以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は本発明の成膜方法の実施形態を実施するTi膜成膜装置が搭載されたマルチチャンバータイプの成膜システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、この成膜システム100は、六角形をなすウエハ搬送室1を有しており、その4辺には、それぞれ所定の処理装置が接続される接続ポート1a,1b,1c,1dを有しており、接続ポート1aには被処理基板である半導体ウエハWの成膜下地の自然酸化膜を除去するプリクリーニング装置2が接続され、接続ポート1bにはプラズマCVDによりTi膜を成膜するTi膜成膜装置3が接続され、接続ポート1cには熱CVDでTiNを成膜するTiN成膜装置4が接続されている。接続ポート1dには処理装置が接続されていないが、必要に応じて適宜の処理装置5が接続可能となっている。また、ウエハ搬送室1の他の2つの辺にはそれぞれロードロック室6,7が設けられている。これらロードロック室6,7のウエハ搬送室1と反対側にはウエハ搬入出室8が設けられており、ウエハ搬入出室8のロードロック室6,7と反対側にはウエハWを収容可能な3つのフープ(FOUP)Fを取り付けるポート9,10,11が設けられている。
プリクリーニング装置2、Ti膜成膜装置3、TiN膜成膜装置4およびロードロック室6,7は、同図に示すように、ゲートバルブGを介して接続され、これらは各ゲートバルブGを開放することによりウエハ搬送室1と連通され、各ゲートバルブGを閉じることによりウエハ搬送室1から遮断される。また、ロードロック室6,7のウエハ搬入出室8に接続される部分にもゲートバルブGが設けられており、ロードロック室6,7は、ゲートバルブGを開放することによりウエハ搬入出室8に連通され、これらを閉じることによりウエハ搬入出室8から遮断される。
ウエハ搬送室1内には、プリクリーニング装置2、Ti膜成膜装置3、TiN膜成膜装置4、およびロードロック室6,7に対して、被処理体であるウエハWの搬入出を行うウエハ搬送装置12が設けられている。このウエハ搬送装置12は、ウエハ搬送室1の略中央に配設されており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部13の先端にウエハWを保持する2つのブレード14a,14bを有しており、これら2つのブレード14a,14bは互いに反対方向を向くように回転・伸縮部13に取り付けられている。なお、このウエハ搬送室1内は所定の真空度に保持されるようになっている。
ウエハ搬入出室8の天井部にはHEPAフィルタ(図示せず)が設けられており、このHEPAフィルタを通過した清浄な空気がウエハ搬入出室8内にダウンフロー状態で供給され、大気圧の清浄空気雰囲気でウエハWの搬入出が行われるようになっている。ウエハ搬入出室8のフープF取り付け用の3つのポート9,10,11にはそれぞれシャッター(図示せず)が設けられており、これらポート9,10,11にウエハWを収容したまたは空のフープが直接取り付けられ、取り付けられた際にシャッターが外れて外気の侵入を防止しつつウエハ搬出入室8と連通するようになっている。また、ウエハ搬入出室8の側面にはアライメントチャンバー15が設けられており、そこでウエハWのアライメントが行われる。
ウエハ搬入出室8内には、フープFに対するウエハWの搬入出およびロードロック室6,7に対するウエハWの搬入出を行うウエハ搬送装置16が設けられている。このウエハ搬送装置16は、多関節アーム構造を有しており、フープFの配列方向に沿ってレール18上を走行可能となっており、その先端のハンド17上にウエハWを載せてその搬送を行う。
ウエハ搬送装置12,16の動作等、システム全体の制御は制御部19によって行われる。
このような成膜システム100においては、まず、大気圧の清浄空気雰囲気に保持されたウエハ搬入出室8内のウエハ搬送装置16により、いずれかのフープFからウエハWを一枚取り出してアライメントチャンバー15に搬入し、ウエハWの位置合わせを行う。次いで、ウエハWをロードロック室6,7のいずれかに搬入し、そのロードロック室内を真空引きした後、ウエハ搬送室1内のウエハ搬送装置12によりそのロードロック室内のウエハを取り出し、ウエハWをプリクリーニング装置2に装入して下地表面の自然酸化膜を除去し、その後ウエハWをTi膜成膜装置3に装入してTi膜の成膜を行い、Ti成膜後のウエハWを引き続きTiN膜成膜装置4に装入してTiN膜の成膜を行う。すなわち、この成膜システム100では、自然酸化膜除去、Ti成膜、TiN成膜を、真空を破ることなくin situで行う。その後成膜後のウエハWをウエハ搬送装置12によりロードロック室6,7のいずれかに搬入し、その中を大気圧に戻した後、ウエハ搬入出室8内のウエハ搬送装置16によりロードロック室内のウエハWを取り出し、フープFのいずれかに収容される。このような動作を1ロットのウエハWに対して行い、1ロットの処理が終了する。
このような成膜処理により、例えば、図2に示すように、層間絶縁膜21に形成された、下地の導電性層20に達するビアホール22内にコンタクト層としてのTi膜23およびバリア層としてのTiN膜24が形成される。その後、他の装置により、AlやW等の成膜を行い、コンタクトホール22の埋め込みと配線層の形成を行う。導電性層20としては、poly−Siや、CoSi、NiSi等のシリサイドが挙げられる。
次に、プリクリーニング装置2について説明する。
