以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本願発明にかかる温水システムを一般住宅に適用した場合の一例を示す概略構成図である。図2は、この温水システムの電気的構成を示す図である。この温水システムは、浴室や台所において給湯を行うものであり、ユーザの発する音声を認識しその音声に応じて各種の給湯制御を行う、いわゆる音声認識機能を有している。すなわち、ユーザがたとえば給湯運転に関する制御命令を音声にして発すると、たとえば「運転スイッチオン」と発すると、その音声命令が認識されそれに応じた給湯制御、たとえば給湯運転動作が開始状態となるといった制御が行われる。
この温水システムは、給湯装置本体1と、これを遠隔操作するための浴室リモコン2および台所リモコン3とによって概略構成されている。給湯装置本体1は、2芯線4を介して浴室リモコン2および台所リモコン3を接続している。なお、給湯装置本体1には、テレビジョンを受像することのできるテレビジョン受像機5が接続されていてもよい。
給湯装置本体1は、たとえば住宅の屋外に設置され、図2に示すように、給湯用、風呂追い焚き用、または温水暖房用の熱交換器、各種燃焼器、および各種バルブなど(いずれも図示せず)を含む燃焼ユニット10と、給湯装置本体1の全体動作を制御する制御部11とを備えている。
制御部11は、たとえば電子部品が搭載されたプリント基板によって構成され、マイクロコンピュータ12(以下、「本体側マイコン12」という)、各種のデータを必要に応じて記憶するEEPROM13、および通信部14などを有している。本体側マイコン12は、給湯装置本体1の制御中枢となるものであり、図示しないROMに記憶されている運転実行プログラム、あるいは浴室リモコン2、台所リモコン3、および図示しない暖房用機器などから送られるコマンド信号などに基づいて、各種燃焼器の燃焼状態や各種バルブの開閉を制御する。また、本体側マイコン12は、テレビジョン受像機5が動作している旨の信号を検出するようにしてもよい。
通信部14は、浴室リモコン2や台所リモコン3との通信を行うためのものであり、所定の変復調方式に基づいた変復調回路によって構成されている。給湯装置本体1から浴室リモコン2および台所リモコン3に対しては、2芯線4を介して電源供給(たとえばDC15V)がされており、上記通信部14において変調されたデータ信号は、電源電圧に重畳され、この2芯線4を介して浴室リモコン2または台所リモコン3に伝達される。また、浴室リモコン2および台所リモコン3から上記2芯線4を介して伝達された操作信号としてのデータ信号は、上記通信部14において復調され、本体側マイコン12に送られる。
浴室リモコン2は、図3に示すように、浴室内に設置され、防水機能が施されたケースを備えており、給湯装置本体1を遠隔操作するものである。また、浴室リモコン2は、ユーザの発する音声命令を認識する音声認識機能を有するとともに、その音声命令に応じた制御処理の内容をコマンド信号にして給湯装置本体1に送る機能を有する。
浴室リモコン2は、図2に示すように、制御部21、通信部22、表示部23、操作部24、および音声処理部25を備えている。制御部21は、マイクロコンピュータ26(以下、「浴室側マイコン26」という)、およびEEPROM27を備えている。音声処理部25には、スピーカ25aおよびマイクロフォン25bが接続されている。
浴室側マイコン26は、この浴室リモコン2の制御を司るものであり、図示しないROMによって記憶されている実行プログラムや、ユーザによる操作部24の操作内容に基づいて、各部の動作制御やデータ処理を実行し、たとえば給湯温度、風呂湯温の設定温度、およびバーナの点火状況などを必要に応じて表示部23に表示させたり、スピーカ25aから給湯運転に関する音声を出力させたりする。
EEPROM27は、各種のデータを必要に応じて記憶するものである。特に、このEEPROM27には、後述する操作スイッチの内容に対応した、あるいは操作スイッチの操作が組み合わされて成立する制御命令に対応した複数の音声命令が音声データとして登録されている。具体的には、EEPROM27には、たとえば、運転スイッチ24a(後述)のオンの動作に対応する音声命令として、「運転スイッチオン」といった音声命令が登録されている。
また、EEPROM27には、ユーザの発する音声命令が認識可能であるか否かの基準となる基準値(以下、「認識基準値」という)が記憶されている。この認識基準値は、各操作スイッチ、すなわち各音声命令に対応して設定されているものであり、たとえば百分率で表されている。
