JP4094729B2 - 車両用エンジン模擬音発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、自動二輪車および電動自動車などの車両に搭載してエンジン模擬音を発生する車両用エンジン模擬音発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車や自動二輪車が走行するときに発する騒音は著しく低減している。この騒音は、エンジン音、タイヤが回転するときに生じるロードノイズ、車体に走行風が当たることによって生じる風切り音(流体騒音)などがある。これらの音のうちエンジン音の低減化が最も進んでおり、自動車の車内で聞こえるエンジン音や、ヘルメットを被った自動二輪車の運転者に聞こえるエンジン音は十数年前に較べて著しく小さくなっている。
【0003】
エンジン音はアクセル操作に応じて音量や音質が変化するため、一部の運転者にとってはこのエンジン音が運転をする上での一つの楽しみになっている。しかし、上述したようにエンジン音を小さくすると、エンジン音を楽しむという運転者の要請に応えることはできなくなる。
【0004】
車両に対して不法に改造を施すことなくこのような要請に応えるためには、マフラーの排気口近傍にマイクロフォンを設け、音量を増大させたエンジン音を車内あるいはヘルメット内に設けたスピーカで発生させることが考えられる。ところが、前記排気口の近傍は排ガスや泥水などがかかり易いため、ここに取付けるマイクロフィンは耐候性および耐熱性に優れたものを使用しなければならず、コストが高くなってしまう。しかも、この排気音増幅装置が発する排気音は、排気音が大きくなるように不正に改造したマフラーが発する排気音に較べると迫力に欠ける。
このような不具合を解消するためには、エンジン音を模倣した音(以下、これを単にエンジン模擬音という)を前記スピーカで発生させることが考えられる。
【0005】
この種のエンジン模擬音を発生させる装置としては、ゲーム機や運転シュミレータなどに装備されているものがある。従来のエンジン模擬音発生装置は、定常運転時の車両のエンジン音を数秒間だけ録音してデジタル信号として予め記憶させた音データを、エンジンの運転状態(回転速度やアクセル操作量)に応じてピッチ{周波数(音の高さ)}やボリューム{音圧(音の大きさ)}を変えながら繰返し再生する構成を採っている。このエンジン模擬音発生装置においては、エンジン回転速度が高くなったときにはこれに比例するように前記ピッチが増大し、エンジン回転速度が低くなったときにはピッチが低下する。また、アクセルを踏込むことによって前記ボリュームが増大し、アクセルを戻すことによってボリュームが低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように構成したエンジン模擬音発生装置は、実際のエンジン回転速度やアクセル操作量がエンジン音録音時のエンジン回転速度、アクセル操作量に近いとき、すなわち定常運転状態のときには、エンジン模擬音が実際のエンジン音に近くなり、現実性は高くなる。しかし、エンジン回転速度、アクセル操作量がエンジン音録音時と大きく異なっているときや、エンジン回転速度、アクセル操作量が変化する過渡状態にあるときには、エンジン模擬音が不自然になってしまうという問題があった。また、一定速度で運転しているとき、すなわちエンジン回転速度やスロットル操作量に変化がないときには、同じ音が連続して再生されるためにエンジン模擬音が単調になるという問題もあった。
【0007】
このような問題点は、全ての運転状態でエンジン音を録音し、記憶装置に記憶させておくことによって解消することはできる。しかしながら、これを実現するためには記憶装置の容量がきわめて多くなってしまい、コストが著しく高くなる。
【0008】
一方、モータを動力源として走行する電動自動車や電動二輪車などの電動式車両は、停車時および走行時の音がエンジン式車両に較べて小さいため、この種の車両を運転するときにはモータ回転速度などの運転情報をメータなどによって確認しなければならない。また、電動式車両においては、運転者に聞こえる音の他に、歩行者に聞こえる音も小さいことが問題であった。すなわち、近くの歩行者に対し自車の存在を気付かせるようにしなければならないからである。
