JP4049570B2 - タイヤの騒音評価方法及び評価プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、さまざまなトレッドパターンを有するタイヤの騒音評価をシミュレーションにより得ることのできるタイヤの騒音評価方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤ (以下、単にタイヤという。) の走行時に発生する騒音の原因としては、ポンピング音、パターン加振音と呼ばれるもの等 (いわゆるパターンノイズ)が知られている。ポンピング音は、パターンの溝が接地部分に踏み込んだ時にエアーを圧縮し、接地部分から離れる時にエアーを放出することにより発生する音であり、パターン加振音は、トレッドパターンが接地するときに路面に衝突し、そのときの衝撃力によりタイヤが振動することにより発生する音である。
【0003】
上記のパターンノイズのうち特にパターン加振音には、タイヤのピッチ数と回転数とで決まる周波数成分 (1次成分) が顕著に表れる。ここでタイヤのピッチとは、トレッドパターンを構成する、タイヤ周方向の繰り返し模様の最小単位を言うものである。
【0004】
パターン加振音は、上記のようにピッチの周波数成分に依存する騒音が発生するため、ピッチバリエーションという手法を用いて周波数成分を分散させて騒音が耳につきにくいような工夫がなされている。すなわち、 騒音をホワイトノイズ化することで、騒音レベルを低下させる。ピッチバリエーションにおいては、各ピッチ間のピッチ長の大小の差を変更し、またピッチ配列をランダムにするという手法を用いる。
【0005】
また、タイヤのトレッドパターンは、タイヤ周方向に沿って形成される周方向溝により区画される(以下、この区画された領域を「周方向ピッチ群」と称することがある。)が、この夫々の周方向ピッチ群のピッチ配列を同じにするよりも異ならせるほうが、ピッチの種類も少なくてすみ騒音に対して効果がある。このようなピッチ配列を有するトレッドパターンは、本出願人による特開2000−43507号公報に開示されている。
【0006】
上記のようなピッチバリエーション手法を用いたタイヤの騒音低減効果は、実際にそのトレッドパターンを有するタイヤを製造して官能試験等で確認する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、開発段階で検討したすべてのトレッドパターンについて、実際にタイヤを製造して確認することは、時間がかかり効率が悪い。また、ピッチバリエーションを用いたトレッドパターンについても、タイヤ幅方向に沿って配列される周方向ピッチ群のピッチ配列を異ならせる場合は、そのバリエーションは多岐にわたる。また、トレッドパターンを決める場合にも、試行錯誤的な面もあるため、検討すべきトレッドパターン (ピッチ配列)の数もかなり多くなる。最終的には、タイヤを製造しての確認評価は必要であるが、それに至るまでにある程度シミュレーションによりトレッドパターンの種類を絞り込むことが好ましい。
【0008】
さらに、シミュレーションによるタイヤの騒音評価を行うにあたり、単にピッチ配列のみから行うのは不十分である。例えば、特開平11−23357号公報に開示されるタイヤの騒音評価方法では、ピッチ配列の各ピッチ長さに比例した時間間隔ごとに予め定めた一定パルス幅を有する矩形波を並べた時系列波形でパターンノイズを近似する。しかし、発生する騒音は、ピッチ配列だけではなく、路面への接地の仕方にも依存する。従って、この路面への接地の仕方についても考慮したシミュレーションが必要である。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、トレッドパターンのデータに基づいたシミュレーションにより、路面への接地の仕方も考慮した騒音評価を行うことのできるタイヤの騒音評価方法及びタイヤの騒音評価プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係るタイヤの騒音評価方法は、
タイヤのトレッドパターンのデータを記憶するステップと、
タイヤの路面に対する接地パターンのデータを記憶するステップと、
前記接地パターンを前記トレッドパターンの周方向に沿って走査させるステップと、
前記走査ステップにより、トレッド部の接地面積の変動データを取得するステップと、
前記接地面積の変動データに基づいて周波数分析データを取得するステップとを有し、
前記トレッドパターンのデータは、少なくとも接地部と非接地部により構成された画像データであり、前記接地面積の変動データを取得するステップでは、前記接地パターン上に存在する前記接地部の面積を求めることを特徴とするものである。
【0010】
