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JP4119665B2 - 遮光剤 - Google Patents
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JP4119665B2 - 遮光剤 - Google Patents

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JP4119665B2 JP2002101126A JP2002101126A JP4119665B2 JP 4119665 B2 JP4119665 B2 JP 4119665B2 JP 2002101126 A JP2002101126 A JP 2002101126A JP 2002101126 A JP2002101126 A JP 2002101126A JP 4119665 B2 JP4119665 B2 JP 4119665B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は遮光剤に関するものであり、とりわけ、イミニウム化合物を含んでなる遮光剤と、そのイミニウム化合物の映像表示機器用前面部材における用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高品位テレビ放送の開始に伴って、プラズマディスプレー方式のテレビ受像機の需要が急増している。プラズマディスプレーは気体のプラズマ放電光を利用する映像表示機器であり、ブラウン管に匹敵する色純度を有し、フルカラー化が容易であるうえに、視野角が大きいことから、高品位テレビ放送に対応する大型映像表示機器として開発と量産化が進められている。ところが、内池平樹『映像情報メディア学会誌』、第51巻、第4号、459乃至463頁(1997年)や野崎正平ら『月刊ディスプレー』、第6巻、第4号、72乃至77頁(2000年)などに報告されているように、プラズマディスプレーは、原理上、近赤外線の輻射が避けられず、これらが赤色発光に混じって、色純度の良い、鮮やかな赤色表示が得られなくなったり、赤外線リモコンの誤動作を招来するという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、従来より、プラズマディスプレーの表示部へ近赤外線吸収剤を用いる前面部材を取り付ける方法が提案され、例えば、特開平9−241520号公報には、近赤外線吸収剤としてニッケル錯体系、アゾ系、アントラキノン系の有機色素化合物を用いる前面部材が、また、特開平10−128898号公報には、複素環系、アントラキノン系、ジチオールニッケル錯体系の有機色素化合物を用いる前面部材が提案されている。ところが、これらの有機色素化合物の多くは自然光や人工光などの環境光に対する耐光性や耐環境性が充分でないので、長期間用いると前面部材の遮光能が低下し易いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明は、映像表示機器用前面部材において、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断するとともに、耐光性、耐環境性に優れた遮光剤とその用途を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者がイミニウム化合物に着目して鋭意研究し、検索したところ、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物は近赤外領域に吸収極大を有し、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材に用いると、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断することを見出した。また、斯かるイミニウム化合物は耐光性、耐環境性に優れ、長期間用いても、遮光能が減弱し難い映像表示機器用前面部材を作製し得ることが判明した。
【0006】
すなわち、この発明は、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物を含んでなる遮光剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
【0007】
さらに、この発明は、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物を用いる映像表示機器用前面部材を提供することによって前記課題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
既述のとおり、この発明は、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物を含んでなる遮光剤と、斯かるイミニウム化合物を用いる映像表示機器用前面部材に関するものである。いかなるイミニウム化合物であろうと、それが映像表示機器から輻射される近赤外線を実質的に遮断し得るものであるかぎり、イミニウムカチオンや金属錯体の荷電が一価であるか多価であるかにかかわりなく、この発明において有利に用いることができる。好ましいイミニウム化合物の具体例としては、例えば、一般式1又は一般式2のいずれかで表されるイミニウムカチオンと、対イオンとしての一般式3又は一般式4のいずれかで表されるビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体とからなるものが挙げられる。
【0009】
【化9】
一般式1:
【0010】
【化10】
一般式2:
【0011】
【化11】
一般式3:
【0012】
【化12】
一般式4:
【0013】
一般式1及び一般式2において、R乃至Rは互いに同じか異なる炭化水素基を表す。R乃至Rにおける炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数10までの脂肪族炭化水素基が挙げられ、このうち、溶解性と耐環境性の点で、炭素数3乃至8のものが好ましい。斯かるイミニウムカチオンの具体例としては、例えば、化学式1乃至化学式6で表されるものが挙げられる。
