JP4101404B2 - 伸縮継手の連結構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣接する建物の各躯体間の空隙を塞ぐ伸縮継手装置のカバーパネル構造体を、各躯体に連結する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の技術の伸縮継手装置1を示す断面図であり、図7(1)は各躯体2,3が相対的に近接した状態を示し、図7(2)は各躯体2,3が相対的に離反した状態を示し、図7(3)は各躯体2,3が相対的に近接および離反方向に交差する方向に変位した状態を示す。伸縮継手装置1は、空隙をあけて隣接する建物の各躯体2,3にわたって、これら躯体2,3間の空隙を塞ぐために設けられる。
【0003】
伸縮継手装置1は、伸縮自在なパネル保持体5の両端部に取付部材10,11を設け、この取付部材10,11を、ヒンジ軸がそれぞれ1つである各ヒンジ手段8,9によって、各躯体2,3に各ヒンジ軸L1,L2まわりに角変位自在に連結し、パネル保持体5によってカバーパネル構造体4を保持している。各ヒンジ手段8,9は、周方向に分断されたC字状の嵌合凹部に円柱状の嵌合凸部が嵌まり込んで角変位できる。この伸縮継手装置1は、パネル保持体5の伸縮、および各ヒンジ手段8,9による角変位によって、各躯体2,3が、近接および離反する方向、ならびにこの方向に対して交差する方向に変位することを許容できる状態で、カバーパネル構造体4によって躯体2,3間の空隙を塞いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術では、パネル保持体5は、各躯体2,3に対して、それぞれ1つのヒンジ軸L1,L2まわりにしか角変位することができない。しかもパネル保持体5が各ヒンジ軸L1,L2まわりに角変位できる角度は、嵌合凹部から嵌合凸部が抜け出ないようにするために、大きく設定することができない。したがってパネル保持体5は、各躯体2,3に対して大きく角変位することができないので、伸縮継手装置1は、各躯体2,3が相対的に近接および離反する方向に交差する方向に大きく変位したとき、その変位を許容することができない。
【0005】
また各躯体2,3と各ヒンジ手段8,9との間を水密に塞ぐために、各躯体2,3と各取付部材10,11との間にシール材12,13が打たれているが、取付部材10,11は、パネル保持体5とともに角変位する部材であり、各躯体2,3の変位に伴って各取付部材10,11が角変位すると、各シール材12,13は、圧縮され、または引張られて損傷する。したがって各躯体2,3が変位すると、シール材12,13が損傷して、シールが切れてしまう。
【0006】
本発明の目的は、2つの躯体が、相対的に近接および離反する方向に交差する方向に大きく変位しても、この変位を許容することができる伸縮継手の連結構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、空隙をあけて隣接する2つの躯体に、複数の平行なヒンジ軸を有する多軸ヒンジ手段によって、幅方向に伸縮自在なパネル保持体の幅方向両端部をそれぞれ連結し、
パネル保持体に、カバーパネル構造体を引寄せる方向に弾発的にばね付勢された状態で連結し、
多軸ヒンジ手段に、前記カバーパネル構造体の幅方向両端部を各ヒンジ軸の外側に乗上げる方向に案内するパネル案内部を設けたことを特徴とする伸縮継手の連結構造である。
【0008】
本発明に従えば、伸縮自在なパネル保持体は、多軸ヒンジ手段によって各躯体に連結されており、各躯体に対して、複数のヒンジ軸まわりに角変位することができる。このパネル保持体にカバーパネル構造体を連結して、各躯体が近接および離反する方向、ならびにこの方向に垂直な方向に変位することを許容できる状態で、カバーパネル構造体によって各躯体間の空隙を塞ぐことができる。各多軸ヒンジ手段は、各ヒンジ軸まわりに角変位できる角度に制限がそれぞれ存在するが、1つのヒンジ軸まわりの角変位が限界に達しても、他のヒンジ軸まわりに角変位することができ、全体として角変位できる角度は、各ヒンジ軸まわりに角変位できる角度を合わせた角度となり、ヒンジ軸が1つである場合と比較して大きな角度となる。