JP4094317B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドプラスペクトラムを表示することのできる超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法を併用し、1つの超音波プローブを用いた超音波走査により診断部位の断層像とその血流情報を得ると共に、少なくともその血流情報をリアルタイム表示する超音波ドプラ診断装置が知られている。この装置は、体内の血流等の流れのある診断部位に向けて送受波される超音波のドプラ効果により送信周波数に対して受信周波数が僅かに偏移し、その偏移周波数(ドプラ周波数)が血流速度に比例するといった超音波ドプラ法の原理に基づいて、ドプラ周波数の周波数解析を行いその結果から血流情報を得るものである。
【0003】
上記の超音波ドプラ診断装置では、得られたドプラ信号に対する高速フーリエ変換(FFT)の周波数分析の結果を、縦軸に周波数f、横軸に時間t、各周波数成分のパワー(強さ)を輝度(階調)としてスペクトラム表示したドプラ周波数のスペクトラム画像を対象として、診断で用いる項目(パラメータ)の計測処理が行なわれる。
【0004】
すなわち、この計測処理によれば、1)ドプラ周波数のスペクトラム画像上で、その周波数f軸方向の周波数分布内での最大周波数に対応する最大流速(周波数の絶対値の最大値)Vp(Vpeak)及び平均周波数に対応する平均流速(周波数の絶対値の平均値)Vm(Vmean)の位置を求め、その最大流速Vp、平均流速Vmの位置の時間変化をその時間軸t方向にトレースする(トレース波形検出処理)、2)そのVp、Vmの時間的な位置変化曲線を示すトレース波形上で、心周期(1心拍)毎に心臓収縮期の波形ピークPS(Peak of Systolic)及び心臓拡張期の波形ピークED(End of Diastolic)の同期検出を行う(ピーク検出処理)、3)そのPS/EDの情報を元に、血管内の血液流量や拍動流のHR(Heart Rate:心拍数)、PI(Pulsatility Index)、及びRI(Resistance Index)等の診断に関する各種パラメータ(指標)を計測しその計測値を表示する処理(パラメータ計測処理)が実行される。
【0005】
上記のVp、Vmのトレース波形検出処理、PS/EDのピーク検出処理、PI、RI等のパラメータ計測処理は、フリーズ画像を対象にしてマニュアル操作を基本に行なわれるものであるが、近年では、リアルタイム画像を対象にして自動操作で行なう装置(以下、「超音波ドプラ・リアルタイム・オートトレース診断装置」)も普及してきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した超音波ドプラ診断装置用の超音波ドプラ・リアルタイム・オートトレース診断装置では、Vp、Vmのトレース波形検出処理、PS/EDのピーク検出処理、及びPI、RI等のパラメータ計測処理を行なう際に、スペクトラム信号の感度や、診断部位、或いはスペクトラム画像中に混入する様々なノイズ成分の影響を受けて、誤動作が生じ、誤った計測値を表示してしまうといった問題があった。
【0007】
例えば、Vp、Vmのトレース波形検出処理に関しては、1)スペクトラム画像の周波数方向の辺縁付近ではその中央付近と比べ感度が悪いために、トレース不良が生じやすい、2)クラッタの大きい領域ではトレース不良が多発する、3)スペクトラム画像の0Hz付近を交差する波形ではその正負の符号が変化するために、トレース波形上にスパイク状のノイズが発生してトレース不良が発生しやすい、4)クラッタ等の影響を受けて、平均流速Vmが実際の値よりも低めの位置にトレースされ、計測誤差が生じる等の不具合があった。
【0008】
また、PS/EDのピーク検出処理では、1)スィープ速度に応じたノイズレベル補正がないために同期検出不良が発生しやすい、2)小児/臍帯等の高心拍数の診断領域では同期不良が多発する、3)頚動脈血流は同期がかかり易いが、腎血流は同期がかかりにくい等の不具合があった。
【0009】
さらに、PI、RI等の計測処理では、オート計測値が不安定である等の不具合があった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情を背景になされたもので、ドプラ周波数のスペクトラム信号における最大流速Vp、平均流速Vmのトレース波形検出、PS/EDのピーク検出、及びPI、RI等の計測の各処理において、感度や、診断部位、或いはスペクトラム画像に混入する様々なノイズの影響に起因する誤動作の発生や誤った計測値の表示を回避できる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、Vp、Vmトレース波形検出及びSP/EDピーク検出の処理で用いる各種の制御系パラメータ(表示系パラメータ、調整パラメータ、操作系パラメータ等)の設定、調整、及び新たな制御系パラメータを加えた処理手法の工夫に着想を得て完成されたものである。
【0012】
すなわち、請求項1記載の発明は、被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS(Peak of Systolic)及びED(End of Diastolic)の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、前記ピーク検出手段は、前記トレース波形の情報及び前記被検体に装着させた心電計からの心電波形の情報の少なくとも一方を用いて前記被検体の拍動に同期したトリガを生成する同期トリガ生成手段と、この同期トリガ生成手段により生成される同期トリガを用いて前記PS及びEDを検出する手段とを備え、前記同期トリガ生成手段は、バンドパスフィルタ処理を行なって前記同期トリガを生成するものである。
【0013】
請求項2の発明では、前記操作手段は、前記パラメータとして、前記スペクトラム信号におけるパワー方向の最大値の平滑化時定数を可変する手段を備えている。
【0014】
請求項3の発明では、前記操作手段は、前記パラメータとして、前記スペクトラム信号におけるパワー方向のピーク速度切り出し位置を可変設定する手段を備えている。
【0015】
請求項4の発明では、前記操作手段は、前記パラメータとして、前記バンドパスフィルタの中心周波数及びバンド幅を、自動的に設定する自動設定モード、ユーザが操作して設定するユーザ設定モード、及び標準の固定値に設定する標準設定モードのいずれかを選択する手段を備えたものである。
【0016】
請求項5の発明では、前記操作手段は、前記パラメータとして、前記オートトレース手段の処理で実行されるトレース時のスペクトラム信号の周波数方向のトレース範囲の上限及び下限を可変設定する手段を備えたものである。
【0019】
また、請求項6の発明は、被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS( Peak of Systolic )及びED( End of Diastolic )の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、前記計測手段は、前記トレース手段の処理によるトレース時にトレースエラーが生じた場合、計測すべき計測項目の内の計測可能な項目を判断し、その項目について計測を実行するものである。
【0020】
さらに、請求項7の発明は、被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS( Peak of Systolic )及びED( End of Diastolic )の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、前記操作手段は、表示器のスィープ速度に応じて前記パラメータを補正する手段を備えたものである。
