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JP5388520B2 - 超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラム - Google Patents
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超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、ドプラスペクトラム画像等の時間変化を伴う波形データを表示することが可能な超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラムに係り、特に波形データを生成する際における適切な制御パラメータの選択処理を行うことが可能な超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラムに関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された圧電振動子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記圧電振動子によって受信してモニタ上に表示するものである。この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観察できるため、生体の各種臓器の機能診断や形態診断に広く用いられている。生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、これらの技術を用いて得られるBモード画像、Mモード画像およびカラードプラ画像は、今日の超音波画像診断において不可欠のものとなっている。
一方、被検体の任意の位置における血流速度を定量的且つ正確に得る方法としてドプラスペクトラム法がある。このドプラスペクトラム法では、被検体の同一部位に対して一定間隔で複数回の超音波送受波を行ない、血球などの移動反射体において反射した超音波反射波に対し、超音波送受波に使用した圧電振動子の共振周波数と略等しい周波数の基準信号を用いて直交位相検波しドプラ信号を検出する。そして、このドプラ信号の中から所望部位におけるドプラ信号をレンジゲートによって抽出し、更に、抽出したドプラ信号をFFT(fast Fourier transform)分析することによってドプラスペクトラムデータを生成する。
このような手順により、被検体の所望部位から得られたドプラ信号に対してドプラスペクトラムデータを連続的に生成し、生成した複数のドプラスペクトラムデータを順次配列することによって、所謂ドプラスペクトラム画像データ(Dモード像)を生成する。尚、一般には、レンジゲートを被検体における所望の観測部位に正確に設定するために、レンジゲートの設定はBモード画像観測下において行なわれ、レンジゲートの位置はBモード画像上に表示される。
この超音波ドプラ診断装置によって得られるドプラスペクトラムデータは、一般に、縦軸に周波数(f)、横軸に時間(t)、各周波数成分のパワー(強さ)を輝度(階調)として生成され、このドプラスペクトラムデータに基づいて、各種の診断パラメータの計測を行なっている。
即ち、この計測法においては、まず、時間的に連続して得られるドプラスペクトラムデータの各々に対して、その周波数軸方向に分布するドプラ周波数成分の最大周波数fpに対応する最大流速Vp、あるいは平均周波数fcに対応する平均流速Vcの位置を設定し、これら最大流速Vp及び平均流速Vcの位置の時間変化を示すトレース波形を生成する。次いで、このトレース波形において、心拍区間の1区間毎に心臓収縮期において生ずる波形ピークPS(Peak Systolic)及び心臓拡張期において生ずる波形ピークED(End Diastolic)の検出を行なう。そして、これらのPSあるいはEDの位置情報に基づいて、血管内血流のHR(Heart Rate:心拍数)を計測し、更には、PSあるいはEDによって設定された心拍区間におけるトレース波形から末梢血管の診断パラメータであるPI(Pulsatility Index)、RI(Resistance Index)あるいはHRの計測を行なう。
尚、上述のVpやVcのトレース波形の生成、PS/EDの検出、PIやRI等の診断パラメータの計測は、従来、フリーズされたドプラスペクトラム画像を対象としたマニュアル操作が基本であったが、近年では、リアルタイム表示されたドプラスペクトラム画像を対象としたVpやVcの自動トレースやHR,PIあるいはRIの自動計測が可能となってきている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、VpやVcのトレース波形の生成、PS/EDの検出、PIやRI等の診断
パラメータの自動計測等の各処理において、感度や診断部位、ノイズの影響に起因する誤動作の発生や誤った計測値の表示を回避させるための技術として、各処理に用いるパラメータを変更できるようにした超音波診断装置が考案されている(例えば、特許文献2参照)。
この超音波診断装置では、VpやVcのトレース波形や心電波形に同期したトリガを生成し、生成された同期トリガを用いてPS/EDを検出する技術も考案されている。
このようなVpやVcの波形の自動トレース、すなわちドプラオートトレースにおいて、診断部位や被検体ごとにドプラスペクトラムのエンベロープ波形やドプラ感度がばらつくことから十分な精度で波形のトレースが実行できない場合があるという問題がある。この問題を解決するためには、ドプラオートトレースを実行する際の各種制御パラメータを最適化し、トレース性能を向上させることが重要となる。
そこで、制御パラメータの最適化をより少ない実験回数で行えるように、いわゆるタグチメソッドに基づく直交表でのパラメータ実験を超音波診断装置におけるドプラオートトレースにおける制御パラメータに応用した技術が考案されている(例えば、非特許文献1参照)。
タグチメソッドは、品質工学の分野において少ない実験回数で対象となる信号出力を期待値に近づけるように直交表を用いてパラメータの最適化を行う手法であり、トランジスタパラメータのプロセス制御(例えば、特許文献3参照)、構造物の形状・特性変更最適化(例えば、特許文献4参照)、半導体デバイスのシミュレーション(例えば、特許文献5参照)等の分野にも応用されている。
超音波診断装置におけるドプラオートトレースにタグチメソッドを応用した技術では、システム入力であるスペクトラムデータからシステム出力としてのオートトレース波形が生成される一方で、同じスペクトラムデータに基づいて熟練した超音波診断装置の検者(ソノグラファ)により専門的な見地から経験的にオートトレース波形の期待値が推定される。そして、推定されたオートトレース波形の期待値と実際に得られたオートトレース波形とが一致しトレース誤差が減少するように制御パラメータが最適設定される。
