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JP5194727B2 - オレフィンオキシドの連続製造方法 - Google Patents
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JP5194727B2 - オレフィンオキシドの連続製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はオレフィン、特にエチレンを気相接触酸化してオレフィンオキシドを製造する方法に関する。
エチレンを気相接触酸化してエチレンオキシドを製造する方法は、大規模に行われている。触媒としては、銀を主体とし、これに種々の助触媒成分を添加した担体付触媒が主に用いられている。例えば、特許文献1には、多孔性担体にカリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属を銀と同時に担持させた触媒が、高い選択率でエチレンオキシドを与えることが記載されている。また、特許文献2には、銀にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどを含有させると、触媒の活性及び選択性が向上すると記載されている。アルカリ金属以外の助触媒成分としては、レニウム(特許文献3)、モリブデン(特許文献4、5)、タングステン(特許文献6、7)などが知られている。
また、この反応を行うに際しては、原料ガス中に有機ハロゲン化合物を微量含有させるのが好ましいことが知られており、その含有量の制御方法についても種々検討されている。特に、アルカリ金属以外の助触媒としてレニウムを使用した触媒では、触媒性能が有機ハロゲン化合物の濃度に強く依存することが知られている(特許文献8〜10)。例えば、特許文献8,9においては、触媒の使用期間中における有機ハロゲン化合物の濃度を最適化するための運転方法が開示されている。また、特許文献10では、原料ガス中のエチレン、エタン等の炭化水素濃度と有機ハロゲン化合物濃度との関係に着目し、最適な有機ハロゲン化合物による運転方法が開示されている。この場合、最適な有機ハロゲン化合物濃度は、エタンやプロパン等によって大きく変化するとされている。
さらに、この反応を行うに際し、反応系の二酸化炭素濃度を制御することが好ましいことが知られており(特許文献11)、二酸化炭素濃度の低減方法も開示されている(特許文献12)。一方、レニウムを使用した触媒では、それを充填する反応管の内径は、40mmより大きいことが好ましいという報告がある(特許文献13)。
特開昭49−30286号公報 特開昭53−1191号公報 特開昭63−126552号公報 特開平2−131140号公報 特許第241544号公報 特開平6−296867号公報 特許第343864号公報 特開平2−104579号公報 特開2002−248351号公報 特表2005−518356号公報 特表2006−521380号公報 特表2006−520816号公報 WO2006−102189号公報
ところで、このオレフィンオキシドの製造工程は、酸化反応器で原料ガスを反応させ、得られた反応ガスからオレフィンオキシド及び二酸化炭素を除き、残ガスを酸化反応器に戻すことにより、残った原料の再利用を図る工程を採用している。
この場合、酸化反応器の反応において水が生じ、また、オレフィンオキシド及び二酸化炭素を除く工程で水を使用している。
水は触媒活性に対して悪影響を及ぼすことは、特許文献11に記載されている。また、特許文献11には、水は、触媒活性のみだけでなく、選択性や触媒寿命にも影響を与えることが記載されている。このため、水は少なくする方が好ましい。
しかし、オレフィンオキシドを除く工程で使用されるオレフィンオキシド吸収剤や、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収剤には水が使用されている。すなわち、反応ガスが直接、水と触れることとなる。このため、酸化反応器に戻るガスには、そのときの温度の飽和水蒸気圧に相当する水分量が最大限、含まれ得ることとなる。そして、水を除去するためには、新たな水除去塔を設けることが考えられるが、そのためには、多大な設備投資が必要となる。
そこで、この発明は、新たな水除去塔を設けず、水が酸化反応器に入るのを前提条件とした上で、オレフィンオキシド製造反応の選択性の低下を抑制し、この選択率をできるだけ保持する制御方法を見出すことを目的とする。