浴室側マイコン26は、ユーザの発する音声命令を認識し、EEPROM27に予め登録された音声命令と照合し、両者のスペクトラム波形または振幅波形を比較して、それらが一致するかどうかの度合いを示す一致度を算出する。浴室側マイコン26は、その一致度がEEPROM27に記憶される認識基準値を上回る場合、ユーザの発する音声命令を認識する。すなわち、上記認識基準値が0%であるならば、ユーザの発した音声命令は確実に認識され、認識基準値が100%であるならば、ユーザの発した音声命令は全く認識されないことになる。また、認識基準値は、工場出荷時において予め登録されるものであるが、本実施形態では、後述するように、使用状況に応じて変更可能とされている。
また、浴室側マイコン26は、音声命令が認識されると、その音声命令に応じた制御処理の内容を把握し、それを給湯装置本体1にコマンド信号として送る。たとえば、ユーザは、「運転スイッチオン」といった音声命令を発すれば、それがコマンド信号として給湯装置本体1に送られ、給湯装置本体1では、運転スイッチ24aがオンの状態と同等の状態に制御されるようになっている。
また、EEPROM27には、後述する再確認動作を行うとき、または音声入力に代えて操作スイッチによる入力を促すときなどに、ユーザに対して案内する案内メッセージが音声データの形で予め記憶されている。この案内メッセージは、浴室側マイコン26によって必要に応じてEEPROM27から読み出され、音声にして出力される。
さらに、EEPROM27には、図5に示すように、音声認識のレベルと認識基準値との関係を示した認識基準値テーブルが記憶されている。この認識基準値テーブルは、後述するように、ユーザが音声認識のレベルを自ら設定変更する際に用いられ、音声認識のレベルとして「厳格」、「普通」、「容易」といった3段階のレベルが準備され、各レベルに応じた認識基準値(「厳格」は80%、「普通」は70%、「容易」は60%)が予め決められている。たとえば、ユーザが音声認識のレベルを「厳格」に設定操作すると、認識基準値が80%に設定変更されるようになっている。なお、音声認識のレベルは、この認識基準値テーブルのように3段階に限らず、それ以下あるいはそれ以上のレベルが準備されていてもよい。
なお、この温水システムでは、認識基準値を設定変更可能な特殊モードが通常の給湯運転モード以外に設けられている。すなわち、後述するように、ユーザが所定の操作スイッチに対して特別な操作を行うことにより、通常の給湯運転モードから特殊モードに移行され、この特殊モードにおいて認識基準値の設定変更が行い得るようになっている。
また、EEPROM27には、図6に示す安全度パターンテーブルが記憶されている。この安全度パターンテーブルは、予め記憶された複数種類の音声命令が、温水制御における安全性の程度に応じて互いに異なる組み合わせでパターン化されてEEPROM27に記憶されたものである。ここで、安全性の高いとされる音声命令とは、その音声命令による給湯動作を行っても、ユーザに危険を及ぼすおそれが比較的少ない音声命令をいい、たとえば「運転スイッチオフ」は、安全性の高い音声命令とされている。
この安全度パターンテーブルでは、図6によると、たとえば安全性の高いレベルのパターンとして、「運転スイッチオフ」、「風呂補水」、「給湯停止」といった給湯動作が挙げられており、安全性の高いレベルのパターンより、やや安全性の低い基本パターンとして、「運転スイッチオフ」、「風呂補水」、「給湯停止」の他に、「運転スイッチオン」、「風呂追い焚き」といった給湯動作が挙げられている。そして、各パターンに対して予め認識基準値が設定されており、たとえば「安全性の高いレベルのパターン」は60%、「基本パターン」は70%とされている。ユーザは、後述するように、これらのパターンのうち、いずれかのパターンを選択して、認識基準値を設定変更することができる。
図2に戻り、通信部22は、給湯装置本体1や台所リモコン3との通信を行うためのものであり、所定の変復調方式に基づいた変復調回路によって構成されている。給湯装置本体1または台所リモコン3から2芯線4を介して伝達されたデータ信号は、この通信部22において復調され、浴室側マイコン26に送られる。また、通信部22において変調された信号は、2芯線4を介して給湯装置本体1または台所リモコン3に伝達される。
表示部23は、図3に示すように、たとえば多数の蛍光体をドットマトリクス状に配置した蛍光管や液晶ディスプレイ装置などからなり、浴室側マイコン26からの指令により風呂湯の設定温度やバーナの点火状況などを表示する。また、表示部23は、必要に応じて音声認識機能に関する案内メッセージを表示したり、認識基準値を変更する際の設定項目などを表示したりする。