尚、ドプラオートトレース処理のようにシステム出力が時間的に変動する波形である場合や、システム出力が動画像であるような場合に各時刻において制御パラメータの最適化処理を行うと膨大な実験回数や計算処理が必要となる。例えば誤差要因を考慮してL18直交表に基づき18×N回に亘って制御パラメータの最適化実験を行い、18×N個のシステム出力を得る場合には最適化評価が単純である。しかし、時系列のM個の信号要因が加わると、18×N×M回に亘る最適化評価が必要となり、実験や評価に膨大な時間を要する。
そこで、システム出力が時間変化を伴うドプラオートトレース波形についての制御パラメータの最適化評価には、動特性評価が用いられている。また、トレースエラーの発生率も評価されて制御パラメータの設定に考慮されている。
米国特許第5628321号明細書 特開2003−284718号公報 特開2001−117952号公報 特開2002−134373号公報 特開2002−64199号公報 馬場達郎、大内義昭"タグチメソッドの超音波ドプラ製品開発への応用―診断部位毎のドプラオートトレース性能の最適化―"、品質工学研究発表大会論文集、P412、2004
しかしながら、従来のドプラオートトレース処理における制御パラメータの最適化評価においては、ドプラデータの収集後に熟練した検者が最適化評価の都度マニュアルで期待値を作成しなければならない。このため、最適化後の制御パラメータを用いたドプラオートトレース波形のリアルタイム表示が困難となり実用性に欠けるという問題がある。
さらに、制御パラメータの最適化にはドプラオートトレース波形の期待値が必要となるわけであるが、システム入力となるスペクトラムデータのみならずドプラオートトレース波形の期待値も被検体の属性や診断部位によってばらつきを有する。また、検者の熟練度の影響が大きく、検者のばらつきを低減させた普遍的な期待値の作成が困難となる。
そこで、被検者の属性や診断部位によってばらつきを有するスペクトラムデータから、自動的かつリアルタイムに検者の熟練度を要することなく普遍的なドプラオートトレース波形の期待値を求める技術の開発が実用化に向けての重要な課題となる。
また、このような期待値作成の問題はドプラオートトレース波形の表示のみならず、超音波診断装置において制御パラメータの最適化を行ってより高精度で作成、表示される他の時系列のデータについても同様である。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、より適切な期待値を簡易に生成し、生成した期待値を用いて最適化評価を行うことにより適切な制御パラメータを用いて精度よくドプラオートトレース波形等の時間変化を伴うデータを生成して表示させることが可能な超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラムを提供することを目的とする。
発明に係る超音波診断装置は、上述の目的を達成するために、請求項に記載したように、被検体からの超音波反射信号から抽出されたドプラ信号を用いてスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成部と、制御パラメータの値を変更した複数回の試行によって前記スペクトラムデータからドプラエンベロープ波形をオートトレース波形として順次抽出するドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部と、数学モデルを用いた線形予測により前記被検体または他の被検体の前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形の期待値を作成する期待値作成部と、前記期待値を用いて前記ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部により抽出された前記各オートトレース波形のトレース処理の誤差を動特性評価することにより感度およびSN比の少なくとも一方を評価結果として求めるトレース誤差評価部と、前記評価結果に基づいてより適切な前記制御パラメータの値を決定するパラメータ選択処理部と、前記パラメータ選択処理部により決定された制御パラメータの値を用いて前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形を作成するトレース波形作成部とを有することを特徴とするものである。
また、本発明に係る超音波診断装置のデータ処理プログラムは、上述の目的を達成するために、請求項10に記載したように、コンピュータを、被検体からの超音波反射信号から抽出されたドプラ信号を用いて生成されたスペクトラムデータをもとに、制御パラメータの値を変更した複数回の試行によってドプラエンベロープ波形をオートトレース波形として順次抽出するドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部、数学モデルを用いた線形予測により前記被検体または他の被検体の前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形の期待値を作成する期待値作成部、前記期待値を用いて前記ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部により抽出された前記各オートトレース波形のトレース処理の誤差を動特性評価することにより感度およびSN比の少なくとも一方を評価結果として求めるトレース誤差評価部、前記評価結果に基づいてより適切な前記制御パラメータの値を決定するパラメータ選択処理部、および前記パラメータ選択処理部により決定された制御パラメータの値を用いて前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形を作成するトレース波形作成部として機能させることを特徴とするものである。
本発明に係る超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラムにおいては、より適切な期待値を簡易に生成し、生成した期待値を用いて最適化評価を行うことにより適切な制御パラメータを用いて精度よくドプラオートトレース波形等の時間変化を伴うデータを生成して表示させることができる。
本発明に係る超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理プログラムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示す構成図である。