この構成によるタイヤの騒音評価方法の各ステップは、コンピュータにより実行させることができる。まず、トレッドパターンのデータを記憶する。トレッドパターンは、例えば、画像データとして記憶装置に記憶させることができる。次に、タイヤの路面に対する接地パターンのデータを記憶する。接地パターンは、タイヤが路面に接地するときの接地エリアの形状から取得されるデータである。接地パターンは、タイヤの形状、タイヤ荷重、タイヤ内圧等により求める (又は、設定する。)ことができる。
【0011】
次に、この接地パターンをトレッドパターンの周方向に沿って走査する。これは、タイヤを走行させているのと同じ状態をシミュレーションするものである。接地パターンの走査により、トレッド部の接地面積の変動データを取得することができる。この変動データに基づいて、周波数分析データを取得することができ、このデータから騒音評価を行うことができる。
【0012】
更に、接地パターン上に存在する接地部の面積を求める。接地パターンをトレッドパターンの周方向に沿って走査することで、接地面積の変動データを取得することができる。接地面積は、例えば、接地パターン上に存在する接地部の画素数をカウントすることで取得することができる。
以上のように、本発明によれば、単にピッチ配列のみから騒音評価を行うのではなく、接地パターンを考慮した騒音評価を行うようにしている。従って、より精度のよいシミュレーションが可能である。その結果、トレッドパターンのデータに基づいたシミュレーションにより、路面への接地の仕方も考慮した騒音評価を行うことのできるタイヤの騒音評価方法を提供することができる。
【0013】
本発明の好適な実施形態として、前記接地パターンは、タイヤ接地開始時の接地ラインで定義されるものがあげられる。
【0014】
接地パターンを接地ラインで定義することにより、接地面積を求めるための演算時間を速くすることができる。
【0017】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記周波数分析データを取得するにあたり、可聴周波数における特定周波数範囲の騒音レベルを抽出するステップを有するものがあげられる。
【0018】
騒音評価において重要なのは、人の耳につく特定周波数範囲の騒音レベルである。よって、取得された周波数分析データのうちの、特定周波数範囲の騒音レベルを抽出することで、より正確なシミュレーションを行うことができる。
【0019】
本発明に係るタイヤの騒音評価方法をコンピュータにより実現するためのプログラムは、
タイヤのトレッドパターンのデータを記憶する処理と、
タイヤの路面に対する接地パターンのデータを記憶する処理と、
前記接地パターンを前記トレッドパターンの周方向に沿って走査させる処理と、
前記走査ステップにより、トレッド部の接地面積の変動データを取得する処理と、
前記接地面積の変動データに基づいて周波数分析データを取得する処理とをコンピュータに実行させるものであり、
前記トレッドパターンのデータは、少なくとも接地部と非接地部により構成された画像データであり、前記接地面積の変動データを取得する処理では、前記接地パターン上に存在する前記接地部の面積を求めることを特徴とするものである。
【0020】
かかるプログラムをコンピュータにインストールすることにより、本発明の課題を解決することができる。なお、インストールする方法については、CD−ROMによる方法等、適宜の方法で行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係るタイヤの騒音評価方法の好適な実施形態を図面を用いて説明する。まず、図1は、タイヤの騒音評価方法を実施するためのシステムの構成を示す図である。
【0022】
本システムは、パソコン等のコンピュータを用いて実現することができる。図1において、CPUはプログラムに基づいて演算・制御を行う。ハードディスク1には、OSや各種のアプリケーションプログラムがインストールされており、タイヤの騒音評価プログラムも同じくこのハードディスク1に保存されている。このタイヤの騒音評価プログラムを実行する場合には、適宜RAMに読み込まれる。モニター2には、プログラムにより演算した結果等が表示される。キーボード3からは、タイヤの騒音評価を行うための種々のデータの入力を行う。
【0023】
次にタイヤのトレッドパターンについて説明する。図2(a)(b)に2通りのトレッドパターンを例示する。図2は、トレッドパターンの一部を平面展開したものであり、矢印A方向はタイヤ周方向を示し、矢印B方向はタイヤ幅方向を示す。トレッドパターンには、タイヤ周方向に沿った複数の主溝10と、主溝10を横切る多数の副溝11とが形成される。図示の例では、副溝11は主溝10に対して傾斜しているが、主溝11に対して直交していても良い。この主溝10と副溝11により区画されるブロックをピッチ12と呼んでいる。ピッチ12は、タイヤ周方向に沿ったピッチ長を有しており、3種類のピッチ長(a,b,c)のピッチ12を有している。トレッドパターンは、タイヤ周方向に沿って、ピッチ長の異なる多数のピッチが配列している。