【0021】
一方、請求項8の発明は、被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS( Peak of Systolic )及びED( End of Diastolic )の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、前記ピーク検出手段は、前記スペクトラム信号の周波数方向の正負を交差する際のその符号の違いによるトレースエラーを防止するための水平方向のメディアンフィルタ処理を実行する手段を備えたものである。
【0022】
請求項9の発明は、被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS( Peak of Systolic )及びED( End of Diastolic )の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、前記操作手段は、前記パラメータとして、前記スペクトラム信号のパワー方向におけるピーク速度切り出し位置をその周波数方向に補正する手段を備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る超音波診断装置の実施形態(第1実施例〜第12実施例)を添付図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の超音波診断装置を搭載した超音波ドプラ診断装置の概要図を示す。この超音波ドプラ診断装置(本発明の超音波診断装置を成す)は、超音波断層像(Bモード断層像)を表示するBモード、超音波ビーム方向の反射源の時間的位置変化を運動曲線として表示するMモード、血流情報を表示するドプラモード(パルスドプラ(PW)/連続波ドプラ(CW))、血流情報を二次元的に表示するCFM(カラー・フロー・マッピング)モード等の既知の各種モードに応じて動作可能なものである。
【0025】
図1に示す超音波ドプラ診断装置は、被検体PS内の血流BLを含む診断部位に対し超音波を送信しその超音波エコーをそれに対応する電圧信号に変換して受信する複数の圧電振動子を有する電子走査型の超音波プローブ1と、この超音波プローブ1に接続される装置本体2とを備える。装置本体2には、被検体PSの心電波形(ECG波形)を計測するECGモジュール3が接続される。
【0026】
装置本体2は、装置全体の制御中枢としての全体コントローラ11のほか、この全体コントローラ11からの制御信号に基づきその動作が制御可能な各部(後述)を備える。すなわち、この装置本体2には、超音波プローブ1に接続される送受信部(T/R)21が含まれる。この送受信部21には、図示しない送信側の構成要素として、超音波プローブ1に接続されその各圧電振動子を励振するパルサ、そのパルサに遅延を与えた駆動信号を供給するディレイライン(受信時の遅延も兼用)、及びそのディレイラインに基準クロックを与える基準発信器が、また図示しない受信側の構成要素として、超音波プローブ1の各圧電振動子に接続されたプリアンプ、そのプリアンプの出力信号に遅延を与えるディレイライン、及びそのディレイラインからの遅延を与えた出力信号を整相加算する加算器が、それぞれ内蔵されている。
【0027】
また、装置本体2には、上記のT/R21の出力側に、その加算器出力を対数増幅及び包絡線検波に付す検波器(EP)22と、その検波出力をBモード断層像及びMモード画像等の画像信号として超音波走査から標準TV走査の信号に変換するデジタル・スキャン・コンバータ(DSC)23と、そのDSC23の変換信号をD/A変換器24を介してBモード断層像等として表示する表示器25とが含まれる。
【0028】
また、装置本体2には、上記のT/R21の出力側に、ドプラモード(CW/PW)モード等に関する信号処理系として、2チャンネル構成で基準発信器からの基準信号及びその90度の位相差をもつ基準信号とT/R21の加算器出力を混合する位相検波用のミキサ26と、その混合信号の内の高周波成分を除去してドプラ偏移周波数成分のみから成るドプラ信号を得て、その内、被検体PS内の所望深さ位置(ROIに相当するレンジゲートで指定された位置)のドプラ信号を抽出するローパスフィルタ及びサンプルホールド回路を有するレンジゲート(RG)処理部27と、その出力から比較的動きの遅い血管壁、心臓壁等の不要低周波ドプラ信号を除去して検出すべき血流BLのドプラ信号を抽出するドプラフィルタとしてのハイパスフィルタ(HPF)28と、そのドプラ信号の出力に対し周波数解析を行なってその解析結果であるドプラスペクトラム信号を得て、前述のDSC23に出力する高速フーリエ変換器(FFT)29とが装備される。これにより、表示器25上には、例えばBモード断層像と共にドプラスペクトラム画像が表示される。
【0029】
さらに、装置本体2には、CFMモードに関する信号処理系として、ミキサ25の出力側に、ミキサ26の出力から心臓壁等の不要固定反射信号を除去するMTIフィルタ及びその出力に対し自己相関法を用いて各点の平均速度演算、分散演算、及びパワー演算を行い、その演算結果である二次元の血流情報(血流BLの速度、方向、分散)を前述のDSC23に出力するCFM処理部(CFM・FP)30が接続される。これにより、表示器25上には、例えばBモード断層像上に2次元的に血流情報、例えば、血流BLの速度を輝度、その方向を赤と青、その分散をグリーンの色相とするカラー情報として表示される。
【0030】
また、装置本体2には、本発明の超音波ドプラ・リアルタイム・オートトレース診断装置の要部構成(オートトレース手段、ピーク検出手段、及びオート計測手段)として、レンジゲート処理部27からのドプラスペクトラム信号を入力して、そのスペクトラムの周波数方向の最大速度Vp、平均速度Vmの位置を時間方向にトレースしてそのトレース波形をリアルタイムで検出する機能を有するDSP(Digital Signal Processor)31と、このDSP31からのVp、Vmトレース波形から上述のPS/EDのピーク位置をリアルタイム又はフリーズ後に検出する機能を有するPS/ED検出部32と、このPS/DS検出部32により検出されたPS/EDの情報を元に血管内の血液流量や拍動流のHR、PI、及びRI(Resistance Index)等の診断に関する各種パラメータを計測する機能を有する計測部33とを備える。この内、PS/ED検出部32及び計測部33は、例えば装置本体2に搭載されるコンピュータで実行されるソフトウェア部品を構成するアプリケーション・ソフトとして実装される。
【0031】
上記のDSP31及び計測部33の各出力は、ビデオI/F34を介してDSC23に供給される。これにより、表示器25上には、Vp、Vmのトレース波形の画像上に、PS/ED、及び各計測結果がリアルタイムで表示される。また、DSP31のVp、Vmのトレース波形データは、画像ストレージ部35に保持され、フリーズ後にPS/ED検出部32に供給可能となっている。
【0032】
DSP31は、図2に示す例では、上述のハイパスフィルタ28及びFFT29の機能を一体に搭載して成り、機能上、レンジゲート処理部27からのレンジゲートで指定された被検体PS内の所望位置のドプラ信号から、上述のハイパスフィルタ28と同様の処理を行なって検出すべき血流BLのドプラ信号を抽出するウォール・フィルタ(Wall Filter)41と、その抽出されたドプラ信号をシネメモリバッファ42を介して入力し、上述のFFT29と同様の処理を行なってそのドプラスペクトラム信号を得るFFTスペクトラム処理部43と、そのスペクトラム信号からVp、Vmのトレース波形を得るVp、Vmトレース波形検出処理部44と、そのVp、Vmのトレース波形を入力する表示用オーディオ・ビデオ・バッファ45とを備える。
【0033】
