JP4098401B2 - ポリオレフィン製の電池セパレーター用微多孔膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は孔閉塞温度が低く、かつ孔閉塞温度以下におけるTDの最大収縮応力及び/又は最大収縮率が小さく、優れた透過性能を有するポリオレフィン製の微多孔膜に関する。さらに、本発明の微多孔膜は電池セパレーターとして有用であり、とりわけリチウム一次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム二次電池のような非水溶媒系リチウム電池用セパレーターに適している。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン素材の電池セパレーターとしてはポリエチレン製、ポリプロピレン製及びその両方の素材を併用したセパレーターが従来より知られており、主としてリチウム一次電池やリチウムイオン二次電池の非水溶媒系の電池において使用されており、近年は特にリチウムイオン二次電池のセパレーターとしての需要が急増している。リチウムイオン二次電池のセパレーターに求められる特性としては、厚みが薄いこと、電池作成時に支障をきたさない強度及び寸法安定性を有すること、高いイオン透過性を有すること、電池の暴走反応を停止させる孔閉塞機能を有すること及び高温での形状保持特性を有することが挙げられる。
【0003】
特に小型ポータブル機器に搭載される角型電池に使用されるセパレーターは、角型電池の構造上正負電極や周囲の電池缶からの押さえが円筒型電池に比べて弱いために、特にセパレーターの捲回方向(以下、MDという)と垂直の方向(以下、TDという)の収縮応力や収縮率が大きいと、電池の温度が上がった際にセパレーターが収縮することにより電極がむき出しになり内部短絡を起こしてしまう場合がある。従って、セパレーターへの要求としては孔閉塞温度が低いだけでなく、孔が閉塞するまでのTDの熱収縮が小さいことがあげられる。
【0004】
また、角型や円筒型を問わず、電池にとっては小型化と共に大容量化も重要な課題であるため、電池の放電特性やサイクル特性向上の妨げにならないような高透過性能を有するセパレーターの要求が高くなってきている。そのためにはセパレーターが適度な空孔率及び孔径を有する必要があり、特にサイクル特性の向上の観点から、大孔径を有するセパレーターの要求が高くなってきている。
【0005】
これまで、例えば、特公平4−71416号公報、特公昭59−36575号公報、特開平2−21559号公報などに記載されているように、多くの微多孔膜が提案されているが、上記の点からみるといずれもセパレーター用膜として十分とは言い難い。
また、積層微多孔膜としては、例えば特開平7−304110号公報、特開平8−222197号公報、特開平9−219184号公報に、ポリプロピレンとポリエチレンの3枚積層膜が開示されているが、これらの膜は高温におけるTD収縮が改良されているものの、延伸開孔法による微多孔膜のためガーレー値が低くても300sec/100cc程度の小孔径膜であり、透気度が高い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電池が異常反応により温度上昇を起こした際に、より早くから温度上昇を停止させ事故を未然に防ぐ低温孔閉塞機能を有し、かつ孔が閉塞するまでに発生するTDの最大収縮応力及び/又は最大収縮率が小さく、さらに電池の放電特性及びサイクル特性を阻害しない良好な透過性能と電池作成時に支障をきたさない強度を有するポリオレフィン製の微多孔膜を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決したものである。
すなわち本発明は、
(1)ポリエチレン製の微多孔膜Aの両表面に、Aと孔閉塞温度の異なるポリエチレン製の微多孔膜Bを積層したB/A/B型の形態を有する3枚積層膜であって、
前記微多孔膜A、又は前記微多孔膜Bが、分子量が100万を超える超高分子量ポリエチレンと、分子量が10〜40万の高密度ポリエチレンと、を含み、
該積層膜が膜厚10〜60μm、透気度50〜250sec/100cc、空孔率30〜80%、孔閉塞温度110〜136℃、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力が2.5kg/cm2以下及び/又は最大収縮率が25.0%以下、突刺強度200g以上であることを特徴とする電池セパレーター用微多孔膜、
