JP4046322B2 - 意匠性に優れた耐熱クリアプレコート金属板 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、基材の金属光沢を活かした色調を呈し、耐熱性が要求される加熱調理器具,暖房機器,空調機器,自動車排気系部材等に使用される耐熱クリアプレコート金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電機器,OA機器,加熱調理器具,暖房機器等の表装材に、金属表面のメタリック感を生かしたクリア塗装金属板が使用され始めている。クリア塗装金属板は、従来の着色塗装金属板では得られない雰囲気がメタリック感で醸し出されるので識別性の高い商品として期待されている。クリア塗装金属板の製造には、ウレタン系,ポリオレフィン系,フッ素系等の種々の有機樹脂塗料が使用されている。比較的透明度の高いものとしてアクリル系,エポキシ系等の有機樹脂塗料を使用する場合もある。
着色顔料を分散させたクリア塗料を基材・金属板に塗布するとき、金属表面のメタリック感を活かしながら任意の色調を付与できる。着色顔料の配合に際しては、メタリック感がなくなるまで金属表面を完全に隠蔽しないように、着色顔料の材質選択,配合量の選定等に工夫を要する。
【0003】
クリア塗装金属板の用途展開に伴い、加熱調理器具,暖房機器,空調機器,自動車排気系部材等、高温雰囲気に曝される耐熱部位にも使用可能なクリア塗装金属板に対するニーズが強くなっている。しかし、従来の有機樹脂塗料を用いたクリア塗装金属板では、耐熱温度の限界が200℃程度であり、それ以上の高温で使用すると樹脂の熱分解に起因して塗膜に黄変,クラック,剥離等が生じる。着色剤として有機系顔料や染料を使用した場合には,熱による着色剤の変色や褪色が生じやすい。
耐熱用途に使用されるクリア塗装金属板には、耐熱性に優れたシリコーン樹脂を用いてクリア塗膜を形成することが検討されている。本発明者等も、アルキルシリコーン樹脂を使用した耐熱プレコート鋼板を提案してきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
メチルシリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂等のアルキルシリコーン樹脂に含まれるアルキル基:Si−R(R:メチル又はフェニル基)は、300〜350℃の加熱で分解反応を開始する。他方、シリコーン樹脂中でシラノール基:Si−OH間の脱水縮合反応によりシロキサン結合:Si−Oが進行して十分なネットワーク構造を形成する上では、400℃以上の長時間加熱が必要とされる。
【0005】
アルキル基:Si−Rの加熱分解とシロキサン結合:Si−Oの形成との間に温度差があるため、300〜400℃の中間温度域ではアルキル基:Si−Rが加熱分解するものの、十分なネットワーク構造の形成に必要なシロキサン結合:Si−Oが進展しない。その結果、アルキルシリコーン樹脂塗料から成膜された塗膜は、中間温度域で一時的に不安定な皮膜状態になる。
加熱調理器具,暖房機器,空調機器,自動車排気系部材等の使用温度や使用環境を考慮すると、耐食性,耐汚染性は勿論、常温から600℃程度の高温までの広範な温度域にわたって昇温・降温する熱履歴を受けてもクラックや剥離のない優れた塗膜性能が要求される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、透明度の高いアルキルシリコーン樹脂をベースとするクリア塗膜に透明感のある鱗片状粉末を分散させることにより、メタリック感を強調して透明感が高く、独特の意匠を発現する金属光沢をもち、耐熱性,加工性に優れた耐熱クリアプレコート金属板を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の耐熱クリアプレコート金属板は、その目的を達成するため、金属光沢を呈する基材・金属板の表面に、半透明の鱗片状無機粉末を分散させたアルキルシリコーン樹脂のクリア塗膜が形成されていることを特徴とする。アルキルシリコーン樹脂には、メチルシリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂から選ばれた1種又は2種以上の混合物又は重合物がある。
【0008】
