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JP4081212B2 - 液晶表示装置用シール剤組成物およびこのシール剤を用いた液晶表示装置 - Google Patents
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JP4081212B2 - 液晶表示装置用シール剤組成物およびこのシール剤を用いた液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置用シール剤組成物およびこのシール剤を用いた液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線によって完全に硬化すると共に、加熱によっても完全に硬化する2元硬化性の液晶表示装置用シール剤組成物、およびこのシール剤を用いて一対の基板を貼り合わせることによって、シール剤接着強度の劣化を防止する液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
TN(Twisted Nematic)液晶を用いた液晶表示装置においては、その視野角や開口率を改善する技術が活発に研究開発されている。
【0003】
たとえば、広視野化のため、基板に平行な横電界を用いるアクティブマトリクス型液晶表示装置(以下、「IPSパネル」という)が提案され、開口率向上のため、有機平坦化膜を液晶駆動素子上に設ける液晶表示装置(以下、これを「透過型画素平坦化パネル」という)が提案されている。
【0004】
これらの液晶表示装置は、いずれも1μm程度もしくはそれを超える厚さの有機膜を備えるとともに、ノート型パソコン用液晶表示装置やモニター用液晶表示装置のような大型の液晶表示装置の場合には、ガラス基板貼り合わせのため、紫外線硬化性樹脂および加熱硬化性樹脂の2成分で構成されるシール剤組成物を使用している。紫外線硬化性樹脂および加熱硬化性樹脂の2成分で構成されるシール剤組成物で、紫外線照射および加熱によって2枚の基板を接着・シールして液晶表示装置を製造することが、たとえば特開昭53−22753号公報、特開昭55−41488号公報、特開昭58−105124号公報に開示されている。また、有機層、セラミック層もしくはクロム層で覆われた基板を、紫外線硬化性のシール剤組成物で接着・シールすることが、特開平5−127175号公報、特開平8−234214号公報、特開平10−96936号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以下に、IPSパネルを例にとり、前記従来技術の課題を述べる。
【0006】
図14に、熱硬化型エポキシ系シール剤を基板接合用に使用したIPSパネルの断面図を示す。ガラス基板101には、横方向(ガラス基板に平行方向)の電界を発生するスイッチング素子102と、液晶分子の配列方向を制御する配向制御膜103が形成されている。また、ガラス基板101に対向するガラス基板104には、クロム材で作られたブラックマスク105、カラーフィルター106、アクリル系材料で作られ保護膜として機能するオーバーコート膜107、配向制御膜108が形成されている。そして、熱硬化型エポキシ系シール剤109によって、ガラス基板101とガラス基板104は、約4μmのギャップ間隔を保って互いに接合され、このギャップに液晶を充填させる。なお、熱硬化型エポキシ系シール剤109内部の混入スペーサ110の直径と表示領域内のスペーサ111の直径については、基板101、104間の前記ギャップ量をほぼ等しくできるよう、これらの径を調整する。
【0007】
このようなIPSパネルを製造する工程において、ガラス基板101とガラス基板104の間で剥離不良が頻発したため、本願発明者はこの剥離の原因を分析し、図15に示すような現象を予測した。具体的には、このIPSパネルの製造工程において、ガラス基板101周辺の素子駆動用端子部を、図15に示された矢印Jの方向の力を加える工程が有り、この工程において剥離が生じていると考えられる。そして、剥離されたIPSパネルを観察すると、剥離箇所113の面は、オーバーコート膜107とブラックマスク105間の界面で発生していた。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、それの第1の目的は、液晶表示装置の製造過程で発生した基板剥離を解消するため、紫外線のみで完全に硬化するとともに、加熱のみでも完全に硬化する2元硬化性の液晶表示装置用シール剤組成物を得る点にある。
【0009】