操作部24は、ユーザによって給湯運転を入力するために操作されるものであって、複数の照光式の操作スイッチからなる。具体的には、運転の発停を行うためのスイッチ24a、出湯温度や湯張りの水位を設定するためのアップ・ダウンスイッチ24b、優先スイッチ24c、ユーザが操作をすると自動で湯張りや保温などを行うための風呂自動スイッチ24d、追い焚き運転を行うための追い焚きスイッチ24e、および入浴者が必要に応じて台所にいる者と通話するための通話スイッチ24f、各種の設定を行うための設定スイッチ24gなどが設けられている。
ユーザによって、これらの操作スイッチが操作されると、その操作信号が浴室側マイコン26に送られる。また、これらの操作スイッチは、通常の給湯運転が行われる通常運転モードでは、本来の運転動作を行うために操作され、後述するように、認識基準値を設定変更する特殊モードでは、認識基準値を設定変更するために操作される。また、これらの操作スイッチは、浴室側マイコン26によって必要に応じて点消滅される。
また、浴室リモコン2には、マイクロフォン25bが内蔵されており、このマイクロフォン25bを通じてユーザの発する音声が入力されるようになっている。
音声処理部25は、マイクロフォン25bを通じて入力されるアナログ信号としての音声をディジタル信号としての所定の音声データに変換したり、ディジタル信号としての音声データをアナログ信号としての音声に変換してスピーカ25aから出力させたりするためのものである。
一方、台所リモコン3は、図4に示すように、たとえばキッチンの流し台近傍に設置された略直方体形状のケースを備えており、浴室リモコン2と同様に、ユーザによる操作に基づいて給湯装置本体1を遠隔操作するものである。また、台所リモコン3は、浴室リモコン2と同様に、ユーザの発する音声命令を認識する音声認識機能を有し、また、その音声命令に応じた制御処理の内容を給湯装置本体1に送る機能を有する。
台所リモコン3は、制御部31、通信部32、表示部33、操作部34、および音声処理部35を備えている。制御部31は、マイクロコンピュータ36(以下、「台所側マイコン36」という)、およびEEPROM37を備えている。また、音声処理部35には、スピーカ35aおよびマイクロフォン35bが接続されている。
台所側マイコン36は、この台所リモコン3の制御を司るものであり、図示しないROMによって記憶されている運転実行プログラムや、ユーザによる操作部34の操作内容に基づいて各部の動作制御やデータ処理を実行し、たとえば給湯温度、風呂湯温の設定温度、およびバーナの点火状況などを必要に応じて表示部33に表示させたり、スピーカ35aから音声にして出力させたりする。
EEPROM37は、各種のデータを必要に応じて記憶するものである。特に、EEPROM37には、浴室リモコン2のEEPROM27と同様に、操作部34の各操作スイッチに応じた音声命令が複数種類記憶されている。また、EEPROM37には、EEPROM27に記憶されているのと同様の認識基準値、案内メッセージの音声データ、認識基準値テーブル、および安全度パターンテーブルなどが記憶されている。
なお、台所リモコン3で登録される音声命令と、浴室リモコン2で登録される音声命令とが互いに異なると、ユーザにとって使い勝手が悪くなる場合もあるので、必要に応じていずれか一方の記憶内容をいずれか他方の記憶内容と一致するように適当なタイミングで台所リモコン3から浴室リモコン2にEEPROM37の記憶内容が転送され、浴室リモコン2においてEEPROM27に上書きされるようにしてもよい。または、浴室リモコン2のEEPROM27の記憶内容が台所リモコン3のEEPROM37に上書きされてもよい。
また、台所側マイコン36は、浴室側マイコン26と同様に、ユーザの発する音声命令を認識し、EEPROM37に予め記憶された操作言葉と照合し、それらが一致するかどうかの度合いを示す一致度を算出し、その一致度がEEPROM37に記憶される上記認識基準値を上回る場合、音声命令が認識できたとして、その操作言葉に応じた制御処理の内容を把握し、それを給湯装置本体1にコマンド信号として送る機能を有する。
通信部32は、給湯装置本体1や浴室リモコン2との通信を行うためのものであり、所定の変復調方式に基づいた変復調回路によって構成されている。給湯装置本体1または浴室リモコン2から2芯線4を介して伝達されたデータ信号は、この通信部32において復調され、台所側マイコン36に送られる。また、通信部32において変調されたデータ信号は、2芯線4を介して給湯装置本体1または浴室リモコン2に伝達される。
