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JP4068731B2 - 高級無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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JP4068731B2 - 高級無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高級無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無方向性電磁鋼板の高級グレード、特に商用周波数域の鉄損特性が優れたモータコア及び小型トランス用素材、並びにその製造方法に関するものである
【0002】
【従来の技術】
地球環境の観点から、近年のエネルギー多消費文明の弊害が問題視されている。このため、無方向性電磁鋼板の使用される電気機器の分野でいえば、冷暖房機器のモータ、電気自動車用のメインモータ、産業用の大型モータや電気蛍光燈などの小型トランスなどに更なる消費電力の低減が求められている。この消費電力の改善のためには、無方向性電磁鋼板の鉄損を下げることが最も有効であることが知られている。
【0003】
1900年、イギリスでBarretら(Sci.Trans.Roy.Dublin Soc.7(1900)67)の鉄にSiを添加することで鉄損が飛躍的に向上することの発見、Hadfieldの1903年米国特許745,829でのSiまたはAlを添加する効果の権利化から、今日まで100年近くが経過している。この間の歴史を振り返ってみると、1900年からの数年は、急激な鉄損改善が認められたものの、ここ数十年は鉄損が殆ど向上していないことに気づかされる(例えば、Bolling:Stal u. Eisen 102,No.17(1982)833 )。
【0004】
鉄損が近年、向上しなかった理由は、Si+Al量を増加すれば鉄損が改善されることは分かっているが、Si+Al量が4%を超えると鋼板の冷間での脆性問題が、壁となって立ちふさがっていたためであった。即ち、特に冬場などには熱延板焼鈍後の鋼板の曲げ変形が加わる個所で割れたり、冷延のミルで破断したりとの生産障害が非常に重要な問題であった。このため、Si、Al以外にMn、Sn等も検討されてきたが、脆化問題のため実用化はされなかった。
【0005】
今日の最高級無方向性電磁鋼板は、本出願人で製造販売されている。その磁気特性の典型値は、カタログによれば、0.50mm厚の50H230が鉄損W10/50 =0.96w/kg,W15/50 =2.26w/kg,B50=1.67T、0.35mm厚の35H210がW10/50 =0.81w/kg,W15/50 =2.00w/kg,B50=1.66Tである。これらの成分は、いずれも3.3%Si−1.1%Al系である。SiとAlをこれ以上に増量することは、脆性の問題から出来なかった。
【0006】
従来、Crに着眼された技術がある。米国特許3,615,367号公報には、9〜20%Cr−0.01〜3%Siand/orAl−Feによる耐食性+優れた鉄損コアが提案されている。しかしながら、Ti≧0.02%が必須であることが問題であり、我々の調査ではTiは鉄損、特にヒステリシス損を大きく増大させるために非常に有害な元素であった。また、合金元素を多量に含有するため、望みの高磁束密度を得ることが出来なかった。また、耐食性軟磁性材料または電磁ステンレス鋼板として、その後、多くのCr添加鋼が提案された。しかしながら、これらの鋼は、従来の無方向性電磁鋼板としての鉄損、磁束密度の両者に対して優れたものを提供する技術ではなかった。特公平2−38646号公報では、0.5mm厚でW10/50 1.07w/kg(W15/50 が約2.55w/kg)また、特開平5−295437号公報では、同じく0.5mm厚でW15/50 が約2.6w/kgのもの報告されているのみで、W15/50 ≦2.4w/kgを切るレベルのものは得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑み、従来のFe−Si−Al系の高級無方向性電磁鋼板の製造の悩みであった冷間での脆化を懸念することなく、製造が可能で、なお且つ、従来並みまたは、それを凌駕する優れた磁気特性を有する、新たなFe−Si−Al−Cr系の高級無方向性電磁鋼板を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 質量%で、