また、この発明の第2の目的は、前記のシール剤組成物を用いることにより紫外線のみでも加熱のみでも完全に基板接着用のシール剤を硬化でき、これによりシール剤の接着不良に起因する問題を無くした液晶表示装置を得る点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本件出願の発明の一つである液晶表示装置用シール剤組成物は、(1)光ラジカル開始剤とアクリル酸エステル樹脂からなる紫外線硬化性アクリル樹脂組成物と、(2)光カチオン開始剤とエポキシ樹脂からなる紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物と、(3)有機過酸化物と、(4)タルク粒子の表面上の原子が分子レベルでエポキシ化合物と結合してその表面がエポキシ化合物で覆われたハイブリッド状態のタルク粒子とを含有し、紫外線と加熱との2元硬化性を有することを特徴とする。
【0011】
本件出願の他の発明である液晶表示装置は、第1のガラス基板の周辺部に設けられた複数の配線端子からなる遮光性の配線端子群、第1のガラス基板の表面を跨ぐようにこの配線端子群上に形成され、紫外線硬化性と加熱硬化性とを兼ね備えたシール剤、このシール剤を介して前記の第1のガラス基板と対向する第2のガラス基板、第2のガラス基板とシール剤の間に配置され、シール剤全面を遮光する遮光膜を備えた液晶表示装置であって、このシール剤組成物が、(1)光ラジカル開始剤とアクリル酸エステル樹脂からなる紫外線硬化性アクリル樹脂組成物と、(2)光カチオン開始剤とエポキシ樹脂からなる紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物と、(3)有機過酸化物と、(4)表面をエポキシ化合物で覆われたハイブリッド状態のタルク粒子とを含有することを特徴とする。
【0012】
なおここで、遮光膜とシール剤の間もしくは配線端子群とシール剤の間に、有機膜を設けても良い。
【0013】
また配線端子群の材質は、たとえばクロム金属またはアルミ金属である。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
(熱硬化型シール剤の問題点の把握)
シール剤硬化過程で発生するシール剤/基板間の残留応力の数値計算(シミュレーション)を行った。数値計算モデルを図1に示す。計算の負荷を低減させるため、対向する一対のガラス基板1、2間に約4μmの空隙を形成させ、その空隙にシール剤3を介在させるという2次元簡素化モデルを採用した。また、計算で使用したガラス基板1、2の物性データとしては、縦弾性係数(7450kgf/mm2)、線膨張係数(48×10-7/℃)、基板の厚み(1.1mm)を採用している。
【0015】
ガラス基板1、2の縦弾性係数、線膨張係数、厚さをそれぞれEg、αg、hgとし、シール剤3の縦弾性係数、線膨張係数、厚さをそれぞれEs、αs、hsとし、シール剤3を硬化させる際の温度と室温との差をΔtとすると、残留応力計算の理論式は以下のようになる。
▲1▼シール剤3の硬化の場合
σs=2(αg−αs)Δt・hg・Es・Eg/(2Eg・hg+Es・hs) ・・・式(1)
▲2▼シール剤3の硬化後、室温にもどす(冷却)場合
σs=2(αg−αs)(−Δt)・hg・Es・Eg/(2Eg・hg+Es・hs) ・・・式(2)
【0016】
ここで、熱硬化型シール剤および紫外線硬化型シール剤の硬化過程を、表1を参照しながら説明する。
【0017】
【表1】
Figure 0004081212
【0018】
まず、熱硬化型エポキシ系シール剤の硬化過程は、大まかには以下の工程に分類される。
【0019】
(工程1):シール剤の所定厚さを得るため、圧力と熱を加える工程(表1において、「本キュア」と記載)。
【0020】
(工程2):圧力負荷を解除してもシール剤の厚さが変化しない(一般的に「タックフリー」という)時間だけシール剤に熱を加える工程(表1において、「10分間」と記載)。
【0021】
(工程3):圧力を解除した後、材料を完全に硬化するため、熱を加える工程(表1において、「アフターキュア」と記載)。
【0022】
これに対し、紫外線硬化型シール剤の硬化過程は、大まかには以下の工程に分類される。
【0023】
(工程1):紫外線照射(6000mJ/cm2)により材料の約80%が硬化し、タックフリーとなる工程。
【0024】
(工程2):アフターキュア(120℃)により材料を完全に硬化する工程。
【0025】