したがってパネル保持体は、各躯体に対して大きく角変位することができ、各躯体が、相対的に近接および離反する方向に垂直な方向に大きく変位しても、この変位を許容することができる。またカバーパネル構造体は、パネル保持体に弾発的に引寄せられた状態で保持されており、加えて多軸ヒンジ手段には、パネル案内部が設けられている。これによって各躯体が近接する方向に変位したとき、カバーパネル構造体の幅方向両端部が各ヒンジ軸の外側に乗上げるように案内され、カバーパネル構造体は、ばね力に抗してパネル保持体から離反する方向に変位することができる。したがって各躯体が相対的に近接するように変位しても、カバーパネル構造体が押しつぶされてしまうことがない。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の伸縮継手の連結構造が実施される伸縮継手装置20を示す水平断面図であり、図2は、図1の下側から見て伸縮継手装置20を示す正面図である。また図1は、図2の切断面線I−Iから見た断面図であって、伸縮継手装置30などを省略して示す。集合住宅、学校、病院および養護施設などである隣接する2つの建物には、相互に近接するように、水平である左右方向Xに突出する通路体21a,21bがそれぞれ形成される。各通路体21a,21bは、たとえば主としてコンクリートから成る。
【0010】
各通路体21a,21bは、水平な床部22a,22bと、各床部22a,22bの前後方向Y(図1の上下方向)両側部から立上がる側壁部23a,23bとによって、上方に開放する溝形状にそれぞれ形成される。各通路体21a,21bによって、各床部22a,22b上に、両側方に転落防止のための側壁部23a,23bが設けられる固定通路25a,25bがそれぞれ形成され、各固定通路25a,25bは、建物内の空間とそれぞれ連なっている。前後方向Yは、左右方向Xに垂直でありかつ水平な方向である。
【0011】
各通路体21a,21bは、左右方向Xに空隙をあけて設けられており、各床部22a,22bにわたって、それら間の空隙28を上方から覆って塞ぐカバーパネル構造体29を有する伸縮継手装置30が設けられるとともに、空隙28を下方から覆って塞ぐうカバーパネル構造体31を有する伸縮継手装置32が設けられる。各カバーパネル構造体29,31は、各床部22a,22bに対して、左右および前後方向X,Yに変位可能である。これらの伸縮継手装置30,32を、各床部22a,22bにわたって設けて、カバーパネル構造体29上に、各固定通路25a,25bを連ねる伸縮通路27が形成される。
【0012】
伸縮継手装置20は、相互に間隔Dの空隙33をあけて隣接する2つの躯体である各側壁部23a,23bにわたって設けられ、空隙33を塞いで伸縮通路27の側方にも転落防止のための側壁を連続させて形成することができる。伸縮継手装置20は、一対の構成体130,131を有し、一方の構成体130は、各側壁部23a,23bの各固定通路25a,25bとは反対側の側部にわたって設けられ、空隙33を外部空間140側から塞ぎ、他方の構成体131は、各側壁部23a,23bの各固定通路25a,25b寄りの側部にわたって設けられ、空隙33を伸縮通路27側から塞ぐ。各構成体130,131は、カバーパネル構造体46,46Aと、パネル保持体38,38Aと、2つの多軸ヒンジ手段37a,37b;37aA,37bAとをそれぞれ有する。
【0013】
各構成体130,131は、側壁部23a,23bが左右方向Xに一直線上に並んで配置される伸縮継手装置20の設置当初の状態において、前後方向Yに関してほぼ対称となるように配置され、また各構成体130,131の各カバーパネル構造体46,46Aおよび各パネルパネル保持体38,38Aが幅方向の中央部に関して対称であるとともに、各2つのヒンジ手段37a,37bが相互に対称な構成を有している。したがって以下、一方の構成体130を例に挙げて説明する。他方の構成体131については、対称に対応する一方の構成体130の部分に付される符号に添え字Aを添えた符号を付す。なお、理解を容易にするために、加えて構成体131について説明する場合がある。また一方の構成体130における、一方の側壁部23aに関連する幅方向一方側の構成について特に詳細に説明し、他方の側壁部23bに関連する幅方向他方側の構成については、詳細な説明を省略し、図面に詳細に現れる場合に、対称に対応する幅方向一方側の部分に付される符号の添え字aに代えて添え字bを添えた同一数字の符号を付すとともに、関連する説明をするときには、同様の符号を付して説明する。
