JP4095820B2 - 排気ガス浄化方法及び難分解性ハロゲン化合物分解処理施設の運転方法 - Google Patents
排気ガス浄化方法及び難分解性ハロゲン化合物分解処理施設の運転方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の難分解性ハロゲン化物を含有する排気ガスを効率よく浄化する方法、及び難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PCB等の難分解性ハロゲン化合物は、一般的に化学的に安定であり、自然環境中で容易に分解されない(かかるハロゲン化合物を「難分解性ハロゲン化合物」という。)。また、これらは動植物体内に取り込まれ、蓄積・濃縮されて悪影響を与える。従って、これらの難分解性ハロゲン化合物の無害化処理の促進が重要な課題となっている。
【0003】
難ハロゲン化合物等の無害化処理は、通常、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物を前処理する前処理設備と、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、反応混合物の後処理を行なう後処理設備を有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設で行なわれている。
【0004】
また、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備等からは、反応生成物のガスや蒸散した難分解性ハロゲン化合物等の環境汚染物質(以下、「難分解性ハロゲン化合物等」という。)を含む排気ガスが発生する。環境汚染物質を含む排気ガスがそのまま外部に排出されると自然環境を再汚染することになるため、この排気ガスから難分解性ハロゲン化合物等を除去する必要がある(以下、この操作を「浄化」という。)。特に、難分解性ハロゲン化合物は規制対象物質であり、微量でも外部に漏出しないように排気ガスの浄化を完全に行なう必要がある。
【0005】
従来、この排気ガスを浄化する方法としては、分解反応設備に活性炭を充填した活性炭充填塔を連結して設置し、該活性炭充填塔内に排気ガスを通過させることにより、難分解性ハロゲン化合物等を吸着除去する方法が知られている(前掲、「PCB処理技術ガイドブック」等。)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この活性炭を使用して吸着除去する方法では、分解反応設備から発生する難分解性ハロゲン化合物を効率よく完全に除去することが、煩雑かつ困難であった。
【0007】
そこで、本発明者等は、排気ガスの浄化方法として難分解性ハロゲン化合物を含む排気ガスを、難分解性ハロゲン化合物の溶解性に優れる吸収液と接触処理する方法を採用することとした。この方法は、吸収液を循環させる循環経路と該循環経路内に設置された充填物とを有する吸収装置を使用し、吸収液を充填物の上部から流下させると同時に、排気ガスを充填物の下部から送り込んで上部から排出させ、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を吸収液に吸収させるものである(このようなタイプの吸収装置を、「気液向流型の吸収装置」という。)。
【0008】
しかしながら、この方法には次のような解決すべき課題があった。
気液向流型の吸収装置においては、循環させる吸収液の流速に応じてある量の吸収液が装置内に存在する(これを「ホールドアップ」という。)。液流速を一定に保ち、排気ガスの供給速度を増加していくと、ホールドアップはほぼ一定で、ガスの通過圧力損失はガス流速の累乗に比例して増加する。
【0009】
ところが、ガス流速が装置条件で定まる一定値を超えると、ホールドアップが増加し、ガスの圧力損失が急激に増加する。さらに、ガス流速を増加させると、吸収液は流下できなくなり、塔頂に向かって逆流するようになる(これを「ローディング」という。)。従って、ローディングを起こさず、かつ、できるだけ効率よく難分解性ハロゲン化合物の接触を行なうことができる条件で吸収装置を運転する必要がある。
【0010】
また、吸収液に吸収される難分解性ハロゲン化合物の量が飽和した場合には吸収液を新しいものと交換する必要があるが、従来、交換時期の把握は一定期間毎に吸収液をサンプリングして難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定する等の方法によっていた。しかし、サンプリングを行なう毎に分解反応槽の運転を停止させなければならず、また分析操作も煩雑であった。
【0011】
従って、上記吸収装置を実際に使用して難分解性ハロゲン化合物を含む排気ガスの浄化処理を行なう場合には、いかに効率よく、かつ完全に難分解性ハロゲン化合物を完全に除去することができる条件で吸収装置を運転するかが問題となっていた。
【0012】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであって、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを効率よく、かつ完全に浄化する排気ガス浄化方法、及び難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、気液向流型の吸収装置を使用して、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物を効率よく除去する方法について鋭意検討した。
その結果、気液混在下での気体中の成分濃度を計算する理論式に基づいて、脱ハロゲン化反応に用いる溶剤又は吸収液と難分解性ハロゲン化合物の液体状態での含有量、及び溶剤と難分解性ハロゲン化合物の蒸気圧の値から、排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の重量濃度を計算する計算式を導いた。
【0014】
そして、得られた計算式を用いて、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物(気体状態)の含有量を算出した。さらに、得られた計算結果から、前記排気ガスと吸収剤とを接触させる最適条件を設定することにより、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の除去が、完全、かつ極めて効率よく行なうことができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0015】