【0024】
また、トレッドパターンは、主溝10により複数の区画(周方向ピッチ群)に分けて考えることができる。図2の例では、図番13a,13b,13c,13dの4つの周方向ピッチ群でトレッドパターンが構成される。タイヤ幅方向の外側に位置する周方向ピッチ群13a,13dは、同じピッチ配列(a,b,b,c,c,a・・・)を有する。ただし、一方の周方向ピッチ群13dに対して、他方の周方向ピッチ群13aは、δ1だけのずれ量(位相差)を有している。
【0025】
さらに、タイヤ幅方向の内側の位置する周方向ピッチ群13b,13cも同じピッチ配列(ただし、外側とは異なる)を有するが、一方の周方向ピッチ群13cに対して、他方の周方向ピッチ群13bは、同じくδ1だけのずれ量を有している。すなわち、 図2(a)の上側の周方向ピッチ群13c,13dに対して、下側の周方向ピッチ群13a,13bは共にδ1のずれ量を有する。
【0026】
図2(b)は別のトレッドパターンを有する実施形態であるが、タイヤ幅方向の外側にある一方の周方向ピッチ群13aは、他方13dに対してδ2のずれ量であるが、内側にある一方の周方向ピッチ群13bは、他方に対して13cに対してδ3のずれ量を有し、しかも、ずれ方向がδ2の場合とは逆方向である。なお、図2の例示では、ピッチ長はa,b,cの3種類としている。もちろん、4種類以上のピッチ長を有するトレッドパターンも考えられる。
【0027】
<騒音評価方法の手順>
次に、騒音評価を行う場合の手順を説明する。まず、トレッドパターンをCADで作成する。次に、接地部、非接地部、エッジ部の色分け処理を行う。図3(b)は処理を行った結果の画像を示す。画像で黒く示されるのが接地部であり、実際に路面に接地される領域を示す。白く示されるのが非接地部である。このトレッドパターンを表わす画像データは、ハードディスクに記憶される。
【0028】
次に、接地パターンを定義して入力する。接地パターンは、タイヤが路面に接触するときの接地エリアに基づいて定義することができる。接地エリアのうちの、タイヤが接地し始めるときの接地ライン(図4に符号Sで示す)を接地パターンとして定義する。 この接地パターンは、タイヤに作用する荷重や、タイヤの形状、タイヤ内圧等により求める (設定する) ことができる。接地パターンも所定のファイル形式で記憶される。
【0029】
次に、この接地パターンをタイヤ周方向に沿って走査させる(図3(a)参照)。これは、タイヤを走行させているのと同じ状態である。走査スピードを変えることにより、走行スピードも変更することができる。次に、タイヤの接地面積の変動データを取得する。接地面積は、接地パターン上に存在する接地部の面積により求めることができる。すなわち、 接地パターン上に存在する接地部の画素数をカウントすることで、接地面積を求めることができる。
【0030】
図4(b)は、接地面積の変動データを示すグラフである。横軸は、タイヤ周方向に沿った距離に相当し、縦軸は接地面積の変動データとして接地部の割合(%)を示している。この接地面積の変動データに基づいて、これを周波数分析を行った結果が、図4(c)に示される。この図において、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は騒音レベル(dB)である。このグラフから、騒音評価を行うことができる。
【0031】
図4(b)に示す接地面積の変動データは、トレッドパターンの全領域に付いてのデータであるが、部分的なデータも求めることができる。図5は、(a)は、トレッドパターンのうちの一方のショルダー部の接地面積の変動データを示す。ショルダー部は、タイヤ幅方向の両側に位置する部分であり、トレッド部とサイドウォール部の中間に位置する部分である。(b)はタイヤ幅方向の中央部分の変動データを示す。(c)は、(a)とは反対側のショルダー部の変動データを示す。このような部分的な接地面積の変動データに基づいて周波数分析をすることにより、全体のトレッドパターンのうちどの部分を修正すれば改善されるかを予想することができる。
【0032】
図4に示す解析は、タイヤの全周にわたって分析したものではない。タイヤ周方向に沿った、所定長さ領域について評価を行った例である。次に、タイヤ周方向の全周について評価を行った例を説明する。
【0033】