(2)ポリエチレン製の微多孔膜Aの両表面に、Aと孔閉塞温度の異なるポリエチレン製の微多孔膜Bを積層したB/A/B型の形態を有する3枚積層膜であって、
前記微多孔膜A、又は前記微多孔膜Bが、分子量が100万を超える超高分子量ポリエチレンと、分子量が10〜40万の高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンとを含み、
該積層膜が膜厚10〜60μm、透気度50〜250sec/100cc、空孔率30〜80%、孔閉塞温度110〜136℃、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力が2.5kg/cm 2 以下及び/又は最大収縮率が25.0%以下、突刺強度200g以上であることを特徴とする電池セパレーター用微多孔膜、
(3)(1)又は(2)のいずれかに記載された電池セパレーター用微多孔膜の製造方法であって、ポリエチレン製の未延伸微多孔膜Aと、当該未延伸微多孔膜Aとは孔閉塞温度の異なるポリエチレン製の未延伸微多孔膜Bとを製造した後、以下の(g)、(h)の各工程、
(g)未延伸微多孔膜A、Bを個別にTD延伸する工程、
(h)(g)工程にて得られたTD延伸微多孔膜Aの両表面に、同じく(g)工程にて得られたTD延伸微多孔膜Bを重ね合わせ、MDに延伸しながら熱圧着することによりB/A/B型に積層一体化する工程、
を含むことを特徴とする電池セパレーター用微多孔膜の製造方法、
(4)前記(g)工程が、TD延伸した微多孔膜Bを熱処理する工程を含む(3)に記載の製造方法、
(5)前記(g)工程におけるTD延伸が、目的倍率よりも高い倍率まで延伸した後、熱処理領域にて熱処理しながら目的倍率まで延伸倍率を落とすことによりなされる(3)又は(4)に記載の製造方法、
に関する。
【0008】
前述したように、この発明でMDとはセパレーターの捲回方向をいい、TDとはMDと垂直の方向をいう。別の言い方をすれば、セパレーターの捲回方向とは微多孔膜を製膜する際の機械方向(巻き取り方向)のことであり、その垂直方向とはすなわち膜の巾方向のことである。
本発明の微多孔膜において、厚みは10〜60μmが適当であるが、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜50μmである。厚みが10μmより薄いと膜強度が低くなり、電極表面の突起物により破損し内部短絡を起こす危険性がある。厚みが60μmを超えると電池の小型・高容量化に支障をきたす。
【0009】
電池寿命の尺度であるサイクル特性を良好に保つためには、電極表面から脱落した活物質によるセパレーターの目詰まりを押さえる必要があり、この観点から大孔径が要求される。孔径の一つの尺度である透気度が50〜250sec/100ccであれば良好なサイクル特性を有するが、好ましくは70〜200sec/100cc、より好ましくは70〜150sec/100ccである。透気度が50sec/100ccより低いと膜強度が低くなり、250sec/100ccを超えると孔径が小さくなり、サイクル特性が悪くなる傾向がある。
【0010】
電解液の保持や放電特性及び膜強度の観点から空孔率は30%〜80%が適当であるが、好ましくは40%〜70%であり、より好ましくは40%〜65%である。空孔率が30%より低いと膜の電気抵抗が高くなり、大電流を流しにくくなる。一方、空孔率が80%を超えると膜強度が弱くなってしまう。
孔閉塞温度は110℃〜136℃が適当だが、好ましくは120℃〜134℃であり、より好ましくは125℃〜134℃である。孔閉塞温度が110℃より低いと、通常の使用において孔閉塞が発生する可能性がある。さらに微多孔膜の製造において、特に延伸工程で温度を上げることができず、延伸破断が多発してしまう危険性がある。孔閉塞温度が136℃を超えると、電池の異常反応を抑制するのが遅れ電池温度が大きく上昇してしまう危険性がある。
【0011】
孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力は2.5kg/cm2 以下、好ましくは1.5kg/cm2 以下が適当であり、より好ましくは1kg/cm2 以下である。最大収縮応力が2.5kg/cm2 を超えると孔閉塞温度に達するまでにTDに収縮して内部短絡を起こす危険性がある。
又、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮率が25.0%以下であれば、仮に収縮応力が2.5kg/cm2 を超えたとしても収縮量が小さいために電極がむき出しになる程の収縮は起こらない。
【0012】