前記の硬化過程に基づいて、シール剤中の残留応力の計算を行うと、熱硬化型シール剤のトータルの残留応力値(約1.22kgf/mm2)は、紫外線硬化型シール剤のトータルの残留応力値(−0.018kgf/mm2)より2桁程大きい数値を示している。従って、熱硬化型シール剤では紫外線硬化型シール剤に比較して、それの硬化過程でシール剤中に発生する残留応力が大きくなって、シール剤の接着性に悪影響を及ぼす懸念があると、本願発明者は考えた。
【0026】
以上の計算結果は、次に示す考察よって妥当なものであると考えられる。
【0027】
熱硬化型エポキシ系シール剤の場合には(図2)、シール剤3の温度が150℃に達しないと、シール剤3の硬化は促進されないため、シール剤3の温度がこの温度に達するまで、ガラス基板1、2の歪み(延び)に追随して、このガラス基板1、2に接着するシール剤3は自由に変形できる(図2(a))。このような状態であれば、ガラス基板1、2もシール剤3も自由に変形できるため、ガラス基板1、2の内部やシール剤3の内部に応力エネルギは保存されない。しかし、一旦、シール剤3の温度150℃で熱硬化型シール剤3の硬化が完了した後にあっては、このシール剤3は固化され、かつシール剤3とガラス基板1、2は接着されている(図2(b))。よってこのガラス基板1、2を室温にもどす際には、ガラス基板1、2の収縮度合とシール剤3の収縮度合が、両者の熱膨張係数の相違に起因して異なるため、互いに接着固定されたシール剤3とガラス基板1、2の間に応力(シール剤3の幅方向の応力)が発生する。この応力が残留応力としてシール剤3とガラス基板内部1、2に保存されると考えられる(図2(c))。図中の矢印は各部が受ける力の方向を示す。
【0028】
一方、紫外線硬化型シール剤の場合には(図3)、シール剤3を加熱処理する前に、紫外線照射によってシール剤3の約80%が硬化される(図3(a))。これにより、紫外線照射の後にはシール剤3はある程度固化され、かつガラス基板はシール剤3に接着されている(図3(b))。従って、その後にこのガラス基板1、2を加熱・冷却しても、少なくともシール剤3の塗布された部分のシール剤3の膨張・収縮は、ガラス基板1、2の膨張・冷却に追随する。このことは、ガラス基板1、2に加熱と冷却を施したとしても、最終的にガラス基板1、2の温度を初期温度にすれば、ガラス基板1、2とシール剤3の接着状態は加熱前の初期状態に戻るため、両者間に応力を発生させる要因はなく、ガラス基板1、2の内部とシール剤3の内部に残留応力は保存されないと考えられる(図3(c))。
【0029】
(紫外線硬化型シール剤の問題点の把握)
以上に述べたように、紫外線硬化型シール剤を用いると、硬化過程に伴って発生する残留応力を大幅に低減できるため、液晶表示装置の剥離不良が改善されるはずであると、本願発明者は考えた。
【0030】
しかし市販の紫外線硬化型シール剤を使用した場合、次に述べる問題点が顕在化した。
【0031】
ノート型のパーソナルコンピュータにおいては、表示部周辺の表示に寄与しない額縁の幅を狭くするという要求があり(これを、狭額縁化という。)、この狭額縁化のため、TFT基板の配線端子6の上であって、かつカラーフィルタ基板の周辺ブラックマスク5の下に紫外線硬化型シール剤3を配置させる設計を行った(図4を参照)。このためカラーフィルタ基板側では、紫外線硬化型シール剤全面がクロム(Cr)やアルミ(Al)金属のブラックマスク5に遮光されているので、紫外線硬化型シール剤3の硬化には、TFT基板側から光を照射することを要する。しかし一方、TFT基板上に形成された配線端子6も遮光機能を有するため、配線端子6の上に形成されたシール剤に光照射がなされない。
【0032】
図4に示された線V−Vに部分の断面斜視図(図5)を用いて、この問題をより詳細に説明すると、液晶表示装置4の周辺部には、液晶分子を駆動する電圧を供給するため、複数の配線端子6からなる配線端子群が設けられており、この配線端子群の材質は、クロム(Cr)やアルミ(Al)の金属薄膜であって、遮光性を有している。市販の紫外線硬化型シール剤でもある程度加熱硬化作用を持っているが、もしこのシール剤3が加熱だけでは完全に硬化しないとすると、配線端子6の上に設けられたシール剤3については、光照射されないため光硬化の促進はされず、熱硬化の促進も期待できないことになる。このことは、基板の接着不良の要因となるほか、未硬化シール剤3の液晶中への溶解による液晶材料汚染や配向膜汚染という問題も引き起こす。従って、紫外線照射のみでも完全に硬化し、かつ加熱のみでも完全に硬化する2元硬化性シール剤の開発を行うべきであるとの結論に至った。なお、図5では、シール剤3とブラックマスク5の間に有機膜7を設けている。
【0033】