鱗片状無機粉末としては、アルミナフレーク,マイカ粉,タルク粉,板状カオリンから選ばれた1種又は2種以上が好ましく、TiO2,SiO2,ZrO2,Fe2O3,Fe3O4,SnO2,Cr2O3,ZnO,Al2O3の1種又は2種以上から選ばれた透明酸化物で必要に応じて被覆する。
【0009】
【作用】
クリア塗膜は、メチルシリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂等のアルキルシリコーン樹脂塗料から成膜される。アルキルシリコーン樹脂は、有機樹脂の中で屈折率が最も低いアクリル樹脂やエポキシ樹脂よりも低い屈折率をもち、透明度の高い樹脂である。屈折率の測定値は測定条件によって若干異なるが、アクリル樹脂やエポキシ樹脂の約1.5に対しアルキルシリコーン樹脂の屈折率は約1.4である。両者の差は0.1程度であるが、金属光沢のある基材・金属板に設けた塗膜を目視観察するとき金属光沢の受け取り方に大きな差を生じる。すなわち、アルキルシリコーン樹脂塗膜では金属光沢が全く損なわれておらず鮮明な外観が維持されるが、アクリル樹脂やエポキシ樹脂塗膜では透明性が劣りくすんだ外観になる。
【0010】
透明度の高いアルキルシリコーン樹脂に半透明の鱗片状無機粉末を配合した塗料組成物でクリア塗膜を成膜すると、これまでにない全く新しい意匠がクリア塗装金属板に付与される。発現した意匠は、屈折率の低いアルキルシリコーン樹脂に半透明の鱗片状無機粉末を分散させることによって始めて得られるものであり、イメージ的には「透明度の高い海に泳ぐクラゲ」と表現される。因みに、同じ鱗片状無機粉末を有機樹脂クリア塗膜に分散させても、アクリル又はエポキシ樹脂と鱗片状無機粉末との屈折率が近いため、塗膜のマトリックスから鱗片状無機粉末を分別できず、同様なイメージの意匠が発現しない。
【0011】
クリア塗膜に分散させた鱗片状無機粉末は、基材・金属板の面内方向に沿って層状に配向する。そのため、面内方向に直交する視野角でクリア塗装金属板を観察する場合、鱗片状無機粉末の薄い辺を透過する光路となり、高い透明性が維持される。更に、各種の酸化物で被覆した鱗片状無機粉末を分散させると、面内方向に斜交する視野角でクリア塗装金属板を観察する場合、パール調干渉色を呈する意匠が得られる。
【0012】
アルキルシリコーン樹脂に配合した鱗片状無機粉末は、300〜400℃の中間温度域における塗膜性状を改善する上でも有効である。
通常のアルキルシリコーン樹脂塗料から成膜されたクリア塗膜では、アルキル基:Si−Rの熱分解が300〜350℃の温度域で進行するが、この状態で加熱・冷却が繰り返されると基材・金属板とクリア塗膜との熱膨張差に起因した熱歪がクリア塗膜に蓄積される。熱歪は、クリア塗膜の脆化を加速させ、クラックや剥離の原因になる。しかも、塗膜のバリア効果による耐水性,耐食性,耐食品汚染性も低下しているので、水やイオンが容易に透過して基材/塗膜の界面に達し、基材・金属板に対するクリア塗膜の密着性を低下させる。
【0013】
これに対し、鱗片状無機粉末を分散させたアルキルシリコーン樹脂塗膜では、基材・金属板の面内方向に配向している鱗片状無機粉末でネットワーク構造が補強され、クリア塗膜の脆化が防止される。基材・金属板とクリア塗膜の熱膨張差に起因する熱応力も鱗片状無機粉末でクリア塗膜の全体に分散されるので、塗膜剥離,脆化等の原因となる局部的な応力集中が抑制される。基材・金属板の面内方向に配向した鱗片状無機粉末が透過水分や腐食促進因子に対するバリアとしても働き、基材/塗膜の界面への水分やイオンの到達が抑制されることによっても塗膜物性が改善される。
【0014】
タルク粉,カオリン等の鱗片状酸化物やTiO2,SiO2,ZrO2等の酸化物で被覆したフレークは、−OH基がある程度存在する表面をもっている。そのため、この種の鱗片状無機粉末を配合したアルキルシリコーン樹脂塗料を基材・金属板に塗布し焼成する過程で鱗片状無機粉末表面の−OH基がアルキルシリコーン樹脂の−OH基と脱水縮合反応し、アルキルシリコーン樹脂と鱗片状無機粉末との間に強固な結合が形成される。これによっても、クリア塗膜の脆化防止が図られる。
【0015】
【実施の形態】
塗装原板には、金属光沢のある表面が観察される製品形態で使用されることから、平坦度の高いステンレス鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板,銅合金板,溶融Alめっき鋼板の圧延材,マグネシウム板,マグネシウム合金板等が使用される。