従って、電池内部の温度が上昇した際に内部短絡を防ぐための条件としては、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力が2.5kg/cm2 以下でかつ最大収縮率が25.0%以下であることが最も好ましいが、最低限最大収縮応力が2.5kg/cm2 以下か、又は最大収縮率が25.0%以下のどちらかを満たしていれば良い。
突刺強度は200g以上が適当であるが、好ましくは250g以上、より好ましくは300g以上である。突刺強度が200gよりも低いと、電極表面の突起物により破損し内部短絡を起こす危険性がある。
【0013】
また、1枚膜よりも孔閉塞温度の異なる膜を重ね合わせた積層膜が好ましい。孔閉塞温度の異なる素材からなる膜を積層すると、孔閉塞温度の高い素材が支持体の役割を果たして、膜全体の収縮を小さくすることができる。さらに、強度を維持したままでの孔閉塞温度の低下といった総合的な物性バランスの面や、ピンホール等による電池内部での短絡防止の強化といった観点からも積層膜の形態は好ましい。その際、積層膜のカールを防ぐためにも微多孔膜Aの両側を微多孔膜Bで挟み込むB/A/B型の3枚積層型が好ましい。また、収縮応力及び収縮率低下の観点から、孔閉塞温度の高い方の膜を微多孔膜Bとし、孔閉塞温度の低い方の膜を微多孔膜Aとするのが好ましい。
3枚より多く積層すると薄膜化が困難となる。また、微多孔膜AとBの接着性を考慮すると、微多孔膜A及びB共に同種類の素材、特にポリエチレン製であることが好ましい。
【0014】
次に本発明のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法の例として、ポリエチレン製微多孔膜の製法について説明する。この発明のポリエチレン製微多孔膜は、例えば下記の(a)〜(e)の工程によって作られる。
(a)ポリエチレンを有機液状物、無機フィラー及び添加剤と共に混合造粒する工程。ここで、ポリエチレン、有機液状物、無機フィラーの合計重量に対するポリエチレンの割合は10〜60重量%、有機液状物と無機フィラーの合計割合は40〜90重量%である。ポリエチレンの割合が10重量%未満では膜強度が低く、60重量%を超えると押出成型時の流動性が悪くなり成形加工性が困難となったり、微多孔膜の空孔率が低くなって透過性能が悪化する。
【0015】
ここで使用されるポリエチレンとしては、密度が0.94g/cm3 を超えるような高密度ポリエチレン、密度が0.93〜0.94g/cm3 の範囲の中密度ポリエチレン、密度が0.93g/cm3 より低い低密度ポリエチレン・直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリエチレンの選定に関しては、膜強度を高くする観点からは密度及び分子量は高い方が好ましく、従って高分子量の高密度ポリエチレンが好ましい。一方、孔閉塞温度を低くする観点からは低融点のポリエチレン、すなわち密度の低いポリエチレンの使用が好ましい。又、分子量が高すぎると成形加工性が悪化してしまう。従って、高強度・低孔閉塞温度・良好な成形加工性を達成するには、分子量が100万を超えるような超高分子量ポリエチレンと分子量が10〜40万程度の高密度ポリエチレン、さらには低密度ポリエチレンや線状低密度ポリエチレンを混合することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の参考例1及び2に記載のような、分子量が30万以上の高密度ポリエチレンでありながら融点が低いポリエチレンを使用すると、低密度ポリエチレンや線状低密度ポリエチレンを混合せずに孔閉塞温度をさげることができるので、強度を維持したまま孔閉塞温度を下げる観点から好ましい。
有機液状物としてはフタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジブチルのようなフタル酸エステルやアジピン酸エステルやグリセリン酸エステルのような有機酸エステル類、リン酸トリオクチルのようなリン酸エステル、流動パラフィンや固形ワックスやミネラルオイル等が挙げられる。それらを単独で用いても、あるいは幾種類かを混合して使用しても良い。無機フィラーとしては、微粉シリカ、マイカ、タルク等が挙げられ、それらを単独で使用しても或いは混合物として用いても良い。
【0017】
なお、ポリエチレン、有機液状物、無機フィラーの他に本発明を大きく阻害しない範囲で必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤を添加することができる。