本発明の2元硬化性シール剤の特徴は、この課題を解決するため、シール剤組成物中の有機過酸化物が、加熱によってラジカルを生成して光カチオン開始剤のカチオン生成を促進し、エポキシ化合物の加熱硬化を促進させる点にある。以下、その構成と物性を詳細に説明する。
【0034】
(2元硬化性シール剤の構成と物性について)
タルク粒子の表面上の原子が分子レベルでエポキシ化合物と結合してその表面がエポキシ化合物で覆われたハイブリッド状態のタルク粒子とは、特開平10−95901号公報に開示されているメカノケミカル方法(たとえば、加熱処理、撹拌処理、ボールミル処理、シュレッダー処理、超音波処理)でタルク表面に物理的エネルギーを与えてその表面を活性化処理し、強く結合させたエポキシ化合物で被覆された粒子のことをいう。好ましい例として、商品名エピコート828(油化シェル(株))、エピコート807(油化シェル(株))、HBE100(新日本理化(株))などのエポキシ化合物とタルク粒子とのハイブリッド化物をあげることができる。
【0035】
このようなタルク粒子をエポキシ化合物で覆ったハイブリッド状態のタルク粒子を使用することにより、本発明の2元硬化性シール剤は柔軟性と靱性とをもつとともに、圧縮永久ひずみも小さい。さらに、このタルク粒子の表面は非親水性のエポキシ化合物で覆われているので、2元硬化性シール剤の耐水性・耐湿性が飛躍的に向上する。さらに従来の充填材のようにシランカップリング剤等で表面を改質していないので、シランカップリング剤等が溶出して液晶材料を汚染することが原因となる表示不良は引き起こされない。このハイブリッド状態のタルク粒子の添加量は、2元硬化性シール剤中10〜70重量%が好ましい。10重量%未満では靱性などの前述の性能をこのシール剤に付与できず、70重量%を超えると、このシール剤の粘度が高くなり細い線状に基板に塗布することが困難になるからである。
【0036】
紫外線硬化性アクリル樹脂組成物は、アクリル酸エステル樹脂と光ラジカル開始剤とを含有する周知の紫外線硬化性組成物であればよい。このような組成物は、たとえば前述の特開昭55−41488号公報に詳細に記載されている。本発明では紫外線硬化性アクリル樹脂組成物の原料または組成を特別に限定するものではないが、好ましいアクリル酸エステル樹脂として、ヒドロキシ基を分子内に有する化学構造のエポキシアクリレートをあげることができる。一般にエポキシアクリレートは、他のアクリル酸エステル樹脂に比べて接着強度が高いからである。
【0037】
紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ基を有する化合物とオニウム塩などに代表される光カチオン開始剤とを含有する周知の紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物であればよい。このような組成物は前述の特開昭61−233719号公報、特開昭61−51024号公報に詳細に記載されている。本発明では紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物の原料または組成を特別に限定するものではない。好ましいオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などをあげることができ、使用するエポキシ化合物と相溶するオニウム塩が好ましいといえる。また、紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物と紫外線硬化性アクリル樹脂組成物との混合比は6:4〜8.5:1.5が好ましい。このような混合比の範囲において、後述するようなシール層の物性を得ることができるからである。
【0038】
有機過酸化物は周知の有機過酸化物であればよく、本発明では特定の有機過酸化物に限定するものではない。本発明の2元硬化性シール剤においてこの有機過酸化物は特異な作用効果を発揮する。
【0039】
一般に有機過酸化物はラジカル重合の開始剤と考えられており、アクリル樹脂組成物の加熱硬化には利用できるが、エポキシ樹脂組成物の加熱硬化には利用されることはなかった。しかし、有機過酸化物は、紫外線照射後の加熱工程における紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物に対して硬化温度を下げかつ硬化速度を早める効果があることを発見した。この効果は、有機過酸化物のラジカルがオニウム塩のカチオン生成に何らかの作用をしているためと推定する。有機過酸化物の添加量は、シール剤組成物中0.1〜10重量%が好ましい。0.1重量%未満では前述のオニウム塩のカチオン生成が促進されず、10重量%を超えるとシール剤組成物の保存安定性を損なうからである。