表示部33は、図4に示したように、たとえば多数の蛍光体をドットマトリクス状に配置した蛍光管や液晶ディスプレイ装置などからなり、浴室リモコン2の表示部23と同様に、台所側マイコン36からの指令により風呂湯の設定温度やバーナの点火状況などを表示する。また、表示部33は、必要に応じて音声認識機能に関する案内メッセージや認識基準値を変更する際の設定項目などを表示する。
操作部34は、ユーザによって給湯運転や暖房運転などを行うために操作されるものであって、複数の照光式の操作スイッチからなる。具体的には、運転の発停を行うための運転スイッチ34a、出湯温度や湯張りの水位を設定するためのアップ・ダウンスイッチ34b、ユーザの操作により自動で湯張りや保温などを行うための風呂自動スイッチ34c、および台所にいる者が必要に応じて入浴者と通話するための通話スイッチ34d、湯水の温度の設定などといった各種の設定を行うための設定スイッチ34eなどが設けられている。ユーザによって、これらの操作スイッチが操作されると、その操作信号が台所側マイコン36に送られる。また、これらの操作スイッチは、通常の給湯運転が行われる通常運転モードでは、本来の運転動作を行うために操作され、後述するように、認識基準値を設定変更する特殊モードでは、認識基準値を設定変更するために操作される。また、これらの操作スイッチは、浴室側マイコン26によって必要に応じて点消滅される。
また、台所リモコン3には、マイクロフォン35bが内蔵されており、このマイクロフォン35bを通じてユーザの発する音声命令が入力されるようになっている。
音声処理部35は、マイクロフォン35bを通じて入力されるアナログ信号としての音声をディジタル信号としての所定の音声データに変換したり、ディジタル信号としての音声データをアナログ信号としての音声に変換してスピーカ35aから出力させたりするためのものである。
次に、上記の構成における作用について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。この温水システムは、認識基準値が設定変更可能とされており、以下の説明では、ユーザまたは作業員(保守員)による認識基準値の設定変更方法について説明する。なお、ここでは、浴室リモコン2における制御動作について説明するが、台所リモコン3における制御動作についても略同様である。
まず、浴室側マイコン26は、ユーザの操作によって認識基準値を設定変更するための特殊モードに移行されたか否かの判別を行う(S1)。浴室側マイコン26は、たとえばユーザによってアップ・ダウンスイッチ24bが所定時間(たとえば5秒)同時に操作されたことを検出した場合、特殊モードに移行されたと判別する。
特殊モードに移行されると、ユーザによっていずれかの設定変更方式が選択されたか否かの判別を行う(S2)。すなわち、この実施形態では、認識基準値の設定変更方式として、操作スイッチごとに認識基準値を設定変更する方式と、パターン(図6の安全度パターンテーブル参照)ごとに認識基準値を設定変更する方式と、全ての操作スイッチに対して認識基準値を設定変更する方式とが実行可能とされている。ユーザは、これらの方式のうちいずれか任意の方式を選択して認識基準値の設定変更を行うことができる。
なお、これらの方式を選択する場合には、各方式に対応する選択番号が予め定められており、たとえばユーザは、表示部23に表示された選択番号を選択して設定入力することにより、いずれかの方式が選択できるようになっている。
浴室側マイコン26は、ユーザによって操作スイッチごとに認識基準値を設定変更する方式が選択されたと判別した場合(S2:「操作スイッチごと」)、ユーザによっていずれかの操作スイッチが操作入力されたか否かの判別を行う(S3)。すなわち、ユーザは、操作スイッチごとに認識基準値を設定変更する方式を選択した場合、どの操作スイッチについて認識基準値を設定変更するかを選択する。
ここで、認識基準値の設定変更方法としては、図5に示した認識基準値テーブルが用いられ、音声認識のレベルが選択されることにより、認識基準値を変更する方法が挙げられる。音声認識のレベルには、認識基準値テーブルに示すように、「厳格」、「普通」、「容易」の3レベルが準備されており、ユーザは、これらの音声認識のレベルのうち、いずれかを選択することにより、当該操作スイッチの認識基準値が設定できるようになっている。すなわち、音声認識のレベルに対応する選択番号が予め定められており、ユーザは、表示部23に表示された選択番号を選択して設定入力することにより(S4:YES)、いずれかのレベルが選択できるようになっている。たとえば、音声認識のレベルとして「厳格」を選択すると、認識基準値は80%に設定変更される。