また、このDSP31には、FFTスペクトラム処理部43からのドプラスペクトラム信号を音声信号(ドプラ音)に変換して表示用オーディオ・ビデオ・バッファ45に出力するオーディオ処理部46と、ECGモジュール3からのECG波形データに所定の波形処理を施して表示用オーディオ・ビデオ・バッファ45に出力するECG波形処理部47と、上述の検波器(EP)22からのMモード像等の検波出力やCFM処理部(CFM・FP)30からの二次元的な血流情報に所定のカラー処理を施して表示用オーディオ・ビデオ・バッファ45に出力するM/Mカラー処理部48とを備える。
【0034】
これにより、Vp、Vmトレース波形検出処理部44からのトレース波形データは、表示用オーディオ・ビデオ・バッファ45からピンポンバッファ34aを介してビデオ・インターフェース34に供給され、表示器25上でVp、Vmのオートトレース波形としてリアルタイム表示される。また、オーディオ処理部46からのドプラ信号の音声信号は、表示用オーディオ・ビデオ・バッファ45からピンポンバッファ34aを介してオーディオインターフェース38に供給され、オーディオ出力器(スピーカ)から音声出力される。
【0035】
また、図2に示す例では、Vp、Vmトレース波形検出処理部44からのトレース波形データは、PS/ED検出部32(図2中ではCPU32aの処理により実行されるピーク検出処理部32bを有する)及び計測部33(図2中では、リアルタイムオート計測処理部33a及びシネ・フリーズ後の再計測処理部33bの機能上の各部を有する)を介して、オーディオインターフェース38に供給され、表示器25上で、Vp、Vmのオートトレース波形に加え、PS/EDの情報に基づくオート計測値としてリアルタイムに数値表示される。
【0036】
上記のDSP31及びPS/ED検出部32には、図1に示すように、パラメータ設定回路36が接続又は内蔵され、このパラメータ設定回路36は、本発明の操作手段を成すオペレータ操作用のユーザーインターフェース37に接続される。
【0037】
ユーザーインターフェース37には、図1に示すように、装置本体2の操作パネル上の各種操作器(スイッチ、ジョイスティック、キーボード、マウス等)からの操作信号(パラメータ設定等)を入力する操作パネル回路38と、その操作パネル上に搭載されたTCS(タッチ・コマンド・スクリーン)の画面上からの操作信号(パラメータ設定等)を入力するTCS回路39と、表示器23上のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)からの操作信号(パラメータ設定等)を入力するGUI回路40とが含まれる。なお、上記のレンジゲート(ROI)指定は、このユーザーインターフェース37により操作可能となっている。
【0038】
図3(a)及び(b)は、ユーザーインターフェース37を通してパラメータ設定回路36で設定すべき制御系パラメータ(DSP31及びPS/ED検出部32用)の内、DSP31のVp、Vmトレース波形検出処理部44により実行されるVpトレース波形の検出アルゴリズム用のパラメータ設定例の原理を説明するものである。
【0039】
図3(a)は、DSP31のFFTスペクトラム処理部43による処理で選られるスペクトラム画像(X軸:時間、Y軸:周波数、輝度(階調):パワー)を示す。このスペクトラム画像を用いて、DSP31のVp、Vmトレース波形検出処理部44の処理により、その周波数方向の最大周波数fpに相当する最大流速Vpの位置がその時間方向にトレースされる。
【0040】
図3(b)は、周波数方向の最大流速Vpの位置を決定するパラメータ設定例を説明するもので、その一例として、図3(a)に示すスペクトラム画像の時刻(A)の時相でのパワースペクトラム(X軸:パワー、横軸:周波数)を示す。このパワースペクトラム上での最大流速Vpの切り出し位置(スレシホールドレベル)Pxは、パワー最大値を示すパワーレベルP1と、時間平均及び周波数平均で得られたノイズレベルを示すパワーレベルP0との間で、後述するノイズ閾値Aを用いて、Px=P0+A*(P1−P0)の関係式で決定される。
【0041】
この場合、パワー最大値は、一般の例では、時間方向に時々刻々変化することが知られている。このため、上記式中のパワー最大値のレベルP1が変動し、これに追従して最大流速Vpの位置Pxも変化することから、オートトレースが不安定になる。これを安定化させるために、例えば1次のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ等の平滑化フィルタを用いて1コラム( Column )毎(コラム・バイ・コラム)に逐次、パワー最大値を平滑化する処理を施す。この平滑化フィルタでは、その平滑化用の時定数が固定値のままであれば、診断部位や患者や装置動作条件によっては良好なリアルタイムトレース波形を得ることが困難となる。
【0042】
そこで、本実施例では、この平滑化フィルタの時定数を調整可能な可変パラメータとしてユーザーが自由に操作できるようにユーザーインターフェース37の機能として加えた。これにより、診断部位や患者や装置動作条件によって、リアルタイムオートトレース時のトレースラインの時間安定性が向上するようになった。
【0043】
また、上記のノイズ閾値Aは、図3(b)に示すスペクトラム画像の時刻(A)でのパワースペクトラム上において、パワー最大値のパワーレベルP1と、時間平均周波数平均したノイズレベルP0との間を100%としたときの最大流速Vpのパワー(階調)方向での切り出し位置の比率を決めるパラメータに相当する。このパラメータは、固定値のままであれば、診断部位や患者や装置設定条件によりS/N比が変化すると良好なリアルタイムトレース波形が得られなくなる。
【0044】
そこで、本実施例では、このノイズ閾値Aを上記の平滑化フィルタの時定数と同様に可変パラメータ(ノイズ閾値Aを調整する制御系パラメータ)としてユーザーが自由に操作できるようにユーザーインターフェース37の機能として加えた。このノイズ閾値Aを変化させると、最大流速Vpの階調方向の切り出し位置が変化する。例えば、ノイズ閾値Aの値を上げると最大流速Vpの階調方向の切り出し位置が高くなり、その結果、最大流速Vpの周波数方向の位置がDC(直流成分)側に近づく。これにより、リアルタイム又はフリーズ後の計測用トレースラインの階調方向の微調整も可能となった。
【0045】
図4は、上記の平滑化フィルタの時定数及びノイズ閾値をそれぞれ可変パラメータとして調整するユーザーインターフェース37の一例を示す。これは、例えば装置本体2の操作パネル上に搭載されるTCS(タッチ・コマンド・スクリーン)上の操作画面例で、例えばPW/CWのドプラメニュー上の操作スイッチとして、上述のオートトレース処理の動作ON/OFFスイッチSW1と、パラメータ調整用ダイアログ起動スイッチSW2が設定される。
【0046】
この内、パラメータ調整用ダイアログ起動スイッチSW2がONされると、TCS操作画面上にパラメータ調整用ダイアログW1が表示される。このダイアログW1上に、上記の平滑化フィルタの時定数を可変パラメータとして調整する上下(UP/DOWN)操作スイッチSW3と、ノイズ閾値を可変パラメータとして調整する上下(UP/DOWN)操作スイッチSW4とが設定される。その他、このパラメータ調整用ダイアログW1上には、その他のユーザーインターフェース37として、トレースの種類(Vp、Vm、両方(Vp、Vm))を選択可能な操作スイッチSW5や、トレースライン描画の極性(正(+)、負(−)、両方(+、−))を選択可能な操作スイッチSW6等が設定される。
【0047】
このユーザーインターフェース37上の各操作スイッチSW3〜SW6等で操作されたパラメータは、TCS回路36からパラメータ設定回路36にて、DSP31及びPS/ED検出部32の各処理で使用可能に設定される。
【0048】
