JP4172243B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示ディスプレイなどに用いるプラズマディスプレイパネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の低コスト化のために、各製造設備のリードタイム短縮、固定費削減、生産性向上が求められている。
【0003】
なかでも、製造設備において、基板のハンドリング、位置決めに要する時間を短縮できること、小型パネルの量産性を向上させることが可能なことから、いわゆる多面取りと呼ばれるPDPの製造方法が有効な手段として考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
これは、PDPの前面板に形成する構造物を、いわゆるマザー基板の複数の領域に対してそれぞれ形成し、その後、マザー基板を複数の領域毎に分割することで、複数台分の前面板を一括して作製する、また同様に、PDPの背面板に形成する構造物を、別の、一枚のマザー基板の複数の領域に対してそれぞれ形成し、その後、マザー基板を複数の領域毎に分割することで、複数台分の背面板を一括して作製するというものであり、生産性良く、前面板あるいは背面板を作製することができるという利点がある。
【0005】
ここで、マザー基板の分割には、例えば、分割する領域毎を区切る溝をマザー基板に設け、その溝にしたがって割断するという方法が採られる。
【0006】
【非特許文献1】
日経BP社刊、「フラットパネルディスプレイ2002、戦略編」、p138
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような製造方法によって製造したPDPには、前面板および背面板を一台分毎、別個に作製することで製造したPDPに比べ、点灯不良や絶縁耐圧不良などが多く見られるという課題が発生した。
【0008】
この課題に対し、本発明者らが種々の実験と検討を行った結果、上述の不良は、PDPの製造工程はクリーンルーム内で行われているにもかかわらず、PDP内部に混入した異物が原因であり、その異物は、分析の結果、マザー基板と同じ材質、すなわちマザー基板の一部であること、および、その混入ルートは、マザー基板から背面板を多面取りする際に、チッピング等によるカレットが発生し、それがマザー基板上に形成した隔壁や蛍光体層などのPDPの構造物に付着し、そのまま製造工程が進行することでPDP内部に持ち込まれたものであるということが判った。特にカレットが蛍光体層上に付着した場合、画像表示への悪影響が大きくなると同時に、蛍光体層は、材料粒子が結着した軟弱な構造であることから、カレットを除去することが非常に困難であるという課題がある。
【0009】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、良好な画像表示を行うことができるPDPを、多面取りによって製造することを可能とするPDPの製造方法を実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するために本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、プラズマディスプレイパネルの構造物を備えたマザー基板から多面取りして得た背面板に対し、洗浄を行ってカレットを除去した後に、蛍光体層を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、プラズマディスプレイパネルの構造物を備えたマザー基板から多面取りして得た背面板に対し、洗浄を行ってカレットを除去した後に、蛍光体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記多面取りが、マザー基板を割断することにより行われることを特徴とするものである。
【0013】
以下、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法により製造されるPDPの概略構造を示す平面図である。また図2は、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法により製造されるPDPの、画像表示領域における部分断面を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、PDP100は、前面ガラス基板101(図示せず)と、背面ガラス基板102と、N本の表示電極103と、N本の表示スキャン電極104(N本目を示す場合はその数字を付す)と、M本のアドレス電極群107(M本目を示す場合はその数字を付す)、および斜線で示す気密シール層121などからなり、各電極103、104、107による3電極構造の電極マトリックスを有しており、表示スキャン電極104とアドレス電極107との交点に放電セルが形成されている。
