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JP4110259B2 - 銅含有鉄粉の製法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,銅含有鉄粉の製法に係り,特に有機ハロゲン化合物の分解剤として好適な銅含有鉄粉の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリクロロエチレン等の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌や地下水を浄化する技術開発が進んでいるが,その基本は,分解能が高く且つ無害の有機ハロゲン化合物分解剤を使用することにある。その代表的な分解剤の例として鉄粉がある。例えば同一出願人に係る特開平11−235577号公報において,トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物で汚染された土壌に対して比表面積が500cm2/g以上でC(炭素)を0.1重量%以上含有する鉄粉を混合すると,該土壌中のトリクロロエチレンなどを効果的に分解できると教示している。
【0003】
同じく同一出願人に係る特開2000−5470号公報には有機塩素化合物で汚染された土壌または地下水に銅含有鉄粉を添加混合すると有機塩素化合物を効率良く分解できると記載されており,銅を含有する鉄粉は銅を含有しない鉄粉よりも,有機塩素系化合物の分解速度が速くなることが明らかとなった。この銅含有鉄粉についてさらに研究を進め,特願2000−257796号では,銅含有鉄粉中の銅の含有形態を改善することにより,一層効率よく有機ハロゲン化合物が分解できることを開示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は,特願2000−257796号に提案した銅含有鉄粉からなる有機ハロゲン化合物分解剤を有利に製造しようとする点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,鉄粉に銅含有粉を混合し,この混合物に酸を添加し,ついで液分を分離することからなる銅含有鉄粉の製法を提供する。より具体的には,50重量%が150μmのふるいを通過する粒度を有する海綿状鉄粉と,平均粒径が10μm以下の銅含有粉とを混合し,次いで酸を添加して攪拌し,液分を分離することからなる有機ハロゲン化合物分解用の銅含有鉄粉の製法を提供する。ここで,銅含有粉は,酸化銅粉,塩化銅粉,硝酸銅粉,硫化銅粉,塩化アンモニウム銅粉またはこれらの水和物から選ばれる少なくとも1種であることができ,銅含有鉄粉中の銅含有量は0.01〜20重量%であるのが好ましい。
【0006】
この製法によって,鉄を主成分とする海面状粒子の表層部に銅が部分的に分布し,鉄と銅の両者が表面に顕れている粒子からなる有機ハロゲン化合物分解剤を得ることができる。この分解剤は,多孔質な鉄粒子の表面に銅が部分的に存在し,鉄と銅が同時に表面に顕れているので,水の存在下で,有機ハロゲン化合物の分解反応が効率よく進行する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の銅含有鉄粉の製法は,要するところ,鉄粉と銅含有粉とを,該鉄粉粒子表面近傍に銅含有粉が均一に存在するように機械的に混合する工程(換言すれば鉄粉の粒子表面に銅含有粉を付着させるか鉄粉の粒子表面近傍に銅含有粉を配置する工程)と,次いで,酸を添加して銅含有粉を金属銅として鉄粉表面に析出させる工程と,必要に応じて液分を分離する工程とからなる。
【0008】
使用する鉄粉としては,特開平11−235577号公報に記載されているのと同様の鉄粉を用いるのがよい。すなわち,50重量%が150μmのふるいを通過する粒度を有し且つ比表面積が500cm2/g以上である海綿状の鉄粉を使用することができる。このような鉄粉としては,同和鉄粉工業株式会社製の商品名E−200が挙げられる。
【0009】
鉄粉の粒子表面に銅を接合する方法として,本発明では銅含有粉を原料として使用し,このものを該鉄粉の表面に先ず機械的に付着させてから,酸を添加して化学的に接合させる。銅原料としての銅含有粉は,平均粒径が10μm以下の酸化銅粉(酸化第一銅または酸化第二銅)または塩化銅粉が好適であり,さらに硝酸銅粉,硫化銅粉,塩化アンモニウム銅粉もしくはそれらの水和物等であって常温で固体のものが好ましい。
【0010】
鉄粉の粒子表面に銅含有粉を機械的に付着させるには,各種の攪拌機(ミキサー)等を用いて鉄粉と銅含有粉とを機械的に混合するのが便利である。とくに,攪拌軌跡がサイクロイド曲線を描くような攪拌機を用いるのがよい。サイクロイド曲線をもつ攪拌は,例えば公転するインペラーを用いた攪拌によって実現できる。たのような機械的混合によって,鉄粉に銅含有粉を均一に混ぜ合わせると共に,銅含有粉の薄い皮膜を鉄粉の各粒子の表面に付着させるか,もしくは各鉄粒子の近傍に銅含有粉を配置させる。このためには,銅含有粉が微粉であればあるほど好都合であり,海綿状鉄粒子にその微粉が付着または配置されやすくなり且つ酸に溶けやすくなる。銅含有粉の配合量としては,最終の銅含有鉄粉における鉄に対しての銅の重量割合で銅含有量が0.01〜20重量%の範囲となるようにすればよい。