【0014】
構成体130は、各側壁部23a,23bに、複数(本実施の形態では2つ)の平行なヒンジ軸L10a,L11a;L10b,L11bを有する各多軸ヒンジ手段37a,37bによって、幅方向に伸縮自在なパネル保持体38の幅方向両端部36a,36bをそれぞれ連結し、パネル保持体38の中央部に、カバーパネル構造体46を引寄せる方向に弾発的にばね付勢された状態で連結し、各多軸ヒンジ手段37a,37bに、カバーパネル構造体46の幅方向両端部を各ヒンジ軸L10a,L11a;L10b,L11bの外側に乗上げる方向に案内するパネル案内部96aを設けている。
【0015】
カバーパネル構造体46は、たとえばアルミニウム合金製の板材から成るカバープレート39と、カバープレート39の空隙33側に設けられる補強体40とを有する。補強体40は、上下方向Zに複数設けられる水平な横材41が、その両端部で鉛直な竪材42によって連結されて、枠組みされて構成される。この補強体40に、たとえばビス43によってカバープレート39が固定される。上下方向Zは、左右および前後方向X,Yに直交する鉛直な方向である。
【0016】
パネル保持体38は、伸縮自在な保持体本体44と、保持体本体44にカバーパネル構造体46を連結する連結手段45とを有する。パネル保持体38は、カバーパネル構造体46の裏側となる空隙33側に、上部方向Zに複数(本実施の形態では2つ)設けられる。各保持体本体44は、パンタグラフによって実現され、ステンレス鋼製の複数のリンク部材48が、一直線に沿って複数(本実施の形態では4つ)のひし形が形成されるように、円筒状の連結ピン49によって連結されてそれぞれ構成される。各保持体本体44は、各リンク部材49が相互に角変位することによって、幅方向の両端部47a,47bが、近接および離反するように伸縮することができる。
【0017】
各連結手段45は、各パネル保持体44の両端部47a,47b間の中央部にそれぞれ設けられ、カバーパネル構造体46、具体的には補強体40の各横材41のうちの2つと、各保持体本体44とを連結する。各連結手段45は、圧縮コイルばね55を有しており、これによってパネル保持体38に、引寄せる方向に、すなわち空隙33に向けて弾発的にばね付勢して、カバーパネル構造体46を連結することができる。したがって構成体130では、カバーパネル構造体46は、圧縮コイルばね55のばね力に抗して、保持体本体44から離反するように、外部空間140に向かって変位することが可能である。また構成体131では、カバーパネル46Aは、圧縮コイルばね55Aのばね力に抗して、伸縮通路27に向かって変位することが可能である。
【0018】
図3は、一方の多軸ヒンジ手段37aを拡大して示す水平断面図である。図3は、パネル保持体38が、図1および図2に示す状態から、外部空間140側に変位するように、側壁部23aに対して角変位した状態を示す。図1および図2を併せて参照して、一方の多軸ヒンジ手段37aは、縁材57aと、取付部材58aと、ヒンジ片59aとで構成される。これら縁材57a、取付部材58aおよびヒンジ片59aは、たとえばアルミニウム合金製の押出形材から成る。
【0019】
一方の側壁部23aは、他方の側壁部23b寄りの端部に、水平断面が矩形である筒状の固定部材60aを有する。固定部材60aは、たとえばアルミニウム合金製の押出型材から成る。固定部材60a内には、その補強のために、水平断面が略C字状である溝形の補強部材61aが設けられる。補強部材61aは、たとえばステンレス鋼製の型材から成る。この側壁部23aの固定部材60aに固定されて、縁材57aが設けられる。縁材57aは、基部63aと、延出部64aと、ヒンジ嵌合凹部65aと、突出部66aとを有する。
【0020】