ポリエチレン、有機液状物、無機フィラー、添加剤の混合造粒は、例えば、ヘンシェルミキサーやロールニーダー等で行われる。
(b)(a)工程で得た混合物を、先端にT−ダイを装着した押出機中で溶融混練し、T−ダイから押出しシート状に成形する工程。
(c)(b)工程で得たシート状の成形物を、ハロゲン化炭化水素やメチルエチルケトンやアルコールやヘキサン等のポリエチレンは溶解しないが、有機液状物を溶解する有機溶剤に浸漬することにより、有機液状物を抽出除去して半抽出膜を得、その後乾燥する工程。
(d)(c)工程で得た半抽出膜を、ポリエチレンは溶解しないが、無機フィラーを溶解する液体に浸漬することにより、無機フィラーを抽出除去し、その後乾燥して未延伸微多孔膜を得る工程。
(e)(d)工程で得た未延伸微多孔膜をMDのみに一軸延伸又はMD及びTDに二軸延伸する工程。二軸延伸する場合は同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でもどちらでもよい。なお逐次二軸延伸の場合の延伸順序はMD、TDのどちらが先でも良い。
【0018】
次に、この発明の3枚積層型のポリオレフィン製微多孔膜は、例えば下記の(f)〜(h)によって作成される。
(f)上記(a)〜(d)の手法により、ポリオレフィン製の未延伸微多孔膜A及びAよりも孔閉塞温度の高い未延伸微多孔膜Bを製造する。
(g)(f)工程にて得られた2種類の未延伸微多孔膜A、Bを個別にTD延伸する。ここで、TD延伸した微多孔膜Bを、特定の範囲の温度にて熱処理することにより、最終的にA、Bを積層一体化して得られる微多孔膜の孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力及び最大収縮率を低下させることができる。その温度とは、TD延伸した微多孔膜Aの孔閉塞温度以上、好ましくは積層一体化された微多孔膜の孔閉塞温度以上で、かつTD延伸された微多孔膜Bの孔閉塞温度より低い範囲の温度である。ここでのTD延伸及び熱処理は例えばテンターのような延伸機にて連続的に行われる。
(h)(g)工程にて得られたTD延伸微多孔膜Aの両表面に、同じく(g)工程にて得られたTD延伸微多孔膜Bを重ね合わせ、MDに延伸しながら熱圧着することによりB/A/B型に積層一体化する。
【0019】
ここでのMD延伸及び積層は例えばロール延伸機やカレンダー成形機のようなロールが数本並んでいるような成形機にて行われる。
(g)〜(h)の3枚積層膜の製造法を詳細に説明する。この発明の3枚積層膜の製造法の特徴は、先に孔閉塞温度の異なる2種類の微多孔膜A、Bを個別にTD延伸し、その後でMD延伸をしながら積層することである。(g)工程でのTD延伸の目的は大孔径化と薄膜化であり、さらに孔閉塞温度の高い微多孔膜BをTD延伸後に特定の範囲の温度にて熱処理することにより、積層一体化された膜の孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力及び最大収縮率を小さくすることである。その際、孔閉塞温度の異なる2種類の微多孔膜A、Bを個別にTD延伸することにより、各々の微多孔膜の最適条件に合わせることができるため、大孔径化と薄膜化及び熱処理によるTDの収縮応力及び収縮率の低減がより達成しやすい。
【0020】
これに対し、融点が大きく異なる無孔質フィルムを個別ではなく積層一体化した後で延伸しようとすると、特に温度条件の設定が困難で、物性コントロールが困難となる。
さらに、個別ではなく3枚重ねての延伸では、延伸温度を孔閉塞温度の低い微多孔膜Aに合わせざるをえないので、孔閉塞温度以上の温度で熱処理ができず、孔閉塞温度近傍での収縮応力及び収縮率が低減できない。(g)工程においては微多孔膜A、BをTD延伸する際に、一度目的倍率よりも高い倍率まで延伸した後、熱処理領域にて熱処理しながら目的倍率まで延伸倍率を落とすことによって強制的に緩和させると、さらに収縮応力及び収縮率の低減化が達成されるので好ましい。
以上の発明内容を下記の実施例にて具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明の微多孔膜についての諸特性は次の試験方法により評価した。
1.粘度平均分子量(Mv):溶剤(デカリン)を用い、測定温度135℃にて[η]を測定し、(1)式によりMvを算出した。
[η]=6.8×10-4Mv0.67 (1)
2.密度:ASTM D1238に準拠して測定した。
3.融点:示差走査熱量計(セイコー電子工業製DSC220C)にて、窒素雰囲気中にて、サンプル量3mg、昇温速度10℃/minの条件にて測定。