【0011】
機械的攪拌によって,鉄粒子の表面に銅含有粉が付着した複合粉が得られたら,この複合粉に酸を添加して掻き混ぜる。酸の添加は,機械的混合に用いた攪拌機内で行ってもよいが,別の攪拌機内に該複合粉を移行させて,酸の添加と掻き混ぜを行ってもよい。実際には,加熱手段付の攪拌機内で酸の添加と掻き混ぜを行うのが,後の液分の分離のためには都合がよい。酸としては,用いる銅含有粉の溶解度が高いものが好ましいが,工業的には硫酸を使用するのが適当である。酸の濃度は特に限定されないが,0.2〜30%の水溶液を使用するのがよい。
【0012】
鉄粒子表面に銅含有粉が付着した複合粉に酸を添加すると,銅含有粉が溶解すると同時に銅が鉄粉表面に析出して,鉄粒子表面に銅が接合した銅含有鉄粉になる。特に海綿状鉄粒子に銅含有粉が付着した複合粉の場合には,酸の添加によって,海綿状鉄粒子の所々に銅が析出した銅含有鉄粉が得られる。残存する液分は加熱蒸発や真空蒸発などの乾燥処理を行うことにより除去できる。とくに鉄と銅の両者が粒子表面に露出している銅被着鉄粉は,有機ハロゲン化合物の分解能力が非常に高い。すなわち,非常に大きな表面積をもつ鉄粒子の表面に銅が部分的に存在することにより鉄と銅の両者が表面に顕れていると,有機ハロゲン化合物の分解を著しく促進することができる。
【0013】
本発明によって得られる銅含有鉄粉は,有機ハロゲン化合物の分解用として使用される場合には,その粒子の形状構造的な特徴として,粒内に貫通孔を有した,好ましくは比表面積300cm2/g以上を示すポーラスな粒子であること,そして,その大きさも50重量%が150μmのふるいを通過するようなものであること,さらには組成的な特徴として,鉄を主成分とする粒子の表層部に銅が部分的に存在し且つ鉄と銅の両者が表面に顕れている粒子からなること,そして銅含有量は好ましくは0.01〜20重量%であること,が望ましい。
【0014】
この場合,粒子の表面に顕れている鉄と銅は,両者または一方が金属である場合が理想的であるが,必ずしも金属鉄と金属銅である必要はなく,鉄の酸化物,銅の酸化物の層が存在していても,有機ハロゲン化合物の分解反応は十分に速く進行する。その理由については必ずしも明らかではないが,金属鉄,第一鉄イオン,金属銅および第一銅イオンなどの標準電極電位が互いに相違することにより,この粒子が水と接触したときに,粒子の表面では幾種類もの局部電池や酸化還元反応が生成してイオン・電子の移動が生じ,このことが鉄粉による有機ハロゲン化合物の分解機能(脱ハロゲン反応や脱ハロゲン化水素置換反応)を助成するのではないかと考えられる。
【0015】
鉄中の銅含有量は0.01〜20重量%であればよく,銅含有量が0.01重量%未満では銅存在の効果が殆んど現れず,逆に20重量%を超えると,鉄量が相対的に低くなり,鉄が表面に存在する割合も低下して好ましくない。代表的な鉄中の銅含有量は0.01〜8重量%,好ましくは0.05〜5重量%,さらに好ましくは0.05〜3重量%である。銅を含有する鉄粒子は0.1重量%以上5重量%以下の炭素を含有していることが好ましい。
【0016】
本発明に従って製造した銅含有鉄粉は,各種の有機ハロゲン化合物の分解に適する。例えばジクロロメタン,四塩化炭素,1,2-ジクロロエタン, 1,1-ジクロロエチレン, シス-1,2-ジクロロエチレン, 1,1,1-トリクロロエタン, 1,1,2-トリクロロエタン, トリクロロエチレン, テトラクロロエチレン, 1,3-ジクロロプロペン,トランス-1,2-ジクロロエチレン, トリハロメタン,PCB,ダイオキシンを分解することができる。
【0017】
したがって,このような有機ハロゲン化合物で汚染された地下水を対象として,本発明に従う銅含有鉄粉からなる分解剤で浄化処理を行う場合には,浄化処理のための反応壁を地中に造成,この地中反応壁に本発明に従う分解剤を装填するのがよい。地中に造成する反応壁は地下水が銅含有鉄粉と接することができるように設置するが,それには,汚染を受けている土壌深部の地下水の易透過層をカバーするように,そして易透過層下方に位置する難透過層にまで反応壁下縁が達するか,または埋設されるように該反応壁を地中に設置するのがよく,また,反応壁の透水係数が近隣の土質と比較して同じレベルか,若しくはそれより高くなるように透水性の良好な反応壁に構成するのが好ましい。このため,例えば透水性の砂質材料等を母材とし,この母材中に銅含有鉄粉を0.1〜30重量%程度の範囲で分散させた反応壁を地中に造成するのがよい。
【0018】
反応壁の造成は,連続した壁体とすることもできるが,柱状のものを複数本連接させたり,間隔を開けて(例えば平面的に見たときに円柱状の反応層を千鳥状に配置する)たて込むなどの処法でもよく,このような柱状の埋設物の施設はボーリングマシーン等を利用して行うことができる。いずれにしても,本発明に従う銅含有鉄粉を使用する場合は,単に鉄粉を使用する場合に比べると,分解反応効率が格段に良好であるので,反応壁の厚み等の規模は半減若しくはそれ以下としても同等の効果をあげることができる。
【0019】
