JP4075987B2 - 引張試験用外径測定器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料の引張試験を行う引張試験方法に係り、特に高速引張りのもとでも真応力、真ひずみの自動測定を可能にする引張試験方法の実施に用いる外径測定器に関する。
【0002】
【従来の技術】
JIS Z2241(金属材料引張試験方法)、JIS K7113(プラスチックの引張試験方法)などで規定される標準的な引張試験方法においては、試験片に負荷した荷重を試験片の平行部の原断面積で徐することにより応力を求めるようにしているが、降伏以降の塑性領域では、試験片にくびれ(断面縮小)が生じるため、前記したように荷重を原断面積で除したのでは、真応力を表すことにならず、真の応力−ひずみの関係を得ることはできない。
そこで、例えば、特許文献1、2においては、引張試験機にセットした試験片の周りにレーザビーム等を利用した非接触式の外径測定器を配置し、引張試験中、この外径測定器を試験片の軸方向へ往復運動させながら試験片の外径を連続に測定することを行っており、この測定で得られる最小外径を用いることで、真応力が得られるようになる。
【0003】
ところで最近、例えば、車両製造の分野では、衝突解析に資する早い変形速度での材料特性が重要視されるようになってきており、これに応えるには、いわゆる高速引張り(10000mm/min以上)による特性把握が必要になる。しかしながら、上記した特許文献1、2に記載の引張試験は、何れも低速(500mm/min以下)で静的に引張るものであり、この方法を高速引張りに適用した場合には、平行部におけるくびれ箇所が予測できないこともあって、最小外径をリアルタイムに測定することはできず、真の応力−ひずみの相関を得ることは困難となる。なお、これら特許文献1、2に記載のものでは、ある程度くびれが生じたら、くびれ箇所を重点に外径測定器を往復運動させるようにしている(特許文献1の第2頁左下欄第18〜20行、特許文献2の段落[0010])が、高速引張りでは、このような方法も採用できない。
【0004】
一方、非特許文献1には、樹脂材料を対象に、平板状引張試験片の平行部に所定のピッチで線を描き、高速引張り試験中の線の変化をビデオテープレコーダにより観測することにより、真の応力−ひずみの相関を求めることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−103442号公報
【特許文献2】
特開平7−113732号公報
【非特許文献1】
ありもと ひであき(Hideaki Arimoto)外3名、「プラスチックリブのエネルギー吸収機構に関する研究(A study on Energy-Absorbing Mechanism of Plastic Ribs)」,アイベック’98のプロシーディング(Proceeding of IBEC’98),米国,SAE イナターナショナル(international),1998.CE−4(第4〜6図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1に記載の方法によれば、伸びや断面積変化を、ビデオ画像を1コマごとに画像処理して求める必要があるため、試験後のデータ解析となり、試験中に真応力、真ひずみを自動測定することは不可能で、材料特性の把握に時間がかかる。
また、樹脂材料の高速引張り試験においては、くびれ発生によりひずみ速度が急増するので、ほぼ一定のひずみ速度となるように引張試験機側のアクチュエータをフィードバック制御する必要があるが、この非特許文献1に記載の方法によれば、試験後のデータ解析となるため、前記したフィードバック制御は不可能で、特に樹脂材料に関しては、得られる特性値の信頼性が低いものとなる。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、高速引張りにおいても真応力、真ひずみを高精度に自動測定できるようにし、もって試験時間の短縮と得られる特性値の信頼性の向上とに大きく寄与する引張試験用外径測定器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る外径測定器を用いて行う引張試験方法は、平行部の一部に円弧状乃至U字状切欠を設けた棒状試験片を引張試験機にセットし、引張試験中、前記試験片の切欠底の外径を連続測定することを特徴とする。