なお、音声認識のレベルを選択する方法に代えて、ユーザが操作スイッチを操作することにより、現状の認識基準値を(たとえば1%ごとに)詳細に調整する方法が採用されてもよい。あるいは、概算認識基準値を選択する方法のいずれかを選べるようにしてもよい。
ユーザが認識基準値を詳細に調整する方法では、表示部23に現在の認識基準値を表示しておき、ユーザがアップ・ダウンスイッチ24bを用いて認識基準値を実際に上下に変更する。これにより、ユーザは認識基準値を任意な値に設定変更することができる上、上記した音声認識のレベルを選択する方法に比べ、認識基準値をより細かく設定することができるので、設定精度をより高めることができ、ユーザの主旨に応じた設定が可能となるといった利点がある。
その後、認識基準値の設定変更入力が完了したか否かの判別が行われ(S5)、設定変更操作が完了している場合(S5:YES)、本設定変更モードが終了され、通常運転モードに移行する(S6)。
浴室側マイコン26は、ステップS2において、ユーザによってパターンごとに認識基準値を設定変更する方式が選択されたと判別した場合(S2:「パターンごと」)、ユーザによっていずれかのパターンが操作入力されたか否かの判別を行う(S7)。すなわち、ユーザは、パターンごとに認識基準値を設定変更する方式を選択した場合、どのパターンについて認識基準値を設定変更するかを選択する。
ここでパターンとは、図6に示した安全度パターンテーブルに記憶されている、安全性の程度に応じて互いに異なる組み合わせで複数種類の音声命令を区分けしたパターンをいい、いずれかのパターンとは、図6に示す安全度パターンテーブルを例にとると、「安全性の高レベルのパターン」、「基本パターン」、「安全性の中レベルのパターン」、「安全性の低レベルのパターン」のうちのいずれかひとつのパターンをいう。
図7に戻り、いずれかのパターンが選択されると、浴室側マイコン26は、ユーザによって認識基準値が入力されたか否かの判別を行う(S8)。たとえば、「安全性の高レベルのパターン」は、認識基準値が60%と予め設定されているが、ユーザは、任意の数値に設定変更することができる。この場合、認識基準値を設定変更する方法として、図5に示した認識基準値テーブルが用いられ、音声認識のレベルが選択されることにより、認識基準値を変更する方法を採用してもよいし、ユーザが操作スイッチを適当に操作することにより、現状の認識基準値を詳細に調整する方法が採用されてもよい。
また、この場合、いずれかひとつのパターンに対して認識基準値を設定変更することにより、他のパターンの認識基準値もその設定変更に連動して設定変更されてもよい。たとえば、「安全性の高レベルのパターン」の認識基準値が当初、60%であったところ、ユーザによって70%に設定変更した場合、「基本パターン」の認識基準値は70%から80%に、「安全性の中レベルのパターン」の認識基準値は80%から90%に、「安全性の低レベルのパターン」の認識基準値は90%から100%に、それぞれ設定変更されてもよい。これにより、各パターンの認識基準値に対してそれぞれ設定変更する手間が省け、操作性の向上を図ることができる。
その後、各パターンの認識基準値の設定変更入力が完了したか否かの判別が行われ(S9)、設定変更操作が完了している場合(S9:YES)、本設定変更モードが終了され、通常運転モードに移行する(S6)。
このように、操作スイッチの安全性のレベルが低くなるほど、認識基準値を高く、すなわち音声認識のレベルがより厳格になるようにしているので、音声認識されるともには、認識基準値を高くして音声認識できにくくなるようにしている。これにより、実質的にユーザにとって危険な状態を招く可能性を回避することができるため、より安全性の向上を図ることができる。
また、浴室側マイコン26は、ステップS2において、ユーザによって全ての操作スイッチについて認識基準値を設定変更する方式が選択されたと判別した場合(S2:「全体」)、認識基準値の設定変更入力があるか否かの判別が行われ(S10)、設定変更入力がなされたと判別した場合(S10:YES)、本設定変更モードが終了され、通常運転モードに移行する(S6)。このように、全ての操作スイッチについて一斉に認識基準値の設定変更を行うことができれば、ひとつひとつの操作スイッチに対して設定変更作業を行わなくても済み、作業時間の短縮を図ることができる。