従って、上記のユーザーインターフェース37によれば、診断部位に応じて、スペクトラム信号のパワー最大値の時間変化を時間的に安定させるために平滑化処理を施す平滑化フィルタの平滑化用の時定数を制御系パラメータとして可変で調整でき、このスペクトラム信号のパワー最大値の平滑化時定数を上下に変化させることにより、トレースラインのカーブの滑らかさを制御できる。この場合、平滑化フィルタの時定数を上げると、スパイクノイズ部分は平滑化されて低減する反面、PS検出精度は劣化するといったトレードオフの関係があるため、診断部位とS(信号)/N(ノイズ)比に応じて最適化することが望ましい。
【0049】
また、上記のユーザーインターフェース37によれば、診断部位に応じて、スペクトラム信号のパワー最大値と、ノイズレベルとの間でその最大流速VPの階調方向の切り出し位置(スレシホールドレベル)を決めるノイズ閾値を制御系パラメータとして可変で調整でき、ピーク速度のスペクトラムからの切り出し位置を制御できる。このパラメータを上げると、輝度のより高い信号を血流波形として利用でき、画像の感度に応じてトレース位置を微調整することができる。
【0050】
上記のように、本実施例によれば、ユーザーインターフェース37によるユーザ操作により、リアルタアイム/フリーズ画像でのトレースラインの時間方向、階調(パワー)方向の画質補正が可能となり、これにより計測条件の補正ができる。
【0051】
(第2実施例)
従来では、上記のオートトレース処理により、トレースエラー発生時に全てのオート計測値がエラー表示され、例えば数心拍分の計測値がエラー表示のために計測数値表示上の計測項目の全てが計測不可(NG)になる。これを改善するため、本実施例では、上記構成に加え、さらにトレースエラー発生時に全てのオート計測値のエラー表示を止め、計測に影響のない計測項目については一部表示する処理を追加する。
【0052】
この処理は、例えば前述の計測部33により実行される。その実行時の処理シーケンスの例としては、例えばトレースエラー発生か否かをエラーコマンド等により判断し、その発生と判断される場合には、計測可能な項目があるどうかを判断後、計測可能な項目があればその項目に関して計測を実行してその計測値を数値表示させ、計測不可の項目はエラー表示させる処理が例示できる。
【0053】
図5は、表示器上で表示されるオート計測項目の表示例で、従来例の方式によるオート計測と、本実施例の方式で変更後のオート計測とを比較して説明するものである。この例は、いずれも心拍同期毎にオート計測値を自動更新していくもので、従来例の方式によれば、一心拍中にトレースエラーが発生するとその心拍中の計測項目の全てがエラー表示になっているのに対し、本実施例では、上記の計測部33による処理により、計測に影響のない計測項目については表示される。
【0054】
図6は、オート計測のトレースエラーで計算表示可能な計測項目の例を説明するものである。この例では、PSのトリガポイント以外に発生したトレースエラーによってダメージを受ける可能性のある計測項目は、14項目中、VMIN、VMP、VMM、PI(a)、PI(b)、RI(b)の7項目(図中の○表記)であり、その他の7項目(図中の×表記)はそのダメージを受けないために計測に影響がない。
【0055】
また、トレースエラー以外で、後述する心拍同期検出エラーによる同期外れが生じると、HR、PS、及びEDの値自体が誤りなので計測値全体に影響を及ぼす。従って。同期外れによる心拍同期検出エラーの場合には、全ての計測項目が計測不可となる。この同期外れか否かの判断処理は、例えば前述の計測部33により実行される。この場合の処理シーケンスとしては、PSと次のPSの時間間隔を元に通常の心拍範囲外であれば同期外れと判断する処理例を例示できる。
【0056】
従って、本実施例によれば、従来、数心拍分の計測値がエラー表示になり、計測数値表示上の計測項目の全てが計測不可であったものが、例えば14項目中8項目はトレースエラーが発生しても計測精度には影響を受けずに一部表示可能となるため、情報を不用意に欠落させないユーザーメリットのある機能を提供できる。
【0057】
(第3実施例)
従来では、表示画像をベースに一様にトレースパラメータを設定していたが、本実施例では、上記構成に加え、トレースのスィープ( Sweep )速度に応じて、トレース処理で用いるパラメータ(平滑化フィルタの時定数、パワー最大値、PS探索範囲等の各調整用パラメータ)を自動補正する機能を追加する。この機能を図7及び図8を参照して説明する。
【0058】
図7は、前述したPS/ED検出部32の機能ブロック図の一例を示す。この例において、PS/ED検出部32は、その機能上、DSP31からのVp等のドプラトレース波形データを受ける信号極性オフセット補正処理部51のほか、その出力側に順次接続される、ローカル最大値検出処理部52、スパイクノイズ検出処理部53、ジグソーノイズ検出処理部54、有効なPS/ED判定PSサーチ処理部55、及びエラー検出部56と、信号極性オフセット補正処理部51の出力側に接続され、同期トリガを検出して有効なPS/ED判定PSサーチ処理部55に出力する心拍同期検出処理部57とを備える。心拍同期検出処理部57は、その機能上、同期検出波形選択処理部58、同期検出トリガ発生処理部59、同期トリガ選択処理部60を有する。
【0059】
また、上記のPS/ED検出部32は、パラメータ設定回路36にて設定された各種パラメータ(表示系パラメータ(表示高さ、ベースライン、反転等)、調整パラメータ(スパイクノイズ検出幅、ジグソーノイズ検出幅、ピーク比較減衰時定数、PS探索範囲等)、操作系パラメータ(同期検出波形選択、同期トリガ選択)、調整パラメータ(トリガ検出器動作モード選択、BPFのバンド幅、BPFの中心周波数、アダプティブモード設定等))が入力可能となっている。
【0060】
上記構成によれば、信号極性オフセット補正処理部51にて、パラメータ設定回路36からのパラメータ設定値であるトレースの極性(正、負、両方)やベースラインオフセット等に応じて、DSP31からのVp等のドプラトレース波形信号が、ベースラインがオフセットされて片極性に整形された後、正規化され、その振幅レンジを一定とする処理が実行される。
【0061】
次いで、ローカル最大値検出処理部52にて、トレース波形信号の極値を示す最大点、、最小点(以下、極大点、極小点という。)が検出され、スパイクノイズ検出処理部53にて、パラメータ設定回路36からのパラメータ設定値を元に、その極大点、極小点の内、ピーク位置前後の波形の傾き(微分係数)が大きいものが除去される。次いで、ジグソーノイズ除去処理部54にて、パラメータ設定回路36からのパラメータ設定値を元に、残りの変曲点の内、小刻みな波形の振動を示すものがピーク値の大小を元に判断され除去される。
【0062】
そして、有効なPS/ED判定PSサーチ処理部55にて、パラメータ設定回路36からのパラメータ設定値と、心拍同期検出処理部57からの同期トリガとを元に、PSと次のPSの時間を判断し同期誤動作を減らす処理が、例えば後述する段落【0075】,【0076】のように実行され、これにより判定されたPS/EDのペアがエラー検出処理部56を介して前述の計測部33に出力される。
【0063】
上記構成による極大点、極小点のエラー検出処理は、主にジグソーノイズ及びスパイクノイズを除去することで実行される。このスパイクノイズの検出範囲、ジグソーノイズの検出範囲は、スィープ速度によらずコラム単位であり、1コラムあたり2[mS]から17[mS]程度の時間間隔の変化があったため、同じトレース波形でもスィープ速度を変化させると追従できない。
【0064】