このように行う引張試験においては、棒状試験片の切欠底に集中的にひずみが生じるので、高速引張りを行う場合でも、この切欠底に的をしぼってリアルタイムに外径を測定することができる。また、この外径測定の結果からひずみ速度も把握できるので、ひずみ速度をほぼ一定にするためのフィーバック制御も可能になる。
本試験方法において、上記切欠底の外径を測定する方法は任意であるが、試験片の切欠底に糸状体望ましくは絹糸を巻回し、該糸状体の長さ変化から前記切欠底の外径変化を測定する方法を採用することができる。この場合は、試験片の円形断面が非円形の状態に変形しても糸状体の長さ変化から高精度に断面積変化を把握することができる。
本試験方法で対象とする試験片材料は、金属材料であっても、樹脂材料であってもよいが、上記したようにひずみ速度をほぼ一定にすることができることから、ひずみ速度の影響を大きく受ける樹脂材料を対象とした場合に、特に有用となる。
【0008】
上記引張試験方法に用いる本発明に係る外径測定器は、引張試験機にセットした切欠付き棒状試験片に、前記切欠を間にして該試験片に固定される上・下クランプ手段の間に軸方向へフローティング可能に脱着される測定器本体と、前記試験片の切欠底に巻回される、絹糸または絹糸と同等の伸び特性および柔軟性を有する糸状体と、前記測定器本体に設けられ、前記試験片の切欠底に巻回された絹糸または糸状体の長さ変化を検出する変位検出手段とを備えていることを特徴とする。
このように構成した外径測定器においては、試験片の切欠底の断面縮小に応じて絹糸または糸状体の長さが延びるので、この絹糸または糸状体の延びを変位検出手段により測定することで、試験片の切欠底の平均直径すなわち断面積を正確に把握することができる。また、測定器本体が切欠を間にする上・下クランプ手段によってフローティング可能に試験片に脱着されるので、試験片に伸びが生じても外径測定位置を常に切欠底に保つことができ、試験片の切欠底の外径測定をより一層正確に行うことができる。
本外径測定装置において、上記測定器本体は、試験片の挿通孔を上・下板部に有する枠形状をなし、前記試験片に脱着可能に固定される上・下クランプ手段の間に弾性体を介して挟持される構成とすることができ、該弾性体の弾発力を利用して測定器本体を簡単にフローティングさせることができる。
また、上記変位検出手段は、測定器本体に一端が固定されかつ試験片の切欠底に巻回された絹糸または糸状体の他端を係着する可動体と、該可動体を、常時は前記絹糸または糸状体に張力を付与する方向へ付勢する付勢手段と、前記可動体の変位を測定する変位センサとからなる構成とすることができる。この場合、前記変位センサとしては、比較的小型で測定精度に優れている渦電流変位センサを用いるのが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る引張試験方法の一つの実施形態を示したものである。同図において、1は、プレス機械の固定テーブル、2は、プレス機械の可動テーブルで、両テーブル1、2には、後述の試験片10の両端部を支持するチャック3、4が配設されている。可動テーブル2は、アクチュエータ(図示略)および早送り手段(図示略)により昇降駆動されるようになっており、引張試験に際しては、アクチュエータの駆動で可動テーブル2が上昇することにより、試験片10に引張荷重が加えられ、この荷重は、固定テーブル1側のチャック3に付設した荷重測定器(ロードセンサ)5により検出されるようになっている。
【0010】
本実施の形態で用いる試験片10は、図2によく示されるように、全体が棒状をなしており、その長手方向の中間部位には、円弧状の切欠11が形成されている。この試験片10は、一例として、全長が150mm、棒状部(平行部)の直径Dが10mm、切欠11の底の径dが3mm、切欠11の底面のアールRが7mmとなるようにその寸法形状が設定されている。なお、前記切欠11は、U字状としてもよい。
【0011】
引張試験に際しては、両チャック3、4を介して引張試験機にセットした試験片10に対し、本発明に係る外径測定器20が装着される。この外径測定器20は、引張試験中、試験片10の切欠11の底(以下、これを切欠底という)の直径を連続測定するもので、引張試験機にセットした試験片10にその軸方向へフローティング可能に脱着される測定器本体21と、試験片10の切欠底に巻回される絹糸(糸状体)22とこの絹糸22の長さ変化を検出する変位検出手段23とから概略構成されている。