この発明は、銀、レニウム及びセシウムの各成分を担体に担持させてなる触媒に、オレフィン、酸素及びハロゲン化合物を含む原料ガスを接触させてオレフィンオキシドを合成する酸化反応器、オレフィンオキシドを吸収するオレフィンオキシド吸収塔、及び、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収塔を有し、上記酸化反応器で得られた反応ガスを上記オレフィンオキシド吸収塔に送り、水を含むオレフィンオキシド吸収剤を用いて、オレフィンオキシドを吸収し、次いで、上記オレフィンオキシド吸収塔の第1残ガスの一部又は全部を上記二酸化炭素吸収塔に送り、水を含む二酸化炭素吸収剤を用いて、二酸化炭素を吸収し、そして、上記二酸化炭素吸収塔の第2残ガスを原料ガスの一部として、上記酸化反応器に戻すオレフィンオキシドの製造方法において、上記酸化反応器の入口におけるガスに含まれる水の増加量0.1体積%に対し、この酸化反応器の入口におけるガスに含まれるハロゲン化物の量を、水増加前の上記酸化反応器の入口におけるガス中のハロゲン化物の量に対して、0.4〜4.8%減少させることにより、上記課題を解決することができたのである。
この発明によると、酸化反応器内の水分量の増加量に合わせてハロゲン化物の供給量を所定量、減少させるので、オレフィンオキシドの選択率の低減を抑制することができる。このため、新たな水除去塔を設けることなく、選択率の保持を行うことができる。
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明にかかるオレフィンオキシドの製造方法は、図1に示すように、所定の触媒に、オレフィン等を含む原料ガスを接触させてオレフィンオキシドを合成する酸化反応器、オレフィンオキシドを吸収するオレフィンオキシド吸収塔、及び二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収塔を含む製造装置を用いて製造される方法である。
上記触媒は、銀成分を主触媒とし、少なくともレニウム成分及びセシウム成分を助触媒として担体に担持させてなる触媒である。本発明は、レニウム成分を助触媒に含む触媒に対して有効である。助触媒としては、上記助触媒成分に加えて、リチウムを含むことが好ましい。
上記主触媒として用いられる銀成分としては、アンモニアやアミノ基、カルボニル基、カルボキシル基等を有する化合物と錯体を形成し、水や有機溶媒に溶解し、500℃以下の温度で分解して析出する銀化合物が、通常用いられる。なかでも300℃以下、特に260℃以下の温度で分解して析出する銀化合物を用いるのが好ましい。このような銀化合物の例としては、酸化銀、硝酸銀、炭酸銀、硫酸銀、酢酸銀、シュウ酸銀等があげられる。これらのなかでも、シュウ酸銀が好ましい。
上記の錯体形成に用いるアミノ基を有する化合物としては、ピリジン、モノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が通常用いられる。上記モノアミンとしては、炭素数1〜6のアルキルアミン等があげられる。また、上記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン等があげられる。また、上記アルカノールアミンとしては、エタノールアミン、プロパノールアミン等があげられる。これらのなかでも、エチレンジアミンや1,3−ジアミノプロパンを用いるのが好ましく、両者の混合物を用いるのがより好ましい。
また、上記の錯体形成に用いるカルボニル基を有する化合物としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトンが通常用いられ、さらに、上記の錯体形成に用いるカルボキシル基を有する化合物としては、ネオデカン酸等が通常用いられる。
上記助触媒として用いられるレニウム成分としては、酸化レニウムや過レニウム酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩等が通常用いられる。また、上記助触媒として用いられるセシウム成分としては、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩等が通常用いられ、水溶液として上記担体に含浸させる。
上記担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、炭化ケイ素など常用の耐火性担体等があげられる。なかでもアルミナ、特にα−アルミナを用いるのが好ましい。上記担体の比表面積は、0.1〜3.0m/gがよく、0.5〜2.0m/gが好ましく、0.8〜1.7m/gが特に好ましい。