このプリクリーニング装置2は、装置は誘導結合プラズマ(ICP)方式であり、下地となるpoly−Siやシリサイドの自然酸化膜を除去するためのものであり、図3に示すように、略円筒状のチャンバー31と、チャンバー31の上方にチャンバー31に連続して設けられた略円筒状のベルジャー32とを有している。チャンバー31内には被処理体であるウエハWを水平に支持するための例えばAlN等のセラミックスからなるサセプタ33が円筒状の支持部材34に支持された状態で配置されている。サセプタ33の外縁部にはウエハWをクランプするクランプリング35が設けられている。また、サセプタ33内にはウエハWを加熱するためのヒーター36が埋設されており、このヒーター36はヒーター電源39から給電されることにより被処理体であるウエハWを所定の温度に加熱する。
ベルジャー32は、例えば石英、セラミックス材料等の電気絶縁材料で形成されており、その周囲にはアンテナ部材としてのコイル37が巻回されている。コイル37には高周波電源38が接続されている。高周波電源38は300kHz〜60MHz、好ましくは450kHzの周波数を有している。そして、高周波電源38からコイル37に高周波電力を供給することにより、ベルジャー32内に誘導電磁界が形成されるようになっている。
ガス供給機構40は、処理ガスをチャンバー31内に導入するためのものであり、所定のガスのガス供給源、ならびに各ガス供給源からの配管、開閉バルブ、および流量制御のためのマスフローコントローラ(いずれも図示せず)を有している。チャンバー31の側壁にはガス導入ノズル42が設けられており、上記ガス供給機構40から延びる配管41がこのガス導入ノズル42に接続されており、所定のガスがガス導入ノズル42を介してチャンバー31内に導入される。なお、各配管のバルブおよびマスフローコントローラは図示しないコントローラにより制御される。
処理ガスとしては、Ar、Ne、Heが例示され、それぞれ単体で用いることができる。また、Ar、Ne、HeのいずれかとH2との併用、およびAr、Ne、HeのいずれかとNF3との併用であってもよい。これらの中では、Ar単独、Ar+H2が好ましい。
チャンバー31の底壁には、排気管43が接続されており、この排気管43には真空ポンプを含む排気装置44が接続されている。そして排気装置44を作動させることによりチャンバー31およびベルジャー32内を所定の真空度まで減圧することができる。
また、チャンバー31の側壁にはゲートバルブGが設けられており、このゲートバルブGを介して上述したようにウエハ搬送室1とつながっている。
さらに、サセプタ33内には、例えば、モリブデン線等をメッシュ状に編み込んでなる電極45が埋設され、この電極45には高周波電源46が接続されておりバイアスが印加されるようになっている。
このように構成されるプリクリーニング装置2においては、ゲートバルブGを開にして、チャンバー31内にウエハWを装入し、サセプタ33にウエハWを載置しクランプリング35によりクランプする。その後、ゲートバルブGを閉じ、排気装置44によりチャンバー31およびベルジャー32内を排気して所定の減圧状態にし、引き続き、ガス供給機構40からガス導入ノズル42を介してチャンバー31内に所定のガス、例えばArガス、またはArガスおよびH2ガスを導入しつつ、高周波電源38からコイル37に高周波電力を供給してベルジャー32内に誘導電磁界を形成することにより、誘導結合プラズマが生成される。一方、サセプタ33には、高周波電源46から高周波電力が供給され、ウエハWにはイオンが引き込まれる。
このようにして誘導結合プラズマをウエハWに作用させて、下地の導電性層の表面に形成された自然酸化膜を除去する。この場合に誘導結合プラズマは高密度であるから、低いエネルギーで下地にダメージを与えることなく、自然酸化膜を効率良く除去することができる。
次に、Ti膜成膜装置3について説明する。
図4は、Ti膜成膜装置3を示す断面図である。このTi膜成膜装置3は、気密に構成された略円筒状のチャンバー51を有しており、その中には被処理体であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ52がその中央下部に設けられた円筒状の支持部材53により支持された状態で配置されている。このサセプタ52はAlN等のセラミックスからなり、その外縁部にはウエハWをガイドするためのガイドリング54が設けられている。また、サセプタ52にはヒーター55が埋め込まれており、このヒーター55はヒーター電源56から給電されることにより被処理基板であるウエハWを所定の温度に加熱する。サセプタ52には、下部電極として機能する電極58がヒーター55の上に埋設されている。
チャンバー51の天壁51aには、絶縁部材59を介してシャワーヘッド60が設けられている。このシャワーヘッド60は、上段ブロック体60a、中段ブロック体60b、下段ブロック体60cで構成されている。下段ブロック体60cの外周近傍には、リング状をなすヒーター96が埋設されており、このヒーター96はヒーター電源97から給電されることにより、シャワーヘッド60を所定温度に加熱することが可能となっている。