C ≦0.003%、 Cr:1〜%、 Si:1〜4%、
Al:0.1〜4%、 Mn≦1.5%、 P ≦0.1%、
S ≦0.002%、 N ≦0.003%、 Ti≦0.006%、
Nb≦0.008%
を含有し、かつ7%≦2Si+2Al+Cr≦17%を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、フェライト平均結晶粒径が100〜200μmで、0.5mm厚では鉄損W15/50 ≦2.4w/kgであることを特徴とする高級無方向性電磁鋼板。
(2) 質量%で、
C ≦0.003%、 Cr:1〜%、 Si:1〜4%、
Al:0.1〜4%、 Mn≦1.5%、 P ≦0.1%、
S ≦0.002%、 N ≦0.003%、 Ti≦0.006%、
Nb≦0.008%
を含有し、かつ7%≦2Si+2Al+Cr≦17%を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる熱延板を焼鈍して、冷延し、次いで連続焼鈍を行って、フェライト平均結晶粒径を100〜200μmとして、0.5mm厚では鉄損W15/50 ≦2.4w/kgであることを特徴とする高級無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0009】
本発明のポイントは、以下の四点である。第一点は、Si,Al,Crの同時含有が、固有抵抗を大きく増加させ鉄損を改善することである。ちなみに、Fe−Cr系での1%Cr当たりの固有抵抗増加しろは、2.4μΩ−cmに留まるが、Fe−Si−Al−Cr系でのそれは4.2μΩ−cmに跳ね上がる。第二に、従来のSiやAl量を脆性限界ギリギリまで増加させなくても、Cr添加によって固有抵抗を従来並み又はそれ以上に確保できるので、脆性に特に悪影響するSiを少し減量しても鉄損を確保することが可能となったので、脆化問題が無くなり、安定的に工業生産することが出来ることである。第三に、高Cr系の電磁ステンレス鋼板などに良く使用されるTi,S,Nなどは、鉄損を著しく劣化させるので含有量を少なくすることである。第四に、Si,Al,Crの量バランスで鉄損と磁束密度の制御を行うことである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
C量を0.003%以下と限定する。理由は、これを超えるC量では磁気時効に問題があるためである。
【0011】
Cr量は、1〜%とする。Crは、単独では固有抵抗の増加代が小さいが、AlやSiとの交互作用によって固有抵抗を増大させて有効である。1%未満では、固有抵抗向上が小さいので、鉄損が不満である。また、%を超えると磁束密度の劣化が大きくなることと添加コストが嵩むので避ける。このため、Cr量は1%に制限する。
【0012】
Si量は1〜4%に限定する。Si量は多い方が、固有抵抗が増大して鉄損が減少する。1%未満では、固有抵抗が不足で磁気特性が劣化し、また、4%超では、鋼板の生産ラインでの破断等の脆性問題が生じるので避けなければならない。
【0013】
Al量を0.1〜4%に制限する。Alも固有抵抗を増加させて、鉄損を減少させるが、Al量が0.1%未満では、鉄損が不満であり、4%超では脆性問題が生じるので避ける。
【0014】
Mn量を1.5%以下とする。Mnも固有抵抗が増大して、鉄損が減少するが、1.5%を超えると添加コストの問題があるため避ける。
【0015】
Pは0.1%以下とする。Pも固有抵抗が増大して、鉄損が減少するし、製品剛性を改善するが、0.1%を超えるとスラブ割れなどの脆性問題が生じるので避ける。
【0016】
S量は0.002%以下とする。S量が0.002%を超えると、MnSやCu2 Sなどの硫化物が増え、製品での磁壁移動を阻害して磁気特性を劣化させるので避けなければならない。
【0017】
N量は0.003%以下に制限する。0.003%を超えると、ブリスターと称されるフクレ状の表面欠陥が生じるし、窒化物によって鉄損が劣化するためである。
【0018】
Ti量は0.006%以下とする。Tiは、窒化物、硫化物、酸化物、炭化物またはそれらの複合体を形成して磁気特性を劣化させる。その限界が0.006%である。
【0019】