そこで、本実施例では、時定数がコラム単位でなく[mS]単位の絶対時間単位で一定になるようにしたため、従来と比べると、スィープ速度変更時でも、トレースエラーが発生しにくく、同様にPSと次のPSのサーチ範囲も、絶対時間を使用することで、より安定になるといった効果が得られる。これにより、スィープ速度によって平滑化フィルタの時定数、スペクトラム信号の最大値、PS探索範囲の各パラメータの効き方が変化するため、これらを補正する処理を入れることで、従来のように表示画像をベースに一様にトレースパラメータを設定する場合と比べ、トレースエラーが減り、同期検出の安定性が向上することが確認された。
【0065】
(第4実施例)
従来では、トレース波形からPS/EDの同期検出をしていたが、本実施例では、上記構成に加え、ECGモジュールで得られるECG波形データからも、PS/EDの同期検出を可能とする機能を追加する。
【0066】
例えば、前述した図7に示す構成例において、本実施例では、トレース波形で求まる心拍トリガか、ECG波形で求まる心拍トリガかを選択するパラメータのプリセットを追加することで、ECGモジュール3からのトリガか、トレース波形からのトリガかを切替え、前述した有効なPS/ED判定PSサーチ処理部55に入力すべき同期トリガとして選択可能となっている。
【0067】
従って、本実施例によれば、スペクトラム情報から心拍トリガが検出できないような低感度や不安定な診断部位に対しても、ECG心拍同期を利用して安定した計測が可能になる。なお、本実施例では、ECGモジュールが超音波診断装置に装備されていない場合、自動的にトレース波形のトリガを選択する切替論理を組み込むことが望ましい。
【0068】
(第5実施例)
従来では、前述したPS/ED検出部32は、コラム毎(コラム・バイ・コラム)の逐次検出を行なう処理方式に基づく構成である。この方式は、コラム毎に波形を認識するものであるため、心拍同期検出性能が悪く、例えば一心拍中に複数のPSトリガを検出したり、ノイズの影響により、誤った時刻にトリガを発生したりする等の誤動作が多く発生するといった問題がある。
【0069】
本実施例では、これを改善するため、PS/ED検出部32内に心拍同期検出処理部57を加え、バンドパスフィルタ(BPF)を用いて同期検出を行なう方式に変更する。この方式では、同期トリガ検出、トリガ発生機能を追加し、周波数軸上で同期周波数を検出するものであるため、従来のコラム・バイ・コラムによる方式と比べ、誤動作を減らすことができる。
【0070】
図8は、前述したPS/ED検出部32の各部の処理段階に沿って、上記のBPFを用いた検出方式の効果を従来例の検出方式と比べて説明するものである。図8中の例では矢印に沿って左端から右端に処理が進む。この例において、まず、PS/ED検出部32による最初の処理段階として、信号極性オフセット補正処理部51による信号極性とオフセットの調整後、ローカル最大値検出処理部52にて、PS/ED候補となる極大点、極小点(図8中の例では、PS候補:▼(黒の下向き三角マーク)、ED候補:△(白の上向き三角マーク))が検出される。
【0071】
図8によれば、PS/ED候補となる極大点、極小点は、一心拍中に複数存在することが分かる。これらPS/ED候補のペアから、スパイクノイズ検出処理部53及びジグソーノイズ検出処理部54にて、それぞれスパイクノイズ及びジグソーノイズと判定されるものが検出され、次段の有効なPS/ED判定PSサーチ処理部55にて、有効なPSが検出される。図8中の上段右端が従来例の検出方式による最終的なPS/EDの検出結果を、また下段右端が本実施例のBPFを用いた検出方式によるPS/EDの検出結果をそれぞれ示す。
【0072】
その最終のPS/ED検出結果によれば、従来例の検出方式では、4つのPSが存在し、その内、図中の左側から3番目のPSに着目すると、本来ではスパイクノイズ検出処理で除去できなかった太めのスパイク状のノイズであるが、PSサーチ範囲が及ばないためにエラーとみなされず、PSとして検出されていることが分かる。また、図中の左側から3番目のPSと4番目のPSとの中間部にある比較的山の小さい、すなわち速度の遅い波形ピークは、本来であれば、PSとして検出すべきものである。さらに、左側から4番目のPSは本来検出すべきものであるが、PSサーチ範囲外のためにエラー判定とされる。
【0073】
上記の一連のエラー原因は、1つ前のPS位置から次のPS候補の時間を測定し、次候補を決める時間軸上の論理に起因している。従って、何れかの原因により、一度PSを取り外すと不安定な状態が長く続いてしまい、オート計測が不能になったり、著しい計測誤差が発生することになる。
【0074】
これに対して、本実施例の方式では、信号極性オフセット処理部51による信号極性とオフセットの調整後、心拍同期検出処理部57にて、BPF通過後に滑らかになったトレース波形の極大点、極小点から心拍同期(図8中のハートマーク参照)が検出され、その心拍同期の間(1心拍間)で、スパイクノイズ除去/ジグソーノイズ除去後に複数存在するPSから最も妥当なもの(例えば、周波数が最大のもの)を1個だけ検出する処理を行なってPSが判定される。
【0075】
従って、本実施例の方式では、図8に示すように、従来のPS検出方式ではPSと判定されている3番目のものがPS候補から外れ、従来の3番目のPSと4番目のPSとの中間にあった波形ピークをPSとして検出され、4番目のPSも正常に検出されることになる。
【0076】
従って、本実施例によれば、BPFを用いた同期検出方式により、周波数軸上で安定した心拍周波数付近の成分のみを同期検出に使用するため、心拍同期検出処理の性能がより向上するといった効果が得られる。
【0077】
(第6実施例)
本実施例では、前述したBPFを用いた同期検出機能に加え、診断部位毎にBPFの中心周波数/バンド幅を設定する機能と、自動設定機能、すなわち「自動設定(Auto)」、「ユーザ設定(User)」、及び「標準設定(Fix)」の各モード選択を機能を追加する。この機能は、例えばユーザーインターフェース37、パラメータ設定回路36、及びPS/ED検出部32に搭載される。
【0078】
図9は、BPFを用いたPS/ED検出部32内の心拍同期検出部57の詳細を説明するものである。この心拍同期検出部57は、その同期検出トリガ発生処理部59内に、機能上の各部として、図に示すように、信号の正規化処理部61、バンドパスフィルタ(BPF)62、トリガ判定処理部63、レベル比較器64、同期トリガ座標出力部65、係数変換計算処理部66、バンドパス係数計算処理部67、及びアダプティブBPF周波数解析処理部68を備える。
【0079】
この構成によれば、信号の正規化処理部61にて、信号の振幅レンジが正規化され、BPF62を通過後、トリガ判定処理部63及びレベル比較器64にて、そのトリガの判定及び切り出し処理が行なわれ、その切り出した信号が同期を検出するトリガとして同期トリガ座標出力部65にて出力される。このときのBPF62の中心周波数やバンド幅に応じた係数は、係数変換計算処理部66及びバンドパス係数計算処理部67にて計算され、BPF62に与えられる。
【0080】
上記の機能によれば、「自動設定」モード選択時にはBPF62の中心周波数とバンド幅を自動的(アダプティブ)に設定でき、「ユーザ設定」モード選択時には診断部位毎にBPF62の中心周波数とバンド幅をプリセットでき、「標準設定」モード選択時にはBPF62の中心周波数とバンド幅は、標準の固定値に設定できる。このときのBPF62のバンド幅は、例えばオクターブ単位で設定し、BPF62のバンド幅及び中心周波数は、患者の年齢や診断部位によってプリセットする。これにより、診断部位の心拍数やトレース波形に応じた同期検出誤動作の少ないBPF62の動作条件を設定できる。
【0081】
上記の機能に関連して、アダプティブBPFのON/OFF選択を行なう機能を加えると、ON選択時には、BPF62のバンド幅の値が有効でその中心周波数の値が自動設定となり、OFF選択時にはBPFのバンド幅及び中心周波数の値が有効となる。
【0082】
(第7実施例)