下段ブロック体60cにはガスを吐出する吐出孔67と68とが交互に形成されている。上段ブロック体60aの上面には、第1のガス導入口61と、第2のガス導入口62とが形成されている。上段ブロック体60aの中では、第1のガス導入口61から多数のガス通路63が分岐している。中段ブロック体60bにはガス通路65が形成されており、上記ガス通路63が水平に延びる連通路63aを介してこれらガス通路65に連通している。さらにこのガス通路65が下段ブロック体60cの吐出孔67に連通している。また、上段ブロック体60aの中では、第2のガス導入口62から多数のガス通路64が分岐している。中段ブロック体60bにはガス通路66が形成されており、上記ガス通路64がこれらガス通路66に連通している。さらにこのガス通路66が中段ブロック体60b内に水平に延びる連通路66aに接続されており、この連通路66aが下段ブロック体60cの多数の吐出孔68に連通している。そして、上記第1および第2のガス導入口61,62は、それぞれ後述するガス供給機構70のガスライン78,80に接続されている。
ガス供給機構70は、クリーニングガスであるClF3ガスを供給するClF3ガス供給源71、Ti含有ガスであるTiCl4ガスを供給するTiCl4ガス供給源72、Arガスを供給する第1のArガス供給源73、還元ガスであるH2ガスを供給するH2ガス供給源74、窒化ガスであるNH3ガスを供給するNH3ガス供給源75、Arガスを供給する第2のArガス供給源76を有している。そして、ClF3ガス供給源71にはClF3ガス供給ライン77が、TiCl4ガス供給源72にはTiCl4ガス供給ライン78が、第1のArガス供給源73には第1のArガス供給ライン79が、H2ガス供給源74にはH2ガスライン80が、NH3ガス供給源75にはNH3ガス供給ライン80aが、第2のArガス供給源76には第2のArガス供給ライン80bが、それぞれ接続されている。また、図示しないが、N2ガス供給源も有している。そして、各ガス供給ラインにはマスフローコントローラ82およびマスフローコントローラ82を挟んで2つのバルブ81が設けられている。
前記第1のガス導入口61にはTiCl4ガス供給源72から延びるTiCl4ガス供給ライン78が接続されており、このTiCl4ガス供給ライン78にはClF3ガス供給源71から延びるClF3ガス供給ライン77および第1のArガス供給源73から延びる第1のArガス供給ライン79が接続されている。また、前記第2のガス導入口62にはH2ガス供給源74から延びるH2ガス供給ライン80が接続されており、このH2ガス供給ライン80には、NH3ガス供給源75から延びるNH3ガス供給ライン80a、第2のArガス供給源76から延びる第2のArガス供給ライン80bが接続されている。したがって、プロセス時には、TiCl4ガス供給源72からのTiCl4ガスが第1のArガス供給源73からのArガスとともにTiCl4ガス供給ライン78を介してシャワーヘッド60の第1のガス導入口61からシャワーヘッド60内に至り、ガス通路63,65を経て吐出孔67からチャンバー51内へ吐出される一方、H2ガス供給源74からの還元ガスであるH2ガスが第2のArガス供給源76からのArガスとともにH2ガス供給ガスライン80を介してシャワーヘッド60の第2のガス導入口62からシャワーヘッド60内に至り、ガス通路64,66を経て吐出孔68からチャンバー51内へ吐出される。すなわち、シャワーヘッド60は、TiCl4ガスとH2ガスとが全く独立してチャンバー51内に供給されるマトリックスタイプとなっており、これらは吐出後に混合され反応が生じる。なお、窒化処理を行う場合には、NH3ガス供給源75からのNH3ガスを還元ガスであるH2ガスのガスライン80にH2ガスおよびArガスと同時に流して、第2のガス導入口62からシャワーヘッド60内へ導入し、吐出口68から吐出させる。また、バルブ81およびマスフローコントローラ82はコントローラ98によって制御され、後述するような交互的なガス供給を行うようになっている。
シャワーヘッド60には、伝送路83が接続されており、この伝送路83には、電子整合式マッチングネットワーク100を介して高周波電源84が接続されており、成膜の際に高周波電源84から伝送路83を介してシャワーヘッド60に高周波電力が供給されるようになっている。高周波電源84から高周波電力を供給することにより、シャワーヘッド60および電極58の間に高周波電界が生じ、チャンバー51内に供給されたガスをプラズマ化し、Ti膜を成膜するようになっている。伝送路83にはコントローラ106が接続されている。このコントローラ106には伝送路83を介してプラズマからの反射波が入力され、このプラズマからの反射波がゼロないしは最小になるように電子整合式マッチングネットワーク100を制御する。高周波電源84としては周波数が400kHz〜13.56MHzのものが用いられる。
電子整合式マッチングネットワーク100は、通常のマッチングネットワークと同様、コンデンサ101と2つのコイル102、104を有しているが、2つのコイル102、104はそれぞれ誘導コイル103および105からの磁界を電気的に変化させることによりリアクタンスが可変となっており、通常のマッチングネットワークのように機械的な可動部は存在しない。したがって、プラズマへの追従が極めて速く、0.5sec程度と通常のマッチングネットワークの1/10程度の時間で定常状態とすることができる。このため、後述するようなプラズマを形成しつつ交互的なガス供給を行う場合に適している。
チャンバー51の底壁51bの中央部には円形の穴85が形成されており、底壁51bにはこの穴85を覆うように下方に向けて突出する排気室86が設けられている。排気室86の側面には排気管87が接続されており、この排気管87には排気装置88が接続されている。そしてこの排気装置88を作動させることによりチャンバー51内を所定の真空度まで減圧することが可能となっている。