【0009】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、製造コストが低く、しかも現実性が高いエンジン模擬音を発するエンジン模擬音発生装置を提供することを第1の目的とする。また、電動車両においてもエンジン模擬音が運転者や歩行者に聞こえるようにすることを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置は、動力ユニットの回転速度を検出する回転速度検出手段と、アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、音圧波形データを収納した記憶手段と、前記音圧波形データを用いてエンジン模擬音を発生させるエンジン模擬音発生手段とを備える車両用エンジン模擬音発生装置において、前記記憶手段は、エンジン音の予め定めた時間内での音圧波形データを回転速度およびアクセル操作量に割付けて形成したマップを備え、前記マップは、回転速度とアクセル操作量とでそれぞれ一定の幅をもつ単位領域を多数並設するとともに、前記単位領域のそれぞれにエンジン運転状態がこの単位領域での回転速度幅、アクセル操作幅の略中央になるときのエンジン1燃焼サイクル分の音圧波形データを記憶させることによって形成され、前記エンジン模擬音発生手段は、アクセル操作量と回転速度に基づいて発音制御信号を発生する発音制御手段と、前記発音制御信号に基づいて、前記記憶手段のマップから対応する音圧波形データを読取り、音圧信号に変換してアンプに送出する模擬音出力手段とを備え、前記発音制御信号は、音圧波形データが有する音圧、周波数および音色からなる音データのうち少なくとも何れか一つをエンジン1燃焼サイクル毎に変化させるものである。
本発明によれば、動力ユニットの回転速度とアクセルの操作量に対応するエンジン模擬音が発生する。
なお、前記動力ユニットとは、エンジンや電動式車両用モータユニットのことである。
【0011】
また、本発明によれば、一定速度で運転しているときでもエンジン模擬音は常に変化し、爆発にばらつきがあるエンジンのエンジン音を模倣したような音になる。
【0013】
さらに、本発明によれば、動力ユニットの運転状態が回転速度とアクセル操作量とも前記単位領域内にあるときにはどのような運転状態でも一つの音圧波形データを使用してエンジン模擬音が発生する。このため、全ての運転状態でエンジン音を録音して記憶装置に記憶させる構成を採る場合に較べ、音圧波形データの数が少なくても動力ユニットの運転域の全域にわたってエンジン模擬音を発生させることができるから、記憶装置の容量を相対的に少なくすることができる。
【0014】
他の発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置は、上述した発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置において、前記模擬音出力手段は、前記発音制御信号に基づいて音圧波形データを前記マップから読出し、音圧波形データの元になるエンジン音を録音したときのエンジン回転速度と、動力ユニットの回転速度との速度差がなくなるようにエンジン模擬音の周波数を変化させる再生レート変更手段をさらに含むものである。
この発明によれば、動力ユニットの回転速度が変化してこの回転速度に対応するマップの単位領域が変わるときには、音圧波形データ一つ分のエンジン模擬音の再生時間が動力ユニットの回転速度に応じて変化するから、エンジン模擬音が一方の単位領域の音圧波形データに対応する音から他方の単位領域の音圧波形データに対応する音に除々に変化する。
【0015】
他の発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置は、上述した発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置のうち何れか一つにおいて、動力ユニットを電動式車両用のモータ駆動ユニットとし、エンジン模擬音発生手段をエンジン模擬音が車外に伝播される構成としたものである。