先ず10℃/minで180℃まで昇温し、180℃にて5min保持する。それから10℃/minにて30℃まで冷却し、30℃にて5min保持する。その後、再度10℃/minにて180℃まで昇温し、その時の融解ピークの頂点部の温度を融点と定義した。
4.膜厚:最小目盛り1μmのダイヤルゲージ(JISに規定)にて、温度23℃±2℃の下で測定した。
【0022】
5.空孔率:Xcm×Ycmの長方形のサンプルを切り出し、下記の(2)式により算出した。
空孔率(%)={1−(104 ×M)/(X×Y×T×ρ)}×100 (2)
T:サンプル厚み(μm)
M:サンプル重量(g)
ρ:サンプル密度(0.95g/cm3 とした)
6.透気度:JIS P8117に準拠し、東洋精機製B型ガーレー式デンソメーターを用い、標線目盛り0〜100まで要する時間をストップウオッチで測定した。
7.最大収縮応力:熱機械的分析装置(セイコー電子工業製TMA120)にて、
サンプル長(TD)×サンプル幅=10mm×3mm
初期荷重1.2g
昇温速度10℃/min
の条件にて測定。収縮応力曲線において最大収縮荷重(g)を求め、下記の(3)式より、最大収縮応力を算出した。
最大収縮応力(kg/cm2 )={最大収縮荷重/(3×T)}×102 (3)
T:サンプル厚み(μm)
【0023】
8.収縮率:ステンレスのフレーム(外形=6cm×6cm、内形=4cm×4cm)にMDの両端のみをクリップにてサンプルを固定。固定したサンプルの大きさはMD×TD=5.0cm×4cm。固定した状態にて、所定温度のオーブン中に30分間放置。オーブンで加熱後のTDの長さを測定し、以下の(4)式にて収縮率を算出。
TD収縮率(%)={(加熱前のTD長(4cm)−加熱後のTD長)/加熱前のTD長(4cm)}×100
9.孔閉塞温度:図1(A)〜(C)に孔閉塞温度の測定装置の概略図を示す。図1(A)は測定装置の構成図である。1は微多孔膜であり、2A及び2Bは厚さ10μmのNi箔、3A及び3Bはガラス板である。4は電気抵抗測定装置(安藤電気LCRメーター AG4311)であり、Ni箔(2A、2B)と接続されている。5は熱電対であり温度計6と接続されている。7はデーターコレクターであり、電気抵抗測定装置4及び温度計6と接続されている。8はオーブンであり、微多孔膜を加熱する。
【0024】
さらに詳細に説明すると、微多孔膜1には規定の電解液が含浸されており、図1(B)に示すようにNi箔2A上にMDのみテフロンテープで止められた形で固定されている。Ni箔2Bは図1(C)に示すように15mm×10mmの部分を残してテフロンテープでマスキングされている。Ni箔2AとNi箔2Bを微多孔膜1を挟むような形で重ね合わせ、さらにその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のNi箔を挟み込む。2枚のガラス板は市販のクリップではさむことにより固定する。
図1(A)に示した装置を用い、連続的に温度と電気抵抗を測定する。なお、温度は2℃/minの速度にて昇温させ、電気抵抗値は1kHzの交流にて測定する。
孔閉塞温度とは微多孔膜1の電気抵抗値が103 Ωに達する時の温度と定義する。
【0025】
なお、規定の電解液組成とは下記の通りである。
溶媒:炭酸プロピレン/炭酸エチレン/γブチルラクトン=1/1/2 体積%
溶質:上記溶媒にてホウフッ化リチウムを1mol/リットルの濃度になるように溶かす。
10.突刺強度:カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験器KES−G5型に直径1mm、先端の曲率半径0.5mmの針を装着し、温度23±2℃、針の移動速度0.2cm/secで突刺試験を行った。
【0026】
[参考例1]
超高分子量ポリエチレンA4.6重量%、高密度ポリエチレンa18.4重量%、フタル酸ジオクチル56重量%、微粉シリカ21重量%を混合造粒した後、先端にT−ダイを装着した押出機中で溶融混練し、厚さ95μmのシートを作成した。このシートを塩化メチレン中に浸漬し、フタル酸ジオクチルを抽出除去して乾燥した後、水酸化ナトリウム水溶液中へ浸漬し、微粉シリカを抽出除去し、乾燥させて90μmの未延伸微多孔膜を得た。
この未延伸微多孔膜を110〜115℃に加熱された数本のロールを通すことによりMDに2.7倍延伸し、その後122℃に加熱された数本のロールを通すことにより熱処理を行い微多孔膜1を得た。得られた微多孔膜1の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0027】