【0016】
このPDP100は、図2に示すように、前面ガラス基板101の一主面上に表示電極103、表示スキャン電極104、誘電体ガラス層105、MgO保護層106が配された前面板108と、背面ガラス基板102の一主面上にアドレス電極107、誘電体ガラス層109、隔壁110、および蛍光体層111R、111G、111Bが配された背面板112とが気密シール層121(図1)にて張り合わされて、前面板108と背面板112との間に形成される放電空間122内に放電ガスが封入され、表示領域123(図1)を形成した構成となっている。
【0017】
ここで、表示電極103、表示スキャン電極104、誘電体ガラス層105、MgO保護層106、および、アドレス電極107、誘電体ガラス層109、隔壁110、および蛍光体層111R、111G、111Bの、一部もしくは全てを指して、PDPの構造物113と呼ぶものとする。
【0018】
また、背面板112とは、背面ガラス基板102の状態、その上にアドレス電極107を形成した状態、さらに誘電体ガラス層109を形成した状態、さらに隔壁110を形成した状態、さらに蛍光体層111R、111G、111Bを形成した状態の、いずれの状態をも指すものである。
【0019】
図3に、PDP100の一部断面図を示す。隔壁110の間隙寸法Wは、32インチ〜50インチのHD−TVの場合、130μm〜240μm程度となる。
【0020】
そして、隔壁110と隔壁110の間の蛍光体層111R、111G、111Bの、アドレス電極107上における積層方向の厚みLは、各色蛍光体粒子の平均粒径のおよそ8〜25倍程度であることが望ましい。すなわち、蛍光体層111R、111G、111Bに一定の紫外線を照射した時の輝度(発光効率)を確保するために、蛍光体層111R、111G、111Bは、放電空間において発生した紫外線を透過させることなく吸収するために蛍光体粒子が最低でも8層、好ましくは20層程度積層された厚みを保持することが望ましく、それ以上の厚みとなれば蛍光体層111R、111G、111Bの発光効率はほとんどサチュレートしてしまうとともに、20層程度積層された厚みを超えると放電空間122の大きさを十分に確保できなくなるからである。また、水熱合成法により得られた蛍光体粒子のように、その粒径が十分小さく、かつ球状であれば、球状でない粒子を使用する場合と比べ積層段数が同じ場合であっても層構造での充填度が高まるとともに蛍光体粒子の総表面積が増加するため、蛍光体層111R、111G、111Bにおける実際の発光に寄与する蛍光体粒子表面積が増加しさらに発光効率が高まることとなる。
【0021】
そしてPDP100は、図4に示すように、PDP駆動装置150に接続されてプラズマ表示装置160を構成している。
【0022】
このプラズマ表示装置160の駆動時には、PDP100に表示ドライバ回路153、表示スキャンドライバ回路154、アドレスドライバ回路155を接続して、コントローラ152の制御に従い点灯させようとする放電セルにおいて表示スキャン電極104とアドレス電極107に印加することによりその間でアドレス放電を行った後に、表示電極103、表示スキャン電極104間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。この維持放電により、当該放電セルにおいて紫外線が発生し、この紫外線により励起された蛍光体層111R、111G、111Bが発光することで放電セルが点灯し、各色放電セルの点灯、非点灯の組み合わせによって画像が表示される。
【0023】
次に、上述したPDP100について、その製造方法を説明する。
【0024】
まず、前面板108は、前面ガラス基板101に対して、N本の表示電極103および表示スキャン電極104(図2においては各2本のみ表示している。)を交互かつ平行にストライプ状に形成した後、その上を誘電体ガラス層105で被覆し、さらに誘電体ガラス層105の表面にMgO保護層106を形成する。
【0025】
ここで、表示電極103および表示スキャン電極104は、例えば銀からなる電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷により塗布した後、焼成することによって形成する。また、誘電体ガラス層105は、鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷で塗布した後、所定温度、所定時間(例えば560℃で20分)焼成することによって、所定の層の厚み(約20μm)となるように形成する。上記鉛系のガラス材料を含むペーストとしては、例えば、PbO(70wt%)、B2O3(15wt%)、SiO2(10wt%)、およびAl2O3(5wt%)と有機バインダ(α−ターピネオールに10%のエチルセルローズを溶解したもの)との混合物が使用される。ここで、有機バインダとは樹脂を有機溶媒に溶解したものであり、エチルセルローズ以外に樹脂としてアクリル樹脂、有機溶媒としてブチルカービトールなども使用することができる。さらに、こうした有機バインダに分散剤(例えば、グリセルトリオレエート)を混入させてもよい。また、MgO保護層106は、酸化マグネシウム(MgO)から成るものであり、例えばスパッタリング法やCVD法(化学蒸着法)によって層が所定の厚み(約0.5μm)となるように形成する。