サセプタ52には、ウエハWを支持して昇降させるための3本(2本のみ図示)のウエハ支持ピン89がサセプタ52の表面に対して突没可能に設けられ、これらウエハ支持ピン89は支持板90に固定されている。そして、ウエハ支持ピン89は、エアシリンダ等の駆動機構91により支持板90を介して昇降される。
チャンバー51の側壁には、ウエハ搬送室1との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口92と、この搬入出口92を開閉するゲートバルブGとが設けられている。
次に、このような装置を用いたTi膜成膜方法について説明する。
まず、チャンバー51内を排気して圧力を667Paとし、ヒーター55によりサセプタ52を350〜700℃に加熱するとともに、ヒーター96によりシャワーヘッド60を450℃以上の温度、例えば470〜490℃程度に加熱する。
この状態で高周波電源84からシャワーヘッド60に高周波電力を印加しつつ、TiCl4ガス供給源72、第1のArガス供給源73から第1のガス導入口61へTiCl4ガスおよびArガスを供給し、H2ガス供給源74、第2のArガス供給源76から第2のガス導入口62へH2ガスおよびArガスを供給し、それぞれガス吐出孔67,68から吐出する。これによりチャンバー51内にこれらガスのプラズマが形成され、チャンバー51の内壁およびシャワーヘッド60等のチャンバー内部材にTi膜がプリコートされる。この際のガス流量は、TiCl4ガス:0.01〜0.02L/min(10〜20sccm)、H2ガス:1.5〜4.5L/min(1500〜4500sccm)、Arガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)程度である。また、高周波電源84のパワーは500〜1500W程度である。
そして、サセプタ52およびシャワーヘッド60の温度は、そのまま維持した状態で、ゲートバルブGを開にして真空状態のウエハ搬送室1から搬送装置12のブレード14aまたは14bにより搬入出口92を介してウエハWをチャンバー51内へ搬入し、サセプタ52から突出したウエハ支持ピン89の上に載せる。ブレード14aまたは14bをウエハ搬送室1へ戻し、ゲートバルブGを閉じ、ウエハ支持ピン89を下降させてサセプタ52上にウエハWを載置する。
この状態でウエハWに対するTi膜の成膜を開始する。この場合に、従来は、シャワーヘッド60にヒーターが存在せず、シャワーヘッド60はサセプタ52により間接的に加熱されていたため、シャワーヘッド60にプリコートしたTi膜が剥がれない450℃以上を確保するためには、サセプタ52の温度を550℃以上程度にする必要があった。この条件ではSiやCoSi上への成膜の場合には問題がなかったが、近時種々のアプリケーションへの適用が検討されており、より低温での成膜が望まれている。例えば、ロジックコンタクトとして注目されているNiSiを下地とした場合には成膜温度が450〜500℃程度に制限されるため、従来のCVD−Ti成膜条件では適用が困難であった。キャパシタ膜やLow−k膜、さらにはAl膜の上への適用も考えられるが、この場合にもやはり成膜温度500℃以下が必要であり、従来の条件では適用が困難であった。
これに対して、上記Ti膜成膜装置3においては、このようにヒーター96によりシャワーヘッド60を加熱することができるので、サセプタ52の温度に関わらずシャワーヘッド60を膜剥が生じない450℃以上にすることができる。したがって、下地膜がNiSiやLow−k膜等の500℃より低い低温成膜が必要な材料であっても膜剥がれを生じさせることなくTi膜を成膜することが可能である。したがって、比抵抗が低く膜質の良いTi膜を成膜することができる。
実際に、シャワーヘッド60内のヒーター96での加熱による温度制御あり(450℃以上)の場合となしの場合とで、サセプタ設定温度とSiO2膜上に形成されたTi膜の比抵抗との関係を求めた結果、図5に示すように、ヒーター96によりシャワーヘッド60の温度を450℃以上に制御することにより、比抵抗が低い良質なTi膜が形成されることが確認された。
実際のTi成膜は、上記のようにウエハWをサセプタ52に載置した後、以下に説明する第1および第2の実施形態により実施される。
まず、第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、ヒーター55およびヒーター96をプリコートの際と同様の条件に維持し、図6のタイミングチャートに示すように、最初に、高周波電源84からシャワーヘッド60に高周波電力を印加しつつ、TiCl4ガス供給源72、第1のArガス供給源73、H2ガス供給源74、第2のArガス供給源76からTiCl4ガス、Arガス、H2ガスを供給しこれらのガスのプラズマ(第1のプラズマ)を生成し、これを4〜8秒間維持する第1ステップを行う。次いで、TiCl4ガスのみを停止し、高周波電力およびArガス、H2ガスをそのままとして、Arガス、H2ガスのプラズマ(第2のプラズマ)による還元処理である第2ステップを2〜30秒間行う。これら第1ステップおよび第2ステップを交互に複数回、好ましくは3回以上、例えば12〜24回程度繰り返す。このときのガスの切替は、コントローラ98によりバルブを切り替えることにより行われる。また、このようなガスの切替によりプラズマの状態が変化するが、コントローラ106からの指令に基づいて電子整合式マッチングネットワーク100が自動的にかつプラズマの変化に追従してプラズマインピーダンスを伝送路インピーダンスに整合させるので、良好なプラズマ状態が維持される。このようにして、所定の厚さのTi膜が成膜される。この際のガス流量は、TiCl4ガス:0.01〜0.02L/min(10〜20sccm)、H2ガス:1.5〜4.5L/min(1500〜4500sccm)、Arガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)程度であり、圧力は400〜1000Pa程度である。また、高周波電源84のパワーは500〜1500W程度である。
