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JP4078166B2 - 質量分析計を用いたガス分析装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、質量分析計を用いたガス分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−236109号公報
ガス分析計の一つに、赤外線吸収を利用した非分散型赤外線ガス分析計(NDIR)がある。この非分散型赤外線ガス分析計は、構造が簡単で堅牢であり、高い選択性や連続測定可能などその優れた性能により、ガス分析の代表として広く用いられている。しかしながら、この非分散型赤外線ガス分析計は、赤外線領域に吸収特性を有するガスしか測定することができず、例えば、赤外吸収性の無い水素(H)、ヘリウム(He)や、赤外吸収性を有していても吸光度の小さい硫化水素(HS)などのガスの定量分析を行うことは困難であった。
【0003】
これに対して、質量分析法に則った質量分析計(MS)がある。この質量分析計は、原子、分子などを電子衝撃や火花放電などの方法でイオン化し、生成したイオンを加速してイオンビームをつくり、電場および/または磁場に送入すると、イオンの質量によって異なった力を受けることを利用して各イオンを分別して測定するもので、前記非分散型赤外線ガス分析計で測定が困難であるガス種の分析に用いられるようになってきており、特に、セクタ型質量分析計は、連続測定が可能であり、リアルタイムに検出出力を得ることができるので、排ガス分析における単成分の連続測定に応用されるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記セクタ型質量分析計などの質量分析計は、定性性に優れるものの、定量性の面では必ずしも十分ではなく、また、高感度ではあるものの安定性にやや欠けるといった欠点がある。そのため、定性性および安定性に優れたガスクロマトグラフ装置(GC)と組み合わせて所謂GC−MSとした分析装置もあるが、ガスクロマトグラフ装置は高価であり、また、大がかりであるため、GC−MSも自ずと高価になり、大型なものとなってしまう。
【0005】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、安価で構成が簡単でありながらも、定量性に優れ超低濃度の成分をも高感度、高精度で測定することのできる、質量分析計を用いたガス分析装置(以下、単にガス分析装置という)を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の請求項1に係るガス分析装置は、ガス分子をイオン化するイオン化部、そのイオン化ガス分子を加速し飛行させるイオン加速部、電場空間、前記イオン化ガス分子にイオン質量に応じた力を与えて各イオンに分別するセクタ型磁場及びこのセクタ型磁場の後段に設けられて測定対象ガスイオンのみを通過させ検出するイオンコレクタを備えてなる質量分析計を用いたガス分析装置であって、前記質量分析計のイオン化部へのガス供給ラインの上流側と、ベースガスに測定対象ガスが混入された試料ガスの供給ライン及び前記試料ガス中のベースガスの一つのガスからなる比較ガスの供給ラインとの間に、前記試料ガスと比較ガスとを前記イオン化部に連続的かつ交互に一定周期で供給することによって流体変調を行うガス流路切換え装置が設けられており、このガス流路切換え装置の一定周期での流路切換えによって前記イオンコレクタから前記一定周期に応じて出力される前記試料ガス中の測定対象ガス濃度に比例した出力信号及び前記比較ガス中に残留する測定対象ガス濃度に比例した出力信号を装置全体の制御用コントロールユニットに入力してそれぞれ交流増幅し、かつ、それら交流増幅された両出力信号の大きさの差を求めて試料ガス中の測定対象ガスの濃度として測定するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