【0014】
【化13】
化学式1:
【0015】
【化14】
化学式2:
【0016】
【化15】
化学式3:
【0017】
【化16】
化学式4:
【0018】
【化17】
化学式5:
【0019】
【化18】
化学式6:
【0020】
一般式3及び一般式4におけるM及びMは金属原子を表し、通常、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀などの周期律表における第3族乃至第12族の遷移金属が選択され、このうち、製造コストと取扱い易さの点で、周期律表における第9族乃至第11族のコバルト、ニッケル及び銅が好ましい。
【0021】
一般式3におけるR及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R及びR10における置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基か、あるいは、チアゾリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピペラジノスルホニル基、N−アルキルピペラジノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、チオモルホリノスルホニル基などの、環状アミン構造を有するスルファモイル基が挙げられ、このうち、後者のスルファモイル基が好ましい。なお、一般式3において、置換基がベンゼン環へ結合する位置は、チオ基に対して、オルト位であってもメタ位であってもよいが、製造コストの点で、メタ位が好ましい。
【0022】
一般式4において、Z乃至Zは互いに同じか異なる芳香環又は複素環を表し、それらの芳香環及び複素環は置換基を1又は複数を有していてもよい。好ましい芳香環は単環式のベンゼン環であり、また、複素環としては、窒素原子、酸素原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれるヘテロ原子を1又は複数含んでなる、例えば、イソオキサゾロン骨格、イミダゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、インダゾロン骨格、インダンジオン骨格、オキサゾロン骨格、チアゾール骨格、ベンゾチアゾール骨格、チオナフテン骨格、テトラヒドロキノリン骨格、バルビツル酸骨格、ヒダントイン骨格、ピラゾロン骨格、ピリジン骨格、ピリドン骨格、ロダニン骨格、ユロリジン骨格を有するものが好ましい。
【0023】
斯かる芳香環及び複素環は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、アニリノ基、ジフェニルアミノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基、ピペラジノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基などのアミノ基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、プロピルスルファモイル基、ジプロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ジイソプロピルスルファモイル基、ブチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基などのアルキルスルファモイル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、さらには、これらの組合わせによる置換基を1又は複数有していてもよい。
【0024】
一般式4におけるA及びAは、金属原子Mへ電子対を供与することによって配位結合を形成し得る、例えば、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などの周期律表における第16族の元素から選ばれる互いに同じか異なるヘテロ原子を表し、それらはZ、Zへ結合した原子団を構成するものであってもよい。この発明のイミニウム化合物を構成するビスフェニルジチオール金属錯体及びアゾ金属錯体としては、例えば、化学式7乃至化学式18で表されるものが挙げられる。
【0025】
【化19】
化学式7:
【0026】
【化20】
化学式8:
【0027】
【化21】
化学式9:
【0028】
【化22】
化学式10:
【0029】
【化23】
化学式11:
【0030】
【化24】
化学式12:
【0031】
【化25】
化学式13:
【0032】
【化26】
化学式14:
【0033】
【化27】
化学式15:
【0034】
【化28】
化学式16:
【0035】
【化29】
化学式17:
【0036】
【化30】
化学式18:
【0037】
この発明のイミニウム化合物は、上記のごときイミニウムカチオンと、対イオンとしてのビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを含んでなるものであり、個々のイミニウム化合物としては、例えば、化学式19乃至化学式26で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、800nmより長波長、好ましくは、波長900乃至1,300nmの近赤外領域に吸収極大を有し、吸収極大波長における分子吸光係数(以下、吸収極大波長における分子吸光係数を「ε」と略記する。)も1×10以上、通常、2×10以上と大きいことから、例えば、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断し、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像が得られ、しかも、赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。加えて、これらのイミニウム化合物は、自然光や人工光などの環境光に対する耐光性が大きいことから、長期間用いても前面部材の遮光能が減弱し難い特徴がある。