この発明によれば、電動式車両が発するエンジン模擬音が近くの歩行者に聞こえるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置の一実施の形態を図1ないし図9によって詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係るエンジン模擬音発生装置を装備した自動車の構成図、図2は本発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置の構成を示すブロック図、図3は発音制御信号の例を示すグラフ、図4はマップの構成を示す図、図5は急加減速時の運転状態の変化を示すグラフである。図6は急加減速時と緩加減速時にエンジン模擬音出力手段が読出す単位領域の変化を示すグラフである。図7は再生レート変更手段の動作を説明するためのエンジン模擬音の音圧波形を示すグラフで、同図(a)は再生レートを変更しない場合を示し、同図(b)は再生レートを変更した場合を示す。図8は実際のエンジン音の音圧波形を示すグラフ、図9は実際のエンジン音のスペクトルを示すグラフである。
【0018】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による自動車である。この自動車1は、電子制御式4サイクルエンジン2を動力源として走行するもので、本発明に係るエンジン模擬音発生装置3を車室内に装備している。
【0019】
前記エンジン模擬音発生装置3は、図2に示すように、エンジン2の回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段4と、アクセルペダル5の操作量を検出するアクセル操作量検出手段6と、前記エンジン回転速度とアクセル操作量に基づいてエンジン模擬音を発生するエンジン模擬音発生手段7とから構成し、エンジン模擬音の音量を人為的に調整するための音量調整手段8を設けている。
【0020】
前記エンジン回転速度検出手段4は、エンジン2の例えばカム軸の回転を検出するエンジン回転速度検出用センサ9に接続し、エンジン運転時にエンジン2の回転速度を常に検出する構成を採っている。
【0021】
前記アクセル操作量検出手段6は、アクセルペダル5に連結したアクセル操作量検出用センサ10に接続し、アクセルペダル5の踏込量を検出する構成を採っている。前記エンジン回転速度検出用センサ9およびアクセル操作量検出用センサ10は、電子制御式エンジン2を制御するために装備しているものを使用している。すなわち、これらのセンサ9,10をエンジン2の制御とエンジン模擬音の生成との両方に兼用している。
また、前記音量調整手段8は、図1に示すように、車室前部の操作パネル11に取付けてあり、運転者が運転中に操作することができる構成を採っている。
【0022】
前記エンジン模擬音発生手段3は、エンジン回転速度検出手段4が出力したエンジン回転速度信号と、アクセル操作量検出手段6が出力したアクセル操作量信号とが入力されて発音制御信号を生成する発音制御手段12と、実際のエンジン音の音圧波形データを記憶するマップ13を有する記憶手段14と、前記発音制御手段12が生成した発音制御信号および前記マップ13から読出した音圧波形データとに基づいてエンジン模擬音の音圧信号を生成する模擬音出力手段15と、前記音圧信号を増幅するアンプ16と、このアンプ16に接続したスピーカ17とから構成している。
【0023】
前記発音制御手段12および模擬音出力手段15はマイクロコンピュータ(図示せず)の回路中にソフトウェアとして構成しており、前記記憶手段14は前記マイクロコンピュータに接続した半導体メモリによって構成している。また、前記アンプ16とスピーカ17は、この実施の形態ではカーオーディオ用として装備されているものを使用しており、音楽などの発生とエンジン模擬音の発生との両方に兼用している。アンプ16は図1に示すように車室前部に配置し、スピーカ17は車室内の前部と後部とに配設して車室内に音が伝播するように構成している。
前記発音制御手段12は、4ストロークサイクルエンジンではクランク軸2回転(エンジン1燃焼サイクル)する毎に発音制御信号を一定時間だけ模擬音出力手段15に送出する構成を採っている。発音制御信号を送出する時間は、クランク軸が2回転するために必要な時間である。すなわち、エンジン運転時には、そのときの回転速度に応じて決まる1燃焼サイクル分の時間だけサイクル毎に発音制御信号が発音制御手段12から模擬音出力手段15に送出される。
【0024】
