JP4089366B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示ディスプレイなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の低コスト化のために、各製造設備のリードタイム短縮、固定費削減、生産性向上が求められている。
【0003】
なかでも、製造設備において、基板のハンドリング、位置決めに要する時間を短縮できること、小型パネルの量産性を向上させることが可能なことから、1枚のガラス基板に電極や誘電体などのPDPの構造物を複数台分、形成した後、割断して一台分毎に分割する、いわゆる多面取りによるPDPの製造方法が有効な手段として考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
これは具体的には、例えば、一枚のガラス基板の複数の領域に対して、電極、誘電体層、隔壁、蛍光体層などの構造物をそれぞれ形成することで複数の背面板を作製し、また、複数の領域に対して、電極、誘電体、MgO保護膜などの構造物をそれぞれ形成することで複数の前面板を作製した後、ガラス基板にスクライブにより前記各領域毎に区切るように溝を形成し、その溝にしたがってガラス基板を各領域毎に割断することで、複数台分の前面パネルあるいは背面パネルを作製するというものである。
【0005】
【非特許文献1】
日経BP社刊、「フラットパネルディスプレイ2002、戦略編」、p138
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような製造方法によって製造したPDPには、点灯不良や絶縁耐圧不良などが発生する場合があり、本発明者らがその原因を検討した結果、以上のPDPの不良は、PDP製造工程はクリーンルーム内で行なわれているにもかかわらず、PDP内部に混入した異物が原因であることが判った。そしてその異物は、分析の結果、ガラス基板であり、混入ルートは、ガラス基板に割断のための溝を形成する際に、チッピングなどにより、ガラスの欠片のようなガラス粉が発生し、それがガラス基板に形成した電極や隔壁など、PDPの構造物に付着し、そのまま製造工程が進行することでPDP内部に持ち込まれるということが判った。
【0007】
ここで、上記ガラス粉のPDPの構造物に対する影響を最小にするために、割断のための溝を、PDPの構造物を形成した面とは反対の面に形成することが有効ではあるが、PDPの構造物は厚膜工程で形成され、例えば100μmの高さの障壁などを有するものであるため、PDPの構造物を形成した後で、その形成した面とは反対の面に溝を、構造物に破損などの影響を与えることなく、精度良く形成することは非常に困難である。
【0008】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、PDPの不良の原因となる、ガラス基板を割断するための溝を形成する際に発生するガラス粉が、PDP製造中に発生することがない多面取り可能なPDPの製造方法を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するために本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、マザー基板のガラス基板に対して、複数に割断可能なように溝を形成する工程と、その後、溝を形成していない方の面にプラズマディスプレイパネルの構造物を形成する工程と、その後、前記溝にしたがって前記ガラス基板を割断することで、複数台分の前面パネルあるいは背面パネルを作製する工程と、その後、前記前面パネルと前記背面パネルとを重ね合わせて封着する工程と、を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、マザー基板のガラス基板に対して、複数に割断可能なように溝を形成する工程と、その後、溝を形成していない方の面にプラズマディスプレイパネルの構造物を形成する工程と、その後、前記溝にしたがって前記ガラス基板を割断することで、複数台分の前面パネルあるいは背面パネルを作製する工程と、その後、前記前面パネルと前記背面パネルとを重ね合わせて封着する工程と、を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態のPDP用のガラス基板の平面図を示すものである。マザー基板であるガラス基板1は、溝2により3つの領域3a、3b、3cに割断可能となっている。ここで、溝2が形成される面は、電極などのPDPの構造物を形成しない方の面である。
【0017】
ここで、ガラス基板1に溝2を形成する形成方法としては、ガラス基板1を製造する際に鋳型等に流し込んだり、ガラス基板1がまだ軟らかい時期に凸形状の型を圧接することにより転造したりして形成する方法や、ガラス基板1に対してスクライブにより形成する方法などが挙げられる。
【0018】
ここで、ガラス基板1の厚さは例えば2.8mmであり、溝2の深さはガラス基板1の厚さの10分の1以下の、例えば0.2mmとしている。これは、PDPはその製造工程において熱プロセスを用いており、その際、ガラス基板1に作用する熱応力により、この溝2を起点としてガラス基板1が割れてしまう場合があるため、それを抑制するためである。板厚が1.5mmから3mmのガラス基板1に対して本発明者らが行なった、42インチサイズのガラス板を2枚、多面取りするという実験によれば、ガラス基板1に対してその板厚の10分の1以上の深さの溝2、例えば板厚が2.8mmのガラス基板1に深さ0.35mmの溝2を形成したガラス基板1では、20枚中5枚が熱プロセス中に溝2を起点として割れてしまったが、溝の深さを10分の1以下、例えば深さを0.2mm以下にすることで、熱プロセス中での割れが大幅に抑制され、ほぼ発生しなくなることを確認している。これは、溝2の深さが浅くなることで、熱応力の集中が緩和されるためと考えられる。また、溝2の深さは、PDP製造工程におけるハンドリングの際のガラス基板1の割れにも大きく影響し、当然、溝2の深さが浅い方がガラス基板1の強度が増し、ハンドリング中に溝2を起点として割れてしまうという問題の発生は抑制される。