[参考例2]
超高分子量ポリエチレンA3.6重量%、高密度ポリエチレンa14.4重量%、フタル酸ジオクチル59.5重量%、微粉シリカ22.5重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で厚さ100μmの未延伸微多孔膜を得た。
この未延伸微多孔膜を110〜115℃に加熱された数本のロールを通すことによりMDに4倍延伸し、その後122℃に加熱された数本のロールを通すことにより熱処理を行い微多孔膜2を得た。
得られた微多孔膜2の物性を表1に示す、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0028】
【実施例3】
超高分子量ポリエチレンB6.9重量%、高密度ポリエチレンb6.9重量%、直鎖状低密度ポリエチレン9.2重量%、フタル酸ジオクチル53重量%、微粉シリカ24重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で厚さ85μmの未延伸微多孔膜A1 を得た。この未延伸微多孔膜A1 の孔閉塞温度は128℃であった。
また、超高分子量ポリエチレンA9.2重量%、高密度ポリエチレンc13.8重量%、フタル酸ジオクチル56.0重量%、微粉シリカ21.0重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で厚さ90μmの未延伸微多孔膜B1 を得た。この未延伸微多孔膜B1 の孔閉塞温度は135℃であった。
【0029】
次に、未延伸微多孔膜A1 を110℃に加熱されたテンターにてTDに1.9倍延伸し、続いて同テンター内の120℃に加熱された領域にて熱処理しながら1.7倍まで強制的に緩和させてTD延伸微多孔膜A1 を作成した。このTD延伸微多孔膜A1 の孔閉塞温度は130℃であった。
未延伸微多孔膜B1 は130℃に加熱されたテンターにて1.9倍にTD延伸し、続いて同テンター内の134℃に加熱された領域にて熱処理しながら1.7倍まで延伸倍率を落とすことにより強制的に緩和させ、TD延伸微多孔膜B1 を作成した。このTD延伸微多孔膜B1 の孔閉塞温度は141℃であった。
TD延伸微多孔膜A1 を、その両側からTD延伸微多孔膜B1 で挟み込み、110℃に加熱されたロールを数本通しながらMDに2.0倍延伸して、3枚積層した微多孔膜3を作成した。
得られた微多孔膜3の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0030】
【実施例4】
超高分子量ポリエチレンB6.9重量%、高密度ポリエチレンb6.9重量%、直鎖状低密度ポリエチレン9.2重量%、フタル酸ジオクチル53重量%、微粉シリカ24重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で厚さ85μmの未延伸微多孔膜A2 を得た。この未延伸微多孔膜A2 の孔閉塞温度は128℃であった。
【0031】
又、超高分子量ポリエチレンA9.2重量%、高密度ポリエチレンc13.8重量%、フタル酸ジオクチル56.7重量%、微粉シリカ20.3重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で120μmの未延伸微多孔膜B2 を得た。この未延伸微多孔膜B2 の孔閉塞温度は135℃であった。次に、未延伸微多孔膜A2を100℃に加熱されたテンターにてTDに1.9倍延伸し、続いて同テンター内の110℃に加熱された領域にて熱処理しながら1.7倍まで強制的に緩和させ、TD延伸微多孔膜A2を作成した。このTD延伸微多孔膜A2 の孔閉塞温度は131℃であった。
【0032】
未延伸微多孔膜B2 は130℃に加熱されたテンターにて3.8倍にTD延伸し、続いて同テンター内の135℃に加熱された領域にて熱処理しながら3.5倍まで延伸倍率を落とすことにより強制的に緩和させ、TD延伸微多孔膜B2 を作成した。このTD延伸微多孔膜B2 の孔閉塞温度は140℃であった。
TD延伸された微多孔膜A2 を、その両側からTD延伸微多孔膜B2 で挟み込み、116℃に加熱されたロールを数本通しながらMDに2.0倍延伸して3枚積層した微多孔膜4を作成した。
得られた微多孔膜4の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0033】
【実施例5】