この発音制御信号は、図3に示すように、エンジン模擬音の高さ(周波数)を模擬音出力手段15が設定するための発音信号と、エンジン模擬音の大きさ(音圧)を模擬音出力手段15が設定するための信号と、音色(波形)を模擬音出力手段15が設定するための音色信号と、アクセルペダル操作量およびエンジン回転速度を示す信号(図示せず)とから構成している。前記音色の設定は、エンジン模擬音をカットフィルター(図示せず)に通し不要音域を削除することによって実施する。このため、音色信号は、前記フィルターで削除する周波数(フィルターカット周波数)を決定できるように生成している。
【0025】
また、発音制御手段12は、この実施の形態では、上述した3種類の信号を模擬音出力手段15に送出する毎に僅かずつ変更する構成を採っている。すなわち、エンジン模擬音の高さ、大きさ、音色がそれぞれエンジン1燃焼サイクル毎(発音毎)に変わるように構成している。
【0026】
前記記憶手段14は、後述する模擬音出力手段15が送出した読出し信号に対応する音圧波形データをマップ13から選択し、模擬音出力手段15に返送する構成を採っている。前記マップ13は、エンジン音の音圧波形データをエンジン回転速度およびアクセル操作量に割付けて形成している。この実施の形態では、図4に示すように、エンジン回転速度とアクセル操作量とでそれぞれ一定の幅をもつ単位領域(1〜24)を多数並設し、全ての単位領域に音圧波形データを一つずつ記憶させることによってマップ13を構成している。このマップ13においては、エンジン1がアイドリング運転状態のときには単位領域1が対応し、最大出力時には単位領域24が対応する。
【0027】
音圧波形データは、エンジン2の運転状態が前記各単位領域での回転速度幅、アクセル操作幅の略中央になるときのエンジン1燃焼サイクル分のエンジン音を録音してデジタルデータに変換したものである。
【0028】
前記模擬音出力手段15は、前記発音制御手段12が送出した発音制御信号に含まれているエンジン回転速度データとアクセル操作量データとに基づいて前記マップ13の単位領域を指定する読出し信号を記憶手段14に送出するとともに、記憶手段14から読出した音圧波形データと、前記発音制御信号に含まれている前記三種類の音データとを用いてクランク軸2回転毎に変化するように音圧信号を生成し、アンプ16に送出する構成を採っている。アンプ16に前記音圧信号が送出されることによって、この音圧信号をアンプ16が増幅してスピーカ17からエンジン模擬音が発生する。また、この模擬音出力手段15は、前記音量調整手段8を接続し、この音量調整手段8を操作することによってエンジン模擬音の音量を増減することができるように構成している。
【0029】
模擬音出力手段15が記憶手段14から読出す音圧波形データは、そのときのエンジン回転速度とアクセル操作量に対応するものが選択される。音圧波形データの選択は、例えば、運転状態が図5に示すように変化する場合、すなわち変速機を操作しない状態でアクセルペダル5を急に大きく踏込んで急加速を行った後に一定操作量を保ち、その後にアクセルペダル5から急に足を離すというような急加速・急減速を行う場合には、以下のように実施される。
【0030】
急加速時には、エンジン2の回転部材と車体の慣性のためにアクセル操作を行った後にエンジン回転速度が上昇を開始する。このとき、エンジン2の吸気音や排気音は、アクセル操作量に応じて音の大きさが変化し、エンジン2の機械音は、アクセル操作量によっては音の大きさがあまり変わることはなく、エンジン2の回転速度に応じて大きく変化する。このため、急加速時には、先ず、吸気音と排気音が相対的に大きく発生し、その後、エンジン回転速度が上昇するにしたがって機械音が大きくなる。
【0031】
このような急加速時には、図6中に矢印で示すように、マップの単位領域1から単位領域7→13→19→20→21→22→23→24という順番で単位領域が選択されてそれぞれの音圧波形データが読出される。
【0032】
急減速時には、先ず吸気音と排気音が小さくなり、エンジン回転速度が低下するにしたがってエンジン2の機械音が小さくなる。このため、急減速時には、図6中に矢印で示すように、単位領域24→18→12→6→5→4→3→2→1という順番で単位領域が選択されてそれぞれの音圧波形データが読出される。なお、空吹かし運転を行った場合には、車体の慣性がないのでエンジン2の応答は急加減速時より速くなるため、選択する単位領域は上述した急加減速時と若干異なる。