基部63aは、固定部材60aの空隙33に臨む部分に、たとえばビス67aによって補強部材61aとともに固定される。基部63aの外部空間140から離反する側の端部には、断面形状が大略的にU字状の係止部分75aが形成される。この係止部分75aには、固定部材60aから離反する方向に開放する溝空間76aが形成され、この溝空間76aに向けて突出する複数の突起が形成されている。延出部64aは、基部63aの外部空間140寄りの端部に連なって屈曲し、固定部材60aから離反するように延出する。
【0021】
ヒンジ嵌合凹部65aは、延出部64aの先端部に連なり、断面形状が略C字状であって、その分断部が突出部66aと略同一方向にあり、延出部64aの基部63aとは反対側(外部空間140側)に膨出して設けられ、分断部を介して外部空間140および他方の側壁部23bに向かう方向に開放する、嵌合空間67aが形成される。
【0022】
突出部66aは、延出部64aの基端部および先端部の中間部から外部空間140に向かって突出する。この突出部66aと固定部材60aとの間に、外部空間140に向けて開放して形成される凹所には、シール材70aが打たれて、縁材57aと固定部材60aとの隙間が外部空間140側から水密に塞がれている。また突出部66aは、固定部材60に離反する側に開放する蟻溝72aが形成され、モヘア73aが保持される。
【0023】
取付部材58aは、保持体本体44の一端部47aに、外部空間140側から連結されて設けられる。この取付部材58aは、基部78aと、カバーパネル構造体外側支持部95aと、パネル案内部96aと、カバーパネル構造体内側支持部97aと、ヒンジ嵌合凹部80aとを有する。
【0024】
基部78aは、一端部に保持体本体44に向けて開放する蟻溝82aが形成されている。保持体本体44の一端部47aの連結ピン49に挿通され、ナット88aが螺着されて抜止めされたボルト87aの頭部86aが、前記蟻溝82aに嵌まり込んで係合され、これによって取付部材58aが保持体本体44に取付けられる。
【0025】
カバーパネル構造体外側支持部95aは、基部78aの蟻溝82aとは反対側の端部に連なって、保持体本体44に平行になるように配置される。カバーパネル構造体案内部であるパネル案内部96aは、カバーパネル構造体外側支持部95aの、保持体本体44の他端部47b寄りの端部に連なって、保持体本体44の他端部47bに向かうにつれて支持体44に近づくように配置され、保持体本体44の伸縮方向に対して傾斜している。カバーパネル構造体内側支持部97aは、パネル案内部96aの、保持体本体44寄りの端部に連なって、カバーパネル構造体外側支持部95aと平行になるように、カバーパネル構造体外側支持部95aから離反するように延出し、カバーパネル構造体外側支持部95aよりも保持体本体44に近接する空隙33側おいて、保持体本体44に平行になるように配置される。
【0026】
ヒンジ嵌合凹部80aは、カバーパネル構造体外側支持部95aのパネル案内部96aとは反対の端部に連なり、断面形状が略C字状であって、その分断部が基部78aと略同一方向にあり、カバーパネル構造体外側支持部95aの基部78a側(空隙33側)に膨出して設けられ、分断部を介して保持体本体44の幅方向外方、および保持体本体44に近接する方向に開放する、嵌合空間99aが形成される。この取付部材58aのヒンジ嵌合凹部80aの内径は、縁材57aのヒンジ嵌合凹部65aの内径と同一に形成されている。
【0027】
ヒンジ片59aは、2つのヒンジ嵌合凸部101a,102aと、各ヒンジ嵌合凸部101a,102aを連結する連結部103aとを有する。ヒンジ嵌合凸部101aは、断面形状が略C字状であって、その外径が、縁材57aのヒンジ嵌合凹部65aの内径よりもわずかに小さく形成されている。このヒンジ嵌合凸部101aは、90度よりも小さい角度で分断されている。ヒンジ嵌合凸部102aは、断面形状が略C字状であって、その外径が、取付部材58aのヒンジ嵌合凹部80aの内径よりもわずかに小さく形成されている。このヒンジ嵌合凸部102aは、90度よりも小さい角度で分断されている。
【0028】
本実施の形態では、各ヒンジ嵌合凸部101a,102aは、断面形状が略C字状であるけれども、本発明の実施の他の形態として、円柱状および円筒状などの周面を有する形状であればよい。
【0029】