上記の担体は、そのまま次工程である銀、レニウム及びセシウムの担持に使用してもよいが、銀を担持する前に予め、アルカリ成分を担持すること(以下、「前処理」と称する。)が、触媒性能上好ましい。この前処理で使用されるアルカリ金属としては、セシウムやリチウムが好ましく、セシウム及びリチウムの併用がより好ましい。上記担体中のセシウム、リチウムの含有率は、それぞれ通常、10〜10000重量ppmがよく、100〜1000重量ppmが好ましい。
上記前処理として、アルカリ成分の溶液を含浸させた後の乾燥は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体中、又は空気や過熱水蒸気中で行ってもよい。なかでも過熱水蒸気中で行うのが好ましい。乾燥は120〜500℃、特に120〜250℃で行うのが好ましい。
銀、レニウム及びセシウムの各成分の担体への担持は、常法に従って行うことができる。通常はそれぞれの成分を単独で、又は他の成分との混合溶液として担体に含浸させる。含浸の順序は任意であり、例えば、まず銀成分を担持させた後、セシウム成分及びレニウム成分を担持させてもよいが、銀成分と一緒にセシウム成分やレニウム成分を担持させることが好ましい。
上記担体の前処理で使用されるアルカリ金属は、担体表面に存在し、担体の性質を調整するものであるのに対して、銀と同時に担持されるセシウムは、銀表面又は銀内部に存在すると考えられる。そのため、担体前処理工程と銀担持工程で使用されるアルカリ金属は作用機構が異なるものと想定される。
銀、レニウム及びセシウムの各成分は、いずれも溶液として担体に含浸させ、次いで、加熱して担体に担持させるのが好ましい。この処理により銀成分は、化合物から金属単体として析出して担体に担持されるが、加熱による銀単体の析出は、空気又は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス中で120〜500℃で30分〜24時間行えばよい。好ましくは0.3〜5m/秒の過熱水蒸気の流通下に、120〜300℃、特に130〜260℃で、1分〜3時間、特に3分〜30分間加熱して析出させる。過熱水蒸気を用いると一般に性能の良好な触媒が得られるが、これは触媒中における銀、レニウム、及びセシウムの各成分の分布が均一になるためと考えられる。通常は触媒成分を含浸させた担体を、固定床方式又は移動床方式の熱処理装置に収容し、床内に加熱されたガスを流通させることにより触媒の調製を行う。
銀の含有量は、最終的に生成する触媒に対して、5〜30重量%となるように担体に担持させるのが好ましい。セシウムの含有率は、通常20〜50,000重量ppmであり、200〜5,000重量ppmが好ましい。レニウムの含有率は、通常10〜10,000重量ppmであり、100〜1,000重量ppmが好ましい。
上記酸化反応器は、その内部に上記触媒を配し、オレフィンを酸化するための反応器である。この酸化反応器には、原料であるオレフィン及び酸素、及び希釈剤として窒素やメタン等が原料ガスとして供給され、オレフィンオキシドを合成する酸化反応が行われる。また、反応改質剤としてハロゲン化物を上記原料ガスに含有させる。
上記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン等があげられる。上記オレフィンとしてエチレンを用いる場合、原料ガスの組成は、エチレンが1〜40体積%、酸素が1〜20体積%であり、残部を希釈剤とする。しかし、現実には、エタン等のアルカン類がエチレンの不純物として数%、さらに、後述する理由から、二酸化炭素が上記特許文献11に記載されているように、通常0.1体積%以上、最大10体積%程度含まれる。また、水は、上記特許文献11に記載されているように、0.01〜1.5体積%含まれることが多い。
また、原料ガス中に反応改質剤として含有させるハロゲン化合物の量は、1〜50体積ppm程度が好ましい。上記ハロゲン化合物としては、塩素、塩化水素、炭素数1〜5の有機塩素化合物等の塩素化合物が、通常、用いられる。なかでも、炭素数1〜5の有機塩素化合物、特に取扱いの容易な点からして、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ビニル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン等の炭素数1〜3の塩素化炭化水素を用いるのが好ましい。また、所望に応じて、これらの2種以上を併用してもよい。これらの有機塩素化合物を用いる場合には、原料ガス中のその濃度は、0.5〜10体積ppm程度がより好ましい。