このように、この実施形態によれば、認識基準値は、ユーザによる操作部23の操作によって容易に変更することができる。そのため、たとえば浴室が広すぎて音声入力の感度が悪化している場合には、認識基準値を設定変更して音声認識をより確実に行えるようにすることができる。したがって、浴室などの設置条件や機器の動作状況などに対応することができ、より汎用性のある温水システムを提供することができる。また、特に、この実施形態では、操作スイッチごと、パターンごと、全体と設定変更の入力方法に複数種類の方法を選択することができるので、ユーザの嗜好または使用状況に応じてそれらを選択することができ、より利便性の高いものとなる。
次に、通常動作モードにおける制御を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、浴室側マイコン26は、給湯運転に関する操作スイッチによる入力操作があるか否かを判別する(S21)。操作スイッチによる入力操作があると判別した場合(S21:YES)、その操作スイッチによる入力命令に応じた給湯運転動作を行い(S22)、ステップS21に戻る。
操作スイッチによる入力操作がないと判別した場合(S21:NO)、ユーザによる給湯運転に関する音声命令がマイクロフォン25bを通じて音声入力されるか否かを判別する(S23)。これは、ユーザが音声命令をマイクロフォン25bを通じて音声入力し、音声処理部25および浴室側マイコン26によってその旨が認識されたことにより判別する。音声命令がないと判別した場合(S23:NO)、ステップS21に戻る。音声命令があると判別した場合(S23:YES)、浴室側マイコン26において音声認識を行う。
具体的には、浴室側マイコン26は、ユーザが発する音声命令と既にされた登録した音声命令とを照合し、既に登録された音声命令と類似する音声命令がないか否かを判別するようにする。すなわち、音声入力した音声命令と既に登録されている音声命令との一致度を、いわゆるパターンマッチングの技法を用いて判別する。たとえば、既に登録されている音声命令およびそれに類似する音声命令を予めデータベース化しておき、これらと音声入力された音声命令とを、いわゆるクラスタ認識や階層認識といった方法を採用して一致度を算出する(S24)。算出された一致度は、一旦、図示しないRAMに記憶する。
たとえば、音声入力した音声命令が「運転オン」であって、既に登録された音声命令が「運転オフ」の場合、「運転」は同一であるので「オン」および「オフ」を特徴部分として抽出する。そして、「オン」および「オフ」では、最後の文字部分が異なるので、最後の文字部分に重み付けをして両者の一致度を算出する。なお、この場合、一致度も百分率で表されるものとする。
なお、ユーザが発する音声命令と既に登録された音声命令とを照合する方法の他に、実際に使用するユーザがたとえば試運転時などに自らの音声で音声命令を発して操作スイッチに対応した音声命令を予め登録しておくようにしてもよい。この方法によれば、音声命令の登録を自ら行うようにしているので、実装の音声命令を発する際、より一致度を上げることができ、さらに入力音声の言語解析などの複雑な処理を低減して行うことができる。
次いで、浴室側マイコン26は、給湯装置本体1の動作状況を検出する(S25)。ここで、本体側マイコン12は、図示しない各種センサおよび各種電磁弁からの状態信号を取得しているため、たとえば燃焼中である、シャワーを使用中である、あるいはテレビジョン受像機5が動作中であるといった給湯動作または入浴に関する動作を検出している。そのため、本体側マイコン12から浴室側マイコン26にそれらの情報を伝達することにより、浴室側マイコン26は、現状の給湯動作を間接的に検出することができる。
次に、浴室側マイコン26は、予め設定されている認識基準値を変更する必要があるか否かの判別を行う(S26)。すなわち、浴室側マイコン26は、ユーザの発する音声命令を認識する上で妨げとなる動作が実行されている場合、認識基準値を変更する必要があると判別し(S26:YES)、予め設定されている認識基準値から所定値(たとえば5%)を差し引いてそれを新たに認識基準値としてRAMに記憶する。たとえば、シャワーが使用されていたことが検出された場合、シャワー音がユーザの発する音声命令を認識する上で妨げとなるとして、認識基準値を変更する(S27)。なお、シャワーなどが使用されていない場合には、認識基準値を変更する必要がないと判別する(S26:NO)。
このように、給湯装置本体1における動作状況を検出して、たとえばシャワーが使用されている場合、認識基準値を下げるようにすれば、シャワーの使用により音声認識機能が悪化することを考慮したことになり、音声認識機能が誤動作する可能性をできるだけ回避することができる。