かくして本発明の第1によれば、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを吸収液と接触処理することにより、該排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なう排気ガス浄化方法であって、
前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)を、式(1)〜(3)
【0016】
【数7】
【0017】
【数8】
【0018】
【数9】
【0019】
〔式中、CLW1は難分解性ハロゲン化合物の溶剤中の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw1は難分解性ハロゲン化合物の分子量を表し、CLW2は溶剤の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw2は溶剤の分子量を表し、CGM1は難分解性ハロゲン化合物の気中モル分圧(Pa)を表し、VP1は所定温度における難分解性ハロゲン化合物の飽和蒸気圧(Pa)を表し、CLM1は難分解性ハロゲン化合物の液中モル濃度(mol/mol)を表し、CGW1は排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(g/m3N)を表す。〕から計算して求め、得られた計算結果から前記接触処理する条件を設定し、該設定条件下で前記排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なうことを特徴とする排気ガス浄化方法が提供される。
【0020】
本発明の排気ガス浄化方法においては、前記得られた計算結果から、吸収液の使用量、接触温度又は吸収液の交換時期を設定し、該設定条件下で前記排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なうのが好ましく、前記吸収液として絶縁油を用いるのが好ましい。
【0021】
また、本発明の排気ガス浄化方法は、前記接触処理を、吸収液と前記排気ガスとの接触処理を行なう気液向流型の吸収装置を使用して行なうものであるのが好ましく、前記排気ガスが、溶剤中で難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう反応設備から発生する難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスの浄化方法であるのが好ましい。
【0022】
本発明の第2によれば、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物の前処理を行なう前処理設備と、溶剤中で難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、前記脱ハロゲン化反応により生成した反応生成物の後処理を行なう後処理設備と、及び前記各設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法であって、前記排気ガス浄化設備が、吸収液と前記排気ガスとの接触処理を行なう吸収装置を有し、前記各設備から発生する難分解性ハロゲン化合物を含む排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)を、下記式(1)〜(3)
【0023】
【数10】
【0024】
【数11】
【0025】
【数12】
【0026】
〔式中、CLW1は難分解性ハロゲン化合物の溶剤中の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw1は難分解性ハロゲン化合物の分子量を表し、CLW2は溶剤の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw2は溶剤の分子量を表し、CGM1は難分解性ハロゲン化合物の気中モル分圧(Pa)を表し、VP1は所定温度における難分解性ハロゲン化合物の飽和蒸気圧(Pa)を表し、CLM1は難分解性ハロゲン化合物の液中モル濃度(mol/mol)を表し、CGW1は排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(g/m3N)を表す。〕から計算して求め、得られた計算結果から前記気液向流型の吸収装置の最適運転条件を選択して、該条件下で前吸収装置の運転を行なうものであることを特徴とする難ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法が提供される。
【0027】
本発明の運転方法においては、前記計算結果から、前記吸収装置への前記排気ガスの供給量、供給圧力及び吸収液の交換時期を設定し、該設定条件下で前記吸収装置の運転するのが好ましい。
【0028】
また、本発明の運転方法は、前記吸収装置として気液向流型の吸収装置を用いるのが好ましく、深冷コンデンサー及び活性炭充填塔をさらに有する排気ガス浄化設備を用いる運転方法であるのがより好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排気ガスの浄化方法及び難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法を詳細に説明する。
【0030】
1)排気ガスの浄化方法方法
本発明の排気ガスの浄化方法は、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガス、好ましくは溶剤中で難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化反応を行なう反応設備から発生する排気ガスを、吸収液と接触することにより難分解性ハロゲン化合物の除去を行なうものである。
【0031】
本発明の対象とする難分解性ハロゲン化合物は、一般的に化学的に安定であり、自然環境中で容易に分解されないハロゲン化合物である。難分解性ハロゲン化合物としては、例えば、PCB、ダイオキシン類、ポリ塩素化ベンゾフラン類、ポリ塩素化ベンゼン、DDT等の芳香族ハロゲン化合物;BHC等の脂環族ハロゲン化合物;等が挙げられる。
【0032】
脱ハロゲン化反応に用いる溶剤としては、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプアン、n−オクタン、n−デカン、ケロシン、デカリン、流動パラフィン、電気絶縁油(例えば、JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油)、重油(例えば、JIS K2205に記載の重油)等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;1,3−ジメチルイミダゾリン、スルホラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等の非プロトン性極性溶剤;等を用いることができる。これらの中でも、炭化水素類や芳香族炭化水素等の非極性有機溶剤の使用が好ましく、電気絶縁油(例えば、JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油)の使用が特に好ましい。