ところで、特許文献12に開示されているように、原料ガスをリサイクルする場合、反応改質剤として機能し、供給原料中に存在してもよい様々な化合物が生成されてもよい。例えば、エチレンオキシドプロセスに塩化エチルを使用する場合、供給原料は、実際上は塩化エチル、塩化ビニル、二塩化エチレン(1,2−ジクロロエタン)、塩化メチル等を含んでもよい。
上記酸化反応は、通常、180〜350℃、好ましくは200〜300℃の温度で、0.1〜4MPaの圧力下で行われる。上記原料ガスの空塔速度(GHSV)は、通常は0℃、1気圧で1,000〜10,000hr−1である。
上記酸化反応器で得られた反応ガスは、上記オレフィンオキシド吸収塔に送られる。そして、このオレフィンオキシド吸収塔にて、上記反応ガスをオレフィンオキシド吸収剤と接触させることにより、オレフィンオキシド吸収剤にオレフィンオキシドを吸収させる。このオレフィンオキシド吸収剤としては、水が用いられる。
そして、上記のオレフィンオキシドを吸収したオレフィンオキシド吸収剤は、このオレフィンオキシド吸収塔から外部に出され、オレフィンオキシド回収工程に送られ、オレフィンオキシドが回収される。
また、上記のオレフィンオキシド吸収塔でオレフィンオキシドを除かれた残ガス(以下、「第1残ガス」と称する。)は、その一部又は全部が上記二酸化炭素吸収塔に送られる。この第1残ガスのうち、上記二酸化炭素吸収塔に送られる量は、二酸化炭素の吸収量に従って決定される。上記の特許文献12にあるに、通常は、少なくとも30体積%、好ましくは40体積%以上、最も好ましいのは50体積%以上である。一方、送られる量の上限は、全量、すなわち100体積%である。
次いで、この二酸化炭素吸収塔にて、上記第1残ガスを二酸化炭素吸収剤と接触させることにより、二酸化炭素吸収剤に二酸化炭素を吸収させる。この二酸化炭素吸収剤としては、水を含む剤が用いられ、例えば、炭酸カリウム水溶液等があげられる。
そして、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収剤は、二酸化炭素の放散工程に送られ、処理される。
このように、上記の第1残ガスから二酸化炭素を除去することにより、後述するように酸化反応器に戻されるガスの二酸化炭素濃度を低減させることができる。二酸化炭素は酸化反応器内の上記触媒に影響を与え、オレフィンオキシドの選択率に影響を与えるので、二酸化炭素濃度を低減させることにより、この選択率の保持に効果を発揮することができる。
上記の二酸化炭素吸収塔で二酸化炭素を除かれた残ガス(以下、「第2残ガス」と称する。)には、未反応のオレフィン、酸素、メタン、ハロゲン化物等が含まれており、この第2残ガスを原料ガスの一部として酸化反応器に戻すことにより、残存原料の再利用を図ることができる。その結果、二酸化炭素は、二酸化炭素吸収塔の二酸化炭素吸収能力次第で、原料ガス中に残存することとなる。本発明は、原料ガス中の二酸化炭素濃度の下限が、特許文献11の明細書に記載されているような濃度、すなわち0.1体積%、好ましくは0.2体積%、特に好ましくは特許文献11の実施例1に記載されているような濃度、すなわち1体積%で有効である。一方、原料ガス中の二酸化炭素濃度の上限は、特許文献11の実施例1に記載されているような濃度、すなわち7体積%、好ましくは5体積%である。
上記のとおり、酸化反応器での反応ガスは、オレフィンオキシド吸収塔で水を含むオレフィンオキシド吸収剤と接触し、次いで、二酸化炭素吸収塔で水を含む二酸化炭素吸収剤と接触し、その後、酸化反応器に戻される。そして、上記酸化反応器に戻されるガスは、オレフィンオキシド吸収塔及び二酸化炭素吸収塔で水と接触するため、水を含むこととなる。この水の濃度は、オレフィンオキシド吸収塔の塔頂におけるガス流量と水濃度、二酸化炭素吸収塔の塔頂におけるガス流量と水濃度に基づく。ところで、オレフィンオキシド吸収塔及び二酸化炭素吸収塔の塔頂における水濃度は、正常な運転状態の場合、温度、圧力によって決定される飽和蒸気圧である。そのため、上記仮説が成り立つような正常な運転状態の場合、酸化反応器入口での水濃度は、ガスクロマトグラフ、露点計等で直接測定しても良いが、オレフィンオキシド吸収塔及び二酸化炭素吸収塔の塔頂における温度、圧力から飽和水蒸気圧をそれぞれ求め、それぞれのガス流量から算出することが簡便である。しかしながら、上記仮説が成り立たない場合、すなわち酸化反応器入口での水濃度が上記計算で求められない場合は、ガスクロマトグラフ、露点計等で直接測定することが必要である。