【0040】
前述の成分構成による2元硬化性シール剤は、従来の紫外線硬化性アクリル樹脂組成物と加熱硬化性エポキシ樹脂組成物との混合系のシール剤組成物に比べて、紫外線照射だけでも完全硬化することが可能であり、加熱だけでも完全硬化が可能である。もし紫外線の透過しない陰影部が存在しても、このシール剤は低い加熱温度で短時間に確実に完全硬化し、未硬化成分が液晶材料へ溶出するような心配もない。さらに、硬化後のシール層は強靱な弾性体で剥離強度が高く、圧縮永久歪みが小さく耐水性が強いので、優れた耐久性を発揮する。
【0041】
2元硬化性シール剤の物性を、
1)硬化前の25℃での粘度が50,000〜80,000mPa・s
2)硬化前のチクソトロピック性が回転粘度型の回転数1rpmと回転数10rpmにおける粘度比で1.5〜3.0
3)硬化時の体積収縮が3%以下
4)硬化温度が低く、かつ硬化時間を短くする
5)硬化後のヤング率を1000〜3000MPa
となるようにした。
【0042】
2元硬化性シール剤の物性を前述のようにするには、紫外線硬化性アクリル樹脂組成物と紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物との混合系で構成し、その混合比を6:4〜8.5:1.5にすることにより達成することができる。また、2元硬化性シール剤の接着力をアップさせるため、アクリル酸エステル樹脂としてエポキシアクリレートを使用することが好ましい。また低い硬化温度及び早い硬化速度にするために紫外線硬化性にし、かつ有機過酸化物を添加して前述のとおり硬化性をさらに改善した。
【0043】
本発明の2元硬化性シール剤組成物の配合例を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004081212
【0045】
(2元硬化性シール剤の強度試験結果)
図6に、従来の紫外線硬化型シール剤と対比しながら、2元硬化性シール剤の強度試験結果を示す。図中、Aは本発明の2元硬化性シール剤、Bは従来の紫外線硬化型シール剤1、Cは従来の紫外線硬化型シール剤2の破壊靱性値を示す。図6から明らかなように、2元硬化性シール剤の強度の破壊靱性値は、従来の紫外線硬化型シール剤のそれに比較して高く、時間の経過に伴って両者の破壊靱性値の差異は大きくなっている。強度試験の実施は、接着度に与える影響の大きい条件、具体的には、温度60℃、湿度90%RHの高温・高湿の環境条件(以下、「耐湿試験」という。)でなされた。試験サンプルについては、液晶表示装置の一対のガラス基板間にシール剤を挟んだ状態で、これを硬化させて製作した。図6の横軸は、経過時間(基板の硬化接着時からの時間)を示し、縦軸は高温高湿処置後の破壊靱性値(以下、「耐湿強度」という。)を示す。
【0046】
2元硬化性シール剤では、初期状態(経過時間ゼロの状態)において耐湿強度が高く、かつ時間経過によってその耐湿強度が劣化しない。これに比べて、従来の紫外線硬化型シール剤では、初期状態において耐湿強度は高いものの、時間が経過すると、耐湿強度の劣化が見られる。たとえば、2種の紫外線硬化型シール剤の耐湿強度はいずれも、500時間の経過後において、初期状態の耐湿強度の約1/5程度であった。なお、約0.15kgf/mm2/3以上の耐湿強度がなければ、液晶表示装置の製造の歩留まりや製品の信頼性の点で支障をきたすにもかかわらず、従来の紫外線硬化型シール剤ではこの条件を満足することは難しい。
【0047】
以上の強度試験結果により、本発明の2元硬化性シール剤によって液晶表示装置の耐湿強度の改善を図れることが明らかになった。
【0048】
実施の形態2
液晶表示装置の強度試験方法を、図7と図8を参照しながら説明する。
【0049】
図7は、強度試験用のサンプルを液晶表示装置から切り取ることを説明する概念図である。図7に示すように、液晶表示装置4の基板端から矩形状サンプル8を切り取る。このサンプル8の大きさについては、その長手方向長さを100mm、幅方向の長さを25mm、厚さを10mmと統一した。サンプル8は、図8に示すようなアルミ製の治具18に固定され、サンプル8の基板を互いに剥がす方向(図中の矢印方向)に、このアルミ製の治具18を引っ張る。
【0050】
この引っ張り試験の条件は、試験温度(環境温度)25℃、引っ張り速度1mm/minである。
【0051】
この試験方法は、破壊力学の分野において広く用いられるDCB(Double Cantilever Beam)試験に基づくものである。液晶表示装置の構成を考えると、ガラス基板の厚さが基板間の隙間に対して充分大きいので、基板間の隙間を一種のき裂とみなした評価が可能と考え、き裂を評価するパラメータとして、破壊靭性値(Fracture Toughness)を使用した。破壊靭性値は、この強度試験から得られる破断強度(実測値)を用いて応力計算によって導く。