【0012】
測定器本体21は、四角枠状をなし、その相対向する2つの壁部24に試験片10の挿通を許容する挿通孔25を設けている。測定器本体21は、その挿通孔25に試験片10を挿通させた状態で横向きに試験片10にセットされ、試験片10に脱着可能に固定した上・下クランプ手段26と27との間に弾性体28を介して挟持されるようになっている。
より詳しくは、上・下クランプ手段26と27のそれぞれは、図3および4にも示されるように、試験片10に嵌合可能な断面半円形の嵌合部29aを有する一対のL字板29と、各一対のL字板29を一体化する一対のボルト・ナット30とからなっている。各一対のL字板29は、それぞれの嵌合部29aを試験片10に沿わせた状態で相互に合わされ、この状態で前記一対のボルト・ナット30を用いて試験片10に締付け固定される。しかして、上・下クランプ手段26と27は、切欠11を間にして、測定器本体21の対向壁部24間の外側寸法よりわずか大きな間隔で試験片10に固定されるようになっている。これにより各弾性体28は、適当に圧縮する状態で測定器本体21と上・下クランプ手段26と27との間に介装され、この結果、測定器本体21は、試験片10の軸方向へフローティング可能となる。なお、前記弾性体28は、その種類を特に問うものではないが、粘弾性を有するスポンジを用いるのが望ましく、この場合は、測定器本体21の対向壁部24の外面に接着しておくようにする。
【0013】
上記変位検出手段23は、測定器本体21に一端が固定されかつ試験片10の切欠底に巻回された絹糸22の他端を係着する可動体31と、この可動体31を、常時は絹糸22に張力を付与する方向へ付勢する皿ばね(付勢手段)32と、前記可動体31の変位を測定する渦電流変位センサ33とからなっている。渦電流変位センサ33は、ここでは、下クランプ手段27を構成する片側のL字板29と一体をなすブラケット34のフォーク状の起立片34aに、ボルト35を用いて前記可動体31に対向するように位置決め固定されている。
この渦電流変位センサ33には、信号線36を介して変位検出回路37が接続されている。変位検出回路37は、渦電流変位センサ33と可動体31との間に発生する高周波磁界の変化から両者の間隔を検出する機能を有しており、その検出信号は、演算装置38に送出されるようになっている。演算装置38は、変位検出回路37と前記荷重測定器5とからの信号に基づいて応力、ひずみを演算し、応力−ひずみの相関を求める機能を有している。
【0014】
以下、上記試験片10および外径測定器20を用いて行う引張試験方法について説明する。
引張試験に際しては、先ず、引張試験機の可動テーブル2を上昇させた状態で、固定テーブル1のチャック3に試験片10の一端部を支持させ、次に、この試験片10の、切欠11より所定距離だけ下方へ離れた部位に、下クランプ手段27を構成する一対のL字板29をボルト・ナット30を用いて締付け固定する。この時、前記一対のL字板29の一方と一体のブラケット34には、渦電流変位センサ23が取付けられており、下クランプ手段27を試験片10に固定すると同時に、前記渦電流変位センサ23が試験片10の切欠11に対向する側方位置に位置決めされる。
【0015】
その後、測定器本体21の挿通孔25に試験片10を通しながら該測定器本体21を上方から前記下クランプ手段27上に着座させ、続いて、上クランプ手段26を構成する一対のL字板29をボルト・ナット30を用いて試験片10に締付け固定する。この時、上クランプ手段26に適宜の載荷重を加えて上・下弾性体28を所定量圧縮させるようにし、これにより測定器本体21は上・下クランプ手段26と27との間にフローティング可能に挟持される。
【0016】
次に、予め測定器本体21に一端が係着されている絹糸22を試験片10の切欠11に巻回し、その他端を可動体31の一端に係着し、この係着完了により引張試験機の可動テーブル2を図示を略す早送り手段の作動により高速で下降させ、そのチャック4に試験片10の他端部を支持させる。そして、この準備完了により引張試験機のアクチュエータの作動により可動テーブル2を一定速度で上昇させる。すると、試験片10は、弾性変形した後、降伏して塑性変形を起こし、この塑性変形により切欠底が次第に断面縮小(縮径)する。すると、この切欠底の断面縮小に応じて絹糸22の長さが次第に延び、これに応じて可動体31が皿ばね32の付勢力で渦電流変位センサ33側へ接近する。渦電流変位センサ33の信号は前記したように変位検出回路37を経て演算装置38へ送出されるようになっており、演算装置38は、変位検出回路37からの信号に基づいて試験片10の切欠底の平均直径すなわち断面積を演算し、さらに前記荷重検出器5で得られた荷重データを前記断面積で除することで真応力を演算する。一方、試験片10の切欠底の外径変化から真のひずみ速度が分かるので、演算装置38は、前記ひずみ速度が、予め設定した値よりも大きくなる場合は、所定のひずみ速度が得られるように前記引張試験機のアクチュエータをフィードバック制御する。