この水の濃度は、上記特許文献11にもあるように、0.01〜1.5体積%が一般的である。本発明は、特に、水の濃度が0.45〜0.75体積%の場合に有効である。
ところで、上記酸化反応器において、触媒を用いて上記の条件で酸化反応を行うと、オレフィンと酸素とが反応し、オレフィンオキシドが生成する反応におけるオレフィンオキシドの選択率(以下、単に「選択率」と称する。)は、反応開始時から次第に上昇して最高値に達する。そして、オレフィンオキシドの選択率が最高値に達した後は、選択率は次第に低下する。この選択率の低下は、酸化反応容器内の水分量の変化によっても影響を受ける。
すなわち、酸化反応器の入口におけるガス(以降、「入口ガス」と称する。)の水分量が増加すると、選択率の低下につながる。このとき、入口ガスに含まれる水の増加量0.1体積%に対し、入口ガスに含まれるハロゲン化物の量を、水増加前の入口ガス中のハロゲン化物の量に対して、0.4体積%以上減少させることによって、選択率が上昇し、水分量増加前の選択率近くまで回復することができる。ハロゲン化物の減少量は、1.2体積%以上が好ましい。ハロゲン化物の減少量が0.4体積%より小さいと、選択率がほとんど上昇せず、効果が不十分となる。一方、ハロゲン化物の減少量の上限は、4.8体積%が必要で、3.6体積%が好ましい。4.8体積%より多く減少させると、選択率が低下する傾向がある。ハロゲン化物の減少量を上限の範囲内とすることにより、選択率の低下を抑制し、選択率の保持をすることができる。
逆に、入口ガスに含まれる水分量が0.1体積%低下した場合は、ハロゲン化物の濃度を0.4体積%以上増加させる。ハロゲン化物の増加量の上限は、4.8体積%が必要で、3.6体積%が好ましい。
本発明のプラントにおける実施方法は、次の通りである。プラントの運転条件にしたがって、銀、レニウム及びセシウムを担体に担持した触媒を使用して、オレフィンオキシドを製造する。このとき、オレフィンオキシド吸収塔及び二酸化炭素吸収塔が稼働しているので、プラント運転条件にしたがった水分が酸化反応器入口に導入されることとなる。この水濃度は、前述したように直接測定するか、または前述したような正常な運転状態の場合は、プラント運転条件から算出する。
次に、ハロゲン化物濃度を変更して、選択性が高くなるように、または活性が高くなる、すなわち反応温度が低くなるような、あるいは選択性が高く、かつ、活性が高くなるような最適なハロゲン化物濃度を求める。その後、プラントの運転条件を変更する場合、変更後に、変更前と同様に水濃度を直接測定または運転条件から算出し、水濃度の変化量を求める。そして、本発明にしたがって、水濃度の変化量に応じてハロゲン化物濃度を変更する。
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例で用いた触媒は下記により調製した。
[触媒の調製]
α−アルミナ担体(表面積1.4m/g、吸水率36.2%、外径8mm、内径3mm、高さ8mmの筒状)12kgを、炭酸リチウム(LiCO)280gと炭酸セシウム(CsCO)27.7gが溶解している水溶液24Lに投入し、担体に水溶液を含浸させた。担体を取り出し、これに150℃の過熱水蒸気を2m/秒で15分間接触させて乾燥させた。
次に、硝酸銀(AgNO)水溶液(Ag 137g/L)12Lと、シュウ酸カリウム(K・HO)1550gを13.2Lの水に溶解した水溶液を調製し、両溶液を60℃で徐々に混合してシュウ酸銀の白色沈澱を生成させた。濾過して沈澱を回収し、蒸留水で洗浄してシュウ酸銀の沈澱(Ag、含水率20.9%)を得た。
次いで、エチレンジアミン826g、1,3−ジアミノプロパン226g及び水960gから成る混合アミン水溶液に、上記で得たシュウ酸銀の含水沈澱2930gを徐々に添加して溶解させ、銀アミン錯体溶液を調製した。これに硝酸セシウム(CsNO)の13.3gを溶解した水溶液100mL及び過レニウム酸アンモニウム(NHReO)の7.31gを溶解した水溶液100mL、及び水810mLを添加して、銀、レニウム及びセシウムを含む溶液を得た。この溶液をエバポレーターに入れ、これに上記で調製したリチウム及びセシウムを担持させた担体全量を加え、減圧下に40℃で保持して溶液を担体に含浸させた。次いでこの担体を取出し、これに200℃の過熱水蒸気を2m/秒で15分間接触させて触媒を調製した。得られた触媒の銀、レニウム、セシウム及びリチウムの担持量は、それぞれ11重量%、340重量ppm、980重量ppm及び550重量ppmであった。
(基準実験1)