【0033】
一方、加速や減速を緩やかに行う場合には、エンジン2の回転部材と車体を加速するために必要な力は走行抵抗に較べて無視できるほど小さいので、アクセル操作量に応じてエンジン回転速度が増大・低下する。このため、この緩加減速時には、図6中に矢印で示すように、単位領域1と単位領域24との間でマップ13の対角線に沿って単位領域が選択されてそれぞれの音圧波形データが読出される。
【0034】
上述したように音圧波形データを順次読出してエンジン模擬音を発生させると、アクセル操作量が一定のときには、エンジン回転速度が単位領域内で変化しても発生するエンジン模擬音は略同一になる。このため、エンジン回転速度が複数の単位領域を越えて変化すると、エンジン模擬音は段階的に変化してしまう。
【0035】
このような現象が生じることを阻止するために、この模擬音出力手段15は、エンジン2の回転速度に応じてエンジン模擬音の再生レート(発音時間)を変化させる再生レート変更手段18を備えている。
【0036】
再生レート変更手段18は、音圧波形データの元になるエンジン音を録音したときのエンジン回転速度と、エンジン回転速度検出手段4が検出したエンジン回転速度との速度差がなくなるようにエンジン模擬音の周波数および発音時間を変化させる構成を採っている。ここで、再生レート変更手段18の構成の更に詳細な説明を含めて再生レート変更手段18の動作を図7によって説明する。
【0037】
ここでは、仮に単位領域1の音圧波形データをエンジン回転数が2400rpm の状態でエンジン音を録音して生成し、単位領域2の音圧波形データをエンジン回転数が3600rpm の状態で録音して生成した場合について説明する。この場合、クランク軸が2回転するために必要な時間は、単位領域1では50msecになり、単位領域2では約33msecになる。このため、エンジン模擬音の再生レートを変更しないと、図7(a)に示すように、単位領域1と単位領域2でエンジン模擬音の長さが異なるために単位領域の境界では音が不自然に変化するようになる。図7(a)においてはクランク軸2回転分の音の長さを符号t1,t2で示している。
【0038】
単位領域1と単位領域2の境界のエンジン回転数を仮に3000rpm とすると、この境界回転数での音の長さは、単位領域1でのエンジン模擬音の長さに対して3000/2400=1.25であるから、再生レート変更手段18は再生レートを25%増大させてクランク軸2回転分の音の長さt1 が40msecになるようにする。また、前記境界回転数での音の長さは、単位領域2でのエンジン模擬音の長さに対して3000/3600=0.83であるから、再生レート変更手段18は再生レートを17%低減させてクランク軸2回転分の音の長さt2 を40msecに伸ばす。
【0039】
このように再生レート変更手段18でエンジン模擬音の再生レートを変えることによって、単位領域どうしの境界を含む過渡域でエンジン模擬音を同じ長さになるように再生することができ、自然なエンジン模擬音を発生させることができる。
【0040】
したがって、この実施の形態によるエンジン模擬音発生装置3は、エンジン音のクランク軸2回転分の音圧波形データをマップ13にエンジン回転速度およびアクセル操作量に割付けて記憶させ、このマップ13から読出した音圧波形データを用いてエンジン模擬音を発生させる構成を採っているため、エンジン回転速度とアクセル操作量に対応するようにエンジン模擬音が発生する。このため、自動車の運転者は自然なエンジン模擬音を聞くことができる。
【0041】
また、音圧波形データが有する音圧、周波数および音色からなる音データをそれぞれ変えてエンジン模擬音を生成しているから、一定速度で運転しているときでもエンジン模擬音は常に変化し、爆発にばらつきがあるエンジン2のエンジン音を模倣したような音になる。実際のエンジン音は、図8に示すように、毎回の爆発が一定ではないことからばらついた音になる。このようにばらつきがあるから、実際のエンジンではエンジン音が単調になることはない。図8に示したエンジン音のスペクトルは図9に示すように表れる。図9から分かるように、実際のエンジン音は、広い周波数範囲にわたって分布する音が混合して生成されていることがわかる。