各ヒンジ嵌合凸部101a,102aは、各分断部分を相互に離反する方向に配置して、対称に設けられる。連結部103aは、各ヒンジ嵌合凸部101a,102aの中心軸線を含む仮想平面に沿って設けられ、一方のヒンジ嵌合凸部101aの周方向両端部間の中央部と、他方のヒンジ嵌合凸部102aの周方向両端部間の中央部とを連結する。このヒンジ片59aは、各ヒンジ嵌合凸部101a,102aの各中心軸線間の中央に配置される仮想一直線に関して対称な構成を有している。
【0030】
ヒンジ片59aは、各ヒンジ嵌合凸部101a,102aが各ヒンジ嵌合凹部65a,80aの嵌合空間67a,99aに嵌まり込んで、縁材57aと取付部材58aとを連結する。このヒンジ片59aは、縁材57aに対して、ヒンジ軸L10aまわりに角変位自在であり、連結部103aがヒンジ嵌合凹部65aの周方向両端部105a,106aに当接する各位置間にわたって角変位することができる。この角変位できる角度θ1は、90度よりも少し小さい角度である。またヒンジ片59aは、取付部材58aに対して、ヒンジ軸L11aまわりに角変位自在であり、連結部103aがヒンジ嵌合凹部80aの周方向両端部107a,108aに当接する各位置間にわたって角変位することができる。この角変位できる角度θ2は、90度よりも少し小さい角度である。取付部材58aは、縁材57aに対して、各ヒンジ軸L10a,L11aまわりに角変位自在である。
【0031】
図1に示すように、各側壁部23a,23bが一直線に沿って配置され、伸縮継手装置20が左右方向Xに沿って配置される設置当初の状態においては、ヒンジ片59aは、連結部103aがヒンジ嵌合凹部65aの周方向一端部105aに当接した状態で、他方のヒンジ嵌合凸部102aが一方のヒンジ嵌合凸部101aに対して外部空間140側に配置され、したがって各ヒンジ軸L10a,L11aは、前後方向Yに沿って、ヒンジ軸L11aがヒンジ軸L10aよりも伸縮通路27側に配置されている。さらに取付部材58aは、ヒンジ片59aの連結部103aが、ヒンジ嵌合凹部80aの周方向一端部107aに当接し、カバーパネル構造体外側支持部95aおよびカバーパネル構造体内側支持部97aが左右方向Xに沿って配置されている。またモヘア73aの先端部が、ヒンジ嵌合凹部80aに当接しており、雨水などの水および塵埃などが、各ヒンジ嵌合凹部65a,80aと各ヒンジ嵌合凸部101a,102aとの間に侵入しにくいように構成されている。
【0032】
このように伸縮継手装置20の構成体130では、パネル保持体38は、側壁部23aに対して2つのヒンジ軸L10a,L11aまわりに角変位自在に、一方の多軸ヒンジ手段37aによって連結される。また他方の多軸ヒンジ手段37bは、一方の多軸ヒンジ手段37aと対称な構成を有しており、パネル保持体38は、側壁部23bに対して2つのヒンジ軸L10b,L11bまわりに角変位自在に、他方の多軸ヒンジ手段37bによって連結される。
【0033】
また構成体130では、パネル保持体38によって保持されるカバーパネル構造体46は、カバープレート39がその幅方向両端部120a,120bを補強体40よりも外方に突出させて設けられ、伸縮継手装置20の設置当初の状態においてカバーパネル構造体46は、カバープレート39の幅方向両端部が、各多軸ヒンジ手段37a,37bの各カバーパネル構造体外側支持部95a,95bによって、外部空間140側から支持されるとともに、補強体40の竪材42が、各カバーパネル構造体内側支持部97a,97bによって、外部空間140側から支持される。
【0034】
また各竪材42の幅方向外方側には、空隙33から外部空間140に近接するにつれて、相互に離反するように傾斜する傾斜案内部121a,121bが形成されている。各傾斜案内部121a,121bは、本実施の形態において中央部で分断されているが、他の実施の形態として一体に連なっていてもよい。傾斜案内部121a,121bは、各パネル案内部96a,96bから間隔をあけて平行にそれぞれ配置されている。
【0035】
このような構成の構成体130と、構成体131とは、上述のようにほぼ対称であって、対称でない点は、構成体130の連結手段45と構成体131の連結手段45Aとの干渉を避けるためにに、各パネル保持体38,38Aが鉛直方向Zにずれて配置される点である。他の構成については、各構成体130,131は対称である。