【0026】
また、背面板112は、マザー基板を多面取りすることで得る。多面取りの方法として、例えば割断する場合を用いて以下に説明する。ここで、割断とは、亀裂、スクライブ痕等の溝を形成したガラスなどの脆性材料の、板材、棒材などに対し、力を加えてその溝を厚み方向に成長させることで、板材、棒材などを分割する切断方式を指すものとする。
【0027】
図5は、マザー基板1の概略平面図である。溝2により、製造するPDP100の画面サイズである、領域3a、3b、3cの3枚に割断可能となっており、材質は、例えばガラス材料である。そしてマザー基板1に対し、割断後の領域3a、3b、3cそれぞれが背面板112として機能できるよう、割断前の領域3a、3b、3c上それぞれに対して、PDPの構造物113である、M本のアドレス電極107を平行にストライプ状に形成した後、その上を、誘電体ガラス層109で被覆し、そしてアドレス電極107の間の位置に、同じく平行にストライプ状に隔壁110を形成する。
【0028】
ここで、アドレス電極107は銀からなる電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷により塗布した後、焼成することによって形成する。また、誘電体ガラス層109は、鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、焼成することで形成する。また、隔壁110も、同じく鉛系のガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法により所定のピッチで繰り返し塗布した後、焼成することによって形成する。
【0029】
そして、PDPの構造物113を形成したマザー基板1を、溝2にしたがって割断することにより、領域3a、3b、3cそれぞれを背面ガラス基板102とした背面板112を3枚、得る。
【0030】
前述のように、以上の説明は、多面取りの例として割断する場合のものであり、割断せずに、例えばレーザーカット等で多面取りする場合には、マザー基板1には溝2は不要となる場合がある。
【0031】
ここで、割断した直後では、割断により発生したカレットが、背面板112上に形成した隔壁110をはじめとするPDPの構造物113に付着している可能性がある。そこで、マザー基板1を割断して得られた背面板112の洗浄を行う。背面板112の端部近傍についてはブラシ洗浄やメガソニック超音波ノズルによる水洗洗浄が有効である。また、隔壁110に挟まれた領域に入ったカレットについては、基板を純水あるいは洗浄液に浸した状態で、超音波洗浄を行うか、メガソニック超音波ノズルによる流水洗浄が有効である。また、圧搾空気を吹き付けることによる除去も有効であり、これと、前述の洗浄方法とを組み合わせても良い。
【0032】
このようにして、背面板112に付着したカレットを除去した後、必要に応じて乾燥する。さらに、例えばレーザ方式異物検査装置などでカレットの有無を確認した上でPDPの製造工程に投入するようにすれば、歩留まりを向上させることができる。また、この段階で、隔壁110の不良検査を行えば、次工程で、蛍光体層111R、111G、111Bの形成を行う前に隔壁110の不良を見つけることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0033】
そして、以上のように処理した背面板112に対し、その隔壁110間に、PDPの構造物113である蛍光体層111R、111G、111Bを塗布して形成する。
【0034】
蛍光体110R、110G、110Bは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体粒子と有機バインダーからなるペースト状の蛍光体インキを、隔壁110間に、たとえばノズルを用いて塗布し、これを400℃〜590℃の温度で焼成して有機バインダーを焼失させることによって、蛍光体粒子が結着した構造として形成する。
【0035】
ここで、蛍光体インキは、各色蛍光体粒子、バインダ、溶媒とが混合され、1500〜30000センチポアズ(CP)となるように調合されたものであり、必要に応じて、可塑剤、分散剤(0.1〜5wt%)等を添加してもよい。
【0036】