超音波診断装置1は、超音波プローブ2、基準信号発生部3、送受信部4、データ生成部5、データ記憶部6、血流評価部7、表示部8、ECG(electro cardiogram)ユニットおよびPCG(phono cardiogram)ユニットを備えている。また、データ生成部5は、Bモードデータ生成部11、ドプラ信号検出部12、カラードプラデータ生成部13およびスペクトラムデータ生成部14を備え、血流評価部7は、トレース波形生成部15、PS/ED検出部16およびパラメータ計測部17を備えている。
尚、データ生成部5、データ記憶部6および血流評価部7は、回路により構築する他、全部または一部をコンピュータにデータ処理プログラムを読み込ませて構築することもできる。
超音波プローブ2は複数の圧電振動子を備え、送受信部4から受けた電気信号を超音波パルスに変換して図示しない被検体に送信する一方、被検体内部において生じた超音波反射信号を受信して電気信号に変換し、受信データとして送受信部4に与える機能を有する。
基準信号発生部3は、超音波プローブ2から被検体に向けて送信する超音波のタイミング等の条件を規定するための基準信号を発生させて送受信部4に与えることにより送受信部4を制御する機能を有する。
送受信部4は、基準信号発生部3から受けた基準信号に従って超音波プローブ2に電気信号を与えることにより超音波プローブ2から超音波を送信させる機能と、超音波プローブ2において受信された受信データを受けてデータ生成部5に与える機能を有する。
Bモードデータ生成部11は、送受信部4から受けた受信データに対して対数変換処理、包絡線検波処理、閾値処理、A/D変換処理等の各種処理を行ってBモード画像データを生成する機能と、生成したBモード画像データをデータ記憶部6に与える機能を有する。
ドプラ信号検出部12は、送受信部4から受けた受信データに対して直交位相検波を行うことによりドプラ信号を検出する機能と、検出したドプラ信号をカラードプラデータ生成部13およびスペクトラムデータ生成部14に与える機能を有する。
カラードプラデータ生成部13は、ドプラ信号検出部12から受けたドプラ信号からクラッタ成分を除去することにより血流成分を抽出し、血流成分の自己相関値に基づいて血流の平均流速値や分散値といったカラードプラデータを生成する機能と、生成したカラードプラデータをデータ記憶部6に与える機能を有する。
スペクトラムデータ生成部14は、ドプラ信号検出部12から受けたドプラ信号に対してFFT分析を行なうことにより血流速度の時間変化を示すスペクトラムデータを生成する機能と、生成したスペクトラムデータをデータ記憶部6に与える機能を有する。
トレース波形生成部15は、データ記憶部6からスペクトラムデータを取得し、閾値等の制御パラメータに従って最大周波数(最大流速)や平均周波数(平均流速)を算出することにより、最大周波数や平均周波数の時間変化を示すドプラエンベロープ波形をオートトレース波形として生成する機能と、生成したオートトレース波形をデータ記憶部6に与える機能を有する。
さらに、トレース波形生成部15には、オートトレース波形を生成する際に用いられる制御パラメータの最適化計算を行って適切な制御パラメータの値を設定する機能と、最適化計算により設定された制御パラメータの値を用いたオートトレース波形の生成機能が備えられる。この最適化計算には、データ記憶部6から取得したスペクトラムデータとオートトレース波形の期待値とが用いられる。そのために、トレース波形生成部15には、オートトレース波形の期待値を求める機能も備えられる。オートトレース波形の期待値は、スペクトラムデータから求めることが可能であるが、好適にはECGユニット9あるいはPCGユニット10から別途取得したECG信号またはPCG信号がスペクトラムデータとともに利用される。
PS/ED検出部16は、トレース波形生成部15において生成されたオートトレース波形をデータ記憶部6から取得して、心臓の収縮期を示すPSと拡張期を示すEDの位置を設定する機能と、設定したPSとEDの位置情報をデータ記憶部6に与える機能とを有する。尚、PSとEDの設定がオートトレース波形のみからでは困難な場合には、ECGユニット9あるいはPCGユニット10から別途取得したECG信号またはPCG信号が利用される。
尚、最大周波数(最大流速)や平均周波数(平均流速)のトレース方法やPS/EDのピーク位置の検出方法は任意であるが、詳細例については、例えば特開2003−284718や米国特許5,628,321号明細書に開示されている。
パラメータ計測部17は、PS/ED検出部16において設定されたPSとEDの位置情報をオートトレース波形とともにデータ記憶部6から取得して、診断パラメータであるHR、PI、RI等の計測を行う機能と、得られた計測結果をデータ記憶部6に与える機能を有する。
ECGユニット9は、被検体の心電波形(ECG波形)を計測し、得られたECG波形をトレース波形生成部15およびPS/ED検出部16に与える機能を、PCGユニット10は、被検体
の心音波形(PCG波形)を計測し、得られたPCG波形をトレース波形生成部15およびPS/ED検出部16に与える機能をそれぞれ有する。
この結果、データ記憶部6には、Bモード画像データ、カラードプラデータ、スペクトラムデータ、オートトレース波形、PSとEDの位置情報およびHR、PI、RI等の診断パラメータが記憶される。
表示部8は、データ記憶部6に保存された情報のうち、所望の情報を読み込んで表示する機能を有する。このため、Bモード画像データ、カラードプラデータ、スペクトラムデータ等の画像をオートトレース波形、PSとEDの位置情報およびHR、PI、RI等の診断パラメータとともに重畳表示あるいは並列表示させることができる。
図2は、図1に示す超音波診断装置1におけるトレース波形生成部15の詳細機能を示す機能ブロック図である。
トレース波形生成部15は、ドプラオートトレース信号処理を行うことによりデータ記憶部6から取得したスペクトラムデータからドプラオートトレース波形を生成する機能を有するが、ドプラオートトレース波形の生成に際し、自動的に制御パラメータの最適化実験を行って評価する機能を備えている。
そのためにトレース波形生成部15には、スペクトラムデータ取得部20、実験条件設定部21、組合せパラメータ設定処理部22、ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23、数学モデル係数データベース24、システム同定部25、ダイナミック情報取得部26、期待値作成部27、トレースエラー検出処理部28、トレース誤差評価部29、パラメータ選択処理部30、トレース波形作成部31が設けられる。
スペクトラムデータ取得部20は、データ記憶部6からスペクトラムデータを取得する機能と、取得したスペクトラムデータをドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23およびシステム同定部25に与える機能とを有する。また、スペクトラムデータ取得部20は、スペクトラムデータから血流速度の最大値を期待値作成部27に与えることができるように構成される。