【0038】
【化31】
化学式19:
【0039】
【化32】
化学式20:
【0040】
【化33】
化学式21:
【0041】
【化34】
化学式22:
【0042】
【化35】
化学式23:
【0043】
【化36】
化学式24:
【0044】
【化37】
化学式25:
【0045】
【化38】
化学式26:
【0046】
斯かるイミニウム化合物は諸種の方法によって調製できるけれども、経済性を重視するのであれば、所望のイミニウムカチオンを遊離し、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体化合物以外のカチオンを対イオンとするイミニウム化合物と、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかとを通常一般のイオン交換反応へ供する方法が好適である。化学式19乃至化学式26で表されるイミニウム化合物は、いずれも、この方法によって所望量を得ることができる。なお、イオン交換反応へ供するイミニウム化合物と金属錯体は、いずれも、公知の方法によるか、公知の方法に準じて調製することができ、市販品がある場合には、必要に応じて、それを精製したうえで用いればよい。
【0047】
さて、斯かるイミニウム化合物を用いるこの発明の映像表示機器用前面部材について説明すると、この発明の前面部材は、少なくとも、前面部材の主体となる透明基材と、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとする遮光剤としてイミニウム化合物とによって構成される。なお、この発明でいう「遮光剤」とは、斯かる前面部材へ用いることによって、映像表示機器から輻射される近赤外領域の光を実質的に遮断する、吸光性有機化合物又は吸光性有機化合物を含有する組成物を意味するものとする。
【0048】
透明基材としては、全可視領域において、光透過率が50%以上、好ましくは、70%以上の、例えば、ABS樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、さらには、ガラス、セラミックなどが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。これらのうちで、光透過率及び機械的強度の点で、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂が特に好ましい。
【0049】
この発明の映像表示機器用前面部材は、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物を斯かる透明基材へ混合した後、映像表示機器における表示部の形状に応じた、例えば、フィルム状、シート状、パネル状などに形成するか、あるいは、表示部の形状に応じてフィルム状、シート状、パネル状などに形成しておいた透明基材の片面又は両面に密着させて、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物による遮光層を形成する。透明基材の厚みとしては、透明基材の材質や映像表示機器における表示部の面積にもよるけれども、強度の点からは、通常、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上に、一方、重量の点からは、通常、10mm以下、好ましくは、5mm以下の範囲で加減する。映像表示機器によっては、表示部へ透明基材を直接取り付けるのではなく、透明基材を表示部の形状に応じたガラス板などへ一旦貼合し、そのガラス板を映像表示機器の表示部へ取り付けることがある。斯かる場合には、透明基材を厚さが比較的薄い、例えば、フィルム状又はシート状に形成し、その片面へ透明基材をガラス板へ貼合するための粘着層などを形成する。
【0050】
透明基材へイミニウム化合物を混合する前者の方法においては、例えば、透明基材とイミニウム化合物とを溶融混練し、必要に応じて、一旦ペレット状などにした後、押出成形、射出成形、プレス成形などの方法により、映像表示機器における表示部の形状に応じて成形するか、あるいは、透明基材の原料モノマーとイミニウム化合物とを混合し、表示部の形状に応じて注型重合させる。
【0051】
一方、透明基材へ密着させてイミニウム化合物の層を設ける後者の方法においては、例えば、必要に応じて、バインダーを共存させて、イミニウム化合物を、例えば、クロロホルム、シクロヘキサノン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトンをはじめとするケトン系、ハロゲン化炭化水素系、エチレングリコールモノプロピルエーテルをはじめとするエーテル系、エステル系などの適宜有機溶剤に溶解又は分散させ、映像表示機器における表示部の形状に応じて、例えば、フィルム状、シート状、パネル状などに成形しておいた透明基材の片面又は両面へ直接塗布するか、あるいは、同様にして調製しておいた溶液又は分散液を透明基材におけると同様の材質のフィルム又はシートへ一旦塗布した後、そのフィルム又はシートを表示部の形状に応じて成形しておいた透明基材の片面又は両面へ貼合する。
【0052】
バインダーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、酢酸セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ナイロン、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。斯かるバインダーは、この発明のイミニウム化合物に対して、重量比で、通常、10乃至1,000倍、好ましくは、50乃至500倍用いられる。イミニウム化合物を分散液にして塗布する場合には、固状のイミニウム化合物を粒子径0.1乃至10μm、好ましくは、0.5乃至5μmの微粒子にして分散させる。
【0053】