超高分子量ポリエチレンB6.9重量%、高密度ポリエチレンb6.9重量%、直鎖状低密度ポリエチレン9.2重量%、フタル酸ジオクチル53重量%、微粉シリカ24重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で85μmの未延伸微多孔膜A3 を得た。この未延伸微多孔膜A3 の孔閉塞温度は128℃であった。
又、超高分子量ポリエチレンA9.2重量%、高密度ポリエチレンc13.8重量%、フタル酸ジオクチル56.7重量%、微粉シリカ20.3重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で120μmの未延伸微多孔膜B3 を得た。この未延伸微多孔膜B3 の孔閉塞温度は135℃であった。
次に、未延伸微多孔膜A3 を100℃に加熱されたテンターにてTDに1.9倍延伸し、続いて同テンター内の110℃に加熱された領域にて熱処理しながら1.7倍まで強制的に緩和させて、TD延伸微多孔膜A3を作成した。このTD延伸微多孔膜A3 の孔閉塞温度は131℃であった。
【0034】
未延伸微多孔膜B3 は130℃に加熱されたテンターにて3.8倍にTD延伸し、続いて同テンター内の135℃に加熱された領域にて熱処理しながら3.5倍まで延伸倍率を落とすことにより強制的に緩和させて、TD延伸微多孔膜B3 を作成した。このTD延伸微多孔膜B3 の孔閉塞温度は140℃であった。
TD延伸微多孔膜A3 を、その両側からTD延伸微多孔膜B3 で挟み込み、116℃に加熱されたロールを数本通しながらMDに2.6倍延伸した後、続いて118℃に加熱されたロールを数本通すことにより熱処理して3枚積層した微多孔膜5を作成した。
得られた微多孔膜5の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0035】
【実施例6】
高密度ポリエチレンa23重量%、フタル酸ジオクチル53重量%、微粉シリカ24重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で厚さ90μmの未延伸微多孔膜A4 を作成した。この未延伸微多孔膜A4 の孔閉塞温度は130℃であった。
また、超高分子量ポリエチレンB13.8重量%、高密度ポリエチレンc9.2重量%、フタル酸ジオクチル56重量%、微粉シリカ21重量%を混合造粒した後、参考例1と同様の方法で未延伸微多孔膜B4 を得た。この未延伸微多孔膜B4 の孔閉塞温度は137℃であった。
次に、未延伸微多孔膜A4 を110℃に加熱されたテンターでTDに1.7倍延伸し、その後で同テンター内の120℃に加熱された領域を通過させることにより熱処理して、TD延伸微多孔膜A4を作成した。このTD延伸微多孔膜A4の孔閉塞温度は131℃であった。
【0036】
未延伸微多孔膜B4 は130℃に加熱されたテンターにて3.8倍にTD延伸し、その後で同テンター内の136℃に加熱された領域を通過させながら、3.5倍まで強制的に緩和させることにより熱処理してTD延伸微多孔膜B4 を作成した。このTD延伸微多孔膜B4 の孔閉塞温度は142℃であった。
TD延伸微多孔膜A4 を、その両側からTD延伸微多孔膜B4 で挟み込み、116℃に加熱されたロールを数本通しながらMDに2.5倍延伸した後、120℃に加熱されたロールを数本通すことにより熱処理して、3枚積層した微多孔膜6を作成した。
得られた微多孔膜6の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0037】
【比較例1】
超高分子量ポリエチレンA9.2重量%、高密度ポリエチレンc13.8重量%、フタル酸ジオクチル56重量%、微粉シリカ21重量%を混合造粒した後、参考例1記載の未延伸微多孔膜と同様の方法で厚さ90μmの未延伸微多孔膜を得た。この未延伸微多孔膜を110℃に加熱されたロールを数本通すことによりMDに2.8倍延伸した後、126℃に加熱されたロールを数本通すことにより熱処理して微多孔膜7を得た。得られた微多孔膜7の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0038】
【比較例2】
超高分子量ポリエチレンB6.9重量%、高密度ポリエチレンb6.9重量%、直鎖状低密度ポリエチレン9.2重量%、フタル酸ジオクチル53重量%、微粉シリカ24重量%を混合造粒した後、参考例1記載の未延伸微多孔膜と同様の方法で厚さ90μmの未延伸微多孔膜を得た。この未延伸微多孔膜を110℃に加熱されたロールを数本通すことによりMDに2.8倍延伸した後、116℃に加熱されたロールを数本通すことにより熱処理して微多孔膜8を得た。得られた微多孔膜8の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0039】
