JP4089110B2 - 芳香族化合物の転化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的分子サイズの大きい置換基を有する芳香族化合物の転化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトは、キシレンの異性化やトルエンの不均化等、置換基を有する芳香族化合物を転化する触媒として使われていることは知られている。また3つ以上の置換基を有する芳香族化合物の転化にゼオライト、特にモルデナイト型ゼオライトを用いることは知られている(特開昭58−14430号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ゼオライトは、分子レベルの大きさの均一な細孔を有する結晶で、キシレン異性化触媒やトルエン不均化触媒など、比較的分子の小さい芳香族化合物の転化においては、活性、選択性共に優れた触媒となり、工業的にも使用されている。しかし分子サイズの大きな分子を原料とする転化の場合、反応分子がゼオライト細孔内に入らない、あるいは入っても拡散速度が遅く十分な転化活性が得られない等の問題があった。一方、一般に汎用に使われているゼオライトは、ペンタシル型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、β型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライトである。
【0004】
これらのゼオライトの中で、最も細孔入り口径の大きい部類のゼオライトはβ型ゼオライトとフォージャサイト型ゼオライトである。これらは、細孔入り口径が大きいだけでなく、これらの大きな細孔が互いに交差した部分を持ち、その細孔の交差した部分は大きな体積を持つため、ここで望まれない大きな分子(高沸点化合物)が生成し最終的にはこの望ましくない大分子が細孔を閉塞して活性劣化を招いてしまうという欠点があった。
【0005】
一方モルデナイト触媒は、このように大細孔が交差する部分がなく、望ましくない大分子の生成は少ないが、細孔の入り口径がそれほど大きくないため大きい分子の転化においては、十分な活性が得られないという欠点があった。したがって、本発明の課題は、従来の技術の問題点を解決すること、すなわち、分子サイズの大きい芳香族化合物、具体的には(a)3以上の置換基を持つ芳香族化合物、(b)置換基の少なくとも一つがハロゲン又は炭素数2以上である2つの置換基を持つ芳香族化合物、(c)置換基を有するナフタレン、アントラセン誘導体から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物、を転化する方法において十分な活性、選択性、寿命が得られる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者の芳香族化合物の転化方法は、上記課題を解決するために主として次の構成を有する。すなわち、(1)主空洞の細孔入り口径の最小値が0.65nmより大きい、または最大値が0.70nmより大きい、かつ、(2)主空洞が酸素10員環より大きい細孔と交差していない、ことを特徴とするゼオライトを含む触媒と下記から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物を接触させることを特徴とする芳香族化合物の転化方法であって、転化が異性化、不均化、トランスアルキル化、アルキル化、酸化、水酸化、アシル化、還元から選択される反応である芳香族化合物の転化方法である。
記
ジハロゲン化トルエン、トリハロゲン化ベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、クロロキシレン、ジクロロキシレン、ジクロロアニリン。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に記述する。本発明においてゼオライトとは、結晶性マイクロポーラス物質のことで、分子サイズの均一な細孔径を有する結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェート、結晶性シリコアルミノフォスフェートのことである。ここでいうメタロシリケート、メタロアルミノシリケートとは、アルミノシリケートのアルミニウムの一部又は全部がガリウム、鉄、チタン、ボロン、コバルト、クロム等のアルミニウム以外の金属で置換されたものである。メタロアルミノフォスフェートも同様にアルミノフォスフェートのアルミニウム又はリンに対してその一部がそれ以外の金属で置換されたものをいう。
【0008】