また、この発明の請求項2に係るガス分析装置は、ガス分子をイオン化するイオン化部、そのイオン化ガス分子を加速し飛行させるイオン加速部、電場空間、前記イオン化ガス分子にイオン質量に応じた力を与えて各イオンに分別するセクタ型磁場及びこのセクタ型磁場の後段に設けられて測定対象ガスイオンのみを通過させ検出するイオンコレクタを備えてなる質量分析計を用いたガス分析装置であって、同一機能を有する二つの質量分析計を互いに並列的に設け、これら二つの質量分析計の各イオン化部へのガス供給ラインの上流側と、ベースガスに測定対象ガスが混入された試料ガスの供給ライン及び前記試料ガス中のベースガスの一つのガスからなる比較ガスの供給ラインとの間に、一方の質量分析計のイオン化部に試料ガスが供給されているとき、他方の質量分析計のイオン化部に比較ガスが供給され、かつ、一方の質量分析計のイオン化部に比較ガスが供給されているとき、他方の質量分析計のイオン化部に試料ガスが供給されるように、二つの質量分析計の各イオン化部に対して試料ガスと比較ガスとを連続的かつ交互に一定周期で供給することによって流体変調を行うガス流路切換え装置が設けられており、このガス流路切換え装置の一定周期での流路切換えによって前記各イオンコレクタから前記一定周期に応じて出力される前記試料ガス中の測定対象ガス濃度に比例した出力信号及び前記比較ガス中に残留する測定対象ガス濃度に比例した出力信号を装置全体の制御用コントロールユニットに入力してそれぞれ交流増幅し、かつ、それら交流増幅された両出力信号の大きさの差を求めて試料ガス中の測定対象ガスの濃度として測定するように構成されていることを特徴としている。
【0008】
上記構成のガス分析装置においては、ガス流路切換え装置として、例えば、ロータリバルブを用い、これを介して、質量分析計のイオン化部に対して試料ガスと比較ガスとを連続的かつ交互に一定周期で供給することによって流体変調を行うだけでよいから、装置全体を複雑化することなく安価に構成できるとともに、従来の質量分析計におけるような直流でのイオン電流検出に比べて、飛躍的に感度が向上し定量性に優れ超低濃度の成分をも高感度、高精度で測定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1および図2は、この発明の請求項1に相当する一つの実施の形態におけるガス分析装置の構成の一例を概略的に示すもので、図1において、1は分析部としてのセクタ型質量分析計で、例えば試料ガス中の水素(測定対象ガスの一例)のみを測定するものである。このセクタ型質量分析計1は、高真空の容器2内に、イオン化部3、イオン加速部4および電場空間5を設けるとともに、この電場空間5の後段にセクタ型磁場6を設け、さらに、このセクタ型磁場6の後段に、イオンコレクタ7を設けてなるものである。なお、7aはスリットである。前記イオンコレクタ7で得られるイオン電流は、図示してないが、プリアンプ、メインアンプやAD変換器を経てガス分析装置全体を制御するコントロールユニット(例えばコンピュータ)に入力され、適宜処理されるように構成されている。
【0010】
そして、図1において、8はセクタ型質量分析計1のイオン化部3に対してガスを供給するラインで、流量調整手段としてのキャピラリ9が介装されるとともに、このキャピラリ9の上流側(セクタ型質量分析計1とは反対側)には、ガス流路切換え装置としてのロータリバルブ10を備えている。このロータリバルブ10は、例えば円周を4等配する位置に開口10a,10b,10c,10dが設けてあり、一組の互いに対向する開口10a,10cにはそれぞれ試料ガスSの供給ライン11、比較ガスRの供給ライン12が接続されているとともに、他の対向する開口10b,10dにはそれぞれセクタ型質量分析計1へのガス供給ライン8、排出ライン13が接続されている。そして、ロータリバルブ10の内部には、ロータ(仕切り板)10eが設けられており、このロータ10eはモータ(図示していない)によって、例えば図中の矢印A方向に連続的に一定周期で回転して、図中の実線および仮想線で示す位置に切り替わるようにしてある。したがって、ロータリバルブ10を作動することにより、試料ガスSと比較ガスRとが連続的かつ交互に一定周期で、ガス供給ライン8を介してセクタ型質量分析計1のイオン化部3に供給される。なお、前記ロータリバルブ10は、前記コントロールユニットによって制御される。
【0011】
そして、前記試料ガス供給ライン11の上流側は、例えばメタノールを主原料として水素を生成するメタノール改質器(図示していない)に接続されている。したがって、この試料ガス供給ライン11には、窒素や酸素などのベースガスに水素が混入したガスが試料ガスSとして流れる。また、前記比較ガス供給ライン12の上流側は、窒素ボンベに接続され、したがって、この比較ガス供給ライン12には、100%の窒素が比較ガスRとして流れる。
【0012】
上記構成のガス分析装置の作動について、図2をも参照しながら説明する。今、ロータリバルブ10のロータ10eが図1における実線で示す位置にあるものとする。この状態においては、試料ガス供給ライン11を流れる試料ガスSがロータリバルブ10を経てガス供給ライン8のキャピラリ9を通ってセクタ型質量分析計1のイオン化部3に供給される一方、比較ガス供給ライン12を流れる比較ガスRは、排出ライン13に流れる。