Nb量は0.008%以下に制限する。Nbも、窒化物、硫化物、酸化物、炭化物またはそれらの複合体を形成して磁気特性を劣化させるが、その限界が0.008%である。
【0020】
これら、S,N,Ti,Nb量は、従来のCr添加系として知られている公知の成分量に比べて、かなり少ないが、この成分限界量を超えては、本願発明目的の優れた鉄損に到達することが出来ないので、特に注意して溶鋼を精製することが重要である。この極めて高純度な鋼のみが、Cr添加系の鉄損特性を、従来の無方向性電磁鋼板にないレベルにまで改善するのである。
【0021】
Si,Al,Cr3者の量バランスは、7%≦2Si+2Al+Cr≦17%を満足しなければならない。2Si+2Al+Crが7%未満では鉄損が不満で、17%超では磁束密度が満足されない。なお、Si量とAl量に係数の2が掛かっているのは、Cr量の2倍程度が磁性に効果があるとの意味である。
【0023】
熱延のスラブ加熱は特に制限しないが、微細析出物を防止する目的で低温が良く、950〜1200℃が好ましく、次いで、通常の熱間圧延を行うが、熱延板の厚みは、通常の0.8〜3.0mmで良い。
【0024】
次いで、熱延板の焼鈍を行う。熱延板の焼鈍は、製品での集合組織を改善して磁束密度を向上させるために実施する。連続焼鈍でもバッチ焼鈍でも可能である。焼鈍温度は、高い方が磁束密度の面から好ましいが、鉄損にはさほど効かない。連続焼鈍の場合は、通常の800〜1200℃であって、バッチ焼鈍では、通常の650〜1000℃が好ましい。
【0025】
次いで、酸洗コイルを冷延する。冷延は、通常のレバースまたはタンデムで行われるが、ゼンジマーミルなどのレバースのほうが、知られているように高磁束密度が得られるので好ましい。板厚は、従来の0.2〜0.65mmが好ましい。
【0026】
冷延後は、脱脂して、通常の連続焼鈍に供される。焼鈍の温度は、800℃以上の高温が好ましく、特に粒径を100〜200μmに制御する必要がある。100μm未満では、鉄損が満足されない。また、200μm超では、磁束密度が劣化して不可である。結晶はフェライト組織である必要があり、変態組織では鉄損が劣化する。温度条件としては、当然、成分や時間によって変動するが、例えば均熱20秒では850−1150℃の温度範囲である。また、この焼鈍で鋼板の表面酸化による高磁場鉄損の劣化を防止するため、特開昭56−16623号公報にあるように水素+窒素混合の還元性雰囲気が好ましい。この焼鈍の後は、通常、有機質と無機質との混合、全有機または無機質の絶縁被膜を塗布、焼付けする。
【0027】
なお、従来のように冷延と焼鈍を数回繰り返しで製造することも可能ではあるが、コスト面では不利である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
各種成分に調整した鋼塊をラボ真空溶解で鋳造し、加熱温度を1000℃として、熱延を行い、1.8mm厚の熱延板を得た。次いで、1000℃で30秒の窒素中焼鈍を行ってから、一部のサンプルで鋼板の繰返し曲げ試験を実施した。繰返し曲げ試験は、半径5mmの円弧の繰返し90°巻き付けて破断が生じる曲げ回数を記録した。従来、1回の曲げで破断が発生すれば、経験的に生産ラインの圧延などで破断などの生産障害が起きることが知られている。次いで、酸洗、タンデムで冷延して0.50mmとしてから、1050℃×5−60秒の焼鈍を行って、全ての平均結晶粒径を150〜160μmに揃えて、有機質(エポキシ樹脂)と無機質(水酸化マグネシュウムとクロム酸)混合被膜1g/mを300℃で焼き付けてから、100mm角SSTで磁気特性を測定し、L、C平均化した。結果を表1に示す。なお、成分組成は、製品での絶縁皮膜除去した鋼板の分析値である。
【0029】
【表1】
Figure 0004068731
【0030】
実験No.1〜16にSi,Al,Cr量の磁性への効果を示した。本発明の成分、並びに2Si+2Al+Cr量が下限を切れば、鉄損W15/50 が不満で2.4w/kgを超え、また、上記の値が上限を外れると磁束密度が1.57T未満に劣化することが分かる。 なお、実験No.5に示すように、Si−Al系では、SiとAl量を多くすれば鉄損が改善されるが、繰返し曲げ回数が少なく、常に脆化の問題があることが分かる。実験No.17〜29については、不純物の影響を調査したもので、S,N,Ti,Nb量が、発明範囲を外れると鉄損が大きく劣化することが分かる。実験No.30,31,34,35は、2Si+2Al+Cr量を変化させた時の磁性について調査したもので、2Si+2Al+Crが7〜17%の範囲のもののみ、優れた鉄損と磁束密度が同時に得られることが分かる。