本発明のゼオライトは、組成としては上記したように種々の組成のものを用いることができるが、構造としては
(1)主空洞の細孔入り口径の最小値が0.65nmより大きい、または最大値が0.70nmより大きい、かつ、
(2)該主空洞が酸素10員環より大きい細孔と交差していない、
ことが必須である。即ち(1)と(2)の2つの要件を満たす必要がある。
【0009】
本発明で主空洞とは、1つのゼオライトの構造の中で最も大きな細孔入り口を持つ細孔のことを言う。ゼオライトでは一般に細孔入り口径を表すのに細孔の入り口を構成している酸素原子の数nによって酸素n員環と言う呼び方をする。上記要件(1)を満たすためには、酸素12員環またはそれより大きい細孔入り口径が必要である。酸素12員環より大きい細孔入り口径を持つゼオライトは、上記要件(1)を満たす。酸素12員環を有するゼオライトは、要件(1)を満たすものと満たさないものがある。例えばモルデナイトゼオライトは酸素12員環の細孔入り口を有しているが、細孔入り口の最小値が0.65nm、最大値が0.70nmであるため、要件(1)は満たさない。また、近年構造が解明されたSSZ−31(アール.エフ.ロボら、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエテイー(R.F.Loboら,J.Am.Chem.Soc.,)119巻、p3732〜3744,1997年)は、細孔入り口径の最大値が0.86nmで、最小値が0.57nmであり、要件(1)を満たす。要件(1)を満たす酸素12員環の細孔入り口を持つゼオライトと酸素12員環より大きい細孔入り口径を持つゼオライト、例えば酸素14員環の細孔入り口を持つゼオライトなどが本発明のゼオライトである。
【0010】
本発明における細孔入り口径は、構造がわかっているゼオライトについて知ることができる。構造が解明されているゼオライトの構造、構造中の原子の位置はアトラス オブ ゼオライト ストラクチャー タイプス(Atlas of Zeolite Structure types)(ダブリュー.エム.マイヤー,デイー.エイチ.オルソン、シーエイチ.ベロチャー,ゼオライツ(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites,) 17(1/2), 1996)(文献1)に掲載されている。この文献1には、チャネルズ(Channels)の項に結晶学的有効細孔径(the crystallographic free diameter:酸素の半径を0.135nmと仮定している)が示されており、細孔入り口が円状でない場合は、その最大値と最小値が、示されている。また、上記参考文献には、図1に示すように細孔入り口が立体図で描かれてあり、その最大値、最小値についても記述されている。本発明における細孔入り口径の最大値、最小値はまさしくその値である。上記文献1に構造あるいは細孔入り口径が記載されている場合は、どのような組成のゼオライトであっても、上記文献1の値で細孔入り口径を判断する(実際は、組成や温度によって細孔径は違ってくる)。上記の文献1に掲載されていない構造のゼオライトでも、雑誌等に発表されたものはその発表された構造から細孔入り口径を判断する。
【0011】
上記文献1に細孔入り口径が明示されていない場合は、簡便に次のように細孔入り口径の最大値と最小値を求める。文献等に記載されている原子位置と空間群をもとに、結晶のモデルを組み立てる。この場合リートベルトリファインメント(構造の精密化)された原子位置と空間群を用いることが好ましい。細孔入り口を構成している酸素をそれぞれ対角線で結び、原子間距離が最大のものと最小のものを求める(酸素の大きさを無視し酸素の原子位置の差より求める)。最大と最小の原子間距離から0.27nm(酸素の大きさ)を引いたものを細孔入り口径の最大値、最小値とする。
【0012】
本発明のゼオライトは、細孔入り口径が大きいほど、転化活性及び反応収率が高く好ましい。細孔入り口径の最小値も最大値も0.70nmを越すものが好ましい。また、主空洞は、酸素12員環の細孔入り口径を持つものよりは酸素12員環より大きい細孔入り口径を持つものの方が好ましい。その理由は、明らかではないが、細孔径が大きいとゼオライト細孔内での分子の拡散が早くなるためと考えられる。分子の拡散が遅いと反応速度は遅くなる、即ち反応活性は低くなる。また、拡散速度が遅いと接触時間が長くなりすぎて分解等の副反応が起こり易くなり、反応収率は低くなる。従って、細孔径を大きくしゼオライト細孔内の拡散を良くすることによって、転化活性、反応収率が高くなる。細孔径の上限は特に限定されないが、細孔入り口径の最大値が1.10nm以下が好ましい。特に好ましくは0.90nm以下である。その理由は、明らかではないが、細孔が大きすぎると、大きな分子が生成する場を作ってしまうため、高沸点物が細孔を閉塞し触媒寿命を縮めてしまう可能性があるからである。