【0019】
次に、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法について説明する。
【0020】
まず、最初に、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法により製造されるPDPの概略構造を示す平面図を図2に示す。また図3は、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法により製造されるPDPの、画像表示領域における部分断面を示す斜視図である。両図を参照しながらPDPの構造について説明する。
【0021】
図2に示すように、PDP100は、前面ガラス基板101(図示せず)と、背面ガラス基板102と、N本の表示電極103と、N本の表示スキャン電極104(N本目を示す場合はその数字を付す。)と、M本のアドレス電極107群(M本目を示す場合はその数字を付す。)、および斜線で示す気密シール層121などからなり、各電極103、104、107による3電極構造の電極マトリックスを有しており、表示スキャン電極104とアドレス電極107との交点に放電セルが形成され、放電セルの集合体が画像表示領域123となる。
【0022】
このPDP100は、図3に示すように、前面ガラス基板101の1主面上に表示電極103、表示スキャン電極104、誘電体ガラス層105、MgO保護層106が配された前面パネルと、背面ガラス基板102の1主面上にアドレス電極107、誘電体ガラス層108、隔壁109、および蛍光体層110R、110G、110Bが配された背面パネルとが張り合わされて、前面パネルと背面パネルとの間に形成される放電空間122内に放電ガスが封入された構成となっており、図4に示すように、PDP駆動装置150に接続されてPDP表示装置160を構成している。
【0023】
ここで、表示電極103、表示スキャン電極104、誘電体ガラス層105、MgO保護層106、およびアドレス電極107、誘電体ガラス層108、隔壁109、蛍光体層110R、110G、110BなどがPDPの構造物111である。
【0024】
そして、PDP表示装置160の駆動時には、図4に示すように、PDP100に表示ドライバ回路153、表示スキャンドライバ回路154、アドレスドライバ回路155を接続して、コントローラ152の制御に従い点灯させようとする放電セルにおいて表示スキャン電極104とアドレス電極107に印加することによりその間でアドレス放電を行った後に、表示電極103、表示スキャン電極104間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。この維持放電により、当該放電セルにおいて紫外線が発生し、この紫外線により励起された蛍光体層が発光することで放電セルが点灯し、各色放電セルの点灯、非点灯の組み合わせによって画像が表示される。
【0025】
次に、上述したPDP100について、その製造方法を図1、図2および図3を参照しながら説明する。以下の例は、一枚の基板を3毎の基板に割断する例である。
【0026】
ガラス基板1は、溝2により、製造するPDPの画面サイズである領域3a、3b、3cに割断可能となっている。
【0027】
このガラス基板1の、領域3a、3b、3cそれぞれが前面ガラス基板101として機能できるよう、領域3a、3b、3c上それぞれに対して、各N本の表示電極103および表示スキャン電極104(図3においては各2本のみ表示している。)を交互かつ平行にストライプ状に形成した後、その上を誘電体ガラス層105で被覆し、さらに誘電体ガラス層105の表面にMgO保護層106を形成する。
【0028】
ここで、表示電極103および表示スキャン電極104は、銀からなる電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷により塗布した後、焼成することによって形成する。また、誘電体ガラス層105は、鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷で塗布した後、所定温度、所定時間(例えば560℃で20分)焼成することによって、所定の層の厚み(約20μm)となるように形成する。上記鉛系のガラス材料を含むペーストとしては、例えば、PbO(70wt%)、B2O3(15wt%)、SiO2(10wt%)、およびAl2O3(5wt%)と有機バインダ(α−ターピネオールに10%のエチルセルローズを溶解したもの)との混合物が使用される。ここで、有機バインダとは樹脂を有機溶媒に溶解したものであり、エチルセルローズ以外に樹脂としてアクリル樹脂、有機溶媒としてブチルカービトールなども使用することができる。さらに、こうした有機バインダに分散剤(例えば、グリセルトリオレエート)を混入させてもよい。また、MgO保護層106は、酸化マグネシウム(MgO)から成るものであり、例えばスパッタリング法やCVD法(化学蒸着法)によって層が所定の厚み(約0.5μm)となるように形成する。
【0029】
以上のように、ガラス基板1の各領域3a、3b、3c上に、PDPの構造物111の一部である、表示電極103、表示スキャン電極104、誘電体ガラス層105、MgO保護層106を形成した後、ガラス基板1に予め形成しておいた溝2にしたがって各領域3a、3b、3c毎に割断することで、各領域3a、3b、3cそれぞれを前面ガラス基板101とした前面パネルを3枚作製する。
【0030】
背面パネルも同様に、溝2により、製造するPDPの画面サイズである領域3a、3b、3cに割断可能となっているガラス基板1に対して、各領域3a、3b、3cそれぞれが背面ガラス基板102として機能できるよう、領域3a、3b、3c上それぞれに対して、M本のアドレス電極107を平行にストライプ状に形成した後、その上を誘電体ガラス層108で被覆し、そしてアドレス電極107の間の位置に、同じく平行にストライプ状に隔壁109を形成する。そしてこの隔壁109間に、蛍光体層110R、110G、110Bを塗布して形成する。
