227重量ppmであった。
【0015】
硝酸銀(AgNO3 )228gを1Lの水に溶解した水溶液と、シュウ酸カリウム(K2 2 4 ・H2 O)135gを1Lの水に溶解した水溶液を調製し、両溶液を60℃で徐々に混合してシュウ酸銀の白色沈澱を生成させた。濾過して沈澱を回収し、蒸留水で洗浄してシュウ酸銀の沈澱(Ag2 24 、含水率21.2%)を得た。
【0016】
エチレンジアミン2.05g、1,3−ジアミノプロパン0.562g及び水2.65gから成る混合アミン水溶液に、上記で得たシュウ酸銀の含水沈澱7.31gを徐々に添加して溶解させ、銀アミン錯体溶液を調製した。これに硝酸セシウム(CsNO3 )の5.54重量%水溶液0.6mL及び過レニウム酸アンモニウム(NH4 ReO4 )の3.05重量%水溶液0.6mLを添加して、銀、レニウム及びセシウムを含む溶液を得た。この溶液をエバポレーターに入れ、これに上記で調製したリチウム及びセシウムを担持させた担体30gを加え、減圧下に40℃で保持して溶液を担体に含浸させた。次いでこの担体を取出し、これに200℃の過熱水蒸気を2m/秒で15分間接触させて触媒を調製した。得られた触媒の銀、レニウム、セシウム及びリチウムの担持量は、それぞれ12重量%、370重量ppm、670重量ppm及び470重量ppmであった。この触媒を破砕し、6〜10メッシュの部分を以下の実験に用いた。
【0017】
実施例1
内径7.5mmのステンレススチール製反応管に、触媒3mLを充填し、これに原料ガス(エチレン30体積%、酸素8.5体積%、塩化ビニル1.5体積ppm、二酸化炭素6.0体積%、残部窒素)を0℃、1気圧でのGHSVとして4300hr-1、圧力0.8MPaで供給し、エチレンオキシドの触媒1L当りの空時収率(STY)が0.19kg−エチレンオキシド/hrとなるように反応温度を制御した。反応の経過に伴う反応温度、エチレンオキシドの選択率を表−1に示す。
【0018】
なお、エチレンオキシドの選択率は4時間間隔で反応生成ガスを分析してエチレンオキシドの選択率を算出し、その1日の平均値をもってその日のエチレンオキシドの選択率とした。塩化ビニル濃度を変化させる操作はその日の分析結果がでてから行った。
【0019】
【表1】
Figure 0004042332
反応開始から約18日でエチレンオキシドの選択率が最高値に達し、その後、選択率は低下した。24日目から29日目の5日間で選択率が1週間当り2.7%低下したので原料ガス中の塩化ビニル濃度を1.0体積ppm増加させ2.5ppmとしたところ、エチレンオキシドの選択率は34日目で88.0%に向上した。その後、選択率がまた低下し、44日目に1週間当りの選択率の低下が1.0%に達したことが確認されたので、原料ガス中の塩化ビニル濃度を更に0.5体積ppm増加させて3.0体積ppmとしたところ、選択率は48日目で87.1%と再び向上した。その後、選択率は62日目までゆるやかにほぼ直線的に低下したが、1週間当りの選択率の低下は約0.4%であった。この状態で原料ガス中の塩化ビニル濃度を更に0.5体積ppm増加させて3.5体積ppmとしたところ、選択率は逆に低下しはじめた。66日目に選択率が83.8%まで低下したので、原料ガス中の塩化ビニル濃度を0.5体積ppm減少させて3.0体積ppmとした。その結果、選択率は向上し、77日目で85.9%にまで回復した。

Claims (7)

  1. 銀、レニウム及びアルカリ金属を担体に担持させてなる触媒に、オレフィン、酸素及び炭素数1〜3の塩素化炭化水素を含む原料ガスを接触させてオレフィンオキシドを製造する方法において、オレフィンオキシドの選択率が1週間当り0.7%以上低下したならば、原料ガス中の塩素化炭化水素の濃度を、塩素分子換算で、1.5体積ppmを越えない範囲で、0.15体積ppm以上増加させることを特徴とするオレフィンオキシドの製造方法。
  2. オレフィンオキシドの選択率が1週間当り1.0%以上低下したならば原料ガス中の塩素化炭化水素の濃度を塩素分子換算で0.15体積ppm以上増加させることを特徴とする、請求項1記載のオレフィンオキシドの製造方法。
  3. オレフィンオキシドの選択率が1週間当り1.5%以上低下したならば原料ガス中の塩素化炭化水素の濃度を塩素分子換算で0.15体積ppm以上増加させることを特徴とする、請求項1記載のオレフィンオキシドの製造方法。
  4. オレフィンオキシドの選択率を2日間以上にわたって追跡し、その選択率の低下を外挿して1週間当りの選択率の低下を算出することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のオレフィンオキシドの製造方法。
  5. 触媒が比表面積0.8〜1.7m2/gの担体に、銀、レニウム及びアルカリ金属を担持させたものであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のオレフィンオキシドの製造方法。
  6. 触媒が、担体にアルカリ金属を担持したのち銀、レニウム及びアルカリ金属を担持する工程を経て製造されたものであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずかに記載のオレフィンオキシドの製造方法。
  7. 1週間当りのオレフィンオキシドの選択率が所定の値以上低下したならば、原料ガス中の塩素化炭化水素の濃度を塩素分子換算で0.25体積ppm以上増加させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のオレフィンオキシドの製造方法。
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