【比較例3】
超高分子量ポリエチレンB10.8重量%、高密度ポリエチレンb10.8重量%、直鎖状低密度ポリエチレン14.4重量%、フタル酸ジオクチル44重量%、微粉シリカ20重量%を混合造粒した後、参考例1記載の微多孔膜と同手法にて90μmの未延伸微多孔膜を得た。
【0040】
この未延伸微多孔膜を2枚重ね117℃に加熱されたロールを数本通すことによりMDに4.3倍延伸し、次いで124℃に加熱されたロールを数本通すことにより熱処理した。さらに118℃に加熱されたテンターに通しTDに1.8倍延伸した後、125℃に加熱された領域を通過させながら強制的に1.7倍まで緩和させながら熱処理することにより微多孔膜9を得た。
得られた微多孔膜9の物性を表1に、使用したポリエチレンの特性を表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン製の微多孔膜は、透気度が低く、孔閉塞温度が低く、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力及び/又は最大収縮率が小さく、電池作成時に支障をきたさない強度を有するものであり、該微多孔膜は良好な放電特性およびサイクル特性を有し、且つ安全性に優れたリチウム電池のような非水溶媒系の電池を作成する上で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】孔閉塞温度を測定する装置の構成を示す全体概略図であり、(A)は孔閉塞温度を測定する装置、(B)は(A)のNi箔(2A)面での断面図、(C)は(A)のNi箔(2B)面での断面図である。
【符号の説明】
1 :微多孔膜
2A、2B:Ni箔
3A、3B:ガラス板
4 :電気抵抗測定装置
5 :熱電対
6 :温度計
7 :データーコレクター
8 :オーブン
Claims (5)
- ポリエチレン製の微多孔膜Aの両表面に、Aと孔閉塞温度の異なるポリエチレン製の微多孔膜Bを積層したB/A/B型の形態を有する3枚積層膜であって、
前記微多孔膜A、又は前記微多孔膜Bが、分子量が100万を超える超高分子量ポリエチレンと、分子量が10〜40万の高密度ポリエチレンと、を含み、
該積層膜が膜厚10〜60μm、透気度50〜250sec/100cc、空孔率30〜80%、孔閉塞温度110〜136℃、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力が2.5kg/cm2以下及び/又は最大収縮率が25.0%以下、突刺強度200g以上であることを特徴とする電池セパレーター用微多孔膜。 - ポリエチレン製の微多孔膜Aの両表面に、Aと孔閉塞温度の異なるポリエチレン製の微多孔膜Bを積層したB/A/B型の形態を有する3枚積層膜であって、
前記微多孔膜A、又は前記微多孔膜Bが、分子量が100万を超える超高分子量ポリエチレンと、分子量が10〜40万の高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンとを含み、
該積層膜が膜厚10〜60μm、透気度50〜250sec/100cc、空孔率30〜80%、孔閉塞温度110〜136℃、孔閉塞温度以下でのTDの最大収縮応力が2.5kg/cm 2 以下及び/又は最大収縮率が25.0%以下、突刺強度200g以上であることを特徴とする電池セパレーター用微多孔膜。 - 請求項1又は2のいずれかに記載された電池セパレーター用微多孔膜の製造方法であって、ポリエチレン製の未延伸微多孔膜Aと、当該未延伸微多孔膜Aとは孔閉塞温度の異なるポリエチレン製の未延伸微多孔膜Bとを製造した後、以下の(g)、(h)の各工程、
(g)未延伸微多孔膜A、Bを個別にTD延伸する工程、
(h)(g)工程にて得られたTD延伸微多孔膜Aの両表面に、同じく(g)工程にて得られたTD延伸微多孔膜Bを重ね合わせ、MDに延伸しながら熱圧着することによりB/A/B型に積層一体化する工程、
を含むことを特徴とする電池セパレーター用微多孔膜の製造方法。 - 前記(g)工程が、TD延伸した微多孔膜Bを熱処理する工程を含む請求項3に記載の製造方法。
- 前記(g)工程におけるTD延伸が、目的倍率よりも高い倍率まで延伸した後、熱処理領域にて熱処理しながら目的倍率まで延伸倍率を落とすことによりなされる請求項3又は4に記載の製造方法。
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