【0036】
このような伸縮継手装置20によれば、伸縮自在な各パネル保持体38,38Aは、多軸ヒンジ手段37a,37b;37aA,37bAによって各側壁部23a,23bに連結されており、各側壁部23a,23bに対して、複数のヒンジ軸L10a,L11a;L10b,L11b;L10aA,L11aA;L10bA,L11bAまわりに角変位することができる。このパネル保持体38,38Aにカバーパネル構造体46,46Aを連結して、各側壁部23a,23bが近接および離反する方向、ならびにこの方向に垂直な方向に変位することを許容できる状態で、カバーパネル構造体46,46Aによって空隙33を塞ぐことができる。
【0037】
各多軸ヒンジ手段37a,37b;37aA,37bAは、各ヒンジ軸L10a,L11a;L10b,L11b;L10aA,L11aA;L10bA,L11bAまわりに角変位できる角度θ1,θ2;θ1A,θ2Aに制限がそれぞれ存在するが、1つのヒンジ軸まわりの角変位が限界に達しても、他のヒンジ軸まわりに角変位することができ、全体として角変位できる角度は、各ヒンジ軸まわりに角変位できる角度を合わせた角度(=θ1+θ2;=θ1A+θ2A)となり、ヒンジ軸が1つである場合と比較して大きな角度となる。したがってパネル保持体38,38Aは、各側壁部23a,23bに対して大きく角変位することができ、各側壁部23a,23bが、相対的に近接および離反する方向に垂直な方向に大きく変位しても、この変位を許容することができる。
【0038】
さらに具体的な動作について述べると、設置当初の状態において構成体130の一方の多軸ヒンジ手段37aは、ヒンジ片59aが、縁材57aに対して空隙33側に配置されるヒンジ軸L10aまわりに、ヒンジ嵌合凸部102aを側壁部23bに近接させる方向にだけ角変位することができるとともに、取付部材58aが、ヒンジ片59aに対して外部空間140側に配置されるヒンジ軸L11aまわりに、カバーパネル構造体内側支持部97aを外部空間140側に変位する方向にだけ角変位することができる。相互に約90度を成して設けられるパネル保持体38と側壁部23aの空隙33に臨む部分とを近接させるように、パネル保持体38が側壁部23aに対して空隙33側に変位するときには、パネル保持体38は空隙33側に配置されるヒンジ軸L10aまわりに、ヒンジ片59aとともに角変位するので、パネル保持体38は、側壁部23aからできるだけ離れた領域で角変位することができ、側壁部23aの空隙33に臨む部分に干渉しないようにすることができ、大きく角変位することができる。
【0039】
逆に、相互に約180度を成して設けられるパネル保持体38と側壁部23aの外部空間140に臨む部分とを近接させるように、パネル保持体38が側壁部23aに対して外部空空間140側に変位するときには、パネル保持体38は外部空間140側に配置されるヒンジ軸L11aまわりに、取付部材58aとともに角変位する。このときパネル保持体38と側壁部23aの外部空間140に臨む部分は、相互に約180度を成して配置されるので、パネル保持体38は、側壁部23aの外部空間140に臨む部分に干渉することがなく、大きく角変位することができる。
【0040】
したがって単に一方の多軸ヒンジ手段37aに2つのヒンジ軸L10a,L11aを設けるだけでなく、設置当初の状態において、パネル保持体38の角変位方向に対応して、ヒンジ軸L10a,L11aが特定される構成とすることによって、パネル保持体38が側壁部23aに対して空隙33側および外部空間140側のいずれの方向に角変位する場合にも、充分に大きな角度で角変位することができる。
【0041】
構成体130の多軸ヒンジ手段37bは、上述の構成体130の多軸ヒンジ手段37aと対称の動作をし、同様の効果を達成することができる。また構成体131は、構成体130と対称の動作をし、同様の効果を達成することができる。
【0042】