このように、TiCl4ガス+Arガス+H2ガス+プラズマにより成膜を行う第1ステップと、Arガス+H2ガス+プラズマにより還元を行う第2ステップとを比較的短時間に交互に複数回行うので、TiCl4を還元する還元作用が高まり、Ti膜中の残留塩素濃度を少なくすることができる。特に、ウエハ温度450℃以下の低温の際にTi膜中への塩素の残留が多くなるが、そのような低温であっても、本実施形態のシーケンスを用いることにより、残留塩素濃度を低くして、比抵抗の低い良好な膜質を得ることができる。
このようにしてTi膜の成膜後、窒化処理が行われる。この窒化処理は、高周波電力およびガスの供給を停止してTi成膜が終了した後、図6に示すように、高周波電源84からシャワーヘッド60に高周波電力を印加しつつ、第1のArガス供給源73、H2ガス供給源74、NH3ガス供給源75、第2のArガス供給源76からArガス、H2ガス、NH3ガスを供給し、これらガスのプラズマによりTi膜表面を窒化させる。この処理の時間は30〜60秒間程度である。また、この際のガス流量は、H2ガス:1.5〜4.5L/min(1500〜4500sccm)、Arガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)程度、NH3ガス:0.5〜2.0L/min(500〜2000sccm)程度であり、圧力は400〜1000Pa程度である。また、高周波電源64のパワーは500〜1500W程度である。
このような窒化処理を行うことにより、Ti膜の酸化等による劣化を防止するとともに、次に成膜されるTiN膜との密着性を良好にすることができる。ただし、この窒化処理は必須なものではない。
次に、実際にこのような第1の実施形態に基づいてTi膜成膜を行った場合と、従来の方法でTi膜成膜を行った場合とを比較した結果について説明する。ここでは、両方ともサセプタ温度を500℃としSiの上に厚さ10nmのTi膜を成膜し、比抵抗を測定した。第1の実施形態のサンプルでは第1ステップを4秒、第2ステップを4秒のサイクルを16回繰り返してTi膜とした。その結果、図7に示すように、従来の方法で成膜したTi膜の場合には残留塩素の影響で比抵抗が280μΩ・cmと高かったが、第1の実施形態で成膜したTi膜は225μΩ・cmと比抵抗が低下した。
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、ヒーター55およびヒーター96をプリコートの際と同様の条件に維持し、図8のタイミングチャートに示すように、最初に、高周波電源84からシャワーヘッド60に高周波電力を印加しつつ、TiCl4ガス供給源72、第1のArガス供給源73、H2ガス供給源74、第2のArガス供給源76から、TiCl4ガス、Arガス、H2ガスを供給しこれらのガスのプラズマ(第1のプラズマ)を生成し、これを4〜8秒間維持する第1ステップを行う。次いで、Arガス、H2ガスをそのまま維持し、TiCl4ガスを停止するとともに高周波電力を停止し、NH3ガス供給源75からのNH3ガスの供給を開始し、かつ高周波電力の供給を再開して、Arガス、H2ガス、NH3ガスのプラズマ(第2のプラズマ)による還元・窒化処理である第2ステップを4〜8秒間行う。これら第1ステップおよび第2ステップを交互に複数回、好ましくは3回以上、例えば12〜24回程度繰り返す。このときのガスの切替は、コントローラ98によりバルブを切り替えることにより行われる。また、このようなガスの切替によるプラズマの状態の変化に対応して、コントローラ106からの指令に基づいて電子整合式マッチングネットワーク100が自動的にかつプラズマの変化に追従してプラズマインピーダンスを伝送路インピーダンスに整合させる。このようにして、所定の厚さのTi膜が成膜される。この際のガス流量は、TiCl4ガス:0.01〜0.02L/min(10〜20sccm)、H2ガス:1.5〜4.5L/min(1500〜4500sccm)、NH3ガス:0.5〜2.0L/min(500〜2000sccm)、Arガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)程度であり、圧力は400〜1000Pa程度である。また、高周波電源84のパワーは500〜1500W程度である。
このように、TiCl4ガス+Arガス+H2ガス+プラズマにより成膜を行う第1ステップと、NH3ガス+Arガス+H2ガス+プラズマにより還元および窒化を行う第2ステップとを比較的短時間に交互に複数回行うので、TiCl4を還元する還元作用が高まり、また、Ti膜の窒化を効果的に行ってTi膜の劣化を防止することができるので、塩素等の残留物を低減することができ、比抵抗の低い良質なTi膜を得ることができる。特に、ウエハ温度450℃以下の低温の際にTi膜中への塩素の残留が多くなるが、そのような低温であっても、本実施形態のシーケンスを用いることにより、残留塩素濃度を低くして、比抵抗の低い良好な膜質を得ることができる。