本実施例では、上記構成に加え、前述した自動設定機能として、プリBPF処理後、共分散処理にて信号の基本波成分を検出し、それに応じたBPF設定を自動的に行なう機能を追加する。
【0083】
この機能では、前述した自動設定モード選択時にBPF62の中心周波数を検出するためにその前段にプリBPFを追加し、例えば20Hzから200Hzの帯域制限を加える。これにより、トレース波形の含む高調波成分やDC(直流)成分を除去し心拍周期の主成分が抽出しやすくなる。
【0084】
また、プリBPFを通過した信号を共分散処理やFFTスペクトラム解析等を用いてその中心周波数を計算し、その中心周波数を利用してBPF62の中心周波数をアダプティブに移動させることにより、診断部位や患者に応じた検出条件を設定することができる。
【0085】
前述したアダプティブBPF周波数解析処理部68は、トレース波形の周波数分析を行ない心拍同期の中心周波数を求め、その中心周波数に応じたBPFの中心周波数の計算を行なうものである。すなわち、このアダプティブBPF周波数解析処理部68は、プリBPFにてトレース波形をある程度平滑化し、共分散分析処理にてその中心周波数を計算し、それに応じたBPFの中心周波数又は中心周波数のばらつき(分散)を計算し、最適なBPFのバンド幅を計算し、ここでのBPFの中心周波数とバンド幅をリアルタイムで計算し、BPFに与える係数としてフィードバックする。
【0086】
図10(a)及び(b)は、トレース波形のプリBPF処理による効果を説明するもので、図10(a)は、トレース波形及びそのパワースペクトラム、図10(b)は、プリBPF(20Hz〜200Hz)通過後の波形及びそのパワースペクトラムをそれぞれ示す。
【0087】
この例は、頚動脈血流の実際の観測波形であるが、図10(a)に示すトレース波形そのものには心拍同期周波数成分以外に、2倍高調波、3倍高調波、4倍高調波が多く含まれているのが分かる。これに対し、この信号に対しプリBPF処理を施すと、図10(b)に示すように波形が滑らかになると同時に、心拍同期成分の基本周波数のスペクトラムピークが捉えやすくなるといった効果が得られる。
【0088】
図11(a)及び(b)は、アダプティブBPF信号処理の効果を説明するもので、図11(a)は、アダプティブBPF通過後のトレース波形、図11(b)は、正側のみを通過させる整流処理後の波形の例をそれぞれ示す。
【0089】
この例では、プリBPF通過後の信号に対し共分散処理を施し、その共分散出力に1次モーメントを利用した荷重平均処理を行い、その中心周波数を小数点で精度良く求める。そして、その中心周波数を元にアダプティブBPF処理のフィルタ係数を計算し、トレース波形に対しBPF処理を施し(図11(a)参照)、その後で、片側の極性でその信号を切り取り(図11(b)参照)、その極大点、極小点をトリガ位置として検出する。
【0090】
この場合、前述したPS候補の時間位置と、極大点、極小点で検出したトリガの時間位置が一致するのを避けるために時間方向に多少(例えば、数コラム)のオフセットを持たせることが望ましい。
【0091】
(第8実施例)
本実施例では、上記構成に加え、バンドパスフィルタを用いて同期検出した心拍トリガと、ECGモジュールで得られるECGトリガとを切り替えて入力し、PS/ED候補から最適なPS/EDを検出する機能を追加する。この機能によれば、前述の同期トリガ発生処理部に入力する信号(心拍同期トリガを検出するための元の信号)を選択することが可能となる。すなわち、ECG選択時には波形データ、Vp選択時にはVpのトレース波形データ、Vm選択時にはVmのトレース波形データを同期検出の入力として選択することができる。
【0092】
これにより、診断部位や患者に応じた最適な検出条件を設定できる。なお、プリBPF処理、BPF処理された信号は、片極性に整流され心拍同期相当分の波の片側として処理され、その極値の時間軸座標(厳密にはオフセット時相補正を持つ)を同期トリガとして出力される。
【0093】
(第9実施例)
従来では、スペクトラムの周波数軸の全域を最大流速Vp値のトレース範囲として固定していたが、臍帯動静脈が同時に混在したスペクトラム画像では、例えば臍静脈部分を無視して動脈流をオートトレースする必要がある。そこで、本実施例では、上記構成に加え、Vpトレース範囲の周波数軸上の上限と下限を定め、その範囲のみをオートトレースする機能を追加した。この機能を実現する要部構成の例を図12に示す。
【0094】
図12に示す構成では、装置本体内に、ウォール・フィルタ用カットオフ周波数、トレース範囲のマニュアル設定値、トレースの方向、ノイズ閾値、平滑化フィルタの時定数、及びスィープ速度等のパラメータを操作するユーザーインターフェース37のほか、そのパラメータの出力側に接続されるパラメータ設定回路36、及びDSP31内のFFTスペクトラム処理部43、及びVp、Vmトレース波形検出部44が含まれる。
【0095】
パラメータ設定回路36には、その機能上の各部として、ウォール・フィルタ用カットオフ周波数fcを入力してそのカットオフ係数を計算しその計算値をFFTスペクトラム処理部43に出力する処理部(ウォール・フィルタ用カットオフ係数計算処理部)71と、ウォール・フィルタ用カットオフ周波数fc用のインターフェース72と、トレース範囲のマニュアル設定値用のインターフェース73と、両インターフェース72、73を介して入力される設定値を元にトレース範囲を計算しその計算値をVp、Vmトレース波形検出部44に出力する処理部(トレース範囲用の計算処理部)74とが含まれる。
【0096】
また、このパラメータ設定回路36には、ノイズ閾値を入力してスペクトラム上の周波数方向のノイズ閾値を補正しその補正値をVp、Vmトレース波形検出部44に出力する処理部(周波数方向ノイズ閾値補正処理部)75と、平滑化フィルタの時定数及びスィープ速度を入力してそのスィープ速度を元に平滑化フィルタ時定数の補正を行いその補正値(最大信号レベルホールド時定数)をVp、Vmトレース波形検出部44に出力する処理部(スィープ速度による補正処理部)76とが含まれる。
【0097】
Vp、Vmトレース波形検出部44には、パラメータ設定回路36を介して入力される各パラメータを元に処理を行なう各部として、スペクトラムの正側から最大流速Vpを検出する正側Vp検出処理部81と、その負側から最大流速Vpを検出する負側Vp検出処理部82と、両検出処理部81、82の出力側に2列で並列に接続される構成の内、一方の側の順次接続されるVm計算処理部83、Vm用の水平メディアンフィルタ84、及びVm用の平滑化フィルタ85と、同様に他方の側に順次接続されるVp判定処理部86、Vp用の水平メディアンフィルタ87、及びVp用の平滑化フィルタ88とが含まれる。両平滑化フィルタ85、88を介してVp、Vmのトレース波形データが次段に出力される。
【0098】
また、Vp判定処理部の出力側には、そのVp判定信号からシストリック・ピーク(systlic peak)を除去する処理部(シストリック・ピーク除去処理部)89と、その除去後の信号を元にVp検出用のノイズ閾値を設定(補正)しその設定値をVp判定処理部86にフィードバックさせる処理部(ノイズ閾値設定処理部)90とが接続される。
【0099】
上記構成によれば、ユーザーインターフェース37にて、ユーザの操作によりVpトレース範囲の周波数軸上の上限値、下限値が調整され、パラメータ設定回路36を介して、0−50%の設定範囲でスペクトラム上のトレース範囲の上限及び下限が設定され、これにより、Vp、Vmトレース波形検出部44によるPSサーチ処理の開始位置がオフセット可能となり、従来例と比べ、臍帯動静脈等の検出が容易になってその観察が効率良く行なえ、診断効率が向上するようになる。
【0100】
なお、変形例として、Vpトレース範囲の周波数軸上の上限、下限をユーザーインターフェースとせず、オートトレース範囲をROIで設定するように構成してもよい。
【0101】