イミニウム化合物を含有する溶液や分散液を透明基材などへ塗布するには、斯界において汎用される、例えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法などが適用され、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて適用される。
【0054】
この発明の遮光剤は、この発明の目的を逸脱しない範囲で、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物とともに、斯界において汎用される、例えば、アミニウム塩系化合物、アミン化合物、アミノチオールニッケル錯体系化合物、アントラキノン系化合物、インモニウム系化合物、シアニン系化合物、イミニウム系化合物、ジチオールニッケル錯体系化合物、トリアリルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロソ化合物及びその金属塩、フタロシアニン系化合物、カーボンブラック、酸化インジウム錫、酸化アンチモン錫などを含有する近赤外線吸収剤、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、ヒドロキシベンゾエート化合物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウムなどを含有する紫外線吸収剤、さらには、酸化防止剤、難燃化剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱老化防止剤、離型剤の1又は複数を含んでいてもよい。この発明のイミニウム化合物は、上記のごとき近赤外線吸収剤や紫外線吸収剤と併用すると、これらに含まれる有機色素化合物の耐光性を著明に改善し、それらが自然光や人工光などの環境光によって退色、変性、分解されるのを効果的に抑制する。なお、この発明のイミニウム化合物は、単独又は近赤外線を吸収する他の化合物と組み合わせて、近赤外線吸収剤若しくは近赤外線遮断剤として有利に用いることができる。
【0055】
また、この発明の映像表示機器用前面部材は、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物とともに、必要に応じて、斯界において汎用される、例えば、銀、銀−パラジウム合金、酸化インジウム、酸化インジウム−酸化錫混合物(ITO)、酸化亜鉛などを含有する電磁波遮断剤、金属酸化物、金属弗化物、金属珪化物、金属硼化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物などを含有する反射防止剤などの1又は複数と併用することを妨げない。これらの材料は、通常、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法などの方法により、透明基材上へイミニウム化合物による遮光層とは独立した層として形成するか、あるいは、透明基材におけると同様の材質のフィルム又はシート上へ紫外線遮断層、電磁波遮断層、反射防止層などの1又は複数を形成し、そのフィルム又はシートを透明基材へ貼合する。
【0056】
さらに、この発明の映像表示機器用前面部材は、必要に応じて、前面部材のぎらつきを抑え、視野角を広げるためのノングレア層、前面部材の表面を保護するためのハードコート層、前面部材を映像表示機器やガラス板などへ取り付けるための粘着層などの1又は複数を設けることを妨げない。
【0057】
斯くして得られるこの発明の前面部材は、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするイミニウム化合物において、イミニウムカチオンとして、遮断すべき光の波長に応じた適宜の吸収域を有するものを選択することによって、映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外領域を選択的に遮断するので、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像が得られ、しかも、赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。この発明の前面部材を適用し得る映像表示機器としては、例えば、ブラウン管を用いる直視型テレビ、プラズマディスプレー、電界発光ディスプレーなどを用いる発光型パネル方式のテレビ、液晶ディスプレーを用いる非発光型パネル方式のテレビ、液晶プロジェクターが内蔵されたリアプロジェクション方式のテレビなどが挙げられる。これらのうちでも、この発明の前面部材は、原理上、近赤外線を輻射し易いプラズマディスプレーや電界発光ディスプレーなどを用いる発光型パネル方式のテレビへ極めて有利に適用することができる。
【0058】
次に、この発明の遮光剤につき、実施例に基づいて説明する。
【0059】
【実施例1】
〈遮光剤〉
化学式27で表される化合物3.0gを塩化メチレン80mlに溶解する一方、化学式28で表される化合物3.9gを塩化メチレン200mlに溶解した。それぞれの溶液を別々に濾過し、混合した後、溶剤を留去し、得られた油状物にアセトンを少量加えた。析出した結晶を濾取し、エタノールで再結晶させたところ、化学式23で表されるイミニウム化合物の深緑色結晶が5.0g得られた。
【0060】
【化39】
化学式27:
【0061】
【化40】
化学式28:
【0062】
結晶の一部をとり、常法にしたがって測定したところ、本例のイミニウム化合物の融点は246.6℃であり、また、分解点は255.5℃であった。さらに、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長1,032nm付近に吸収極大が観察された(ε=1.0×10)。
【0063】
安定で、近赤外線を効率良く遮断する本例の遮光剤は、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面部材において極めて有用である。
【0064】
【実施例2】
〈遮光剤〉
化学式27で表される化合物3.0gを塩化メチレン80mlに溶解する一方、化学式29で表される化合物3.8gを塩化メチレン200mlに溶解した。それぞれの溶液を別々に濾過し、混合した後、溶剤を留去し、得られた油状物にアセトンを少量加えた。析出した結晶を濾取し、エタノールで再結晶させたところ、化学式19で表されるイミニウム化合物の暗緑色結晶が2.6g得られた。