まず、タイヤの全周にわたって、ピッチ配列図面(画像データ)を作成する(図6参照)。なお、トレッドパターンは、あらかじめ選択したピッチを組み合わせることで作成可能である。トレッドパターンの画像データを作成するための最小単位基本のデータを図8に示す。3種類のピッチ長の場合は、図8のようにa,b,cのピッチ長に対応した基本データを用意する。また、各ピッチの使用個数も指定する。また、タイヤ周方向に沿って複数のピッチを並べて配置する場合に、ランダム生成させることができる。いろいろなトレッドパターンをランダム生成させることで、多数のトレッドパターンについて試行錯誤的に検討することができる。また、図2において説明したような、ずれ量についても入力して設定することができる。
【0034】
タイヤ全周のトレッドパターンの画像データを作成すると、次に、接地パターンを設定しタイヤ周方向に沿って走査させる。図7(a)は、接地面積の変動データを示す図である。図7(b)は、周波数分析結果を示す図である。
【0035】
図9は、あるピッチ配列における周波数分析結果を比較したグラフである。この図でよい配列とあるのは、図10(a)に示され、ずれ量は内側(図2のδ3に対応)が0.4mm、外側のずれ量(図2のδ2)が5.0mmである。悪い配列とあるのは、図10(b)に示され、ずれ量は内側が0.1mm、外側が21.5mmである。
【0036】
また、周波数分析データによる騒音評価を行う場合に、可聴周波数帯域のうちの、特定の周波数範囲の騒音レベルにより評価することが好ましい。図9において点線で囲まれた範囲が、特定周波数の範囲であり、具体的には447〜561Hz、920〜1070Hzの範囲を選択している。人間の耳には、可聴周波数のうちの特定の周波数がよく耳につく傾向にあるので、この特定周波数における騒音レベルで評価することが好ましい。図9の例では、良い配列(本発明の構成)のほうが悪い配列(従来構成)に比べて騒音レベルが低くなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの騒音評価方法を実施するためのシステムの構成を示す図
【図2】トレッドパターンの一部を平面展開した図
【図3】 トレッドパターン画像を示す図
【図4】接地面積の変動データ及び周波数分析データを示す図
【図5】タイヤ幅方向各部の接地面積の変動データを示す図
【図6】タイヤの全周にわたって作成されたピッチ配列図(トレッドパターン)
【図7】接地面積の変動データと、エッジポイントの変動データを示す図
【図8】ピッチを示す図
【図9】あるピッチ配列における周波数分析結果を比較したグラフを示す図
【図10】図9のシミュレーションを行った配列例を示す図
【符号の説明】
10 主溝
11 副溝
12 ピッチ
13a,13b,13c,13d 周方向ピッチ群
δ1,δ2,δ3 ずれ量
A タイヤ周方向
Claims (4)
- タイヤのトレッドパターンのデータを記憶するステップと、
タイヤの路面に対する接地パターンのデータを記憶するステップと、
前記接地パターンを前記トレッドパターンの周方向に沿って走査させるステップと、
前記走査ステップにより、トレッド部の接地面積の変動データを取得するステップと、
前記接地面積の変動データに基づいて周波数分析データを取得するステップとを有するタイヤの騒音評価方法において、
前記トレッドパターンのデータは、少なくとも接地部と非接地部により構成された画像データであり、前記接地面積の変動データを取得するステップでは、前記接地パターン上に存在する前記接地部の面積を求めることを特徴とするタイヤの騒音評価方法。 - 前記接地パターンは、タイヤ接地開始時の接地ラインで定義されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの騒音評価方法。
- 前記周波数分析データを取得するにあたり、可聴周波数における特定周波数範囲の騒音レベルを抽出するステップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの騒音評価方法。
- タイヤのトレッドパターンのデータを記憶する処理と、
タイヤの路面に対する接地パターンのデータを記憶する処理と、
前記接地パターンを前記トレッドパターンの周方向に沿って走査させる処理と、
前記走査ステップにより、トレッド部の接地面積の変動データを取得する処理と、
前記接地面積の変動データに基づいて周波数分析データを取得する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするタイヤの騒音評価プログラムにおいて、
前記トレッドパターンのデータは、少なくとも接地部と非接地部により構成された画像データであり、前記接地面積の変動データを取得する処理では、前記接地パターン上に存在する前記接地部の面積を求めることを特徴とするタイヤの騒音評価プログラム。
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