【0031】
[実施例2]
1.84%Si、2.13%Al、1.64%Cr、0.0019%C、0.19%Mn、0.03%P、0.0006%S、0.0012%N、0.001%Ti、0.002%Nb、0.0007%V、0.0001%B、0.5%Cu、0.05%Ni、0.03%Sn、0.01%Mo、2Si+2Al+Cr=13.26であるAスラブと1.38%Si、1.48%Al、1.89%Cr、0.0022%C、0.41%Mn、0.01%P、0.0014%S、0.0007%N、0.003%Ti、0.001%Nb、0.0026%V、0.0002%B、0.02%Cu、0.03%Ni、0.001%Sn、0.001%Mo、2Si+2Al+Cr=10.37であるBスラブを鋳造し、1000℃で加熱した熱延し、1.7mm厚の熱延板を得た。これを、900℃×30秒均熱してから、酸洗後、冷延して、0.35mm厚とした。次いで、脱脂してから、温度条件を表2のように変更した均熱40秒の水素中焼鈍を実施した。次いで、クロム酸とエポキシ樹脂混合被膜を片面当たり2g/m2 焼き付けして、表2を得た。磁性は、エプスタン装置でJIS C2550に準じて測定した。
【0032】
【表2】
Figure 0004068731
【0033】
表2に示すように、製品の結晶粒径が本発明範囲で、優れた鉄損と磁束密度が得られた。
【0034】
[実施例3]
従来例の不純物が多い場合と本発明の高純度鋼の製品板厚毎の到達鉄損のレベル差を明らかにする目的で、実施例1の本発明例No.9、17、21、24、27と比較例No.18、22、25、28の熱延焼鈍板を0.2〜0.65mmに冷延し、1050℃×5−100秒の焼鈍を行って、全ての平均結晶粒径を120〜130μmに揃えて、有機質(エポキシ樹脂)と無機質(水酸化マグネシュウムとクロム酸)混合被膜被膜2g/m2 を350℃で焼き付けてから、100mm角SSTで鉄損特性を測定し、L、C平均化した。結果を図1に示す。
従来の比較例に比べて、成分組成を厳密に制御した本発明例の鉄損が優れていることが分かる。なお、磁束密度B50は、全て1.6T以上であった。本発明例は、数式で表すと、板厚をt(mm)として、以下の形となる。
15/50 (w/kg) ≦ 1.333t+1.734
【0035】
【発明の効果】
以上の如く、脆性問題をCr添加によって解決した、優れた鉄損と磁束密度を有するSi−Al−Cr系の無方向性電磁鋼板を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】板厚と鉄損との関係を示す図面である。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C ≦0.003%、 Cr:1〜%、 Si:1〜4%、
    Al:0.1〜4%、 Mn≦1.5%、 P ≦0.1%、
    S ≦0.002%、 N ≦0.003%、 Ti≦0.006%、
    Nb≦0.008%
    を含有し、かつ7%≦2Si+2Al+Cr≦17%を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、フェライト平均結晶粒径が100〜200μmで、0.5mm厚では鉄損W15/50 ≦2.4w/kgであることを特徴とする高級無方向性電磁鋼板。
  2. 質量%で、
    C ≦0.003%、 Cr:1〜%、 Si:1〜4%、
    Al:0.1〜4%、 Mn≦1.5%、 P ≦0.1%、
    S ≦0.002%、 N ≦0.003%、 Ti≦0.006%、
    Nb≦0.008%
    を含有し、かつ7%≦2Si+2Al+Cr≦17%を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる熱延板を焼鈍して、冷延し、次いで連続焼鈍を行って、フェライト平均結晶粒径を100〜200μmとして、0.5mm厚では鉄損W15/50 ≦2.4w/kgであることを特徴とする高級無方向性電磁鋼板の製造方法。
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