【0065】
【化41】
化学式29:
【0066】
結晶の一部をとり、常法にしたがって測定したところ、本例のイミニウム化合物の融点は125.9℃であり、また、分解点は248.1℃であった。さらに、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長976nm付近に吸収極大が観察された(ε=3.0×10)。
【0067】
安定で、近赤外線を効率良く遮断する本例の遮光剤は、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面部材において極めて有用である。
【0068】
【実施例3】
〈遮光剤〉
化学式30で表される化合物0.4gをアセトニトリル20mlに溶解する一方、化学式28で表される化合物0.5gをアセトニトリル50mlに溶解した。それぞれの溶液を別々に濾過し、混合した後、溶剤を留去し、得られた油状物にエタノールを少量加えた。析出した結晶を濾取し、エタノールで再結晶させたところ、化学式25で表されるイミニウム化合物の褐色粉末が0.5g得られた。
【0069】
【化42】
化学式30:
【0070】
結晶の一部をとり、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長1,111nm付近に吸収極大が観察された(ε=7.7×10)。
【0071】
安定で、近赤外線を効率良く遮断する本例の遮光剤は、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面板において極めて有用である。
【0072】
【実施例4】
〈遮光剤〉
化学式31で表される化合物1.2gを塩化メチレン20mlに溶解する一方、化学式29で表される化合物1.0gを塩化メチレン100mlに溶解した。それぞれの溶液を別々に濾過し、混合した後、溶剤を留去し、得られた油状物にアセトンを少量加えた。析出した結晶を濾取し、エタノールで再結晶させたところ、化学式22で表されるイミニウム化合物の淡緑色結晶が1.2g得られた。
【0073】
【化43】
化学式31:
【0074】
結晶の一部をとり、常法にしたがって測定したところ、本例のイミニウム化合物の融点は214.4℃であり、また、分解点は235.9℃であった。さらに、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長859nm付近に吸収極大が観察された(ε=2.1×10)。
【0075】
安定で、近赤外線を効率良く遮断する本例の遮光剤は、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面部材において極めて有用である。
【0076】
なお、この発明で用いるイミニウム化合物は、構造によって仕込条件や収率に若干の違いはあるものの、例えば、化学式19乃至化学式26で表されるものを含めて、いずれも、実施例1乃至実施例4の方法によるか、あるいは、それらの方法に準じて所望量を得ることができる。
【0077】
次に、この発明による遮光剤の耐光性及び耐環境性につき、実験例に基づき説明する。
【0078】
【実験例1】
〈イミニウム化合物の耐光性〉
エチルメチルケトンにバインダーとしてポリメタクリル酸エステル−アクリル酸共重合樹脂(商品名『XPD−2000』、中外貿易株式会社販売)を濃度2重量%になるように溶解した後、表1に示すイミニウム化合物のいずれかを濃度1重量%になるように加え、室温下、撹拌しながら溶解させた後、スピンコート法によりアクリル板上に薄膜を形成した。次いで、分光光度計を用い、常法にしたがって、イミニウム化合物による遮光層を設けたアクリル板の紫外乃至赤外領域における光透過率と、個々のイミニウム化合物の吸収極大波長における吸光度とを測定した後、直ちに、アクリル板から10cm隔てた位置にキセノンランプ(180W)を設置し、6時間に亙って光照射した後、アクリル板の吸光度を同じ波長で再度測定した。斯くして得られたキセノンランプ照射直前の吸光度を100としたときの、キセノンランプを6時間照射した直後の吸光度の百分率(色素残存率)を計算し、イミニウム化合物の耐光性の目安とした。併行して、化学式27及び化学式31で表される公知のイミニウム化合物につき、上記と同様に試験して対照とした。結果を表1に示す。なお、化学式23で表されるイミニウム化合物による遮光層を設けたアクリル板については、図1に紫外乃至赤外領域における光透過曲線を示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1の結果に見られるとおり、キセノンランプを6時間照射すると、化学式27及び化学式31で表される類縁化合物が約40乃至50%分解したのに対して、試験に供したこの発明のイミニウム化合物は、いずれも、80%を超える高い色素残存率を示した。また、図1の結果は、この発明のイミニウム化合物が近赤外領域の光、とりわけ、波長800nmより長波長、とりわけ、900乃至1,300nmの近赤外線を選択的に遮断することを示している。これらの結果は、この発明のイミニウム化合物が、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断するとともに、公知のイミニウム化合物と比較して、その遮光能がより長時間持続することを物語っている。
【0081】
【実験例2】
〈イミニウム化合物の耐環境性〉
実験例1におけると同様にしてイミニウム化合物の遮光層を形成したアクリル板につき、温度80℃、相対湿度85%で12時間放置する直前及び直後の個々のイミニウム化合物の吸収極大波長における吸光度をそれぞれ測定し、放置直前の吸光度に対する放置直後の吸光度の百分率(色素残存率)を計算して、イミニウム化合物の耐環境性の目安とした。併行して、化学式27及び化学式31で表される公知のイミニウム化合物につき、上記と同様に試験して対照とした。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