金属光沢は、ブラシ等を用いた物理的な表面研磨,光輝焼鈍,圧延,電解研磨,化学エッチング等によって表面を平滑化することにより基材・金属板に付与される。基材・金属板の光沢度は特に制約されるものではないが、発現する意匠が金属光沢に応じて変化するので用途や好みに応じて金属光沢を調整する。金属光沢は、一般に光沢計で測定した光沢度として表され、金属の種類によって光沢度の絶対値が若干異なるが、目安として20度鏡面光沢計で測定した光沢度が約500以上の基材・金属板であれば目標とする意匠が発現する。過度に低い光沢度では、基材表面での乱反射が多くなり、目標とする意匠が得られない。
塗装原板は、クリア塗膜の形成に先立って脱脂,酸洗,クロメート処理,リン酸塩処理,クロムフリー処理等の塗装前処理が適宜施される。
【0016】
クリア塗膜形成用の塗料組成物は、メチルシリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂等のアルキルシリコーン樹脂に鱗片状無機粉末を配合することにより調製される。鱗片状無機粉末には、アルミナフレーク,マイカ粉,タルク粉,板状カオリン、又は2種以上のこれらのフレークを組み合わせて使用することも可能である。
【0017】
鱗片状無機粉末は、クリア塗膜に独特の意匠性を付与し、耐熱性,加工性を改善する上で平均粒径を0.5〜50μmとし、樹脂固形分に対する配合量を5〜100質量部の範囲で選定することが好ましい。鱗片状無機粉末の分散による塗膜性状の改善効果は、0.5質量部以上の配合量で顕著になる。しかし、100質量部を超える過剰量の鱗片状無機粉末を配合すると、クリア塗膜の加工密着性が低下する傾向がみられる。焼成顔料,体質顔料,防錆顔料,金属粉等の各種添加材と鱗片状無機粉末を併用添加できるが、併用添加の場合には合計配合量の上限を200質量部に設定することが好ましい。
【0018】
クリア塗膜に分散した鱗片状無機粉末が意匠性,塗膜性状に及ぼす影響は鱗片状無機粉末の形状によっても異なるが、平均粒径0.5μm以上で鱗片状無機粉末の分散効果が顕著になる。しかし、50μmを超える平均粒径ではクリア塗膜の加工密着性が低下する傾向にある。より好ましくは、平均粒径が1〜30μmの範囲にある鱗片状無機粉末を使用する。
平均粒径に対する厚みの比(アスペクト比)1/5以下のフレーク形状をもつ鱗片状無機粉末は、基材・金属板の面内方向に沿った配向性が高く、シロキサン結合:Si−Oのネットワーク構造を効果的に補強する。アスペクト比が大きくなると、面内方向に交差する方向に鱗片状無機粉末の配向することが避けられず、鱗片状無機粉末の単位重量当り鱗片状無機粉末/シリコーン樹脂の接触面積が小さくなり、鱗片状無機粉末の添加効果が弱くなる。
【0019】
アスペクト比は、鱗片状無機粉末の必要な透明度を付与する上でも有効である。アスペクト比が大きくなるほど透明度が低下する。逆にアスペクト比が小さくなると透明度が増す。アスペクト比を極端に小さくするとアルキルシリコーン樹脂と同じ透明度になり、目標とする意匠が発現しなくなる。しかし、アルキルシリコーン樹脂の透明度と同程度になるまでアスペクト比を小さくすることは工業的に困難であり、工業的に入手容易なアスペクト比1/5以下の鱗片状無機粉末であれば目標とする意匠の発現に有効な透明度が確保される。
【0020】
鱗片状無機粉末は、TiO2,SiO2,ZrO2,Fe2O3,Fe3O4,SnO2,Cr2O3,ZnO,Al2O3等の透明な金属酸化物で被覆しても良い。被覆には湿式法,CVD法,粉末スパッタリング法,蒸着法等が採用される。金属酸化物皮膜を設けた鱗片状無機粉末は、光の干渉作用によってパール色の色調をクリア塗膜に付与する。
光の干渉作用で発現する色調は、金属酸化物皮膜の厚みに応じて異なるが、厚すぎる金属酸化物皮膜では干渉色が消え透明性が損なわれる。金属酸化物皮膜の屈折率や透明度は、金属酸化物の種類によって異なり、鱗片状無機粉末の種類や表面形状にも影響されるため、膜厚の上限を一義的に定めることはできないが、0.5μm以下を目安として目視観察で判定した発現意匠の視認性から金属酸化物皮膜の厚みを定めることができる。
【0021】
