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JP4068928B2 - セクタ型質量分析計 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、セクタ型質量分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−236109号公報
近年、燃料電池の開発に伴い、この燃料電池に燃料ガスとしての水素を供給する改質器、例えば、メタノール改質器、ガソリン改質器、メタン改質器などの開発が進められている。そして、このような改質器で生成されるガス中の水素濃度の測定にセクタ型質量分析計が用いることが試みられている。
【0003】
図2は、前記セクタ型質量分析計の測定原理を概略的に示すもので、高真空に保たれた分析部に導入されたサンプルガス分子は、電子衝撃によって一部がイオン化され、セクタ型磁場21に導かれる。水素イオンのように電荷を持った粒子は、セクタ型磁場21内を移動するとローレンツ力を受ける。このローレンツ力は、各イオンの質量と電荷量に依存するため、セクタ型磁場21を飛行する荷電粒子の進行方向はイオン種によって異なる。言い換えれば、イオンの出射方向がイオンの質量および電荷量に応じて振り分けられることになる。そこで、質量数2のイオンの出射位置にスリット22を設け、このスリット22の後段にイオンコレクタを設けることにより、水素分子イオンだけを選択的に検出することができ、前記イオンコレクタによってパルスカウントすることにより、単位時間当たりの水素イオン数が分析値として得られ、分析部に導入されるガス流量とから、サンプルガス中の水素濃度が算出される。
【0004】
上述のように、セクタ型質量分析計は機構がシンプルであり、耐久性に優れており、低価格であるとともに、例えば水素やヘリウムなどのように質量数が比較的小さい元素の測定に好適であるところから、近年、ガス中の水素の濃度測定に用いられるようになっている。
【0005】
図3は、前記セクタ型質量分析計を用いた水素濃度測定装置の構成を概略的に示すもので、この図において、31は改質器(例えばメタノール改質器)で、その下流側のガス流路32に水素ガスを主として含むガスが流れるが、このガス流路32にはフィルタ33および吸引ポンプ34が介装され、吸引ポンプ34の下流側の流路32の点35に、流量調整用のキャピラリ36を備えたガス導入路37が接続され、キャピラリ36の下流側はセクタ型質量分析計38に接続されている。なお、ガス流路32の接続点35の下流側は、図示していない燃料電池に接続されている。
【0006】
上記構成の水素濃度測定装置においては、キャピラリ36を挟んで一定の差圧状態で、このキャピラリ36を通してサンプルガスが微量流れてセクタ型質量分析計38に送られ、水素濃度の定量分析が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記セクタ型質量分析計を用いた水素濃度測定装置においては、セクタ型質量分析計38によって検出される水素濃度は、改質器31において生成される水素量に応じて変動するが、セクタ型質量分析計38内の真空度、水素のイオン化効率の変動、ガス導入路37における詰まり、ガス導入路37およびセクタ型質量分析計38全体の雰囲気温度の変化などの各種の要因(以下、バックグラウンド要因という)に基づく感度の変動によっても変動する。
【0008】
しかしながら、従来のセクタ型質量分析計においては、水素の濃度のみを検出する構造であったため、水素の濃度を連続的に検出することはできても、その水素濃度が、改質器31における水素生成量の増減に起因するものであるか、前記バックグラウンド要因に基づく感度変化に起因するものであるかの判別が困難であった。
【0009】
ところで、前記改質器31から出力されるガスには、水素のみならず、窒素や酸素などのベースガスが含まれており、このベースガスの濃度は常にほぼ一定である。つまり、このようなベースガスの濃度をモニターすることにより、セクタ型質量分析計の感度変化を検出することができる。