(第10実施例)
従来では、定常血流の平均流速Vmのトレース値がDC(直流)成分付近のノイズやクラッタ成分の影響で実際よりも低い値となり、計測誤差が生じていた。これを改善するため、本実施例では、図13及び図14に示すように、Vp、Vmのトレース探索範囲を従来のようにDC成分からでなく、ウォール・フィルタ41のカットオフ周波数fcから開始するように設定、制御する機能を加えている。
【0102】
例えば、動脈と静脈が混在している診断部位でその動脈部分の拍動性のみをトレースしたい場合には、図13に示すように最大流速Vpの正方向のトレースの場合には、そのトレース範囲の上限値を正側のナイキスト周波数(+fr/2)よりも小さくし、その下限値を正側のカットオフ周波数(+fc)に設定すると共に(トレース範囲:+fc〜上限値、上限値<+fr/2)、その負方向のトレースの場合には、そのトレース範囲の下限値を負側のナイキスト周波数(−fr/2)よりも大きくし、その下限値を負側のカットオフ周波数fcに設定する(トレース範囲:−fc〜下限値、下限値>−fr/2)。
【0103】
この例のようにVpの検出範囲を制限することで、臍帯と動静脈の混在時のトレース性能が向上し、最大流速の計測精度がより一層高くなる。
【0104】
また、レンジゲート(RG)幅内の血流速度分布が層流状になっている場合、平均流速Vmは、DC(直流)成分付近に引っ張られ実際よりも小さな値を取るため、この場合のトレース時には、図14に示すように、平均流速Vmを決定するためのパワーの周波数方向の荷重平均範囲を、従来のように一方のベースラインから他方のベースラインまでの間に設定するのではなく、正側のカットオフ周波数(+fc)及び負側のカットオフ周波数(−fc)からスタートさせるように設定する(図中の例では+fc〜−fcの間は範囲外となる)。この例のようにVmを求める荷重平均範囲を制限することで、血流速度分布が層流状の場合でも、平均流速Vmのトレース性能が向上し、計測精度がより一層高くなる。
【0105】
(第11実施例)
従来では、スペクトラムの0Hz付近をクロスするトレース波形ではその正負の符号が変化するため、トレース波形上にスパイク状ノイズが発生し、トレーストレースエラーが発生していた。これを低減するため、本実施例では、前述の図12に示す水平メディアンフィルタ84、87により水平方向のメディアンフィルタ処理を実行する構成を加えた。この構成により、スペクトラムの0Hz付近をクロスするトレース波形上でのスパイクノイズを低減し、良好なトレース波形を得ることができる。
【0106】
(第12実施例)
従来では、スペクトラムのS/N比が劣化するナイキスト周波数(fr/2)付近のスペクトラム画像辺縁部にトレースエラーが発生していた。これを改善するため、本実施例では、ノイズと信号を区別するパワーの次元をもつノイズ閾値を、その周波数方向に補正する機能を追加した。
【0107】
この機能によれば、ノイズ閾値の周波数軸方向の補正は、PWドプラ、CWドプラ等のモードやBLS(ベースラインシフト)の情報を元に、周波数解析器の周波数特性の補正を自動的に行なう。この場合のノイズ閾値の周波数方向補正例を図15及び図16に基づいて説明する。
【0108】
まず、前述の第1実施例で説明したように、現在のコラムにおけるノイズレベルと、時間平滑化したパワー最大値のパワーレベルにより、最大流速Vpの位置を検出するノイズ閾値を計算する。この計算式は前述した通りである。
【0109】
次いで、シミュレーション等により信号がDC付近をクロスするような場合、ウォール・フィルタで信号が欠落したところでノイズ閾値(スレシレベル)がダイナミックに変化するためにトレースエラーが発生しやすい。また、このノイズ閾値を大きな値にすれば、Vp値が低くなる。
【0110】
そこで、診断部位のS/N比に応じて、TCSからノイズ閾値を調整する。この場合、診断部位のS/N比に応じて、マニュアル調整は可能であるが、1コラム内でのパワースペクトルであっても、その周波数方向によってS/N比、特にノイズレベルが異なる場合がある。特に、ウォール・フィルタのカットオフ周波数fc以下の領域及びナイキスト周波数(fr/2)付近におけるノイズレベル信号レベルが低下することにより、Vpが検出しにくくなるため、低S/N比領域では、下げる必要がある。
【0111】
また、循環器の応用等で、サンプルホールド(S/H)時の折返しが発生しやすい場合、ベースラインをシフトさせて折返し防止を図っているが、LPFやS/Hの影響により信号もノイズレベルもフィルタの肩特性やS/H特性の影響を受けてナイキスト周波数付近から高い周波数では著しく減少する。
【0112】
ノイズレベルのサンプルは、例えば3/8*frから4/8*frの範囲内の平均値を採用しているため、ナイキスト周波数を超える領域では数dB(例えば、1/2*frで3dB程度)の低下がある。これでは、ノイズレベルすれすれの信号ではトレースできなくなる可能性が高い。特に、CW等のスペクトラム辺縁部のエンベロープがトレースできなくなる。
【0113】
これを補正するために、ノイズ閾値レベルを周波数に応じて変化させる。
【0114】
図15及び図16に示すように、スペクトラム辺縁のノイズ閾値を補正することにより、従来ではナイキスト周波数付近のノイズの信号も低下する周波数特性を持つ領域ではその特性に応じたノイズ閾値の制御が必要となり、これをおこなうことでスペクトラム辺縁部でのトレースエラーが減少する。
【0115】
この例で用いる補正関数は、PWドプラのレンジゲートRGによる積分やホールド特性の影響やCWドプラ時のサンプリング周波数のデシメーションによる周波数特性の影響を考慮して補正することが望ましい。一般にFFTの入力段でのサンプリング周波数の影響により辺縁部の感度は数dB落ちる。PW/CWのフィルタ処理、リサンプリング処理がシステムで決まれば、補正関数は固定テーブルとして設定することも可能である。
【0116】
なお、本発明は、代表的に例示した上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形、変更することができる。これらの変更、変形例も本発明の権利範囲に属するものである。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドプラ周波数のスペクトラム信号における最大流速Vp、平均流速Vmのトレース波形検出、PS/EDのピーク検出、及びPI、RI等の計測の各処理において、感度や、診断部位、或いはスペクトラム画像に混入する様々なノイズの影響に起因する誤動作の発生や誤った計測値の表示を回避できる超音波診断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例に係る超音波ドプラ・リアルタイム・オートトレース診断装置を搭載した超音波ドプラ診断装置の全体構成を示す概略ブロック図。
【図2】 超音波ドプラ診断装置の要部構成を示す概略の機能ブロック図。
【図3】 (a)及び(b)は、パワースペクトル上での最大流速Vpの切り出し位置を設定するパラメータを説明する図。
【図4】 パラメータを調整するユーザーインターフェースの一例を示す図。
【図5】 第2実施例のオート計測値の表示例を説明する図。
【図6】 図5に示す例で、トレースエラー時に表示可能な計測項目を説明する図。
【図7】 PS/ED検出部の詳細を示す概略の機能ブロック図。
【図8】 PS/ED検出部のBPFを用いた検出方式による効果を説明する図。
【図9】 心拍同期検出処理部の同期検出トリガ発生処理部の詳細を示す概略の機能ブロック図。
【図10】 (a)は、トレース波形及びそのパワースペクトラムを示す図、(b)は、プリBPF通過後の波形及びそのパワースペクトラムを示す図。
【図11】 (a)は、アダプティブBPF通過後のトレース波形を示す図、(b)は、正側のみを通過させる整流処理後の波形を示す図。