実験条件設定部21は、最適化計算の対象となる制御パラメータの値を変化させた実験条件を設定する機能と、設定した実験条件を組合せパラメータ設定処理部22に与える機能とを有する。実験条件としてはタグチメソッドによる直交表を用いると、実験回数や処理量を低減することができる。
図3は、図2に示すトレース波形生成部15の実験条件設定部21において制御パラメータの実験条件として設定される直交表の一例を示す図である。
図3に示すように、オートトレース波形の生成に際し、複数の制御パラメータを設定する必要がある。そして、例えばL18直交表により実験条件が設定され、制御パラメータは複数の因子(図3では8つの因子A、B、・・・、H)として定義される。さらに、各因子には水準(1、2、3)が設定される。尚、因子Aのオートトレース閾値設定方式については水準が1、2の2水準に設定され、他の因子では3水準とされている。また、図3において網掛け部分は初期条件を示す。
組合せパラメータ設定処理部22は、実験条件設定部21から受けた実験条件に従って、制御パラメータの値の異なる組合せを複数通り設定する機能と、設定した制御パラメータの値の各組合せをドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23に順次与える機能とを有する。従って、実験条件がL18直交表で定義されている場合には、18通りの制御パラメータの値の組合せが設定される。
ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23は、スペクトラムデータ取得部20から受けたスペクトラムデータを基に、組合せパラメータ設定処理部22から受けた制御パラメータの値の各組合せに従ってスペクトラムドプラのエンベロープを抽出するドプラオートトレース信号処理を実行することによりドプラオートトレース波形を順次抽出するトレース波形抽出処理部としての機能と、抽出した各ドプラオートトレース波形をトレースエラー検出処理部28およびトレース誤差評価部29にそれぞれ与える機能とを有する。
従って、実験条件がL18直交表で定義されている場合には、エラーが発生しなければ制御パラメータの値を変化させた18通りのドプラオートトレース波形が生成される。
図4は、図2に示すトレース波形生成部15のドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23において制御パラメータの1つである閾値を3段階に変化させて内頸動脈のスペクトラムドプラデータから得られたオートトレース波形の一例を示す図である。
図4において、横軸は時間、縦軸は血流の速度、輝度は各時刻のスペクトラム強度を示す。図4に示すように、スペクトラムドプラデータでは、血管内を移動する血液(主に赤血球)からの反射信号の速度分布の変化が輝度表示される。このスペクトラムは拡がりを持つため、臨床的にはスペクトラムのエンベロープに対応する最大流速の時間変化が計測診断に多く用いられている。そこで、スペクトラム強度の閾値が制御パラメータとして与えられ、閾値内において最大周波数や平均周波数が求められる。
しかし、閾値の設定が不適切であると、精度よくオートトレース波形を得ることができない場合がある。例えば、図4において(A)(B)(C)はそれぞれ閾値を3段階に変化させたオートトレース波形であるが、(A)は閾値が低すぎる結果ノイズが現れていることが分かる。また、(B)では閾値が比較的適切であり、良好にオートトレース波形が得られているのに対し、(C)では閾値が大きすぎる結果、オートトレース波形が過小評価されていることが分かる。
このように、制御パラメータの値を適切に設定し、スパイクノイズを減らしてできるだけ正確な流速(スペクトラムの辺縁)を把握することが可能なオートトレース波形の生成が重要となる。特に、ドプラ感度の悪い診断部位では適切な閾値等の制御パラメータの設定が望まれる。また、比較的ドプラ感度の良い診断部位でもスペクトラム画像が急峻な変動を持つ場合には、オートトレース波形が不安定にならないように制御パラメータの値を設定することが重要となる。
トレースエラー検出処理部28は、ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23から受けた各ドプラオートトレース波形のトレースエラーの検出を行う機能と、エラーの検出結果をパラメータ選択処理部30に与える機能とを有する。トレースエラーの検出方法としては、例えば信号の欠落部位やスパイク状の信号の有無を検出する方法が挙げられる。また、エラーの検出結果は、制御パラメータの組合せごとの無視できないトレースエラーの発生率として数値化することもできる。
トレース誤差評価部29は、ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部23から受けた、異なる制御パラメータの値の組合せを用いた複数回の試行により得られた時刻毎の各ドプラオートトレース波形と期待値作成部27から受けたドプラオートトレース波形の期待値とからトレース処理の誤差を動特性評価する機能と、評価結果をパラメータ選択処理部30に与える機能とを有する。トレース処理の誤差の評価の指標としては、感度やSN比を用いることができる。
すなわち、ドプラオートトレース波形を出力y、期待値をMとすると、式(1)の関係から感度βを求めることができる。すなわち、出力yの実際の分布から最小二乗法により感度βを求めることができる。
[数1]
y=βM ・・・(1)
また、動特性のSN比は、感度βを傾きとする原点を通る直線に対する分布の一致度として求めることができる。
尚、ドプラオートトレース波形の期待値は熟練した検者により作成されたトレース波形を用いることもできる。
パラメータ選択処理部30は、トレース誤差評価部29から受けた感度やSN比等のトレース処理の評価結果と、トレースエラー検出処理部28から受けたエラーの検出結果とから最適な、または少なくともより適切な制御パラメータの値の組合せを選択する機能と、選択した制御パラメータの値の組合せをトレース波形作成部31に与える機能とを有する。すなわち、パラメータ選択処理部30は、ドプラオートトレース波形と期待値のトレース誤差がより小さくなり、ドプラオートトレース波形と期待値とがより一致し、かつトレースエラーの発生率が十分に小さい制御パラメータの値の組合せを求める制御パラメータの最適化処理を行う機能を有する。
トレース波形作成部31は、パラメータ選択処理部30から受けた制御パラメータの値の組合せに従ってスペクトラムデータからオートトレース波形を作成する機能と、作成したオートトレース波形を表示用にデータ記憶部6に書き込んで記憶させる機能を有する。