【0033】
溶剤中で難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化反応を行なう方法としては特に制限はなく、種々の難分解性ハロゲン化合物の分解反応方法が使用できる。具体的には、▲1▼溶剤中、アルカリ金属分散体を用いて難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう方法、▲2▼溶剤中、難分解性ハロゲン化合物に水素供与体、添加剤及びアルカリを添加した後、窒素雰囲気下、常圧で加熱するアルカリ触媒分解法(BCD法)、▲3▼難分解性ハロゲン化合物を、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等の非プロトン性極性溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリと反応させる化学抽出分解法、▲4▼難分解性ハロゲン化合物に、カリウム ターシャリーブトキシド等の有機アルカリ金属を添加し、加熱することより、脱ハロゲン化反応を行なう有機アルカリ金属法、▲5▼溶剤中、難分解性ハロゲン化合物をパラジウム/カーボン等の水素化触媒の存在下、水素ガス中、常圧で加熱する触媒水素化脱塩素化法(Pd/C法)等が例示される。
【0034】
これらの中でも、難分解性ハロゲン化合物に由来する化合物の物質収支が明確であり、有害物質を副生せず、分解後の後処理が容易であること等の理由から、前記▲1▼のアルカリ金属分散体を使用する方法が好ましく、アルカリ金属分散体として金属ナトリウムを溶剤に分散させてなる金属ナトリウム分散体を用いる方法がより好ましい。
【0035】
接触処理に用いる吸収液としては、難分解性ハロゲン化合物等に対して溶解力に優れるものが好ましい。その具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプアン、n−オクタン、n−デカン、ケロシン、デカリン、流動パラフィン、電気絶縁油(例えば、JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油)、重油(例えば、JIS K2205に記載の重油)等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1,3−ジメチルイミダゾリン、スルホラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等の非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、難分解性ハロゲン化合物を吸収した吸収剤をそのまま脱ハロゲン化反応の溶剤として使用して、吸収した難分解性ハロゲン化合物を再度脱ハロゲン化反応に供することができることから、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう際に用いられる溶剤がさらに好ましい。
【0037】
前記接触処理は、排気ガスを吸収液と接触処理することができる吸収装置、例えば、図1に示す吸収装置を使用して行なうことができる。図1に示す吸収装置は、排気ガス2を吸収塔1の下部から送り込み、吸収液2を吸収塔1から送り込む気液向流型の吸収装置である。
【0038】
吸収塔1の大きさは特に制限されず、浄化する排気ガスの流量等によって適宜所定の大きさのものを使用することができる。図1に示す吸収塔1では、内径が80mm、高さが220mm程度であるが、塔の直径はガスの流量により種々の大きさのものを使用できる。
【0039】
また、吸収塔1の中段部には充填物4が充填された充填部5が設けられており、該充填物の細かな隙間を吸収液3がゆっくりと流れる間に排気ガス2が吸収液3と十分に接触するようになっている。
【0040】
充填物4としては、排気ガス2と吸収液3との接触が十分できるものであれば充填物4の種類に制限はない。例えば、スルーザーパッキング、スルーザーラボパッキングのような金網を組み上げることにより作成された規則性充填物や、ラシヒリング、ペルルサドルのような不規則性充填物等を用いることができる。
【0041】
また、吸収液3の流れはダイアフラムポンプ6によって作り出され、その流量は流量計7によって制御されている。吸収液3の流れ良さを確保するためにヒーター(図示を省略)によって、吸収液3を25〜30℃に加熱して用いるのが好ましい。
【0042】
本発明の浄化方法は、分解反応槽から発生する排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)を、式(1)〜(3)から計算して求め、得られた計算結果から前記接触処理の条件を設定し、該設定条件下で前記排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なうことを特徴とする。
【0043】
難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1、単位:g/m3N)は、次のようにして求めることができる。以下の計算においては、溶剤及び難分解性ハロゲン化合物は供に非極性成分であり、難分解性ハロゲン化合物の濃度が希薄であるため、ラウールの法則に従う理想液体及び理想気体状態で取扱うことができる。すなわち、活量係数は1として取扱うことができる。
【0044】
(i)先ず、難分解性ハロゲン化合物の溶剤中の液中モル濃度(CLM1、単位:mol/mol)を、
【0045】
【数13】
【0046】
から求める。ここで、CLW1は難分解性ハロゲン化合物の溶剤中の液中重量濃度(単位:kg/kg)を表し、Mw1は難分解性ハロゲン化合物の分子量を表し、CLW2は溶剤の液中重量濃度(単位:kg/kg)を表し、Mw2は溶剤の分子量を表す。
(ii)次に、難分解性ハロゲン化合物の気中モル分圧(CGM1、単位:Pa)を、
【0047】
【数14】
【0048】
から求める。ここで、VP1は所定温度(測定温度)における難分解性ハロゲン化合物の飽和蒸気圧(単位:Pa)を表し、CLM1は難分解性ハロゲン化合物の液中モル濃度(単位:mol/mol)を表す。飽和蒸気圧VP(単位:Pa)と絶対温度T(単位:°K)との間には、下記関係式(4)が成り立つ。
【0049】
【数15】
【0050】
ここで、a及びbは、種々の絶対温度Tにおける蒸気圧を測定し、測定結果をプロットし、得られる検量線から求めることができる定数である。