この蛍光体インキに調合される赤色蛍光体としては、(Y、Gd)1-XBO3:EuX、またはY2-XO3:EuXで表される化合物が用いられる。これらは、その母体材料を構成するY元素の一部がEuに置換された化合物である。ここで、Y元素に対するEu元素の置換量Xは、0.05≦X≦0.20の範囲となることが好ましい。これ以上の置換量とすると、輝度は高くなるものの輝度劣化が著しくなることから実用上使用できにくくなると考えられる。一方、この置換量以下である場合には、発光中心であるEuの組成比率が低下し、輝度が低下して蛍光体として使用できなくなるためである。
【0037】
緑色蛍光体としては、Ba1-XAl12O19:MnX、またはZn2-XSiO4:MnXで表される化合物が用いられる。Ba1-XAl12O19:MnXは、その母体材料を構成するBa元素の一部がMnに置換された化合物であり、Zn2-XSiO4:MnXは、その母体材料を構成するZn元素の一部がMnに置換された化合物である。ここで、Ba元素およびZn元素に対するMn元素の置換量Xは、上記赤色蛍光体のところで説明した理由と同様の理由により、0.01≦X≦0.10の範囲となることが好ましい。
【0038】
青色蛍光体としては、Ba1-XMgAl10O17:EuX、またはBa1-XMgAl16O27:EuXで表される化合物が用いられる。Ba1-XMgAl10O17:EuX、Ba1-XMgAl16O27:EuXは、その母体材料を構成するBa元素の一部がEuに置換された化合物である。ここで、Ba元素に対するEu元素の置換量Xは、上記と同様の理由により、前者の青色蛍光体は0.03≦X≦0.20、後者の青色蛍光体は0.03≦X≦0.20の範囲となることが好ましい。
【0039】
蛍光体インキに調合されるバインダとしては、平均分子量3万から10万の、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アクリル樹脂等を用い(インキの0.1〜10wt%を混合)、溶媒としては、α−ターピネオール、ブチルカービトール等の水に対して難溶性の溶剤や、多価アルコール誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、アリルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、グリシドール、テトラヒドロフルフィリルアルコール、t−ブタノール、フリフリルアルコール、プロパルギルアルコール、1−プロパノール、メタノール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、15−クラウン−5、18−クラウン−6、酸化プロピレン、1,4−ジオキサン、ジプロピルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドラフラン、アセトアルデヒド、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、γ−ブチロラクトン、グリセリン、グリセリン1,2−ジメチルエーテル、グリセリン1,3−ジメチルエーテル、グリセリン1−アセタート、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールクロロヒドリン、ジエチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール等のような水に対して自由混合できる溶剤を用いることができる。なお、バインダとして、PMAやPVAなどの高分子を、溶媒として、ジエチレングリコール、メチルエーテルなどの有機溶媒の水を用いることもできる。また、必要に応じて、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、オレイン酸ブチル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、アビエチン酸メチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸−2−エチルヘキシン、2−ニトロビフェニル、ジノニルナフタリン、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルのいずれか1つ以上の可塑剤を添加してもよい。
【0040】
以上のようにして得られた前面板108と背面板112とを、前面板108の表示電極103および表示スキャン電極104と背面板112のアドレス電極107とが直交するように重ね合わせるとともに、パネル周縁に封着用ガラスを介挿させ、これを例えば450℃程度で10分〜20分間焼成して気密シール層121(図1)を形成させることにより封着する。
【0041】
そして、放電空間122内を一旦、真空(例えば、1.1×10-4Pa)に排気した後、放電ガス(例えば、He−Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによってPDP100が完成する。
【0042】