期待値作成部27は、数学モデルを用いた線形予測によりスペクトラムデータまたはスペクトラムデータに付随する情報からオートトレース波形の期待値を心拍周期分の時間変化波形として求める機能と、求めたオートトレース波形の期待値をトレース誤差評価部29に与える機能とを有する。すなわち、期待値作成部27は、動特性の時系列波形であるオートトレース波形の期待値を作成する機能を有する。
このため、数学モデルの出力はオートトレース波形の期待値とされ、数学モデルの入力はスペクトラムデータから得られるドプラエンベロープ波形とすることができる。さらに、数学モデルの外部入力として、ECG波形やPCG波形等のダイナミック情報を用いることもできる。
また、数学モデルとしては、AR(Auto Regressive)モデル、ARX(Auto Regressive Exogeneous)モデル、FIR(Finite Impulse Response)モデル、ARMAX(Auto Regressive Moving Average Exogenious)モデル、ARARXモデル、ARARMAXモデル、OE(Output Error)モデル、BJ(Box and Jenkins)モデル等のパラメトリック(Parametric)モデルを用いることが可能である。
さらに、数学モデルは、システムパラメータ(線形予測係数)を用いて被検体の診断部位や年齢、性別、体重、症状のような期待値のばらつきの要因となる因子ごとに作成することができる。そして、システムパラメータの係数系列は、システム同定により決定することができる。診断部位としては、例えば頭頸部の動脈である総頸動脈CCA、内頸動脈ICA、外頸動脈ECA、椎骨動脈VA、中大動脈MCAのように設定することができる。
パラメトリックモデルを用いたデータの線形予測技術および線形予測に伴って行われるシステム同定については、各種文献が開示されているため詳細な説明を省略する。尚、オートトレース波形の期待値を対象とするものではないが、特開2001―149370号公報にシステム同定を行って線形予測でデータを求める技術の一例が開示されている。
図5は、図2に示すトレース波形生成部15の期待値作成部27において、オートトレース波形の期待値を求める際に用いられる数学モデルを伝達関数として表した図である。
パラメトリックモデルを用いる場合には、予めスペクトラムデータから求められたある時刻kにおけるドプラエンベロープ波形を入力データw(k)として、ECG信号やPCG信号を外部入力データu(k)として用いることにより、出力y(k)であるオートトレース波形の期待値を線形予測により求めることができる。
図5より入力データw(k)、外部入力データu(k)および出力y(k)の関係は応答関数を用いて式(2)で表すことができる。
[数2]
A(z)×y(k)=B(z)×u(k)/F(z)+C(z)×w(k)/D(z)
・・・(2)
但し、
A(z)=1+a1×Z−1+a2×Z−2+・・・+an×Z−n
B(z)=b1×Z−1+b2×Z−2+・・・+bm×Z−m
C(z)=c1×Z−1+c2×Z−2+・・・+cp×Z−p
D(z)=1+d1×Z−1+d2×Z−2+・・・+dq×Z−q
F(z)=1+f1×Z−1+f2×Z−2+・・・+fr×Z−r
である。
尚、各パラメトリックモデルは、各応答関数A(z)、B(z)、C(z)、D(z)、F(z)をそれぞれ1としたか否かにより定義される。
図6は、図5に示す伝達関数と各パラメトリックモデルの関係を示す図である。
図6より、パラメトリックモデルがARXモデルの場合には、式(3)が成立する。以後、ARXモデルを例に説明する。
[数3]
A(z)×y(k)=B(z)×u(k)+w(k) ・・・(3)
そして、期待値作成部27には、このような数学モデルによりダイナミック情報取得部26から受けた生体信号であるECG信号およびPCG信号のいずれかと、数学モデル係数データベース24から読み込んだ数学モデルのシステムパラメータとからオートトレース波形の期待値を線形予測により求める機能が備えられる。
また、期待値作成部27には、必要に応じて時間軸正規化部27aと速度軸正規化部27bとが設けられる。時間軸正規化部27aは、ダイナミック情報取得部26から受けた被検者本人の心拍同期周期を用いてオートトレース波形の期待値の横軸である時間軸を正規化する機能を有する。また、速度軸正規化部27bは、スペクトラムデータ取得部20から被検者本人の血流速度の最大値を取得し、取得した血流速度の最大値を用いてオートトレース波形の期待値の縦軸である速度軸を正規化する機能を有する。
数学モデル係数データベース24は、診断部位、被検体の年齢、性別、体重、症状のような、期待値のばらつきの要因となる因子ごとに期待値作成部27において用いられる数学モデルのシステムパラメータの係数系列が関連付けられて保存される。また、システム同定部25から受けたシステムパラメータも数学モデル係数データベース24に保存され、期待値作成部27に提供可能に構成される。
システム同定部25は、スペクトラムデータ取得部20から受けたスペクトラムデータからドプラエンベロープ波形を抽出し、抽出したドプラエンベロープ波形とダイナミック情報取得部26からから受けたECG信号やPCG信号等のダイナミック情報とからシステム同定により数学モデルのシステムパラメータを決定する機能と、決定したシステムパラメータを数学モデル係数データベース24に書き込んで保存させる機能とを有する。
尚、システム同定におけるシステムパラメータの評価法としては、最小二乗法等の予測誤差法が知られている。さらに、ARモデルの最小二乗法によるシステムパラメータの計算アルゴリズムとしては、Burg法、幾何学的ラティス法、Yule−Walker法、修正共分散法等による計算アルゴリズムが知られている。
また、システム同定部25は、数学モデル係数データベース24に予め保存されたシステムパラメータを参照し、既に保存されたシステムパラメータの修正を行って新たなシステムパラメータを決定することができるように構成される。例えば、数学モデル係数データベース24から読み込んだシステムパラメータをECG信号やPCG信号等のダイナミック情報から求まる心拍同期周期でスケーリングすることによりシステム同定を行って、必要なシステムパラメータを決定するように構成することもできる。
ダイナミック情報取得部26は、ECGユニット9およびPCGユニット10の一方または双方からECG波形またはPCG波形を取得して期待値作成部27およびシステム同定部25に与える機能を有する。
次に超音波診断装置1の動作および作用について説明する。
図7は、図1に示す超音波診断装置1によりドプラオートトレース波形の期待値を求めて動特性評価により制御パラメータの最適化計算を行い、選択された制御パラメータを用いてドプラオートトレース波形を求める際における流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まずステップS1において、予め実験条件設定部21において、最適化計算の対象となる制御パラメータの値を変化させた実験条件が設定されて組合せパラメータ設定処理部22に与えられる。例えば、図3に示すL18直交表のような実験条件が設定される。