【0051】
(iii)次いで、難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1、単位:g/m3/N)を、
【0052】
【数16】
【0053】
から求める。ここで、101.325は、圧力の単位Pa(パスカル)をatm(気圧)に換算する値である。
【0054】
本発明においては、このようにして求められる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)が、理論的に予測される分解反応槽から発生する排気ガス、又は接触後の排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の理論的に予測される濃度とする(以下、「理論濃度」という。)。
【0055】
そして、理論濃度の1〜100倍、好ましくは5〜50倍、より好ましくは5〜20倍の濃度の難分解性ハロゲン化合物が排気ガス中に含まれていても、外部に放出される排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の濃度が規制値以下となるように、排気ガスと吸収液との接触処理の条件を設定する。
【0056】
ここで、「接触処理の条件」には、吸収液の使用量、排気ガスを吸収液と接触させるときの排気ガスの単位時間あたりの供給量、吸収液を新しいものと交換する時期等の設定条件等が含まれる。
【0057】
具体的には、前記理論濃度に基づいて吸収塔1の吸収液3の充填量及びその流量を定めることができる。例えば、吸収剤としてトランス油を使用する場合には、トランス油の使用量は全体で5〜10リットルであり、その流速は通常5リットル/min〜30リットル/分と設定することができる。
【0058】
また、前記理論濃度から定められる吸収液の交換時期(理論濃度から設定された難分解性ハロゲン化合物等の吸収量が飽和濃度に達したと考えられる時期)には、新しい吸収液と交換することとする。
【0059】
図1に示す吸収装置では、吸収液3を閉鎖系で循環使用するものであるため、分解反応設備の運転を停止させた後、吸収液の交換を行なう。例えば、図1に示す吸収液3の循環流路のいずれかの場所にジョイントを結合して、そのジョイントを介して新しい吸収液を送り込みながら、一方の側から使用済の吸収液を抜き出すことにより、吸収液の交換を行なうことができる。この方法によれば、分解反応設備の運転を継続しながら、吸収液の交換が可能である。
【0060】
なお、使用済の吸収液は、直接分解処理設備に移送して難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に供してもよく、受入れ槽に移送して貯蔵し、一定量ずつをまとめて脱ハロゲン化反応に供することもできる。また、使用済の吸収液を貯蔵する槽を別個設置して、その槽に使用済の吸収剤を移送して貯蔵し、一定量ずつを脱ハロゲン化反応に供することもできる。
【0061】
2)難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法
本発明の第2は、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物の前処理を行なう前処理設備と、溶剤中で難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、前記脱ハロゲン化反応により生成した反応生成物の後処理を行なう後処理設備と、及び前記分解反応設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法である。
【0062】
本発明に用いる難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の概要を図2に示す。図2に示す難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設は、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物含有物の前処理設備、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応設備、後処理設備からなり、各設備には、各設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備がさらに設置されている。
【0063】
(1)前処理設備
前処理設備は、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物を受入れし、その種類に応じて分別を行なう設備である。
難分解性ハロゲン化合物の含有物は、その種類により難分解性ハロゲン化合物の濃度や部材の性状が異なる。例えば、変圧器等の電気機器の場合、メーカー、型番号等により構造や材質が異なり、それらに応じて以後の工程設計を行なう必要がある。
【0064】
前処理設備に受入れられる難分解性ハロゲン化合物の含有物としては、難分解性ハロゲン化合物を含有する廃棄物が挙げられる。その具体例としては、難分解性ハロゲン化合物含有熱媒体、難分解性ハロゲン化合物含有電気絶縁体、難分解性ハロゲン化合物使用製品製造用の難分解性ハロゲン化合物、難分解性ハロゲン化合物混入汚染油、難分解性ハロゲン化合物使用機器洗浄剤廃液等の廃難分解性ハロゲン化合物及び難分解性ハロゲン化合物を含む廃油類;廃感圧紙、電気機器内の絶縁紙、清掃時のワイプ紙、電気機器内のスペーサー、漏電場所の建材、コンデンサ素子用PPフィルム、シーラント材、使用済み保護具類、電線の被覆材、絶縁テープ類、難燃樹脂、電気機器内の絶縁物質、トランス・コンデンサ等の電気機器、電気機器容器、発熱交換器、コンデンサ素子用アルミ、電気機器内の各種留め金具、トランス巻線用銅線等の難分解性ハロゲン化合物含有の紙、木材、合成樹脂又は金属類;難分解性ハロゲン化合物を含有する難分解性ハロゲン化合物処理物;難分解性ハロゲン化合物入りコンデンサ;難分解性ハロゲン化合物入りトランス;等が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、難分解性ハロゲン化合物を多く含むものとして、難分解性ハロゲン化合物を含むケロシン、デカリン、電気絶縁油(JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油)、重油(JIS K2205に記載の重油)、潤滑油及びこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、難分解性ハロゲン化合物含有のトランス又はコンデンサー等である。
【0066】
受入れした難分解性ハロゲン化合物の含有物の解体、切断、破断、分別等を行ない、これらの解体、切断、破断し、分別した物から難分解性ハロゲン化合物を回収するための洗浄が行なわれる。