以上述べたPDPの製造方法によれば、背面板112をマザー基板1から多面取りすることで得る際に発生する、PDPの不良の原因となるカレットが、背面板112上に形成したPDPの構造物113に付着したとしても、蛍光体層111R、111G、111Bの形成前であることから、蛍光体層111R、111G、111Bへのダメージを心配することなく洗浄を十分に行って除去することが可能である。そして、洗浄を十分に行った後に、蛍光体層111R、111G、111Bを形成し、前面板108と重ね合わせてPDPを作製するので、PDP内部にカレットが持ち込まれることはなく、また、蛍光体層111R、111G、111B上にカレットが付着することもないので、その結果、良好な画像表示を行うことができるPDPを実現できる。すなわち、良好な画像表示を行うことができるPDPを、多面取りによって製造することを可能とするPDPの製造方法が実現できる。
【0043】
なお、背面板112が、例えば、背面ガラス基板102に隔壁110が一体的に予め形成された状態のもので、その隔壁110間に、アドレス電極107、誘電体ガラス層109を形成した後、割断し、その後、洗浄することで得た背面板112に、蛍光体層111R、111G、111Bを形成するという場合であっても、また、マザー基板1にPDPの構造物として、アドレス電極107、誘電体ガラス層109が形成された状態で、割断し、その後、隔壁110、蛍光体層111R、111G、111Bを形成するような場合であっても、背面板112に蛍光体層111R、111G、111Bを形成するのはマザー基板1からの多面取りの後であることから、本発明の範囲であることは明らかである。
【0044】
また、上記の説明では、多面取りの例として割断を挙げたが、割断以外の、例えばレーザーカット等による場合であっても、多面取りの際、マザー基板1から、PDPに悪影響を与えるカレット等のダストが発生するような切断方法であるならば、本発明により同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、マザー基板1の材質としては、例えばガラス材料を挙げることができるが、特にこれに限るものではなく、多面取りの際、PDPに悪影響を与えるカレット等のダストが発生するような材料であるならば、本発明により同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、前面板108も、背面板112と同様、多面取りにより作製しても構わない。
【0047】
以下、本発明のPDPの製造方法により製造したPDPの性能を評価するために行った、実験について述べる。
【0048】
まず、マザー基板1にアドレス電極107と誘電体層109と隔壁110とを形成した。マザー基板1には、割断により複数の背面板112を切り出すための溝2を、隔壁110を形成した面とは反対側の面に形成した。
【0049】
マザー基板1の割断は、溝2を形成した反対側の面を圧子などで押して力を作用させることで行った。このマザー基板1の割断の際、ガラスの脆性破壊が起こり、カレット等のダストが発生し、それが背面板112の、アドレス電極107を覆う誘電体層109、および隔壁110に付着してしまう。
【0050】
また、割断した背面板112の端部にはチッピングによるマイクロクラックが存在し、そのままの状態で焼成工程を通すと、そのマイクロクラックを起点に背面ガラス基板102に割れが発生する場合があるため、その対策として、端面を例えばアール面取りを行った。
【0051】
次に、割断と端部研磨により発生したカレットを、100kHz程度の超音波が発生する超音波水槽に3分程度ディップすることで除去した。ここで、隔壁110の間に挟まったカレットの除去を容易にするため、例えば、水槽のなかで水流を起こさせたり、水槽の中で背面板112を揺動させることが有効であった。
【0052】
このようにして、超音波洗浄した背面板112はドライエアーによる簡易乾燥の後に、100℃から120℃の熱風中で5分から20分程度乾燥し、室温程度まで冷却した。
【0053】
この時点で、レーザ方式異物検査装置を用いてカレットの有無の確認を行い、除去できなかったカレットが発見された場合に、再洗浄にまわすこともパネルの品質向上に有効であった。また、併せて、隔壁110の形状検査を行い、次工程である蛍光体塗布工程に良品の背面板112のみを提供することも、高価な蛍光体材料の材料使用率を向上させることになり有効であった。
【0054】
次に、スクリーン印刷により隔壁110間に蛍光体インキを塗布して蛍光体膜を形成する方法を説明する。
【0055】
隔壁110と僅かなギャップを介し、隔壁110の形状に対応した開口を有するスクリーン版を配設した。そして、赤色蛍光体インキをスクリーン版上にのばし、スキージによって延展させ、開口からインキを流し込み隔壁110間をインキで満たした。その後、100℃から120℃の温度で、5分から15分程度乾燥させ、室温まで冷却した。同じようにして、緑色蛍光体インキと青色蛍光体インキを塗布、乾燥させることで、赤色蛍光体膜、緑色蛍光体膜、青色蛍光体膜を形成した。