【0013】
本発明のゼオライトは、(1)主空洞の細孔入り口径の最小値が0.65nmより大きい、または最大値が0.70nmより大きい、だけでなく(2)主空洞が酸素10員環より大きい細孔と交差していないことが必要である。
【0014】
ゼオライトの細孔構造には、1次元と多次元があるが、本発明においては1次元の細孔が好ましい。1次元の細孔とは一般には主空洞に交差する別の酸素7員環以上の細孔がない細孔構造である。それに対して、主空洞に交差する酸素7員環以上の細孔が存在するものを多次元の細孔構造という。しかし、本発明は後でも述べるように分子サイズの大きな芳香族化合物の転化であり、酸素10員環以下の細孔は、小さすぎて本発明の転化においては細孔が空いていないのも同然である。従って、本発明においては、主空洞に対して、酸素10員環以下の細孔が交差しているゼオライトも実質1次元の細孔構造と見なし、本発明のゼオライトに含まれる。大きな細孔が交差している場合、例えば酸素12員環が交差しているようなβ型ゼオライトではその交差点には非常に大きな空間があり、望ましくない高分子化等が起こり、生成した高分子が細孔を閉塞し、活性劣化がおきやすくなる。これが、本発明でいう1次元の細孔が好ましい理由である。主空洞に交差する細孔は酸素10員環以下なら実質的に貫通する細孔が主空洞以外にないのと同じであるから構わないが、主空洞に交差する細孔は10員環より小さいことが好ましい。
【0015】
以上のような条件をそろえるゼオライトの構造としては、上記要件を満たしていれば特に限定されないが、具体的にはアトラス オブ ゼオライト ストラクチャー タイプス(Atlas of Zeolite Structure types)(ダブリュー.エム.マイヤー,デイー.エイチ.オルソン、シーエイチ.ベロチャー,ゼオライツ(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites,) 17(1/2), 1996)で示されている3文字の構造コードで示すと、VFI,AET,AFI,AFR,AFS,ATS,BOG,BPH,DFO,GME,LTL,MAZ,MEI,OFF、更には、酸素12員環より大きい細孔入り口径を持つゼオライトとして、CFI構造(エム.ヨシカワ(M. Yoshikawa)ら, ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー ビー(J.Phys. Chem.B), 102巻,p7139-7147),UTD-1(アール.エフ.ロボ(R.F.Lobo)ら,ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエテイー(J. Am. Chem. Soc.),119巻、p.8474-8484(1997年))が挙げられる。また、先に記述したSSZ−31も本発明の範囲内である。この中で、好ましくは、AFI,GME,LTL,MAZ,MEI,OFF,CFI,UTD-1、SSZ-31であり、さらに好ましくは、CFI,UTD-1,特に好ましくは、CFI構造のCIT-5である。
【0016】
これらのゼオライトは天然のものでも、合成ゼオライトでも構わない。ゼオライトの組成が自由に制御できるという点で合成ゼオライトの方が好ましい。合成の方法は従来公知の方法が採用できる。構造が解明されていないゼオライトに関しては、細孔入り口径を判断することができないが、このような場合は、大きな結晶を作って単結晶解析法を用いるか、大きな結晶が作れない場合は、エム.ヨシカワ(M. Yoshikawa)らジャーナル オブ フィジカル ケミストリー ビー( J.Phys. Chem.B), 102巻,p7139-7147,1998年)の方法やシー.シー.フレイハルド(C.C.Freyhardt)ら(ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエテイー(J.Am.Chem.Soc.)118巻、p7299〜7310、1996年)を用いて構造を決定することができる。
【0017】