【0067】
洗浄方法としては、浸漬法、液循環法、超音波法、バブリング法などが挙げられる。用いられる洗浄剤としては、洗浄力が優れ、火災、爆発の危険性が少なく、毒性が低く、洗浄後の乾燥が容易であること等が必要である。洗浄により回収された難分解性ハロゲン化合物は、洗浄剤とともに保管容器に保管され、必要に応じて洗浄剤との分離を行なって、次の脱ハロゲン化反応工程に送られる。
【0068】
また、難分解性ハロゲン化合物を含有するトランス又はコンデンサーの場合には、難分解性ハロゲン化合物の含有物は密閉容器に封入されている。そのため、上記した洗浄等による回収法は作業効率上好ましくない。そこで、この場合には、トランス又はコンデンサーから難分解性ハロゲン化合物を抜き出す作業を行なうのが好ましい。
【0069】
例えば、PCB含有のトランス(又はコンデンサー)の場合には、トランス(又はコンデンサー)を固定し、該トランス(又はコンデンサー)の所定の位置にドリル等で穴を明け、該穴を真空ラインに連結し、トランス(又はコンデンサー)内を加圧しながらから該穴から難分解性ハロゲン化合物を吸引することにより、難分解性ハロゲン化合物を取り出すことができる。
【0070】
また、上記のようにして難分解性ハロゲン化合物を取り出したトランス又はコンデンサ内部には、繊維等に染み込んだ難分解性ハロゲン化合物が残存している場合がある。この場合には、例えば、内部を洗浄剤により洗浄したり、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物を含有する部材を真空加熱炉に入れ、該真空加熱炉内を0.01〜50mbarに減圧にし、減圧を継続しながら前記部材を250〜650℃に加熱して、前記部材を炭化させるとともに難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物を含有する絶縁油を蒸発させ、前記真空加熱炉からの排気系上で凝縮することにより、難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物を含有する絶縁油を回収することができる。
【0071】
また、以上の前処理工程は、難分解性ハロゲン化合物の再汚染を防止するために、密閉された空間内において行ない、該空間から発生する排気ガスは、排気ガス浄化設備により浄化した後に屋外に排出するようにするのが好ましい。浄化方法としては、例えば、活性炭を吸着した活性炭充填塔内を用いる方法や、前記図2に示した排気ガス浄化設備を用いる方法等が挙げられる。排気ガス浄化設備で回収された難分解性ハロゲン化合物は、次の脱ハロゲン化工程へ送られる。
【0072】
(2)分解反応設備
分解反応設備は、一般的には、難分解性ハロゲン化合物及び薬剤(アルカリ)を、所望により活性剤及び溶媒等とともに反応槽に入れ、所定温度で、所定時間、撹拌装置を用いて反応槽内を撹拌することにより、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行う設備である。
【0073】
分解反応設備としては特に制限はなく、種々の難分解性ハロゲン化合物の分解反応方法に適用できるものが挙げられる。具体的には、上述の排気ガスの浄化方法の項で例示した脱ハロゲン化反応を行なうことができる設備が挙げられる。これらの中でも、難分解性ハロゲン化合物に由来する化合物の物質収支が明確であり、有害物質を副生せず、分解後の後処理が容易であること等の理由から、アルカリ金属分散体法を使用する分解反応設備が好ましく、アルカリ金属分散体として金属ナトリウム分散体を用いる分解処理設備が特に好ましい。
【0074】
分解処理設備は、通常、撹拌装置付きの反応槽、反応温度制御装置等からなる。撹拌装置は、少なくとも撹拌翼と撹拌モータからなり、撹拌翼の回転速度を自由に調節でき、難分解性ハロゲン化合物と必要な薬剤、触媒、溶剤等を十分に撹拌でき、所定の分解反応を安定的かつ均一に行わせる撹拌装置を用いるのが好ましい。温度制御装置は、反応槽内の温度(分解反応の温度)を所定温度に調節する装置であり、難分解性ハロゲン化合物の濃度に応じて定められた分解反応設備の運転管理基準に従って、反応前から反応終了までを通じて、温度、圧力等が基準の範囲内で適切かつ安全な運転が確保されるように制御する機能を有するのが好ましい。
【0075】
また、上記したいずれの脱ハロゲン化反応方法による場合にも、脱ハロゲン化反応を安全に行なうために、脱ハロゲン化反応は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
前記分解反応設備において脱ハロゲン化反応を行なって得られる反応生成物は後処理設備に送られる。
【0076】
(3)後処理設備
後処理設備は、反応生成物中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の分解物、未反応の薬剤、活性化剤、溶剤等を分離し、回収を行なって、最終的に廃棄又は再利用可能な状態にする設備である。
【0077】
後処理設備としては、具体的には、遠心分離機、ろ過装置、中和洗浄装置、分液装置、蒸留装置等が挙げられる。そして、これらの装置を用いて、反応生成物から固形分の分離及び回収、過剰のアルカリ分の分解、溶媒の回収、生成塩の分離、触媒の分離等の作業が行なわれる。
【0078】
例えば、高濃度の難分解性ハロゲン化合物含有物をアルカリ金属分散体を用いて脱ハロゲン化反応した反応生成物には、絶縁油等の溶媒及び固形物(ポリフェニレン型重合体、絶縁油、水酸化ナトリウム、食塩、水分等を含む。)が含まれる。後処理設備では、固液分離する遠心分離機、洗浄装置、分液装置等からなり、これらの装置を使用して、油分と固形物を分離する作業が行なわれる。
【0079】
また、低濃度の難分解性ハロゲン化合物の含有物を脱ハロゲン化反応させた場合には、反応生成物に水を加えることにより、ビフェニル類、食塩水及び絶縁油の混合物が得られる。次いで、前記混合物を洗浄し静置した後、油分、タール分及び排水に分液装置を用いて分液し、排水を蒸発装置により水分を蒸発させ、得られた固形分を回収し、蒸発した水分を水分回収装置によりプロセス水として回収する作業が行なわれる。
【0080】
この場合、水洗に用いられたアルカリ性洗浄液から水分及びアルカリ成分を回収し、このものを、再度を前記難分解性ハロゲン化合物の分解物の洗浄液として再利用することができる。また、低濃度の難分解性ハロゲン化合物含有物をアルカリ金属分散体を用いて分解処理する場合にはアルカリ金属分散体及び溶媒のほかに活性化剤を添加するが、この活性剤として、前記難分解性ハロゲン化合物の分解物の洗浄に使用した水溶液を用いることもできる。
【0081】