このようにパネル保持体38,38Aの大きな角度での第1および第2側壁部23a,23bに対する角変位が可能であるので、図4(1)に示すように第1および第2側壁部23a,23bが、たとえば地震などによる第1および第2建物の変位に伴って、前後方向Yに小さい変位量で変位したときに、その変位を許容できるだけでなく、図4(2)に示すように、前後方向Yに大きな変位量で変位しても、破損することなく、その変位を許容することができる。
【0043】
特にこの実施の形態のように、側壁部23a,23bの伸縮通路27側および外部空間140側の両側部に構成体130,131が設けられて近接している構成であっても、上述のように各多軸ヒンジ手段37a,37b;37aA,37bAを構成することによって、図4に示すように第1および第2側壁部23a,23bが相対的に変位するとき、構成体130のパネル保持体38と構成体131のパネル保持体38,38Aとを、できるだけ近接しないようにすることができ、各パネル保持体38,38Aが大きく角変位することができ、各側壁部23a,23bの大きな相対的変位を許容することができる。
【0044】
またカバーパネル構造体46,46Aは、パネル保持体38,38Aに弾発的に引寄せられた状態で保持されており、加えて各多軸ヒンジ手段37a,37b;37aA,37bAには、パネル案内部96a,96b;96aA,96bAが設けられ、かつカバーパネル構造体46,46Aに傾斜案内部121a,121b;121aA,121bAが形成されている。これによって各側壁部23a,23bが近接する方向に変位したとき、カバーパネル構造体46,46Aの幅方向両端部が各ヒンジ軸L10a,L11a;L10b,L11b;L10aA,L11aA;L10bA,L11bAの外側(構成体130では外部空間140側、構成体131では伸縮通路27側)に乗上げるように案内され、カバーパネル構造体46,46Aは、ばね力に抗してパネル保持体38,38Aから離反する方向に変位することができる。したがって各側壁部23a,23bが相対的に近接するように変位しても、カバーパネル構造体46,46Aが押しつぶされてしまうことがない。
【0045】
さらに各縁材57a,57b;57aA,57bAに突出部66a,66b;66aA,66bAを設けて、共に変位しない各突出部66a,66b;66aA,66bAと固定部材60a,60bとの間に、シール材70a,70b;70aA,70bAが打たれるので、パネル保持体38,38Aが角変位しても、シール材70a,70b;70aA,70bAが損傷してしまうことがなく、これによってシール性を維持して水密に塞ぐことができる。
【0046】
図5は、本発明の実施の他の形態の伸縮継手の連結構造が実施される伸縮継手装置1020を示す水平断面図である。伸縮継手装置1020は、図1〜図4を参照して上述した伸縮継手装置20と類似しており、図1〜図4に示した伸縮継手装置20の構成体130と止水板125とを有する。本実施の形態の伸縮継手装置1020は、躯体である隣接する建物の外壁200a,200bにわたって、各外壁200a,200b間の空隙33を外部空間140側塞ぐために設けられる。止水板125は、各縁材57a,57bの各係止部分75a,75bに両端部が係止されて、パネル保持体38の外部空間140に離反する側に設けられる。その他の構成については、上述の伸縮継手装置20と同様であるので、同様の構成を有する部分に同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0047】
このような構成の伸縮継手装置1020は、パネル保持体38が、図1〜図4に示す上述の手摺壁伸縮手摺装置20のパネル保持体38と同様に、保持体本体44の伸縮によって各外壁200a,200bが相対的に近接および離反する方向に変位することを許容することができる。またパネル保持体38は、各多軸2ヒンジ手段37a,37bによって、各外壁200a,200bに、2つのヒンジ軸L10a,L11a;L10b;L11bまわりにそれぞれ角変位することができるので、上述したように大きな角変位可能範囲で角変位することができる。
【0048】
したがって図6(1)に示すように各外壁200a,200bが、たとえば地震などによる第1および第2建物の変位に伴って、前後方向Yに小さい変位量で変位したときに、その変位を許容できるだけでなく、図6(2)に示すように、前後方向Yに大きな変位量で変位しても、破損することなく、その変位を許容することができる。