【0042】
さらに、このエンジン模擬音発生装置3は、エンジン回転速度とアクセル操作量とを一定幅とした単位領域の略中央にエンジン1燃焼サイクル分の音圧波形データを記憶させてマップ13を形成し、実際のエンジン回転速度と音圧波形データ記憶時の回転速度との速度差がなくなるようにエンジン模擬音の再生レートを変化させているので、エンジン2の運転状態がエンジン回転速度とアクセル操作量とも前記単位領域内にあるときにはどのような運転状態でも一つの音圧波形データを使用してエンジン模擬音が発生する。このため、全ての運転状態でエンジン音を録音して記憶手段に記憶させる構成を採る場合に較べ、音圧波形データの数が少なくてもエンジン2の運転域の全域にわたってエンジン模擬音を発生させることができるから、記憶手段の容量を相対的に少なくすることができる。その上、エンジン2の回転速度が変化してこの回転速度に対応するマップ13の単位領域が変わるときには、音圧波形データ一つ分のエンジン模擬音の再生時間がエンジン2の回転速度に応じて変化するから、エンジン模擬音が一方の単位領域の音圧波形データに対応する音から他方の単位領域の音圧波形データに対応する音に除々に変化する。このため、エンジン模擬音が自然に変化するようになる。
【0043】
加えて、この実施の形態によるエンジン模擬音発生装置3は、エンジン回転速度およびアクセル操作量を検出するセンサ9,10をエンジン制御系のセンサに兼用させ、アンプ16およびスピーカ17をオーディオ用のものに兼用させているので、このエンジン模擬音発生装置3を装備することによってコストアップになるのを最小限に抑えることができる。
【0044】
第2の実施の形態
本発明に係るエンジン模擬音発生装置は、図10に示すように、自動二輪車にも適用することができる。
【0045】
図10は自動二輪車に本発明を適用した他の実施の形態を示す構成図である。同図において、前記図1ないし図9で説明したものと同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0046】
図10において、符号21で示すものは、この実施の形態による自動二輪車である。この自動二輪車21に装備するエンジン模擬音発生装置3は、運転者が着座するシート(図示せず)の下方にアンプ16およびスピーカ17を除いて配設し、アンプ16およびスピーカ17をヘルメット22に配設している。また、エンジン模擬音発生装置3の前記模擬音出力手段15(図示せず)からアンプ16に音圧信号を赤外線通信装置23によって送出する構成を採っている。
【0047】
赤外線通信装置23は、運転者より車体の前方の例えば燃料タンク上部に配設した赤外線発信機23aと、ヘルメット22の顎の部分に設けた赤外線受信機23bとから構成している。
【0048】
また、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出用センサ9はクランク軸の回転を検出する構成を採り、アクセル操作量検出用センサ10は気化器のスロットル弁開度を検出する構成を採っている。
【0049】
このように自動二輪車21に本発明に係るエンジン模擬音発生装置3を装備することにより、自動二輪車21を運転しながらエンジン模擬音を聞くことができる。また、赤外線通信装置23によってヘルメット側と車体側を接続しているので、運転者は車体に対して乗り降りするときや運転するときに車体に拘束されることはない。
【0050】
第3の実施の形態
本発明に係るエンジン模擬音発生装置は、図11および図12に示すように、電動式自動車にも適用することができる。
【0051】
図11は本発明に係るエンジン模擬音発生装置を装備した電動式自動車の構成図、図12は電動式自動車用のエンジン模擬音発生装置を示すブロック図である。これらの図において、前記図1ないし図9で説明したものと同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0052】
図11において、符号31で示すものはこの実施の形態による電動式自動車である。この電動式自動車31は、車体前部にモータ駆動ユニット32を搭載し、モータの動力によって走行する構造を採っている。
【0053】