上記に示したものが本発明のゼオライトの具体例として挙げられるが、その組成は、反応によって自由に選択できる。酸触媒反応の場合は、結晶性アルミノシリケート、3価の金属を含む結晶性メタロシリケート、結晶性シリコアルミノフォスフェートが好ましく用いられるが、好ましくは結晶性アルミノシリケート、結晶性ガロシリケートで特に好ましくは結晶性アルミノシリケートである。結晶性アルミノシリケートやメタロシリケートの場合Si/(3価の金属)比(モル比)は、特に限定されないが、好ましくは5〜500であり、さらに好ましくは5〜200、特に好ましくは7〜100である。Si/(3価の金属)比は小さいほど活性点の数が多くなり、好ましい。またSi/(3価の金属)比が大きくなるとゼオライトは疎水性になり有機化合物の転化においては反応基質を吸着しやすいので好ましい。両者のバランスの良いSi/(3価の金属)比を選べばよい。また、過酸化水素による酸化の場合は、結晶性チタノシリケートが好ましく用いられ、亜酸化窒素による水酸化の場合は結晶性鉄シリケートが好ましく用いられる。
【0018】
本発明で用いられるゼオライトがイオン交換点を持つ場合、種々のイオンでイオン交換しても良い。酸触媒として用いる場合は、通常アンモニウム塩の水溶液で数回イオン交換し、焼成することによって酸型のゼオライトとして使用することができる。
【0019】
本発明の触媒に用いるゼオライトは、実質的に1次元の細孔システムのゼオライトであり、結晶が大きいと、反応基質の吸着、生成物の脱離がスムーズに行われず、活性が低くなる。本発明で使用するゼオライトの結晶は、小さい方が好ましい。好ましくは1μm以下であり、更に好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.1μm以下である。結晶の大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で決定できる。
【0020】
ゼオライトは、成型して用いることが好ましい。成形体はゼオライトのみを固めたものでも、アルミナ、粘土などのバインダ−と共に造粒したものでも良い。造粒の仕方は、例えばアルミナなどのバインダーと共に混練りした後、押し出し機で押しだし、マルメライザーでまるめることによって作ることができる。
【0021】
ゼオライトを含む触媒は、通常使用する前に予めゼオライト中の結晶水及び合成時に使った有機物を除去する。通常は200〜600℃で加熱することにより、結晶水及び合成時に使った有機物をほとんど除去することができる。
【0022】
又触媒は、金属を含んでいてもよく、例えば、酸触媒として用いる場合に、触媒寿命を延ばすためには、貴金属を担持して、水素と共存させて反応させることが好ましい。その理由は、明らかではないが、触媒へのプロトンの供給が容易になることとコーキングの抑制が考えられる。担持する貴金属としては特に限定されないが、レニウムが最も好ましい金属である。その理由は、水素化分解活性が低いためと考えられる。
【0023】
本発明は、上記したようなゼオライトを含む触媒と、下記から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物を接触させることを特徴とする芳香族化合物の転化方法である。
記
ジハロゲン化トルエン、トリハロゲン化ベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、クロロキシレン、ジクロロキシレン、ジクロロアニリン。
【0024】
本発明の芳香族化合物は、比較的分子サイズの大きい芳香族化合物に限られる。キシレンやトルエン等の分子サイズの小さい化合物の転化においては従来よく使用されているペンタシル型ゼオライト(MFI)やモルデナイト型ゼオライト(MOR)で十分な触媒性能が得られるが、分子サイズの大きい芳香族化合物においては、十分な性能は得られなかった。本発明は、そのような比較的大きな分子サイズの芳香族化合物を効率よく転化する方法に関するものである。ここで比較的大きな分子サイズの芳香族化合物とは、本発明においては(a)3つ以上の置換基を持つ芳香族化合物、および(b)置換基の少なくとも一つがハロゲンまたは炭素数2以上である2つの置換基を持つ芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物のことであり、具体的には前記から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物のことである。
【0025】
(a)3つ以上の置換基を持つ芳香族化合物とは、ベンゼン環に水素以外の置換基が3つ以上付いたものである。置換基の種類は、例えばハロゲン、炭化水素、水酸基、含酸素炭化水素、含ハロゲン炭化水素、含窒素置換基等が挙げられるが、本発明では、例えば、クロロキシレン、ジクロロキシレン、ジクロロトルエン、トリクロロベンゼン、ジクロロアニリンがあげられる。特に少なくともひとつの置換基がハロゲンであるこのような化合物に有効である。置換しているハロゲンの数が多くなるほど、本発明は有効である。
【0026】