【0017】
このようにしてほぼ一定のひずみ速度のもとで引張試験が進行し、遂には試験片10がその切欠11の底から破断する。しかして、この引張試験中、変位検出手段23および荷重検出器5からの信号により真応力、真ひずみが連続測定されているので、樹脂材料を対象に高速引張りしても、真応力−真ひずみの相関を正確に把握することができるようになる。
本実施の形態においては特に、試験片10に伸びが生じても、弾性体28を介して測定器本体21がフローティングし、試験片10の切欠11に対する中立位置を維持するので、変位検出手段23による試験片10の切欠底の外径測定を正確に行うことができる。ここで、上記したごとき切欠11を有する試験片10の伸びは、せいぜい2〜3mmであり、前記平板状の弾性体28を用いても十分にフローティング機能が維持される。また、外径測定器20を構成する絹糸22は、それ自体の伸びが小さい上、試験片10の外径変化にも追従する柔軟性を有しているので、試験片10の切欠底がだ円状に断面縮小する場合でも、該絹糸22の長さ変化から切欠底の断面積変化を正確に求めることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る引張試験用外径測定器によれば、試験片に切欠底に巻回した絹糸または糸状体の長さ変化から該切欠底の外径を正確に測定できるので、高速引張りを行う場合でも真応力、真ひずみをリアルタイムに測定でき、ひずみ速度ほぼ一定に制御することも可能になって、試験時間の短縮と得られる特性値の信頼性の向上とに大きく寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る引張試験方法の実施形態とこの引張試験に用いる外径測定器の構造とを示す側面図である。
【図2】本引張試験で用いる試験片の形状を示す側面図である。
【図3】本外径測定器を構成する測定器本体を試験片に取付けるためのクランプ手段の構造を示す平面図である。
【図4】本外径測定器を構成する測定器本体の構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1 引張試験機の固定テーブル
2 引張試験機の可動テーブル
3、4 チャック
5 荷重測定器
10 試験片
11 試験片の切欠
20 外径測定器
21 測定器本体
22 絹糸(糸状体)
23 変位測定手段
26、27 クランプ手段
31 可動体
32 皿ばね(付勢手段)
33 渦電流変位センサ
Claims (4)
- 引張試験機にセットした切欠付き棒状試験片に、前記切欠を間にして該試験片に固定される上・下クランプ手段の間に軸方向へフローティング可能に脱着される測定器本体と、前記試験片の切欠底に巻回される、絹糸または絹糸と同等の伸び特性および柔軟性を有する糸状体と、前記測定器本体に設けられ、前記試験片の切欠底に巻回された絹糸または糸状体の長さ変化を検出する変位検出手段とを備えていることを特徴とする引張試験用外径測定器。
- 測定器本体が、試験片の挿通孔を上・下板部に有する枠形状をなし、前記試験片に脱着可能に固定される上・下クランプ手段の間に弾性体を介して挟持されることを特徴とする請求項1に記載の引張試験用外径測定器。
- 変位検出手段が、測定器本体に一端が固定されかつ試験片の切欠底に巻回された絹糸または糸状体の他端を係着する可動体と、該可動体を、常時は前記絹糸または糸状体に張力を付与する方向へ付勢する付勢手段と、前記可動体の変位を測定する変位センサとからなることを特徴とする請求項1または2に記載の引張試験用外径測定器。
- 変位センサが、渦電流変位センサであり、可動体に対向して配置されることを特徴とする請求項3に記載の引張試験用外径測定器。
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