このようにすることで、大規模な排水設備を用いることなく短工程で分解後の後処理を行なうことができ、反応生成物に用いられる高極性成分を洗浄除去することができ、かつ、アルカリ性洗浄液を濃縮濃度を調整することで、アルカリ成分を裁量することができる。
【0082】
また、本発明の難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設においては、図示を省略しているが、難分解性ハロゲン化合物の分解反応が完了し、難分解性ハロゲン化合物の含有量が一定の基準値以下に達したのを確認するための測定設備がさらに設置されるのが好ましい。
【0083】
かかる測定設備としては、例えば、ECD−GC(エレクトロンキャプチャー検出器付きガスクロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマト−マススペクトル測定装置)等の難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定する装置や、反応開始から所定時間経過した時点で、反応混合物の一部を抜き取り(サンプリング)、このものを精製して、上記測定装置により測定可能状態にするためのシリカゲルカラム等の分離・精製装置が挙げられる。
【0084】
(4)排気ガスの浄化設備
排気ガス浄化設備は、分解反応設備、前処理設備及び/又は後処理設備から排出される排気ガスを浄化の対象とする設備であるが、分解反応設備から排出される排気ガスを浄化の対象とするのが特に好ましい。
【0085】
本発明に好適な排気ガス浄化設備としては、例えば、図3に示す排気ガス浄化設備が挙げられる。図3に示す排気ガス浄化設備は、吸収液が充填された気液向流型の吸収装置11、深冷コンデンサー12、ミストセパレーター13、活性炭が充填された活性炭充填塔14及び逆火防止器15とからなる。なお、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の含有量が低い場合には、吸収装置11の設置を省略することができる。
【0086】
本発明においては、前記反応設備から発生する排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)を、前記式(1)〜(3)から計算して求め、得られた計算結果から前記気液向流型の吸収装置11の最適運転条件を選択して行なう。
【0087】
ここで、前記気液向流型の吸収装置11の最適運転条件とは、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物が、最も効率よく(即ち、製造コスト及び運転コスト面から見て最も有利に)、かつ、外部に放出される浄化処理済の排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物が規制値以下になるような運転条件で、気液向流型の吸収装置を有する排気ガス浄化設備の運転を行なうという意味である。具体的には、前記計算結果から、前記吸収装置への前記排気ガスの供給量、供給圧力及び吸収液の交換時期等を設定し、該設定条件下で運転を行なう。
【0088】
図3に示す排気ガス浄化装置においては、具体的には次のようにして排気ガスの浄化を行なうことができる。
(a)分解反応槽8から発生した排気ガスは、先ず、ベントコンデンサー9により冷却され、溶媒蒸気が液化(凝縮)して、反応槽8に戻される。
(b)次いで、シールトラップ10を通過して、吸収装置11へ送られる。シールトラップ10は、排気ガスの逆流を防止するために設置される。
(c)吸収装置11に送り込まれた排気ガスは吸収液と接触して、排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物等が吸収除去される。このときの接触の条件の選択は、前述の排気ガスの浄化方法の項で説明した方法と同様にして行なうことができる。
【0089】
(d)吸収工程を経た排気ガスは冷却工程に送られる。冷却工程では、排気ガスを深冷コンデンサー12により0℃以下、好ましくは−10℃以下に急冷して、排気ガスに含まれる気体成分を液化(凝縮)させる。吸収剤と接触させた排気ガスを深冷コンデンサー12を使用して冷却することにより、微量の難分解性ハロゲン化合物等を凝縮・除去することができる。深冷コンデンサー12としては特に制限されず、公知のものを使用することができる。
【0090】
即ち、吸収工程を経た排気ガスの温度は、通常20〜30℃に温められているが、深冷コンデンサー12を通過させることによって、0℃以下、好ましくは−10℃以下に冷却されて、排気ガス中の殆どのガス成分が液化し、凝縮する。凝縮した液体は凝縮器(図示を省略)により捕集される。凝縮器に捕集された難分解性ハロゲン化合物等は分解反応設備へ送られ、脱ハロゲン化反応に供せられる。
【0091】
(e)次に、深冷コンデンサー12を通過した排気ガスはミストセパレーター13に送られる。ミストセパレーター13は、ミスト状物(液滴状物)を気体から除去するための分離装置である。深冷コンデンサー12により冷却された排気ガスをミストセパレーター13を通過させることにより、深冷コンデンサー12の凝縮器に回収されなかった微粒子状のミスト状物(溶剤及び難分解性ハロゲン化合物成分)を気体成分から完全に分離することができる。ミストセパレーター13の設置は省略することができるが、難分解性ハロゲン化合物等を完全に除去する観点から設置するのが好ましい。
【0092】
(f)次いで、ミストセパレーター13を通過した排気ガスを活性炭が充填された活性炭充填塔14内を通過させることにより、活性炭による吸着処理を行なう。排気ガスを活性炭と接触さする温度は、通常0℃〜30℃である。また、活性炭の使用量は特に制限されず、排気ガスの流量等に応じて適宜設定することができる。活性炭充填塔14に充填する活性炭としては特に制限はなく、ヤシ殻系、木質系、石炭系のいずれも用いることができるし、粒状炭や破砕炭を粉砕して使用することもできる。
【0093】
(g)最後に、以上のようにして浄化された排気ガスは、逆火防止器15を経て外部に放出される。逆火防止器15は、外部からの火気の進入を防止するために設置される。本発明の浄化方法は、特に難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応槽から発生する排気ガスを浄化の対象とする。従って、水素ガス等の可燃性ガスも排気ガスに含まれる為、逆火防止器を安全のために設置するのが好ましい。
以上のようにして難分解性ハロゲン化合物等を含有する排気ガスを安全に浄化することができる。
【0094】
【実施例】
実施例1
前記図3に示す難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設を使用してPCB含有のトランス油の無害化処理を行なった。