(b)置換基の少なくとも一つがハロゲンまたは炭素数2以上である2つの置換基を持つ芳香族化合物とは、置換基の少なくとも一つが大きいものであることを意味している。例を挙げると、クロロトルエン、ブロモトルエン等である。
【0028】
本発明は、特にハロゲンを置換基として有する芳香族化合物の転化に特に効果がある。その理由は、ゼオライト細孔を大きくすることにより、拡散を良好にし、起こりやすい脱ハロゲン化を抑えることができるためと考えている。
【0029】
本発明は、特定の触媒と、上記したような芳香族化合物を接触させることを特徴とする芳香族化合物の転化方法であるが、転化の種類は特に制限なく、例えば異性化、不均化、トランスアルキル化、アルキル化、酸化、水酸化、アシル化、還元等がある。特に異性化、不均化、トランスアルキル化においては本発明の効果は大きい。その理由は、異性化においては、大きな置換基がゼオライト細孔内で移動しなければならない、不均化、トランスアルキル化においては、反応中間体として、2分子が結合した状態を経ることが考えられるので、大きな細孔径のゼオライトが特に大きな効果を奏すると考えられる。中でも、大きな分子の異性化反応は、不均化等を抑えつつ異性化を進める必要があり、実質的に1次元の大きな細孔を持つゼオライトが特に有効である。例えば、ジクロロトルエンの異性化は既に工業化されているが、従来の触媒では、活性、選択率、寿命共に満足のいくものではない。しかし本発明の方法を使用すれば、活性点当たりの転化能が高い。また、細孔内に大きなスペースを持たないので2量化や3量化等高分子化を防ぐこともできる。また、細孔内拡散も早く、接触時間も短くて分解反応等の副反応も少なくて済む可能性がある。このように本発明は3置換体の異性化反応において特に効果を奏するが、これに限定されるものではない。
【0030】
本発明の方法は、特に、3つ以上の置換基を持つ芳香族化合物、例えば、ジハロゲン化トルエン、トリハロゲン化ベンゼンの異性化を行う際に有効である。具体的には、ジクロロトルエンの異性化、トリクロロベンゼンの異性化を行う際に特に有効である。
【0031】
また、上記芳香族化合物を反応基質として含まなくても、反応過程で、上記化合物が生成し、さらにこれを転化して製品化合物を得る場合は、本発明に含まれる。
【0032】
転化の方法も特に制限はなく、液相、気相の両方が用いられる。反応圧力や反応温度も転化の種類によって違うので、特に制限はない。また固定床、移動床、流動床のいずれの方法も用いられるが、操作の容易さから工業的には固定床流通式が特に好ましい。コーキングなどを抑制するために、水素などを共存させても構わない。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明を実施例をもって説明する。
(CIT-5の合成)
N(16)-メチルスパルテニウム(methylspartenium、以下MeSPAOHと略す) 水酸化物の水溶液は、次のようにして合成した。(-)-スパルテンサルフェートペンタハイドレート((-)-spartteine sulphate pentahydrate(Aldrich)127gを10%NaOH水溶液190gに攪拌して溶かした200mlのトルエンで3回抽出し、200mlの飽和食塩水で1回洗浄、炭酸カリウムで脱水後、ロータリーエバポレーターでトルエンを蒸発させた。500mlのアセトンで乾燥物を回収し、ヨウ化メチル127.7gを攪拌しながらゆっくり加え、白い結晶を析出させた。これをジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。イソプロパノールに溶かしてから再結晶し、イソプロパノールと酢酸エチルの1:2溶液で洗浄して乾燥した。1H−NMRと13CーNMRでN(16)-メチルスパルテニウムヨウ化物であることを同定した。その後水に溶かして、陰イオン交換樹脂(OH型)を用いて、ヨウ化物を水酸化物に変えた。その後ロータリーエバポレーターで濃縮した。
【0034】
シリカ源としてルドックス(Ludox) HS-30(デュポン社製),アルミニウム源として硝酸アルミニウム9水和物(ナカライテスク)リチウム源として無水水酸化リチウム(キシダ化学)、次の組成の混合物を調製した。SiO2:0.1LiOH:0.2MeSPAOH:0.01Al(NO3)3:40H2O(モル比)
この混合物を2時間攪拌した後、テフロン製のオートクレーブで175℃で9日間加熱した。できたゼオライトを濾過水洗し、100℃で乾燥し、X線回折を行ったところCIT-5であることがわかった。このゼオライトの細孔入り口は、酸素14員環で文献(エム.ヨシカワ(M. Yoshikawa)ら、 ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー ビー(J.Phys. Chem.B), 102巻,p7139-7147,1998年)によると約0.73nmのほぼ円状であり、この主空洞に交差する細孔はない。