【0010】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、感度変化の補正を巧みに行うことにより、所望の測定対象成分の濃度を精度よく測定することのできるセクタ型質量分析計を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明のセクタ型質量分析計は、生成される量に応じて変動する濃度の測定対象ガス成分及び常にほぼ一定濃度のベースガス成分が含まれているサンプルガスで、流量調整手段を有するサンプルガス導入路の下流端から分岐されている二つの流路のうち一方の流路に流れる大半のガスより分岐されて他方の流路に流れるガスの分子をイオン化するイオン化部と、そのイオン化されたガス分子に対して所定の磁力を付与することにより前記測定対象ガス成分分子及び前記ベースガス成分分子をそれぞれのイオン質量及び電荷量に応じて規定される方向に振り分けるセクタ型磁場と、このセクタ型磁場の後段に設けられて前記測定対象ガス成分の分子イオン及び前記ベースガス成分の分子イオンをそれぞれ検出する二つのイオン検出器と、これら二つのイオン検出器により検出された各分子イオンに基づいてサンプルガス中の測定対象ガス成分及びベースガス成分の濃度を算出する演算制御部とを備え、かつ、算出されたベースガス成分の濃度が所定の範囲を超えて変動しているか否かを判断し、所定の範囲を超えて変動していると判断した場合、前記サンプルガスの生成量の変動以外の要因が生じていると判断して、ベースガス成分の濃度の変動分に基づいて測定対象ガス成分の濃度補正を行う手段を有していることを特徴としている。
【0012】
【0013】
上記構成のセクタ型質量分析計においては、例えば、サンプルガス中の水素濃度を測定する場合、前記サンプルガス中にベースガスとして含まれ、濃度変化がほとんどない窒素を、感度を代表しうる参照成分として前記水素の濃度と同時に測定し、前記窒素濃度が所定の範囲内において変動している場合、バックグラウンド要因が生じていないと判断して、前記水素濃度をそのまま採用する。そして、前記窒素濃度が所定の範囲を超えて変動している場合には、なんらかのバックグラウンド要因が生じていると判断し、前記窒素濃度の変動分に基づいて前記水素濃度を補正する。これにより、セクタ型質量分析計の感度変化の補正を巧みに行うことができ、測定対象成分である水素の濃度を精度よく測定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明のセクタ型質量分析計の構成の一例を概略的に示すもので、この図において、1はサンプルガス導入路で、その一端側は、例えばメタノールを主原料として水素を生成するメタノール改質器(図示していない)に接続されている。したがって、このサンプルガス導入路1には、窒素や酸素などのベースガスに水素が混入したガス(サンプルガス)Sが流れる。このサンプルガス導入路1には、流量調整手段用としてのキャピラリ2が設けられ、その下流端は二つの流路3,4に分岐している。一方の流路3には高真空用ポンプとしてのターボ分子ポンプ5と荒引き用ポンプとしてのロータリポンプ6がこの順で直列に介装され、ロータリポンプ6の下流側は、例えば燃料電池(図示していない)に接続されている。また、他方の流路4の下流側にはセクタ型質量分析計の分析部7が設けられている。
【0015】
上記構成においては、ターボ分子ポンプ5およびロータリポンプ6の作用によりサンプルガス導入路1を流れるサンプルガスSの大半は、燃料電池側の流路3にオーバーフローされ、分析部7側の流路4にはごく僅かしか流れない。
【0016】
そして、前記分析部7は、次のように構成されている。すなわち、8はフィラメントよりなるイオン化部で、流路4を経て導入されるサンプルガスSに含まれるガスの分子を電子衝撃によってイオン化するもので、この実施の形態においては、測定対象ガス成分である水素や、ベースガス成分としての窒素や酸素がイオン化される。9は前記イオン化された各ガス分子に一定の電荷を付与する電極で、10a,10bはスリット、11は飛行空間である。12は飛行空間11の下流側にスリット10cを介して設けられるセクタ型磁場で、その後段には、イオン検出部13が設けられている。
【0017】