次に、ステップS2において、スキャンが実行され、各種データの収集が開始される。すなわち、基準信号発生部3において発生された基準信号が送受信部4に与えられ、送受信部4から基準信号に従って電気信号が超音波プローブ2に与えられる。このため、超音波プローブ2から被検体に向けて超音波が送信され、被検体内部において生じた超音波反射信号が超音波プローブ2により受信されて電気信号に変換された受信データとして送受信部4に与えられる。受信データは送受信部4からBモードデータ生成部11、ドプラ信号検出部12に与えられ、Bモードデータ生成部11では対数変換処理、包絡線検波処理、閾値処理、A/D変換処理等の各種処理によりBモード画像データが生成される一方、ドプラ信号検出部12では、直交位相検波によりドプラ信号が検出されてカラードプラデータ生成部13およびスペクトラムデータ生成部14に与えられる。
カラードプラデータ生成部13では、ドプラ信号から血流成分が抽出されてカラードプラデータが生成され、スペクトラムデータ生成部14ではFFT分析によりスペクトラムデータが生成される。
そして、Bモード画像データ、カラードプラデータおよびスペクトラムデータはデータ記憶部6に与えられて保存される。
次に、ステップS3において、スペクトラムデータから抽出されるオートトレース波形の期待値が作成される。
図8は、図7に示すオートトレース波形の期待値の作成の際における詳細手順を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まず、ステップS10において、オートトレース波形の期待値の作成に用いられる数学モデルがシステム同定部25により決定される。
次に、ステップS11において、システム同定部25は、数学モデルのシステムパラメータをシステム同定により決定する。そのために、ECGユニット9およびPCGユニット10のいずれかによりECG波形やPCG波形が外部入力として得られ、ダイナミック情報取得部26を介してシステム同定部25に与えられる。
このとき、システム同定部25は数学モデル係数データベース24を参照して適切な、例えば被検体に似通った診断部位、被検体の年齢、性別、体重、症状等の因子に対応して求められたシステムパラメータが数学モデル係数データベース24に存在する場合には、数学モデル係数データベース24から対応するシステムパラメータを読み込んで修正を行うことにより、例えばECG波形やPCG波形に基づき心拍同期でスケーリングすることによりシステムパラメータを少ない処理にて簡易に決定することができる。
また、数学モデル係数データベース24に被検体に似通った適切な因子を有するシステムパラメータが存在しない場合には、スペクトラムデータ取得部20から受けたスペクトラムデータからドプラエンベロープ波形が抽出され、抽出したドプラエンベロープ波形とECG信号やPCG信号等のダイナミック情報とからシステム同定により数学モデルのシステムパラメータが新規に決定される。そして、決定されたシステムパラメータは、数学モデル係数データベース24に書き込まれて保存される。
次に、ステップS12において、期待値作成部27は、システム同定部25により決定されたシステムパラメータを数学モデル係数データベース24から読み込む一方、ダイナミック情報からECG信号またはPCG信号を取得し、数学モデルを用いて線形予測を行うことによりオートトレース波形の期待値を作成する。
また、必要に応じて時間軸正規化部27aは、ダイナミック情報取得部26から受けた被検者本人の心拍同期周期を用いてオートトレース波形の期待値の横軸である時間軸を正規化する。また、速度軸正規化部27bは、スペクトラムデータ取得部20から被検者本人の血流速度の最大値を取得し、取得した血流速度の最大値を用いてオートトレース波形の期待値の縦軸である速度軸を正規化する。
図9は、図2に示すトレース波形生成部15の期待値作成部27により作成されたオートトレース波形の期待値の一例を示す図である。
図9において、横軸は時間を示し縦軸は血流の速度を示す。また、破線は線形予測により得られたオートトレース波形の期待値を示す波形データD1、実線はシステム同定によるシステムパラメータの決定の際に用いられたドプラエンベロープ波形を示す波形データD2、一点鎖線はECG波形D3を示す。
尚、数学モデルとしてARXモデルを用い、システムパラメータは最小二乗法で求めた。
図9によれば、誤差の少ないオートトレース波形の期待値D1が得られていることが確認できる。
図10は、図2に示すトレース波形生成部15の期待値作成部27により作成されたオートトレース波形の期待値の別の一例を示す図である。
図10において、横軸は時間を示し縦軸は血流の速度を示す。また、破線は線形予測により得られたオートトレース波形の期待値を示す波形データD10、実線はシステム同定によるシステムパラメータの決定の際に用いられたドプラエンベロープ波形を示す波形データD11、一点鎖線はECG波形D12を示す。
尚、数学モデルとしては図9のデータと同様に、ARXモデルを用い、システムパラメータは最小二乗法で求めた。
図10に示すドプラエンベロープ波形D11はノイズが混入しているが、オートトレース波形の期待値D10は安定して得られることが確認できる。すなわち、ドプラエンベロープ波形D11のみならず、ダイナミックな情報であるECG波形D12を用いることによりオートトレース波形の期待値D10を安定して得ることができることが確認できる。
このようなオートトレース波形の期待値の作成は、フリーズ後およびライブ時のいずれにおいても行うことができる。
一方、図7のステップS4において、L18直交表等の実験条件に従って、ペクトラムデータからドプラオートトレース波形が順次抽出される。抽出されたドプラオートトレース波形は、トレースエラー検出処理部28およびトレース誤差評価部29にそれぞれ与えられる。
次に、ステップS5において、ドプラオートトレース波形の抽出処理に対するトレースエラーの検出処理および抽出されたドプラオートトレース波形の誤差評価が行われる。
すなわち、トレースエラー検出処理部28は、例えばドプラオートトレース波形の信号の欠落部位やスパイク状の信号の有無を各制御パラメータの組合せごとに検出することによりトレースエラーの検出を行う。エラーの検出結果は、トレースエラーの発生率として数値化されてパラメータ選択処理部30に与えられる。
一方で、トレース誤差評価部29は、異なる制御パラメータの値の組合せを用いた複数回の試行により得られた時刻毎の各ドプラオートトレース波形と期待値作成部27において作成されたドプラオートトレース波形の期待値とからトレース処理の誤差を動特性評価する。トレース処理における誤差の評価の指標は、感度やSN比として求めることができる。そして、トレース処理の誤差の評価結果はパラメータ選択処理部30に与えられる。