なお、本実施形態では、第2ステップにおけるNH3ガスの量および第2ステップの時間を制御することにより、Ti/TiN膜を形成することもできる。すなわち、NH3ガスの供給量が少ないか、または第2ステップの時間が短い場合には、窒化は補助的であり、形成された膜はTi膜として機能するが、NH3ガスの供給量が多いか、または第2ステップの時間が長い場合には、十分な量のTiN膜を形成することができ、Ti膜とTiN膜とが交互に積層された積層膜とすることができる。このような積層膜は、Ti/TiN膜として機能させることができ、1種類の装置でTi/TiN膜を成膜することができることとなる。この場合には、TiN膜成膜装置4は不要であるか、必要であっても補助的なものとなる。
次に、実際にこのような第2の実施形態に基づいてTi膜成膜を行った場合と、従来の方法でTi膜成膜を行った場合とを比較した結果について説明する。ここでは、両方ともサセプタ温度を500℃としSiの上に厚さ10nmのTi膜を成膜し、比抵抗を測定した。第2の実施形態のサンプルでは第1ステップを4秒、第2ステップを4秒のサイクルを16回繰り返してTi膜とした。その結果、図9に示すように、従来の方法で成膜したTi膜の場合には残留塩素の影響で比抵抗が280μΩ・cmと高かったが、第2の実施形態で成膜したTi膜は130μΩ・cmと比抵抗が著しく低下した。ただし、この場合には第2ステップの時間が長かったため、TiN膜も若干形成されたものと考えられる。したがって、第2の実施形態に基づくサンプルの比抵抗は、TiN膜が形成されたことによる低下分も多少含んでいたものと考えられる。
次に、TiN膜成膜装置4について説明する。
図10は、TiN膜成膜装置4を示す断面図である。このTiN膜成膜装置4は、プラズマ生成手段およびシャワーヘッドを加熱する手段が存在せず、ガス供給機構のガス系が多少異なる以外は、ほぼTi膜成膜装置3と同一の構成を有しているので、ガス供給機構以外は、図4と同じ符号を付して説明を省略する。
ガス供給機構110は、クリーニングガスであるClF3ガスを供給するClF3ガス供給源111、Ti含有ガスであるTiCl4ガスを供給するTiCl4ガス供給源112、N2ガスを供給する第1のN2ガス供給源113、窒化ガスであるNH3ガスを供給するNH3ガス供給源114、N2ガスを供給する第2のN2ガス供給源115を有している。そして、ClF3ガス供給源111にはClF3ガス供給ライン116が、TiCl4ガス供給源112にはTiCl4ガス供給ライン117が、第1のN2ガス供給源113には第1のN2ガス供給ライン118が、NH3ガス供給源114にはNH3ガス供給ライン119が、第2のN2ガス供給源115には第2のN2ガス供給ライン120が、それぞれ接続されている。また、図示しないがArガス供給源も有している。そして、各ガス供給ラインにはマスフローコントローラ122およびマスフローコントローラ122を挟んで2つのバルブ121が設けられている。
シャワーヘッド60の第1のガス導入口61にはTiCl4ガス供給源112から延びるTiCl4ガス供給ライン117が接続されており、このTiCl4ガス供給ライン117にはClF3ガス供給源111から延びるClF3ガス供給ライン116および第1のN2ガス供給源113から延びる第1のN2ガス供給ライン118が接続されている。また、第2のガス導入口62にはNH3ガス供給源114から延びるNH3ガス供給ライン119が接続されており、このNH3ガス供給ライン119には、第2のN2ガス供給源115から延びる第2のN2ガス供給ライン120が接続されている。したがって、プロセス時には、TiCl4ガス供給源112からのTiCl4ガスが第1のN2ガス供給源113からのN2ガスとともにTiCl4ガス供給ライン117を介してシャワーヘッド60の第1のガス導入口61からシャワーヘッド60内に至り、ガス通路63,65を経て吐出孔67からチャンバー51内へ吐出される一方、NH3ガス供給源114からの窒化ガスであるNH3ガスが第2のN2ガス供給源115からのN2ガスとともにNH3ガス供給ライン119を介してシャワーヘッド60の第2のガス導入口62からシャワーヘッド60内に至り、ガス通路64,66を経て吐出孔68からチャンバー51内へ吐出される。すなわち、シャワーヘッド60は、TiCl4ガスとNH3ガスとが全く独立してチャンバー51内に供給されるマトリックスタイプとなっており、これらは吐出後に混合され反応が生じる。なお、バルブ121およびマスフローコントローラ122はコントローラ123によって制御される。
次に、このような装置を用いたTiN膜成膜方法について説明する。
まず、チャンバー51内を排気装置88により引き切り状態とし、第1および第2のN2ガス供給源113および115からN2ガスをシャワーヘッド60を介してチャンバー51内に導入しつつ、ヒーター55によりチャンバー51内を予備加熱する。温度が安定した時点で、第1のN2ガス供給源113、NH3ガス供給源114およびTiCl4ガス供給源112からそれぞれN2ガス、NH3ガスおよびTiCl4ガスをシャワーヘッド60を介して所定流量で導入し、チャンバー内圧力を所定値に維持しつつプリフローを行う。そして、ガス流量および圧力を同じに保ったまま、ヒーター55による加熱によりチャンバー51内壁、排気室86内壁およびシャワーヘッド60等のチャンバー内部材表面にTiN膜をプリコートする。
プリコート処理が終了後、NH3ガスおよびTiCl4ガスを停止し、第1および第2のN2ガス供給源113および115からN2ガスをパージガスとしてチャンバー51内に供給してチャンバー51内のパージを行い、その後、必要に応じて、N2ガスおよびNH3ガスを流し、成膜したTiN薄膜の表面のナイトライド処理を行う。