次に、浴室側マイコン26は、再確認動作を行う必要があるか否かの判別を行う(S28)。ここで、再確認動作とは、ユーザの発した音声命令を入力したが、その音声命令を確実に認識できないために、ユーザに対してメッセージを出力し、音声命令の再確認を行う動作である。
ステップS28において、浴室側マイコン26は、ステップS27において変更された、あるいは変更されていない認識基準値と、先に算出した一致度の値とを比較し、一致度の値が認識基準値を上回るか否かを判別する。すなわち、一致度の値が認識基準値を上回る場合には、音声認識の程度が高いとされ、再確認動作を行う必要がないと判別する(S28:NO)。そして、ステップS22に進み、ユーザが発した音声命令に基づく給湯動作を行う。
一方、一致度の値が認識基準値を下回る場合には、音声認識の程度が低いとされ、再確認動作を行う必要があると判別し(S28:NO)、再確認動作を行う(S29)。具体的には、浴室側マイコン26は、「運転スイッチオンの操作が入力されました。運転スイッチオンの操作を実行してもよろしいですか。はい、またはいいえでお答えください。」といった案内メッセージをEEPROM27から読み出し、スピーカ25aを通じて出力する。
次いで、浴室側マイコン26は、ユーザから上記案内メッセージに対して音声命令実行する旨の返答があるか否かを判別し(S30)、マイクロフォン25bを通じて「はい」といった音声入力があり、それを認識した場合(S30:YES)、ステップS22に進み、ユーザが発した音声命令に基づく給湯動作を行う。一方、マイクロフォン25bを通じて「いいえ」といった音声入力があり、それを認識した場合、あるいは返答を受け付けることができない場合(S30:NO)、音声認識が不可であるとして、操作スイッチによる命令入力を促す案内メッセージを出力する(S31)。
このように、再確認動作を行うようにすれば、音声認識があいまいな場合、たとえば一致度が認識基準値より下回っているが両者の差が小さい場合などにおいて、誤った音声認識を防止することができ、音声認識の確実性をより向上させることができる。
なお、上記実施形態においては、種々の変形例が適用可能である。たとえば、図8のステップS28において、浴室側マイコン26は、再確認動作を行う必要があるか否かを判別する際、認識基準値と一致度の値とを比較するが、この場合の両者の差が予め定める範囲内(たとえば10%以内)にあるとき、再度の音声入力を促す旨をユーザに対して案内するようにしてもよい。このように、音声認識が正常にできるか否かの判別において音声認識の確実性が期待できる場合には、再度の音声入力を促すようにして、より確実に音声認識を行うようにしてもよい。
また、上記のように再度の音声入力がユーザによって行われた場合、図8のステップS28において、認識基準値と一致度の値との差が再び予め定める範囲内(たとえば10%以内)にあるとき、すなわち、2度の同じ音声入力がなされ、音声認識における結果がほぼ同じである場合、音声認識の信頼性が高められたとして、当該音声入力に応じた給湯制御を行うようにしてもよい。
また、図8のステップS27において、浴室側マイコン26は、ユーザの発する音声命令を認識する上で妨げとなる動作が実行されている場合、認識基準値を変更するが、ステップS24において算出された一致度が、認識基準値を変更した後に予想される認識基準値と予め定める範囲以上の隔たりがある場合、給湯装置本体1の動作以外による原因によってノイズ音が発生していると判別し、操作スイッチによる操作入力を促すようにしてもよい。たとえば、シャワーが使用されている場合、認識基準値は、所定値(たとえば5%)差し引かれるが、給湯装置本体1の動作以外の原因、たとえば体を洗うときの湯かけ音によって一致度が著しく低下し、本来、予想される一致度と認識基準値との差が大幅に大きくなった場合には、給湯装置本体1の動作以外による原因によってノイズ音が発生しているとして、このような場合には、音声命令による入力を回避するものである。
また、ユーザが発する音声命令における安全性の程度が比較的高い場合には、当該音声命令にかかる認識基準値を設定変更するようにしてもよい。すなわち、安全性の比較的高い音声命令は、頻繁に使用される可能性が高いため、たとえば認識基準値を低くしても音声認識が可能であるだろうといった考えに基づくものである。
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、リモコン装置の数は、上記実施形態に限るものではない。