アルキルシリコーン樹脂塗料には、鱗片状無機粉末の他に着色顔料も配合できる。着色顔料を配合する場合、透明な外観や塗膜の光沢度等の意匠性を損なわず、また耐熱性,塗膜密着性等の諸性能を低下させない着色顔料の種類,粒形状,性状,添加量が決定される。
【0022】
鱗片状無機粉末が配合される樹脂塗料は、メチルシリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂から選ばれた1種又は2種以上の混合物又は重合物をベース樹脂にしている。
メチルシリコーン樹脂は一般式(CH3)aSiO(4-a-b)/2(OH)bで表される化合物であり、ブロッキングを起こすことなく塗膜に必要硬度を付与し、長時間焼付けを必要とせずコイルでの連続塗装を可能にするため指数a,bをそれぞれa=0.5〜1.5,b=0.5〜1.05の範囲に設定することが好ましい。a<0.5では塗膜の加工密着性が低下し、a>1.5では耐熱性が劣る。b<0.5では塗装原板に配向した水酸基との脱水縮合によって結合する起点が少なくなるため、塗膜の加工密着性,硬化性が劣化する。逆にb>1.05では、焼成時に三次元架橋が過度に進行して塗膜の加工密着性が低下する。
【0023】
フェニルシリコーン樹脂をベースとする塗料組成物では、一般式(C6H5)aSiO(4-a-b)/2(OH)bで表されるフェニルシリコーン樹脂が使用される。この場合も、指数a,bは、メチルシリコーン樹脂と同じ理由でそれぞれa=0.5〜1.5,b=0.5〜1.05の範囲に設定することが好ましい。
メチルフェニルシリコーン樹脂は一般式(CH3)a(C6H5)bSiO(4-a-b-c)/2(OH)cで表される化合物であり、指数a,b,cは同様な理由からそれぞれa+b=0.5〜1.5,c=0.5〜1.05の範囲に設定することが好ましい。
【0024】
アルキルシリコーン樹脂は、目的や用途に応じて樹脂種が選択される。たとえば、アルキルシリコーン樹脂のフェニル基はメチル基よりも熱分解温度が高く、TG-DTA分析ではフェニル基が約450℃,メチル基が約410℃に熱分解のピークが検出される。したがって、フェニル基やメチル基が残存する温度域で使用される用途では、メチル基よりも耐酸性,耐薬品性,耐水性に優れているフェニル基をもつフェニルシリコーン樹脂又はフェニル基を多く含む重合物が使用される。また、アルキル基:Si−Rの熱分解温度以上でフェニル基から発生するベンゼンが問題となる用途では、メチルシリコーン樹脂単独,或いはフェニル基を許容範囲に抑えたフェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂との混合物又は重合物が塗料組成物のベース樹脂に使用される。
【0025】
鱗片状無機粉末が配合された塗料組成物は、塗装前処理が施された塗装原板に塗布され,加熱・乾燥によってクリア塗膜となる。塗料組成物の塗布には、スプレー法,ロールコート法,バーコート法等を採用できる。塗布された塗料組成物は、クリア塗膜の硬度を保証し、加工密着性を確保するため好ましくは150〜250℃の範囲で加熱・乾燥される。塗料組成物の塗布量は、クリア塗膜の乾燥膜厚が2〜15μm(好ましくは、10μm以下)となるように選定される。2μm以上の膜厚で耐食性改善効果が顕著になるが、15μmを超える厚膜ではクリア塗膜の加工密着性が低下する。
【0026】
【実施例】
塗装原板に板厚0.4mmのSUS304ステンレス鋼板,板厚2mmのアルミニウム板,板厚0.4mmの溶融Alめっき鋼板の圧延材を使用した。ステンレス鋼板は、2%塩酸で酸洗した後、塗布型クロメート処理でCr換算付着量20mg/m2のクロメート皮膜を形成した。アルミニム板,溶融Alめっき鋼板圧延材は、脱脂,水洗,乾燥後、Ti換算付着量40mg/m2のTi系クロムフリー処理を施した。
塗料組成物は、アルキルシリコーン樹脂100質量部に対し各種鱗片状無機粉末を20質量部配合することにより調製した。用意した塗料組成物の組成,鱗片状無機粉末等を表1に示す。
【0027】
【0028】
各塗料組成物を塗装原板にバーコート法で塗布し、最高到達板温230℃で加熱焼成することにより乾燥膜厚6μmのクリア塗膜を形成した。得られたクリア塗装金属板から試験片を切り出し、意匠性試験,耐熱試験,腐食試験,食品汚染試験に供した。
意匠性試験では、試験片表面を目視観察し、クリア塗膜の透明性,基材・金属板の金属光沢,添加粉末に起因する意匠発現の全てを満足するものを○,何れかの性質が損なわれているものを×として官能評価した。