次に、ステップS6において、パラメータ選択処理部30は、トレース処理の評価結果とエラーの検出結果とから最適な制御パラメータの値の組合せを選択する。すなわち、パラメータ選択処理部30は、制御パラメータの最適化処理を行ってドプラオートトレース波形と期待値とがより一致し、かつトレースエラーの発生率が十分に小さい制御パラメータの値の組合せを求める。そして、選択した制御パラメータの値の組合せは、トレース波形作成部31に与えられる。
制御パラメータの値の組合せの具体的選択方法としては、例えばSN比の改善効果が大きい制御パラメータはどの制御パラメータであるか、感度調整効果が大きい制御パラメータはどの制御パラメータであるかといった基準にとより制御パラメータの値を決定することができる。
次に、ステップS7において、トレース波形作成部31は、パラメータ選択処理部30から受けた制御パラメータの値の組合せに従ってスペクトラムデータからスペクトラムエンベロープ抽出処理によりオートトレース波形を作成する。そして、作成したオートトレース波形を表示用にデータ記憶部6に書き込んで記憶させる。この結果、最適化された制御パラメータの値の組合せにより作成されたオートトレース波形がデータ記憶部6に保存される。
次に、ステップS8において、データ記憶部6に保存されたオートトレース波形が表示部8に画像表示される。また、オートトレース波形がPS/ED検出部16やパラメータ計測部17に与えられて、PS、EDの位置、HR、PI、RI等の診断パラメータが求められ、オートトレース波形とともに表示される。また、Bモード画像データ、カラードプラデータも表示部8に適宜表示される。
尚、このような制御パラメータの最適化評価を伴うオートトレース波形の抽出処理は、データ収集のフリーズ後に行うこともできるが、オートトレース波形の期待値の作成をリアルタイムに自動的に行うことができるため、オートトレース波形の抽出処理および画像表示もリアルタイムに行うことができる。
つまり以上のような超音波診断装置1は、スペクトラムデータから得られるドプラオートトレース波形の期待値を用いて期待値と実測値との残差を最少にする制御パラメータの最適化試行および最適化評価処理を自動的に行うことにより適切な制御パラメータの値を求め、得られた制御パラメータの値を用いてオートトレース波形が抽出できるようにしてものである。また、最適化処理に必要な期待値の作成を、数学モデルを用いてシステムパラメータを求めるという係数問題に帰着することにより自動的に行えるようにしたものである。
このため、超音波診断装置1によれば、熟練度を有するソノグラファの判断を要することなく従来よりも短時間で期待値を用いて適切な制御パラメータの値を設定することが可能となる。このため、被検者のばらつきを吸収するために制御パラメータを頻繁に設定変更する必要性が低減され、ユーザの操作時間が短縮される。そして、少なくともユーザが調整すべき制御パラメータの数を低減させることができる。
さらに、診断部位や被検者による入力のばらつきを容易に補正することが可能となりオートトレース波形生成処理の性能や計測データの信頼性を向上できる。すなわち、より容易にノイズによるオートトレース波形の変動を少なくし、オートトレース波形を安定して得ることができる。
また、期待値を自動的に作成することができるため、リアルタイムもしくはフリーズ後のいずれのスペクトラムデータに対してドプラエンベロープ抽出処理を行うことが可能となる。
さらに、期待値の作成に、数学モデルの外部入力としてダイナミックな情報であるECG波形を用いたため、期待値の作成に用いられるドプラエンベロープ波形が不安定であったとしても、期待値を安定して得ることができる。
尚、以上のような期待値を用いた制御パラメータの最適化試行および最適化評価は、ドプラオートトレース波形の生成のみならず、時間変化を伴う波形や画像等のデータから別のデータの生成を伴う処理を行う場合に用いることができる。そして、その場合にはECG信号等のようなダイナミックは情報を外部入力とする数学モデルを用いてシステム同定によりシステムパラメータを決定するという手順により、期待値を自動的かつ容易に安定して作成することができる。また、システムパラメータをデータベース化することもできる。
また、制御パラメータの数が複数のみならず、単数の場合にも単一の制御パラメータの値を変更した試行により制御パラメータの最適化を行うことができる。
本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示す構成図。 図1に示す超音波診断装置におけるトレース波形生成部の詳細機能を示す機能ブロック図。 図2に示すトレース波形生成部の実験条件設定部において制御パラメータの実験条件として設定される直交表の一例を示す図。 図2に示すトレース波形生成部のドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部において制御パラメータの1つである閾値を3段階に変化させて内頸動脈のスペクトラムドプラデータから得られたオートトレース波形の一例を示す図。 図2に示すトレース波形生成部の期待値作成部において、オートトレース波形の期待値を求める際に用いられる数学モデルを伝達関数として表した図。 図5に示す伝達関数と各パラメトリックモデルの関係を示す図。 図1に示す超音波診断装置によりドプラオートトレース波形の期待値を求めて動特性評価により制御パラメータの最適化計算を行い、選択された制御パラメータを用いてドプラオートトレース波形を求める際における流れを示すフローチャート。 図7に示すオートトレース波形の期待値の作成の際における詳細手順を示すフローチャート。 図2に示すトレース波形生成部の期待値作成部により作成されたオートトレース波形の期待値の一例を示す図。 図2に示すトレース波形生成部の期待値作成部により作成されたオートトレース波形の期待値の別の一例を示す図。
符号の説明
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
3 基準信号発生部
4 送受信部
5 データ生成部
6 データ記憶部
7 血流評価部
8 表示部
9 ECGユニット
10 PCGユニット
11 Bモードデータ生成部
12 ドプラ信号検出部
13 カラードプラデータ生成部
14 スペクトラムデータ生成部
15 トレース波形生成部
16 PS/ED検出部
17 パラメータ計測部
20 スペクトラムデータ取得部
21 実験条件設定部
22 組合せパラメータ設定処理部
23 ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部
24 数学モデル係数データベース
25 システム同定部
26 ダイナミック情報取得部
27 期待値作成部