その後、排気装置88によりチャンバー51内を急激に真空排気して引き切り状態とし、ゲートバルブGを開にして、真空状態のウエハ搬送室1からウエハ搬送装置12により搬入出口92を介してウエハWをチャンバー51内へ搬入する。そして、チャンバー51内にN2ガスを供給してウエハWを予備加熱する。ウエハの温度がほぼ安定した時点で、TiN膜の成膜を開始する。
TiN膜の成膜は、以下に説明する第1、第2の実施形態により実施される。 第1の実施形態においては、まず、N2ガス、NH3ガスをシャワーヘッド60を介して所定流量で導入し、チャンバー内圧力を所定値に維持しつつTiCl4ガスのプリフローを行う。そして、ガス流量およびチャンバー51内の圧力を同じに保ったまま、TiCl4ガスをチャンバーに導入する。この際に、ウエハWはヒーター55により加熱されているから、熱CVDによりウエハWのTi膜上にTiN膜が成膜される。このようにして、所定時間N2ガス、NH3ガス、TiCl4ガスを流すことにより、所定の厚さのTi膜が成膜される。この際のガス流量は、TiCl4ガス:0.03〜0.10L/min(30〜100sccm)、N2ガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)、NH3ガス:0.03〜1L/min(30〜1000sccm)程度であり、圧力は200〜10000Pa程度である。この際のウエハWの加熱温度は400〜700℃程度、好ましくは500℃程度である。
成膜工程終了後、NH3ガスおよびTiCl4ガスを停止し、図示しないパージガスラインからN2ガスをパージガスとして好ましくはそれぞれ0.5〜10L/minの流量で流して、チャンバー51内のパージを行い、その後、N2ガスおよびNH3ガスを流し、ウエハWに成膜したTiN薄膜の表面のナイトライド処理を行う。この際のN2ガスの供給は、第1および第2のN2ガス供給源113および115のいずれか、または両方から行われる。なお、このナイトライド処理は必須なものではない。
所定時間経過後、N2ガスおよびNH3ガスを徐々に停止し、これらのガスの供給が完全に停止された時点で成膜プロセスを終了する。
次に、TiN成膜の第2の実施形態について説明する。ヒーター55によるウエハWの温度を上記と同様400〜700℃程度に維持し、図11のタイミングチャートに示すように、最初に、TiCl4ガス供給源112、NH3ガス供給源114から、TiCl4ガス、NH3ガスを、第1および第2のN2ガス供給源113,115からのN2ガスにキャリアさせてチャンバー51内に供給し、熱CVDによりTiN膜を成膜する第1ステップを2〜8秒間行う。次いで、TiCl4ガス、NH3ガスを停止し、図示しないパージガスラインからパージガスとしてN2ガスをチャンバー51内に導入し、チャンバー51内のパージを0.5〜20秒間行う。その後、NH3ガス供給源114からNH3ガスを、第2のN2ガス供給源115からのN2ガスにキャリアさせてチャンバー51内に供給してアニールを行う第2ステップを0.5〜8秒間行う。次いで、NH3ガスを停止し、図示しないパージガスラインからパージガスとしてN2ガスをチャンバー51内に導入し、チャンバー51内のパージを0.5〜20秒間行う。以上の工程を1サイクルとして複数サイクル、好ましくは3サイクル以上、例えば12〜24回程度繰り返す。このときのガスの切替は、コントローラ123によりバルブを切り替えることにより行われる。
このように交互的なガスフローを行うことにより、第1ステップで成膜されたTiN膜が第2ステップのアニールにより効率的に脱Clされ、膜中の残留塩素を著しく低くすることができ、低温成膜であっても残留塩素の少ない良質のTiN膜を成膜することができる。
以上のいずれのTiN膜を形成した場合でも、下地のTi膜が上述したような第1の実施形態または第2の実施形態に示した交互的なガスフローを用いたプロセスで成膜されていることから、Ti膜とTiN膜との間の膜剥がれがほとんど生じない状態とすることができ、Ti/TiN膜全体の膜質も従来よりも良好なものとなる。なお、Ti膜を従来のガスフローで成膜した場合には、TiN膜をいずれの方法で成膜しても、Ti膜とTiN膜との間の膜剥がれが頻発してしまう。
次に、以上のような工程により、実際にプリクリーニング、Ti膜成膜、TiN膜成膜を図1の成膜システムによりin situで行って製造されたサンプルの膜剥がれの有無を調査した。この際のサンプルとしては、Ti膜を上記第1および第2の実施形態で形成し、その上にTiN膜をそれぞれ上記2つの方法で成膜したものを用いた。その際の条件を表1および表2に示す。なお、比較のため、Ti成膜を従来のTi膜成膜の際の条件(表1に併記)で行った後に、TiN成膜を行ったサンプルについても膜剥がれの有無を調査した。膜剥がれは、目視観察および変色(膜剥がれが生じている部分は変色している)によって把握した。
その結果、Ti膜成膜を上記第1および第2の実施形態の範囲の上記条件で行ったものは、いずれの方法でTiN膜を成膜しても目視による膜剥がれおよび変色が全く見られず、膜剥がれが全く生じていないことが確認された。これに対してTi膜を従来の方法で成膜した場合には、いずれの方法でTiN膜を成膜しても膜剥がれおよび変色が確認された。また、Ti膜成膜を上記第1および第2の実施形態の範囲の上記条件で行ったTi/TiN膜サンプルは従来のものよりも電気抵抗が低く、膜質が良好であることが確認された。
次に、上記TiN膜成膜装置4を用いずに、Ti膜成膜装置3のみで、Ti/TiN膜を形成する方法について図4を参照しながら説明する。