【0029】
耐熱試験では、試験片を500℃に100時間加熱した後、クリア塗膜の密着性をテープ剥離試験で調査した。剥離が生じなかった塗膜を◎,点状の剥離が一部に生じた塗膜を○,著しい点状剥離が生じた塗膜を△,全面剥離した塗膜を×としてクリア塗膜の耐熱性を評価した。
腐食試験では、未加熱の試験片の他に、300℃×10時間の加熱を施した試験片を用意した。未加熱試験片,加熱試験片共に100時間の塩水噴霧試験にかけ、塩水噴霧後の塗膜密着性をテープ剥離試験で判定した。剥離が生じなかった塗膜を◎,点状の剥離が一部に生じた塗膜を○,著しい点状剥離が生じた塗膜を△,全面剥離した塗膜を×としてクリア塗膜の耐食性を評価した。
【0030】
食品汚染試験では、未加熱の試験片の他に、350℃×10時間の加熱を施した試験片を用意した。未加熱試験片及び加熱試験片に醤油,マヨネーズ,ケチャップを各1g混合した試験液を塗布し、試験片を水平に保った状態で60℃,90%RHの恒温恒湿槽に8時間保管した後、室温に16時間放置した。高温湿潤→室温放置を1サイクルとし、3サイクル繰り返した後で試験片表面を目視観察し、ガーゼを用いて試験液を拭き取った後の汚染状態を調査した。試験液で汚染されていない塗膜を◎,汚染が生じたが拭取り可能な塗膜を○,著しい汚染が生じたが拭取り可能な塗膜を△,汚染が拭き取れずに全面に残留した塗膜を×としてクリア塗膜の耐食品汚染性を評価した。
【0031】
表2の試験結果にみられるように、アルキルシリコーン樹脂塗膜に鱗片状無機粉末を分散させた本発明例No.1〜9は、意匠性,耐熱性,耐食性,耐食品汚染性の何れにおいても優れた特性を示した。
他方、アクリル樹脂をベースとするクリア塗膜を設けた比較例No.10や鱗片状粉末無添加の比較例No.11では、「透明度の高い海に泳ぐクラゲ」のイメージを呈する外観が得られず、耐熱性,耐食性,耐食品汚染性にも劣っていた。なかでも、アクリル樹脂をベースとするクリア塗膜は、300℃×10時間や350℃×10時間の加熱によって消失した。球状シリカをクリア塗膜に分散させた比較例No.12でも、本発明例No.1〜9のようなイメージをもつ外観が得られず、耐熱性,耐食性,耐食品汚染性にも劣っていた。
この対比から明らかなように、ベース樹脂として透明度の高いアルキルシリコーン樹脂を使用し、半透明の鱗片状無機粉末を分散させたクリア塗膜を形成することにより、これまでにない意匠を呈し、耐熱性,耐食性,耐食品汚染性にも優れたクリア塗装金属板が得られることが確認された。
【0032】
【0033】
【発明の効果】
以上に説明したように、透明度の高いアルキルシリコーン樹脂をベースにし、半透明の鱗片状無機粉末を配合した塗料組成物からクリア塗膜を成膜すると、基材・金属板の面内方向に鱗片状無機粉末が配向し、イメージ的にはこれまでにない外観を呈するクリア塗装金属板が得られる。しかも、クリア塗膜に分散させた鱗片状無機粉末が中間温度域におけるネットワーク構造を補強するため、耐熱性,耐食性,耐食品汚染性も改善される。このようにして得られた耐熱クリアプレコート金属板は、独特の意匠性がある外観と相俟って優れた耐熱性,耐食性,耐食品汚染性を活かし、加熱調理器具,暖房機器,空調機器,自動車排気系部材等の広範な分野で使用される。
Claims (3)
- 金属光沢を呈する基材・金属板の表面に、鱗片状無機粉末を分散させたアルキルシリコーン樹脂のクリア塗膜が形成されていることを特徴とする意匠性に優れた耐熱クリアプレコート金属板であって、該鱗片状無機粉末が平均粒径0.5〜50μmで平均粒径に対する厚みの比(アスペクト比)1/5以下のフレーク形状をもち、アルミナフレーク、マイカ粉、タルク粉、板状カオリンから選ばれた1種又は2種以上である、該耐熱クリアプレコート金属板。
- アルキルシリコーン樹脂がメチルシリコーン樹脂,フェニルシリコーン樹脂,メチルフェニルシリコーン樹脂から選ばれた1種又は2種以上の混合物又は重合物である請求項1記載の耐熱クリアプレコート金属板。
- TiO2,SiO2,ZrO2,Fe2O3,Fe3O4,SnO2,Cr2O3,ZnO,Al2O3の1種又は2種以上から選ばれた透明酸化物で被覆した鱗片状無機粉末を使用する請求項1記載の耐熱クリアプレコート金属板。
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