(触媒調製)
上記CIT-5の乾燥品を打錠成形した。550℃で2時間焼成した後、冷却して粉砕し、12〜60メッシュを分取した。5gの粉砕品に30gの10重量%の塩化アンモニウム水溶液を添加し、80℃で1時間加熱した。デカンテーションで液をきり、30gの水で水洗した。この操作を4回繰り返した後、80℃の水で十分に水洗した。
(比較触媒の調製)
東ソー(株)製モルデナイト(シリカ/アルミナ比(モル比)20:主空洞の大きさは0.65X0.70nmで酸素8員環の細孔が主空洞に交差している実質的に1次元の細孔(文献1))とPQコーポレーションの酸型β(H−β)β型ゼオライト(シリカ/アルミナ比(モル比)23:主空洞の大きさは0.76X0.64nmで主空洞に酸素12員環の細孔が交差している(文献1))についても同様に触媒調製した。これらについては、有機物が含まれていないので成形後の焼成は省略した。
(反応)
上記触媒を、550℃で2時間焼成した後、5酸化2リンを入れたデシケーター中で冷却した。5mlのステンレス製のオートクレーブに2,4−ジクロロトルエン(2,4ーDCT)を3gいれ、これに1gのデシケーター中で冷却した触媒を入れ、密封した。これを330℃のオーブンにいれ3時間保持した。冷却した後、ガスクロで生成物を分析した。
(結果)
活性点当たりの2,4−DCT転化率の相対比は以下のようになった。活性点の数は、ゼオライト中のアルミニウムの量から決定し、転化率は、反応前後の2,4−DCTの減少量から決定した。
【0035】
CIT-5:モルデナイト:β=2.3:1:1.8
高沸点生成物生成量の相対比は以下のようになった。高沸点生成物とは、ジクロロキシレンより大きい分子量を持つ生成物のことである。
【0036】
CIT-5:モルデナイト:β=1:3:4
CIT-5を触媒とした場合、モルデナイト、βに比較して、2,4−DCTの転化率が高く、かつ高沸点生成物の生成量が少ないことがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、大きな分子を、効率よく転化できる。即ち、活性点当たりの、活性は高くなり、高沸点成分の生成なども抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モルデナイト型ゼオライトの主空洞の細孔入り口の立体図を示す図である。
Claims (5)
- (1)主空洞の細孔入り口径の最小値が0.65nmより大きい、または最大値が0.70nmより大きい、かつ、(2)主空洞が酸素10員環より大きい細孔と交差していない、ことを特徴とするゼオライトを含む触媒と下記から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物を接触させることを特徴とする芳香族化合物の転化方法であって、転化が異性化、不均化、トランスアルキル化、アルキル化、酸化、水酸化、アシル化、還元から選択される反応である芳香族化合物の転化方法。
記
ジハロゲン化トルエン、トリハロゲン化ベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、クロロキシレン、ジクロロキシレン、ジクロロアニリン - 主空洞の細孔入り口径の最小値が0.70nm以上であることを特徴とする請求項1記載の芳香族化合物の転化方法。
- 主空洞の細孔入り口径が酸素12員環より大きいことを特徴とする請求項1または2記載の芳香族化合物の転化方法。
- 芳香族化合物がジハロゲン化トルエン及びトリハロゲン化ベンゼンから選択される一種以上である請求項第1〜3項のいずれか記載の芳香族化合物の転化方法。
- 芳香族化合物がジクロロトルエンおよびトリクロロベンゼンから選択される一種以上であって、転化が異性化である請求項第1〜4項のいずれか記載の芳香族化合物の転化方法。
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|---|---|---|---|
| JP34155799A JP4089110B2 (ja) | 1998-12-03 | 1999-12-01 | 芳香族化合物の転化方法 |
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| JP10-344052 | 1998-12-03 | ||
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