【0013】
前記イオン化部3に供給された試料ガスS中の水素、窒素、酸素などのガス分子はそれぞれイオン化され、イオン加速部4で適宜加速された後、電場空間5を飛行してセクタ型磁場6に至り、このセクタ型磁場6において適宜のローレンツ力を受けることにより、前記水素や窒素、酸素などのイオン化ガス分子は、適宜の半径を描いてイオンコレクタ7の方向に飛行するが、水素ガスイオンのみがスリット7aを通過し、イオンコレクタ7によって検出され、例えば図2において符号Pで示すように、試料ガスS中の水素の濃度に比例した出力信号が得られる。
【0014】
ついで、ロータリバルブ10が動作してそのロータ10eが図1における仮想線で示す位置にあるものとする。この状態においては、比較ガス供給ライン12を流れる比較ガスRがロータリバルブ10を経てガス供給ライン8のキャピラリ9を通ってセクタ型質量分析計1のイオン化部3に供給される一方、試料ガス供給ライン11を流れる試料ガスSは、排出ライン13に流れる。
【0015】
前記イオン化部3に供給された比較ガスRは、100%の窒素であるが、イオン化部3には、多少の試料ガスSが残留している。このため、窒素とともにわずかな水素、酸素などのガス分子がそれぞれイオン化され、イオン加速部4で適宜加速された後、電場空間5を飛行してセクタ型磁場6に至り、このセクタ型磁場6において適宜のローレンツ力を受けることにより、前記水素や窒素、酸素などのイオン化ガス分子は、適宜の半径を描いてイオンコレクタ7の方向に飛行するが、この場合、わずかな水素に基づく水素ガスイオンのみがスリット7aを通過し、イオンコレクタ7によって検出され、例えば図2において符号Pで示すように、イオン化部3に残留する水素の濃度に比例した出力信号が得られる。
【0016】
前記出力信号P,Pは、ロータリバルブ10を一定周期で一定方向に回転することにより、その周期に応じて順次交互に出力される。この場合、前記P,Pの大きさの差(a−b)を試料ガスS中の水素濃度として得ることができる。そして、これらの出力信号を交流増幅することによりゼロドリフトがなくなるので、精度の高い出力が得られる。したがって、上記ガス分析装置によれば、従来の質量分析計におけるような直流でのイオン電流検出に比べて、飛躍的に測定感度が向上するので、定量性に優れ、測定対象成分である水素が超低濃度であっても、これを高感度、高精度で測定することができる。
【0017】
図3は、この発明の請求項2に相当する他の実施の形態を示すもので、この実施の形態においては二つの同一機能を有する質量分析計、すなわち、水素のみを検出する機能を備えた二つの質量分析計1A,1Bを互いに並列的に設け、それらの各イオン化部3,3にそれぞれキャピラリ9,9を備えたガス供給ライン8,8を接続する。この場合、一方の質量分析計1Aに対するガス供給ライン8は、前記図1に示したものと同様に、ロータリバルブ10の開口10bに接続し、他方の質量分析計1Bに対するガス供給ライン8は、前記開口10bに対向する開口10dに接続する。このように構成してあるガス分析装置においては、ロータリバルブ10の作用により、一方の質量分析計1Aに試料ガスSが供給されているとき、他方の質量分析計1Bに比較ガスRが供給され、逆に、一方の質量分析計1Aに比較ガスRが供給されているとき、他方の質量分析計1Bに質量分析計が供給され、ロータリバルブ10の流路切換えにより、質量分析計1A,1Bに対して試料ガスSと比較ガスRとが連続的に一定周期で交互に供給される。
【0018】
前記図3に示したガス分析装置においても、前記図1に示したガス分析装置と同様の効果が得られるとともに、この場合、信号の大きさは、図1に示したガス分析装置の約2倍になる。つまり、感度がより向上し、より定量性に優れ、測定対象成分である水素が超低濃度であっても、これをより高感度、より高精度で測定することができる。
【0019】
なお、上述の実施の形態においては、ロータリバルブ10によってガス流路切換え装置を構成していたが、これに代えて、三方電磁弁など他の切換え弁を複数個用いるなどしてもよい。また、測定対象成分としては水素に限られるものではないことは言うまでもない。
【0020】