前記イオン検出部13は、この実施の形態においては、二つのイオン検出器としてのイオンコレクタ13a,13bからなり、一方のイオンコレクタ13aは測定対象ガス成分である水素の検出用であり、他方のイオンコレクタ13aはベースガス成分である窒素の検出用であり、互いに並列かつ独立して設けられている。この場合、イオンの出射方向がイオンの質量および電荷量に応じて振り分けられるので、質量数2の水素分子イオン15の出射位置および質量数14の窒素分子イオン16の出射位置にそれぞれスリット14a,14bを設け、これらのスリット14a,14bの後段にそれぞれイオンコレクタ13a,13bを互いに並列かつ独立して設けることにより、水素分子イオン15および窒素分子イオン16をそれぞれ選択的に検出することができ、イオンコレクタ13a,13bによってパルスカウントすることにより、単位時間当たりの水素イオン数および窒素イオン数が分析値として得られ、分析部に導入されるサンプルガス流量とから、サンプルガスS中の水素濃度および窒素濃度が算出される。これらの演算は、例えば、セクタ型質量分析計全体を制御する演算制御部(図示していない)において行われる。
【0018】
上記構成のセクタ型質量分析計においては、サンプルガスS中の測定対象ガス成分である水素濃度を測定するに際して、水素濃度のみならず、サンプルガスS中にベースガス成分として含まれる窒素の濃度が測定される。そして、窒素濃度が所定の範囲内において変動している場合、分析部7内の真空度、水素のイオン化効率の変動、ガス導入路2における詰まり、ガス導入路2および分析部7全体の雰囲気温度の変化などの各種の要因、すなわち、バックグラウンド要因が生じていないと判断して、前記水素濃度をそのまま採用する。そして、前記窒素濃度が所定の範囲を超えて変動している場合には、なんらかのバックグラウンド要因が生じていると判断し、前記窒素濃度の変動分に基づいて前記水素濃度を補正する。これにより、セクタ型質量分析計の感度変化の補正を巧みに行うことができ、測定対象成分である水素の濃度を精度よく測定することができる。
【0019】
上述の実施の形態においては、ベースガス成分として窒素の濃度を測定していたが、酸素濃度を測定してもよい。すなわち、サンプルガスS中にほぼ一定濃度で含まれるベースガスを参照成分として用いることができる。また、測定対象ガス成分は、水素に限られるものではなく、ヘリウムなど他の軽元素であってもよい。さらに、上記実施の形態では、サンプルガス導入路1はメタノール改質器に接続されていたが、この発明は燃料電池システムに限られるものではなく、広く他のシステムにも適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のセクタ型質量分析計によれば、感度変化の補正を巧みに行うことができ、所望の測定対象ガス成分の濃度を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のセクタ型質量分析計の構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】 セクタ型質量分析計の測定原理を説明するための図である。
【図3】 従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
2…キャピラリ(流量調整手段)、3,4…分岐流路、8…イオン化部、12…セクタ型磁場、13a…測定対象ガス成分用イオン検出器、13b…ベースガス成分用イオン検出器。

Claims (1)

  1. 生成される量に応じて変動する濃度の測定対象ガス成分及び常にほぼ一定濃度のベースガス成分が含まれているサンプルガスで、流量調整手段を有するサンプルガス導入路の下流端から分岐されている二つの流路のうち一方の流路に流れる大半のガスより分岐されて他方の流路に流れるガスの分子をイオン化するイオン化部と、そのイオン化されたガス分子に対して所定の磁力を付与することにより前記測定対象ガス成分分子及び前記ベースガス成分分子をそれぞれのイオン質量及び電荷量に応じて規定される方向に振り分けるセクタ型磁場と、このセクタ型磁場の後段に設けられて前記測定対象ガス成分の分子イオン及び前記ベースガス成分の分子イオンをそれぞれ検出する二つのイオン検出器と、これら二つのイオン検出器により検出された各分子イオンに基づいてサンプルガス中の測定対象ガス成分及びベースガス成分の濃度を算出する演算制御部とを備え、かつ、算出されたベースガス成分の濃度が所定の範囲を超えて変動しているか否かを判断し、所定の範囲を超えて変動していると判断した場合、前記サンプルガスの生成量の変動以外の要因が生じていると判断して、ベースガス成分の濃度の変動分に基づいて測定対象ガス成分の濃度補正を行う手段を有していることを特徴とするセクタ型質量分析計。
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