この電動式自動車31に装備するエンジン模擬音発生装置3は、モータの回転速度をエンジン回転速度の代わりに検出する構成と、エンジン模擬音を車体の外にも伝播させる構成を採っている他は、前記第1の実施の形態を採るときと同じ構成を採っている。
【0054】
モータの回転速度を検出するためには、車輪33の回転を車速センサ34によって検出し、図12中に符号35で示す走行速度検出手段によって車速からモータの回転速度を求める構成を採っている。この走行速度検出手段35が発音制御手段12にモータ回転速度信号を送出する。
【0055】
また、スピーカ17は、車体最前部と最後部にも設けている。車体最前部のスピーカ17は車体の前方に向けてエンジン模擬音を発生させ、車体最後部のスピーカ17は車体の後方に向けてエンジン模擬音を発生させる。
【0056】
このように電動式自動車31に本発明に係るエンジン模擬音発生装置3を装備することにより、電動式自動車31がエンジン模擬音を発するようになり、このエンジン模擬音が近くの歩行者に聞こえるようになる。
したがって、電動式自動車31の存在をエンジン模擬音によって歩行者に知らせることができる。
【0057】
なお、上述した三つの実施の形態の何れにおいても、エンジン模擬音発生装置3が検出した実際のエンジン回転速度、モータ回転速度を定数倍して用いることができる。この構成を採ることにより、実際のエンジン回転速度(モータ回転速度)が遅い場合でも高速運転をしているようなエンジン模擬音を発生させることができるし、実際のエンジン回転速度(モータ回転速度)より遅い回転速度で運転しているようなエンジン模擬音を発生させることができる。
【0058】
また、記憶手段14のマップ13を人為的に変更できるように構成することもできる。例えば、複数のマップ13を交換して使用できるように記憶手段14を構成し、各マップ13に異なるエンジン音の音圧波形データを記憶させることによって、自車とは異なる車種のエンジン音をエンジン模擬音として発生させることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、動力ユニットの回転速度とアクセルの操作量に対応するエンジン模擬音が発生するから、走行状態に応じた現実性が高いエンジン模擬音を発生させることができる。
【0060】
したがって、このエンジン模擬音発生装置をエンジン式車両や電動式車両に搭載することによって、運転者は自然なエンジン模擬音を聞くことができる。特に、電動式車両にこのエンジン模擬音発生装置を搭載することにより、運転者はモータ回転速度などの自車の運転情報をメータに頼ることなく聴覚によっても知ることができるようになる。
【0061】
音圧波形データが有する音圧、周波数および音色からなる音データのうち少なくとも何れか一つを変化させる発音制御手段を設けた他の発明によれば、一定速度で運転しているときでもエンジン模擬音は常に変化し、爆発にばらつきがあるエンジンのエンジン音を模倣したような音になる。
このため、実際のエンジンにより一層近い自然なエンジン模擬音を発生させることができる。
【0062】
回転速度とアクセル操作量とを一定幅とした単位領域の略中央にエンジン1燃焼サイクル分の音圧波形データを記憶させてマップを形成し、実際の回転速度と音圧波形データ記憶時の回転速度との速度差がなくなるようにエンジン模擬音の周波数を変化させる他の発明によれば、動力ユニットの運転状態が回転速度とアクセル操作量とも前記単位領域内にあるときにはどのような運転状態でも一つの音圧波形データを使用してエンジン模擬音が発生する。
【0063】
このため、全ての運転状態でエンジン音を録音して記憶装置に記憶させる構成を採る場合に較べ、音圧波形データの数が少なくても動力ユニットの運転域の全域にわたってエンジン模擬音を発生させることができるから、記憶装置の容量を相対的に少なくすることができる。
【0064】
また、動力ユニットの回転速度が変化してこの回転速度に対応するマップの単位領域が変わるときには、音圧波形データ一つ分のエンジン模擬音の再生時間が動力ユニットの回転速度に応じて変化するから、エンジン模擬音が一方の単位領域の音圧波形データに対応する音から他方の単位領域の音圧波形データに対応する音に除々に変化する。
【0065】