【0031】
ここで、アドレス電極107は銀からなる電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷により塗布した後、焼成することによって形成する。また、誘電体ガラス層108は、鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、焼成することで形成する。また、隔壁109も、同じく鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法により所定のピッチで繰り返し塗布した後、焼成することによって形成する。また、蛍光体110R、110G、110Bは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体粒子と有機バインダーからなるペースト状の蛍光体インキを、隔壁109間に、たとえばノズルを用いて塗布し、これを400℃〜590℃の温度で焼成して有機バインダーを焼失させることによって、蛍光体粒子が結着した構造として形成する。
【0032】
そして、前面パネルの場合と同様、上述のようにガラス基板1の各領域3a、3b、3c上に、PDPの構造物111の一部である、アドレス電極107、誘電体ガラス層108、隔壁109、蛍光体層110R、110G、110Bを形成した後、ガラス基板1に予め形成しておいた溝2にしたがって各領域3a、3b、3c毎に割断することで、各領域3a、3b、3cそれぞれを前面ガラス基板101とした背面パネルを3枚作製する。
【0033】
そして、以上のようにして作製した前面パネルと背面パネルを、前面パネルの表示電極103および表示スキャン電極104と背面パネルのアドレス電極107とが直交するように重ね合わせるとともに、パネル周縁に封着用ガラスを介挿させ、これを例えば450℃程度で10〜20分間焼成して気密シール層121(図1)を形成させることにより封着する。
【0034】
そして、一旦、放電空間122内を高真空(例えば、1.1×10-4Pa)に排気したのち、放電ガス(例えば、He−Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによってPDP100が完成する。
【0035】
以上述べたようなPDPの製造方法によれば、PDP100の構造物111を形成する前に予め溝2を形成したガラス基板1を用いることから、PDPの不良の原因となるガラス粉の発生を抑制した多面取りによるPDPの製造方法を実現することができる。
【0036】
ここで、背面パネルは隔壁109を有し、隔壁109間に入り込んだガラス粉などの異物の除去が非常に困難であることから、本発明の効果は、特に背面パネルに対して大きく得られる。
【0037】
なお、上述した例では、ガラス基板1の分割数を3領域とした例を示したが、特にこれに限るものではないことは当然であり、ガラス基板1のサイズと製造するPDPのインチサイズとに応じて分割数を決定すればよい。具体的には、マザー基板として、1600mm×1600mmのガラス基板1を用い、50インチから30インチ程度のインチサイズの領域を割断して得ようとする場合、2〜15の領域に割断されるように、予め溝2をガラス基板1に形成すればよい。
【0038】
また、上述した例では、ガラス基板1に予め溝2を形成する際、その形成面は、PDPの構造物を形成する面とは反対の面という例を示したが、溝2による割断面の形状を良好にするために、ガラス基板1の両面に形成してもよい。この場合にも、溝2の深さは、各溝2とも、ガラス基板1の厚さの10分の1以下にするのがよい。
【0039】
また、必要に応じて、ガラス基板1の溝2によって割断された断面に対して、面取りや研磨などを行なえば、領域3a、3b、3cの割断の際に発生するマイクロクラックによる強度低下を抑制することが可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、PDPの不良の原因となる、ガラス基板を割断するための溝を形成する際に発生するガラス粉が、PDP製造中に発生することがない多面取り可能なPDPの製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネル用のガラス基板の平面図
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構造を示す平面図
【図3】同じく、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの、画像表示領域における部分断面を示す斜視図
【図4】プラズマディスプレイパネルの駆動回路のブロック図
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 溝
3a、3b、3c 領域
101 前面ガラス基板
102 背面ガラス基板
103 表示電極
104 表示スキャン電極
105 誘電体ガラス層
106 MgO保護層
107 アドレス電極
108 誘電体ガラス層
109 隔壁
110R、110G、110B 蛍光体層
111 プラズマディスプレイパネルの構造物
Claims (1)
- マザー基板のガラス基板に対して、複数に割断可能なように溝を形成する工程と、
その後、溝を形成していない方の面にプラズマディスプレイパネルの構造物を形成する工程と、
その後、前記溝にしたがって前記ガラス基板を割断することで、複数台分の前面パネルあるいは背面パネルを作製する工程と、
その後、前記前面パネルと前記背面パネルとを重ね合わせて封着する工程と、
を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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