27a 時間軸正規化部
27b 速度軸正規化部
28 トレースエラー検出処理部
29 トレース誤差評価部
30 パラメータ選択処理部
31 トレース波形作成部

Claims (10)

  1. 被検体からの超音波反射信号から抽出されたドプラ信号を用いてスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成部と、
    制御パラメータの値を変更した複数回の試行によって前記スペクトラムデータからドプラエンベロープ波形をオートトレース波形として順次抽出するドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部と、
    数学モデルを用いた線形予測により前記被検体または他の被検体の前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形の期待値を作成する期待値作成部と、
    前記期待値を用いて前記ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部により抽出された前記各オートトレース波形のトレース処理の誤差を動特性評価することにより感度およびSN比の少なくとも一方を評価結果として求めるトレース誤差評価部と、
    前記評価結果に基づいてより適切な前記制御パラメータの値を決定するパラメータ選択処理部と、
    前記パラメータ選択処理部により決定された制御パラメータの値を用いて前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形を作成するトレース波形作成部と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 記ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部により抽出された前記各オートトレース波形のトレースエラーを検出するトレースエラー検出処理部を備え、
    前記パラメータ選択処理部は、前記トレース誤差評価部による前記評価結果および前記トレースエラー検出処理部により得られた前記トレースエラーの検出結果に基づいてより適切な前記制御パラメータの値を決定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記被検体からのダイナミック情報を取得するダイナミック情報取得部を備える一方、
    前記期待値作成部は、前記ダイナミック情報に基づいて心拍同期周期で前記期待値の時間軸を正規化する時間軸正規化部を備えることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 前記期待値作成部は、前記被検体の血流速度の最大値を用いて前記期待値の流速軸を正規化する速度軸正規化部を具備することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記期待値作成部は、前記スペクトラムデータから得られる前記ドプラエンベロープ波形を入力とし、前記オートトレース波形の期待値を出力とする数学モデルを用いた線形予測により前記期待値を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  6. 前記被検体からのダイナミック情報を取得するダイナミック情報取得部を備え、
    前記期待値作成部は、前記スペクトラムデータから得られる前記ドプラエンベロープ波形を入力、前記ダイナミック情報を外部入力、前記オートトレース波形の期待値を出力とする数学モデルを用いた線形予測により前記期待値を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  7. 前記スペクトラムデータから得られる前記ドプラエンベロープ波形を入力とし、前記オートトレース波形の期待値を出力とする数学モデルのシステムパラメータを前記期待値のばらつきの要因となる因子ごと保存する数学モデル係数データベースを備え、
    前記期待値作成部は、前記数学モデル係数データベースから取得した適切な前記システムパラメータを用いて前記数学モデルによる線形予測を行って前記期待値を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  8. 前記スペクトラムデータから得られる前記ドプラエンベロープ波形を入力とし、前記オートトレース波形の期待値を出力とする数学モデルのシステムパラメータを前記期待値のばらつきの要因となる因子ごと保存する数学モデル係数データベースと、
    前記数学モデル係数データベースから取得した適切な前記システムパラメータを心拍周期でスケーリングすることにより前記数学モデルのシステム同定を行って、必要な前記システムパラメータを決定するシステム同定部とを備え、
    前記期待値作成部は、前記システム同定部により決定された前記システムパラメータを用いて前記数学モデルによる線形予測を行って前記期待値を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  9. 前記数学モデルのシステムパラメータをシステム同定により決定するシステム同定部を備え、
    前記期待値作成部は、前記システム同定部により決定された前記システムパラメータを用いて前記期待値を作成するように構成されることを特徴とする請求項6または7記載の超音波診断装置。
  10. コンピュータを、
    被検体からの超音波反射信号から抽出されたドプラ信号を用いて生成されたスペクトラムデータをもとに、制御パラメータの値を変更した複数回の試行によってドプラエンベロープ波形をオートトレース波形として順次抽出するドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部、
    数学モデルを用いた線形予測により前記被検体または他の被検体の前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形の期待値を作成する期待値作成部、
    前記期待値を用いて前記ドプラスペクトラムエンベロープ抽出処理部により抽出された前記各オートトレース波形のトレース処理の誤差を動特性評価することにより感度およびSN比の少なくとも一方を評価結果として求めるトレース誤差評価部、
    前記評価結果に基づいてより適切な前記制御パラメータの値を決定するパラメータ選択処理部、および
    前記パラメータ選択処理部により決定された制御パラメータの値を用いて前記スペクトラムデータから前記オートトレース波形を作成するトレース波形作成部、
    として機能させることを特徴とする超音波診断装置のデータ処理プログラム。
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