【0056】
ここで、蛍光体層111R、111G、111Bの形成前に、割断ならびに研磨工程で発生したカレットを洗浄により十分に除去し、隔壁110間にはPDPの不良に至る程度のカレットは存在していないので、隔壁110間に蛍光体インキを流し込むことによって形成した蛍光体層111R、111G、111Bの層厚は均一である。また、カレットが原因で起こるスクリーン版の破れも発生せず、良好な蛍光体塗布プロセスの安定性を確保することができることを確認した。
【0057】
また、形成した蛍光体層111R、111G、111B上にもカレットが付着していないことも確認した。
【0058】
そして、上述の背面板112を用いて製造したPDPは、良好な画像表示が可能であることを確認した。
【0059】
ここで、蛍光体層111R、111G、111Bの形成方法は、マザー基板1から複数の背面板112を割断し、カレット除去のための洗浄を行った後、図6に示すような蛍光体インキ塗布装置を用いてディスペンサーノズルから吐出あるいは噴射させながら塗布するというものである。
【0060】
図6は、蛍光体層111R、111G、111Bを形成する際に用いる蛍光体塗布装置200の概略構成図である。
【0061】
同図に示すように、蛍光体塗布装置200は、サーバ210、加圧ポンプ220、ヘッダ230などを備え、蛍光体インキを蓄えるサーバ210から供給される蛍光体インキは、加圧ポンプ220によりヘッダ230に加圧されて供給される。ヘッダ230にはインキ室230aおよびノズル240が設けられており、加圧されてインキ室230aに供給された蛍光板インキは、ノズル240から連続的に吐出されるようになっている。このノズル240の口径Dは、ノズルの目詰まり防止のため30μm以上、かつ塗布の際の隔壁からのはみ出し防止のため隔壁110間の間隔W(約130μm〜200μm)以下にすることが望ましく、通常30μm〜130μmに設定される。
【0062】
ヘッダ230は、図示しないヘッダ走査機構によって直線的に駆動されるように構成されており、ヘッダ230を走査させるとともにノズル240から蛍光体インキ250を連続的に吐出することにより、背面ガラス基板102上の隔壁110間の溝に蛍光体インキが均一に塗布される。ここで、使用される蛍光体インキの粘度は25℃において、1500〜30000CPの範囲に保たれている。
【0063】
なお、上記サーバ210には図示しない攪拌装置が備えられており、その攪拌により蛍光体インキ中の粒子の沈殿が防止される。またヘッダ230は、インキ室230aやノズル240の部分も含めて一体成形されたものであり、金属材料を機器加工ならびに放電加工することによって作製されたものである。
【0064】
なお、蛍光体層を形成する方法としては、上記方法に限定されるものではなく、例えば、フォトリソ法、蛍光体粒子を混合させたフィルムを配設する方法など、種々の方法を利用することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、良好な画像表示を行うことができるPDPを、多面取りによって製造することを可能とするPDPの製造方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構造を示す平面図
【図2】同じく、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの画像表示領域における部分断面を示す斜視図
【図3】同じく、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの一部断面図
【図4】プラズマ表示装置の概略構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法で用いるマザー基板の概略平面図
【図6】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法で用いる蛍光体塗布装置の概略断面図
【符号の説明】
1 マザー基板
100 プラズマディスプレイパネル
107 アドレス電極
108 前面板
109 誘電体ガラス層
110 隔壁
111R、111G、111B 蛍光体層
112 背面板
113 プラズマディスプレイパネルの構造物
Claims (2)
- プラズマディスプレイパネルの構造物を備えたマザー基板から多面取りして得た背面板に対し、洗浄を行ってカレットを除去した後に、蛍光体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記多面取りが、マザー基板を割断することにより行われることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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