そして、測定対象成分の分析部としては、セクタ型質量分析計に限られるものではなく、四重極子型質量分析計であってもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のガス分析装置は、ガス流路切換え装置として、例えば、ロータリバルブを用い、これを介して、質量分析計のイオン化部に対して試料ガスと比較ガスとを交互に供給することにより流体変調を行うだけでよいから、装置全体を複雑化することない。そして、前記ガス流路切換え装置は安価であり、高価なガスクロマトグラフ装置を用いたりしてないので、装置全体を安価に構成することができる。そして、これらの出力を交流増幅することによりゼロドリフトがなくなるので、精度の高い出力が得られる。
【0022】
したがって、この発明のガス分析装置によれば、従来の質量分析計におけるような直流でのイオン電流検出に比べて、飛躍的に測定感度が向上し、定量性に優れ、測定対象成分が超低濃度であっても、これを高感度、高精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のガス分析装置の構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】 前記ガス分析装置の作動を説明するための図である。
【図3】 この発明のガス分析装置の構成の他の例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1,1A,1B…質量分析計、3…イオン化部、4…イオン加速部、5…電場空間、6…セクタ型磁場、7…イオンコレクタ、8…ガス供給ライン、10…ロータリバルブ(流路切換え装置)、11…試料ガス供給ライン、12…比較ガス供給ライン、S…試料ガス、R…比較ガス。

Claims (2)

  1. ガス分子をイオン化するイオン化部、そのイオン化ガス分子を加速し飛行させるイオン加速部、電場空間、前記イオン化ガス分子にイオン質量に応じた力を与えて各イオンに分別するセクタ型磁場及びこのセクタ型磁場の後段に設けられて測定対象ガスイオンのみを通過させ検出するイオンコレクタを備えてなる質量分析計を用いたガス分析装置であって、前記質量分析計のイオン化部へのガス供給ラインの上流側と、ベースガスに測定対象ガスが混入された試料ガスの供給ライン及び前記試料ガス中のベースガスの一つのガスからなる比較ガスの供給ラインとの間に、前記試料ガスと比較ガスとを前記イオン化部に連続的かつ交互に一定周期で供給することによって流体変調を行うガス流路切換え装置が設けられており、このガス流路切換え装置の一定周期での流路切換えによって前記イオンコレクタから前記一定周期に応じて出力される前記試料ガス中の測定対象ガス濃度に比例した出力信号及び前記比較ガス中に残留する測定対象ガス濃度に比例した出力信号を装置全体の制御用コントロールユニットに入力してそれぞれ交流増幅し、かつ、それら交流増幅された両出力信号の大きさの差を求めて試料ガス中の測定対象ガスの濃度として測定するように構成されていることを特徴とする質量分析計を用いたガス分析装置。
  2. ガス分子をイオン化するイオン化部、そのイオン化ガス分子を加速し飛行させるイオン加速部、電場空間、前記イオン化ガス分子にイオン質量に応じた力を与えて各イオンに分別するセクタ型磁場及びこのセクタ型磁場の後段に設けられて測定対象ガスイオンのみを通過させ検出するイオンコレクタを備えてなる質量分析計を用いたガス分析装置であって、同一機能を有する二つの質量分析計を互いに並列的に設け、これら二つの質量分析計の各イオン化部へのガス供給ラインの上流側と、ベースガスに測定対象ガスが混入された試料ガスの供給ライン及び前記試料ガス中のベースガスの一つのガスからなる比較ガスの供給ラインとの間に、一方の質量分析計のイオン化部に試料ガスが供給されているとき、他方の質量分析計のイオン化部に比較ガスが供給され、かつ、一方の質量分析計のイオン化部に比較ガスが供給されているとき、他方の質量分析計のイオン化部に試料ガスが供給されるように、二つの質量分析計の各イオン化部に対して試料ガスと比較ガスとを連続的かつ交互に一定周期で供給することによって流体変調を行うガス流路切換え装置が設けられており、このガス流路切換え装置の一定周期での流路切換えによって前記各イオンコレクタから前記一定周期に応じて出力される前記試料ガス中の測定対象ガス濃度に比例した出力信号及び前記比較ガス中に残留する測定対象ガス濃度に比例した出力信号を装置全体の制御用コントロールユニットに入力してそれぞれ交流増幅し、かつ、それら交流増幅された両出力信号の大きさの差を求めて試料ガス中の測定対象ガスの濃度として測定するように構成されていることを特徴とする質量分析計を用いたガス分析装置。
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