【図12】 DSP内の詳細を中心とするオートトレース計測に関する構成例を説明する概略の機能ブロック図。
【図13】 パワースペクトル上での最大流速Vpのサーチ範囲を制限する場合を説明する図。
【図14】 パワースペクトル上での平均流速Vmの荷重平均範囲を制限する場合を説明する図。
【図15】 スペクトラム辺縁のノイズ閾値(最大流速Vpの切り出し位置)をその周波数方向に補正する場合の補正前を説明する図。
【図16】 スペクトラム辺縁のノイズ閾値(最大流速Vpの切り出し位置)をその周波数方向に補正する場合の補正例を説明する図。
【符号の説明】
1 超音波プローブ
2 装置本体
3 ECGモジュール
11 全体コントローラ
21 送受信部(T/R)
22 検波器(E/P)
23 デジタル・スキャン・コンバータ(DSC)
25 表示器
26 ミキサ
27 レンジゲート(RG)処理部
28 ハイパスフィルタ(HPF)
29 高速フーリエ変換器(FFT)
30 CFM処理部(CFM・FP)
31 DSP(本発明のオートトレース手段)
32 PS/ED検出部(本発明のピーク検出手段)
33 計測部(本発明のオート計測手段)
34 ビデオ・インターフェースI/F
35 画像ストレージ部
36 パラメータ設定回路
37 ユーザーインターフェース(本発明の操作手段)
38 操作パネル回路
39 TCS回路
40 GUI回路
Claims (9)
- 被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、
前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、
前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS(Peak of Systolic)及びED(End of Diastolic)の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、
前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、
前記ピーク検出手段は、前記トレース波形の情報及び前記被検体に装着させた心電計からの心電波形の情報の少なくとも一方を用いて前記被検体の拍動に同期したトリガを生成する同期トリガ生成手段と、この同期トリガ生成手段により生成される同期トリガを用いて前記PS及びEDを検出する手段とを備え、
前記同期トリガ生成手段は、バンドパスフィルタ処理を行なって前記同期トリガを生成するものであることを特徴とする超音波診断装置。 - 前記操作手段は、前記パラメータとして、前記スペクトラム信号におけるパワー方向の最大値の平滑化時定数を可変する手段を備えた請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記操作手段は、前記パラメータとして、前記スペクトラム信号におけるパワー方向のピーク速度切り出し位置を可変設定する手段を備えた請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記操作手段は、前記パラメータとして、前記バンドパスフィルタの中心周波数及びバンド幅を、自動的に設定する自動設定モード、ユーザが操作して設定するユーザ設定モード、及び標準の固定値に設定する標準設定モードのいずれかを選択する手段を備えた請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記操作手段は、前記パラメータとして、前記オートトレース手段の処理で実行されるトレース時のスペクトラム信号の周波数方向のトレース範囲の上限及び下限を可変設定する手段を備えた請求項1記載の超音波診断装置。
- 被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、
前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、
前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS(Peak of Systolic)及びED(End of Diastolic)の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、
前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、
前記計測手段は、前記トレース手段の処理によるトレース時にトレースエラーが生じた場合、計測すべき計測項目の内の計測可能な項目を判断し、その項目について計測を実行するものであることを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、
前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、
前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS(Peak of Systolic)及びED(End of Diastolic)の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、
前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、
前記操作手段は、表示器のスィープ速度に応じて前記パラメータを補正する手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、
前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、
前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS(Peak of Systolic)及びED(End of Diastolic)の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、
前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、
前記ピーク検出手段は、前記スペクトラム信号の周波数方向の正負を交差する際のその符号の違いによるトレースエラーを防止するための水平方向のメディアンフィルタ処理を実行する手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信させて得られる前記診断部位の流速に関する情報を担うドプラ周波数のスペクトラム信号から計測を行なう超音波診断装置であって、
前記スペクトラム信号の周波数方向の最大流速Vp及び平均流速Vmの少なくとも一方を時間方向にトレースしそのトレース波形を出力する処理をリアルタイムで実行するトレース手段と、
前記トレース手段により出力されるトレース波形から前記被検体の心周期で決まるPS(Peak of Systolic)及びED(End of Diastolic)の波形ピークを検出する処理を実行するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段により検出されたPS及びEDの情報を元に前記診断部位の診断に用いる計測項目を計測する処理を実行する計測手段と、
前記トレース手段、ピーク検出手段及び計測手段の少なくとも1つの処理で用いるパラメータを変更するための操作手段とを有し、
前記操作手段は、前記パラメータとして、前記スペクトラム信号のパワー方向におけるピーク速度切り出し位置をその周波数方向に補正する手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
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