【0052】
この試験方法によれば、液晶表示装置の強度を数値化でき、強度評価の客観化を図ることができる。
【0053】
なお、DCB試験の測定値と液晶表示装置の破壊状況観察とによって、DCB試験の測定値が0.15kgf/mm2/3以上であれば、製造工程や製品において実用上問題の無いことが分かった。
【0054】
【実施例】
以下、図面を参照しながら、強度試験の具体例を説明する。
【0055】
1.液晶表示装置の構成
図9は、有機膜をカラーフィルタ基板に設けたIPSパネルの断面図を、図10は、有機膜をTFT基板に設けた画素平坦化パネルの断面図を示す。
【0056】
まず、図9に示されたIPSパネルの構成を説明する。
【0057】
図9は、基板に平行方向(横方向)の電界を印加するIPSパネルの断面図である。
【0058】
ガラス基板1においては、その基板1上に横方向電界を生成するスイッチング素子9が形成され、その素子9上に配向制御膜10が形成されている。一方、液晶(図示せず)を介してガラス基板1に対向するガラス基板2では、その基板2上にブラックマスク11およびカラーフィルター12が形成され、更に、このブラックマスク11およびカラーフィルター12を覆うようにオーバーコート膜13が設けられいる。そして基板1と同様、基板2のスイッチング素子9の上にも配向制御膜10が形成されている。なおここで、ブラックマスク11の材質には、たとえば、遮光性を持つ金属膜や遮光性を有する顔料が用いられる。またオーバーコート膜13の材質には、たとえば、熱もしくは光で硬化するアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の有機膜が用いられる。
【0059】
これらの基板1、2は互いに、約4〜5μmのギャップを保った状態で対向配置されている。このギャップの量は、表示領域内に配置された表示内スペーサ14の直径と、基板1、2の周辺のシール剤3の内部に配置されたシール内スペーサ15の直径によって一義的に決定される。なおここで、シール剤3の材質は、熱硬化型シール剤または前記の本発明の2元硬化性シール剤であり、これをスクリーン印刷法やディスペンサ法によって、基板1上に環状に塗布し形成する。その後、基板1と基板2を約4μmのギャップを保って保持させ、このシール剤3を硬化させた後、このギャップの領域に液晶を注入し液晶表示装置を完成させる。
【0060】
次に、図10に示された画素平坦化パネルの構成を説明する。
【0061】
図10は、有機膜によって画素電極が平坦化処理された画素平坦化パネルの断面図である。但し、図9の液晶表示装置と同じ構成を有する箇所の説明を省略する。
【0062】
透明画素電極として機能するITO膜(図示せず)の平坦化を図るため、基板1上に画素平坦化膜16が、厚さ約10μm形成されている。この画素平坦化膜16の材質としては、たとえば、感光性を持つアクリル系樹脂等の有機膜が用いられる。また、基板1に垂直方向の電界を発生させるため、基板1側の画素平坦化膜16上にITO膜(図示せず)が設けられると共に、基板2側にもITO膜17が設けられている。そして、このITO膜17が保護膜としての機能も兼ね備えるため、基板2上に別途、オーバーコート膜を形成することを要しない。すなわち、シール剤3はブラックマスク11と直接に接触している。
【0063】
2.サンプル測定
IPSパネル、画素平坦化パネルについて、本発明の2元硬化性シール剤を用いて、液晶表示装置の破壊靭性値を測定した。さらに、この2元硬化性シール剤の技術的効果と対比するため、熱硬化型シール剤(たとえば、エポキシ系シール剤)を使用した液晶表示装置の破壊靭性値の測定値も併記した。表1には、2元硬化型シール剤と熱硬化型シール剤のそれぞれにつき、両者の物性値と硬化条件とを記載している。具体的には、熱硬化型シール剤の硬化では、150℃、10分で本キュアした後、150℃、60分でアフターキュアする。2元硬化性シール剤の硬化では、6000mJ/cm2の紫外線照射の後、120℃、60分でアフターキュアする。
【0064】
液晶表示装置の破壊靭性値の測定結果を図11に示す。図11の破壊靭性値データでは、IPSパネルと画素平坦化パネルを、それぞれ10パネルづつ準備し、これらのパネルの端部から所定の矩形形状(長手方向長さを100mm、幅方向の長さを25mm、厚さを10mm)サンプルを切り取り、切り取りサンプル各10個の強度を測定した結果を、データの平均値および最少値で比較している。