先ず、前処理設備にて、廃棄されたトランスから抜油してKC−300(PCBの1種、分子量:334)48mg/kg、TCB(トリクロロベンゼン)11mg/kg、水54mg/kg含有のトランス油(分子量:260)を4400kgを得た。
【0095】
次に、排気ガス処理系を設計するために、絶対温度T(単位:°K)におけるトランス油及びPCB(KC−300、分子量:264)の飽和蒸気圧(VP、単位:Pa)を測定した。そして、得られたデータを横軸に1/T(°K)、縦軸にLog(VP)として、検量線を作成し、次式(5)及び(6)を得た。以下の式において、VP2はKC−300の飽和蒸気圧を表し、VP3はトランス油の飽和蒸気圧を表し、T1及びT2は絶対温度(°K)を表す。
【0096】
【数17】
【0097】
【数18】
【0098】
式(5)から得られる反応温度(T’)におけるVP2を求め,これを、式(7)、(8)及び(9)
【0099】
【数19】
【0100】
【数20】
【0101】
【数21】
【0102】
(式中、CLM2はKC−300の液中モル濃度を表し、CLW2はKC−300の液中重量濃度を表し、CLW3はトランス油の液中重量濃度を表し、CGM2はKC−300の気中モル分圧(Pa)を表す。)から、KC−300の気中重量濃度(CGW2、単位:g/m3N)を得た。計算結果は、266,667〜386,667ng/m3であった。
【0103】
これを理論濃度として、これの15倍の濃度のKC−300が排気ガスに含まれるとして(4,000,000〜5,800,000ng/m3)、排気ガスの吸収液による接触処理を行なうこととした。
【0104】
次に、吸収装置の運転条件を設定するために、排気ガスの空塔質量速度(G)及び吸収液の空塔質量速度(L)とホールディングとの関係を調べた。実験結果を図4に示す。図4からわかるように、吸収液(トランス油)の空塔質量速度(L)が1,300〜4500kg/m2・hrの範囲内で一定であれば、Gの値が30〜300kg/m2・hrの範囲において、ホールドアップは起こさないことがわかった。
【0105】
そこで、液の空塔質量速度(L)を2,400kg/m2・hr、ガスの空塔質量速度(G)を250kg/m2・hrと設定し、実際に接触処理試験を行い、吸収液中のKC−300の濃度と出口濃度/理論濃度(比率)との関係を調べた。接触の温度は34.2〜35.6℃である。結果を図5に示す。図5中、横軸は吸収液中のKC−300の濃度(mg/kg)を、縦軸は、吸収装置の出口でのKC−300の実際の測定濃度(出口濃度)/吸収装置から発生するKC−300の理論濃度(理論濃度)を表す。
【0106】
図5からわかるように、実測された吸収装置出口の排気ガス中のKC−300の濃度は、500〜1,300ng/m3Nであり、吸収液(トランス油)中のKC−300の濃度約2〜6mg/kgの範囲において、理論濃度の15分の1以下であり、吸収率は99.9%以上であった。
また、以上のことから、吸収装置出口のKC−300の濃度が1,300ng/m3Nを超える場合には、吸収液を新しいものと交換する必要があると判断することとした。
【0107】
次いで、上記で得られたPCB含有のトランス油4400kgを分解反応槽に入れ、内部を窒素置換した後、内温が60℃になるまで加熱した。そこへ、金属ナトリウム分散体(金属ナトリウム11kgを含む。)65kgを入れ、水を4.31kg添加して、60〜70℃で2時間撹拌して脱ハロゲン化反応を行なった。
【0108】
同時に、分解反応槽から発生した排気ガスを、図3に示す反応排気ガス浄化設備に送り込み、上記で設定した運転条件で排気ガスの浄化を行なった。
【0109】
下記A〜Eポイントにおける排気ガスの分析結果を第1表に示す。
Aポイント:シールトラップ10
Bポイント:吸収装置11の出口
Cポイント:深冷コンデンサー12の出口
Dポイント:ミストセパレータ13の出口
Eポイント:活性炭充填塔14の出口
【0110】
排気ガスの分析は、図6に示す排気ガスサンプリング装置にて測定用サンプルを得た後、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を使用して行なった。即ち、前記A〜Eの各サンプリング口から排気ガスを第1表に示す量(採取量)を採集し、蒸留水250ml(内容積500mlのガス吸収瓶に入れたもの)中を氷冷下に通過させ、さらにXAD−2−樹脂(スチレン系樹脂吸着剤)チューブ及びジエチレングリコール(250ml)中を氷冷下に通して難分解性ハロゲン化合物以外の不純物を除去して測定用サンプルを得、このものを高分解能GC−MSを使用して分析した。
【0111】
また、第1表中、略号は次の意味で用いている。
Mono−CBs:モノクロロビフェニール
Di−CBs:ジクロロビフェニール
Tri−CBs:トリクロロビフェニール
Tetra−CBs:テトラクロロビフェニール
Penta−CBs:ペンタクロロビフェニール
Hexa−CBs:ヘキサクロロビフェニール
Hepta−CBs:ヘプタクロロビフェニール
Octa−CBs:オクタクロロビフェニール
Nona−CBs:ノナクロロビフェニール
Deca−CBs:デカクロロビフェニール
Total−PCBs:上記Mono−CBs〜Deca−CBsの合計量
【0112】
【表1】
【0113】
第1表から、活性炭充填塔出口から排出される排気ガスからはほとんど難分解性ハロゲン化合物が検出されず、排気ガスの浄化がほぼ完全に行なわれたことを示している。
【0114】
次いで、得られた反応液を後処理設備に設置された加熱可能な分液装置に移送した。反応液を攪拌しながら、水を10.93kgを60〜70℃で1時間かけて滴下した。水の滴下終了後、さらに同温度で30分攪拌して過剰の金属ナトリウム分散体を完全に分解させた。その後、反応槽の温度を80℃まで昇温させながら、アルカリ水479.9kg(水酸化ナトリウム0.3kg含有)を添加し、30分間撹拌した。80℃前後で14.5時間静置して、処理油層と水層とに分液し、水層を分取した。分取した水層は蒸発回収した。回収量は、474.4kgであった。
【0115】
水層を除いた処理油層に水25.6kg及び前記蒸発回収した水474.4kgを添加して、80℃で1時間攪拌し、80℃で5時間静置して、処理油層と水層とに分液し、水層を分取し、処理油層を得た。この水層は、これに水酸化ナトリウムを添加して所定のアルカリ濃度になるように濃度調整を行なうことにより、反応液の洗浄用のアルカリ水として再利用することができる。
【0116】
以上のようにして得られた処理油層は全体で4465.17kgであり、トランス油4440kg、水25.02kg、水酸化ナトリウム0.02kg、ビフェニル0.1kg及びベンゼン0.02kgがそれぞれ含まれていた。