上記特許文献13と同一の、内径約38.9mmの反応管に、触媒12Lを充填し、これに原料ガス(エチレン30体積%、酸素8.5体積%、塩素化合物(塩化エチル・塩化ビニル混合物)1.5体積ppm、二酸化炭素3.0体積%、水0.6体積%、残部窒素)を0℃、1気圧でのGHSVとして4000hr−1、圧力1.8MPa(ゲージ圧)で供給し、エチレンオキシドの触媒1L当りの空時収率(STY)が0.19kg−エチレンオキシド/hrとなるように反応温度を制御した。なお、このとき、得られた反応ガスは、図1に示すような、反応ガスからのオレフィンオキシド及び二酸化炭素の回収は行わず、第2残ガスの反応管へ戻すことは行わなかった。
塩素化合物濃度を最適化し、約6ヶ月間評価した結果を表1に示す。
ここで、選択率とは、反応によって消費したエチレンに対する生成したエチレンオキシドの割合をパーセントで表したものである。
なお、表1において、「X1」は、ハロゲン化物の減少割合(%)を意味し、「X2」は、水の増加量0.1体積%あたりのハロゲン化物の減少割合(%)を意味する。これらは、下記の式から算出される。
X1(%)=ハロゲン化物の減少量(体積ppm)/基準実験1におけるハロゲン化物添加量(体積ppm)×100
X2(%)=X1(%)/(水の増加量(体積%)/0.1(体積%))
[第1実験群]
(比較例1,実施例1)
基準実験1で、原料ガスに水を加える量を表1に示すように変えると共に、ハロゲン化物(塩素化合物)量を、表1に示す量に変更した。その時の性能を表1に示す。
[第2実験群]
(実施例2〜4)
基準実験1で、原料ガスに水を加える量を表1に示すように変えると共に、ハロゲン化物(塩素化合物)を、表1に示す量に変更した。その時の性能を表1に示す。
Figure 0005194727
(結果)
基準実験1に対して、水濃度を0.3体積%に増加させたが、ハロゲン化物(塩素化合物)濃度を変更しなかった比較例1では、選択率が1.3%低下した。一方、ハロゲン化物(塩素化合物)濃度を2.05体積ppmに低下した実施例1では、水0.1体積%当たりのハロゲン化物(塩素化合物)の減少量は0.8体積%に相当し、選択率は、85.6%と、比較例1に比べて0.2%向上した。
一方、実施例2〜4では、基準実験1に対して、水濃度を0.6体積%に増加させて、塩素化合物濃度を、それぞれ2.0体積ppm、1.9体積ppm、1.8体積ppmに低下させた。水0.1体積%当たりのハロゲン化物(塩素化合物)の減少量は、それぞれ0.8%、1.6%、2.4%であり、その結果、選択率は、84.1%、85.5%、85.8%となった。水濃度の増加量が0.6体積%の場合、水0.1体積%当たりの塩素化合物減少量は、0.8%の場合よりも1.6%の方が選択率の点で好ましく、2.4%の方がより好ましいことが分かった。
この発明にかかるオレフィンオキシドの連続製造方法の製造工程の一部の例を示したフロー図

Claims (1)

  1. 銀、レニウム及びセシウムの各成分を担体に担持させてなる触媒に、オレフィン、酸素及びハロゲン化合物を含む原料ガスを接触させてオレフィンオキシドを合成する酸化反応器、オレフィンオキシドを吸収するオレフィンオキシド吸収塔、及び、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収塔を有し、
    上記酸化反応器で得られた反応ガスを上記オレフィンオキシド吸収塔に送り、水を含むオレフィンオキシド吸収剤を用いて、オレフィンオキシドを吸収し、
    次いで、上記オレフィンオキシド吸収塔の第1残ガスの一部又は全部を上記二酸化炭素吸収塔に送り、水を含む二酸化炭素吸収剤を用いて、二酸化炭素を吸収し、
    そして、上記二酸化炭素吸収塔の第2残ガスを原料ガスの一部として、上記酸化反応器に戻すオレフィンオキシドの製造方法において、
    上記酸化反応器の入口におけるガスに含まれる水が増加する場合は、その増加量0.1体積%に対し、この酸化反応器の入口におけるガスに含まれるハロゲン化物の量を、水増加前の上記酸化反応器の入口におけるガス中のハロゲン化物の量に対して、0.4〜4.8%減少させ、
    上記酸化反応器の入口におけるガスに含まれる水が減少する場合は、その減少量0.1体積%に対し、この酸化反応器の入口におけるガスに含まれるハロゲン化物の量を、水減少前の上記酸化反応器の入口におけるガス中のハロゲン化物の量に対して、0.4〜4.8%増加させることを特徴とするオレフィンオキシドの製造方法。
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