【0065】
図中Dは平均値をEは最小値を示し、F〜Iはパネル構造とシール剤の組合せのケースを示す。F、Gは図9に示したIPSパネル、H、Iは図10に示した画素平坦化パネル、F、Hは熱硬化型シール材、G、Iは2元硬化型シール剤の組合せを示す。
【0066】
3.測定結果の評価
この測定結果により、以下(1)〜(4)の結果を得ることができた。
【0067】
(1)2元硬化性シール剤を使用すると、IPSパネル(図9)と画素平坦化パネル(図10)のいずれでも破壊靱性値の平均値は一定であり、かつその数値は製品スペックの破壊靭性値(0.15kgf/mm2/3)を越えている。
【0068】
(2)2元硬化性シール剤を使用すると、IPSパネルと画素平坦化パネルのいずれも、それらの破壊靱性値の平均値と最少値とがほぼ一致し、破壊靱性値のサンプルによるばらつきが殆どみられない。
【0069】
(3)熱硬化型シール剤を使用すると、IPSパネルの破壊靭性値の平均値は高いものの、その最少値は低いという結果を得た。すなわち、破壊靱性値のばらつきが大きい。
【0070】
(4)熱硬化型シール剤を使用すると、画素平坦化パネルの破壊靱性値の平均値が低かった。すなわち、熱硬化型シール剤を使って製造したパネルの破壊靱性値は、2元硬化型シール剤を使った場合のそれと比べかなり劣ることが判明した。
【0071】
前記実験結果の現象を解明するため、破壊面の断面観察を行った。
【0072】
図12は、熱硬化型シール剤を使用したIPSパネルにおいて、破壊靱性値の低いサンプルの破壊状況を説明する図である。
【0073】
図13は、2元硬化型シール剤を使用したIPSパネルにおいて、サンプルの破壊状況を説明する図であり、図12の破壊状況と対比するものである。
【0074】
ここで、図12(a)と図13(a)では、カラーフィルターが形成された基板(以下、この基板を「カラーフィルター基板」という)の断面図を示し、図12(b)と図13(b)では、スイッチング素子が形成された基板(以下、この基板を「アレイ基板」という)を示している。
【0075】
図12(a)、図12(b)によると、アレイ基板1とカラーフィルター基板2の剥離が、シール剤3の形成された領域において、シール剤3上のオーバーコート膜13の表面とブラックマスク5の表面の境界に沿って観察された(以下、この剥離現象を「界面破壊」という)。そして、アレイ基板1側のシール剤3の上にオーバーコート膜13が観察された(図12(b))。
【0076】
これに対して、図13(a)、図13(b)によると、シール剤3は、アレイ基板1側およびカラーフィルター基板2側の両方で観察されるので、アレイ基板1とカラーフィルター基板2の剥離はシール剤3の内部で生じたと推察される(以下、この剥離現象を「凝集破壊」をいう)。
【0077】
すなわち、オーバーコート膜13のような有機膜とブラックマスク5のような無機膜の界面は、接着力が弱く、熱硬化型シール剤を使用する場合には、この界面にそって界面剥離が発生したものと思われる。
【0078】
またIPSパネルの他、画素平坦化パネルにおいても同様に、熱硬化型シール剤を用いたパネルであって、破壊靱性値が最低のパネルについては、オーバーコート膜13(有機膜)とブラックマスク5(無機膜)の境界面で界面破壊が観察され、破壊靱性値の大きいパネルについては、凝集破壊が発生していた。なお、全サンプル中の約20%は界面破壊であった。
【0079】
以上の実験結果から本願発明者は、シール剤の相違から次の知見を得た。
【0080】
(1)熱硬化型シール剤のサンプルでは、有機膜(オーバーコート膜)と無機膜(ブラックマスク)の界面破壊が発生する。一方、2元硬化型シール剤では、このような界面破壊はみられない。したがって、シール剤の加熱過程で有機膜と無機膜の界面に接着上の問題が発生するものと考えられる。
【0081】
(2)2元硬化型シール剤では、いずれのサンプルも界面破壊が発生しないので、有機膜(オーバーコート膜)を使用する液晶表示装置においては、2元硬化型シール剤を選別することが不可欠である。
【0082】
なおこれらの知見は、有機膜を使わない液晶表示装置については、従来より熱硬化型シール剤で接着しても問題にならないという事実とも整合性があり、また、この知見によって、熱硬化型シール剤の残留応力が2元硬化型シール剤のそれに比べて大きい(したがって、熱硬化型シール剤は好ましくない)という数値計算の妥当性も確認された。
【0083】
【発明の効果】
本発明のシール剤組成物の特徴は紫外線照射で完全硬化することが可能であるが、紫外線の非透過の陰影部が存在しても、低い加熱温度で短時間に硬化する点にある。