【0049】
上述の実施の各形態は、本発明の例に過ぎず、本発明の範囲内において、構成を変更することが可能であり、たとえば上述の形態では、各多軸ヒンジ手段37a,37bは、2つのヒンジ軸をそれぞれ有する構成であったけれども、本発明の実施のさらに他の形態として、各多軸ヒンジ手段が3つ以上の軸線を有する構成であってもよい。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、伸縮自在なパネル保持体は、多軸ヒンジ手段によって各躯体に連結されており、各躯体に対して、複数のヒンジ軸まわりに角変位することができる。このパネル保持体にカバーパネル構造体を連結して、各躯体が近接および離反する方向、ならびにこの方向に垂直な方向に変位することを許容できる状態で、カバーパネル構造体によって各躯体間の空隙を塞ぐことができる。各多軸ヒンジ手段は、各ヒンジ軸まわりに角変位できる角度に制限がそれぞれ存在するが、1つのヒンジ軸まわりの角変位が限界に達しても、他のヒンジ軸まわりに角変位することができ、全体として角変位できる角度は、各ヒンジ軸まわりに角変位できる角度を合わせた角度となり、ヒンジ軸が1つである場合と比較して大きな角度となる。したがってパネル保持体は、各躯体に対して大きく角変位することができ、各躯体が、相対的に近接および離反する方向に垂直な方向に大きく変位しても、この変位を許容することができる。またカバーパネル構造体は、パネル保持体に弾発的に引寄せられた状態で保持されており、加えて多軸ヒンジ手段には、パネル案内部が設けられている。これによって各躯体が近接する方向に変位したとき、カバーパネル構造体の幅方向両端部が各ヒンジ軸の外側に乗上げるように案内され、カバーパネル構造体は、ばね力に抗してパネル保持体から離反する方向に変位することができる。したがって各躯体が相対的に近接するように変位しても、カバーパネル構造体が押しつぶされてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の伸縮継手の連結構造が実施される伸縮継手装置20を示す水平断面図である。
【図2】図1の下側から見て伸縮継手装置20を示す正面図である。
【図3】一方の多軸ヒンジ手段37aを拡大して示す水平断面図である。
【図4】各側壁部23a,23bが前後方向に相対的に変位したときの伸縮継手装置20を示す水平断面図であり、(1)は変位量が小さい場合を示し、(2)は変位量が大きい場合を示す。
【図5】本発明の実施の他の形態の伸縮継手の連結構造が実施される伸縮継手装置1020を示す水平断面図である。
【図6】各外壁200a,200bが前後方向に相対的に変位したときの伸縮継手装置20Aを示す水平断面図であり、(1)は変位量が小さい場合を示し、(2)は変位量が大きい場合を示す。
【図7】従来の技術の伸縮継手装置1を示す断面図である。
【符号の説明】
20,1020 伸縮継手装置
23a,23b 側壁部
27 伸縮通路
33 空隙
37a,37b;37aA,37bA 多軸ヒンジ手段
38,38A パネル保持体
39,39A カバープレート
40,40A 補強体
44,44A 保持体本体
45,45A 連結手段
47a,47b;47aA,47bA 保持体本体の両端部
57a,57b;57aA,57bA 縁材
58a,58b;58aA,58bA 取付部材
59a,59b;59aA,59bA ヒンジ片
140 外部空間
200a,200b 外壁
L10a,L11a;L10b,L11b;L10aA,L11aA;L10bA,L11bA 軸線
Claims (1)
- 空隙をあけて隣接する2つの躯体に、複数の平行なヒンジ軸を有する多軸ヒンジ手段によって、幅方向に伸縮自在なパネル保持体の幅方向両端部をそれぞれ連結し、
パネル保持体に、カバーパネル構造体を引寄せる方向に弾発的にばね付勢された状態で連結し、
多軸ヒンジ手段に、前記カバーパネル構造体の幅方向両端部を各ヒンジ軸の外側に乗上げる方向に案内するパネル案内部を設けたことを特徴とする伸縮継手の連結構造。
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