したがって、本発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置は、記憶装置の容量が少なくてよいことから安価で、しかも動力ユニットの運転域が過渡域にあるときでもエンジン模擬音を自然に変化させることができる。
【0066】
動力ユニットを電動式車両用のモータ駆動ユニットとしてエンジン模擬音が車外に伝播される構成とした他の発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置によれば、電動式車両が発するエンジン模擬音が近くの歩行者に聞こえるようになるから、電動式車両の存在をエンジン模擬音によって歩行者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエンジン模擬音発生装置を装備した自動車の構成図である。
【図2】 本発明に係る車両用エンジン模擬音発生装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 発音制御信号の例を示すグラフである。
【図4】 マップの構成を示す図である。
【図5】 急加減速時の運転状態の変化を示すグラフである。
【図6】 急加減速時と緩加減速時にエンジン模擬音出力手段が読出す単位領域の変化を示すグラフである。
【図7】 再生レート変更手段の動作を説明するためのエンジン模擬音の音圧波形を示すグラフである。
【図8】 実際のエンジン音の音圧波形を示すグラフである。
【図9】 実際のエンジン音のスペクトルを示すグラフである。
【図10】 自動二輪車に本発明を適用した他の実施の形態を示す構成図である。
【図11】 本発明に係るエンジン模擬音発生装置を装備した電動式自動車の構成図である。
【図12】 電動式自動車用のエンジン模擬音発生装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…自動車、2…エンジン、3…エンジン模擬音発生装置、4…エンジン回転速度検出手段、6…アクセル操作量検出手段、7…エンジン模擬音発生手段、12…発音制御手段、13…マップ、14…記憶手段、15…模擬音出力手段、16…アンプ、17…スピーカ、18…再生レート変更手段、21…自動二輪車、31…電動式自動車。
Claims (3)
- 動力ユニットの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
音圧波形データを収納した記憶手段と、
前記音圧波形データを用いてエンジン模擬音を発生させるエンジン模擬音発生手段とを備える車両用エンジン模擬音発生装置において、
前記記憶手段は、エンジン音の予め定めた時間内での音圧波形データを回転速度およびアクセル操作量に割付けて形成したマップを備え、
前記マップは、回転速度とアクセル操作量とでそれぞれ一定の幅をもつ単位領域を多数並設するとともに、前記単位領域のそれぞれにエンジン運転状態がこの単位領域での回転速度幅、アクセル操作幅の略中央になるときのエンジン1燃焼サイクル分の音圧波形データを記憶させることによって形成され、
前記エンジン模擬音発生手段は、アクセル操作量と回転速度に基づいて発音制御信号を発生する発音制御手段と、前記発音制御信号に基づいて、前記記憶手段のマップから対応する音圧波形データを読取り、音圧信号に変換してアンプに送出する模擬音出力手段とを備え、
前記発音制御信号は、音圧波形データが有する音圧、周波数および音色からなる音データのうち少なくとも何れか一つをエンジン1燃焼サイクル毎に変化させるものであることを特徴とする車両用エンジン模擬音発生装置。 - 請求項1記載の車両用エンジン模擬音発生装置において、前記模擬音出力手段は、前記発音制御信号に基づいて音圧波形データを前記マップから読出し、
音圧波形データの元になるエンジン音を録音したときのエンジン回転速度と、動力ユニットの回転速度との速度差がなくなるようにエンジン模擬音の周波数を変化させる再生レート変更手段をさらに含むことを特徴とする車両用エンジン模擬音発生装置。 - 請求項1または請求項2記載の車両用エンジン模擬音発生装置において、動力ユニットを電動式車両用のモータ駆動ユニットとし、エンジン模擬音発生手段をエンジン模擬音が車外に伝播される構成としたことを特徴とする車両用エンジン模擬音発生装置。
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