【0084】
したがって、本発明の請求項1にかかわるシール剤組成物によれば、硬化後に強靱な弾性体で剥離強度が高く、しかも圧縮永久歪みが小さく耐水性の強い液晶表示装置用シール剤を得ることができる。
【0085】
本発明の請求項2〜5にかかわる液晶表示装置によれば、基板間のシール部を紫外線を遮光する配線端子群と遮光膜とが共存する基板周辺に設けても、前記のシール剤組成物を使用することにより、シール剤組成物を低照射の紫外線照射および低い加熱温度で短時間に完全硬化できる。
【0086】
また、本発明の請求項2〜5にかかわる液晶表示装置によれば、シール層に発生する内部応力を低くできるため、接着信頼性と耐久性の高い液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】数値計算用のモデルを示す断面図である。
【図2】熱硬化型シール剤を基板接着に使用した場合に、シール剤内部、基板内部の残留応力生成過程を説明する概念断面図である。
【図3】紫外線硬化型シール剤を基板接着に使用した場合に、残留応力の発生を回避できることを説明するための概念断面図である。
【図4】液晶表示装置の平面概念図である。
【図5】図4に示された線V−V箇所の断面斜視図である。
【図6】2元硬化性シール剤の強度試験結果を示す図である。
【図7】サンプル切り取りを説明する概念図である。
【図8】サンプル引っ張り試験を説明する概念図である。
【図9】有機膜をカラーフィルタ基板に設けたIPSパネルの断面図である。
【図10】有機膜をTFT基板に設けた画素平坦化パネルの断面図である。
【図11】液晶表示装置の破壊靭性値の測定結果を示す図である。
【図12】液晶表示装置の界面破壊の状態を説明する概念断面図である。
【図13】液晶表示装置の凝集破壊の状態を説明する概念断面図である。
【図14】熱硬化型エポキシシール剤で基板を接着した液晶表示装置の断面図である。
【図15】液晶表示装置において、熱硬化型エポキシシール剤の接着性の問題を説明する図である。
【符号の説明】
1、2、101、104 ガラス基板
3 シール剤
4 液晶表示装置
6 配線端子
7 有機膜
8 サンプル
9、102 スイッチング素子
16 画素平坦化膜
17 ITO膜
18 治具
10、103、108 配向制御膜
5、11、105 ブラックマスク
12、106 カラーフィルター
13、107 オーバーコート膜
109 熱硬化型エポキシ系シール剤
14、15、110、111 スペーサ

Claims (5)

  1. 紫外線と加熱とによる2元硬化性を有し、
    (1)光ラジカル開始剤とアクリル酸エステル樹脂からなる紫外線硬化性アクリル樹脂組成物と、
    (2)光カチオン開始剤とエポキシ樹脂からなる紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物と、
    (3)有機過酸化物と、
    (4)タルク粒子の表面上の原子が分子レベルでエポキシ化合物と結合してその表面がエポキシ化合物で覆われたハイブリッド状態のタルク粒子と、
    を含有することを特徴とする液晶表示装置用シール剤組成物。
  2. 第1のガラス基板の周辺部に設けられた複数の配線端子からなる遮光性の配線端子群、前記第1のガラス基板の表面を跨ぐように前記配線端子群上に形成され、紫外線硬化性と加熱硬化性とを兼ね備えたシール剤、前記シール剤を介して前記第1のガラス基板と対向する第2のガラス基板、前記第2のガラス基板と前記シール剤の間に配置され、前記シール剤全面を遮光する遮光膜を備えた液晶表示装置であって、前記シール剤組成物が、
    (1)光ラジカル開始剤とアクリル酸エステル樹脂からなる紫外線硬化性アクリル樹脂組成物と、
    (2)光カチオン開始剤とエポキシ樹脂からなる紫外線硬化性エポキシ樹脂組成物と、
    (3)有機過酸化物と、
    (4)表面をエポキシ化合物で覆われたハイブリッド状態のタルク粒子と、
    を含有することを特徴とする液晶表示装置。
  3. 前記遮光膜と前記シール剤の間に有機膜を設けたことを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置。
  4. 前記配線端子群と前記シール剤の間に有機膜を設けたことを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置。
  5. 前記配線端子群または前記遮光膜がクロム金属またはアルミ金属である請求項2記載の液晶表示装置。
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