表2の結果に見られるとおり、温度80℃、相対湿度85%で12時間放置すると、化学式27及び化学式31で表される類縁化合物が10乃至50%の色素残存率を示し、当初の遮光能を50%以上失っていたのに対して、化学式19、化学式22、化学式23及び化学式25で表されるこの発明のイミニウム化合物は、いずれも、80%を超える高い色素残存率を示した。これらの結果は、この発明のイミニウム化合物が高温、多湿などに対する耐環境性に優れ、動作に際して高温が不可避となるプラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、ビスフェノールジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体を対イオンとしないイミニウム化合物と比較して、その遮光能がより長期間持続することを物語っている。
【0084】
以下、この発明の映像表示機器用前面部材につき、実施例に基づいて説明する。
【0085】
【実施例5】
〈映像表示機器用前面部材〉
飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名『バイロン200』、東洋紡績株式会社製造)の20重量%トルエン溶液100重量部と、化学式19、化学式22、化学式23又は化学式25で表されるイミニウム化合物のいずれかの0.5重量%シクロヘキサノン溶液とを混合した後、トルエンを加えて、ポリエステル系樹脂の濃度を9重量%に調整した。次いで、バーコーターを用いて、この溶液をポリエチレンテレフタレート製フィルム(商品名『T100E』、ダイヤホイルヘキスト株式会社製造、厚さ100μm)の片面へ均一に塗布し、乾燥させることによって膜厚4μmのコーティング膜を有する4種類の前面部材を作製した。
【0086】
映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を長期間、効果的に遮断する本例の前面部材は、いずれも、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器へ有利に適用できる。
【0087】
【実施例6】
〈映像表示機器用前面部材〉
実施例5の方法により作製した前面部材のイミニウム化合物による遮光層を形成した側へ、アルゴン/酸素混合気流下、酸化インジウム−錫合金を積層した。さらに、前面部材の反対側の面へ、ノングレア層を有する市販のポリメタクリル酸メチル樹脂製パネル(商品名『MR−NG』、三菱レイヨン株式会社製造)におけるノングレア層の形成されていない面を貼合し、4種類の映像表示機器用前面部材を得た。
【0088】
ぎらつきを起こさず、映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を長期間、効果的に遮断する本例の前面部材は、いずれも、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器へ有利に適用できる。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したとおり、ビスフェニルジチオール金属錯体又はアゾ金属錯体のいずれかを対イオンとするこの発明のイミニウム化合物は近赤外領域に吸収極大を有し、遮光剤としてプラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、映像の三原色を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断するので、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像が得られ、しかも、赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。また、この発明で用いるイミニウム化合物は耐光性、耐環境性に優れていることから、長期間用いても遮光能が減弱し難い映像表示機器用前面部材を作製し得ることとなる。加えて、この発明で用いるイミニウム化合物は、有機色素化合物の耐光性を著明に改善する性質を具備するので、他の有機色素化合物と組み合わせて映像表示機器用前面部材における遮光層を構成する場合、併用する他の有機色素化合物の量が少なくて済むという実益を有することとなる。
【0090】
斯くも顕著な効果を奏するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のイミニウム化合物による遮光層を設けたアクリル板の光透過性を示す図である。

Claims (2)

  1. 般式1又は一般式2のいずれかで表されるイミニウムカチオンと、一般式4で表されるアゾ金属錯体を対イオンとするイミニウム化合物を含んでなる遮光剤。
    【化1】
    一般式1:
    【化2】
    一般式2:
    (一般式1及び一般式2において、R乃至Rは互いに同じか異なる炭化水素基を表す。)
    【化3】
    一般式4:
    (一般式4において、M は金属原子を、Z 乃至Z は互いに同じか異なる複素環又は単環式の芳香環を表し、これら複素環又は単環式の芳香環は置換基を 1 又は複数有していてもよい。また、A 及びA は互いに同じか異なるヘテロ原子を表す。)
  2. 遮光剤として、一般式1又は一般式2のいずれかで表されるイミニウムカチオンと、一般式4で表されるアゾ金属錯体を対イオンとするイミニウム化合物を用いる映像表示機器用前面部材。
    【化4】
    一般式1:
    【化5】
    一般式2:
    (一般式1及び一般式2において、R乃至Rは互いに同じか異なる炭化水素基を表す。)
    【化6】
    一般式4:
    (一般式4において、M は金属原子を、Z 乃至Z は互いに同じか異なる複素環又は単環式の芳香環を表し、これら複素環又は単環式の芳香環は置換基を 1 又は複数有していてもよい。また、A 及びA は互いに同じか異なるヘテロ原子を表す。)
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