このような反応壁を造成することのほか,従来の鉄粉を使用する方法と同じような手段により,有機ハロゲン化合物で汚染された土壌や地下水を浄化することができる。例えば,掘削後の土壌に対し,土壌改良機やバックホーなどの重機を用いて,本発明に従う銅含有鉄粉を混合する方法や,汚染されたサイト付近に本発明の銅含有鉄粉を配置し,この分解剤表面に汚染土壌や地下水を拡散濃縮させる方法などが有利に採用できる。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕
比表面積がほぼ20000cm2/g,炭素含有量が0.2重量%の鉄粉であって,その50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度を有する鉄粉(同和鉄粉工業株式会社製の商品名E−200)100gと,酸化銅粉(日興ファインケミカルズ株式会社製のCuO粉)1.27g(Cu 0.8gに相当)を,容量300ミリリットルのサンプルミキサー(イカリ状のインペラーを有するもの)に装填した。
【0021】
両者を装填したあと1分間の攪拌を行った時点で,攪拌を続けながら,1モル/リットルの硫酸5ミリリットルを該ミキサーに添加し,20秒間攪拌を続けた。その後,ミキサーから内容物を取出し,乾燥炉で105℃に保持して液分を蒸発分離した。
【0022】
得られた粉体0.5gをイオン交換水50ミリリットルと共に,容量100ミリリットルのパイアル瓶に入れ,フッ素樹脂(登録商標テフロン)コーテングを施したブチルゴムのセプタムとアルミキャップで密封した。この密封瓶を3セット用意した。
【0023】
次いで,各々の密封瓶内に,ジクロロメタン(DCM),シス−ジクロロエチレン(cis-DCE) ,パークロロエチレン (PCE)を,それぞれ1μリットルづつ,マイクロシリンジを用いて注入し,試験期間15日まで,各有機ハロゲン化合物の濃度を経日的に追跡し,分解速度定数と半減期を求めた。それらの結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
Figure 0004110259
【0025】
〔実施例2〕
酸化銅粉に代えて,塩化銅粉(CuCl22H2O)を2.75g(Cu 0.8gに相当) を使用した以外は,実施例1を繰り返した。有機ハロゲン化合物としてシス−ジクロロエチレン(cis-DCE) を用いて,実施例1と同様の試験を行った。その結果を表2に示した。
【0026】
【表2】
Figure 0004110259
【0027】
〔実施例3〕
本例は,実施例1の試験を実操業規模にスケールアップしたものである。すなわち,比表面積がほぼ20000cm2/g,炭素含有量が0.2重量%の鉄粉であって,その50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度を有する鉄粉(同和鉄粉工業株式会社製の商品名E−200)800Kgと,平均粒径7μmの酸化銅粉10Kgを,有効攪拌容積が400リットルの万能混合攪拌機に装填し,インペラーを公転させながらインペラーを回転させてサイクロイド曲線の攪拌軌跡が発生するようにして,30分攪拌を行った。ついで,攪拌を続けながら,1モル/リットルの硫酸40Kgを該攪拌機内に添加し,30分間攪拌を続けた。その後,攪拌機内の材料温度が105℃となるように保って攪拌を続け,液分を機外に排出した。
【0028】
得られた粉体について,実施例1と同様にしてシス−ジクロロエチレン(cis-DCE) ,パークロロエチレン (PCE)の分解試験を行った。その結果を表3に示した。
【0029】
【表3】
Figure 0004110259
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,有機ハロゲン化合物を効率よく分解できる銅含有鉄粉を経済的に且つ操業性よく製造することができる。

Claims (5)

  1. 鉄粉に銅含有粉を機械的に混合して該鉄粉の粒子表面に該銅含有粉を付着させ、この混合物に酸を添加して該鉄粉の粒子表面に銅を化学的に接合させ、ついで液分を分離することからなる銅含有鉄粉の製法。
  2. 50重量%が150μmのふるいを通過する粒度を有し且つ比表面積が500cm 2 /g以上の海綿状鉄粉と、平均粒径が10μm以下の銅含有粉とを機械的に混合して該鉄粉の粒子表面に該銅含有粉を付着させ、次いで酸を添加して撹拌して該鉄粉の粒子表面に銅を化学的に接合させ、液分を蒸発分離することからなる有機ハロゲン化合物分解用の銅含有鉄粉の製法。
  3. 銅含有鉄粉は、鉄を主成分とする海綿状粒子の表層部に銅が部分的に分布し、鉄と銅の両者が表面に顕れている粒子からなる請求項2に記載の製法。
  4. 銅含有量が0.01〜20重量%である請求項2または3に記載の製法。
  5. 銅含有粉は、酸化銅粉、塩化銅粉、硝酸銅粉、硫化銅粉、塩化アンモニウム銅粉またはこれらの水和物から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の銅含有鉄粉の製法。
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