ここでは、ヒーター55およびヒーター96をプリコートの際と同様の条件に維持し、図12のタイミングチャートに示すように、最初に、高周波電源84からシャワーヘッド60に高周波電力を印加しつつ、TiCl4ガス供給源72、第1のArガス供給源73、H2ガス供給源74、第2のArガス供給源76からTiCl4ガス、Arガス、H2ガスを供給しこれらのガスのプラズマ(第1のプラズマ)を生成し、これを4〜8秒間維持する第1ステップを行う。次いで、TiCl4ガスのみを停止し、高周波電力およびArガス、H2ガスをそのままとして、Arガス、H2ガスのプラズマ(第2のプラズマ)による還元処理である第2ステップを2〜30秒間行う。これら第1ステップおよび第2ステップを交互に複数回、好ましくは3回以上、例えば12〜24回程度繰り返してまずTi膜を成膜する。この際のガス流量は、TiCl4ガス:0.01〜0.02L/min(10〜20sccm)、H2ガス:1.5〜4.5L/min(1500〜4500sccm)、Arガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)程度であり、圧力は400〜1000Pa程度である。また、高周波電源84のパワーは500〜1500W程度である。
このようにしてTi膜の成膜後、引き続いてTiN膜の成膜が行われる。このTiN膜の成膜は、高周波電力およびガスの供給を停止してTi成膜が終了した後、ヒーター55によりサセプタ52を450〜550℃に加熱するとともに、ヒーター96によりシャワーヘッド60を450℃以上の温度、例えば470〜490℃程度に加熱する。そして、図12に示すように、最初に、高周波電源84からシャワーヘッド60に高周波電力を印加しつつ、TiCl4ガス供給源72、第1のArガス供給源73、H2ガス供給源74、第2のArガス供給源76から、TiCl4ガス、Arガス、H2ガスを供給しこれらのガスのプラズマ(第3のプラズマ)を生成し、これを4〜12秒間維持する第3ステップを行う。次いで、Arガス、H2ガスをそのまま維持し、TiCl4ガスを停止するとともに高周波電力を停止し、NH3ガス供給源75からのNH3ガスの供給を開始し、かつ高周波電力の供給を再開して、Arガス、H2ガス、NH3ガスのプラズマ(第4のプラズマ)による還元・窒化処理である第4ステップを2〜30秒間行う。これら第3ステップおよび第4ステップを交互に複数回、好ましくは3回以上、例えば12〜24回程度繰り返してTi膜の上にTiN膜を形成する。この際のガス流量は、TiCl4ガス:0.01〜0.02L/min(10〜20sccm)、H2ガス:1.5〜4.5L/min(1500〜4500sccm)、NH3ガス:0.5〜1.5L/min(500〜1500sccm)、Arガス:0.8〜2.0L/min(800〜2000sccm)程度であり、圧力は400〜1000Pa程度である。また、高周波電源84のパワーは500〜1500W程度である。
このときのガスの切替は、コントローラ98によりバルブを切り替えることにより行われる。また、このようなガスの切替によるプラズマの状態の変化に対応して、コントローラ106からの指令に基づいて電子整合式マッチングネットワーク100が自動的にかつプラズマの変化に追従してプラズマインピーダンスを伝送路インピーダンスに整合させる。
このように、TiCl4ガス+Arガス+H2ガス+プラズマにより成膜を行う第1ステップと、Arガス+H2ガス+プラズマにより還元を行う第2ステップとを比較的短時間に交互に複数回行ってTi膜を成膜し、引き続き、TiCl4ガス+Arガス+H2ガス+プラズマにより成膜を行う第3ステップと、NH3ガス+Arガス+H2ガス+プラズマにより還元および窒化を行う第4ステップとを比較的短時間に交互に複数回行ってTiN膜を成膜するので、Ti化合物を還元する還元作用が高まり、かつ効果的に窒化を行うことができる。このため、Ti膜中の残留塩素濃度を少なくすることができる。特に、ウエハ温度450℃以下の低温の際にTi膜やTiN膜中への塩素の残留が多くなるが、そのような低温であっても、本実施形態のシーケンスを用いることにより、残留塩素濃度を低くして、比抵抗の低い良好な膜質のTi/TiN積層構造を得ることができる。また、従来は2種類の成膜装置が必要だったTi/TiN積層構造を1つの成膜装置で連続的に成膜することができるので極めて効率的である。
第3ステップおよび第4ステップで、良好なTiN膜を得るためには、第3ステップで成膜したTi膜を第4ステップにおいて確実に窒化する必要があるが、そのためにNH3ガス流量および第4ステップの時間を調整することが好ましい。特に、第4ステップの時間を第3ステップの時間以上に設定することが好ましい。
このようにして1種類の成膜装置でTi/TiN膜を成膜することができるので、この方法を用いる場合には、TiN膜成膜装置4は不要である。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態ではTi膜を成膜する場合について示したが、本発明はこれに限らず、プラズマCVDで成膜される他の膜に対しても有効である。また、Ti化合物はTiCl4に限らずTiF4やTiI4等の他のハロゲン化合物や、その他の化合物を用いることができる。還元ガスもH2に限るものではない。NとHとを含むガスもNH3ガスに限らず、N2とH2との混合ガス等を用いることができる。さらにまた、上記実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを用いたが、これに限らず例えば液晶表示装置(LCD)用基板等の他のものであってもよい。