また、この排気ガス浄化設備の活性炭充填塔出口から排出される排気ガスは、ほとんどポリ塩化ビフェニル類は検出されなかった。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスを完全、かつ効率よく浄化する排気ガス浄化方法、及び難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の排気ガス浄化方法を実施するための気液向流型の吸収装置の概念図である。
【図2】 図2は、本発明の難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法に好適な難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の概念図である。
【図3】 図3は、図2に示す難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の排気ガス浄化設備の概要図である。
【図4】 図4は、排気ガスを図1に示す吸収装置に供給する場合における排気ガスの空塔質量速度(G)とホールドアップ(h)との関係を表す図である。
【図5】 図5は、吸収液中のPCB(KC−300)の濃度と吸収装置の出口におけるPCB(KC−300)の実測濃度(出口濃度)/理論濃度との関係を表す図である。
【図6】 図6は、排気ガスを分析するための測定サンプルを得るための装置を表す図である。
【符号の説明】
1…吸収塔、2…排気ガス、3…吸収液、4…充填物、5…充填部、6…ダイアフラムポンプ、7…流量計、8…分解反応槽、9…ベントコンデンサー、10…シールトラップ、11…吸収装置、12…深冷コンデンサー、13…ミストセパレーター、14…活性炭充填塔、15…逆火防止器
Claims (9)
- 排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なう排気ガス浄化方法であって、前記排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)を、式(1)〜(3)
〔式中、CLM1は難分解性ハロゲン化合物の液中モル濃度(mol/mol)を表し、CLW1は難分解性ハロゲン化合物の溶剤中の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw1は難分解性ハロゲン化合物の分子量を表し、CLW2は溶剤の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw2は溶剤の分子量を表し、CGM1は難分解性ハロゲン化合物の気中モル分圧(Pa)を表し、VP1は所定温度における難分解性ハロゲン化合物の飽和蒸気圧(Pa)を表し、CGW1は排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(g/m3N)を表す。〕から計算して求め、得られた計算結果から前記接触処理する条件を設定し、該設定条件下で前記排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なうことを特徴とする排気ガス浄化方法。 - 前記得られた計算結果から、吸収液の使用量、接触温度又は吸収液の交換時期を設定し、該設定条件下で前記排気ガスから難分解性ハロゲン化合物の除去を行なうことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化方法。
- 前記吸収液として絶縁油を用いる請求項1又は2に記載の排気ガス浄化方法。
- 前記接触処理を、吸収液と前記排気ガスとの接触処理を行なう気液向流型の吸収装置を使用して行なうものである請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化方法。
- 前記排気ガスが、溶剤中で難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう反応設備から発生する難分解性ハロゲン化合物を含有する排気ガスである請求項1〜4のいずれかに記載の排気ガス浄化方法。
- 難分解性ハロゲン化合物又は難分解性ハロゲン化合物の含有物の前処理を行なう前処理設備と、溶剤中で難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を行なう分解反応設備と、前記脱ハロゲン化反応により生成した反応生成物の後処理を行なう後処理設備と、及び前記各設備から発生する排気ガスを浄化する排気ガス浄化設備とを有する難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法であって、前記排気ガス浄化設備が、吸収液と前記排気ガスとの接触処理を行なう吸収装置を有し、前記各設備から発生する難分解性ハロゲン化合物を含む排気ガスに含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(CGW1)を、下記式(1)〜(3)
〔式中、CLM1は難分解性ハロゲン化合物の液中モル濃度(mol/mol)を表し、CLW1は難分解性ハロゲン化合物の溶剤中の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw1は難分解性ハロゲン化合物の分子量を表し、CLW2は溶剤の液中重量濃度(kg/kg)を表し、Mw2は溶剤の分子量を表し、CGM1は難分解性ハロゲン化合物の気中モル分圧(Pa)を表し、VP1は所定温度における難分解性ハロゲン化合物の飽和蒸気圧(Pa)を表し、CGW1は排気ガス中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の気中重量濃度(g/m3N)を表す。〕から計算して求め、得られた計算結果から前記気液向流型の吸収装置の最適運転条件を選択して、該条件下で前吸収装置の運転を行なうものであることを特徴とする難ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法。 - 前記計算結果から、前記吸収装置への前記排気ガスの供給量、供給圧力及び吸収液の交換時期を設定し、該設定条件下で前記吸収装置の運転することを特徴とする請求項6に記載の難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法。
- 前記吸収装置として、気液向流型の吸収装置を用いる請求項6又は7に記載の難分解性ハロゲン化合物の分解処理施設の運転方法。
- 深冷コンデンサー及び活性炭充填塔をさらに有する排気ガス浄化設備を用いる請求項6〜8のいずれかに記載の難ハロゲン化合物の分解処理設備の運転方法。
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